法務部が見ている”抜けがちな一文”ベスト5 + ChatGPTレビュー活用法【2025年版】

契約書レビューで「あ、これ抜けてる…」と後から気付くことありませんか?今回は、企業法務の現場で実際によく見落とされる重要条項を、最新の法的観点とChatGPTを使った効率的なチェック方法と合わせてご紹介します。

🥇 第1位:「書面による合意でのみ変更可能」条項
よくある落とし穴

メールや口頭での変更が有効になってしまい、後で契約当事者間の齟齬が発生することがあります。

入れておきたい一文
「本契約の変更または修正は、書面による当事者間の合意によってのみ有効とし、口頭その他の方法による変更は一切認めない。」
💡 ChatGPTレビュー活用例

プロンプト例(そのままコピペ可)

以下の契約書案に、契約変更の方式を制限する条項があるかチェックしてください。 ない場合は、書面による変更合意を義務付ける条項案を提示してください。 【契約書本文を貼り付け】

出力例:

ご提示の契約書には、契約変更の方式に関する明示的な規定が見当たりません。 以下の条項の追加をお勧めします: 「本契約の変更または修正は、当事者双方が署名した書面による合意によってのみ効力を有する。電子メール、口頭その他の方法による変更は無効とする。」
🥈 第2位:「不可抗力」条項
見落としがちポイント

パンデミックや自然災害、サイバー攻撃など現代的リスクを想定していないと、履行不能時の扱いが不明確になります。

入れておきたい一文
「天災、戦争、感染症の流行、法令の制定・改廃、その他当事者の合理的な支配を超えた事由により履行が困難となった場合、当該当事者は履行義務を免責される。」
💡 ChatGPTレビュー活用例
この契約書に不可抗力条項があるか確認してください。 ない場合は、2025年の最新情勢を踏まえた不可抗力条項案を提示してください。 特に感染症、サイバー攻撃、気候変動などの現代的リスクを考慮してください。

出力例:

不可抗力に関する規定が見受けられません。現代的なリスクを考慮した以下の条項をお勧めします: 「天災、戦争、テロ、感染症のパンデミック、サイバー攻撃、重大なシステム障害、法令の制定・改廃、その他当事者の合理的な支配を超えた事由により契約履行が困難となった場合、当該事由の影響を受けた当事者は、相手方に速やかに通知することにより、当該期間中の履行義務を免責される。」
🥉 第3位:「反社会的勢力排除」条項
見落とすと危険

各都道府県の暴力団排除条例等により、反社会的勢力に関する表明・確約がないと取引自体が社内決裁で否認される場合があります。

入れておきたい一文
「当事者は、自らが反社会的勢力でないこと、および反社会的勢力との一切の関係を有しないことを表明し、将来にわたってこれらとの関係を持たないことを確約する。」
💡 ChatGPTレビュー活用例
この契約書に反社会的勢力排除条項があるかレビューしてください。 ない場合は、最新の暴力団排除条例に対応した条項案を提案してください。 表明・確約、調査協力、契約解除の要素を含めてください。

出力例:

反社会的勢力排除条項が含まれておりません。以下の包括的な条項を推奨します: 1. 当事者は、自らおよび自らの役員・従業員が反社会的勢力でないこと、これらの勢力との関係を有しないことを表明・確約する。 2. 相手方から反社会的勢力との関係に関する調査に協力するよう求められた場合、これに応じる。 3. 上記に違反した場合、相手方は催告なくして本契約を解除できる。
第4位:準拠法・合意管轄
ありがちな落とし穴

相手方所在地や国際取引の場合、紛争処理が想定外に複雑・高額になるおそれがあります。

入れておきたい一文
「本契約は日本法に準拠し、本契約に関する一切の紛争については、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。」
💡 ChatGPTレビュー活用例
以下の契約書に準拠法および管轄裁判所の明記があるか確認してください。 相手方が【相手方の所在地】にある場合の注意点も教えてください。

出力例:

準拠法・管轄条項が見当たりません。相手方が海外にいる場合、以下の点にご注意ください: ・準拠法条項:「本契約は日本法に準拠する」 ・管轄条項:「東京地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする」 ・国際仲裁の検討:紛争解決手段として仲裁も選択肢となります
第5位:損害賠償の範囲限定
抜けると怖いリスク

特別損害や逸失利益まで請求されると、予想外の巨額賠償リスクが生じます。

入れておきたい一文
「当事者の損害賠償責任は、予見可能であった通常損害の範囲に限定し、特別損害、間接損害、逸失利益、機会損失については、その発生原因を問わず一切責任を負わない。」
💡 ChatGPTレビュー活用例
この契約書の損害賠償に関する条項を分析し、賠償範囲の限定が適切になされているかを確認してください。 通常損害・特別損害の区別、責任上限額の設定状況も教えてください。

出力例:

損害賠償の範囲について明確な限定がされていません。リスク管理の観点から以下の条項を推奨します: 1. 各当事者の損害賠償責任は、直接かつ現実に生じた通常損害に限る 2. 特別損害、間接損害、逸失利益については責任を負わない 3. 損害賠償の総額は、本契約に基づいて支払われた金額を上限とする
🔄 まとめ:ChatGPTを「チェックリスト」として活用する
効率的な契約書レビューの3ステップ
  • 1. 一次チェック:ChatGPTで抜け漏れ確認
  • 2. 詳細レビュー:人の目で条項の妥当性を検証
  • 3. リスク評価:ビジネス影響を総合判断
おすすめ「統合チェック」プロンプト
以下の契約書について、法務観点から重要な条項の抜け漏れをチェックしてください: 1. 契約変更方式の制限 2. 不可抗力条項 3. 反社会的勢力排除条項 4. 準拠法・管轄条項 5. 損害賠償範囲の限定 各項目について「あり/なし」と改善案を示してください。 【契約書本文】
🚨 注意点:ChatGPTの限界を理解する
  • 法的判断は最終的に人が行う:AIはあくまで参考情報
  • 業界特有の慣行は考慮されない:専門性の高い分野は要注意
  • 最新法改正への対応:重要な変更は必ず最新情報を確認
💼 実務Tips: この5つの条項チェックを習慣化することで、契約書レビューの質と効率が格段に向上します。ChatGPTを上手に活用しながら、法務としての専門性を発揮していきましょう!

※本記事の内容は2025年6月時点の法令等に基づいています。実際の契約書作成・レビューにあたっては、個別の事情に応じて専門家にご相談ください。

掲載内容は契約レビューの実務効率化を目的とした手法の紹介です。最終的な法的判断や個別事案の検討は、必ず弁護士・社労士等の専門家にご相談ください。