逐条解説と睨めっこしてた頃の話
「この条文、どう解釈すればいいんだ?」
ある朝、取引先から届いた共同開発契約書を前に、私は固まりました。文章は一見丁寧だけど、ところどころ謎の表現が混ざっている。たとえば——
「甲は、善良なる管理者の注意義務をもって、本契約に基づく業務を遂行するものとする。」
……え、これって具体的に何? どこまでやらなきゃいけないの? 法的には強いの?弱いの?
とりあえず本屋へ行くしかなかった
Googleでは出てくるのは法律用語辞典レベルの説明ばかり。実務にどう使うかまでは書いてない。
そこで、会社近くの(今は閉店中の)八重洲ブックセンターへ。契約実務の棚に向かい、『民法逐条解説』『契約のトラブルQ&A』『〇〇契約の実務』と、使えそうな本を片っ端から立ち読み。気になるキーワードを索引で調べ、目的のページに辿りつくも、書いてあるのは5段落に分かれた重たい文。
「…(5回読み返して)結局、どういうリスクがあるんだっけ?」
その場で全部は読めないので、結局1冊買って帰社。ふせんが大量に貼られたその本は、今でも本棚の主張が激しいポジションにいます。
面白エピソード:知らぬ間に「努力義務」が「義務」に昇格していた話
別の案件で、「ベンダー側が技術情報を提供する努力義務を負う」条文があったのですが、修正の過程でなぜか「提供するものとする」に変わっていたことがありました。誰が変えたか記録もなく、上司と顔を見合わせる始末。
上司:「お前、変えた?」
私:「えっ……変えてない、と思います(たぶん)」
焦って旧バージョンを探したところ、どうやら私がレビュー中に変換ミスで上書きしていた模様。完全に「努力」から「義務」への昇格事件。その日はひとしきり社内で笑われましたが、押印直前に気づいて本当によかった…。
今なら1分で出てくるけど…
いまならChatGPTに「善良なる管理者の注意義務とは」と聞けば、具体的な意味、判例、交渉のポイントまで1分で返ってきます。でも当時は、「まず用語を調べる → それがどんなリスクかを考える → 上司に相談 → 修正案を書く」までに半日〜丸一日かかるのが普通でした。
ただ、その過程で「どこにリスクがあるか」「条文のどこがフワッとしてるか」を自分で感じ取る力がついたのも事実です。AIがいても、「なぜそれが問題か」を感じられる力は、やっぱり実務経験で育ったのだと思います。
締め
生成AIが出てきた今、答えにたどり着くスピードは格段に上がりました。でもあの”本とにらめっこしていた時間”が、いまの自分の基礎をつくっているのかもしれません。

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