ChatGPTの登場から2年。法務の現場でもAI活用が本格化してきましたが、 実際に使ってみると、「これは本当に助かる!」という業務と 「いや、これは使えない…」と感じる業務にハッキリ分かれるようになりました。 本記事では現場担当者の視点で、活用が効く業務・注意点・すぐ使えるプロンプト例を紹介します。
想像以上に助かった業務TOP5
複雑な法改正を役員に分かりやすく説明
助かった理由
- 複雑な法律用語をやさしい言葉に置き換えてくれる
- 「経営視点」での構成案を自動で考えてくれる
- PowerPoint用の骨子まで出力してくれる
これだけで資料作成の「たたき台」が短時間で完成します。
複雑な英文条項も瞬時に理解
助かった理由
- 条文の趣旨をかみ砕いて説明してくれる
- 日本法との違いを指摘してくれる
- リスクの高い表現を警告してくれる
弁護士相談の前段階としての「理解の地ならし」に最適です。
交渉を円滑に進める表現力
助かった理由
- 法的に妥当かつ、柔らかい表現の文案を複数出してくれる
- 相手方への配慮もある
「ダメです」だけでは交渉になりません。修正案まで提示できるのは大きな強みです。
定型質問への即答体制
- 「この契約、印紙いくら?」
- 「取締役変更、何の書類出す?」
- 「このプレスリリース、問題ある?」
定型的な質問にはChatGPTでたたき台を作り、人間が仕上げるワークフローが定着しています。
会議後の整理作業を効率化
- 箇条書きメモをきれいな文章に整えてくれる
- 重要なポイントを自動で強調してくれる
会議中は内容理解に集中し、記録作業はChatGPTに任せる分業が可能になりました。
意外と困った業務TOP5
「知らない」とは言わないAIの危険性
- 自信満々で間違った解釈を提示することがある
- 「断定」が危ない
- 最新の法改正に未対応なことも
ChatGPTは「知らない」と言いません。だからこそ、盲信は危険です。
一般論では対応できない実務の壁
- 「一般論」としては正しいが、実務に噛み合わない
- 業界の暗黙知が反映されない
組織の空気は読めないAI
- 組織内の力関係を理解していない
- 「誰が調整するか」という視点がない
迅速な判断が求められる場面
- 情報収集に時間がかかる
- 「結論はこれ」とは出してくれない
使いたくても使えないジレンマ
本当はChatGPTを使いたい。でも機密情報は入力できない──このジレンマが最も切実です。
ChatGPTを活用するためのアドバイス
上手な使い方のコツ
- 「たたき台」として割り切る(6割の精度でOK)
- 複数の視点で質問する(比較して精度UP)
- 自社ルールと組み合わせる(ローカル事情を補完)
注意すべきポイント
- 法的判断は最終的に人間が行う
- 機密情報は絶対に入力しない
- 最新情報は別途確認する(法令・社内規程)
ChatGPTは、優秀な”新人アシスタント”のような存在
任せるべきことと、自分で判断すべきことを切り分けることが、AI時代の法務の第一歩です。