レビュー方針→論点抽出→修正文案→交渉論点まで、“漏れない型”で揃える
契約レビューは、経験者でも「抜け」が起きやすい作業です。STEP化して再現可能にすると、品質が安定します。
- 前提整理(当事者/取引/優先順位)
- 地雷条項の抽出(損害賠償・解除・保証・責任制限など)
- 修正文案・代替案・交渉論点(説明つき)
- レビュー結果の報告書・メール文面まで
※機密情報の入力範囲・マスキングは社内ルールに従ってください。一般的情報提供であり、個別案件の法的助言ではありません。
契約書レビューをAIで効率化する方法|“10STEP”で受領〜交渉〜資産化まで標準化
ChatGPT・Claude等の生成AIを活用し、契約書レビューの工数と品質を両立させる実務ノウハウを解説します。
契約書レビューに追われる法務担当者の現実
「今週中に10本の契約書をチェックしてほしい」「この契約書、明日の会議までに確認できますか?」──法務担当者なら、一度はこんな依頼を受けたことがあるはずです。
契約書レビューの”あるある”な課題
- 時間が足りない:1本の精査に2〜3時間、交渉でさらに溶ける
- 品質がぶれる:急ぎ案件ほど確認が浅くなる
- ナレッジが残らない:「毎回ゼロから」感が強い
- 交渉の根拠が弱い:「なぜこの修正が必要か」を説明しづらい
そこで注目されているのが、ChatGPT・Claude等の生成AIを”レビュー業務の標準化エンジン”として使う方法です。ポイントは、AIの性能そのものよりも、指示の型(プロンプト)で再現性を作ることにあります。
- 相手方ドラフトを受領 → フルレビュー型(10STEP)
- 相手方の修正が返ってきた → 交渉ラウンド型(STEP7中心)
- 今日中に返す必要がある → 最小限チェック型(STEP0/1/8)
- NDAなど定型 → 簡易レビュー型(STEP1/3/8)
AIで契約書レビューは本当に効率化できるのか?
結論:適切に使えば、レビュー工数は目安として3〜6割程度の圧縮が十分に狙えます(案件難易度・体制による)。ただし、「ChatGPTに契約書を貼って『チェックして』」だけでは、実務に耐える出力は出ません。
| 失敗パターン | 主な原因 |
|---|---|
| 的外れなリスク指摘 | 当社の立場(委託者/受託者 等)を伝えていない |
| 一般論ばかり | 目的(何を決めたいか)と優先順位が曖昧 |
| 法令・条文の引用ミス | いわゆるハルシネーション(誤生成) |
| 実務で使えない修正案 | 文体・用語・交渉方針の条件が不足 |
つまり、AIの出力品質は「AIの賢さ」より、入力(プロンプトの設計)で決まるのが実務の現実です。
「チェックして」で失敗しないために:まずは“型”を持つ
当社の立場・観点・出力要件を固定すると、AIの出力は一気に実務寄りになります。交渉ラウンド(STEP7)だけでも体感が変わります。
なぜ「プロンプト」が重要なのか
プロンプトはAIへの指示文です。同じAIでも、書き方次第で出力は別物になります。
ただ、これを案件ごとにゼロから作るのは現実的ではありません。契約レビューは「受領→精査→修正→交渉→締結→資産化」と工程が多く、工程別に最適なプロンプトが必要だからです。
契約書AIレビュー プロンプト集でできること
そこで開発したのが、「契約書AIレビュー プロンプト集|全10STEP完全版」です。契約書を受け取ってから締結・資産化するまで、契約ライフサイクル全体を10工程で標準化します。
プロンプト集の全体構成(10STEP)
| PHASE | STEP | 内容 | 所要時間目安 |
|---|---|---|---|
| 受領・初動 | STEP 0 | 適法性・”法令地雷”チェック | 10〜20分 |
| STEP 1 | 受領・構造把握(鳥の目) | 15〜30分 | |
| STEP 2 | 形式・ドラフティングチェック | 10〜20分 | |
| 精査・方針 | STEP 3 | 精査・リスク分析 | 30〜90分 |
| STEP 4 | 判定・優先度付け(トリアージ) | 15〜20分 | |
| STEP 5 | 修正方針策定 | 20〜40分 | |
| 修正・交渉 | STEP 6 | 初回修正・送付準備 | 20〜40分 |
| STEP 7 | 交渉ラウンド対応(差分検出→反論根拠→再修正案) | 都度20〜60分 | |
| 締結・資産化 | STEP 8 | 最終確認・締結準備 | 15〜30分 |
| STEP 9 | ナレッジ資産化(次回の勝ち筋を残す) | 20〜40分 |
10STEPの中でも「一番時間を食う局面」=交渉ラウンド(STEP7)
相手の赤入れが返ってきた瞬間から、差分整理・意図推測・当社リスク評価・代替案作り・コメントバックまでが一気に必要になります。STEP7はここを“一括処理”するための設計です。
3つの特長
実務事故を防ぐ”安全設計”
- 事実/推測の分離(誤前提で走らない)
- 適法性は断定しない(「違法」ではなく「違法の疑義/要確認」で整理)
- 根拠の提示を強制(条文・ガイドライン等を出す→一次情報で検証する運用)
2024〜2026の主要改正を前提に観点組込み
- フリーランス保護新法:2024年11月1日施行
- 中小受託取引適正化法(取適法):2026年1月1日施行
「統合版」と「個別STEP」の両方を収録
- 時間がない:統合版で一気通貫
- 深掘りしたい:個別STEPを組み合わせて精査
具体的な活用シーン(4パターン)
シーン①:相手方ひな形を受領(フルレビュー)
最初にSTEP0で”法令地雷”を拾います。(例:支払条件が取引適正化の考え方と整合しない、個人情報の委託条項が薄い、解除が片務すぎる 等)
シーン②:相手方修正に対応(交渉ラウンド)
STEP7では、交渉の「めんどくさい所」をまとめて処理。差分の抽出・一覧化、相手意図の推測、当社リスク評価、再修正案(松・竹・梅)、コメントバック文案まで。
シーン③:急ぎの契約(最小限チェック)
「今日中に返す」案件ほど、最低限の型が効きます。特にSTEP0は”落とすと痛い論点(強行法規・支払・個情法)”を拾う目的で設計。
シーン④:NDAなど定型契約(簡易レビュー)
定型でも「秘密情報の定義」「目的外使用」「保持期間」「差止め」「損害賠償」など、外すと事故る点は残ります。
比較:なぜ”10STEP”が必要なのか
| 比較軸 | AIに貼って「チェックして」 | 汎用テンプレ | 10STEP体系プロンプト |
|---|---|---|---|
| 再現性 | 低(ぶれやすい) | 中 | 高(工程が固定) |
| 事故リスク | 中〜高(前提抜け) | 中 | 低(安全設計+手順化) |
| 交渉対応 | 弱い | 弱〜中 | 強い(ラウンド処理) |
| ナレッジ化 | ほぼ残らない | 一部 | 残る(STEP9) |
| 教育用途 | 弱い | 中 | 強い(新人に渡せる) |
立ち読み:STEP7 出力フォーマット(交渉ラウンド対応・1ページ)
ここでは「STEP7を回すと、どんな“納品物(アウトプット)”が得られるか」を1ページで示します。プロンプト本文(指示文)は商品側に収録し、ブログでは出力フォーマットのみを公開しています。
STEP7|交渉ラウンド対応:出力フォーマット(サンプル)
※本サンプルは架空の契約条文を使った例です(機密・個人情報・固有名詞は含みません)。
※AI出力はドラフトです。最終判断(採否・法令適合性)は必ず人(法務/弁護士等)が行ってください。
1) 入力サマリー (案件条件・当社の立場・交渉方針)
【契約類型】業務委託契約(システム開発) 【当社の立場】委託者(発注者) 【交渉方針】重要条項は強め(ただし早期締結も重視) 【相手方修正】相手が赤入れで返してきた(条項3点が主な変更) 【出力要件】事実/推測を分離。リスクは高/中/低。修正案は松/竹/梅。コメントバック文案も作成。
2) 差分一覧(変更点の抽出) (どこがどう変わったかを“見える化”)
[差分1|損害賠償の上限] 相手修正:当社(委託者)の損害賠償を「一切負わない」方向に免責を拡大 論点:片務性/当社の救済手段の実質喪失 [差分2|解除(是正期間)] 相手修正:相手の解除権を強化(是正期間を短縮、当社側の解除要件は据置) 論点:解除の均衡/是正機会の欠落 [差分3|成果物の知財帰属] 相手修正:成果物の著作権等を「相手側に帰属」+当社は限定ライセンスのみ 論点:成果物の利用範囲/改変・再利用/社内展開の制約
3) 相手方意図の推測 (推測である旨を明示)
【事実】相手は、責任範囲(賠償)と成果物の権利帰属を相手有利に変更している。 【推測】(a) 過去のトラブル・炎上経験により、賠償を極小化したい 【推測】(b) 成果物を他社にも横展開したく、権利を保持したい 【推測】(c) 早期に解約できる状態(解除強化)を維持したい(リソース都合)
4) 当社リスク評価(高/中/低)
5) 再修正案(松・竹・梅) (相手に出せる代替案を“即”用意)
・損害賠償:相手の免責拡大は不可。少なくとも「故意/重過失」や「秘密漏えい」「知財侵害」は免責除外。 ・解除:是正期間を確保(例:30日等、案件に応じ調整)。 ・知財:成果物の権利は当社帰属(または当社への独占的・無期限・再許諾可能な利用許諾)。
・損害賠償:上限は「支払総額」等で設定。ただし故意/重過失、秘密漏えい、知財侵害は上限適用除外。 ・解除:是正期間は短縮可(例:14日)だが、当社にも同等の解除権を付与し均衡を確保。 ・知財:成果物は相手帰属でも、当社に「社内利用・改変・派生開発・再委託」まで含む広いライセンスを付与。
・損害賠償:上限は相手案を受ける代わりに、故意/重過失・秘密漏えいだけは免責除外。 ・解除:是正期間は相手案寄りだが、当社側の解除要件(解除事由)を明確化してバランスを微調整。 ・知財:帰属は相手案でも、当社の利用許諾範囲に「社内利用・改変」を明示して限定的に守る。
6) 相手方へのコメントバック文案 (そのままメールに貼れる)
○○株式会社 ご担当者様 赤入れありがとうございます。内容を確認し、下記3点につき当社としての懸念があるため、修正案(竹案)でのご調整をご相談させてください。 1. 損害賠償(免責の拡大) 当社の救済手段が実質的に失われるため、故意・重過失、秘密漏えい、知財侵害については免責の対象外としたい考えです。 2. 解除(是正期間) 是正機会が十分に確保できないため、是正期間を14日とし、当社側にも同等の解除権を付与する形で均衡を取りたいと考えています。 3. 成果物の知財帰属 当社の社内利用・改変・派生開発の必要があるため、利用許諾の範囲を明確化(社内利用・改変・再委託含む)させてください。 上記の趣旨で、条文案を添付いたします。ご確認のうえ、ご意見をいただけますと幸いです。
7) 次アクション(社内向け) (合意形成を速くする)
・事業部へ:差分1(賠償)と差分3(知財)を最優先(高リスク)として説明。 ・決裁者へ:竹案を基本方針として承認依頼(締結スピードを重視する場合は梅案も併記)。 ・相手へ:竹案で打診し、相手が難色なら「賠償の除外事項だけは死守」の条件で調整。
この“出力フォーマット”を、毎回ブレずに出すための指示文(プロンプト)を収録
立ち読みはあくまで「出力の型」だけ。実務で再現させるための入力テンプレ・安全設計・工程設計(10STEP)はプロンプト集にまとめています。
導入メリットと注意点
導入メリット(目安)
| メリット | 具体的な効果(目安) |
|---|---|
| 時間短縮 | 工数を3〜6割圧縮(案件により変動) |
| 品質の標準化 | レビュー観点の抜け漏れを減らす |
| 交渉力の向上 | 修正理由を”説明可能な形”にする |
| ナレッジ蓄積 | 次回から速く・強くなる(STEP9) |
| 教育ツール | 新人・兼務担当でも回せる |
- 本プロンプト集は、法的助言(リーガルオピニオン)を提供するものではなく、論点整理・ドラフト作成の補助ツールです。
- AI出力は誤りを含む可能性があるため、最終判断は人(法務担当者/弁護士等)が行う
- 重要案件・高リスク案件は、弁護士レビュー等の追加チェックを推奨
- 法令・条文番号は改正や運用で変動し得るため、必要に応じて一次情報で確認する
情報管理・守秘:契約書をAIに入れてよいのか?
ここは読者(特に企業法務)が一番気にする論点です。適切な運用ルールを設けることで、実務での活用が可能になります。
- 匿名化・マスキング:当事者名、金額、口座、個人情報、固有の技術情報などを伏せる
- 入力範囲の制限:全文ではなく、該当条項(例:解除・損賠・知財・個情法)に絞る
- 社内ルールに従う:利用可否、入力可否、ログ取扱い、委託先管理の方針を確認
- 成果物の扱いを統一:AI出力は”ドラフト”であり、最終版は社内レビューで確定する
※特に、取引適正化の流れが強まる局面では、支払条件・代金決定のプロセス等を初動で論点化しておくと安全です。
FAQ:よくある質問
まとめ:今日から始める契約書AI活用
契約書レビューは、生成AIで大幅に効率化できます。ただし鍵は「AIが賢いか」ではなく、実務に即した”プロンプト設計(型)”で再現性を作れるかです。
「契約書AIレビュー プロンプト集|全10STEP完全版」は、
- 契約ライフサイクル(受領〜交渉〜資産化)を10工程で標準化
- 実務事故を防ぐ安全設計(事実/推測分離、断定回避、根拠提示)
- 統合版/個別STEPで使い分け可能
という、法務担当者向けの実務特化型プロンプト集です。
🔍 関連ガイドへ進む
この記事と関連度の高い実務ガイドをまとめています。次に読むならこちら。
