最終更新:2025年12月10日
2027年4月、労働基準法が約40年ぶりに大幅改正される見込みです。
「うちの会社は大丈夫?」「何から手をつければいい?」——本記事では、改正内容と企業が対応すべきステップを徹底解説します。

2027年労働基準法改正の3本柱

2025年1月に公表された「労働基準関係法制研究会報告書」で提言された、改正の3つの柱を押さえましょう。

1

勤務間インターバル11時間の義務化

終業から翌始業まで11時間以上の休息確保が法的義務に。努力義務から大幅格上げ。

⚠ 違反時は労基法の一般的な罰則(6月以下の懲役/30万円以下の罰金)が適用される見込み
2

連続勤務13日超の禁止

14日以上の連続勤務を禁止。4週4休の変形制でも、連続勤務は最大13日まで。

⚠ 違反時は労基法の一般的な罰則(6月以下の懲役/30万円以下の罰金)が適用される見込み
3

法定休日の事前指定義務

週1日の法定休日を就業規則で事前に特定。絶対的必要記載事項に追加。

⚠ 是正勧告・指導の対象に。就業規則の改定が必須

※出典:厚生労働省「労働基準関係法制研究会報告書」(2025年1月)

勤務間インターバルとは?

「勤務間インターバル」とは、終業時刻から翌日の始業時刻までの休息時間のことです。

改正前(現行法)
  • インターバルは「努力義務」
  • 導入企業は約6%にとどまる
  • 法的拘束力なし
改正後(2027年4月〜)
  • 11時間以上の確保が法的義務
  • 違反には罰則適用の見込み
  • 労働基準法に明記

※導入企業6%:厚生労働省「就労条件総合調査」(2024年)より

具体例で理解する

22時に退勤 → 翌日の始業は9時以降(22時+11時間=翌9時)
23時まで残業 → 翌日の始業を10時に繰り下げが必要

緊急時・災害時の特例について

報告書では、災害対応や緊急の呼び出しなど、やむを得ない場合の特例ルールも検討されています。ただし、特例を適用した場合でも、代償休息の付与などの措置が求められる見込みです。

連続勤務の制限とは?

改正前(現行法)
  • 週1日の休日付与が原則
  • 4週4休の変形制も可
  • 理論上、最大24連勤も合法
改正後(2027年4月〜)
  • 14日以上の連続勤務を禁止
  • 変形制でも13日が上限
  • 原則として例外なく適用見込み
シフト制で注意すべきパターン

❌ 避けるべき例:早番(6:00〜15:00)→ 遅番(15:00〜24:00)の連続配置
→ インターバルが6時間しか確保できない

✅ 推奨パターン:遅番 → 休み → 早番、または遅番 → 遅番 → 早番
→ 間に休日を挟むか、同じシフト帯を連続させる

なぜ今、法改正が行われるのか?

過労死・過労自殺の深刻化

精神障害の労災認定件数は年々増加傾向にあります。長時間労働と睡眠不足が、メンタルヘルス不調の大きな要因です。

EU諸国との格差

EUでは1993年から「24時間につき最低連続11時間の休息」が義務化されています。日本は約30年遅れで、ようやく国際基準に追いつきます。

働き方改革の総仕上げ

2019年の「働き方改革関連法」で残業時間の上限規制が導入されましたが、インターバルは努力義務でした。今回の改正で、「休息時間の確保」が法的義務として完成します。

企業への影響度チェック

自社がどの程度影響を受けるか、チェックしてみましょう。

📋 影響度セルフチェック
  • 深夜営業・24時間営業がある 影響:高
  • 交替制・シフト制を採用している 影響:高
  • 繁忙期に連続勤務が発生する 影響:高
  • 法定休日を明確に定めていない 要改定
  • 現在のインターバル実績が11時間未満のケースがある 要対応
  • 従業員の退勤〜出社時間を正確に把握・集計できていない 要対応
⚠ 3つ以上該当する場合は、早急な対応が必要です

人事担当者が今すぐ始めるべき5つのステップ

2027年4月の施行まで、約1年半。計画的に準備を進めましょう。

1

現状分析

📅 2025年12月〜2026年3月

自社の勤怠データを分析し、現状を把握します。

  • インターバル11時間未満の発生件数・発生率
  • 連続勤務7日以上の発生件数
  • 部門別・職種別の影響度
2

就業規則の改定

📅 2026年4月〜6月

改定が必要な主な条項:

  • 勤務間インターバルに関する条項(新設)
  • 連続勤務の制限に関する条項(新設)
  • 法定休日の特定に関する条項(改定)
  • 適用除外・特例に関する条項(新設)
3

シフト・勤務表の見直し

📅 2026年4月〜9月

シフト制・交替制の企業は、勤務パターンの見直しが必要です。

  • インターバル11時間を確保できるシフトパターン
  • 連続勤務が13日を超えないローテーション
  • 繁忙期の人員配置
4

勤怠システムの改修

📅 2026年7月〜9月

勤怠管理システムに追加すべき機能:

  • インターバル11時間未満のアラート
  • 連続勤務日数のカウント・警告
  • 法定休日の管理機能
5

社内周知・研修

📅 2026年10月〜2027年3月

全従業員への周知と、管理職向け研修を実施します。

  • 改正法の概要と罰則
  • 管理職の責任(使用者責任)
  • 具体的な運用ルール

対応しない場合のリスク

「まだ先の話だから」は危険です

後回しにすると、以下のリスクがあります。

罰則の適用

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性

是正勧告・企業名公表

悪質な場合は企業名が公表され、採用・取引に悪影響

損害賠償請求

健康被害が発生した場合、安全配慮義務違反で訴訟リスク

採用競争力の低下

働き方改革対応が遅れた企業は求職者から敬遠される

よくある質問

管理監督者も対象になりますか?
管理監督者(労働基準法第41条2号)は、適用除外となる方向で検討されています。ただし「名ばかり管理職」は対象です。また、適用除外であっても、健康確保措置(面接指導や休息確保)が義務付けられる可能性が高いです。
パート・アルバイトも対象になりますか?
原則として対象となります。特にシフト制で遅番・早番が混在する場合、インターバル時間の確保がシフト作成上の大きな課題となります。また、副業・兼業で複数の職場を掛け持ちしている場合の通算管理についても注意が必要です。
報告書段階の情報で準備を始めて問題ありませんか?
問題ありません。報告書の提言内容は、改正法案の骨格となります。早期に準備を始めることで、法案確定後の対応をスムーズに進められます。本格的なシステム改修などは、法案確定後に着手すれば十分です。
中小企業への猶予措置はありますか?
現時点では明示されていません。国会審議で経過措置が設けられる可能性はあります。最新情報は厚生労働省の公式発表をご確認ください。

📝 まとめ

改正の3本柱

  1. 勤務間インターバル11時間の義務化
  2. 連続勤務13日超の禁止
  3. 法定休日の事前指定義務

対応ステップ

  1. 現状分析(勤怠データの分析)
  2. 就業規則の改定
  3. シフト・勤務表の見直し
  4. 勤怠システムの改修
  5. 社内周知・研修
施行日まで約1年半。今から計画的に準備を進めましょう。
「何から手をつければいいかわからない」方は、まず現状分析から始めてみてください。
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