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【連続勤務14日ルール】シフト制・交替制企業の必須対応|勤務シフト見直しチェックリスト(2027年向け)

【連続勤務14日ルール】シフト制・交替制企業の必須対応|勤務シフト見直しチェックリスト(2027年向け)

【連続勤務14日ルール】シフト制・交替制企業の必須対応|勤務シフト見直しチェックリスト(2027年向け)

最終更新:2025年12月|労働基準関係法制研究会報告書(2025年1月公表)対応

TL;DR(結論要約)

  • 早ければ2027年4月施行見込みで、13日を超える連続勤務が禁止される方向
  • 現行の「4週4休」による最大48日連続勤務は不可に
  • シフト制・交替制企業は勤務体制の抜本的見直しが必須
  • 法定休日の「事前特定」も義務化される見通し
  • 労災認定基準との整合:週休2日想定で「2週間(おおむね12日)以上の連続勤務」は心理的負荷「中」評価

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はじめに:なぜ「14日ルール」が導入されるのか

2025年1月、厚生労働省の「労働基準関係法制研究会」が報告書を公表し、約40年ぶりとなる労働基準法の抜本改正の方向性が示されました。その中でも特に注目されているのが、「13日を超える連続勤務の禁止」(通称:14日ルール)です。

現行法では「4週間を通じて4日以上の休日」を与えれば足りるとされており、理論上は最大48日間の連続勤務が可能な状態にあります。しかし、この制度は労働者の健康確保の観点から問題視されており、今回の改正で大きく変わる見込みです。

本記事では、特に影響が大きいシフト制・交替制を採用する企業の実務担当者向けに、改正内容と具体的な対応策を解説します。

▶ 関連記事:【2027年】労働基準法改正の全体像|40年ぶり大改正のポイント

連続勤務規制の改正概要フロー図:現行の4週4休制度から14日ルールへの変更点を図解
図1:連続勤務規制の改正概要

1. 改正の概要:「4週4休」から「14日ルール」へ

1-1. 現行制度の問題点

現行の労働基準法第35条では、休日について以下の2つの方法が認められています。

制度内容
週休制(原則)毎週少なくとも1日の休日を与える(労基法35条1項)
4週4休の特例4週間を通じて4日以上の休日を与える(同条2項)→最大48日連続勤務が理論上可能

💡 用語の補足:労基法35条2項の「4週4休」制度は、「変形労働時間制」(労基法32条の2等)とは異なる概念です。変形労働時間制は1日・1週の労働時間規制の特例であるのに対し、4週4休は休日付与方法の特例です。両者は併用されることも多いため、混同しないよう注意が必要です。

この「4週4休」制度は、休日のタイミングを期間の前後に配置すれば48日間の連続勤務が可能となる抜け穴があり、さらに36協定を締結すれば休日労働も可能となるため、連続勤務の上限は事実上存在しない状態でした。

1-2. 改正の方向性

研究会報告書では、以下の改正が提言されています。

項目現行制度改正後(見込み)
連続勤務の上限事実上なし(最大48日可能)13日を超える連続勤務禁止
法定休日の特定特定義務なし事前特定を義務化
36協定による休日労働連続勤務延長可能13日超は36協定でも不可

1-3. 労災認定基準との関連

今回の改正の背景には、精神障害の労災認定基準があります。2023年9月改正の「心理的負荷による精神障害の認定基準」では、連続勤務について以下のように評価されています。

心理的負荷連続勤務の状況
休日労働を行ったが、休日の労働時間が特に短いもの
2週間以上にわたって連続勤務を行った
1か月以上にわたって連続勤務を行った/2週間以上連続勤務+連日深夜時間帯に及ぶ時間外労働

ここで注意が必要なのは、労災認定基準における「2週間以上の連続勤務」の解釈です。実務上は、週休2日を前提とした「おおむね12日程度の連続勤務」が「2週間以上」に該当すると整理されています(例:ある月曜から翌週金曜まで連続勤務した場合)。

一方、今回議論されている「14日以上連続勤務禁止」は、こうした労災認定基準も踏まえつつ、暦日ベースで「13日まで」に上限を切る方向性と理解できます。労災基準の「2週間」と改正案の「14日」は、根拠となる考え方は共通していますが、カウント方法が異なる点に留意してください。

労災認定基準における連続勤務の心理的負荷評価:弱・中・強の3段階と14日ルールとの関連
図2:労災認定基準における連続勤務の心理的負荷評価

1-4. 「労働時間等設定改善法」との関連

今回の改正は、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」(労働時間等設定改善法)の精神とも密接に関連しています。同法は、事業主に対し「労働者の健康と生活に配慮するとともに、多様な働き方に対応した労働時間等の設定の改善」を努力義務として課しています。

14日ルールの導入は、こうした上位概念を具体化するものであり、企業には単に法令遵守にとどまらず、労働者の健康確保と生産性向上を両立させる労働環境づくりが求められています。

2. シフト制・交替制企業への具体的影響

2-1. 影響が特に大きい業種

業種現状の運用例改正後の影響
医療・介護夜勤・当直の連続、人手不足による連続勤務シフト設計の抜本的見直し、人員増員が必要
運送・物流繁忙期の長距離運行、配送ピーク対応運行計画の見直し、ドライバー増員検討
建設業工期厳守のための連続作業人員配置見直し、工期設定の再検討
製造業三交替制、繁忙期の生産増強交替シフトの再設計、応援要員確保
小売・飲食年末年始・セール期間の連続営業繁忙期シフトの見直し、パート増員
ホテル・旅館連休・観光シーズンの長期稼働繁忙期人員計画の抜本的見直し
業種別14日ルールの影響度と対応優先度:医療・介護、運送・物流、建設業、製造業、小売・飲食、ホテル・旅館の比較表
図3:業種別|14日ルールの影響度と対応優先度

2-2. 「4週4休」運用企業の具体的な変更点

現在「4週4休」の特例を採用している企業は、以下の点で運用変更が必要になります。

⚠️ 改正後にできなくなること

  • 4週間の最初と最後に休日を集中配置して、中間で長期連続勤務させること
  • 36協定を根拠とした休日労働による連続勤務日数の延長
  • 繁忙期対応として2週間を超える連続シフトを組むこと
  • 法定休日を「シフトによる」と曖昧に定めたまま運用すること

3. 勤務シフト見直しチェックリスト

14日ルール対応タイムライン:2025年から2027年施行までのPhase1〜3の対応スケジュール
図4:14日ルール対応タイムライン

2027年施行に向けて、以下のチェックリストで自社の対応状況を確認してください。

Phase 1:現状把握(2025年内に実施)

確認項目
現在の連続勤務日数の最大値を過去1年分のデータで確認した
就業規則における法定休日の規定を確認した(特定有無、曖昧な記載の有無)
4週4休の特例を採用している部門・職種を特定した
13日を超える連続勤務が発生している部門・時期を特定した
勤怠管理システムで連続勤務日数のアラート機能の有無を確認した

Phase 2:制度設計(2026年上半期に実施)

対応項目
法定休日を具体的な曜日または日付で特定する就業規則改訂案を作成した
連続勤務13日以内に収まるシフトパターンを設計した
繁忙期対応の人員配置計画を見直した(増員・外部委託等)
36協定の休日労働条項を14日ルール対応で見直した
勤怠管理システムに連続勤務日数チェック機能を追加した

Phase 3:運用開始(2026年下半期〜2027年施行前)

対応項目
改訂就業規則について労働者代表の意見聴取を完了した
労働基準監督署への届出を完了した
管理職向け研修(法改正内容・シフト作成ルール)を実施した
従業員への周知(説明会・文書配布等)を完了した
施行前の試行運用期間を設けて問題点を洗い出した

4. 業種別|シフト見直しの具体的アプローチ

4-1. 医療・介護業界

【現状の課題】

  • 慢性的な人手不足により、夜勤明けからそのまま日勤に入るケースがある
  • 当直・オンコール対応が休日にも発生し、実質的な連続勤務になりやすい
  • 患者・利用者の急変対応で予定外の出勤が発生しやすい

【対応策の例】

  • シフトパターンの標準化:「5勤2休」を基本とし、最長でも「6勤1休×2サイクル=12連勤」に抑制
  • オンコール対応のルール化:オンコール日を「勤務日」としてカウントするか否かを就業規則で明確化
  • 応援体制の構築:法人内他施設からの応援派遣ルールを整備

※上記シフトパターンはあくまで一例です。実際の設計にあたっては、変形労働時間制の有無や所定労働時間との整合も含め、社労士等専門家と協議の上で検討してください。

4-2. 運送・物流業界

【現状の課題】

  • 長距離運行で運転日数が連続しやすい
  • EC拡大・繁忙期(年末年始等)に配送量が集中
  • 2024年問題への対応で既に人員配置が厳しい状況

【対応策の例】

  • 運行計画の見直し:長距離運行は中継地点でのドライバー交代制を導入
  • 繁忙期対応:季節雇用・外部委託の活用を前提とした人員計画
  • デジタル化:配車システムに連続勤務日数チェック機能を実装

※運送業界は改善基準告示との整合も必要です。具体的な運用設計は専門家と協議してください。

4-3. 小売・飲食・ホテル業界

【現状の課題】

  • 年末年始、GW、お盆等の繁忙期に連続営業が発生
  • 店長・管理職が「穴埋め」で連続勤務になりやすい
  • パート・アルバイトの急な欠勤で正社員に負担が集中

【対応策の例】

  • 繁忙期シフトの事前計画:繁忙期でも13日以内に収まるシフト表を2か月前に確定
  • エリアマネージャー制度:複数店舗間での人員融通体制を構築
  • 代替要員プール:急な欠勤対応のための登録制スタッフ制度

5. よくある質問(FAQ)

Q1. いつから施行されますか?

A:現時点では未確定です。2025年1月公表の研究会報告書を踏まえ、2026年通常国会での法案審議を経て、早ければ2027年4月以降に施行される見通しと解説されることが多いものの、審議状況や附則の定め方によっては時期・内容が変わる可能性があります。

Q2. 36協定を締結していれば14日以上の連続勤務も可能ですか?

A:いいえ。研究会報告書では「36協定に休日労働の条項を設けた場合を含め、13日を超える連続勤務をさせてはならない」と提言されています。36協定による例外は認められない方向です。

Q3. 緊急時や災害対応でも14日ルールは適用されますか?

A:例外規定の詳細は今後の審議で決定されます。報告書では、業種特例や代替措置の設定も示唆されていますが、具体的な内容は未確定です。緊急時対応については、労基法33条(非常災害時の時間外・休日労働)との整合も検討されると見込まれます。

Q4. 「法定休日の特定」とは具体的にどうすればよいですか?

A:就業規則で法定休日を明確に定める必要があります。具体的な方法としては、以下の2パターンがあります。

  • 固定曜日方式:「毎週日曜日を法定休日とする」と就業規則に明記
  • シフト表方式:「シフト表において△印で示した日を法定休日とする」等と就業規則に規定し、シフト確定時に明示

シフト表方式の場合、労働者が十分な予見可能性を持てるタイミングで周知することが重要です。具体的には、勤務開始の原則2週間前まで、遅くとも1週間前までにはシフトを確定し、法定休日を明示して周知することが望ましいとされています。「週休2日のうち会社が定める日」といった曖昧な規定は改訂が必要になります。

Q5. 違反した場合の罰則はありますか?

A:罰則の有無・内容は今後の審議で決定されます。現行の休日規定違反(労基法35条)には「6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金」が定められており、同様の罰則が適用される可能性があります。

ただし、今回の改正は労働者の健康確保という重大な目的を持つものであり、違反に対する罰則が現行法より厳格化される可能性も否定できません。また、労災認定基準との関係から、長時間連続勤務による精神障害発症は企業の安全配慮義務違反(民事責任)を問われるリスクもあります。罰則の有無にかかわらず、リスク管理の観点から早期対応が重要です。

Q6. 労災認定基準の「2週間以上連続勤務」と「14日ルール」の関係は?

A:両者は根拠となる考え方は共通していますが、カウント方法が異なります。労災認定基準における「2週間以上の連続勤務」は、週休2日を前提として「おおむね12日程度の連続勤務」を想定した運用がなされています。一方、今回議論されている「14日ルール」は暦日ベースで「13日まで」に上限を設定する方向です。実務上は、改正内容の確定を待って正確に対応してください。

まとめ:法案成立前から「備え」を始める

今回の労働基準法改正は、約40年ぶりの大改正として、特にシフト制・交替制を採用する企業の労務管理に大きな影響を与える可能性があります。

法案はまだ成立していませんが、だからこそ「今から準備を始める」ことが重要です。現状把握、シフト設計の見直し検討、勤怠管理システムの点検など、改正の方向性を踏まえた準備を進めておくことで、施行後の混乱を最小限に抑えることができます。

💡 本質的な視点:法令遵守を超えて

今回の改正は、単なる規制強化ではなく、「労働時間等設定改善法」の精神に基づく労働者の健康確保と生産性向上の両立を目指すものです。14日ルールへの対応を、シフト設計や人員配置を見直す好機と捉え、持続可能な労働環境づくりに取り組むことが、中長期的な企業競争力の強化にもつながります。

📌 今後のアクション

  • 労働政策審議会の審議状況を定期的にウォッチ
  • 厚生労働省の公式発表(法案提出時、政省令公布時)を確認
  • 社労士・弁護士等の専門家と連携した対応体制を構築

参考資料(一次情報)

【免責事項】

本記事は2025年12月時点の公開情報に基づいて作成しています。法案は未成立であり、今後の審議過程で内容が変更される可能性があります。業種別の対応策はあくまで例示であり、変形労働時間制の有無や所定労働時間との整合など、個別事情に応じた検討が必要です。実際の対応にあたっては、最新の法令・通達を確認のうえ、社会保険労務士・弁護士等の専門家にご相談ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法律相談に代わるものではありません。

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