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📌 この記事のポイント

  • 厚労省研究会が労基法の抜本改正を提言。法案提出は先送りだが政策的な方向性は明確
  • 7論点を「現行ルール → 改正後の姿」のBefore/Afterで整理
  • 各論点に確度ラベル(A/B/C)+現場負荷+対応期限を付与
  • いつまでに・誰が・何をすればいいか」を実務ロードマップで提示

⚠ 法改正ステータス(2026年2月19日時点)

報告書 2025年1月公表済(PDF)── 7論点の方向性が提言として示された
法案提出 2026年通常国会への提出は先送り日経エフピオ等の複数報道)
施行見通し 未確定。成長戦略との調整中。ただし健康確保に直結する論点(インターバル・連続勤務)は制度化の優先度が高いとされている
💡 ただし「先送り=リスクなし」ではありません。安全配慮義務違反による損害賠償は高額化し得るほか、精神障害の労災支給決定件数は令和6年度(2024年度)に過去最多の1,055件に達しています(厚労省)。これらは現行法下で既に発生しているリスクです。以下の7論点は「法案が成立したらやること」ではなく「今から段階的に進めるべきこと」として読んでください。

1. 7論点の全体像──Before/After一覧表

研究会報告書が示した7論点を「今のルール→改正後どう変わるか」で整理しました。確度ラベル・現場負荷・対応の目安時期を含めて、この表だけで社内共有できるようにしています。

確度 論点 現行ルール(Before) 改正後の姿(After) 負荷 対応の目安
A 連続勤務の上限 4週4日(制度上は最大48日連続が可能) 13日超の連続勤務を禁止(2週に2日の休日) ★★★★ 今すぐ着手
(現行法リスクあり)
A 勤務間インターバル 努力義務(罰則なし) 原則11時間の休息確保を義務化 ★★★★★ 今すぐ着手
(現行法リスクあり)
B 法定休日の特定 特定は義務ではない 就業規則での事前特定を義務化 ★★ 今日できる
(コストゼロ)
B 有休賃金の統一 3方式から選択可 「通常の賃金」方式に原則一本化 ★★★ 法案確定後
(今は試算のみ)
B 副業の割増賃金 労働時間を通算して割増計算 時間通算は維持、割増賃金の通算は廃止方向 ★★★ 法案確定後
(今は規程確認)
C つながらない権利 規定なし 勤務時間外の連絡に関するガイドライン策定(法的義務ではない見込み) ★★ 余裕があれば
(社内ルール策定)
C 44時間特例の廃止 10人未満の商業等は週44時間OK 全事業場に週40時間を適用 ★★★ 法案確定後
(今はシミュレーション)
確度ラベルの基準  A = 報告書に条文レベルの具体的提言あり  B = 方向性は明確だが要件の詳細は審議待ち  C = ガイドライン等のソフトロー寄り、政治調整で大きく変わりうる

2. 【確度A】連続勤務の上限規制

❌ Before(現行法)

変形休日制=4週に4日の休日があればOK

休日をまとめ取りすると、制度上は最大48日間の連続勤務が発生し得る構造

⚠ 実際に16~18日連続が建設・運送・医療で発生している

✅ After(改正後の姿)

2週に2日の休日 = 連続勤務は最大13日

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
■=出勤 □=休日 → 最大13日が上限

✔ 労災認定基準「2週間以上の連続勤務」を自動回避

📎 提言の根拠:研究会報告書は、「2週間に2回の休日」を基本とすることにより「13日を超える連続勤務を原則禁止」と整理しています。

現場で何が壊れるか

シフト制・変形労働時間制を採用する企業の多くで、繁忙期に14日以上の連続勤務が「暗黙の前提」になっています。「13日まで」のルールが入ると、シフト表の根本的な作り直しが必要です。休日を挟むだけでなく、業務の引き継ぎフロー、応援体制、顧客対応まで再設計が求められます。

対応ステップ(期限つき)

ステップ やること 担当 期限の目安
① 把握 勤怠データから過去12か月の「14日以上連続勤務」を抽出。件数・部署・時期を一覧化 人事・労務 今月中
② 設計 「13日以内」を守るシフトルールを策定。繁忙期の応援体制・業務分担を見直す 現場管理者+人事 3か月以内
③ システム 勤怠システムに「連続勤務12日でアラート」を設定(13日超の前に止める) 情報システム+人事 3か月以内
④ 試験運用 最も影響が大きい1部署でパイロット運用を開始。問題点を洗い出して全社展開前に修正 対象部署+人事 6か月以内

3. 【確度A】勤務間インターバルの義務化

❌ Before(現行法)

勤務間インターバルは努力義務(罰則なし)

→ 23時終業 → 翌8時出勤(9時間)でも違法ではない

✅ After(改正後の姿)

終業→翌始業に原則11時間の休息を確保(義務化)

→ 23時終業 → 翌日の始業は10時以降

⏰ 11時間の中身を分解する

時刻 内容 所要時間 残り時間
22:00 終業 11時間
22:00–23:00 通勤(帰宅) 1時間 10時間
23:00–24:00 入浴・食事 1時間 9時間
24:00–6:00 睡眠 6時間 3時間
6:00–7:00 起床・身支度・家事 1時間 2時間
7:00–8:00 通勤(出勤) 1時間 1時間
8:00–9:00 自由時間(育児・家事・趣味・休息) 1時間 0時間

→ 11時間でも自由時間はわずか1時間。育児世帯には実質ゼロ。制度を「最低ライン」ではなく「自社の目標を12時間以上に設定」して設計することを推奨します。

現場で何が壊れるか

「昨夜23時まで残業→翌朝8時出勤」のような9時間インターバルは、IT・広告・医療では日常です。11時間ルールが入ると、23時終業なら翌日の始業は10時以降。朝会の時間、シフトの組み方、チーム全体のワークフローが変わります。「残業を減らせばいい」ではなく、業務プロセスそのものの再設計が必要です。

また、宿直中の仮眠時間や在宅勤務の「中抜け」を11時間にカウントするかは未確定。IT企業の障害対応や医療の緊急呼び出しにおける例外規定の範囲も審議中です。報告書は代替措置(翌日の勤務短縮等)を示唆していますが、詳細は今後固まります。

🔲 まだ決まっていない論点(今後の審議で確定)

インターバルの起算点 実際の終業時刻 or みなし終業か。在宅勤務の中抜け、宿直の仮眠、オンコール待機の扱い
例外時の代替措置 翌日の始業繰下げ、勤務短縮、代休付与、健康管理措置のいずれが認められるか
段階施行・経過措置 業種別・企業規模別の段階施行、中小企業への猶予期間の有無
罰則の有無・水準 義務化後の罰則規定(刑事罰 or 行政指導のみ)は今後の審議で決定

※上記が確定次第、本記事を更新します。

対応ステップ(期限つき)

ステップ やること 担当 期限の目安
① 実態把握 勤怠データから「終業→翌始業が11時間未満」のケースを抽出。月間件数・集中部署を特定 人事・労務 今月中
② 規程整備 就業規則にインターバル条項を追加(まずは努力義務ベースでOK)。36協定の特別条項との矛盾を確認 法務+人事 3か月以内
③ システム 勤怠システムに「11時間未満で警告」のアラートを設定。翌始業の自動繰り下げロジック検討 情報システム+人事 3か月以内
④ パイロット 違反件数が最多の1部署で試験運用開始。例外対応フロー(緊急呼出し時の翌日短縮勤務等)を策定 対象部署+人事 6か月以内

4. 【確度B】法定休日の特定/有休賃金の統一/副業の割増見直し

確度Bの3論点は「方向性は明確だが、具体的な要件は審議待ち」です。それぞれのBefore/Afterと、今やるべきこと・法案確定後にやるべきことを分けて整理します。

B 法定休日の事前特定

Before 法定休日の特定は義務ではない → 休日出勤時に「法定35% or 法定外25%?」で揉める
After 就業規則等での事前特定を義務化 → 割増賃金の計算が明確に
今やること 就業規則に1行追記する。コストゼロ・リスクゼロ。今日できます。
記載例:「法定休日は毎週○曜日とする(業務の都合により振替を命ずることがある)。」
※企業ごとに曜日・振替の書きぶりは異なります。あくまで一例です。

B 有休賃金の算定方式統一

Before 「通常の賃金」「平均賃金」「標準報酬日額」の3方式から選択可
After 「通常の賃金」方式に原則一本化 → 日給制・時給制で「有休取ると手取りが減る」問題が解消
今やること 自社の現行方式を確認。平均賃金方式の場合、通常賃金方式に切替えた場合の人件費増加額を試算しておく

B 副業・兼業の割増賃金見直し

Before 副業先の労働時間を通算して割増賃金を算定 → 計算が煩雑で副業を許可できない企業多数
After 時間通算は維持(健康確保のため)、割増賃金の通算は廃止方向 → 副業許可のハードルが下がる
今やること 副業規程の有無と内容を確認。「副業解禁時に自社がどうルール設計するか」のたたき台を準備

5. 【確度C】つながらない権利/44時間特例の廃止

確度Cの2論点は、政治調整で内容が大きく変わりうるため、現時点で本格対応する必要はありません。ただし「余裕があれば先にやっておくと楽になる」ポイントを整理します。

C つながらない権利

Before:規定なし

After:ガイドライン策定(法的義務にはならない見込み)

余裕があれば:Slack/Teams等の送信可能時間帯ルール、緊急連絡経路の明確化を策定

C 44時間特例の廃止

Before:10人未満の商業・サービス業等は週44時間OK

After:全事業場に週40時間を適用

余裕があれば:該当事業場で、週40時間に切替えた場合のシフト・人件費シミュレーションを実施

6. 対応ロードマップ──誰が・何を・いつまでに

7論点の対応を「今すぐ」「3か月以内」「6か月以内」「法案確定後」の4フェーズに整理しました。法案の成否にかかわらず、フェーズ1~3は現行法の範囲で実行可能です。

フェーズ 対応項目 担当 関連論点
🔴
今すぐ
(今月中)
就業規則に法定休日(○曜日)を明記 法務・人事 休日特定
14日以上連続勤務の実態を勤怠データから抽出 人事・労務 連続勤務
11時間未満インターバルの件数・該当部署を特定 人事・労務 インターバル
有休賃金の現行算定方式を確認 人事 有休賃金
🟡
3か月以内
「13日以内」のシフトルール策定・応援体制の見直し 現場管理者+人事 連続勤務
就業規則にインターバル条項(努力義務ベース)を追加 法務+人事 インターバル
勤怠システムにアラート設定(連続12日・インターバル11h未満) 情シス+人事 両方
36協定の特別条項とインターバル確保の矛盾チェック 法務 インターバル
🟢
6か月以内
最も影響が大きい1部署でパイロット運用を開始 対象部署+人事 連続勤務
インターバル
副業・兼業規程の整備状況を確認・たたき台作成 法務+人事 副業割増
勤務時間外の連絡ルール(送信可能時間帯等)策定 人事+情シス つながらない権利
🔵
法案確定後
有休賃金方式の切替え+人件費増加の予算計上 人事+経理 有休賃金
44時間特例廃止への対応(該当事業場のシフト再編) 現場管理者+人事 44時間特例
パイロット結果を踏まえた全社展開+規程の最終改定 法務+人事+全部署 全論点

7. 業種別インパクト早見表

業種 最も影響が大きい論点 具体的に何が起きるか 最優先の対応
建設業 連続勤務・インターバル 工期設計に直接影響。人員配置の前倒しが不可避 工期と連続勤務のシミュレーション
運送業 インターバル・連続勤務 長距離ドライバーのシフト再設計。中継拠点の整備が焦点 11h未満インターバルの実態把握
医療・介護 インターバル・連続勤務・法定休日 夜勤交替制で11時間確保は極めて困難。例外規定の設計が死活問題 夜勤シフトの違反実態を可視化
IT・広告 インターバル・つながらない権利 深夜障害対応・リリース作業の恒常化を見直す必要 オンコール体制の設計
小売・飲食 連続勤務・44時間特例廃止 繁忙期シフトの作り直し。10人未満店舗は人件費増の直撃 繁忙期の連続勤務件数を確認

8. FAQ──社内説明用

Q. 施行時期はいつ?

2026年2月現在、未確定です。「いつ施行されるか」に振り回されるより、「現行法下でも対応すべきこと(フェーズ1~3)」と「法案確定後に対応すること(フェーズ4)」を分けて進めるのが合理的です。

Q. 報告書の内容がそのまま法律になる?

そのままではありません。労政審での労使間の議論と成長戦略との調整を経て修正されます。ただし、連続勤務の上限やインターバルの義務化など「健康確保」に直結する論点は、制度化の優先度が高いとされており、方向性自体が白紙に戻る可能性は現時点では低いと考えられています。

Q. 法案が先送りでも対応は必要?

はい。安全配慮義務(労働契約法5条)は現行法で既に課されています。連続勤務やインターバル未確保が原因で従業員の健康被害が生じた場合、法改正の有無にかかわらず損害賠償責任を問われ得ます。対応の理由を「法改正」ではなく「現行法下のリスク低減」とフレーミングすると、法案の成否に左右されない説得力が生まれます。

Q. IPO準備中の企業は特に注意が必要?

はい。上場審査では労務コンプライアンスが重点的に確認されます。報告書で改正の方向性が明示されている以上、先行的な制度整備は審査の円滑化に直結します。

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📖 参考資料

※本記事は2026年2月19日時点の情報に基づく一般的な情報提供であり、個別事案に対する法的助言(リーガルアドバイス)ではありません。研究会報告書の「提言・方向性」を整理したものであり、法案・条文は確定していません。施行時期・内容は今後の国会審議により変更される可能性があります。個別案件の判断については、弁護士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。