契約書の保存期間は何年?7年・10年の違いを税法・会社法・電帳法で整理

この記事の結論

契約書の保存期間は、すべて一律に「7年」または「10年」と決まっているわけではありません。 法人税法上、取引に関して作成・受領した契約書は原則として、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存します。青色申告書を提出した事業年度で青色繰越欠損金が生じた場合などは10年間です。

一方、会社法432条2項は「会計帳簿及びその事業に関する重要な資料」を会計帳簿の閉鎖の時から10年間保存することを求めていますが、すべての契約書を一律10年間保存すると規定しているわけではありません。

また、電子メール、電子契約サービス、クラウド等で電子的に授受した契約データは、電子帳簿保存法上、原則として電子データのまま保存する必要があります。実務では10年を社内の最低保存期間として設定する方法も合理的ですが、契約存続中、秘密保持・保証等の義務が残っている場合、知的財産・不動産等の権利証拠として必要な場合、紛争・調査・Legal Holdの対象となっている場合には、さらに長期間の保存が必要です。

契約書の保存期間|まず押さえる4つのポイント

「契約書 保存期間」を調べると、7年、10年、場合によっては15年など複数の数字が出てきます。これは、法人税法、会社法、電子帳簿保存法、個別業法がそれぞれ異なる対象・起算日・保存方法を定めているためです。

契約書保存の4原則

① 法人税法では原則7年。
法人が取引に関して作成・受領した契約書は帳簿書類の「書類」に含まれ、確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間保存します。 国税庁 No.5930「帳簿書類等の保存期間」では、保存対象となる書類の例として契約書が明示されています。

② 一定の欠損金年度等は10年。
青色申告書を提出した事業年度で青色繰越欠損金が生じた事業年度、または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度は10年間です。平成30年4月1日前に開始した対象事業年度については9年間となります。

③ 会社法の10年保存は「すべての契約書」ではない。
会社法432条2項の対象は「会計帳簿及びその事業に関する重要な資料」です。個々の契約書が「事業に関する重要な資料」に該当するかは、取引額、事業への影響、会計処理との関連、契約内容その他の重要性を踏まえて判断する必要があります。

④ 法定期間満了と廃棄可能時期を分けて考える。
自動更新、秘密保持、保証、補償、ライセンス、未払債権・債務、訴訟・行政調査等が残る場合には、法定最低期間を過ぎても保存を続ける必要があります。

契約書の保存期間 早見表

一般的な法人を前提に、契約書の保存期間を整理すると次のとおりです。「実務上の保存目安」は法律上の一律義務ではなく、文書管理上の選択肢です。

対象 主な法的根拠 法定保存期間 起算日 実務上の考え方
売買・業務委託・賃貸借等の取引契約書 法人税法等 原則7年 当該事業年度の確定申告書の提出期限の翌日 管理簡素化のため10年を最低期間とする設計も可能
一定の欠損金年度等の契約書・帳簿書類 法人税法等 10年 当該事業年度の確定申告書の提出期限の翌日 10年間を確実に確保
会社法432条2項の「事業に関する重要な資料」に該当する契約書 会社法432条2項 10年 会計帳簿の閉鎖の時 契約の重要性を個別判断
電子メール・クラウド・電子契約サービス等で授受した契約データ 電子帳簿保存法 各税法上の保存期間 各税法による 電子データのまま保存。紙出力のみでは代替不可
秘密保持契約(NDA) 法人税法等+契約上・証拠上の必要性 税務上は原則7年等 税法上の起算日 秘密保持義務存続中は原則廃棄しない
不動産・M&A・株主間契約・知的財産・融資担保契約 各法令+証拠・権利管理上の必要性 契約・文書ごとに異なる 法令・文書の性質による 10年超の長期保存を検討
「10年保存すれば全部クリア」とは限らない

10年保存は一般的な法人契約管理のベースラインとして使いやすい一方、個別業法では10年を超える保存期間が定められている文書もあり、また権利関係や契約上の義務が10年を超えて続くこともあります。したがって、「全契約書を10年保存すれば、すべての法律要件を満たす」と一般化するのは適切ではありません。

法人税法|契約書は原則7年、一定の場合は10年

法人税法上、契約書は保存対象となる「書類」

法人税法上、法人は帳簿を備え付けて取引を記録するとともに、その帳簿と、取引等に関して作成または受領した書類を保存しなければなりません。

国税庁 No.5930「帳簿書類等の保存期間」は、保存対象となる「書類」の例として、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などを挙げています。

したがって、「法人税法 契約書 保存」の基本は、取引に関して作成・受領した契約書について原則7年間という整理です。

保存期間は「契約締結日から7年」ではない

特に誤解が多いのが起算日です。法人税法上の帳簿書類の保存期間は、契約締結日から単純に7年間ではありません。

国税庁No.5930は、保存期間について「その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間」としています。

誤解しやすいポイント

例えば2026年4月1日に契約を締結したからといって、「2033年3月31日まで保存」と機械的に判断することはできません。その契約が属する事業年度と、その事業年度の確定申告書の提出期限を基準に計算します。

青色繰越欠損金が生じた事業年度等は10年

国税庁No.5930では、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度、または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度について、帳簿書類の保存期間を10年間としています。

平成30年4月1日前に開始した対象事業年度については9年間です。

このため、社内の契約管理システムを年度ごとに7年・10年へ細かく分けるより、管理上の余裕をみて「原則10年」を社内最低保存期間とする設計には一定の合理性があります。ただし、これは法人税法がすべての契約書に一律10年保存を要求しているという意味ではありません。

会社法|すべての契約書が10年保存ではない

会社法432条2項は、株式会社について次の保存義務を定めています。

株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。

条文はe-Gov法令検索「会社法」で確認できます。

重要なのは、保存対象が「会計帳簿及びその事業に関する重要な資料」であることです。条文は「すべての契約書」を列挙していません。したがって、会社法432条2項だけを根拠として「全契約書は会社法上10年保存」と断定するのは正確ではありません。

契約書が「その事業に関する重要な資料」に該当するかは、契約の内容、金額、事業上の重要性、会計処理との関連性、継続性、会社の財産・負債に与える影響等を踏まえて判断する必要があります。重要なM&A契約、融資・担保契約、大規模取引契約などは、該当性を慎重に検討すべきでしょう。

実務上の「10年統一」の位置づけ

契約書を一律10年保存する社内ルールは、法人税法上の10年保存対象への対応や、会社法上の重要資料該当性を契約ごとに細かく仕分けする負担を軽減するための文書管理上の選択肢として合理性があります。

ただし、文書管理規程では「法令上すべて10年間保存しなければならない」と書くのではなく、例えば「契約書の社内最低保存期間は原則10年とする。ただし、法令、契約、権利関係または紛争等により長期保存が必要な場合はこの限りでない」と設計する方が正確です。

保存期間の起算日|契約締結日から数えるわけではない

契約書の保管期間を管理するときは、年数だけでなく起算日を必ず確認する必要があります。法令ごとに起算日が異なるためです。

法令・制度 保存期間 主な起算日
法人税法上の帳簿書類 原則7年/一定の場合10年 その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日
会社法432条2項 10年 会計帳簿の閉鎖の時
電子取引データ 各税法上の期間 基礎となる各税法のルールによる
建設業法施行規則28条の帳簿・一定の添付書類 原則5年/住宅新築工事に係るものは10年 工事目的物の引渡し時または一定の場合には債権債務消滅時
建設業法施行規則26条5項の図書 10年 工事目的物の引渡し時
建築士法施行規則21条3項の帳簿 15年 帳簿を閉鎖した日の翌日
契約締結日だけを契約台帳の廃棄判定基準にしない

契約管理システムに「契約締結日+7年」「契約締結日+10年」と設定するだけでは、税法上の起算日と一致しないことがあります。保存満了日は、法令ごとの起算日を踏まえて設計してください。

法定保存期間と「廃棄してよい時期」は別問題

契約書管理で最も重要なのは、法定保存期間は「最低限いつまで保存する必要があるか」を示すものであり、「その日を過ぎれば必ず廃棄してよい」という意味ではないことです。

契約書を廃棄する前には、少なくとも次の事項を確認する必要があります。

  • 契約自体がまだ存続していないか
  • 自動更新契約で更新が継続していないか
  • 契約終了後も秘密保持義務が存続していないか
  • 保証・補償・損害担保その他の義務が残っていないか
  • 知的財産権、ライセンス、成果物・著作権等の権利帰属を証明する資料として必要でないか
  • 未払債権・未払債務や精算未了事項がないか
  • 損害賠償請求、訴訟、仲裁、行政調査、税務調査、内部調査等が存在しないか
  • 将来の紛争が合理的に予見され、Legal Hold/訴訟ホールドの対象となっていないか

Legal Hold/訴訟ホールドとは

Legal Holdとは、訴訟・紛争、行政調査、内部調査等が開始した場合、または合理的に予見される場合に、通常の文書廃棄ルールを停止し、関係資料を保全する実務上の措置をいいます。

例えば文書管理規程上の10年保存期間が満了していても、係争中の契約書や関連メール、変更履歴、交渉記録等を通常の自動削除処理にかけるべきではありません。Legal Hold対象文書は、通常の保存年限から切り離して管理する必要があります。

「保存満了日」と「廃棄可能日」を分ける

契約台帳では、法定・社内最低保存期間から算定した「最低保存満了日」と、権利義務・紛争・調査等の確認後に決定する「廃棄可能日」を分けて管理すると、誤廃棄を防ぎやすくなります。

10年を超えて保存する合理性が高い契約

法律上の最低保存期間とは別に、証拠・権利管理・事業継続の観点から、長期保存の合理性が高い契約があります。

契約類型 長期保存を検討すべき主な理由 実務上の考え方
不動産売買・賃貸借・地役権等 所有権、利用権、境界、取得経緯等の証拠となる 権利関係が存続する限り長期保存を検討
M&A・事業譲渡 表明保証、補償、価格調整、承継関係等の証拠 関連会社・資産・債務が存続する期間も考慮
株主間契約 議決権、譲渡制限、Exit、会社支配関係等の根拠 契約・株主関係の存続中は原則保存
知的財産・ライセンス・共同開発 権利帰属、利用範囲、成果物、第三者利用等の証拠 権利存続期間や利用継続期間に合わせる
融資・担保・保証契約 返済、担保権、保証債務、解除条件等の証拠 債権債務・担保関係が完全に解消するまで保存
長期秘密保持契約 秘密情報の範囲・利用制限を証明する必要 秘密保持義務終了後も紛争可能性を考慮

これらの契約では、「契約書 10年」という数字だけを基準に廃棄すると、将来、権利の取得経緯や契約条件を証明できなくなる可能性があります。保存義務が明示されていない文書であっても、契約上・証拠上・事業上の必要性が残っている限り保存を続けるべき場合があります。

電子帳簿保存法と電子契約の保存

電子メール・クラウド・電子契約サービスで授受した契約データ

電子メール添付PDF、クラウドサービス、Webサービス、電子契約サービス等を通じて電子的に授受した契約書データは、取引情報を含む場合、電子帳簿保存法上の電子取引データとして保存対象となります。

2026年9月16日時点では、国税庁の 「電子帳簿保存法一問一答(Q&A)」 に令和8年7月版の「電子取引関係」Q&Aが掲載されています。

紙に印刷しただけでは足りない

電子取引として授受した契約データについては、紙に印刷したものだけを残して電子データを削除する方法では足りません。閲覧・社内処理用として紙を併存させることは可能ですが、電子データそのものを保存する必要があります。

電子取引データの保存期間

電子帳簿保存法が電子契約について独自に「一律7年」や「一律10年」と定めているわけではありません。電子取引データについても、基礎となる法人税法等で定められた保存期間に従います。

したがって、法人の取引契約書であれば、原則7年、一定の欠損金年度等については10年という法人税法上の保存期間が基本になります。

電子取引データの保存要件

電子取引データの保存では、真実性・可視性を確保するための要件を満たす必要があります。具体的な要件や緩和措置は、最新の国税庁Q&Aで確認してください。

必要に応じてシステム関係書類を備え付ける
ディスプレイ・プリンタ等により速やかに確認・出力できる状態を確保する
法令上必要な検索機能を確保する
タイムスタンプ、訂正削除履歴が残るシステム、訂正削除防止の事務処理規程等、所定の方法で真実性を確保する

検索要件については、基準期間の売上高や税務職員からのダウンロードの求めへの対応等による緩和措置があります。したがって、「必ず専用の高価な電子契約システムが必要」とまではいえません。

令和7年度税制改正の影響

令和7年度税制改正では、電子取引データに関する制度について見直しが行われています。国税庁は、一定の電子取引データについて重加算税の加重措置の不適用に関する制度等を案内しています。

ただし、これらの改正は、一般的な法人契約書についての「原則7年、一定の場合10年」という基本的な保存期間そのものを「一律別の年数」に変更するものではありません。

電子契約サービス利用時の実務注意

電子契約サービス内にデータが残っているだけで十分とは限りません。法定保存期間中、検索・表示・出力等の要件を満たした状態を維持できるか、契約終了・サービス乗換え時にデータをエクスポートできるかも確認してください。

建設業法・建築士法など個別業法の注意点

建設業法施行規則|「すべての建設工事契約書が10年」ではない

建設業では、法人税法上の契約書保存とは別に、建設業法40条の3および建設業法施行規則26条・28条による帳簿・図書等の保存義務があります。

建設業法施行規則28条1項では、法40条の3の帳簿および規則26条2項により添付された書類について、請け負った建設工事ごとに、原則として工事目的物の引渡し時から5年間保存するとしています。

ただし、当該建設工事について注文者との請負契約に基づく債権債務が消滅した場合には、その債権債務が消滅した時が基準となります。また、発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものについては10年間です。

また、規則26条5項に規定する一定の図書については、規則28条2項により工事目的物の引渡し時から10年間保存します。

条文番号の混同に注意

「建設業法施行規則26条が一律10年保存を定めている」と整理するのは正確ではありません。規則26条は帳簿の記載事項・添付書類・保存対象図書等を定め、保存期間自体は規則28条が定めています。

建築士法|一定の帳簿は15年

建築士事務所については、建築士法24条の4および 建築士法施行規則21条 に保存義務があります。

建築士法施行規則21条3項では、建築士事務所の開設者が、法24条の4第1項に規定する帳簿を各事業年度の末日をもって閉鎖し、その閉鎖をした日の翌日から起算して15年間保存しなければならないと定めています。

したがって、建築関係文書については「契約書は10年保存」という一般的な社内基準だけでは足りない可能性があります。個別業法が対象としている文書類型と保存期間を別途確認してください。

保存不備・早期廃棄のリスク

契約書や電子取引データの保存不備があった場合、問題は単に「保存義務違反」という形式面だけではありません。実務上は、取引条件、債務の履行、費用計上、権利帰属等を立証できなくなることがより大きなリスクとなります。

リスク 典型例
税務調査上の説明困難 取引実態・費用・支払条件を裏付ける契約書や電子データを提示できない
民事紛争での立証困難 責任制限、保証、解除条件、損害賠償範囲等を証明できない
権利帰属の証明困難 著作権、特許、成果物、ライセンス、M&Aによる権利承継等の根拠が失われる
証拠保全上の問題 紛争・行政調査等を認識した後も通常の自動廃棄を継続してしまう
電子帳簿保存法対応不備 電子契約データを紙だけ残して原データを削除する、検索・表示できない

文書管理規程の設計ポイント

契約書管理では、「保存年限表に10年と書く」だけでは不十分です。実務上は、①最低保存期間と②廃棄停止・保存延長条件を分けて規定することが重要です。

1.最低保存期間を設定する

一般契約については、例えば「原則10年」という社内最低期間を採用しつつ、個別法によりそれを超える保存期間がある場合には長い期間を適用する方式が考えられます。

2.保存期間の起算日を文書類型ごとに定める

「契約締結日から10年」とだけ定めるのではなく、税務上の保存、会社法上の重要資料、個別業法文書等について、それぞれの起算基準を整理します。

3.廃棄停止・保存延長条件を明記する

契約が有効に存続している
自動更新契約が継続している
秘密保持、保証、補償等の義務が残存している
知的財産・不動産・株主関係等の権利証拠として必要である
債権・債務の精算が完了していない
訴訟、仲裁、行政・税務調査、内部調査等の対象となっている
Legal Holdが発令されている
法務・経理・主管部門が保存延長を必要と判断した

4.廃棄を自動実行しない

保存期間満了をシステム上の通知トリガーとし、実際の廃棄前に法務・経理・主管部門等が確認する運用が有効です。特にLegal Hold対象の文書は、自動削除ルールから除外できる仕組みにしておく必要があります。

文書管理規程の基本構造

「最低保存期間」+「保存延長条件」+「廃棄停止条件」+「廃棄承認フロー」の4層で設計すると、法令上の最低期間と証拠・事業上の保存必要性を分けて管理できます。

FAQ

Q1.結局、契約書の保存期間は7年と10年のどちらですか?
法人税法上、取引に関して作成・受領した契約書は原則7年です。一定の欠損金年度等は10年です。会社法432条2項の「事業に関する重要な資料」に該当する契約書は、会計帳簿の閉鎖の時から10年間の保存対象となります。したがって、法律上すべての契約書が一律10年というわけではありません。管理上、社内最低期間を10年に統一することは可能です。
Q2.契約書の7年保存は契約締結日から7年ですか?
いいえ。法人税法上の帳簿書類については、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間です。契約締結日を単純な起算日にしないよう注意してください。
Q3.会社法では契約書を必ず10年間保存する必要がありますか?
会社法432条2項は「会計帳簿及びその事業に関する重要な資料」を10年間保存する規定です。契約書が重要資料に該当する場合は対象になりますが、すべての契約書を一律に10年間保存すると定めているわけではありません。契約内容・金額・事業上の重要性等を踏まえて判断します。
Q4.電子メールで受け取った契約書を印刷して保存すれば足りますか?
電子取引に該当する契約データについては、紙に印刷したものだけを残して電子データを削除する方法では足りません。電子帳簿保存法の要件に従って電子データを保存する必要があります。電子データを適切に保存した上で、社内閲覧用として紙を併存させることは可能です。
Q5.電子契約の保存期間は何年ですか?
電子帳簿保存法が電子契約について独自の一律年数を設けているわけではなく、法人税法等、基礎となる各税法上の保存期間によります。法人の契約書であれば原則7年、一定の欠損金年度等は10年となります。
Q6.法定保存期間が終われば契約書を廃棄できますか?
法定保存期間の満了だけで廃棄を決めるべきではありません。契約が継続中、自動更新中、秘密保持・保証・補償義務が残存している、未払債権・債務がある、権利帰属の証拠として必要、訴訟・行政調査・税務調査・内部調査等がある場合は保存を継続します。
Q7.「全契約書10年保存」という社内ルールにしてもよいですか?
管理上の最低保存期間として10年を設定すること自体は合理的な選択肢です。ただし、個別法で10年を超える保存期間が定められている文書や、契約・権利・紛争上の理由で長期保存が必要な文書があります。「10年経過後は自動廃棄」とせず、保存延長・廃棄停止条件を併設してください。
Q8.建設工事関係の書類は全部10年保存ですか?
いいえ。建設業法施行規則28条では、帳簿・一定の添付書類は原則5年、発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものは10年です。一方、規則26条5項の一定の図書は引渡し時から10年です。対象文書ごとに区別する必要があります。
Q9.建築士事務所の帳簿は10年保存ですか?
いいえ。建築士法施行規則21条3項の帳簿については、各事業年度末に閉鎖し、その閉鎖日の翌日から起算して15年間保存する必要があります。

まとめ|「7年か10年か」ではなく、最低期間と廃棄条件を分ける

契約書の保存期間を正しく管理するためには、「法人税法では7年、会社法では10年」と単純に覚えるだけでは不十分です。

法人税法上、契約書は原則7年間保存する
一定の青色繰越欠損金年度等では10年間となる
税務上の起算日は契約締結日ではなく、確定申告書の提出期限の翌日である
会社法432条2項はすべての契約書ではなく、「会計帳簿及びその事業に関する重要な資料」を対象とする
10年統一は法令上の一律義務ではなく、社内管理上の選択肢として位置づける
電子取引で授受した契約データは電子データのまま保存する
個別業法では10年を超える保存期間が存在するため対象文書を確認する
法定期間満了と廃棄可能時期を区別する
契約存続、権利義務、未払債権債務、紛争・調査、Legal Hold等がある場合は保存を延長する

文書管理規程では、「最低保存期間」だけでなく「保存延長条件」「廃棄停止条件」「廃棄承認フロー」まで定めることが、契約書管理を安定させるポイントです。

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