法務部では日々、「この契約、どんな社内手続きが必要ですか?」「役員の変更、どの書類を出すべきでしたっけ?」といった社内からの問い合わせに対応しています。とくに組織があまり細分化されていない中小企業や新興企業では、決裁ルートや稟議書式が明確でないケースも多く、法務部が一次窓口になることも珍しくありません。
そんな中で私が活用しているのが、ChatGPTの「プロジェクト機能」です。
🔧 プロジェクトに「社内規程」や「審査表」を事前登録
ChatGPTのプロジェクト機能では、特定のやり取りに紐づいた資料を継続して保持できるため、私は以下のようなファイルをあらかじめアップロードしています:
- 社内の決裁規程
- 稟議・申請書類の審査フロー
- 株主総会や取締役会の招集基準をまとめた表
- 関連する会社法の社内向け整理資料
これらを一度登録しておくことで、「この取引にはどんな社内手続きが必要か?」という問い合わせに対して、ChatGPTに会話ベースで確認できます。
🧠 たとえば…
「○○部と△△部の共同プロジェクトで、500万円の外注契約を締結する場合、社内的にどの稟議ルートが必要ですか?」
→ ChatGPTが審査基準表と決裁規程をもとに、必要なフローを即時に提示してくれます。
⚖️ 会社法との突合にも活用
社内手続きと並行して、会社法上の法的手続きもChatGPTに確認しています。
たとえば、
- 「この種類の取締役変更、登記が必要?」
- 「自己株式の取得、株主総会は必要?」
といった確認も、生成AIの検索機能と組み合わせれば数秒で概略把握できます。
もちろん最終的には一次情報や法律の原文で確認しますが、ChatGPTを「法的な初動確認パートナー」として活用することで、手続漏れの防止や判断スピードの向上につながっています。
✅ 活用のポイントまとめ
活用場面 | ChatGPTでできること |
---|---|
社内手続きの確認 | 決裁基準や稟議フローの自動照会 |
規程と実務の整合チェック | 規程文書をもとに判断を支援 |
法令上の必要手続きの初動確認 | 会社法に関する検索機能を活用 |
手続き漏れ防止 | チェックリスト的に補助役として機能 |
📌 注意点:最終判断は人間が行う
AIは便利なサポート役ではありますが、最終的な判断責任はあくまで人間側にあります。ChatGPTの出力はあくまで参考情報として活用し、必ず一次情報や上司・弁護士の確認を経る運用をおすすめします。
プロジェクト機能をうまく使えば、法務部が「社内の案内所」のような役割を果たしつつ、業務効率と正確性の両立を図ることができます。これからの法務部の働き方に、生成AIはますます欠かせない存在になるはずです。