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LegalOSシリーズ活用ガイド > 第10話

LegalOS マスキングとは|契約書をAIに入れる前に伏せるべき情報を整理する

ChatGPT等の生成AIで契約書のレビューや要約を行いたい、というニーズは法務実務でも確実に増えています。一方で、契約書には個人名、取引先名、契約金額、営業秘密、NDA対象情報など、そのままAIへ入力してよいか慎重に判断すべき情報が数多く含まれます。本記事では、契約書をAIに入れる前の「前処理」を担うツールとして、LegalOS マスキングの役割と使いどころを、実務目線で整理します。
LegalOS マスキング|AI入力前処理ツール

契約書や社内資料をChatGPT等に入力する前には、個人名・取引先名・金額・営業秘密などをどう扱うかを必ず確認する必要があります。AI入力前の前処理を整えたい場合は、LegalOS マスキングをご確認ください。

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📋 この記事の内容

  1. まず結論:LegalOS マスキングは「AI入力前処理」のためのツール
  2. AI入力前に確認すべき情報マップ
  3. 契約書をそのままAIに入れる前に考えるべきこと
  4. LegalOS マスキングで伏せる対象になりやすい情報
  5. 契約書でマスキング対象になりやすい情報一覧
  6. 契約書をAIに入れる前の安全確認フロー
  7. 手作業マスキングの限界
  8. 手作業マスキングとLegalOS マスキングの違い
  9. LegalOS マスキングと契約書AIレビュー専用プロンプト集の関係
  10. LegalOS マスキングと法務AIプロンプト100選の関係
  11. LegalOS マスキングとLegalOS本体・Inboxの関係
  12. マスキングしても慎重に扱うべき情報
  13. AI入力前処理の社内ルールを作るポイント
  14. LegalOS マスキングが向いている会社・向いていない会社
  15. 注意点:マスキングは情報漏えいリスクをゼロにしない
  16. まとめ
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1. まず結論:LegalOS マスキングは「AI入力前処理」のためのツール

結論からお伝えします。LegalOS マスキングは、契約書や社内資料をChatGPT等の生成AIに入力する前に、個人名・会社名・取引先名・契約金額・メールアドレス・営業秘密などを伏せるための前処理ツールです。AIに賢く指示するためのプロンプトとは役割が異なり、AIへ渡す文書そのものを整える段階を担います。

実務上は、次のような順番でAI活用を組み立てるのが基本になります。

  1. そもそもAIに入力してよい文書かを確認する
  2. 個人情報・会社名・契約金額・営業秘密などを伏せる対象として整理する
  3. LegalOS マスキングで前処理する
  4. マスキング後の文書を人間が目視確認する
  5. 契約書AIレビュー専用プロンプト集等を使ってAIに指示する
  6. AIの出力を法務担当者がレビューして採否を判断する

ここで重要なのは、マスキングをすれば何でも安全にAIへ入力できるわけではないという点です。LegalOS マスキングは前処理を整えるためのツールであり、入力可否の最終判断は、社内AI利用ルール・AIサービス利用規約・契約上の守秘義務・個人情報保護法・営業秘密管理の観点から、人間が行う必要があります

2. 図解:AI入力前に確認すべき情報マップ

契約書をAIに渡す前に、どのような情報が含まれているかを一度棚卸ししておくと、伏せ漏れを減らしやすくなります。次の図は、契約書に含まれやすく、AI入力前に確認すべき情報の代表例をまとめたものです。

図解1:AI入力前に確認すべき情報マップ
契約書に含まれやすく、入力前に取扱いを確認すべき代表的な情報
個人情報
氏名・役職・所属など、特定個人を識別できる情報。 例:山田太郎 → 担当者A
会社名・取引先名
相手方や関係会社、子会社、グループ会社名。 例:株式会社○○ → 甲社/X社
契約金額
契約金額、単価、レート、報酬総額、上限額。 例:3,000万円 → ◯◯円
メール・住所・電話
連絡先一式。文脈から個人や法人が特定できる場合あり。 例:mail@example.com → ◯◯
銀行口座
振込先口座、口座名義、支店名。 例:◯◯銀行△△支店 → ◯◯
営業秘密
ノウハウ、原価情報、技術情報、顧客戦略。 例:原価率◯% → ◯◯
NDA対象情報
秘密保持契約の対象として開示を受けた情報。 例:対象スキーム → ◯◯
未公表案件情報
M&A、組織再編、新規事業など未公表の案件名。 例:プロジェクトX → 案件A
補足:ここに挙げた情報は「マスキング対象になりやすい」例です。実際に伏せるかどうかは、文書の種類、AIサービスの利用条件、社内AI利用ルール、契約上の守秘義務などに照らして、案件ごとに判断する必要があります。

3. 契約書をそのままAIに入れる前に考えるべきこと

マスキングの話に入る前に、そもそも「この契約書をAIに入れてよいのか」という入力可否の検討が必要です。マスキングは、入力可と判断した文書を「より安全に近づけるための前処理」であって、入力可否そのものを判断するものではありません。

実務上、AI入力前に確認しておきたい主な観点は次のとおりです。

  • AIサービスの利用規約:入力データが学習に利用されるか、保存されるか、再利用されるか
  • 社内AI利用ルール:そもそも当該AIサービスの業務利用が許可されているか、入力禁止情報が定義されているか
  • 含まれる情報の性質:個人情報、要配慮個人情報、営業秘密、NDA対象情報の有無
  • 取引先情報:取引先名、顧客名、契約金額、価格条件
  • 高リスク情報:未公表案件、M&A情報、紛争・訴訟資料、内部通報情報
  • AI出力の利用範囲:社内検討用か、社外提示用か、契約相手方への提示があるか
  • 記録:入力内容・出力内容・指示プロンプトの記録を残すか

これらを踏まえたうえで、入力可と判断した文書について、伏せるべき情報を整理する段階でLegalOS マスキングが役に立ちます。

4. LegalOS マスキングで伏せる対象になりやすい情報

LegalOS マスキングは、契約書や社内資料の中から、AI入力前に伏せる候補となる情報を整理しやすくするツールです。代表的に伏せる対象になりやすい情報は次のとおりです。

  • 個人名(自社・相手方・第三者を含む)
  • 会社名・取引先名・グループ会社名
  • 住所・本店所在地・事業所所在地
  • メールアドレス・電話番号・FAX番号
  • 銀行口座(金融機関名・支店名・口座番号・名義)
  • 契約金額・単価・レート・報酬額・上限額
  • 案件名・物件名・プロジェクト名
  • 社内担当者名・部門名
  • 顧客名・エンドユーザー名
  • 価格条件・割引率・支払条件
  • 識別番号(契約番号、物件番号、社員番号など)
  • その他、契約固有の取引条件で特定につながる情報

契約書AIレビュー専用プロンプト集と組み合わせて使う場合でも、まずこの段階で伏せる候補を整理しておくことで、AIに渡す文書の見通しがよくなります。

関連ツール|AI入力前処理

契約書や相談資料に含まれる個人名・会社名・取引先名・金額・メールアドレスなどをAI入力前に伏せたい場合は、LegalOS マスキングをご確認ください。手作業マスキングの漏れやブレを減らし、AIレビュー前の文書整備に活用できます。

LegalOS マスキングの詳細

5. 契約書でマスキング対象になりやすい情報一覧

契約書を実際にマスキングする際の参考として、対象になりやすい情報を一覧にまとめます。実務では、契約類型や案件の機密度に応じて取捨選択してください。

情報の種類 具体例 マスキング例 注意点
個人名 担当者名、署名欄、代表者名 担当者A、代表者B 役職と組み合わせると特定可能になることがある
会社名 自社名、相手方社名 甲社・乙社 業界・所在地などで特定される場合あり
取引先名 顧客名、サプライヤー名 X社・Y社 固有プロジェクト名と併記されると特定される
契約金額 請負代金、月額報酬、上限額 ◯◯円、月額◯◯円 桁数・通貨単位は残すか統一して整理する
住所 本店所在地、事業所所在地 東京都◯区 都道府県・市区程度の粒度に粗くする運用もある
メールアドレス 担当者連絡先、通知先 mail@example.com ドメイン名から会社が特定されることがある
電話番号 代表番号、担当者直通 ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯ 市外局番から所在地が推測される
銀行口座 振込先、エスクロー口座 ◯◯銀行◯◯支店 振込実務に必要な情報のみ別管理する
案件名・プロジェクト名 コードネーム、内部呼称 案件A、プロジェクトP 未公表案件は特に慎重に扱う
営業秘密 原価率、ノウハウ、技術情報 ◯◯ そもそもAI入力可否から検討する
NDA対象情報 開示資料、提案資料 ◯◯ NDAの取扱条項を必ず確認する
顧客情報 エンドユーザー、ライセンス先 顧客A、ユーザーB 個人情報が混在する場合は二重に注意

6. 図解:契約書をAIに入れる前の安全確認フロー

マスキングを単独のテクニックとして見るのではなく、入力可否確認から人間レビューまでの「流れ」の中で位置づけると、抜け漏れが起きにくくなります。次のフローは、契約書をAIに渡す典型的な前処理の流れです。

図解2:契約書をAIに入れる前の安全確認フロー
入力可否確認 → マスキング → AIレビュー指示 → 人間レビューの流れ
1
入力可否確認
そもそも当該契約書・資料をAIに入力してよい性質のものかを確認します。
人間:可否判断
2
社内AI利用ルール確認
利用可能なAIサービス、入力禁止情報、承認手続きが社内ルール上どうなっているかを確認します。
人間:ルール照合
3
AIサービス利用規約確認
入力データの取扱い(学習利用、保存、再利用等)、データ所在地、解約後の取扱いを確認します。
人間:規約確認
4
マスキング対象の洗い出し
個人名、会社名、契約金額、取引先名、メールアドレスなど、伏せる候補を整理します。
ツール:候補抽出 人間:要否判断
5
LegalOS マスキングで前処理
伏せる対象を一定のルールに沿って置換し、文書を整えます。
ツール:前処理
6
マスキング後文書の確認
伏せ漏れ、別紙・ヘッダー・フッターへの残存、文脈からの特定可能性を目視で確認します。
人間:目視確認
7
プロンプト集でAIに指示
契約書AIレビュー専用プロンプト集等を使って、要約・リスク抽出・修正案などの指示を行います。
ツール:AI指示
8
法務担当者がレビュー
AI出力の正確性、法的妥当性、案件文脈との整合性を法務担当者が確認し、最終判断を行います。
人間:最終判断

7. 手作業マスキングの限界

マスキング自体は、Wordの置換機能や塗りつぶしで対応している会社も多いと思います。しかし手作業には次のような限界があります。

  • 伏せ漏れが起きやすい:人名や会社名は表記揺れが多く、検索一発では拾いきれない
  • 担当者ごとに伏せ方が違う:「甲社」「A社」「◯◯社」「(社名)」など、ルールが揃わない
  • 金額・口座番号の見落とし:別紙、添付ファイル、別契約に紛れていることがある
  • 作業時間が読みにくい:契約書が長くなるほど作業時間が伸び、急ぎのレビューに対応しづらい
  • コメント・ヘッダー・フッターに残る:本文を直しても、メタ情報が残ってしまう
  • 確認作業の負荷が高い:マスキング後の二重チェックを誰が行うかが曖昧になりやすい

この負担を全面的に解消するわけではありませんが、ツールを使った前処理を入れることで、ルールの揃え方や作業のばらつきを減らしやすくなります。

8. 図解:手作業マスキングとLegalOS マスキングの違い

手作業マスキングと、LegalOS マスキングを使ったマスキングの違いを、実務的な観点で並べてみます。「どちらが優れているか」ではなく、どこにツールを介入させると効率と品質が両立しやすいかという視点で見てください。

図解3:手作業マスキングとLegalOS マスキングの違い
作業負荷・再現性・確認負荷の観点で比較
手作業マスキング
  • 担当者の判断に依存しやすい
  • 表記揺れにより伏せ漏れが起きやすい
  • 作業時間が契約書の長さに比例して伸びやすい
  • 伏せ方(甲社/A社/(社名))にばらつき
  • 確認作業の負荷が高い
  • ヘッダー・フッター・コメント欄の見落とし
LegalOS マスキング
  • 一定のルールに沿った前処理がしやすい
  • 伏せる候補をまとめて整理しやすい
  • 作業時間のばらつきを抑えやすい
  • AIレビュー前提の前処理用途に向く
  • 契約書AIレビュー専用プロンプト集と接続しやすい
  • 最終確認は人間が行うことが前提
大事な前提:LegalOS マスキングを使っても、マスキングの完全性や情報漏えいリスクのゼロ化は保証されません。必ず人間による最終確認を組み合わせ、入力可否判断と社内AI利用ルールに照らして運用してください。

9. LegalOS マスキングと契約書AIレビュー専用プロンプト集の関係

契約書をAIでレビューするとき、よく混同されるのが「マスキング」と「プロンプト」の役割です。両者は別物で、順番に使うものです。

  • LegalOS マスキング:AIに渡す前の「文書」を整える
  • 契約書AIレビュー専用プロンプト集:AIに対する「指示」を整える

つまり、先にLegalOS マスキングで契約書を整え、そのうえで契約書AIレビュー専用プロンプト集を使ってAIにレビュー指示を出す、という順序が実務上は使いやすくなります。プロンプト集は要約、リスク抽出、修正案、コメント案、再レビューなど、契約レビューに特化した指示テンプレートを揃えるためのものです。

ただし、プロンプト集を使えば契約審査が完成するわけではありません。AIが出力したリスク抽出や修正案は、必ず法務担当者が確認し、案件文脈・取引相手との関係・社内方針に照らして採否を判断する必要があります。

関連ツール|AIレビュー指示テンプレート

マスキング済み契約書をAIでレビューしたい場合は、契約書AIレビュー専用プロンプト集をご確認ください。LegalOS マスキングで前処理し、プロンプト集でレビュー指示を整える流れが、実務上使いやすくなります。

契約書AIレビュー専用プロンプト集

10. LegalOS マスキングと法務AIプロンプト100選の関係

契約レビュー以外の場面でも、AIを使いたい局面は法務にたくさんあります。社内相談の論点整理、相談回答案の下書き、社内説明資料の構成案、人事労務・AI導入審査・個人情報対応のチェック項目作成などがその例です。

こうした幅広い場面で使えるテンプレートを集めているのが法務AIプロンプト100選です。法務AIプロンプト100選は、AIに「どのように出力してほしいか」を整えるためのテンプレート集であり、LegalOS マスキングとは役割が違います。

  • LegalOS マスキング:AI入力前に、文書側を整える
  • 法務AIプロンプト100選:AIへの指示側を整える

マスキング後の文書や相談メモを下敷きにして、論点整理、確認事項の洗い出し、社内向けサマリ、相談回答案のドラフトを作る用途に活用できます。両者は対立関係ではなく、補完関係です。

関連ツール|幅広い法務業務向けプロンプト

論点整理・チェックリスト化・社内説明資料の下書きなど、幅広い法務業務でAIを活用したい場合は、法務AIプロンプト100選をご確認ください。

法務AIプロンプト100選

11. LegalOS マスキングとLegalOS本体・Inboxの関係

LegalOSシリーズは複数のツールで構成されており、同じ契約審査の中でも役割が分かれています。

  • LegalOS Inbox:メール・相談・依頼・添付資料を法務案件として受け付け、整理する受付ツール
  • LegalOS本体:契約依頼・契約審査・承認・差戻し・記録・証跡管理を案件単位で整理する案件管理ツール
  • LegalOS マスキング:AIに入れる前の文書を整えるAI入力前処理ツール

たとえば、相談メールがLegalOS Inboxに集まり、契約案件としてLegalOS本体で進捗管理・承認記録を残し、必要に応じて契約書をLegalOS マスキングで前処理してからAIに渡す、という使い分けが想定できます。同じ「契約審査」のフローでも、受付・案件管理・AI入力前処理は別の問題です。

関連ツール|契約審査の案件管理

契約依頼、契約審査、承認、記録まで案件単位で整理したい場合はLegalOSシリーズ、AI入力前の前処理にはLegalOS マスキングをご活用ください。

LegalOSシリーズ LegalOS マスキング

12. 図解:LegalOS マスキングと関連ツールの役割分担

LegalOSシリーズ、プロンプト集、そして人間の判断が、契約審査のどの工程で動くのかを整理した図です。「全部AIに任せる」のではなく、工程ごとに最適な担当を割り当てるという設計になります。

図解5:LegalOS マスキングと関連ツールの役割分担
受付 → 案件管理 → AI入力前処理 → AI指示 → 人間判断
① 受付
LegalOS Inbox
メール・相談・依頼・添付資料を法務案件として受け付け、整理する。
② 案件管理
LegalOS本体
契約依頼・審査・承認・差戻し・記録を案件単位で管理する。
③ AI入力前処理
LegalOS マスキング
AIに渡す前の文書を整える。個人名・会社名・金額などを伏せる候補を整理。
④ AIレビュー指示
契約書AIレビュー専用プロンプト集
要約、リスク抽出、修正案、コメント案の指示テンプレート。
⑤ 論点整理・社内説明
法務AIプロンプト100選
幅広い法務業務での論点整理、社内説明資料、相談回答案の下書き。
⑥ 最終判断
人間(法務担当者・責任者)
入力可否判断、AI出力の採否、契約上のリスク判断、最終承認。

13. マスキングしても慎重に扱うべき情報

すべての情報が「マスキングすればAI入力OK」になるわけではありません。情報の性質によっては、マスキングしても慎重に扱うべきもの、原則としてAI入力を避けるべきものがあります。次の3層で整理します。

図解4:マスキング対象・慎重情報・入力回避情報の3層マップ
情報の性質ごとに取扱いを3段階で整理
第1層:マスキング対象になりやすい情報
一般的な個人情報、会社名、取引先名、金額、連絡先など、伏せたうえでAIへ入力する運用が比較的取りやすいもの。ただし伏せ方の品質と入力可否判断は別途必要。
  • 個人名、会社名、取引先名
  • 契約金額、住所、連絡先
  • 案件名、識別番号
第2層:マスキングしても慎重に扱う情報
マスキングで識別子は伏せられても、文脈や記載内容から関係者・案件が特定されやすい情報。AI入力の必要性自体を再検討する。
  • 顧客リスト、エンドユーザー情報
  • 価格戦略、原価情報の一部
  • 取引条件の固有部分
第3層:原則として入力を避けるべき情報
マスキングで対応する性質のものではなく、そもそもAI入力を避ける、もしくは厳格な体制のもとでのみ扱うべきもの。
  • 要配慮個人情報、医療・健康情報
  • 営業秘密そのもの、技術ノウハウ
  • 未公表M&A情報、重大紛争・訴訟資料
  • 内部通報・ハラスメント相談情報
  • セキュリティ情報、人事評価・給与情報

14. 表:マスキングしても慎重に扱うべき情報

第2層〜第3層に当てはまる情報の典型例を、推奨対応とあわせて整理します。実務では、これらが含まれる文書はAI入力の前にいったん立ち止まり、社内のしかるべき承認を経るルールを設けることが望ましいでしょう。

情報の種類 具体例 慎重に扱う理由 推奨対応
要配慮個人情報 病歴、信条、犯罪歴等 個人情報保護法上の取扱い義務が重い 原則AI入力を避ける/法務責任者の事前承認
内部通報・ハラスメント情報 通報内容、調査記録 通報者保護、当事者の権利 AI入力を原則避ける/専用管理ルートで処理
未公表M&A情報 対象会社名、スキーム、金額 インサイダー、契約上の守秘 AI入力を避ける/関係者限定で処理
重大紛争・訴訟資料 訴状、答弁書、証拠資料 機密性、戦略性、特定可能性が高い 外部AIへの入力は原則避ける
営業秘密そのもの 原価率、ノウハウ、製造工程 不正競争防止法上の保護要件への影響 AI入力可否を経営判断含めて決定
顧客リスト 取引先一覧、購買履歴 特定可能性が高く、漏えい時の影響大 件数・項目を最小化/必要性を厳格に検討
技術ノウハウ 設計情報、アルゴリズム 競争優位の中核 原則AI入力を避ける/別の検討手段を選択
セキュリティ情報 システム構成、脆弱性情報 悪用リスク AI入力を避ける/情報セキュリティ部門と協議
人事評価・給与情報 評価記録、賃金情報 プライバシー、労務リスク AI入力を原則避ける
医療・健康情報 診断書、産業医報告 要配慮個人情報に該当しうる AI入力を避ける/法定の取扱いに従う

15. AI入力前処理の社内ルールを作るポイント

マスキングを実効的に運用するには、ツール導入と並行して、社内のAI利用ルールを整える必要があります。ツールだけ整えても、誰がいつどの情報を入力してよいかが曖昧なままだと、運用が安定しません。

  • どのAIサービスを業務利用してよいか(許可リスト・禁止リスト)
  • どの情報を入力禁止にするか(要配慮個人情報、営業秘密、未公表案件など)
  • どの情報はマスキングすれば入力を検討できるか
  • 入力可否を誰が判断するか(案件担当者/法務/責任者)
  • マスキング後の確認を誰が行うか
  • AI入力内容と出力内容の記録を残すか、残すなら誰がどう保管するか
  • 重要案件では誰の承認を得るか
  • 外部専門家に相談すべき類型の整理

16. 表:AI入力前処理ルールのチェックリスト

社内ルールづくりのたたき台として、最低限抑えておきたいルール項目を整理します。「決めない」と何が問題になるかを併記しています。

ルール項目 決める内容 決めない場合の問題 関連ツール
利用可能なAIサービス 許可リスト・禁止リスト 無秩序な利用で漏えい・規約違反
入力禁止情報 要配慮個人情報、営業秘密等の定義 個別判断のばらつき・事故 LegalOS マスキング
マスキング前提で入力可 マスキング後の入力可能類型 過剰に厳しすぎ/緩すぎ LegalOS マスキング
入力可否の判断者 案件担当/法務/責任者の役割 判断責任が不明確 LegalOS本体
マスキング後の確認担当 二重チェック体制 伏せ漏れが残ったまま入力される LegalOS マスキング
入出力の記録 記録対象・保管方法・保管期間 事後検証不能、説明責任が果たせない LegalOS本体
重要案件の承認 承認権者・承認手続き 高リスク案件で軽率な入力 LegalOS本体
専門家相談基準 外部弁護士・専門家への相談類型 判断負荷が法務に過度集中

17. 表:LegalOS マスキング・契約書AIレビュー専用プロンプト集・法務AIプロンプト100選の役割比較

本記事で繰り返し触れてきた3つのツールの役割関係を、最後に表で整理しておきます。同じ「AI活用」でも、担当する工程が明確に異なります。

項目 LegalOS マスキング 契約書AIレビュー専用プロンプト集 法務AIプロンプト100選
主な役割 AI入力前の文書整備 契約レビュー指示の整備 幅広い法務業務の指示整備
対象工程 AIに入れる「前」 AIに入れる「とき」(契約用) AIに入れる「とき」(業務横断)
典型用途 個人名・会社名・金額の前処理 要約・リスク抽出・修正案 論点整理・社内説明資料
形態 デスクトップツール プロンプト集 プロンプト集
人間判断 必須(最終確認) 必須(採否判断) 必須(採否判断)

18. LegalOS マスキングが向いている会社・向いていない会社

LegalOS マスキングはあらゆる会社にとっての万能ツールではありません。実務上、向き・不向きを率直に整理します。

区分 該当する会社の特徴
向いている会社 ・契約書をChatGPT等に入力する前の前処理を整えたい
・個人名、会社名、契約金額、取引先名を伏せたい
・手作業マスキングに時間がかかっている
・契約書AIレビュー専用プロンプト集と併用したい
・一人法務、少人数法務でAI活用前の情報整理が必要
・契約書・相談資料に個人情報・営業秘密が含まれることが多い
向いていない会社 ・AIに契約書や社内資料を入力する予定がない
・すでに高度なマスキング・DLP・情報管理体制が整っている
・マスキングすれば何でも入力してよいと考えている
・マスキング後の人間確認を行うつもりがない
・社内AI利用ルールを作るつもりがない

19. 注意点:LegalOS マスキングは情報漏えいリスクをゼロにするものではない

重要:LegalOS マスキングは、AI入力前に伏せる対象を整理するための前処理ツールです。マスキングを通したからといって、契約書や社内資料の情報漏えいリスクがゼロになるわけではありません。必ず以下の点を踏まえて運用してください。
  • マスキング候補の検出・置換には限界があり、表記揺れや文脈依存の情報は残ることがあります。
  • 本文を伏せても、別紙、コメント、ヘッダー、フッター、ファイル名、プロパティに情報が残る場合があります。
  • 文脈(取引時期・金額の桁・地域・業界)から、第三者が情報を推測できる場合があります。
  • AIサービスの利用規約・データ利用条件は変更される可能性があり、常に最新条件を確認する必要があります。
  • 社内規程、NDA、個人情報保護法、不正競争防止法上の営業秘密管理、その他関係法令・契約上の制約に照らして、入力可否を都度判断する必要があります。
  • マスキング後の文書の最終確認、AI出力の採否、契約リスクの最終判断は、いずれも人間が行う前提です。
LegalOSシリーズ|AI入力前処理・AIレビュー指示・案件管理

役割で使い分けることで、AI活用と情報管理を両立する。

契約書や社内資料をAIに入力する前の前処理にはLegalOS マスキング、マスキング後の契約書レビュー指示には契約書AIレビュー専用プロンプト集、契約審査の案件管理・承認記録にはLegalOSシリーズをご活用ください。

LegalOS マスキング 契約書AIレビュー専用プロンプト集 LegalOSシリーズ

20. まとめ

  • LegalOS マスキングは、契約書や社内資料をAIに入力する前の前処理ツールです。
  • 個人名、会社名、契約金額、取引先名、メールアドレス、営業秘密、NDA対象情報などを、伏せる対象として整理しやすくします。
  • 契約書AIレビュー専用プロンプト集法務AIプロンプト100選は、マスキング後の文書をAIに渡すときの指示テンプレートとして使えます。
  • ただし、マスキングすれば何でも安全にAI入力できるわけではありません。
  • 入力可否判断、社内AI利用ルール、AIサービス利用規約の確認、法務担当者による最終確認は不可欠です。
  • 次回(第11話)は「契約書マスキングで伏せるべき情報一覧|個人名・会社名・金額・営業秘密の扱い」として、マスキング対象になる情報の具体例をさらに詳しく整理します。
Legal GPT 実務ツール

記事で学んだ実務を、そのまま使える道具にする。

法務実務にそのまま投入しやすいAIプロンプト集に加え、 契約受付、契約管理、過去相談検索、契約書整形、マスキングまで、 LegalOSシリーズも順次公開しています。

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