専門ブログの記事作成が遅い原因|AIを使っても時間が減らない理由
ARTICLE SUMMARY
AIで下書きが速くなっても、判断が整理されていなければ公開までは速くなりません。
この記事で分かること
AIで下書きを作っても、記事の公開までにかかる時間は思ったほど減らないことがあります。
AIに指示を出せば、記事の下書きは数分で出てきます。見出しの案も、比較表のたたき台も出ます。それなら記事制作にかかる時間は大幅に減るはずだ、と考えるのは自然なことです。
ところが実際には、公開までの時間が期待したほど減らないことがあります。下書きは速くなったのに、公開するまでに何時間もかかる。AI原稿を直しているうちに、自分で書いたほうが速かったのではないかと感じる。書き終えてから、この記事は誰に向けたものだったのかを考え直す。
筆者は企業法務を本業としながら、専門法律ブログ「LegalGPT」で800本以上の記事を制作してきました。AIも早い段階から制作工程に取り入れています。それでも、下書きが速くなったあとも、公開までの時間は思ったほど短くなりませんでした。
原因は、文章を書く速度ではありませんでした。執筆中に、文章を書く以外の判断を大量にしていたことでした。対象読者、扱う範囲、参照する一次情報、断定の強さ、図表の要否、内部リンク、公開後の更新条件。これらを記事ごとにゼロから考え直していれば、下書きがどれだけ速くなっても、公開までの合計時間は減りません。
専門ブログの記事作成が遅いと感じるとき、多くの場合、問題は書く力ではなく判断が整理されていないことにあります。
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01専門ブログの記事作成が遅くなる5つの原因
記事作成が遅くなる原因は、多くの場合、能力や意欲の問題ではありません。制作の順序と、判断の置き場所の問題です。実務でよく見られる原因を5つに整理します。
原因1|対象読者が決まっていない
初心者向けか実務担当者向けかが決まっていないと、説明の深さが途中で変わり、書き終えてから水準をそろえ直す作業が発生します。専門分野では、属性より「置かれている状況」を決めるほうが実用的です。「担当になったばかりで、来月までに社内へ説明しなければならない人」まで決めれば、どこまで説明するかも決まります。
原因2|一記事で扱う範囲が広すぎる
基礎、例外、手続、よくある質問までを一記事に詰め込むと、記事が長くなるだけでなく、調査すべき範囲も広がりやすくなります。範囲が広い専門テーマは、複数記事のシリーズへ分けたほうが制作しやすい場合があります。分けると決めた時点で、一記事あたりの調査範囲が確定するためです。
原因3|執筆しながら事実確認を始める
法令、ガイドライン、公的資料の確認を執筆中に始めると、書く作業と調べる作業を何度も往復することになります。あわせて問題になるのが情報の基準日です。いつ時点の内容として書くかが決まっていないと、改正前と改正後の情報が混在し、確認をやり直すことになります。基準日を執筆前に決めて本文にも明示すれば、公開後の更新判断も容易になります。
原因4|AIへの指示が毎回変わる
目的、想定読者、扱う論点、扱わない論点を伝えていなければ、返ってくるのは一般的で無難な原稿になりがちです。その原稿に修正指示を重ねると、指示を出す回数そのものが増えます。ここで失われる時間は、下書きの生成時間より大きくなることがあります。
原因5|公開前後の作業を最後にまとめている
タイトル、SEOタイトル、メタディスクリプション、スラッグ、図表、内部リンク、公開後の更新条件。これらを本文完成後にまとめて考え始めると、完成したはずの記事が終わりません。しかもこの作業が発生するのは、本文を書き終えて集中力が落ちている時間帯です。判断の質が下がりやすいうえに、時間もかかります。
TABLE 01
表1|専門ブログの記事作成が遅くなる原因
| 原因 | 起きる問題 | 改善の方向性 |
|---|---|---|
| 対象読者が未確定 | 説明の深さが途中で変わり、後から全体を調整する | 属性ではなく状況で読者を決める |
| 扱う範囲が広い | 記事が長くなり、調査範囲も広がる | シリーズへ分け、一記事の範囲を確定する |
| 執筆中に事実確認 | 書く作業と調べる作業を往復する | 一次情報と基準日を執筆前に確定する |
| AIへの指示が毎回変わる | 一般論の原稿が出て、修正指示が増える | 渡す情報項目を固定する |
| 公開作業を最後にまとめる | 本文完成後に判断が集中し、質も下がる | 公開前後の項目を着手時に仮決めする |
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
02AIを使っても記事作成が速くならない理由
AIが記事制作に役立たないという話ではありません。短縮できる部分と、できない部分が分かれているという話です。
AIが支援しやすい作業
とくに論点の列挙と構成の叩き台づくりは、精度の高い指示を出せば実務でも十分に使えます。
人間が判断する必要がある作業
専門分野の記事では、この後半が制作時間の大きな部分を占めます。文章生成が速くなっても、公開までの時間が短くならないのはこのためです。
図1|AIを使っても記事制作が止まる構造
AIが短縮した工程
下書きの生成(ここは速くなります)
残っていた判断(人間が決める)
結果
記事が終わらない
時間がかかっているのは中央の判断部分で、いずれも本来は下書きの前に決められた判断です。問題はAIの性能ではなく、渡す前の設計と生成後の判断が整理されていないことにあります。
03「執筆」と「判断」を分ける
記事制作には、性質の異なる二つの作業が含まれています。
執筆
すでに決まっている内容を、文章として表現する作業。
判断
何を書くか、どこまで書くか、どう確認するかを決める作業。
この二つは頭の使い方が違います。それにもかかわらず、実際の制作では執筆中に判断が何度も割り込んできます。専門記事で発生する判断を並べると、次のようになります。
執筆中にこれを一つずつ決めていくと、そのたびに書く作業が中断します。専門ブログの記事作成が遅い原因は、多くの場合、判断そのものの難しさではなく、判断が発生する場所にあります。
図2|判断を執筆前へ移す流れ
従来|書きながら判断する
改善後|書く前に判断する
注意したいのは、これで判断の総量が減るわけではないという点です。減るのは、執筆中に判断が割り込む回数です。
04記事を書く前に最低限決める5項目
執筆前に決める項目は、多ければよいものではありません。多いと記入自体が負担になり、続きません。まずは、これだけは決めておきたい5項目から始めるとよいです。
誰に向けた記事か
「法務担当者」ではなく「担当になったばかりで、社内へ説明する必要がある人」まで具体化します。属性だけでなく、読者が置かれている状況まで決めます。
効果:説明の深さがぶれにくくなる。
読者が解決したい問題は何か
「結局、何から始めればよいのか」のように、読者が口にしそうな一文で書きます。
効果:記事の方向がぶれにくくなる。
記事の結論は何か
先に決めます。結論が決まらないテーマは、まだ記事にする段階ではないという判断もできます。
効果:本文中で結論を探さなくなる。
扱う範囲・扱わない範囲はどこまでか
必ず書く論点を3つ程度に絞り、今回は触れない論点も決めます。絞れないときは、テーマが一記事分より大きい可能性があります。
効果:調査範囲が確定し、執筆中の判断が減る。
確認すべき一次情報と基準日は何か
法令、ガイドライン、公的資料を書く前に特定し、いつ時点の情報として書くかも決めます。
効果:確認の往復と更新判断が楽になる。
5項目のうち「扱わない範囲」が最も効く
専門知識を持つ人は、書けることが多くあります。関連する例外、隣接する制度、実務上の応用。どれも書けるため、執筆中にずっと「これも触れておくべきか」という判断が発生します。一つひとつは小さくても、記事の最初から最後まで続きます。
扱わない範囲を先に決めておくと、この判断が発生しません。しかも、扱わないと決めた論点はそのまま次の記事のテーマ候補になります。捨てているのではなく、別の記事へ移しているだけです。
TABLE 02
表2|記事を書く前に最低限決める5項目
| 項目 | 決める内容 | 決めておく効果 |
|---|---|---|
| 対象読者 | 属性ではなく置かれた状況 | 説明の深さが固定される |
| 読者の問題 | 読者が言いそうな一文 | 記事の方向がぶれない |
| 結論 | 記事として示す答え | 本文中で結論を探さなくなる |
| 扱う範囲と扱わない範囲 | 必ず書く論点を3つ程度と、今回触れない論点 | 調査範囲が確定し、執筆中の判断が減る |
| 一次情報と基準日 | 参照資料と、いつ時点の情報か | 確認の往復と更新判断が楽になる |
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
05AIへ渡す情報を固定する
AIへの指示を毎回ゼロから書いていると、前回うまくいった内容が手元に残らないため、同じ種類の修正を繰り返すことになります。
そこで、記事ごとに変わる内容と、常に渡す情報の項目を分けます。項目を固定しておけば、記事ごとに中身を差し替えるだけで済みます。少なくとも次の項目を用意しておくと、出力は安定しやすくなります。
補足|情報を型にする意味
項目を固定する目的は、指示を長くすることではありません。指示に何を書くかを毎回考えなくて済むようにすることです。
あわせて「禁止事項」の欄を設けておくと有効です。出力に問題があったとき、その内容を一行ずつ追加していきます。実際に起きた失敗を反映すれば、同じ種類の修正を繰り返す回数を減らしやすくなります。
06AIと人間の役割分担を決める
工程ごとに役割を決めておくと、生成された原稿を前に「どこから手をつけるか」を考える時間が減ります。
AIが支援しやすい
人間が判断する
TABLE 03
表3|AIと人間の役割分担
| 工程 | AIが支援しやすいこと | 人間が判断すること |
|---|---|---|
| 企画 | 読者の悩みの候補、見出し案の列挙 | 対象読者、記事の目的、結論 |
| 調査 | 検索語の整理、確認項目の列挙 | 一次情報の採否、情報の最新性 |
| 執筆 | 下書き、表のたたき台、要約 | 事実の正確性、断定の強さ、例外の扱い |
| 編集 | 冗長表現の削減、構成案の比較 | 公開可否、専門的な妥当性、何を削るか |
| 公開 | タイトル案、メタ情報案、案内文の案 | 最終確認、内部リンク、更新方針 |
※スマートフォンでは表を横にスクロールできます。
広すぎると確認と修正の負荷が増えます。専門記事では事実関係の誤りが検出されないまま残ることがあり、確認は結局人間が担います。狭すぎれば、短縮できたはずの作業まで自分で抱えます。工程で線を引いておけば、この判断を毎回しなくて済みます。
07記事制作を止めない改善手順
ここまでの内容を、実行できる手順に落とします。最初から完成した仕組みを作る必要はありません。
過去の記事で止まった場所を記録する
直近の数本を振り返り、どこで時間がかかったかを書き出します。対象読者で迷った、根拠資料を探し直した、AI原稿を全面的に書き直した、タイトル決定に時間がかかった、内部リンクが最後まで決まらなかった、といった粒度で構いません。
繰り返し発生する判断を一覧化する
書き出した項目を、一度だけ起きた問題と毎回起きている問題に分けます。改善すべきは後者です。一度だけの問題に仕組みを作っても、使う機会がありません。
執筆前に判断する項目を決める
毎回起きている判断を、本文を書く前に決める項目として並べます。前章の5項目から始め、自分の分野で必要な項目を足していくのが現実的です。
AIへの指示を共通化する
毎回変わる部分と固定できる部分を分けます。固定部分をひな形として保存し、記事ごとに変わる部分だけを差し替えます。出力に問題が出たら、原稿ではなく指示のほうを直します。
公開前後の確認をチェックリスト化する
本文の完成を記事の完成とみなさないことが要点です。事実確認、基準日の記載、図表、内部リンク、公開後の更新条件までを一覧にし、記憶ではなく手元のリストで確認します。項目は増やしすぎないほうがよく、実際に漏らした項目だけを追加していくと、使われるリストになります。
08専門ブログでよくある改善の失敗
効率化しようとして、かえって時間が増えるケースもあります。よく見られるものを挙げます。
より高性能なAIへ変えれば解決すると考える
なぜ解決しないか
モデルを変えることで出力品質が改善することはあります。ただし、対象読者や記事の結論が未整理であるという設計上の問題は残ります。
巨大な万能プロンプトを作る
なぜ解決しないか
あらゆる場合に対応しようとした指示書は長くなり、更新しにくくなります。記事ごとに何を変えたか分からなくなるため、うまくいった理由も失敗した理由も残りません。
一枚のテンプレートですべて解決しようとする
なぜ解決しないか
企画、調査、執筆、公開、更新では必要な判断が異なります。一枚にまとめると、どの工程にも中途半端に合わない書式になります。工程ごとに分けたほうが、それぞれは短く済みます。
文章生成の速度だけを測る
なぜ解決しないか
下書きが出るまでの時間は測りやすいため、つい指標にしてしまいます。しかし見るべきは企画から公開までの合計時間です。合計が変わらないなら、短縮の効果は出ていません。
記事数だけを増やそうとする
なぜ解決しないか
本数が増えると、確認と更新の対象も増えます。法令や制度を扱う記事では、改正や運用変更に応じた見直しが必要になるため、更新の運用を決めずに増やすと、あとから追いつかなくなります。
09記事制作は「文章を書く作業」だけではない
最後に、工程の観点から整理します。記事制作には少なくとも次の作業が含まれます。
このうちAIが最もまとまった形で支援できるのは執筆の部分です。他の工程でも補助はできますが、工程全体をそのまま任せられるわけではありません。
止まっている工程が分かれば、対策は具体的になります。調査で止まるなら一次情報の特定を前に出す。編集で止まるなら扱う範囲の決め方を見直す。公開設定で止まるなら着手時に仮決めする。いずれも、判断を執筆前へ移すという同じ考え方の応用です。
よくある質問
Q1.AIを使えばブログ記事は短時間で作れますか
下書きを作る時間は短縮できます。ただし、事実確認、対象読者の設定、構成の決定、公開してよいかの判断は別途必要です。専門記事ではこの部分が制作時間の大きな割合を占めるため、下書きが速くなっても合計時間はあまり変わらないことがあります。
Q2.専門ブログの記事作成には何時間かかりますか
テーマの難易度、調査範囲、専門性、図表の点数、確認作業の量によって大きく変わるため、一律の目安を示すことはできません。他人の所要時間と比べるより、自分の記事のどの工程に時間がかかっているかを見るほうが実用的です。
Q3.AIが作成した記事をそのまま公開してもよいですか
公開前に、内容の正確性、情報の最新性、引用や権利関係、読者に誤解を与えないかを確認する必要があります。専門記事は読者が実務判断に用いる可能性があり、公開責任は執筆者に残ります。AIを用いたかどうかは、この責任の所在を変えません。
Q4.記事作成を速くするには何から始めればよいですか
過去の記事で止まった工程を記録することから始めます。そのうえで、毎回発生している判断を選び、本文を書く前に決める項目として並べます。最初は数項目で構いません。止まった箇所を一つずつ前工程へ移していく形が、続けやすい方法です。
まとめ
KEY TAKEAWAYS
記事制作が遅いと感じたとき見直すのは、書く速度ではなく判断の置き場所です。判断を執筆前へ移すだけでも、手戻りの回数は変わります。
記事制作を仕組みにする実践版
この記事では、専門ブログの記事作成が遅くなる原因と、改善の考え方を整理しました。
実際の制作では、判断項目を繰り返し使えるシートやチェックリストへ落とし込む必要があります。筆者自身も、800記事以上を制作する過程で繰り返してきた判断を、あとから取り出して整理し直しました。
専門ブログ800記事で積み上げた仕組み|企画から公開までを止めない制作システム
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