契約審査

契約審査フロー設計|属人化を防ぐワークフローの作り方

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📁 契約管理シリーズ 第7話

契約審査フロー設計|属人化を防ぐワークフローの作り方

対象:法務・総務・コンプライアンス・営業管理担当者 / カテゴリ:契約管理・法務DX / 更新:2026年5月

前回の第6話「契約書が見つからない問題の解決」では、保管・検索性の問題を扱いました。今回は、その上流にある「契約審査フロー」そのものを設計する方法を整理します。

「契約審査=法務にメールで送ること」ではありません。依頼受付・情報確認・審査・差戻し・承認・締結・台帳登録・更新管理まで、一連の業務プロセス全体を設計することが「契約審査フロー設計」です。本記事では、属人化を防ぐワークフローの構造を、実務テンプレートと合わせて解説します。

補足: 法務部や総務部の作業は、 この無料ツールを使うと便利に処理できます (一次整理・マスキング・論点整理など)

まず結論|契約審査は「受付」から「台帳登録」までを設計する

この記事の結論

  • 契約審査フローは、依頼受付→審査→承認→締結→台帳登録まで一体で設計する
  • 属人化の根本原因は「窓口・フォーム・ルール・記録」のいずれかが存在しないこと
  • 依頼フォームで必要情報を標準化し、情報不足は受付段階で差し戻す
  • 契約類型・金額・リスクに応じた審査ルート・承認ルートを明文化する
  • ステータス・コメント・修正履歴・承認記録を証跡として残す

契約審査フローとは何か

契約審査フローとは、事業部からの契約審査依頼を受け付けてから、締結後の台帳登録・更新管理に至るまでの業務プロセス全体を指します。多くの企業では「法務にメールを送る」だけが「依頼」とみなされていますが、それは業務の一断面に過ぎません。

正確には以下のような業務範囲を含みます。

  • 依頼フォームへの必要情報入力(依頼者側)
  • 受付可否・情報充足確認(法務側)
  • 契約類型・リスク判断・優先順位設定(法務側)
  • 契約書レビュー・修正(法務側)
  • 相手方との修正交渉(事業部・法務)
  • 上長・決裁者への承認回付
  • 締結版確定・保管
  • 契約台帳への登録・更新期限設定
重要:締結で完結だと思っている企業が多いですが、台帳登録・更新期限管理まで設計に組み込まないと、更新漏れや覚書管理の混乱が起きます(→ 第4話:契約更新管理の実務)。

なぜ契約審査が属人化するのか

契約審査の属人化は、特定の担当者のスキルや知識が可視化されず、個人に依存した運用が続くことで生じます。主な原因は以下のとおりです。

属人化の原因 具体的な症状
依頼窓口が分散しているメール・チャット・口頭依頼が混在し、全体像が把握できない
依頼フォームがない必要情報がバラバラに送られ、法務が背景確認から始める
優先順位のルールがない「声の大きい人」「顔なじみ」が優先される
審査ルートが担当者ごとに違う同じ契約類型でも判断が担当者により異なる
差戻し理由が記録されない差し戻した経緯が共有されず、次回も同じ情報不足が繰り返される
過去案件を参照できない類似案件があっても担当者の記憶に依存する
承認ルートが明確でない「誰が最終承認するのか」がその都度確認が必要
担当者の退職で経緯が消える交渉経緯・コメント・修正理由が引き継がれない
ポイント:属人化の原因は「優秀な担当者がいないこと」ではなく、「窓口・フォーム・ルール・記録」の設計が欠けていることです。設計を補えば、少人数法務でも組織的に運用できます。

受付時に必要な情報

① 契約審査依頼フォーム項目一覧

依頼フォームは、必要情報を標準化するための最重要インフラです。以下の項目を依頼フォームに設定してください。

項目 入力例 必要な理由 注意点
依頼部署営業本部 第2営業部承認ルート・決裁権限の確認組織改編時はプルダウンを更新する
依頼者山田 太郎(yamada@example.co.jp)連絡先・証跡として残す退職時に引継ぎ確認が必要
契約相手方株式会社○○(法人番号 xxxx)相手方属性・過去取引確認反社チェック済か確認する
契約類型業務委託契約(準委任型)審査ルート・ひな形選択自社での定義に合わせてプルダウン設定
新規 / 更新 / 覚書 / 変更契約新規原契約紐付け・過去案件参照の要否覚書・変更契約は原契約番号が必須
契約目的〇〇システムの保守運用業務を委託リスク判断の前提情報一行でよいので必ず記載
取引概要月次保守・24時間オンコール対応、派遣なし偽装請負・下請法該当性の判断作業実態を記載。「詳細別途」は不可
契約金額月額80万円(税別)× 12ヶ月=960万円決裁権限・承認ルート判断単価×数量×期間を明記
契約期間2026年6月1日〜2027年5月31日(1年間)台帳登録・更新期限設定自動更新条項の有無も記載
希望回答期限2026年5月20日(締結期限の2週間前)優先順位・着手判断「できるだけ早く」は不可
締結希望日2026年6月1日逆算スケジュール設定相手方との合意状況も記載
相手方提示か自社ひな形か相手方提示(英文あり)審査範囲・修正方針の判断どちらが原案かで審査戦略が変わる
契約書ファイル(ファイル添付)最新版のみ審査対象の特定版が複数ある場合は最新版のみ添付
関連資料見積書・提案書・商談メモ背景理解・リスク判断「後で送ります」は審査遅延の原因
過去契約の有無あり(2024年に基本契約締結済)類似案件参照・条件一貫性確認「あり」の場合は管理番号も記載
原契約管理番号CONTRACT-2024-0023覚書・変更契約の紐付け台帳番号がない場合は締結日・相手方を記載
交渉状況先方より第2条の修正要求あり(経緯メール添付)交渉経緯の引継ぎ法務が交渉状況を知らないまま審査するリスクを防ぐ
特に確認してほしい点損害賠償上限条項と知的財産権の帰属審査の重点設定ない場合は「特になし」と記入
リスク懸念解約条項の期間が短い可能性法務が確認すべき論点の絞り込み事業部の感覚でよい。法的判断は法務が行う
決裁要否要(稟議番号 RINGI-2026-0114)承認ルート・決裁資料の準備「不明」の場合は事業責任者に確認してから依頼
稟議番号RINGI-2026-0114稟議との紐付け・証跡管理稟議前の法務確認が必要な場合は事前に相談
担当営業佐藤 花子(営業部)交渉担当者との連絡法務コメントを営業に共有するための連絡先
事業責任者田中 部長(tanaka@example.co.jp)承認ルート・エスカレーション先決裁権限者と一致しない場合は両名を記載

② 受付時チェックリスト(法務担当者用)

受付時チェックリスト

契約書ファイルが添付されているか
契約目的が分かるか(一行以上の記載があるか)
取引概要が分かるか(業務実態・作業内容の記載があるか)
契約金額が分かるか(単価・期間・総額)
契約期間が分かるか(開始日・終了日・自動更新の有無)
希望回答期限が現実的か(社内SLAとして最低5営業日などの目安を設けて確認する)
相手方提示か自社ひな形かが分かるか
過去契約・原契約の有無が確認されているか
覚書・変更契約の場合、原契約が特定されているか
関連資料が添付されているか(見積書・提案書など)
決裁要否が分かるか(要の場合は稟議番号も確認)
依頼者・事業責任者が明確か(連絡先が記載されているか)

契約審査の標準フロー

以下は、受付から台帳登録まで一連のフローです。STEPごとの担当者・アクションを明確にすることが、属人化防止の出発点です。

事業部が契約審査を依頼する

担当者:事業部担当者 / 窓口:依頼フォーム(メール・チャット依頼は原則不可)

依頼フォームで必要情報を入力する

担当者:事業部担当者 / 必須項目を全て入力。契約書ファイル・関連資料を添付する

法務が受付可否を確認する

担当者:法務担当者 / 受付時チェックリストで情報充足を確認。原則2営業日以内に受付確認または差戻しを行う

情報不足があれば差戻しする

担当者:法務担当者 / 差戻し理由テンプレートを用いて、再提出に必要な情報を具体的に伝える。差戻し理由は記録する

法務が契約類型・リスク・優先順位を判断する

担当者:法務担当者 / 審査ルート表・優先順位判断表に基づいて機械的に判断する。主観的判断を排除する

法務が契約書レビューを行う

担当者:法務担当者 / コメント・修正理由を記録しながら審査。過去類似案件を参照する

事業部・相手方と修正交渉する

担当者:事業部担当者(法務サポート) / 法務コメントを基に事業部が相手方と交渉。交渉経緯はフローに記録する

必要に応じて上長・決裁者へ回付する

担当者:法務責任者・事業責任者 / 承認ルート設計表に従い、該当する審査者へ回付する

承認・決裁を取得する

担当者:決裁者 / 決裁資料・稟議書と合わせて承認。承認者・承認日時を記録する

締結版を確定する

担当者:法務・事業部 / 最終版ファイルを確定。ファイル名には signedexecuted締結済 などの固定語を付けて統一し、ドラフト版とは別フォルダで管理する。「どれが締結版か」を誰が見ても分かる状態にする

契約書を保管する

担当者:法務 / 電子保管ルールに従い保管(→ 第5話:契約書の保管方法

契約台帳へ登録する

担当者:法務 / 台帳に必要項目を登録。審査フローのステータスを「台帳登録済」に更新する

更新期限・覚書管理へつなげる

担当者:法務 / 更新期限アラートを設定。覚書・変更契約は原契約と紐付けて管理する(→ 第8話:契約変更・覚書管理

優先順位・期限管理の設計

「声の大きい人が優先される」という状況を防ぐには、優先順位判断基準を明文化する必要があります。

優先度 判断基準 対応目安 注意点
・締結期限まで10営業日以内
・契約金額が自社基準の高額ライン以上
・事業への影響が大きい(プロジェクト開始・法令対応等)
・相手方から期限指定がある
・解約通知期限・更新期限が迫っている
・個人情報・知財・独占・損害賠償上限なし等の重要論点
・取適法・下請法・業法など規制対応が必要
着手:当日〜翌営業日
回答:依頼から3〜5営業日
「緊急」の乱用を防ぐため、客観的基準を明示する
・標準ひな形からの軽微修正
・継続取引の通常更新
・過去に類似案件があり審査が容易な案件
着手:受付から3営業日以内
回答:依頼から7〜10営業日
軽微と判断した根拠を記録する
・NDA(自社ひな形・軽微修正)
・期限に2週間以上の余裕がある
・自社ひな形で大きな変更なし
着手:受付から5営業日以内
回答:依頼から10〜15営業日
低優先でも期限超過しないよう管理する
期限管理のポイント:「希望回答期限」と「締結期限」の両方を依頼フォームで取得し、締結期限から逆算して着手時期を設定します。希望回答期限が「できるだけ早く」や「ASAP」のみの依頼は受付時に具体的な日付を求めて差し戻します。

差戻し・追加確認のルール

差戻しの基本方針

情報不足の依頼をそのまま受け付けて審査を始めると、途中で追加確認が発生し、審査品質が低下します。受付段階での差戻しは、法務業務の効率化と品質維持のために必要な仕組みです。差戻しは事業部を責めるものではなく、「次回から正確な情報を入力してもらうための教育的機能」を持っています。

差戻し理由テンプレート

差戻し理由 差戻し文例 再提出時に求める情報
契約目的が不明 「本契約で実施する業務・取引の目的が記載されていません。」 本契約で何を行うのかを1〜2文で説明してください
取引概要が不明 「業務の実態・作業内容・役割分担が分かりません。偽装請負等の確認のために必要です。」 委託業務の具体的内容、指揮命令関係の有無を記載してください
契約金額が不明 「契約金額(単価・数量・期間・税抜税込の別)が記載されていません。」 金額・支払条件を具体的に記載してください
契約期間が不明 「契約の開始日・終了日・自動更新条項の有無が記載されていません。」 開始日・終了日・自動更新の有無・更新通知期間を記載してください
交渉状況が不明 「相手方との交渉状況・既に合意済みの条件が分かりません。」 交渉経緯メール・合意済み事項を添付してください
原契約が添付されていない 「覚書・変更契約の場合、原契約の添付が必要です。」 原契約書(締結版)または管理番号を提供してください
関連資料が不足 「見積書・提案書など契約の背景を確認できる資料が不足しています。」 見積書・RFP・商談メモ等を添付してください
希望回答期限が短すぎる 「希望回答期限まで○営業日しかありません。社内SLAとして定めている審査期間(目安:最低○営業日)を確保できません。」 締結期限・事業的緊急性の根拠を説明してください
決裁者が不明 「本件の決裁者(最終承認権限者)が記載されていません。」 決裁者の氏名・役職、稟議の要否を記載してください
依頼部署内の確認が未了 「事業責任者の確認が取れていない状態での依頼と見受けられます。」 事業責任者の承認後に再提出してください
ファイル形式が不適切 「添付ファイルが〇〇形式です。Word(.docx)または PDF での提出をお願いします。」 審査可能なファイル形式で再添付してください
最新版の契約書が不明 「複数バージョンのファイルが添付されています。審査対象とすべき最新版を明示してください。」 最新版のみを「最新版」と明記して再添付してください

承認・決裁ルートの設計

① 契約類型別の審査ルート表

契約類型 標準審査者 追加確認者 決裁要否 注意点
NDA(秘密保持契約)法務担当者原則不要自社ひな形以外・情報開示範囲が広い場合は法務責任者へ
業務委託契約法務担当者法務責任者(高額時)金額基準による偽装請負・取適法・下請法の該当性を必ず確認
請負契約法務担当者法務責任者金額基準による瑕疵担保(契約不適合)責任・工事関連法規に注意
準委任契約法務担当者金額基準による成果物の有無・指揮命令関係を確認
基本取引契約法務担当者法務責任者継続的取引の基盤となるため慎重に審査
売買契約法務担当者金額基準による所有権移転・危険負担・検収条件を確認
ライセンス契約法務担当者知財担当者独占・非独占・使用範囲・再ライセンスの可否を確認
個人情報取扱契約法務担当者情報管理・DPO個人情報保護法・プライバシーポリシーとの整合性確認
代理店契約法務担当者法務責任者・営業責任者独占地域・クォータ・競業避止に注意
覚書・変更契約法務担当者原審査者(参考)変更内容による原契約との整合性・変更範囲を確認。原契約番号の紐付け必須
高額契約(自社基準以上)法務担当者法務責任者・CFO要(取締役会決議が必要な場合あり)会社法上の重要な財産取引・多額の借財に該当するか確認
グループ会社間契約法務担当者両社法務・税務担当移転価格・独禁法(不当な内部取引)・取締役の利益相反に注意

② 承認・決裁ルート設計表

契約特性 承認者 法務確認要否 決裁資料に書くべき事項 証跡として残すべきもの
標準契約・低リスク 法務担当者 担当者完結 審査コメント・ステータス更新記録
高額契約 法務責任者・CFO・取締役 法務責任者確認 契約金額・支払条件・リスクサマリー 承認者・承認日時・稟議書
非標準条項あり 法務責任者 法務責任者確認 非標準条項の内容・リスク・受容理由 法務責任者の承認記録・コメント
損害賠償上限なし 法務責任者・事業責任者 法務責任者確認 損害賠償リスクの定量試算・上限設定の可否 リスク受容の判断記録
個人情報取扱いあり 情報管理責任者・DPO 法務・情報管理確認 取扱い情報の種類・規模・安全管理措置 個人情報委託先管理台帳への登録
知的財産権譲渡あり 法務責任者・事業責任者 法務責任者確認 譲渡対象権利・対価・自社への影響 知財台帳との連携記録
独占・競業避止あり 法務責任者・事業責任者 法務責任者確認 独占範囲・競業避止の地域・期間・影響 独禁法リスク検討記録
反社条項なし 法務責任者 法務責任者確認 反社条項が欠如している理由・代替措置 反社チェック結果記録
契約期間が長期(3年超) 法務責任者・事業責任者 法務責任者確認 中途解約条件・違約金・事業継続リスク 解約シミュレーション記録
グループ会社間契約 両社取締役(利益相反確認後) 両社法務・税務確認 移転価格の根拠・利益相反確認記録 取締役会議事録・承認決議記録
覚書・変更契約 原承認者と同等以上 原審査者(参考) 変更内容・変更理由・原契約との差異 原契約との紐付け記録・変更履歴
例外承認が必要な契約 社長・取締役会 法務責任者確認 例外を認める理由・リスク・代替案の検討 例外承認の判断経緯・決裁資料一式

締結・保管・台帳登録との連携

ステータス管理表

契約審査の進捗を「ステータス管理」として可視化することで、「今どこにあるのか」がリアルタイムで把握できます。

ステータス 意味 次のアクション 担当者
受付前依頼フォームが未提出事業部へ依頼フォームの提出を促す法務・事業部
受付済依頼フォームを受領・内容確認中受付時チェックリストで情報充足確認法務
情報不足・差戻し中情報不足で受付不可・差戻し通知済事業部が不足情報を補完して再提出事業部
法務確認中法務担当者がレビュー中コメント・修正案の作成法務
事業部確認中法務コメントを事業部が確認中事業部が修正方針を決定し法務へ回答事業部
相手方交渉中事業部が相手方と修正交渉中交渉結果を法務に報告・最新版を共有事業部
法務責任者確認中法務責任者がレビュー・承認中法務責任者のコメント・承認待ち法務責任者
決裁待ち稟議・決裁申請中決裁者の承認を取得する事業部・決裁者
締結待ち承認済・締結手続き中電子署名 or 捺印・締結版確定法務・事業部
締結済双方署名済・締結版確定保管・台帳登録法務
台帳登録済台帳への登録完了・更新期限設定済更新期限アラート確認・フロー完了へ法務
完了全フロー完了覚書・変更対応に備えて台帳継続管理法務
保留事業判断待ち・条件整備中保留理由と再開予定日を記録事業部・法務
取下げ事業中止・取引断念等で審査終了取下げ理由を記録・台帳に取下げ記録事業部

証跡として残すべき情報一覧

証跡情報 記録すべき内容 活用場面
依頼日時フォーム提出日時(タイムスタンプ)審査期間の計測・SLA管理
依頼者氏名・部署・メールアドレス退職時の引継ぎ・連絡先確認
依頼内容フォーム入力内容の全項目審査の前提情報・紛争時の証拠
契約書ファイル版番号付きファイル(全バージョン)修正経緯の確認・締結版特定
関連資料見積書・提案書・商談メモ契約背景の確認・紛争時の証拠
差戻し理由差戻し文・差戻し日時・対応状況繰り返し差戻しの防止・教育
法務コメント条項ごとのコメント・修正理由次回類似案件での参照・引継ぎ
修正履歴各バージョンの修正内容・修正者「なぜその条件になったか」の確認
相手方コメント相手方の修正要求・交渉経緯交渉の引継ぎ・紛争時の証拠
承認者承認者の氏名・役職決裁権限の確認・監査対応
承認日時承認を取得した日時承認前後の行為の明確化
決裁資料稟議書・リスクサマリー等監査・紛争時の証拠
締結版ファイル最終締結版(双方署名済)契約内容の確認・紛争対応
台帳登録日時台帳への登録日時運用管理・更新期限起算
更新期限設定更新期限・通知設定の記録更新漏れ防止・アラート管理
担当者変更履歴担当者変更の日時・変更理由引継ぎの確認・責任の明確化

よくある失敗パターン

# 失敗パターン 発生する問題 対策
1メール・チャット・口頭依頼が混在する全体把握が不能・抜け漏れ発生依頼窓口を依頼フォームに一本化する
2依頼内容が不足している法務が背景確認から始まり審査が遅延必須項目を設定した依頼フォームを導入する
3法務が背景を聞き直すところから始まる事業部・法務双方の時間を消費受付時チェックリストで情報充足を確認し、不足は差し戻す
4希望期限だけが短く設定される品質を犠牲にした審査または審査拒否優先順位判断表を用いて客観的に優先度を設定する
5優先順位が「声の大きい人」順になるリスクの高い案件が後回しになる優先順位判断基準を明文化して運用する
6差戻し理由が記録されない同じ情報不足が繰り返し発生する差戻し理由テンプレートを用いて記録する
7修正履歴が残らない「なぜその条件になったか」が不明になる版番号付きでファイルを管理し、修正理由を都度記録する
8相手方との交渉経緯が分からない担当者交代時に交渉が振り出しに戻る交渉経緯をフロー上に記録する(メールの添付も有効)
9決裁者が誰か分からない承認ルートが迷子になり締結が遅延承認ルート設計表を整備し、依頼時に決裁者を確認する
10締結版がどれか分からない誤った版で運用・紛争時の証拠が不明締結版を明示的に確定し、版管理ルールを設ける
11台帳登録されない更新漏れ・覚書管理の混乱「台帳登録済」をフローの完了条件とする
12担当者の退職で経緯が消える過去案件の経緯・判断理由が失われる差戻し理由・法務コメント・修正履歴を全てシステムに記録する

ワークフロー化による解決

契約審査フロー改善チェックリスト

自社の契約審査フローを点検する

契約審査依頼窓口が一本化されている(フォーム以外の依頼は原則受け付けない)
依頼フォームがある(必須項目が設定されている)
受付時の情報不足チェックリストがある
情報不足時の差戻しルール・テンプレートがある
優先順位の判断基準が明文化されている
契約類型別の審査ルート表がある
承認・決裁ルートが明確に設計されている
ステータス管理ができている(全員が現状を把握できる)
審査コメント・差戻し理由が記録されている
修正履歴が版番号付きで管理されている
締結版が明確に確定・保管されている
審査完了後、契約台帳へ登録されている
更新期限がアラート設定されている
覚書・変更契約が原契約と紐付いている
監査ログ・証跡が残っている

LegalOSによるワークフロー管理

上記チェックリストの項目を手動・Excelで実現しようとすると、ルールの周知・定着・継続運用に多大な労力がかかります。LegalOSでは、以下の機能で契約審査フロー全体を一体管理できます。

  • 契約審査ワークフロー:STEPごとの担当者・アクションを可視化
  • 依頼情報の標準化:依頼フォームの設計・必要項目の定義と運用
  • 契約ステータス管理:リアルタイムで進捗を把握
  • 差戻し・コメント履歴の保存:差戻し理由・法務コメントを蓄積
  • 承認・決裁フロー:承認ルートに沿った回付・承認記録
  • 契約台帳との連携:審査完了後の台帳登録・更新期限設定を運用フローに組み込める
  • 契約書ファイルとの紐付け:版管理・締結版の明示的管理
  • 証跡保存・監査ログ:全操作の記録・監査対応
  • グループ会社横断管理:複数法人の契約審査を一元管理
🔗 LegalOS

契約審査フローを「流れる仕組み」にする

依頼受付から台帳登録まで、属人化しない契約管理ワークフローをLegalOSで構築できます。

  • 依頼フォーム・依頼情報の標準化
  • ステータス管理・差戻し・コメント履歴
  • 承認・決裁フロー・証跡保存・監査ログ
  • 契約台帳連携・更新期限アラート
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よくある質問

Q. 契約審査フローとは何ですか?
事業部からの依頼受付から、法務による審査・修正・承認・締結・台帳登録・更新管理までを一体として設計した業務プロセスのことです。「法務にメールを送ること」だけが審査ではなく、締結後の管理まで含めて設計することが重要です。
Q. 契約審査依頼フォームには何を入れるべきですか?
依頼部署・依頼者・契約相手方・契約類型・契約目的・取引概要・契約金額・契約期間・希望回答期限・締結希望日・自社ひな形か相手方提示か・契約書ファイル・過去契約の有無・決裁要否などが最低限必要です。情報が不足していると法務が背景確認から始めることになり、審査が遅延します。
Q. 法務に依頼する前に事業部が確認すべきことは何ですか?
①契約目的と取引概要を明確にすること、②契約金額・期間を確認すること、③過去類似契約の有無を確認すること、④決裁が必要かどうかを把握すること、⑤希望回答期限に現実的な余裕を持たせることです。
Q. 契約審査の優先順位はどう決めますか?
締結期限の近さ・契約金額・事業への影響度・規制対応の有無などで判断します。「声の大きい人から先」にならないよう、優先順位判断基準を明文化して運用することが重要です。
Q. 情報不足の依頼は差し戻してよいですか?
差し戻すべきです。情報不足のまま審査を始めると、後から追加確認が発生して審査品質が下がります。差戻し理由を明確に記録し、再提出時に必要な情報を具体的に伝えることで、依頼者側も次回から正確な情報を入力するようになります。
Q. 契約審査の承認フローは誰を通すべきですか?
契約の類型・金額・リスクに応じて変わります。標準的な低リスク契約は法務担当者のみで完結できますが、高額契約・非標準条項・損害賠償上限なし・個人情報取扱い・知財権譲渡などが含まれる場合は法務責任者や事業責任者・役員への回付が必要です。
Q. 契約審査の履歴はどこまで残すべきですか?
依頼日時・依頼者・差戻し理由・法務コメント・修正履歴・相手方コメント・承認者と承認日時・締結版ファイル・台帳登録日時まで残すことが理想です。担当者が退職しても業務が引き継げ、紛争時の証跡にもなります。
Q. 契約審査完了後に台帳登録は必要ですか?
必要です。審査・締結で業務を終えてしまうと、更新期限の管理・覚書との紐付け・リスク可視化ができなくなります。審査フローの最終ステップとして、台帳登録・更新期限設定まで設計に組み込んでください。
Q. LegalOSで契約審査フローを管理できますか?
LegalOSでは、契約審査ワークフロー、依頼情報の標準化、契約ステータス管理、差戻し・コメント履歴の保存、承認・決裁フロー、契約台帳との連携、契約書ファイルとの紐付け、証跡保存、監査ログ、グループ会社横断管理を一体で支援しています。詳細はこちら

まとめ

本記事のまとめ

  • 契約審査フローは「受付→審査→承認→締結→台帳登録」まで一体で設計する
  • 属人化の根本は「窓口・フォーム・ルール・記録」の欠如。設計で解決できる
  • 依頼フォームで必要情報を標準化し、情報不足は受付段階で差戻す
  • 契約類型・金額・リスクに応じた審査ルート・承認ルートを明文化する
  • ステータス・コメント・修正履歴・承認記録をすべて証跡として残す
  • 「締結で終わり」ではなく、台帳登録・更新期限設定まで設計に含める

次の第8話「契約変更・覚書管理|原契約との紐付けと履歴管理の実務」では、審査フローの最終ステップで生まれる「覚書・変更契約」をどう管理するかを解説します。本記事のSTEP13で触れた「覚書管理への連携」の実務を詳しく扱います。

📌 Legal GPT

契約審査フローの「設計から運用」まで、Legal GPTで支援します

契約審査フローでは、「法務に送れば終わり」ではなく、依頼情報の標準化・受付・差戻し・審査・承認・締結・台帳登録・更新管理までを一連の業務として設計することが重要です。

Legal GPTでは、契約実務・法務DXに関する実務記事を発信しています。また、有料プロンプト集では、契約審査依頼フォーム設計・契約レビュー・差戻し文例・社内稟議作成に使える実務プロンプトを提供しています。

  • 契約審査ワークフロー・ステータス管理・差戻し履歴の保存
  • 承認・決裁フロー・証跡保存・監査ログ
  • 契約台帳連携・グループ会社横断管理
LegalOSの詳細はこちら →

参考・関連法令

  • 民法(令和2年施行、令和5年改正)第499条以下(契約総論)、第632条以下(請負)、第643条以下(委任)
  • 下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)
  • 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号、令和6年11月施行)
  • 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号、令和5年施行)
  • 会社法第362条(取締役会の権限)・第356条(競業及び利益相反取引の制限)・第365条(取締役会への報告等)
  • 独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)第2条・第19条

※本記事は2026年5月時点の情報に基づいています。法令改正等により内容が変わる場合があります。法的判断が必要な場合は弁護士等の専門家にご相談ください。

For LegalOS Inbox users Stage 02

整理はできた。そのあと、誰が承認しますか?

Inboxで案件を一箇所にまとめると、次に見えてくるのは「誰が承認したか」「どの版で進めたか」「なぜ差し戻したか」を残す段階です。整理の次にあるのは、組織として記録できる仕組みの問題です。

  • 承認フロー
  • 版管理
  • 差戻し履歴
  • 判断記録
  • 監査証跡
Stage 02

LegalOS

承認・稟議・判断記録・証跡まで。
Inboxの次の段階を担う、本格運用版。

LegalOSの詳細を見る

Inboxからの移行を前提に設計

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