全10STEP

レビュー方針→論点抽出→修正文案→交渉論点まで、“漏れない型”で揃える

契約レビューは、経験者でも「抜け」が起きやすい作業です。STEP化して再現可能にすると、品質が安定します。

  • 前提整理(当事者/取引/優先順位)
  • 地雷条項の抽出(損害賠償・解除・保証・責任制限など)
  • 修正文案・代替案・交渉論点(説明つき)
  • レビュー結果の報告書・メール文面まで

※機密情報の入力範囲・マスキングは社内ルールに従ってください。一般的情報提供であり、個別案件の法的助言ではありません。

契約書の保存期間は7年or10年?税法・会社法・電帳法を早見表で一発理解【2026年8月最新版】

契約書の保存期間は7年or10年?税法・会社法・電帳法を早見表で一発理解

【2026年8月最新版】法人税法・会社法・電子帳簿保存法の交点を、条文に忠実に整理する実務ガイド

📅 最終更新:2026年8月31日(2026年8月31日時点の法令・一次資料に基づき全面点検)
・【重要な修正】「契約書は会社法上『事業に関する重要な資料』に該当するため一律10年保管が必要」という記載を、条文に忠実な説明に改めました
・【重要な修正】「10年間保存すればすべての法律要件を満たせる」という記載を、電子帳簿保存法の保存”方法”要件を踏まえた説明に改めました
・令和7年度税制改正(2025年3月31日成立)による重加算税10%加重措置の除外制度を、確定した内容・適用時期(2027年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税)に更新
・令和8年度税制改正で創設された関連者間取引に係る書類保存の特例(2026年4月1日以後開始事業年度)を新規追加
・電子取引データの検索要件不要となる売上基準を1,000万円 → 5,000万円に修正(令和5年度改正、2024年1月適用)
・起算日の説明を法人税法施行規則59条2項の文言(帳簿と書類で異なる)に沿って精緻化
・建設業法・建築士法・労働基準法・製造物責任法の条文および期間を再検証し、誤った条番号・「除斥期間」表記等を修正

📌 この記事の結論(60秒で理解)

  • 期間:法人税法は原則7年(青色欠損金・災害損失金が生じた事業年度は10年)。会社法432条2項は会計帳簿と「事業に関する重要な資料」を10年。
  • 契約書の位置づけ:契約書は税法上は明文で保存対象。会社法上は「会計帳簿の記録の裏付けとなる資料」に当たる限りで10年保存の対象になり得るのであって、すべての契約書が一律に会社法上10年義務、と条文が定めているわけではありません。
  • 10年統一は「安全策」であって「万能」ではない:期間を10年に揃えるのは社内管理上合理的ですが、10年という期間だけで電子帳簿保存法を含むすべての要件を充足するわけではありません。電子取引データには保存方法の要件が別にあります。
  • 起算日:法人税法は施行規則59条2項(帳簿=閉鎖日の属する事業年度終了日の翌日から2月経過日/書類=作成・受領日の属する事業年度終了日の翌日から2月経過日。申告期限延長時は+延長月数)。会社法は432条2項=会計帳簿の閉鎖の時、435条4項=計算書類を作成した時で、両者は一致しません。
  • 2027年1月から:一定要件を満たす電子取引データ(特定電磁的記録)は重加算税の10%加重措置の対象から除外(令和7年度改正・事前届出必要)。
  • 2026年4月から:関連者との一定取引について、対価算定の根拠を補う「特定事項記載書類」の作成・7年保存が必要(令和8年度改正)。
  • 業法の上乗せ:建築士事務所の設計図書等は15年、建設業の営業に関する図書は引渡しから10年など、10年を超える/別起算のものがあります。

契約書保存期間の重要性と2026年時点の全体像

契約書の保存期間を誤ると、税務調査での否認、青色申告の承認取消し、紛争時の立証不能という重大なリスクに直面します。もっとも、実務で本当に事故が起きやすいのは「何年保存するか」よりも、「どの法律が、どの書類に、いつから、どういう状態での保存を求めているのか」を取り違えることです。

2026年8月時点で押さえるべき前提は次の3つです。

  1. 保存”期間”を定めるのは各税法・会社法・業法であり、電子帳簿保存法は保存”方法”の特例法であるという役割分担。
  2. 2024年1月以降、電子取引の取引情報は電磁的記録のまま保存することが原則義務化されており、期間を満たしていても方法要件を欠けば要件違反になり得ること。
  3. 令和7年度・令和8年度の税制改正により、電子取引データを適正に扱う事業者への優遇(2027年1月〜)と、関連者間取引の書類保存義務の上乗せ(2026年4月〜)という、方向の異なる2つの改正が同時に動いていること。

【早見表】保存期間の5秒理解(税法/会社法/電帳法)

根拠法令 対象 期間 起算点 条文
法人税法
(青色申告法人)
帳簿、決算関係書類、取引に関して受領・作成した注文書・契約書・送り状・領収書・見積書等 7年 帳簿=閉鎖の日の属する事業年度終了の日の翌日から2月を経過した日
書類=作成・受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から2月を経過した日
法人税法施行規則59条
法人税法
(普通法人等)
同上 7年 施行規則59条2項の起算日と同じ 法人税法施行規則67条
法人税法
(欠損金がある年度)
青色欠損金または災害損失金が生じた事業年度の帳簿書類 10年
(平成30年4月1日前開始事業年度は9年)
同上 法人税法施行規則26条の3/法人税法57条10項
法人税法
(令和8年度改正)
関連者との特定取引に係る特定事項記載書類(取引関連書類等に対価算定に必要な事項の記載がない場合) 7年 申告期限から 法人税法施行規則59条の2・67条の2
(2026年4月1日以後開始事業年度)
会社法 会計帳簿およびその事業に関する重要な資料 10年 会計帳簿の閉鎖の時 会社法432条2項
会社法 計算書類およびその附属明細書
(事業報告は対象外)
10年 計算書類を作成した時 会社法435条4項
会社法 計算書類等(計算書類・事業報告・これらの附属明細書等)の本店備置き 5年
(支店は写しを3年)
定時株主総会の日の1週間前(取締役会設置会社は2週間前)の日 会社法442条1項・2項
電子帳簿保存法 電子取引データ、スキャナ保存書類、電子帳簿等 期間は各税法に準拠
(法人税法なら7年・10年)
各税法と同じ 電子帳簿保存法4条・7条・8条

⚠️ 早見表を読むときの3つの注意

  1. 会社法の「10年」は契約書一般に一律に及ぶわけではありません。432条2項の対象は「会計帳簿及びその事業に関する重要な資料」であり、契約書がこれに当たるかは会計帳簿との関連性や契約の性質による個別判断です(詳細)。
  2. 電子帳簿保存法の欄は「期間」の欄が空欄同然です。電帳法は保存方法を定める法律であり、期間を10年にしただけでは同法の要件は充足しません(詳細)。
  3. 会社法432条と435条は起算点が違います。「決算日=帳簿閉鎖日=計算書類作成日」と一律に扱うと、計算書類の保存期間を実際より短く見積もる危険があります(詳細)。

📖 参考:国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」(令和7年4月1日現在法令等)



【重点】契約書は会社法上、当然に10年保存義務の対象か

📢 本記事の従前の記載を修正しました

旧版では「契約書は会社法上『事業に関する重要な資料』に該当するため、10年間の保管が必要とされています(会社法432条2項)」と記載していました。この断定は、条文の文言に照らすと踏み込みすぎです。以下のとおり修正します。

条文の文言と、そこから言えること

会社法432条2項は、保存対象を「その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料」と定めるのみで、契約書という書類種別を明示していません。法人税法施行規則59条1項3号が「注文書、契約書、送り状、領収書、見積書」と明文で列挙しているのとは、条文の作りが決定的に異なります。

「事業に関する重要な資料」の意義については、会社法433条1項の「会計帳簿又はこれに関する資料」と対応する概念として理解されており、講学上は、会計帳簿の作成の材料となった資料(伝票、受取証、契約書、信書等)がこれに当たると説明されています(江頭憲治郎『株式会社法』等)。もっとも、会社の会計に関する一切の帳簿・資料が含まれるかについては争いがあり、その範囲は法文上必ずしも明確ではありません。会計帳簿閲覧謄写請求(433条)の裁判例でも、対象範囲はしばしば争点となっています。

✅ 条文に忠実な言い方(本記事の現在の立場)

重要な契約書については、会計帳簿との関連性や契約の性質によって「事業に関する重要な資料」に当たり得るため、会計帳簿の閉鎖の時から10年間の保存が必要となる場合があります。

他方で、「株式会社が締結したすべての契約書が、会社法432条2項により当然に10年間の保存義務の対象となる」と断定することはできません。条文はそのようには書かれておらず、該当性は個別判断です。

実務での切り分け方

類型 会社法432条2項該当性の評価 実務対応
売買・請負・業務委託・賃貸借など、金銭の授受を伴い会計帳簿の記録の裏付けとなる契約書 会計帳簿の記録を実質的に裏付ける資料として該当する可能性が高い 10年保存を基本とする
基本取引契約書、継続的供給契約書など個別取引の前提となる枠組み契約 個別取引の会計処理の根拠を構成する限りで該当し得る 契約終了後も一定期間10年保存
金銭の授受を伴わないNDA、覚書、協議記録など 会計帳簿との関連性が乏しければ該当性は必ずしも明らかでない 会社法ではなく紛争リスク・秘密保持義務の存続期間を基準に社内ルールで期間設定
失効した申込書・不成立に終わった契約書案 会計帳簿の材料とならないものは該当しにくい 証跡管理上の必要性で判断

💡 実務的な帰結:会社法432条2項の射程が争いを含む以上、「該当するかを毎回判定して期間を分ける」より、金銭の授受を伴う契約書は一律10年に揃えたうえで、その根拠が”法定義務”なのか”社内の安全策”なのかを社内規程上区別して記録しておくのが、監査・当局対応の双方で説明しやすい運用です。断定的な法的根拠を台帳に書き込むと、後日その根拠が誤りだったときに管理全体の信頼性が揺らぎます。


実務判断:7年vs10年問題と「10年統一」の正しい理解

🤔 「10年統一ですべての法律要件を満たせる」は誤りです

📢 本記事の従前の記載を修正しました

旧版では「より長い期間(10年)で統一管理することで、すべての法律要件を満たせます」と記載していました。これは誤解を生じ得るため、次のとおり修正します。

保存期間を10年に統一することは、法人税法・会社法の保存”期間”を包含する社内管理上の安全策として合理的です。ただし、10年という期間を満たすだけで、電子帳簿保存法を含むすべての法令要件を充足するわけではありません。

10年統一だけでは埋まらない3つの穴

穴 内容 対応
① 保存”方法”の要件 電子取引データは、真実性の確保・可視性の確保という方法要件を満たして保存する必要がある(電帳法7条、施行規則4条)。10年間フォルダに置いておくだけでは足りない 改ざん防止措置と検索機能の整備(詳細)
② 10年を超える保存義務 建築士事務所の設計図書・工事監理報告書は15年(建築士法24条の4)。業法には10年を超えるものがある 自社に適用される業法を棚卸し(詳細)
③ 起算点の違い 建設業の営業に関する図書は「目的物の引渡しから10年」、建築士法は「作成した日から15年」。事業年度末を起点にする社内ルールでは足りない 起算点別に管理項目を分ける(詳細)

📊 リスク評価(改訂版)

方針 メリット デメリット・限界
税法どおり7年で廃棄 保管コスト・個人情報リスクの削減 会社法432条2項該当資料であれば10年に満たず違反となり得る。欠損金年度は10年必要。紛争時の立証手段を失う
一律10年で統一 期間管理がシンプルで判断ミスが減る。更正の請求期間(原則5年)・偽りその他不正の行為がある場合の更正等の期間(7年)も包含 保存”方法”要件・15年義務・別起算点はカバーできない。不要な個人情報を長期保持するリスク
10年統一+例外管理(推奨) 基本は10年、業法・電子データ・Legal Holdだけを例外テーブルで管理 例外テーブルの維持コストがかかる(ただし事故コストより小さい)

契約書種類別・業法別の保管期間一覧

📄 一般的な契約書

契約書の種類 法定保存義務の根拠 推奨保管期間 実務上の注意点
業務委託契約書 法人税法施行規則59条・67条(7年)/会社法432条2項に該当し得る 10年 成果物の契約不適合責任期間、フリーランス法対応も別途確認
売買契約書 同上 10年 製造物責任法5条1項2号(引渡しから10年で時効消滅)との関係を考慮
賃貸借契約書 同上 契約終了から10年 自動更新条項に注意。終了日が起点になるため事業年度基準の管理では拾えない
雇用契約書・労働条件通知書 労働基準法109条(5年。ただし143条3項により当分の間3年) 5年(退職・死亡の日から) 経過措置終了時期は未定。実務は5年運用を推奨。賃金台帳は最後の記入日から起算(労基則56条)
秘密保持契約書(NDA) 金銭授受を伴わない場合、会社法432条2項該当性は個別判断 秘密保持義務の存続期間+α 「契約終了後○年」の残存条項がある限り廃棄しない
ライセンス契約書 ロイヤリティ支払があれば税法上の書類に該当 権利存続期間+10年 知的財産権の存続期間・許諾範囲の立証に長期間必要

📖 関連記事:業務委託契約書雛形ガイド

🏗️ 業法による上乗せ(条文を再検証しました)

📢 旧版の条文引用を修正しました。旧版は建設工事請負契約書について「建設業法施行規則17条の2により工事完成から10年」としていましたが、これは正確ではありません。建設業法の帳簿・図書の保存を定めるのは建設業法40条の3および施行規則26条・28条です。

建設業関連(建設業法40条の3、施行規則26条・28条)

  • 営業に関する帳簿および添付書類:各事業年度の終了後5年間。ただし発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものは10年間(施行規則28条1項)。帳簿には請負契約書等の添付が求められます(施行規則26条2項)。
  • 営業に関する図書(完成図、発注者との打合せ記録、施工体系図):建設工事の目的物の引渡しをしたときから10年間(施行規則26条5項・28条2項)。保存義務を負うのは発注者から直接請け負った元請です。

建築士事務所関連(建築士法24条の4、施行規則21条)

  • 業務に関する帳簿:各事業年度の末日の翌日から15年間(法24条の4第1項、施行規則21条1項〜3項)。
  • 設計図書・工事監理報告書:作成した日から15年間(法24条の4第2項、施行規則21条4項・5項)。対象は配置図・各階平面図・2面以上の立面図および断面図等。
  • 2025年6月1日施行の改正により、保存対象図書が拡大されています(壁量計算・四分割法・N値計算に係る図書等)。国土交通省の解説を必ず確認してください。

製造業関連(製造物責任法5条)

📢 「除斥期間」という旧版の表記を修正しました。民法(債権法)改正の整備法により製造物責任法5条が改正され、2020年4月1日以降、引渡しから10年の期間は「消滅時効」であることが条文上明記されています。

  • 損害および賠償義務者を知った時から3年(人の生命・身体を侵害した場合は5年)で時効消滅(5条1項1号・2項)
  • 製造業者等が当該製造物を引き渡した時から10年を経過したときも時効消滅(5条1項2号)
  • 蓄積性・遅発性の損害は、損害が生じた時から起算(5条3項)

したがって、製造委託契約書・品質保証契約書は製品の引渡しから10年を目安に保存する意味がありますが、これは製造物責任法が保存義務を課しているのではなく、責任追及リスクへの備えとしての実務判断です。

※業種・規模により保存期間は異なります。宅地建物取引業(帳簿は閉鎖後5年、自ら売主となる新築住宅は10年)、医療、金融、廃棄物処理など、自社に適用される業法の施行規則および監督官庁のガイドラインを必ず個別に確認してください。


起算日の正確な計算方法(税法と会社法のズレ)

📅 法人税法における起算日:条文の文言はこうです

国税庁タックスアンサーは「確定申告書の提出期限の翌日から7年間」と説明していますが、これは分かりやすさを優先した表現です。施行規則59条2項の文言はより精密です。

法人税法施行規則59条2項(要旨) 起算日とは── ・帳簿:その閉鎖の日の属する事業年度終了の日の翌日から2月 (確定申告書の提出期限の延長の特例の適用を受けている場合には 2月にその延長に係る月数を加えた月数とし、清算中の内国法人に ついて残余財産が確定した場合には1月とする。以下この項において同じ。) を経過した日 ・書類:その作成又は受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から 2月を経過した日

実務上、押さえるべき3点:

  1. 帳簿と書類で条文上の起算日の定義が違います。書類は「作成または受領の日の属する事業年度」が基準です。決算日をまたいで受領した契約書がどの事業年度に属するかを取り違えると、1年ずれます。
  2. 「2月を経過した日」=申告期限の翌日。3月決算なら申告期限5月31日、起算日は6月1日です(通常はタックスアンサーの説明と一致します)。
  3. 申告期限の延長特例(法人税法75条の2)の適用を受けている場合は、2月に延長月数を加えます。「以下この項において同じ」とされているため、書類についても同様に読むことになります。会計監査人設置会社等で1か月延長していれば、起算日も1か月後ろにずれます。

計算例(3月決算・延長なし・書類の場合):

  • 契約書の受領日:2026年8月10日 → 属する事業年度は2026年4月1日〜2027年3月31日
  • 事業年度終了の日の翌日:2027年4月1日/その日から2月を経過した日:2027年6月1日(起算日)
  • 保存期間満了:2034年5月31日(7年)/欠損金年度なら2037年5月31日(10年)

申告期限を1か月延長している場合は、起算日が2027年7月1日となり、満了日もそれぞれ1か月後ろにずれます。社内台帳には「実際の申告期限(延長後)」を必ず記録してください。

📅 会社法における起算点:432条と435条は一致しません

条文 対象 起算点(条文の文言) 実際の日付
432条2項 会計帳簿および事業に関する重要な資料 会計帳簿の閉鎖の時 会計帳簿を締め切った時。通常は事業年度末に近いが、条文は「事業年度末」とは書いていない
435条4項 計算書類および附属明細書 計算書類を作成した時 決算日より後。取締役会承認前後の実際の作成時点

📢 「決算日=帳簿閉鎖日=計算書類作成日」と一律に扱ってよいか

旧版では「決算日=帳簿閉鎖日=計算書類作成日として統一管理するのが効率的」としていました。管理の簡便さという意味では否定しませんが、法的には正確ではなく、しかも危険な方向にずれます。

計算書類の作成日は決算日より後です。したがって「決算日+10年」で満了日を計算すると、本来の満了日(作成日+10年)より早く廃棄してしまうことになります。

推奨対応:

  • 計算書類・附属明細書については、実際の作成日を台帳に記録する。
  • 簡便法として決算日基準で管理するなら、「決算日+10年6か月」など安全側にバッファを持たせるルールを社内規程に明記する。
  • 会計帳簿については「閉鎖の時」が決算確定作業の完了時点であることを踏まえ、同様に安全側で運用する。

電子契約・電子取引データの実務対応(2026年最新)

💻 電子取引データ保存は「期間」ではなく「方法」の問題

2024年1月1日以降、電子取引(取引情報を電磁的方式で授受する取引)による取引情報は、電磁的記録のまま保存することが原則義務化されています(電帳法7条)。紙に出力して保存することによる代替は原則として認められません。

ここで重要なのは、保存すべき期間は法人税法等が定めるのに対し、保存すべき”状態”は電帳法施行規則が定めるという構造です。10年間データを保持していても、次の要件を欠けば要件違反となり得ます。

【真実性の確保】次のいずれかを満たすこと(施行規則4条1項)

方法 具体的な対応 特徴
① タイムスタンプが付された後の授受 送信側でタイムスタンプを付与したデータを受領する 受領側の対応負担が小さい
② 受領後のタイムスタンプ付与 最長2か月+概ね7営業日以内に付与 第三者機関による証明で信頼性が高い
③ 訂正削除の履歴が残る/訂正削除ができないシステムでの授受・保存 クラウド型の電子契約・受発注システム等を利用 タイムスタンプ不要。現在の主流
④ 事務処理規程の整備・運用 正当な理由がない訂正削除の防止に関する規程を定めて運用 システム投資なしで対応可能。国税庁がサンプルを公開

【可視性の確保】(施行規則4条1項・2条2項等)

  • システム関係書類の備付け:システム概要書、操作説明書等
  • 見読可能装置の備付け:ディスプレイ・プリンタ等により整然とした形式および明瞭な状態で速やかに出力できること
  • 検索機能の確保:①取引年月日その他の日付・取引金額・取引先による検索、②日付または金額の範囲指定、③2以上の任意の記録項目の組合せ

📢 旧版の数値を修正しました:検索要件が不要となる売上基準は「5,000万円以下」です

旧版は「小規模事業者(売上高1,000万円以下)」としていましたが、令和5年度税制改正により、2024年1月1日以後に行う電子取引から5,000万円以下に拡大されています。

税務職員による質問検査権に基づく電磁的記録のダウンロードの求めに応じることができるようにしている場合、次の者は検索機能の確保の要件がすべて不要となります。

  • 判定期間に係る基準期間の売上高が5,000万円以下の保存義務者
  • 電子取引データを出力した書面を、取引年月日その他の日付および取引先ごとに整理された状態で提示・提出できるようにしている保存義務者

なお、ダウンロードの求めに応じられるようにしている場合、上記に該当しない事業者でも②範囲指定・③項目組合せの機能は不要となります。

猶予措置(令和5年度改正で新設・宥恕措置とは別物)

次の要件をいずれも満たす場合には、改ざん防止や検索機能などの保存時に満たすべき要件に沿った対応は不要となり、電子取引データを単に保存しておくことが認められます。

  1. 保存要件に従って保存できなかったことについて、所轄税務署長が相当の理由があると認める場合(事前申請は不要)
  2. 税務調査等の際に、電子取引データのダウンロードの求めおよび出力書面(整然とした形式および明瞭な状態で出力されたもの)の提示または提出の求めにそれぞれ応じることができるようにしている場合

「相当の理由」としては、システムやワークフローの整備が間に合わない場合、資金繰りや人手不足により要件に従った保存ができない場合等が国税庁により例示されています。逆に、特段の理由がないのにあえて要件に従っていない場合は猶予措置の対象外です。2023年12月31日で廃止された宥恕措置とは別制度である点に注意してください。

📖 参考:国税庁「電子帳簿保存法一問一答(Q&A)」(電子取引関係・スキャナ保存関係・電子帳簿関係。最新版は令和8年7月版)


令和7年度・令和8年度税制改正で押さえるべき2点

🔄 ①令和7年度改正:重加算税10%加重措置の除外(2027年1月1日〜)

📢 旧版の「今後詳細が公表される予定」という記載を更新しました。本改正を含む令和7年度税制改正法は2025年3月31日に成立しており、国税庁も2025年6月27日付で電子帳簿保存法取扱通達および一問一答を改正して、本除外措置に関する項目を追加しています。制度内容と適用時期は確定しています。

制度の内容

財務省の説明によれば、取引に係るやり取りから会計・税務までのデジタル化に対応する観点から、国税庁長官が定める基準に適合するシステムを使用した上で、一定の要件を満たして送受信・保存が行われている電子取引データについては、電子取引データに関連する隠蔽・仮装行為に重加算税の割合を10%加重する措置の対象から除外する措置が講じられました。

項目 内容
対象 特定電磁的記録(電帳法8条5項)。申告所得税・法人税・消費税に係る電子取引の取引情報
システム要件 特定電子計算機処理システム(電磁的記録の訂正・削除の事実および内容を確認できる、または訂正・削除ができないもの)で、国税庁長官の定める基準に適合するもの(電帳法施行規則4条5項1号)
帳簿との関係 金額に係る記録事項を訂正・削除した上で国税関係帳簿に記録した場合に、その事実および内容を確認できること(または訂正・削除した上で記録できないこと)
対象データ デジタル庁が管理する仕様に従って送受信されたデジタルインボイス(Invoice JP PINT、JP Self-Billing)、または預貯金口座に係る決済データ等
手続 あらかじめ届出書の提出が必要
適用時期 令和9年(2027年)1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税について適用

⚠️ 誤解しやすい点:

  • 本制度は「重加算税そのものが免除される」制度ではありません。国税通則法68条による重加算税は課され、電帳法8条4項の10%の加重部分が適用されないという制度です。
  • あわせて、青色申告特別控除65万円の適用要件についても、優良な電子帳簿の保存または電子申告に加え、上記システムを使用して電子取引データを保存している者が含まれることとなりました(令和9年分以後の所得税について適用)。法人には直接関係しませんが、個人事業主の取引先への案内時に押さえておくと有用です。

🆕 ②令和8年度改正:関連者間取引に係る書類保存の特例(2026年4月1日〜)

グループ会社との取引がある企業は、こちらが実務インパクトの大きい改正です。

内国法人(公共法人を除く)が、2026年4月1日以後に開始する事業年度において、関連者との間で販売費・一般管理費その他の費用の額(法人税法22条3項2号)の起因となる取引を行った場合、受領・作成した注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類(「取引関連書類等」)に対価の額を算定するために必要な事項の記載・記録がないときは、その事項を明らかにする「特定事項記載書類」を取得または作成し、申告期限から7年間保存しなければなりません(法人税法施行規則59条の2・67条の2)。

「対価の額を算定するために必要な事項」には、取引に関する資産または役務の提供の明細、支払う対価の額の計算の明細などが含まれます。既存の書類で対価の根拠が分かるのであれば追加作成までは求められず、不足している部分を補う書類を残す仕組みです。

国税庁は2026年6月30日付で事務運営指針を公表し、法人税基本通達に第17章第3節「関連者間取引に係る書類の整理保存の特例」(17-3-1〜17-3-11)が新設されています。保存が法令の定めに従って行われていない場合は青色申告の承認の取消事由等となり得るとされている点に注意が必要です。

💡 契約書実務への含意:親子会社間の経営指導料、シェアードサービス費、ITライセンス配賦、出向者人件費負担などは、契約書に「対価の算定根拠」が書かれていないケースが非常に多い領域です。この改正は、保存すべき書類を増やすというより、契約書の記載内容そのものの見直しを迫るものと捉えるべきです。2026年4月以後開始事業年度に向けて、関連者間契約の対価条項の棚卸しを推奨します。

📖 参考:財務省「特集 令和7年度 税制改正(国税)等について」/令和7年度税制改正の大綱(納税環境整備)


スキャナ保存の要件と原本管理

📱 スキャナ保存は「任意」の制度です

紙で受領・作成した国税関係書類(契約書・領収書等)をスキャナやスマートフォンで電子化して保存し、原本を廃棄することが可能です(電帳法4条3項)。義務ではなく、採用するかどうかは各社の判断です。

スキャナ保存の主な要件(現行):

  • 入力期間:速やかに(概ね7営業日以内)、または業務処理サイクル後速やかに(最長2か月+概ね7営業日以内)
  • 解像度・階調:200dpi以上、赤・緑・青それぞれ256階調以上(カラー)。ただし令和5年度改正により、2024年1月1日以後に保存を行う書類からは「解像度・階調・大きさに関する情報の保存」要件は廃止されています(読み取り自体の要件は維持)
  • タイムスタンプ:入力期間内に付与。訂正削除の履歴が残る(または訂正削除ができない)システムに入力期間内に格納する場合は付与不要
  • 入力者等情報の確認:令和5年度改正により廃止
  • 相互関連性:令和5年度改正により、対象が重要書類(契約書・領収書等)に限定(一般書類は不要)
  • 検索機能:取引年月日・取引金額・取引先。ダウンロードの求めに応じられる場合は範囲指定・項目組合せの機能は不要

詳細は国税庁「電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】」(最新版は令和8年7月版)を必ずご確認ください。

📄 原本を廃棄してよいか、という別論点

税法上スキャナ保存の要件を満たせば原本廃棄は可能です。しかしそれは税法上の話であって、民事上の立証や他法令の要求とは別問題です。重要契約書について原本を一定期間残す実務上の理由は次のとおりです。

  • 民事訴訟における文書の成立の真正:押印の顕出(民事訴訟法228条4項の推定)を争われた場合、原本の存在が意味を持つ場面があります
  • 更正の請求:国税通則法23条1項により原則として法定申告期限から5年間可能
  • 印紙税:過誤納還付の請求には原本が必要となる場合があります
  • 取引先の要請:M&Aデューデリジェンス等で原本確認を求められるケース

推奨運用(重要度別の原本保管):

  • A級(重要):10年間原本保管(M&A関連、不動産、大型・長期契約、訴訟リスクが高い契約、押印を争われる可能性がある契約)
  • B級(標準):5年間原本保管 → 以降はスキャンデータのみ(一般的な取引契約書)
  • C級(軽微):要件を満たしたスキャナ保存後、原本廃棄可(定型的・少額の取引書類)

この区分は法定のものではなく、社内リスク管理上の設計です。文書管理規程に区分基準と決裁者を明記してください。


保存期間・保存要件違反のペナルティ

⚠️ 税務上のリスク

  1. 青色申告の承認取消し:帳簿書類の備付け・記録・保存が法令に従って行われていない場合、青色申告の承認取消事由となり得ます(法人税法127条1項1号)。令和8年度改正で創設された関連者間取引の書類保存特例についても、保存が行われていない場合は取消事由等となり得るとされています。
  2. 繰越欠損金控除の否認:前述のとおり、欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存は控除の適用要件です(法人税法57条10項)。
  3. 推計課税:帳簿書類の不備により、推計による課税がなされるリスク。
  4. 損金算入の否認:証憑がないことにより費用性の立証ができず、損金算入が認められないリスク。
  5. 重加算税:隠蔽・仮装があった場合、過少申告加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%(国税通則法68条)。過去5年内に無申告加算税等を課されたことがある等の場合はさらに10%加重、電子取引データに関連する隠蔽・仮装の場合も10%加重(電帳法8条4項)。この電子取引データに係る10%加重が、2027年1月1日以後は一定要件を満たすデータについて適用除外となります(前述)。

⚖️ 会社法上のリスク(旧版の記載を精緻化しました)

📢 「会社法432条・435条違反=100万円以下の過料」という単純な整理は、条文構造に照らすと正確ではありません。

会社法976条は、取締役等が同条各号のいずれかに該当する場合に100万円以下の過料に処する旨を定めています。各号には、会計帳簿・計算書類・附属明細書等に記載・記録すべき事項を記載・記録せず、または虚偽の記載・記録をしたとき(7号)、正当な理由なく書類等の閲覧・謄写等を拒んだとき(4号)などが列挙されています。

他方、432条2項の「保存」を怠ったこと自体を直接の過料事由として明示する規定は置かれていません。もっとも、保存を怠れば、結果として会計帳簿閲覧謄写請求(433条)への対応不能や記録の不存在という形で976条各号の問題に接続し得ますし、より実質的には次のリスクが問題となります。

  • 取締役の任務懈怠責任(会社法423条):適切な内部統制システムの構築・運用義務違反として、会社に対する損害賠償責任を問われる可能性
  • 会計監査・内部監査での指摘:是正対応のコストと時間の発生、監査意見への影響
  • 株主による会計帳簿閲覧謄写請求(433条)への対応不能:紛争局面での不利益

実務上の最大リスクは、罰則ではなく立証不能です。

契約書が存在しないことにより、

  • 合意した取引条件(納期・品質基準・責任上限・準拠法・管轄)を立証できない
  • 秘密保持義務や競業避止義務の存在自体を主張できない
  • 債権の存在・金額を証明できず、回収が困難になる

という帰結が生じます。過料の額よりも、こちらの損失のほうが桁違いに大きくなるのが通例です。


廃棄判断の6ステップ(実務フロー)

「事業年度末から10年経ったので廃棄」という一次元の判断は危険です。契約書の廃棄可否は、次の6つをすべてクリアして初めて確定します。

  1. ① 法定保存期間は満了しているか
    法人税法(7年/10年)、会社法432条2項・435条4項(10年)、消費税法、業法(建設業法・建築士法等)、労働基準法。起算点が法令ごとに異なる点に注意(事業年度末/会計帳簿の閉鎖の時/計算書類の作成時/目的物の引渡し/図書の作成日/退職の日)。
  2. ② 契約終了日から見て十分か
    保存期間の起算を「締結日の属する事業年度」で管理していると、長期契約は契約が生きている間に保存期間が満了してしまいます。契約終了日を別項目として台帳に持ち、終了日基準でも期間を判定する。
  3. ③ 自動更新されていないか
    自動更新条項がある契約は、更新のたびに契約終了日が後ろにずれます。更新通知の記録・不更新通知の有無まで含めて、現に有効かを確認する。旧版の契約書一式が現行契約の内容を構成している場合もあります。
  4. ④ 終了後に存続する義務はないか
    秘密保持義務(終了後3年〜5年、または無期限)、契約不適合責任・保証期間、競業避止義務、知的財産の帰属、個人情報の取扱い、監査受入義務、精算条項。残存条項が生きている限り、契約書は廃棄できません。
  5. ⑤ Legal Hold(証拠保全)がかかっていないか
    係争中・係争が合理的に予見される案件、税務調査、当局照会、内部通報調査、会計監査、M&Aデューデリジェンス。Legal Holdは法定保存期間に優先します。廃棄予定リストを法務が最終確認する運用を制度化する。
  6. ⑥ 電子データは「方法」の要件を満たして保存されているか
    電子取引データについては、期間だけでなく、真実性の確保・可視性の確保を満たした状態で保存されているかを確認する。システム移行・サービス解約の際に検索機能や訂正削除履歴が失われていないか、移行後のデータが要件を満たすかを移行前に検証する。

✅ 実装のコツ:①だけをシステムで自動判定し、②〜⑥は「自動廃棄をブロックするフラグ」として台帳に持たせるのが現実的です。①で満了しても、②〜⑥のいずれかにフラグが立っていれば廃棄予定リストから自動的に除外される設計にしておけば、担当者の判断ミスを構造的に防げます。


実務的な保管方法とベストプラクティス

📂 効率的な保管体制の構築

1. 分類・整理の統一基準

【推奨分類方法】 契約書ライブラリ/ ├── 2025年度/ │ ├── 契約書類/ │ │ ├── 売買契約/ │ │ ├── 業務委託契約/ │ │ ├── 関連者間契約/ ← 令和8年度改正対応(対価算定根拠の有無を管理) │ │ └── その他契約/ │ ├── 取引証憑/ │ └── 計算書類/ ├── 2026年度/ │ └── (同様の構造) ├── 電子取引データ/ ← 保存”方法”要件の対象。別管理を推奨 └── 廃棄予定/ └── 2016年度以前(保存期間満了・Legal Hold確認済)

2. 保存期間管理台帳の項目(改訂版)

書類名 作成/受領日 契約終了日 残存条項 起算日 廃棄可能日 保存媒体 Hold
A社業務委託契約書 2026/4/1 2029/3/31
(自動更新)
秘密保持5年 2027/6/1 2037/6/1
(終了+5年と比較)
電子取引 —
B社売買契約書 2026/6/15 2026/12/31 — 2027/6/1 2037/6/1 紙原本 —
C社基本契約書 2024/9/1 継続中 競業避止3年 2025/6/1 —(係争中) 電子取引 Hold中

旧版の台帳例では「法的根拠:会社法435条」等を書類ごとに記載していましたが、条文の適用関係は個別判断を要するため、台帳には「根拠区分(税法/会社法/業法/社内ルール)」を記録し、条文の断定は文書管理規程側にまとめる運用を推奨します。

3. デジタル化を進める際の留意点

電子化で新たに生じるリスク:

  • システム移行時のデータ移行:訂正削除履歴・タイムスタンプ・検索メタデータが移行後も維持されるかを、移行前に検証する
  • クラウドサービス解約時:解約後もデータを保存期間の満了まで要件を満たした状態で保持できるか、契約段階で確認する(データエクスポート形式・解約後の保持期間)
  • アクセス権限:訂正削除権限を誰が持つかは、真実性の確保の評価に直結する
  • バックアップと可用性:災害時にも見読可能性を確保できる体制

📖 参考:業務委託契約書の雛形とチェックリスト/契約書管理のDX戦略とAI導入のROI


よくある質問(FAQ)

Q1. 契約書の保存期間は7年と10年のどちらですか?

A. 根拠法によって異なります。法人税法上は原則7年(青色欠損金または災害損失金が生じた事業年度のものは10年)。会社法432条2項は会計帳簿と「その事業に関する重要な資料」を10年としており、契約書は会計帳簿の記録の裏付けとなる限りでこれに当たり得ます。ただし、すべての契約書が一律に会社法上10年義務の対象になると条文が定めているわけではありません。実務では管理を簡素化するため10年統一が広く採用されていますが、それは安全策であって、10年にすれば全法令をクリアできるという意味ではありません。

Q2. 10年間保存すれば、すべての法律要件を満たせますか?

A. 満たせません。理由は3つあります。

  • 保存”方法”の要件が別にあります。電子取引データは、真実性の確保・可視性の確保を満たした状態で保存する必要があります(電帳法7条、施行規則4条)。10年間フォルダに置くだけでは要件違反となり得ます。
  • 10年を超える義務があります。建築士事務所の設計図書・工事監理報告書は15年(建築士法24条の4)。
  • 起算点が異なるものがあります。建設業の営業に関する図書は目的物の引渡しから10年、労働関係書類は退職の日から起算するなど、事業年度基準では拾えません。
Q3. 保存期間の起算日はいつからですか?

A. 法人税法施行規則59条2項では、帳簿は「閉鎖の日の属する事業年度終了の日の翌日から2月を経過した日」、書類は「作成または受領の日の属する事業年度終了の日の翌日から2月を経過した日」です。確定申告書の提出期限の延長特例の適用を受けている場合は、2月に延長月数を加えます。

会社法では、会計帳簿等は会計帳簿の閉鎖の時(432条2項)、計算書類および附属明細書は計算書類を作成した時(435条4項)が起算点で、両者は一致しません。計算書類の作成日は決算日より後ですので、「決算日+10年」で管理すると本来より早く廃棄することになります。

Q4. 電子取引データの保存で注意すべきことは?

A. 2024年1月以降、電子取引の取引情報は電磁的記録のまま保存することが原則義務化されています(電帳法7条)。

  • 真実性の確保:タイムスタンプの付与、訂正削除の履歴が残るシステムでの授受・保存、訂正削除ができないシステムでの保存、または事務処理規程の整備・運用のいずれか
  • 可視性の確保:システム関係書類の備付け、見読可能装置の備付け、検索機能の確保
  • 検索要件の緩和:ダウンロードの求めに応じられる場合、基準期間の売上高5,000万円以下の事業者、または出力書面を日付・取引先ごとに整理して提示・提出できる事業者は、検索要件がすべて不要
  • 猶予措置:要件に従って保存できなかったことに相当の理由があると所轄税務署長が認め、かつダウンロードの求めと出力書面の提示・提出の求めに応じられる場合は、保存要件に沿った対応が不要(事前申請不要)

参考:国税庁「電子帳簿保存法一問一答」

Q5. 令和7年度税制改正で電子取引データの取扱いはどう変わりましたか?

A. 令和7年度税制改正法(2025年3月31日成立)により、国税庁長官が定める基準に適合するシステムを使用し、一定の要件を満たして送受信・保存された電子取引データ(特定電磁的記録)については、電子取引データに関連する隠蔽・仮装行為に対する重加算税10%加重措置の対象から除外されます。あらかじめ届出書の提出が必要です。

適用時期は令和9年(2027年)1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税です。重加算税そのものが免除されるわけではなく、加重部分が適用されないという制度である点にご注意ください。

Q6. グループ会社との取引について、2026年から何か変わりますか?

A. はい。令和8年度税制改正により、2026年4月1日以後に開始する事業年度から、内国法人が関連者との間で販管費等の起因となる取引を行った場合、注文書・契約書等の取引関連書類等に対価の額を算定するために必要な事項の記載・記録がないときは、それを明らかにする「特定事項記載書類」を取得・作成し、申告期限から7年間保存する必要があります(法人税法施行規則59条の2・67条の2)。保存が行われていない場合は青色申告の承認取消事由等となり得ます。経営指導料・シェアードサービス費・費用配賦などの関連者間契約は、契約書の対価条項の記載内容から見直しを推奨します。

Q7. 保存期間違反のペナルティは?

A. 主なリスクは次のとおりです。

  • 税務上:青色申告の承認取消し(法人税法127条1項1号)、繰越欠損金控除の否認(同57条10項)、推計課税、損金算入の否認、重加算税(35%/40%。電子取引データ関連の隠蔽・仮装は10%加重)
  • 会社法上:帳簿・書類への記載記録の懈怠や虚偽記載、閲覧謄写請求の拒絶等は100万円以下の過料(976条各号)。保存懈怠そのものを直接の過料事由とする明文はありませんが、取締役の任務懈怠責任(423条)が問題となり得ます
  • 実務上:紛争時に契約条件を立証できず、債権回収・責任限定・秘密保持の主張が困難になる

まとめ:実務担当者への提言

✅ 今すぐ実行すべき6つのアクション

  1. 期間の統一と根拠の分離:基本は10年統一で運用しつつ、その根拠が法定義務か社内ルールかを文書管理規程で区別する。契約書一般について「会社法上10年義務」と断定した記載を規程・台帳から削除する。
  2. 起算日ルールの明文化:法人税法(帳簿/書類の別、申告期限延長の有無)、会社法432条(閉鎖の時)と435条(作成した時)の違いを規程に落とす。計算書類は実際の作成日を記録する。
  3. 電子取引データの「方法」監査:期間ではなく、真実性の確保・可視性の確保を満たしているかを年1回点検する。特にシステム移行・サービス解約の前後。
  4. 業法の棚卸し:自社に適用される業法(建設業法・建築士法・宅建業法等)の保存期間と起算点を一覧化し、事業年度基準では拾えないものを別テーブルで管理する。
  5. 2026年4月への対応:関連者間契約について、対価の算定根拠が契約書に記載されているかを棚卸しし、不足分の補完書類の作成フローを整備する。
  6. Legal Holdの制度化:廃棄予定リストの法務最終確認を必須手続とし、係争・調査・監査の情報が廃棄プロセスに確実に届く経路を作る。

🎯 中長期的な視点

2027年1月に向けた準備

  • デジタルインボイス(Peppol/Invoice JP PINT)対応システムの導入検討
  • 重加算税10%加重の除外措置を利用する場合、システム要件の適合性確認と届出書提出のスケジューリング
  • 受発注データと会計帳簿の自動連携(デジタルシームレス)の設計

リスクマネジメントの強化

  • 法改正情報の継続的収集(国税庁・財務省・法務省・所管官庁の公表資料を一次情報で確認する体制)
  • 外部専門家との定期的な相談体制(弁護士・税理士)
  • 内部監査における文書保存状況チェック項目に「保存方法要件」を追加
  • 社内研修による法務リテラシー向上



【免責事項】

本記事は2026年8月31日時点で確認できた法令および公的資料に基づいて作成したものであり、特定の事案に対する法的助言を提供するものではありません。とりわけ、会社法432条2項の「事業に関する重要な資料」の該当性、電子帳簿保存法の保存要件の充足性、業法の適用範囲については、事案ごとの個別判断を要します。個別具体的な案件については、必ず弁護士・税理士等の専門家にご相談ください。また、法令および解釈は変更される可能性がありますので、最新の一次資料を必ずご確認ください。

この記事が契約書管理の実務改善に役立ちましたら、ぜひ社内での共有をお願いいたします。より詳細な法的アドバイスが必要な場合は、企業法務に精通した弁護士・税理士にご相談されることをお勧めします。

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📦 このプロンプトに収録されている内容

  • 契約書保管規程:条文形式の社内規程案を自動生成(コピペで使用可能)
  • 契約種類別の保管期間一覧表:会社法・労働基準法・法人税法に基づく保管期間を整理
  • 紙契約・電子契約の保管方法設計:キャビネット・外部倉庫・クラウドストレージの使い分け
  • 廃棄手続きフローと判断基準:法定期間経過後の適切な廃棄プロセスを明示
  • 運用チェックリスト:契約締結時・終了時・年次棚卸しの実務手順
  • 段階的な実施計画:3フェーズの導入スケジュールと予算見積もり
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📊 難易度 ★★☆ 中級
📄 ページ数 約10ページ
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💡 使い方のヒント:PDFのプロンプト本体をコピーし、お使いのAI(ChatGPT/Claude/Gemini)に貼り付けるだけ。会社の規模・業種・現状の保管方法を入力すれば、法令に準拠した契約書保管規程が自動生成されます。電子帳簿保存法の義務化対応にも対応済みです。