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法務実務を、記事で学ぶだけで終わらせない

契約レビュー、ハラスメント対応、契約管理、マスキング、AI法律相談など、 目的に合わせて使える実務ツール・プロンプト集をまとめています。

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「LegalOSシリーズ活用ガイド|法務DXツールを業務別に使い分ける全20話」
第1話:LegalOSシリーズとは /  第2話:LegalOSとプロンプト集の違い /  第3話:一人法務にLegalOSが向いている理由 /  第4話:契約依頼が散らばる会社に必要な仕組み /  第5話:契約審査の進捗管理 /  第6話:契約書の版管理・添付資料管理 /  第7話:承認・決裁・差戻しの記録 /  第8話(本記事):LegalOS Inboxとは|法務相談・依頼の受付ツール
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1. はじめに|メール・相談・依頼は、届いた時点では「案件」ではない

法務相談や契約依頼の多くは、まずメールやチャットで届きます。Outlookの受信箱に、件名「ご相談」「契約書の件」「至急」といった漠然とした相談が並び、本文には事業部の状況説明、相手方とのやり取り、過去の経緯が長く書かれている。添付資料は別便、補足情報は口頭、追加の確認はチャット――一人法務・少人数法務であれば、こうした風景に覚えがあるはずです。

しかし、こうしてメールで届いた時点では、相談はまだ「案件」になっていません。相談内容、依頼者、契約類型、添付資料、希望期限、追加確認事項などが整理されていないため、法務担当者は毎回メールスレッドを読み解き、添付を遡り、過去の経緯を頭の中で再構成することになります。

本記事では、LegalOS Inboxを、メール・相談・依頼・添付資料を法務案件として受け付け・整理するための入口整理ツールとして位置づけ、その役割と使いどころを整理します。あわせて、LegalOS本体・LegalOS 法律相談・LegalOS マスキング・法務AIプロンプト100選との役割分担を明確にします。

法務相談や契約依頼がメール・チャットに埋もれている場合は、まず受付内容と添付資料を案件単位で整理する仕組みが必要です。メール・相談・依頼を法務案件として整理したい場合は、LegalOS Inboxを含むLegalOSシリーズをご確認ください。

2. まず結論|LegalOS Inboxは「メールを案件に変える入口」

結論から述べると、LegalOS Inboxは次のようなツールです。

  • メール本文をそのまま読むのではなく、相談内容・依頼内容を整理する
  • 本文と分離しがちな添付資料を、相談単位でまとめる
  • 届いた相談を「契約レビュー依頼」「法令相談」「社内問い合わせ」などに分類する
  • 必要に応じて、LegalOS本体(審査・承認・記録)やLegalOS 法律相談(相談内容の一次整理)につなぐ
  • 受付段階の判断材料を整え、法務担当者が判断しやすい状態にする

重要なのは、LegalOS Inboxは法務判断を代替するものではないという点です。Inboxが整えるのは「受付・仕分け・案件化」までであり、法的判断・回答方針・承認可否は、これまでどおり法務担当者・責任者、必要に応じて弁護士・専門家が行います。

本記事のスタンス:受付整理の仕組みは、ツール単体では完結しません。社内ルール(相談受付窓口、必須項目、添付資料ルール、AI入力可否ルールなど)と組み合わせて初めて運用に乗ります。本記事ではLegalOS Inboxを「整理の道具」として紹介し、運用ルール側の論点も併記します。

3. 図解|メール相談が埋もれる8つのパターン

まず、メール相談がなぜ「案件」として整理しにくいのかを、よくあるパターンで整理します。心当たりがある項目が多いほど、受付整理の仕組みが必要な状態だといえます。

長いメールスレッド
返信が10往復を超え、どこに本題があるか追えなくなる。最初の依頼内容を読み直さないと判断できない。
件名が曖昧
「ご相談」「契約書の件」など、後から検索しても何のメールか分からない。同じ件名で別案件が走っていることもある。
添付資料が複数回送られる
v1、v2、v2修正、最終、最終2 ―― どれが最新の検討対象か分からない。違うメールに最新版が紛れることもある。
途中で相談内容が変わる
最初は契約レビュー依頼だったが、途中から損害賠償の議論になっている。論点が混ざり、回答方針も曖昧になる。
CCが多すぎる
関係部署・上長・役員までCCに入り、誰が一次窓口で誰が決裁者か不明。返信の宛先選びにも気を遣う。
口頭補足が混ざる
「さっき廊下で聞いた話」「会議で言われた前提」がメールに反映されない。記録に残らないまま判断材料になる。
チャットで追加説明が来る
メール本文を補足する説明がチャットに分散。メールだけ読んでも全体像がつかめない。
誰が回答待ちか分からない
事業部待ちなのか、法務確認中なのか、決裁待ちなのかが見えない。気付けば1週間止まっていた、ということが起きる。

4. メール相談・契約依頼が埋もれると起きる実務上の問題

図解1のような状態が続くと、次のような実務上の問題が積み重なります。いずれも法務品質ではなく、受付・整理の段階で発生している問題であることがポイントです。

  • 相談内容が分からない:本文を最初から読み直さないと、何の相談か把握できない。
  • 何を判断すべきか分からない:論点が複数混ざり、回答ゴールが定まらない。
  • 添付資料の最新版が分からない:v1・v2が混在し、誤って古いバージョンを審査してしまうリスクがある。
  • どのメールに重要情報があるか分からない:判断の根拠になる事実がスレッドの中段や別メールに散らばっている。
  • 回答期限・優先度が見えない:「至急」と書かれているが、本当の期限が不明。
  • 担当者不在時に引継ぎできない:受信箱を共有していないと、休暇中の案件が止まる。
  • 過去の類似相談を探せない:件名が曖昧なため、検索しても引っかからない。
  • 法務相談と契約依頼が混在する:受付プロセスが分かれていないため、優先順位を付けにくい。

これらは「法務担当者の力量」の問題ではなく、受付段階で案件化されていないことに起因します。逆にいえば、受付段階の整理を仕組み化することで、多くは緩和できます。

5. LegalOS Inboxで整理する基本項目

LegalOS Inboxの中心的な役割は、メール本文・添付資料・補足情報を、案件単位の「受付情報」に整理することです。整理すべき項目は、案件の種類によって増減しますが、基本形は次のとおりです。

  • 相談件名:後から検索できる具体的な件名(「A社業務委託契約レビュー」など)
  • 依頼者:個人名と連絡先
  • 所属部門:事業部・本部・拠点など
  • 相談種別:契約レビュー依頼、契約締結前相談、法令相談、人事労務相談 ほか
  • 相談概要:3〜5行程度の要約
  • 契約類型:業務委託、売買、賃貸借、NDAなど(契約案件の場合)
  • 相手方:会社名・属性(必要に応じてマスキング対象)
  • 添付資料:契約書ドラフト、別紙、メール、議事録など
  • 希望期限:「いつまでに」を具体的に
  • 緊急度:高・中・低
  • 関係者:上長、決裁者、CC範囲
  • 追加確認事項:受付段階で不足している情報
  • 次アクション:「法務確認中」「事業部に確認依頼」「LegalOS本体で審査着手」など

表1:LegalOS Inboxで整理する項目一覧

整理項目 具体例 整理する理由 未整理の場合の問題
相談件名 「A社業務委託契約レビュー」 後から検索・参照しやすくする 件名が曖昧で過去案件を引けない
依頼者 営業部 田中 確認・連絡先を一元化する 誰に確認すべきか分からない
所属部門 営業本部 関東支社 担当範囲・決裁ラインを把握する 決裁ラインや確認先を毎回探す
相談種別 契約レビュー依頼 受付後のフローを分岐させる 契約と一般相談が同一フローに混在
相談概要 業務委託の責任範囲・損害賠償上限の妥当性を確認 判断すべきポイントを言語化する 毎回本文を読み直すことになる
契約類型 業務委託契約 適用条文・社内雛形を特定する 雛形・チェックリストを当てづらい
相手方 株式会社X(要マスキング) 利害関係・情報管理ルールを判断する NDA違反・情報漏えいの懸念
添付資料 契約ドラフトv2、別紙、議事録 最新版・対象範囲を確定する 旧版で審査してしまうリスク
希望期限 5月30日 17時まで 優先順位付けと逆算スケジューリング 「至急」だけで実期限が不明
緊急度 他案件と並べた優先順位を可視化 本来急がない案件が割込みで優先される
追加確認事項 取引条件、相手方の信用状況、過去取引 判断に必要な情報の不足を見える化 情報不足のまま審査してしまう
次アクション 事業部に追加質問送付 誰待ちで何が止まっているかを明示 誰待ちか分からず案件が止まる

6. 図解|LegalOS Inboxの受付整理フロー

LegalOS Inboxの基本的な使い方は、メール・相談・依頼を次のような流れで案件化することです。各ステップで「Inboxで整理すること」と「人間が判断すること」を明確に分けて運用すると、ツール依存になりません。

1
メール・相談を受ける
Inboxメール・チャット・口頭メモを受付に集約/人間受付窓口の指定
2
相談内容を要約する
Inbox本文・補足から相談概要を3〜5行に整理/人間論点の妥当性確認
3
関連資料をまとめる
Inbox添付・別便・チャット資料を案件単位に紐付け/人間最新版・対象範囲の確定
4
相談種別を分類する
Inbox契約レビュー/法令相談/社内問い合わせなどに振り分け/人間分類基準の決定
5
追加確認事項を洗い出す
Inbox受付項目の不足を可視化/人間依頼者への確認・回答待ちの判断
6
案件化する
Inbox案件番号・件名・期限・担当を付与/人間受付完了の確定
7
LegalOS本体またはLegalOS 法律相談へつなぐ
Inbox案件情報の引継ぎ/人間審査着手・相談一次整理の判断
8
記録化する
Inbox受付履歴・添付・分類・次アクションを保管/人間後日参照・棚卸し

7. LegalOS Inboxと通常のメールボックス管理の違い

LegalOS Inboxは、メールクライアントの代替ではありません。両者の違いを役割で整理すると、次のような対比になります。

  • メールボックスは時系列管理、Inboxは案件単位の管理
  • メールボックスは検索前提、Inboxは受付・仕分け前提
  • メールボックスでは添付資料や補足説明が分散しやすい。Inboxでは案件単位で集約する
  • メールボックスは個人の整理術に依存するが、Inboxは受付項目を共通化することで属人化を下げられる
  • メールボックスは「届いた」記録、Inboxは「受け付けて整理した」記録

言い換えると、メールボックスは通信の場、LegalOS Inboxは受付の場です。両者は補完関係にあり、Inboxを使うからといってメールを使わなくなるわけではありません。

通常のメールボックス
時系列・スレッド前提
  • 時系列で流れる
  • 件名に依存して識別する
  • 添付資料が複数メールに分散
  • 相談種別が把握しにくい
  • 休暇中の引継ぎがしにくい
  • 過去の類似相談を探しにくい
LegalOS Inbox
案件単位・受付前提
  • 案件単位で整理する
  • 相談概要を要約しておく
  • 添付資料を案件単位でまとめる
  • 相談種別で分類する
  • 次アクションを残せる
  • 引継ぎ・検索がしやすい
📥 受付段階の整理に困っている場合 Outlookメールや長い相談メール、添付資料が散らばる依頼を受付段階で整理したい場合は、LegalOS Inboxを含むLegalOSシリーズをご確認ください。

8. LegalOS InboxとLegalOS本体の違い|受付と審査を分ける

LegalOSシリーズの中で、Inboxと本体の役割は明確に分かれています。

  • LegalOS Inbox:メール・相談・依頼の受付・仕分け・入口整理を担う
  • LegalOS本体:案件化された後の契約審査・承認・差戻し・記録・証跡管理を担う

イメージとしては、Inboxで「相談内容と添付資料が整理された案件」が出来上がり、それを本体に引き渡して契約審査や承認プロセスに乗せる、という分業です。第4話で扱った「契約依頼の入口の一本化」、第5話の「進捗管理」、第7話の「承認・決裁・差戻しの記録」は、本体側で扱う領域です。

この役割分担を意識すると、運用設計が分かりやすくなります。「受付フェーズと審査フェーズを混ぜない」「受付項目と審査項目を分ける」「Inboxで完結すべき案件と、本体まで進める案件を分ける」といった整理ができます。

📂 受付後の審査・承認・記録まで整理したい場合 受付後の契約審査、承認、差戻し、記録、証跡管理まで整理したい場合は、LegalOSシリーズをご確認ください。

9. LegalOS InboxとLegalOS 法律相談の違い|入口整理と一次整理

もう一つ混同されやすいのが、LegalOS InboxとLegalOS 法律相談の役割です。両者は近い領域を扱いますが、扱う「整理の粒度」が異なります。

  • LegalOS Inbox:メール・相談・依頼を案件として受け付ける入口を整える。「誰から」「どんな種別の相談が」「何の資料とともに」届いたかを整理する。
  • LegalOS 法律相談:受け付けた相談の事実関係・論点候補・追加確認事項を一次整理する。「何が論点になりそうか」「どの条文が関係しそうか」「次に確認すべきことは何か」を支援する。

順序としては、Inbox(入口整理)→ LegalOS 法律相談(相談内容の一次整理)→ 法務担当者の判断、という流れになります。詳細は第13話「LegalOS 法律相談とは」、第14話「社内法務相談の聞き取り項目を整理する方法」で扱います。

10. 図解|LegalOSシリーズ・プロンプト集・人間の役割分担

LegalOS Inbox単体ではなく、シリーズ全体としての役割分担を整理すると、次のようになります。最終判断は常に人間が行うという設計が前提です。

LegalOS Inbox
メール・相談・依頼の受付・仕分け・案件化(入口整理)
LegalOS本体
契約審査・承認・差戻し・記録・証跡管理(案件管理)
LegalOS 法律相談
相談内容の事実整理・論点候補・追加確認事項の洗い出し(一次整理)
LegalOS マスキング
AI入力前の個人名・会社名・金額などの伏字処理(前処理)
法務AIプロンプト集
AIへの指示テンプレート(論点整理・回答案下書きの補助)
人間(法務・責任者)
最終的な法的判断・回答方針・承認可否・専門家依頼の判断

11. 法務受付で分類すべき相談タイプ

受付段階で相談を分類しておくと、その後のフロー(誰が回答するか、どこにつなぐか、AIをどう使うか)を設計しやすくなります。一般的には次のような分類が出発点になります。

  • 契約レビュー依頼:契約ドラフトの審査・修正コメント
  • 契約締結前相談:取引スキーム、契約類型選択、リスク評価
  • 法令・規程相談:法令適用、社内規程運用、解釈確認
  • 人事労務相談:就業規則、ハラスメント、労働時間など
  • 個人情報相談:取得・利用・第三者提供・委託・越境移転
  • 営業秘密・情報管理相談:秘密保持、競業避止、データ管理
  • トラブル・クレーム:クレーム対応、損害賠償、紛争予防
  • 取引先対応:反社チェック、信用調査、取引可否
  • 社内承認相談:稟議・決裁・取締役会対応
  • その他問い合わせ:分類困難・初動相談
契約レビュー依頼
見るべき点契約類型/相手方/ドラフト最新版
次の引継ぎ先LegalOS本体(審査着手)
契約締結前相談
見るべき点取引スキーム/前提条件/代替案
次の引継ぎ先LegalOS 法律相談(一次整理)
法令・規程相談
見るべき点対象法令/適用範囲/社内規程
次の引継ぎ先LegalOS 法律相談/法務担当者
人事労務相談
見るべき点就業規則/事実関係/時系列
次の引継ぎ先人事部門連携/法務担当者
個人情報相談
見るべき点取得・利用目的/第三者提供/委託
次の引継ぎ先法務担当者(必要時マスキング)
トラブル・クレーム
見るべき点事実関係/関係当事者/緊急度
次の引継ぎ先法務担当者/必要時に外部弁護士
取引先対応
見るべき点取引先属性/取引内容/審査資料
次の引継ぎ先取引先管理部門/法務
社内承認相談
見るべき点稟議内容/決裁ライン/添付資料
次の引継ぎ先LegalOS本体(承認・記録)

表2:相談タイプ別の受付後の整理方法

相談タイプ 受付時に確認すること 次につなぐ先 注意点
契約レビュー依頼 契約類型/相手方/ドラフト最新版/希望期限 LegalOS本体(契約審査) 添付の最新版確定、相手方情報のマスキング要否
契約締結前相談 取引スキーム/前提条件/代替案/関係者 LegalOS 法律相談(一次整理) 論点が広いので、相談範囲の絞り込みが必要
法令・規程相談 対象法令/背景事実/社内規程の有無 法務担当者/LegalOS 法律相談 条文確認は必ず最新の正本に当たる
人事労務相談 就業規則/事実関係/時系列/当事者の特定 人事部門連携/法務担当者 機微情報・本人特定情報の取扱いに注意
個人情報相談 取得方法/利用目的/第三者提供/委託・越境 法務担当者(必要時マスキング) AIに入力する前に必ず入力可否を確認
営業秘密・情報管理相談 情報の範囲/管理体制/関係者 法務担当者/情報セキュリティ部門 NDA違反・社外送信リスクの確認
トラブル・クレーム 事実関係/時系列/関係者/対外コミュニケーション 法務担当者/必要に応じて外部弁護士 初動対応が品質を左右する。記録化を最優先
取引先対応 取引先属性/取引内容/審査資料 取引先管理部門/法務 反社チェック・信用調査の手順を明文化
社内承認相談 稟議内容/決裁ライン/添付資料/期限 LegalOS本体(承認・記録) 誰がいつ何を承認したかの証跡を残す

12. AI活用とLegalOS Inboxの関係

受付段階で相談内容が整理されていると、ChatGPT等のAIや法務AIプロンプト集に指示しやすくなります。「論点整理してください」「想定質問を10個出してください」「回答案を作ってください」といった指示は、相談概要・事実関係・契約類型が整理されている前提で効きます。

一方で、相談メールや添付資料には、個人情報・営業秘密・NDA情報・取引先名・契約金額などが含まれていることが少なくありません。これらを整理せずにそのままAIに入力することには、社内ルール・契約上の守秘義務・個人情報保護法の観点から慎重な検討が必要です。

そこで、AIに入力する前段階で次の確認が必要になります。

  • そもそもAI(特に外部サービス)に入力してよい情報か
  • 個人名・会社名・金額・固有名詞を伏せる必要があるか
  • 社内のAI利用規程・情報セキュリティ規程に沿っているか
  • 相談者・関係部門の同意は必要か

LegalOS マスキングは、この前処理を効率化するためのデスクトップツールであり、法務AIプロンプト100選は、整理された相談内容に対してAIに具体的な指示を行うためのプロンプト集です。「マスキングすれば安全」ということではなく、入力可否の判断と社内ルールに沿った運用の組み合わせが前提になる点には注意が必要です。

🔒 AI入力前の前処理 と 🧠 相談内容の論点整理 相談メールや添付資料をAIに入力する前に個人名・取引先名・金額などを伏せたい場合はLegalOS マスキング、相談内容の論点整理や回答案作成には法務AIプロンプト100選をご確認ください。

表3:LegalOS Inbox・LegalOS本体・マスキング・プロンプト集の使い分け

ツール 主な役割 使う場面 注意点
LegalOS Inbox 受付・仕分け・案件化 メール・チャット・口頭相談を案件として整理したい場面 受付項目・分類ルールの社内設計が必要
LegalOS本体 契約審査・承認・差戻し・記録 案件化された後の審査・決裁プロセスを管理したい場面 承認ライン・証跡保管ルールとセットで運用
LegalOS 法律相談 相談内容の一次整理(事実・論点・確認事項) 相談を受けた直後、何を確認すべきかを整理したい場面 最終判断は人間(法務・必要に応じて専門家)
LegalOS マスキング AI入力前の伏字処理 外部AIに契約書・社内文書を入力する前段階 マスキングは前処理であり、入力可否判断は別途必要
法務AIプロンプト100選 AIへの指示テンプレート 整理済みの相談内容に対する論点整理・回答案作成 出力は下書き。法的判断・最終回答は人間が確認

13. LegalOS Inboxが向いている会社・向いていない会社

区分 当てはまる会社 理由
向いている 法務相談や契約依頼がメールに埋もれている会社 受付段階の整理で多くの問題が緩和できる
向いている Outlookメールや長いスレッドの整理に困っている会社 案件単位の管理に切り替える価値が大きい
向いている 相談内容と添付資料が分散している会社 案件単位で資料を集約することで誤審査を防げる
向いている 法務相談・契約依頼・社内問い合わせが同じ入口に混在 分類ルールで優先度・対応フローを設計できる
向いている 一人法務・少人数法務で受付を標準化したい 属人化リスクを下げられる
向いている LegalOS本体導入前に受付整理から始めたい 段階的に法務DXを進められる
向いていない 法務相談・契約依頼がほとんど発生しない会社 運用コストに見合わない可能性が高い
向いていない すでに受付フォーム・案件管理が十分整っている会社 追加のツールを入れる必要性が低い
向いていない メール相談を案件化する運用を作るつもりがない会社 ツールだけ入れても運用に乗らない
向いていない ツール導入で法務回答が自動完成すると考えている会社 Inboxは判断を代替するツールではない
向いていない 受付項目や分類ルールを決める意思がない会社 ルールなしではInbox側で整理できる範囲が限られる

14. 受付ルールを作るときのポイント

LegalOS Inboxはあくまで道具です。実際に運用に乗せるためには、社内ルール側の整備が欠かせません。最低限、次の論点を整理しておくとよいでしょう。

  • 相談受付窓口を決める:メールアドレス、Inbox、フォームなど一本化する
  • 相談種別を決める:分類カテゴリと判定基準を明文化する
  • 必須項目を決める:件名/依頼者/契約類型/希望期限などの必須化
  • 添付資料ルールを決める:命名規則、版管理、最新版の判定方法
  • 緊急相談の扱いを決める:緊急判定基準、エスカレーション先
  • 法務相談と契約依頼の分岐を決める:どこから契約審査フローに乗せるか
  • AI入力・マスキングのルールを決める:入力可否判断、マスキング対象、利用規程
  • 完了・保留・案件化の基準を決める:クローズ条件と棚卸し方法

表4:受付ルール作成時のチェックリスト

ルール項目 決める内容 決めない場合の問題 LegalOS Inboxで整理できること
相談受付窓口 受付先(メール/Inbox/フォーム)の一本化 同じ相談が複数経路で流入 受付チャネルを案件として集約
相談種別 分類カテゴリと判定基準 契約と一般相談が混在し優先度が付けにくい 種別ごとの仕分けと次アクション
必須項目 件名、依頼者、契約類型、期限など 情報不足のまま審査着手 未入力項目の可視化
添付資料ルール 命名規則・最新版判定・版管理 旧版で審査するリスク 案件単位での資料集約
緊急相談の扱い 緊急判定基準・エスカレーション先 本来急がない案件が割込みで優先される 緊急度フラグと次アクション管理
相談と契約依頼の分岐 契約審査フロー入口の条件 受付と審査が混ざり手戻りが発生 種別判定とLegalOS本体への引継ぎ
AI入力・マスキングルール 入力可否判断、マスキング対象、利用規程 機微情報がそのままAIに送信される懸念 マスキング対象候補の整理
完了・保留・案件化の基準 クローズ条件・棚卸し頻度 未完了案件が増え続け把握できなくなる ステータス管理と過去案件の検索

15. 注意点|LegalOS Inboxは法務判断を代替しない

重要:LegalOS Inboxは、メール・相談・依頼を整理するためのツールです。
法的判断、契約リスク評価、回答方針、承認可否は、法務担当者・責任者、必要に応じて弁護士・専門家が判断します。
  • Inboxが行うのは「相談を判断しやすい状態に整える」ことまでであり、回答そのものを生成するものではありません。
  • 重要案件・紛争性のある案件・新規論点を含む案件は、必ず人間の法務判断と、必要に応じて外部弁護士の確認を組み合わせてください。
  • AIを併用する場合も、入力情報の管理、マスキング、AI利用規約、社内ルールが整っていることが前提です。
  • 受付整理と法務判断を混同しないことが、Inbox運用を健全に保つ上で最も重要です。

LegalOSシリーズで法務業務を工程ごとに整える

メール・相談・依頼の受付整理にはLegalOS Inbox、受付後の契約審査・承認・記録にはLegalOS本体、AI入力前の前処理にはLegalOS マスキング、AIへの指示テンプレートには法務AIプロンプト100選をご活用ください。

16. まとめ|受付・審査・一次整理を分けて考える

  • LegalOS Inboxは、メール・相談・依頼・添付資料を法務案件として整理する受付ツールである。
  • メールで届いた時点では、相談はまだ案件化されていない。相談概要、添付資料、期限、依頼者、次アクションを整理することで、法務担当者が判断しやすくなる。
  • 役割分担は次のとおり:
    ・LegalOS Inbox:受付・仕分け・案件化
    ・LegalOS本体:契約審査・承認・記録
    ・LegalOS 法律相談:相談内容の一次整理
  • AIやプロンプト集を併用する場合も、まず相談内容と入力情報を整理し、社内ルールに従って入力可否を確認する。
  • Inboxは法務判断を代替しない。最終判断は人間が行う。

次回(第9話)では、「Outlookメール・重い相談メールを仕切り直す方法」を取り上げます。長くなったメールスレッド、何度も差し戻った相談、添付資料が散らばった依頼を、LegalOS Inboxで案件として仕切り直す具体的な進め方を、実務目線で整理します。

Legal GPT 実務ツール

記事で学んだ実務を、そのまま使える道具にする。

法務実務にそのまま投入しやすいAIプロンプト集に加え、 契約受付、契約管理、過去相談検索、契約書整形、マスキングまで、 LegalOSシリーズも順次公開しています。

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