はじめに:「プロンプト集」と「LegalOSシリーズ」、どこが違うのか

Legal GPTでは、大きく2種類の商品を提供しています。ひとつは「法務AIプロンプト集」、もうひとつは「LegalOSシリーズ」です。どちらも法務業務を支援するためのものですが、役割はまったく異なります。

法務AIプロンプト集は、ChatGPTやClaude(以下、AIと総称します)に対して「どんな指示を出すか」の型を整えるものです。契約書レビューの観点整理、修正文案のたたき台、社内向け説明文、チェックリストの自動作成——これらをAIに指示するための「質問の型」を集めたものが、プロンプト集です。

LegalOSシリーズは、法務業務そのものを処理・管理するWindowsデスクトップソフトです。契約案件の受付・管理、AI入力前のマスキング処理、文書の整形支援、承認フローの記録など、「業務をどう処理・管理するか」を支援します。

この2つは競合ではなく、補完関係にあります。本記事では、それぞれの役割と使い分けを整理します。

ChatGPTを法務実務で使うなら、まず「AIへの指示の型」をプロンプト集で整え、必要に応じてLegalOSシリーズで「業務の流れ」を整える、という考え方が分かりやすいです。


まず結論:プロンプト集は「知能」、LegalOSは「業務基盤」

プロンプト集:AIにどう指示するかの「型」を提供する。文書作成・論点整理・チェックリスト化を支援する。

LegalOSシリーズ:法務業務の受付・管理・マスキング・承認・証跡記録を処理・管理する「業務基盤」を提供する。

→ 目的が違うため、競合ではなく補完関係にあります。組み合わせることで、AI活用と業務運用の両面を整えやすくなります。

  • プロンプト集だけでは、案件の進捗管理・承認フロー・ファイルのマスキング処理はできません。
  • LegalOSシリーズだけでは、AIへの高度な指示文が自動的に揃うわけではありません。
  • どちらが必要かは、今の法務部門の課題によります。両方が必要な場合も、片方だけで十分な場合もあります。

図解①:法務業務の流れと、それぞれの役割

法務業務は一連のフローで動いています。各工程で、プロンプト集とLegalOSシリーズのどちらが使えるかを整理しました。


比較表:プロンプト集とLegalOSシリーズの違い

比較軸 法務AIプロンプト集 LegalOSシリーズ
主な役割 AIへの指示文の型を提供し、文書作成・論点整理を支援する 法務業務の受付・管理・マスキング・承認・証跡記録などを処理する
使う場面 ChatGPT / Claudeを使って文書を作るとき・論点整理するとき 案件を受付・追跡するとき、AI入力前処理、承認・記録を残すとき
得意なこと 契約書レビュー観点の整理、修正文案・コメント文の生成、チェックリスト化 案件管理の一元化、個人情報・秘密情報のマスキング、承認フロー管理
苦手なこと 案件の進捗管理、ファイルの版管理、マスキング処理、証跡の自動記録 AIへの高度な指示文設計、業務ごとのレビュー観点の網羅、柔軟な文書作成
向いている人 ChatGPTを使い始めたい・AIの出力品質を上げたい法務担当者 案件・依頼・マスキング・承認・証跡管理を整えたい法務担当者
代表的な利用例 契約書レビュー補助、社内説明文作成、取適法対応チェックリスト生成 契約案件受付・管理、AI入力前マスキング処理、差戻し・承認記録管理
形式 プロンプト集(PDF・テキスト等) Windowsデスクトップソフト
商品への導線 法務AIプロンプト100選 ほか LegalOSシリーズ一覧

プロンプト集でできること

法務AIプロンプト集は、ChatGPTやClaudeに対して業務に合った指示を出すための「型」を提供します。以下のような場面で活用できます。

契約書レビュー・文書作成支援

  • 契約書レビューの観点整理(リスク箇所の洗い出し、問題条項の抽出)
  • 修正文案のたたき台作成
  • 相手方への交渉コメント案の生成
  • 社内向け説明文・リスク概要文の作成
  • NDA・業務委託契約・売買契約など契約類型ごとのレビュー補助

コンプライアンス・法改正対応

  • 取引適正化法(取適法)・個人情報保護法・改正法の対応チェックリスト作成
  • 法改正への社内説明資料・FAQの下書き
  • 営業秘密管理台帳・規程のたたき台作成

人事労務・規程整備

  • ハラスメント相談・懲戒処分検討の初動整理
  • 社内規程・就業規則補則のたたき台作成
  • コンプライアンス研修資料・理解度テストの作成

AI関連・その他

  • 生成AI導入時の社内審査チェックリスト・利用ルール案の作成
  • 子会社管理報告書・議事録の下書き補助

契約審査全般の入口として「法務AIプロンプト100選」、契約書レビューを深掘りするなら「契約書AIレビュー専用プロンプト集」、法改正対応は「改正法系プロンプト集ハブ」から確認できます。


プロンプト集だけでは難しいこと

プロンプト集は「AIへの指示の型」であり、AIの出力品質を上げるためのものです。ただし、以下のような業務処理には対応していません。

  • 契約案件の受付・進捗管理(誰がいつ依頼してきたかの追跡)
  • 誰がいつ確認・承認したかの証跡管理
  • ファイルの版管理・命名規則の統一管理
  • 社内の承認・差戻しフローの管理
  • 法務依頼の一元化(メール・チャットに散らばる依頼を集約する)
  • Word・PDFファイル上の個人情報・秘密情報・金額・取引先名などのマスキング処理
  • Word文書の体裁・フォント・書式の整形
  • ユーザー権限設定や社内運用ルールの管理

これらは「業務の処理・管理」の問題であり、プロンプト集ではなくLegalOSシリーズが対応する領域です。


LegalOSシリーズでできること

LegalOSシリーズは、法務業務の処理・管理を支援するWindowsデスクトップソフトです。以下は、現在提供されているシリーズの主な機能です(機能は実装範囲の現状に基づきます)。

案件管理・相談管理

  • 契約案件や社内法務相談の受付・進捗の管理
  • 依頼者・案件種別・対応状況の一元化
  • 対応履歴・記録の保存

AI入力前のマスキング支援

  • 契約書・相談資料・相手方資料に含まれる個人情報・会社名・金額・秘密情報などをAI入力前に伏せる作業の支援
  • ファイル単位でのマスキング処理の補助

承認・差戻し・証跡管理

  • 承認・差戻しの記録管理
  • 誰が・いつ・何を確認したかの証跡残し
  • 法務業務の作業フローを整えるための記録支援

文書整形支援

  • 契約書・法務文書のWord体裁・書式の整形支援(フォント統一・体裁修正)

AI入力前のマスキングが不安な方、あるいは案件管理・承認・証跡管理を整えたい方は、LegalOSシリーズを確認してみてください。


LegalOSシリーズだけでは難しいこと

LegalOSシリーズは業務処理・管理の道具です。AIを使って文書を作成したり、論点を整理したりする部分は、自動的には揃いません。

  • 契約類型ごとのレビュー観点を網羅した指示文の設計
  • 取適法・個人情報保護法・営業秘密法などの業務別プロンプトの使い分け
  • 社内説明文・修正文案・交渉コメント案をAIで柔軟に作り分けること
  • 人事労務相談の初動整理・ハラスメント対応記録化のためのAI活用
  • 法改正対応のToDo・チェックリスト・社内周知文のAI生成

LegalOSシリーズで業務フローを整えたうえで、プロンプト集を使ってAI活用部分を強化する、という組み合わせが効果的です。


図解②:プロンプト集とLegalOSシリーズの補完関係

2つの商品は「AI活用層」と「業務運用層」として分離・補完しています。


どちらを先に導入すべきか

どちらを先に検討するかは、今の法務部門の課題によります。以下を参考にしてください。

  • 📝 まずChatGPTを法務業務に使いたい:プロンプト集から始めるのが分かりやすいです。AIへの指示の型を先に整えることで、活用の幅が広がります。
  • 📋 契約審査コメントや社内説明文を作りたい:プロンプト集が直接役立ちます。とくに契約書AIレビュー専用プロンプト集が適しています。
  • 📬 契約案件・法務依頼がメールやExcelに散らばっている:LegalOSシリーズで案件管理を整えることを先に検討してください。
  • 🔒 AIに契約書を入れる前のマスキングが不安:LegalOS マスキングで前処理を整えることが先決です。
  • 📑 契約書の体裁崩れを直したい:LegalOSシリーズの文書整形系ツールが対応します。
  • ✅ 承認・差戻し・証跡を残したい:LegalOSシリーズで管理フローを整えてください。
  • 👤 少人数法務でまず小さく始めたい:単機能ツールまたはプロンプト集から始め、必要に応じて拡張する方法が現実的です。

表:読者タイプ別おすすめの使い分け

読者の課題 先に検討するもの 併用するとよいもの 理由
ChatGPTを法務で使い始めたい プロンプト集
法務AIプロンプト100選
— 指示の型を先に整えると活用がスムーズ
契約審査のレビュー観点を整えたい プロンプト集
法務AIプロンプト100選
LegalOS マスキング プロンプト集でレビュー観点を網羅できる
契約書レビューを深掘りしたい プロンプト集
契約書AIレビュー専用プロンプト集
LegalOS マスキング リスク抽出・修正文案・コメント案まで対応
法改正対応を効率化したい プロンプト集
改正法系プロンプト集ハブ
— ToDo・チェックリスト・社内説明文の作成に直結
AIに入れる前の情報管理が不安 LegalOSシリーズ
LegalOS マスキング
プロンプト集 個人情報・秘密情報の前処理を整えてからAI活用
法務依頼がメールに埋もれる LegalOSシリーズ
LegalOS / Inbox
プロンプト集 案件の受付・追跡を一元化する必要がある
承認・証跡を残したい LegalOSシリーズ
LegalOS
プロンプト集 承認・差戻し・記録はソフト側の機能
契約書の体裁調整が面倒 LegalOSシリーズ
文書整形系ツール
— 体裁・書式の整形はソフト側の処理
一人法務で全体を軽く効率化したい プロンプト集または単機能ツール 必要に応じて拡張 小さく始めて課題に応じて組み合わせる

表:法務業務の工程別・どちらが向いているか

業務工程 主に対応するもの 備考
依頼受付・案件管理 LegalOSシリーズ 一元管理・追跡には業務管理ツールが必要
AI入力前のマスキング LegalOS マスキング プロンプト集の前段として位置づける
論点整理・リスク抽出 プロンプト集 AIへの指示の型が出力品質を左右する
修正文案・コメント案作成 プロンプト集 AIの文章生成力を引き出す指示が必要
社内説明文・チェックリスト作成 プロンプト集 業務ごとの特化プロンプトが再現性を高める
法務担当者による最終確認・修正 人間の判断(必須) どちらのツールも最終判断は代替しない
社内説明・承認申請文作成 両方(状況による) 説明文の下書き:プロンプト集、承認記録:LegalOS
承認・差戻し・証跡管理 LegalOSシリーズ 誰がいつ確認したかはソフト側で管理
文書整形・Word体裁修正 LegalOSシリーズ ファイル処理はソフト側の処理
法改正情報のToDo・説明文作成 プロンプト集 改正法系プロンプト集ハブが対応

組み合わせ例と活用フロー

組み合わせ例①:契約審査

  1. LegalOSまたは受付管理で契約審査依頼を受付け、案件として記録する
  2. LegalOS マスキングで、AI入力前に相手方名・金額・秘密情報等を伏せる前処理を行う
  3. 契約書AIレビュー専用プロンプト集を使い、論点整理・リスク抽出・修正文案のたたき台をAIに作成させる
  4. 法務担当者がAI出力を精査し、会社方針・一次情報・専門家確認を反映して確定させる
  5. 必要に応じてLegalOSで承認フローを回し、確認・承認の証跡を記録する

契約書レビューを深掘りしたい方へ:リスク抽出・修正文案・交渉コメント案まで対応した専用プロンプト集があります。

組み合わせ例②:社内法務相談

  1. LegalOSで相談内容を受付・記録し、案件として管理する
  2. 相談内容の要点をプロンプト集でAIに整理させ、論点・確認事項を洗い出す
  3. プロンプト集を使って回答案のたたき台・追加確認項目をAIに作成させる
  4. 法務担当者が会社方針・社内規程・一次情報を確認し、回答を確定する
  5. LegalOSで回答履歴・対応記録を保存する

組み合わせ例③:法改正・取適法対応

  1. 法改正の一次情報(官公庁ウェブサイト・通達等)を確認する
  2. 改正法系プロンプト集で、社内対応ToDo・チェックリスト・社内説明文案をAIに作成させる
  3. 関係部署向けに展開し、社内運用・契約書改定の方針を固める
  4. 変更後の運用・規程改定を記録・管理する

取適法・個人情報保護法・改正労働法などの対応を整えたい方へ:改正法系プロンプト集ハブに業務別プロンプト集が揃っています。

組み合わせ例④:AI利用前のマスキング

  1. 契約書・相談資料・相手方資料には、個人情報・取引先名・金額・秘密情報が含まれていることが多い
  2. そのままAIに入力すると、情報漏えいリスクや社内情報管理上の問題が生じうる
  3. LegalOS マスキングを使い、AI入力前にこれらの情報を伏せる前処理を行う
  4. マスキング済みのテキストをChatGPTやClaudeに入力し、プロンプト集で論点整理・文書作成を行う
  5. AI出力を確認後、法務担当者が実情報を反映して確定させる

AI入力前の情報管理が気になる方へ:個人情報・会社情報・金額・秘密情報の前処理にLegalOS マスキングが活用できます。


表:組み合わせ例まとめ

業務シナリオ LegalOSシリーズの役割 プロンプト集の役割 効果
契約審査 受付管理・マスキング・承認記録 論点整理・修正文案・コメント案作成 AI出力品質と業務管理を両立
社内法務相談 相談受付・対応履歴管理 論点整理・回答案のたたき台作成 対応の記録と質を両立
法改正対応 対応記録・運用変更の管理 ToDo・チェックリスト・説明文生成 周知から運用まで効率化
AI利用前マスキング 前処理(マスキング) マスキング後のAI活用 情報管理とAI活用を両立

注意点:プロンプト集もLegalOSシリーズも「最終判断」を代替しない

重要な前提として、以下を確認してください。

法務AIプロンプト集は、AIに指示を出すための「型」です。AIの出力はあくまで補助・参考情報であり、法的判断を自動的に確定するものではありません。

LegalOSシリーズは、業務処理・管理を支援する道具です。法的判断そのものを代替するものではありません。

どちらのツールを使う場合も、最終的な法的判断は法務担当者または責任者が行ってください。重要案件・複雑な案件については、一次情報(法令・判例・官公庁通達)の確認と、弁護士・専門家への相談を行うことをお勧めします。

また、個人情報・営業秘密・NDA上の情報・社外秘情報については、AIへの入力前に社内ルールや契約上の制約を確認し、必要に応じてマスキング等の前処理を行ってください。


まとめ

  • 法務AIプロンプト集は「AIへの指示の型」を提供し、文書作成・論点整理・チェックリスト化を支援します。
  • LegalOSシリーズは「業務の処理・管理」を支援し、受付・案件管理・マスキング・承認・証跡管理などの業務基盤を整えます。
  • 2つは競合ではなく補完関係にあります。AI活用部分にはプロンプト集、業務フロー管理にはLegalOSシリーズ、という整理が分かりやすいです。
  • どちらか一方で十分な場合も、両方が必要な場合もあります。今の法務部門の課題から始めてください。
  • いずれのツールも、最終的な法的判断は法務担当者・責任者が行う必要があります。

次回(第6話)は、「契約審査にChatGPTを使う方法|条項チェックを丸投げしない実務的な使い方」を解説します。

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