CIVIL LITIGATION DIGITALIZATION 企業法務のための民事訴訟IT化対応シリーズ 01 / 06

民事訴訟のIT化で何が変わったか|2026年5月完全施行を企業法務目線で総整理

法令・制度基準日:2026年7月29日

「民事訴訟がIT化されたと聞いたが、自社には何が関係するのか」「mintsを操作するのは弁護士なので、企業側は特に何もしなくてよいのではないか」「紙の証拠をPDFにしておけば対応は完了なのか」「ウェブ会議になれば、裁判所へ行かなくて済むというだけの話ではないのか」「裁判所からの電子送達のメールを見落としたら、どうなるのか」。

2026年5月21日、民事訴訟手続の全面的なデジタル化に関する改正民事訴訟法・改正民事訴訟規則が施行されました。これにより、企業の訴訟対応は、紙・郵送・裁判所への出頭を中心とする運用から、電子データ・オンラインアクセス・ウェブ会議を前提とする運用へと大きく軸足を移しています。

ただし、この変化は「紙をPDFに置き換えた」だけのものではありません。証拠の作り方、社内の承認プロセス、外部弁護士とのデータの受け渡し方、期限の起算点の管理、秘密情報の取扱いまで、企業側の訴訟管理体制そのものが影響を受けます。本記事では、シリーズ第1話として、民事訴訟のIT化の全体像と、企業法務が実際に手を動かすべき論点を整理します。

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2026年5月21日、民事訴訟のIT化は何が変わったのか

結論から述べます。2026年5月21日以降に新たに提起された民事訴訟については、訴えの提起、裁判書類の提出、訴訟記録の閲覧、裁判書類の受領などをオンラインで行うことができる制度になりました。他方で、本人当事者による書面提出、書証原本の確認、出力書面による送達、対面での期日など、紙や出頭が必要となる場面も残っています。

また、2026年5月20日以前に提起され、すでに係属している事件では、原則として旧法に基づき、訴訟記録や提出・送達について従前の書面中心の運用が続きます。ただし、ウェブ会議による証人尋問など、一部には施行前から係属していた事件にも適用される規定があります。「同日をもって、すべての民事裁判が一斉にペーパーレスになった」わけではありません。

公布から完全施行までの流れ

民事訴訟法等の一部を改正する法律(令和4年法律第48号)は2022年5月25日に公布され、その後、段階的に施行されてきました。2026年5月21日は、この段階施行の到達点にあたります。

図表1 民事訴訟IT化の主な流れ

時期 主な変更 企業法務への影響
2022年5月25日 民事訴訟法等の一部を改正する法律が公布 この時点では実務は変わらない。改正内容の把握が中心
2023年3月1日 弁論準備手続のウェブ会議による実施、ウェブ会議等による和解期日に関する規定が施行 争点整理段階での出頭負担が軽減
2024年3月1日 口頭弁論期日のウェブ会議による実施に関する規定が施行(民訴法87条の2) 公開の法廷での手続にもウェブ参加が可能に
2026年5月21日 民事訴訟手続の全面的なデジタル化に関する改正規定が施行(電子申立て、電子納付、システム送達、訴訟記録の電子化、電磁的記録の証拠調べ等) 証拠のデータ化、外部弁護士とのデータ連携、電子送達の期限管理、アクセス権限管理が本格的に必要となる
遅くとも2028年6月まで 民事執行、民事保全、倒産、労働審判、非訟・調停、人事訴訟・家事事件等のデジタル化(別の法律・別の施行スケジュール) 民事保全・強制執行・倒産等は、当面、書面申立てを前提とする場面が残る。通常訴訟・少額訴訟・支払督促による債権回収とはデジタル化の範囲が異なるため、手続ごとの確認が必要

※施行日は裁判所および法務省の公表資料に基づく。2028年6月までの部分は、政令で定める日から施行される予定であり、個別の施行日は今後の公表を確認する必要があります。

新法が適用される事件と、適用されない事件

オンラインでの訴え提起やシステム送達を利用できるのは、改正民訴法の全面施行以後に提起された訴え等に限られます。裁判所の説明によれば、新法が適用されるのは、①施行日以後に提起された訴えに係る事件と、②施行日以後に開始された民事訴訟に関する事件(訴え提起前の証拠収集処分、証拠保全、支払督促等)です。施行日前に提起された訴えについては、引き続き書面により審理が行われ、訴訟記録も紙で作成されるため、オンラインでの閲覧はできません。

注意が必要なのは、支払督促や少額訴訟から通常訴訟に移行するケースです。施行日前に支払督促を申し立て、施行日以後に督促異議によって訴訟に移行した場合、訴えの提起があったものとみなされても、旧法適用事件として扱われます。一方、施行日前に民事調停を申し立て、調停不成立後に施行日以後に現実の訴えを提起した場合は、新法適用事件になります。係属中の案件について「どちらのルールで動いているのか」を、代理人と早い段階で確認しておくことが望ましいといえます。

補足:施行前の事件にも適用される規定がある

改正法の附則に個別の経過措置が置かれていない規定は、施行前から係属していた事件にも適用されます。裁判所の資料では、和解調書に関する閲覧等の規定、提出期間経過後に準備書面等を提出した場合の説明義務の規定、ウェブ会議による証人尋問の規定などが例として挙げられています。「旧法適用事件だからIT化とは無関係」と単純に整理しないよう注意してください。

紙が完全になくなったわけではない

全面デジタル化といっても、紙が消えたわけではありません。代表的な例は次のとおりです。

  • 本人当事者は、原則として書面による提出を選択できます(義務を負うのは弁護士等の訴訟代理人です)。
  • 書証の申出は文書を提出して行うという規律に変更はなく、契約書など原本確認の必要性が高い書証について原本を証拠調べの対象として申し出る場合には、期日に原本の持参を求められることがあります。
  • 当事者間秘匿の申立てに伴う秘匿事項届出書面は、書面で提出し、提出後も書面で保管されます。
  • 被告に訴訟代理人が就く見込みがない段階では、訴状は原告側が印刷して裁判所に提出した出力書面によって送達されることが多いと想定されています。

つまり、企業法務の実務は「全部データになった」ではなく、「訴訟代理人による手続は電子化を原則としつつ、本人当事者の書面提出や原本確認等では紙も残る」という二重構造を前提に組み直す必要がある、というのが正確な理解です。

民事訴訟IT化の「3つのe」とは

民事裁判のデジタル化は、一般に「3つのe」と呼ばれる3本の柱で整理されます。e-Filing(オンライン提出)、e-Case Management(訴訟記録の電子化と管理)、e-Court(ウェブ会議による期日)です。

図表2 民事訴訟IT化の3つの柱

区分 制度の概要 主な利用者 企業法務に関係する業務 主なリスク
e-Filing
(電子申立て等)
訴状、準備書面、証拠等を、裁判所のシステム(mints)を使用してオンラインで提出する 訴訟代理人(義務)/本人当事者(任意) 証拠候補の収集、提出用データの作成、社内承認、提出版の確定、代理人へのデータ提供 不鮮明なPDF、誤ファイルの提出、提出版と検討版の取り違え、提出期限の遅延
e-Case Management
(訴訟記録の電子化)
訴訟記録が電子的に作成・保管され、当事者等はオンラインで閲覧・複写できる 当事者・訴訟代理人等/法令上の要件を満たして閲覧・複写等を請求する第三者 記録へのアクセス権限の設計、ダウンロードした記録の社内保存、秘密情報の管理、版管理 権限の過剰付与、退職者・異動者の権限放置、記録データの社内流出、保存漏れ
e-Court
(ウェブ会議による期日)
口頭弁論、弁論準備手続、和解期日等をウェブ会議の方法で実施できる。証人尋問も一定の要件の下で可能 裁判所・当事者・訴訟代理人・証人等 会議室と端末の確保、通信環境の整備、証人候補者への事前説明、情報漏えい防止 第三者の立入り、音声・画面の漏えい、通信断による手続の停滞、尋問場所の要件違反

e-Filing―訴状・準備書面・証拠のオンライン提出

改正民訴法の下では、誰でも、裁判所のシステムを使用して、オンラインにより訴えを提起し、準備書面を提出することができます(民訴法132条の10第1項)。この提出経路として使われるのが、最高裁判所が提供する民事裁判書類電子提出システム「mints」です。

ここで重要なのが、義務の対象者と任意の利用者の区別です。

  • 弁護士等の委任を受けた訴訟代理人は、電子情報処理組織を使用する方法で申立て等を行わなければなりません(民訴法132条の11第1項)。正当な例外事由なく書面で提出した場合、その申立ては方式違反となり、補正がされなければ不適法として扱われ得ます。
  • 例外が認められるのは、裁判所のシステムの故障その他その責めに帰することができない事由がある場合です(同条3項)。裁判所の資料では、大規模な通信障害や裁判所側のシステム障害が典型例とされています。
  • 弁護士を選任していない本人当事者は、オンライン提出も、従来どおりの書面提出も選択できます。
  • 法人が自ら訴訟を行う場合も同様です。mintsは弁護士等に限らず利用でき、裁判所は法人等用の登録届出フォームや、法人代表者向け・支配人向けのアカウント登録ガイドを用意しています。ただし、利用にあたっては本人確認や資格の確認を含む所定の登録手続が必要であり、登録すれば誰でもあらゆる事件を操作できるという趣旨ではありません。

「企業法務担当者はmintsとは無関係」という理解は正確ではありません。通常の企業訴訟では外部弁護士がmintsを操作することが多いのは事実ですが、企業が弁護士を付けずに本人訴訟を行う場合や、社内弁護士等が訴訟代理人となる場合には、企業側が直接mintsを利用する可能性があります。

そして、外部弁護士が操作する場合であっても、事実関係の整理、証拠候補の収集(原本・電子データの所在確認を含む)、提出用データの作成と可読性の確認、機密情報・個人情報の混入チェック、社内承認の取得と提出版の確定、代理人への安全なデータ提供、提出期限の管理は、いずれも企業法務の側に残ります。

mintsの具体的な提出フロー、ファイル形式やファイル名のルール、証拠説明書の作り方は、第2話で詳しく取り上げます。

e-Case Management―訴訟記録の電子化とオンラインアクセス

改正後は、訴訟記録が原則として電子的に作成・保管されます(電磁的訴訟記録)。オンラインで訴えを提起したり、システム送達を受けたりする当事者は、基本的に常時、裁判所のシステム上の記録を閲覧・ダウンロードできます。

ただし、「誰でも自由にすべての訴訟記録をオンラインで見られる」制度ではありません。民訴法91条の2は、電磁的訴訟記録の内容を表示したものの閲覧請求と、当事者および利害関係を疎明した第三者による複写請求とを区別しています。最高裁判所規則により、閲覧・複写の方法(裁判所に設置された端末を用いるか、裁判所外の端末を用いるか)にも区別が設けられています。さらに、営業秘密や私生活についての重大な秘密が記載されている部分については、閲覧等をすることができる者を当事者に限る旨の申立て(閲覧等制限の申立て。民訴法92条)が用意されています。第三者による閲覧等は、当事者等が事件情報と関連付けられてオンラインアクセスする場合とは、請求の要件、方法、手数料の扱いが異なります。

企業法務にとって重要なのは、「オンラインで見られるので便利になった」という点ではなく、訴訟記録が社内の端末に置かれる場面が増えるという点です。企業本人がmintsを利用する事件では、企業側が記録を社内端末へ直接ダウンロードすることになります。外部弁護士がmintsを利用する事件でも、代理人から共有された電子記録を社内で保管・利用する機会が増えます。mints上の事件情報へのアクセス権限と、代理人から受領したデータの社内アクセス権限は、区別して管理する必要があります。すなわち、次の設計が必要になります。

  • 誰に記録へのアクセス権限を付与し、退職者・異動者・外部委託先の権限をいつ外すか
  • ダウンロードした記録を、どのフォルダに、どの権限設定で保存するか
  • 訴訟記録と社内検討資料(方針メモ、和解の社内目線など)をどう分離するか
  • 電子判決書・和解調書等を、どの時点で取得し、どこに保管するか

最後の点には実務上の落とし穴があります。裁判所の資料によれば、mintsでは、判決の確定等の一定の時期に事件情報と当事者アカウントの関連付けが解除され、その後の閲覧等には手数料が必要になります。電子判決書や和解調書等は、関連付けが解除される前にダウンロードしておくことが考えられる、と案内されています。「いつでも見られる」と考えて後回しにすると、余計な手間と費用が発生します。

e-Court―ウェブ会議による口頭弁論・手続進行

口頭弁論の期日における手続は、裁判所が相当と認めるときに、当事者の意見を聴いて、ウェブ会議の方法で行うことができます(民訴法87条の2第1項)。弁論準備手続や和解期日も同様にウェブ会議で実施できます。

ここで正確に押さえるべきなのは、すべての期日が当然にウェブ会議になるわけではないということです。ウェブ会議によるかどうかは裁判所の判断事項であり、当事者が希望すれば必ず認められるという制度ではありません。また、対面での出頭という選択肢がなくなったわけでもありません。

証人尋問については、一般のウェブ期日とは別の規律が置かれています。改正民訴法204条は、①証人が受訴裁判所に出頭することが困難であると認める場合、②証人が裁判長および当事者の在席する場所で陳述すると圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合、③当事者に異議がない場合のいずれかに該当する場合であって、かつ裁判所が相当と認めるときに、ウェブ会議の方法による証人尋問ができると定めています。

「当事者に異議がなければ足りる」のではなく、列挙事由に加えて相当性の判断が必要である点が実務上の要点です。さらに、証人が出頭する場所にも要件があり、改正民事訴訟規則123条1項は、原則として当事者本人またはその代理人が在席する場所ではないこと等を求めています。

企業実務への直結ポイント

自社の従業員が証人となる場合、「本社の会議室から参加すればよい」と当然に決めることはできません。会社側の担当者や代理人だけが在席する会議室は、上記の場所の要件との関係で認められない可能性があります。使用の可否は、在席者、事件の類型、当事者の異議の有無、裁判所の判断を踏まえた事前確認が必要です。尋問期日が近づいてから調整するのではなく、証人申請の段階で代理人と場所の設計を詰めておくことが推奨されます。(詳細は第3話で取り上げます。)

IT化前とIT化後で、企業の訴訟対応フローはどう変わるか

制度の整理を企業側の作業の流れに置き換えると、変化の質がはっきりします。

図表3 IT化前とIT化後の企業訴訟対応フロー

IT化前(従来の典型例)

1. 紙資料の収集
2. コピー・製本
3. 郵送・持参による受け渡し
4. 紙の訴訟記録の確認
5. 裁判所へ出頭
6. 紙の判決書の受領

IT化後(新法適用事件の典型例)

1. 原資料(紙・電子)の収集
2. 提出用データの作成・確認・社内承認
3. mintsによる電子提出
4. 電磁的訴訟記録のオンライン閲覧・ダウンロード
5. ウェブ期日または出頭
6. 電子判決書のシステム送達・ダウンロード

※この図は典型的な流れを示したものです。IT化後も、本人当事者による書面提出、書証原本の持参、出力書面による送達、対面での期日など、紙や対面を前提とする場面は残ります。事件ごとに実際の運用は異なります。

注目すべきは、IT化後のステップ2に「作成・確認・社内承認」という工程が加わっている点です。「集めてコピーする」作業が、「集めて、提出できる形に作り、内容を確認し、確定させる」作業に変わりました。ここが企業法務の負担が増える箇所であり、同時に平時の準備で差がつく箇所でもあります。

企業法務の仕事は具体的にどう変わるのか

図表4 企業法務の業務が変わる6つの場面

1 証拠収集から「提出可能なデータの作成」へ
2 外部弁護士との連携がデータ中心になる
3 電子送達に対応した期限管理が必要になる
4 訴訟記録のアクセス権限と秘密情報を管理する
5 ウェブ期日に参加できる環境を整える
6 少額案件を自社対応する選択肢が変わる

1.証拠を集める仕事から、提出可能なデータを作る仕事へ

改正後、訴訟代理人は、書証の申出をする時までに、書証の写しに代わる画像情報(PDF形式)を提出しなければならないとされています(改正民事訴訟規則137条)。これに加えて、電磁的記録に記録された情報の内容そのものを証拠調べの対象とする手続が新設されました(民訴法231条の2)。ここで提出する電磁的記録の複製は、原則としてPDF、MP4、MP3、JPEG、PNGのいずれかの形式に変換して提出することとされています。

この変化は、企業側の作業に具体的な要求を突きつけます。

  • 原本と電子データの対応関係――契約書のように原本の取調べの必要性が高い証拠は、PDF化しても原本の保管場所を把握しておく必要があります。期日に原本を持参できるかどうかが、証拠の使い方を左右します。
  • 可読性とページ構成――裁判所の資料では、不鮮明にならないよう基本的にスキャナの利用が推奨され、提出前にPDFを確認し、判読できない場合は作り直すべきとされています。ページが逆順・横向きのままでも審理の効率を落とします。
  • 関連性の明示――分量の多い契約書や長期間のチャットのやりとりを提出する場合、要証事実との関連性を明らかにするよう努める必要があります(改正民事訴訟規則137条の2第2項)。具体的な明示の方法は第2話で扱います。
  • 電子メールやチャットの保存――印刷して再スキャンすると、送受信日時やヘッダ情報が欠落することがあります。どの範囲をどの形式で保全するかは、収集の段階で決める必要があります。
  • 提出版と検討版の区別――一度アップロードしたファイルは自由に消去できないため、アップロード前に内容を十分確認する必要があるとされています。社内の検討メモが混入したPDFを提出すれば、相手方に閲覧される事態を招きかねません。

つまり、「スキャンすれば終わり」ではなく、「証拠として成立するデータを作る」工程が新たに生まれたということです。この工程は、証拠が必要になってから始めると時間が足りません。日常の文書管理の段階で原本の所在、命名規則、版管理が整理されているかどうかが、そのまま訴訟対応の速度になります。

関連記事:命名規則・保管場所・版管理の整え方は「契約書が見つからない問題の解決|検索性を高める管理設計」で解説しています。

2.外部弁護士との連携がデータ中心になる

企業法務が集めた資料は、最終的に代理人弁護士がmintsにアップロードします。この「企業から代理人へ渡す」工程が、IT化によって質的に変わりました。

従来は紙の束を持参するか、限られた資料をメールに添付する運用でも回っていました。現在は、大量のデータを正確なファイル名と版で、期限に間に合うように渡す必要があります。生じやすい問題は次のとおりです。

  • メール添付の容量制限により、資料が分割され、抜けや重複が発生する
  • 「最新版」がどれか分からなくなり、代理人が古い版を提出してしまう
  • 個人情報や営業秘密を含むファイルが、確認されないまま送付される
  • 誰がどの版を承認したのかが記録に残らず、後から検証できない

加えて、期限管理の観点も無視できません。準備書面の提出または証拠の申出をすべき期間が定められた場合において、当事者がその期間を経過した後に提出するときは、期間を遵守できなかった理由を裁判所に説明しなければならないとされています(民訴法162条2項)。社内の資料提供が遅れれば、代理人の提出も遅れ、その理由の説明を求められる立場に立つのは会社です。

実務上の推奨は3点です。①大容量ファイルを安全に授受する経路(法律事務所のセキュアなファイル共有環境等)をあらかじめ決めておく、②社内レビューの締切を代理人の提出期限から逆算して設定する、③社外送付前の確認手順を定型化する。

関連コンテンツ:外部弁護士等へ資料を送る前の確認事項は「社外共有前チェックシート」に1枚でまとめています。

3.電子送達に対応した期限管理が必要になる

ここが、企業法務にとって最も事故が起きやすい論点です。

裁判所のシステムでオンラインの送達を受ける旨を届け出ると、電子判決書などの裁判書類についてシステムによる送達(システム送達)を受けられます(民訴法109条の2)。裁判所書記官が裁判書類をアップロードすると、当事者が閲覧・ダウンロードできる措置がとられ、登録された電子メールアドレス宛てにその旨の通知が発せられます。

問題は、送達の効力がいつ生じるかです。裁判所の案内によれば、効力は次のうち最も早い時点で生じます。

  1. 当事者がシステムにサインインして、その裁判書類を閲覧した時
  2. その裁判書類をダウンロードした時
  3. 閲覧またはダウンロードすることができる旨の措置がとられた旨の通知が発せられた日から1週間を経過した時

3番目が決定的です。メールを開かなくても、ファイルを見なくても、通知の発信日から1週間で送達の効力が生じ得ます。そして、電子判決書の送達の効力が生じた時点から控訴期間が進行します。裁判所の資料では、mints上に控訴期間の末日を明示する仕様はないため、当事者側で把握・計算する必要があるとされています。

仮想事例(実在の事件ではありません)

ある企業では、システム送達の通知先として、法務課の担当者Aの個人アドレスのみを登録していた。判決言渡し後、電子判決書がアップロードされ、Aのアドレスに通知メールが送信された。しかしAは長期休暇中で、メールは未読のまま迷惑メールフォルダに振り分けられていた。社内では「判決書はまだ届いていない」と認識されており、上訴の要否を検討する会議も設定されていなかった。担当者が復帰した時点では、通知の発信日から1週間が経過しており、送達の効力はすでに生じていた――。

この種の事故は、制度を知らないから起きるのではありません。通知を実質的に確認できる担当者が1人に固定され、代替確認と引継ぎの仕組みがない場合に起きやすい事故です。

企業側の対策として、少なくとも次の点を整備することが推奨されます。

  • 登録メールアドレスを個人だけが確認する状態にせず、共有メールボックス、転送設定、代理確認者などの社内運用により、複数名が通知を把握できるようにする(利用できる登録方法や通知設定は、mintsの最新仕様を確認する)
  • 主担当・副担当を明示し、不在時の確認責任者を決めておく
  • 裁判所のシステムからのメールが迷惑メールに分類されないよう、受信設定と振り分けルールを事前に確認する
  • 通知の受領日、閲覧日、ダウンロード日を、案件ごとの期限管理台帳に記録する
  • 上訴期間の末日を、代理人任せにせず社内でも把握する
  • 休職・異動・退職時の引継ぎ項目に「係属中の訴訟の通知受領体制」を明記する

なお、企業に代理人が就いている場合、システム送達を受けるのは通常は代理人ですが、代理人が受領した事実を会社がいつ知るかという社内の情報伝達も期限管理の一部です。「代理人が見ているはずだ」「会社が見ているはずだ」という相互の期待が、最も危険な状態です。

関連記事:副担当や引継ぎを含む最小構成の体制づくりは「ひとり法務・少人数法務は何から整えるべきか」で整理しています。

4.訴訟記録のアクセス権限と秘密情報を管理する

訴訟記録が電子化され、オンラインでダウンロードできるようになったことは、そのまま情報管理上のリスクの拡大を意味します。

まず、閲覧権限の設計です。訴訟記録には、相手方の主張書面や証拠も含まれます。これを社内の誰が見られる状態に置くのかは、明示的に決める必要があります。共有フォルダに置きっぱなしにすれば、案件と無関係な部署からもアクセスできる状態が生まれます。

次に、提出前の確認です。訴訟資料には、取引先名、単価、原価、技術情報、従業員の人事情報など、本来は開示を避けたい情報が含まれがちです。営業秘密や私生活上の重大な秘密が記載された部分については、閲覧等をすることができる者を当事者に限る旨の申立て(民訴法92条)を検討する余地があります。この申立ては、提出してから思い出すのでは遅く、提出前の検討事項として組み込むべきものです。

さらに、誤アップロードへの対応です。裁判所は、mintsの事件情報に誤ったファイルをアップロードした場合の対応について、専用の資料を公表しています。特に、相手方当事者が事件情報に関連付いている状況で秘匿情報を含む書面をアップロードしてしまうと、その時点で相手方からも閲覧可能な状態になり得るため、直ちに担当書記官に連絡して消去を申し出ることが重要とされています。「送信取消」のような機能で解決できる問題ではありません。

企業側で整備すべき事項は、次のとおりです。

  • マスキング済みの提出用資料とマスキング前の原資料を、フォルダ単位で分ける
  • ファイル名に版と用途を含める(例:提出版/社内検討版)
  • ダウンロードした訴訟記録の複製を、個人PCのデスクトップに残さない
  • 外部委託先(翻訳、印刷等)に渡す範囲を限定し、秘密保持の手当てをする
  • 訴訟終了後の保存期間と廃棄手順を決めておく

関連記事:営業秘密の管理状況は「営業秘密として守るための管理状況チェックリスト」、社外送付前の情報確認とマスキングは「情報漏えい・マスキング地獄を防ぐ実務ガイド」で解説しています。

5.ウェブ期日に参加できる環境を整える

ウェブ会議による期日への参加は、代理人だけの問題ではありません。企業担当者が同席して事実関係の確認に対応する場面、和解の社内決裁のために内容をその場で把握する必要がある場面、自社従業員が証人として尋問を受ける場面など、企業側が関与する局面は少なくありません。

裁判所の資料では、期日等にウェブ会議の方法で参加する場合にはTeamsを利用することとされ、また、法廷等で電磁的訴訟記録を確認するには自身のPC等を持参する必要があるとされています。企業側でも、次の準備が推奨されます。

  • 会議室――施錠でき、音声が漏れず、第三者が立ち入らない個室を確保する。ガラス張りの会議室は画面が外から見える点に注意する。
  • 端末・マイク・通信環境――カメラとマイクの動作を事前に確認し、ハウリング対策にヘッドセットを用意する。有線接続を基本とし、予備回線と、通信断時の連絡先(代理人の携帯番号、担当書記官)を手元に控えておく。
  • 録音・録画と社内チャット――法廷における写真の撮影、速記、録音、録画または放送は、裁判長の許可を得なければすることができません(民事訴訟規則77条。同78条により審尋等にも準用)。社内共有のためであっても、許可なく録音・録画しないよう参加者に事前に周知する必要があります。また、期日中に担当者間でチャットを使うと、画面共有時に通知が表示されて内容が漏えいするおそれがあるため、通知はオフにしておくことが望ましいといえます。
  • 証人候補者への事前説明――出頭場所の要件(前述)、当日の進行、禁止事項をあらかじめ説明する。
  • 海外からのmints利用――mintsは、セキュリティ上の理由から海外からアクセスして利用することができません。海外出張中の担当者がmintsを確認する前提では運用できないため、国内の代替担当者、システム送達受取人、代理人との連絡体制を事前に整えておく必要があります。
  • 海外拠点からのウェブ期日参加――これはmintsへのアクセス可否とは別の問題です。参加できるかどうかは、裁判所の判断、所在場所、本人確認、通信環境、時差などを含めて、代理人を通じて事前に確認してください。

6.少額案件を自社対応する選択肢が変わる

オンラインでの申立てが可能になったことで、少額の売掛金請求などについて「自社で対応する」という選択肢の現実味が、従来より高まりました。mintsは、弁護士等に限らず、本人当事者や法人も所定の登録手続を経て利用できます。

債権回収でよく使われる支払督促についても、選択肢が増えました。裁判所の案内によれば、2026年5月21日以降、支払督促は書面のほか、mintsまたは督促手続オンラインシステムを利用してオンラインで申し立てることができます(弁護士等の訴訟代理人には電子申立てが義務付けられています)。両者は利用方法も対応機能も異なるため、案件の性質と件数に応じた選択が必要です。その使い分けは第5話で詳しく取り上げます。

ただし、ここには法的な制約があります。

会社のために訴訟を追行できるのは、原則として代表取締役等の法人の代表者です。代表権のない法務担当者が、当然に会社を代理して訴訟活動を行えるわけではありません。会社法上の支配人は、会社に代わって裁判上の行為をする権限を有しますが、支配人の選任は登記事項であり、訴訟では登記事項証明書等によりその資格および代理権を証明する必要があります。また、簡易裁判所に係属する事件については、裁判所の許可を得て弁護士でない者を訴訟代理人とすることができるとされています(民訴法54条1項ただし書)が、これも許可を前提とする例外です。

したがって、自社対応を検討する場合には、①誰が会社を代表・代理するのか、②その資格をどう証明するのか、③mintsのアカウントは誰の名義で取得するのか、を法的に整理してから進める必要があります。「法務部が担当しているから大丈夫」という整理は成り立ちません。

本人訴訟、少額訴訟、支払督促の使い分けと、mintsの直接利用の具体的な流れは、シリーズ第5話で詳しく取り上げます。ここでは、選択肢が広がった一方で、資格の確認が不可欠であることを押さえてください。

民事訴訟IT化で便利になることと、新たに生じるリスク

民事訴訟のデジタル化は、当事者の負担を軽減する制度です。同時に、これまで存在しなかった種類の管理責任を企業に発生させます。両者を対比して整理します。

図表5 民事訴訟IT化のメリットと新しい実務リスク

変更点 期待されるメリット 新たなリスク 企業側の対策
オンライン提出 郵送・持参の手間と時間が減り、提出のタイミングを柔軟に調整できる 誤ファイルの提出、不鮮明なPDF、提出版の取り違え。アップロード後の自由な消去はできない 提出前の内容確認手順を定め、承認者を明確にする。ファイル名に版と用途を含める
訴訟記録の電子化 係属中は常時オンラインで記録を確認でき、謄写のための往訪が不要になる ダウンロードした記録の社内での拡散。権限を付与したままの退職者・異動者 案件単位のアクセス権限設計と定期的な棚卸し。保存場所と保存期間の明確化
電子送達 郵便の到達を待たずに書類を受領でき、受領の記録も残る 通知の見落とし。閲覧しなくても通知発信日から1週間で効力が生じ得るため、期限を徒過するおそれ 通知先の複線化、主担当・副担当の設定、期限管理台帳への記録、不在時の引継ぎルール
ウェブ期日 出頭のための移動時間・交通費が減り、遠隔地の事件にも参加しやすくなる 音声・画面の漏えい、第三者の立入り、通信断による手続の停滞 専用の個室と端末の確保、予備回線の準備、緊急連絡先の共有、録音・録画には裁判長等の許可が必要であることの周知
電子判決書 電子判決書をオンラインで受領・保存でき、社内共有がしやすくなる 控訴期間の起算点を誤認するおそれ。判決確定後等の一定の時期に事件情報との関連付けが解除され、その後の閲覧・複写には別途申請や手数料が必要となる場合がある 送達の効力発生日を記録し、上訴期限を社内でも計算する。判決書・和解調書は早期にダウンロードする
外部弁護士とのデータ連携 大量資料の受け渡しが迅速になり、進行状況の共有もしやすくなる 秘密情報を含むファイルの誤送付、版の混乱、役割分担の曖昧化 安全な共有経路の事前決定、社外送付前チェックの定型化、承認証跡の記録

企業が今すぐ確認すべき7項目

紛争が発生してから体制を作ることはできません。次の7項目は、係属中の訴訟がない企業でも、今日から確認できる内容です。

図表6 企業が今すぐ確認すべき7項目

訴訟関係データの保存場所が決まっている
案件単位のフォルダ構成と、アクセスできる範囲があらかじめ定義されている状態を指します。
原本とスキャンデータの対応関係を確認できる
PDFを見たときに、その原本が社内のどこにあるかを追跡できるかどうかが分かれ目です。
外部弁護士への安全な資料共有方法がある
大容量ファイルをメール添付以外の手段で授受する経路を、事前に決めておく必要があります。
電子送達の通知確認体制と副担当者が決まっている
通知を実質的に確認できる担当者が1人だけという状態は、期限徒過の大きな原因になります。
担当者の異動・休職・退職時の引継ぎルールがある
係属中の訴訟の通知受領体制とアカウント権限を、引継ぎ項目に明記します。
ウェブ期日に使用できる会議室と端末がある
施錠でき、音声が漏れず、画面が外から見えない個室を、期日の都度確保できるかを確認します。
秘密情報を含む証拠の確認・マスキング手順がある
誰が確認し、誰が承認して提出版を確定するのかを、手順として定めておきます。

7項目のうち複数に「まだ決まっていない」があるなら、訴訟対応だけでなく、文書管理や情報共有の仕組み自体を見直す時期にあるかもしれません。

関連記事:どの領域から着手するかの整理は「法務DXはどこから始める?3分で着手領域が決まるチェック」が参考になります。

より詳細なチェックリストは、シリーズ最終話(第6話)で提供します。

民事訴訟IT化についてよくある誤解

図表7 民事訴訟IT化についてよくある誤解

よくある誤解 実際
紙の提出は完全に禁止された 弁護士等の訴訟代理人には電子提出義務がありますが、本人当事者は原則として書面提出も選択できます。書証原本の持参や、秘匿事項届出書面の書面提出など、紙が残る場面もあります
mintsを使うのは弁護士だけである mintsは弁護士等に限らず、本人当事者や法人も所定の登録手続を経て利用できます。裁判所は法人向け・支配人向けの登録案内も公表しており、企業が本人訴訟を行う場合には企業側が直接利用する可能性があります
代理人がいるなら、企業法務担当者は何も準備しなくてよい 事実関係の整理、証拠候補の収集、提出用データの作成、社内承認、代理人への安全なデータ提供、期限管理は、いずれも企業側に残る業務です
証拠はPDFにすればよい 可読性、ページ順、要証事実との関連性の明示、原本の保管、提出版と検討版の区別まで含めて、はじめて提出できるデータになります
すべての裁判期日がウェブ会議になる ウェブ会議によるかどうかは裁判所が相当と認めるかどうかによります。対面での出頭という選択肢も残っています
訴訟記録は誰でもオンラインで見られる 当事者等によるオンラインアクセスと、第三者による閲覧等では、要件・方法・範囲が異なります。閲覧等制限の申立て(民訴法92条)による制限もあります
電子送達は、メールを開かなければ効力が生じない 閲覧した時、ダウンロードした時、通知が発せられた日から1週間を経過した時のうち、最も早い時点で効力が生じます。開封しなくても効力は生じ得ます
民事調停、執行、倒産、労働審判等もすべて同時に同じ制度になった 2026年5月21日の全面施行は、主として民事訴訟手続のデジタル化です。民事執行、倒産、労働審判等の非訟手続、人事訴訟、家事事件は対象外であり、遅くとも2028年6月までにオンライン申立て等の対象となる予定とされています

まとめ|訴訟対応のルールを電子化前提で見直す

民事訴訟のIT化を「紙がPDFになった」と受け止めると、企業法務の準備は間に合いません。見直すべき対象を、あらためて整理します。

  • 証拠管理――原本の所在、電子データの形式と可読性、提出版と検討版の分離、命名規則と版管理
  • 期限管理――システム送達の通知先、閲覧・ダウンロードの記録、上訴期間の社内での計算、不在時の引継ぎ
  • アクセス権限――誰が訴訟記録を見られるのか、いつ権限を外すのか、ダウンロードした複製をどこに置くのか
  • 秘密情報――営業秘密・個人情報・人事情報の確認手順、マスキング、閲覧等制限の申立ての検討、誤提出時の初動
  • 代理人連携――安全な共有経路、社内レビューの締切設定、最終提出版の確定と承認証跡
  • ウェブ期日――会議室と端末、通信環境、証人の出頭場所の要件、海外からのmints利用制限と海外拠点からの期日参加に関する事前確認
  • 本人訴訟の判断基準――少額案件を自社対応する場合の代表・代理資格の確認

これらは、法務部門だけで完結する話ではありません。証拠となる資料は営業部門や経理部門が保有し、人事情報は人事部門が管理し、共有フォルダの権限設定とメールの受信設定は情報システム部門が握っています。文書の保存期間を決めているのは文書管理部門であり、実際に提出するのは外部弁護士です。

民事訴訟のIT化への対応は、システムの導入ではなく、部門をまたぐ訴訟対応体制の再設計です。紛争が起きてから関係部門を集めるのではなく、平時のうちに、誰が何を持ち、誰がどこに連絡し、誰が最終確認をするのかを決めておく。それが、電子化を前提とした訴訟対応の出発点になります。

よくある質問(FAQ)

民事訴訟のIT化はいつから始まりましたか。

2022年5月25日に公布された改正法が段階的に施行されてきました。弁論準備手続のウェブ実施等は2023年3月1日、口頭弁論のウェブ実施は2024年3月1日、そして全面的なデジタル化に関する規定が2026年5月21日に施行されています。

2026年5月21日から、紙の書類は提出できなくなりましたか。

一律に禁止されたわけではありません。弁護士等の訴訟代理人には電子提出が義務付けられていますが、弁護士を選任していない本人当事者は、原則として書面による提出も選択できます。また、契約書など原本確認の必要性が高い書証について原本を証拠調べの対象として申し出る場合には期日に原本の持参を求められることがあり、当事者間秘匿の申立てに伴う秘匿事項届出書面は書面で提出することとされています。

企業法務担当者もmintsを利用しますか。

利用する可能性があります。mintsは弁護士等に限らず、本人当事者や法人も所定の登録手続を経て利用でき、裁判所は法人等用の登録届出フォームや、法人・支配人向けのアカウント登録ガイドを公表しています。企業が弁護士を付けずに本人訴訟を行う場合や、社内弁護士等が訴訟代理人となる場合には、企業側が直接利用することになります。ただし、会社を訴訟上代表・代理できる者には法的な制限があるため、法人代表者としての資格、支配人としての代理権およびその証明、簡易裁判所における許可代理の可否等を個別に確認する必要があります。

裁判所からの電子送達は、メールを開かなければ効力が生じませんか。

そうではありません。裁判所の案内によれば、システム送達の効力は、①裁判書類を閲覧した時、②ダウンロードした時、③閲覧またはダウンロードすることができる旨の措置がとられた旨の通知が発せられた日から1週間を経過した時、のうち最も早い時点で生じます。閲覧もダウンロードもしていなくても、通知の発信日から1週間の経過によって効力が生じ得るため、通知の見落としは期限徒過に直結します。

過去から係属している訴訟にも、新しい制度が適用されますか。

オンラインでの訴え提起やシステム送達を利用できるのは、原則として全面施行以後に提起された訴えに係る事件です。施行日前に提起された訴えは、引き続き書面による審理・送達となり、訴訟記録も紙で作成されます。もっとも、経過措置が置かれていない一部の規定(ウェブ会議による証人尋問など)は施行前から係属していた事件にも適用されるため、係属中の案件は代理人に適用関係を確認してください。

参考資料・公的情報

本記事は、次の公的資料を確認して作成しています(いずれも最終確認日:2026年7月29日)。

本記事は2026年7月29日時点の公表情報に基づく一般的な解説であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。実際の対応にあたっては、事件が係属する裁判所の案内および代理人弁護士にご確認ください。

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