会社法人等番号を不動産登記に入れるには?|法人識別事項の申出を実務解説
過去未了分の是正が終わった。しかし、次の本店移転でまた全国の不動産を一件ずつ確認するのでは、同じことの繰り返しになる──。
第6話からは、漏れが起きる構造そのものを変えるフェーズです。その入口が、会社法人等番号を不動産の所有権の登記に記録しておくこと。番号が記録されていれば、商業・法人登記システムとの連携によって、今後の住所・名称の変更が職権で登記される道が開きます。
結論|番号が未登記なら「法人識別事項の申出」を検討する
会社法人等番号を追加するために、不動産ごとに通常の変更登記を申請する必要はありません。2024年(令和6年)4月1日時点で既に所有権の登記名義人だった法人には、簡易な「法人識別事項の申出」により、登記官の職権で法人識別事項を登記してもらえる制度が用意されています。
この手続は非課税で、オンラインの場合を含めて押印・電子署名は不要とされています。同一の登記所の管轄区域内にある複数の不動産については、まとめて申出できる特則もあります。
図1:過去の是正から、今後の自動化へ
過去未了の変更登記を是正する
第5話までの作業。旧表示を現在の表示に直す
物件ごとに会社法人等番号の記録の有無を確認する
登記事項証明書等で確認する。記録済みなら申出は不要
未記録の物件について法人識別事項の申出をする
書面またはオンライン。管轄登記所ごとに整理する
登記官が職権で法人識別事項を登記する
申出を受けた登記官が登記する。会社自身が登記を申請するわけではない
スマート変更登記の基盤が整う
番号を検索キーとして商業・法人登記システムと連携できる状態になる
2026年住所等変更登記義務化|法人所有不動産の登記管理実務
制度の全体像から、自社不動産の棚卸し、過去分の処理、社内体制の構築までを10話で扱います。自社の状況に近いところから読み進めてください。
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2024年4月1日から何が変わったのか
民法等の一部を改正する法律により、2024年(令和6年)4月1日から、所有権の登記名義人が法人であるときの所有権の登記の登記事項として、会社法人等番号その他の特定の法人を識別するために必要な事項(法人識別事項)が追加されました(不動産登記法第73条の2第1項第1号)。
法人識別事項として何が記録されるかは、不動産登記規則第156条の2により次のように整理されています。
| 法人の区分 | 法人識別事項 |
|---|---|
| 会社法人等番号を有する法人 | 会社法人等番号 |
| 会社法人等番号を有しない外国法人 | 設立準拠法国 |
| 会社法人等番号を有しない上記以外の法人 | 設立根拠法 |
※ 表は横にスクロールできます
本記事の対象
以下は会社法人等番号を有する一般的な会社・法人を中心に説明します。会社法人等番号を有しない法人にも法人識別事項の申出の制度はありますが、法人識別事項を証する情報等の取扱いが異なります。一方で、後述する法人のスマート変更登記は会社法人等番号を検索キーとする仕組みであるため、会社法人等番号を有しない法人は対象ではありません。この2つは別の話として区別してください。
まず、会社法人等番号がすでに登記されているか確認する
申出をする前に確認すべきは、その不動産の所有権の登記に法人識別事項が既に記録されていないかです。既に登記されているときは申出をすることができませんし、申出をしても却下事由に当たります。
法務局の案内は、令和6年4月1日以降に所有権を取得して登記した場合や、住所変更等の登記をした場合には、既に会社法人等番号の登録が完了している可能性が高いとしたうえで、不動産の登記事項証明書を確認するよう案内しています。
図2:会社法人等番号「あり/なし」の判定
登記事項証明書で甲区の所有者欄を確認する
所有権の登記名義人である法人について、法人識別事項(会社法人等番号)が記録されているか
記録あり
原則として申出は不要。台帳に「あり」と記録して次の物件へ
記録なし
法人識別事項の申出の候補。ただし2024年4月1日時点で所有権の登記名義人だったことが前提
企業プロジェクトとしては、全物件について一律に申出書を作るのではなく、第3話で作った確認台帳を「あり/なし/未確認」に分類し、「なし」だけを申出の対象候補にするのが効率的です。
会社法人等番号(12桁)と法人番号(13桁)は別のものです
会社法人等番号は、商業・法人登記に用いられる原則12桁の番号で、登記事項証明書等で確認できます。会社法その他の法令に基づき設立登記された国内法人では、国税庁が指定する法人番号は会社法人等番号の12桁を基礎として1桁を付した13桁になります。ただし外国法人には別の番号体系があります。いずれにしても、申出に使うのは13桁の法人番号ではなく会社法人等番号です。13桁の番号を申出書に記載しないでください。
法人識別事項の申出とは何か
制度の趣旨は、負担の軽減です。2024年4月1日時点で既に所有権の登記名義人だった法人について、法人識別事項を追加する登記を通常の登記申請として求めると手続的な負担が大きくなります。そこで、当該法人による簡易な申出により、登記官の職権で法人識別事項を登記してもらうことができる旨の規定が設けられました(改正法附則第5条第5項、改正省令附則第2条)。
したがって、これは「登記申請」ではなく「申出」です。会社が登記を申請するのではなく、申出を受けた登記官が職権で登記します。手続の基本的な流れは権利に関する登記の申請と同様とされていますが、次の2点が大きく異なります。
押印・電子署名は不要
申出手続(オンラインの場合を含む)において押印・電子署名は不要とされています。
非課税
第4話で扱った住所・名称変更登記の登録免許税(不動産1個につき1,000円)とは異なり、この申出は非課税とされています。
どの法人が申出できるか
申出をすることができるのは、2024年(令和6年)4月1日において所有権の登記名義人として記録されている法人のみです。ただし、所有権の登記名義人の法人識別事項が既に登記されているときは申出をすることができません。
代表者が法人を代表して申出をすることも、代理人によって申出をすることもできます。代理人による場合は、代理人の権限を証する情報が必要です。法務局の案内でも、会社の代表者が申出する場合には代理権限を証する情報は不要とされています。
申出書には何を書くか
法人識別事項の申出をする場合に明らかにする必要がある事項は、改正省令附則第2条に定められています。企業担当者が事前に準備すべき情報として整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申出人の名称及び住所 | 会社の登記事項証明書に記載されている現在の商号・本店を記載する。不動産登記上の旧表示と一致していなくても、それ自体は却下事由ではない |
| 申出人の代表者の氏名 | — |
| 代理人の氏名又は名称及び住所 | 代理人によって申出をするとき。代理人が法人であるときはその代表者の氏名も |
| 申出の目的 | 「何番所有権変更」の例により、甲区何番の所有権の登記名義人について申出をするのかを表示する |
| 所有権の登記名義人の法人識別事項 | 会社法人等番号(12桁) |
| 申出に係る不動産の不動産所在事項 | 不動産番号を申出情報の内容としたときは、この事項を明らかにする必要はない |
| 申出人又は代理人の連絡先 | 電話番号その他 |
| 法人識別事項申出添付情報の表示 | — |
| 申出の年月日 | — |
| 登記所の表示 | 対象不動産を管轄する登記所 |
※ 表は横にスクロールできます
法務省は、本人申出・代理申出それぞれの記載例と書式例(PDF・Word・一太郎)を公開しています。実際に作成する際は最新の様式を確認してください。
添付情報は何が必要か
| 場面 | 必要とされる情報 |
|---|---|
| 会社の代表者が申出する場合 | 代理人の権限を証する情報は不要 |
| 代理人によって申出をする場合 | 当該代理人の権限を証する情報 |
| 法人である代理人が、その会社法人等番号を提供した場合 | 当該代理人の代表者の資格を証する情報は不要 |
| 申出人が会社法人等番号を有する法人以外の法人である場合 | 当該法人の代表者の資格を証する情報 |
| 所有権の登記名義人の法人識別事項を証する情報 | 会社法人等番号(所有権の登記名義人に係るものであることを登記官が確認することができるものに限る)を申出情報の内容としたときは不要 |
※ 表は横にスクロールできます
古い物件では閉鎖事項証明書等が必要になることがあります
法務省は、申出人が会社法人等番号を有する法人である場合において、現在の会社法人等番号によって、所有権の登記がされた日(その後に名称・住所の変更登記がされている場合はその登記がされた日)以降の商業登記簿上の商号・本店の変更の経緯を登記所において確認することができないときは、その経緯を証する閉鎖事項証明書等を提供する必要があるとしています。
要否は各法人の事情によりますが、所有権の登記等がされた日が平成24年5月21日(外国会社にあっては平成27年3月2日)以降であれば、一般的に閉鎖事項証明書等の提供は不要とされています。逆にいえば、それより前に登記された物件については確認が必要になり得ます。第5話で扱った会社法人等番号の付け替えと同じ論点なので、過去未了案件の調査結果をそのまま流用できます。
なお、提出した添付書面については原本の還付を請求することができます(申出のためにのみ作成された委任状その他の書面を除く)。この場合は、原本と相違ない旨を記載した謄本を提出します。
複数の土地・建物をまとめて申し出られるか
法人識別事項申出情報は、原則として一の不動産および所有権の登記名義人ごとに作成して提供します。ただし特則があり、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産についての法人識別事項の申出が同一の所有権の登記名義人についてのものであるときは、一の申出情報によって申出をすることができるとされています(改正省令附則第2条第6項)。
図3:管轄ごとの申出単位
東京法務局○○出張所の管轄 土地10筆
同一の所有権の登記名義人であれば、一の申出情報でまとめられる
横浜地方法務局○○支局の管轄 土地5筆+建物2個
管轄が違うので、別の申出になる
大阪法務局○○出張所の管轄 土地20筆
さらに別の申出になる
整理の考え方
管轄登記所ごとに束ねる。全国の不動産を1回の申出でまとめることはできない。ただし申出は送付やオンラインでも可能なので、各地の登記所へ出向く必要はない
書面を送付する場合は書留郵便等によることとされ、封筒の表面に法人識別事項申出書または添付書面が在中している旨を明記するよう案内されています。
書面とオンライン、どちらで申し出るか
申出は、申出書を管轄登記所に提出(送付または持参)する方法か、オンラインで情報を送信する方法により行えます。登記・供託オンライン申請システムには、不動産登記の申出の様式として「オンライン申出書(会社法人等番号等の申出書)」が用意されており、申請用総合ソフトで作成します。
| 項目 | 書面 | オンライン |
|---|---|---|
| 作成方法 | 法務省公表の書式例・記載例を利用 | 申請用総合ソフトで「オンライン申出書(会社法人等番号等の申出書)」を作成 |
| 提出 | 管轄登記所に持参または送付(書留郵便等、封筒に在中の旨を明記) | オンラインで送信 |
| 押印・電子署名 | 不要 | 不要(システム上、電子署名が必須とされているのは資格者代理申出用の様式) |
| 添付情報 | 代理申出か本人申出か、閉鎖事項証明書等の要否によって変わる | |
| 向いている場面 | 対象物件が少ない、社内に登記の書面実務がある | 管轄が多数にわたる、繰り返し申出をする見込みがある |
| 注意点 | 管轄別に整理して郵送・持参の手間が発生する | 利用者登録やソフトの導入・操作環境の準備が必要 |
※ 表は横にスクロールできます
物件数が多ければオンラインが常に有利とは限りません。社内の体制、司法書士へ委任するかどうか、他の登記手続をオンラインで行っているかによって、合理的な選択は変わります。
申出後は何が起こるか
申出を受けた登記官が内容を確認し、職権で法人識別事項を登記します。申出書を提出した時点で登記が完了するわけではありません。
また、次の場合には申出が却下されます(補正できる不備を相当の期間内に補正したときを除く)。対象不動産の所在地が申出を受けた登記所の管轄に属しないとき、申出に係る登記が既に登記されているとき、申出の権限を有しない者の申出によるとき、申出情報またはその提供方法が定められた方式に適合しないとき、申出情報の内容である不動産が登記記録と合致しないとき、申出情報の内容が添付情報の内容と合致しないとき、添付情報が提供されないときです。管轄の取り違えと、既に登記済みの物件についての申出は、実務上起こりやすい却下事由です。
完了の確認まで社内タスクにする
申出をしたことと、番号が登記されたことは別です。職権登記が完了した旨は通知により確認できます(登記・供託オンライン申請システムの案内でも、不動産登記の申出について公文書の発行が「あり」とされています。検索用情報の申出書についてのみ「なし」とされています)。そのうえで、社内では次の各段階まで含めて完了と定義してください。
- 申出をする
- 登記所で処理される
- 登記完了の通知を確認する
- 重要物件については登記事項証明書・登記情報を取得し、会社法人等番号が実際に記録されたことを確認する
- 第3話の確認台帳を「あり」に更新し、確認日を記録する
申出をすれば旧住所・旧商号も直るのか
ここは分けて考える必要があります。会社法人等番号の申出と、住所・名称の変更登記は別の手続です。申出をしたその場で登記記録上の旧本店・旧商号が現在の表示に置き換わるわけではありません。
旧本店のままでも、先に申出をすることができます
申出書には現在の商号・本店を記載します。改正省令が定める却下事由に掲げられているのは、申出情報の内容である不動産が登記記録と合致しないときであって、申出人の現在の名称・住所が不動産登記上の旧表示と一致しないことではありません。つまり、住所・名称の変更登記が未了の状態でも法人識別事項の申出をすることができます。
これは順番の自由度を意味します。旧表示が残っている物件について、変更登記を先に済ませてから申出をする、という順序に縛られる必要はありません。
もっとも、法人のスマート変更登記では、既に商業・法人登記上の住所・名称の変更がある法人について、会社法人等番号が不動産登記に記録されたことを契機として、過去の変更情報が連携され職権による変更登記の対象となる場合があります。番号を入れることが、過去分の処理につながることもあるという関係です。
「申出をしたから今後は義務違反にならない」と広く言い切らない
法務局の案内では、会社法人等番号の登記がされ、その後に本店・主たる事務所の住所や名称に変更があった場合には法務局が職権で変更登記をするため、住所等変更登記の義務違反に問われることがなくなる旨が説明されています。ただしこれは、会社法人等番号が実際に登記されていること、対象となる法人であること、スマート変更登記の対象となる類型であることを前提とした説明です。申出書を出した時点で将来のあらゆる場合が免責されるわけではありません。
ケース別の考え方
| ケース | 状況 | 考え方 |
|---|---|---|
| A:古い土地 | 2010年取得。会社法人等番号の記録なし | 法人識別事項の申出の典型的な対象。所有権の登記等がされた日が平成24年5月21日より前なので、閉鎖事項証明書等の要否を確認する |
| B:最近取得した土地 | 2025年に所有権移転登記済み | 2024年4月1日以降に法人を所有権の登記名義人とする登記を申請する場合は法人識別事項を申請情報として提供する仕組みになっているため、既に記録されている可能性が高い。まず登記事項証明書で確認する。仮に記録されていない場合、経過措置としてのこの申出を当然に利用できるとは限らない(申出ができるのは2024年4月1日時点で所有権の登記名義人だった法人)ので、管轄登記所に確認する |
| C:同一管轄に土地20筆 | すべて同じ法人名義。番号の記録なし | 同一管轄・同一の所有権の登記名義人なので、一の申出情報でまとめられる |
| D:東京・横浜・大阪に不動産 | 複数管轄にまたがる | 管轄登記所ごとに申出を整理する。1回でまとめることはできない |
| E:旧本店のまま+番号の記録なし | 過去の本店移転が未反映で、番号も未記録 | 申出を先に行い、過去分が職権登記の対象となるかを見る選択肢がある。ただし職権登記の完了前に売却・抵当権抹消等を行う必要があるなら、待たずに自ら変更登記を申請する |
※ 表は横にスクロールできます
実務フローと申出台帳
図4:申出の7ステップ(企業実務上の推奨フローであり、法令上定められた手順ではありません)
所有不動産台帳を確認する
第3話で作った確認台帳を起点にする
会社法人等番号の記録の有無を確認する
登記事項証明書等で物件ごとに確認する
「なし」の不動産だけを抽出する
2024年4月1日時点で所有権の登記名義人だったかもあわせて確認する
管轄登記所ごとに整理する
管轄の取り違えは却下事由になる
同一管轄内でまとめられる範囲を判定する
同一の所有権の登記名義人であることを確認する
書面またはオンラインで申出をする
閉鎖事項証明書等の要否を先に判定しておく
登記記録で反映を確認し、台帳を更新する
確認日と証跡の保存先を残す
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 管理番号 | 社内番号 |
| 不動産 | 所在・地番/家屋番号、不動産番号 |
| 管轄登記所 | 登記所名(申出単位を決める基準) |
| 所有権の登記名義人 | 登記記録どおり |
| 甲区の順位番号 | 申出の目的の記載に使う |
| 会社法人等番号の記録 | あり/なし/未確認 |
| 申出の要否 | 要/不要/確認中 |
| 申出単位 | 同一管轄でまとめる/個別 |
| 閉鎖事項証明書等 | 要/不要/確認中 |
| 申出方法 | 書面/オンライン |
| 申出人 | 自社(代表者)/代理人(司法書士等) |
| 申出日 | YYYY/MM/DD |
| 反映確認日 | 登記記録で番号を確認した日 |
| 旧住所等の残存 | あり/なし(ありの場合は第5話の管理表へ紐づけ) |
| 証跡 | 申出書控え・取得した登記事項証明書の保存先 |
| 備考 | 却下・補正の記録など |
※ 表は横にスクロールできます
法務部のチェックリスト
物件ごとに番号の記録の有無を確認したか
記録済みの物件について申出をすると却下事由に当たる。
2024年4月1日時点で所有権の登記名義人だったかを確認したか
申出ができるのはこの要件を満たす法人。
会社法人等番号(12桁)を正しい方法で確認したか
13桁の法人番号と取り違えない。
甲区の順位番号を控えたか
申出の目的を「何番所有権変更」の例で記載する。
所有権の登記等がされた日を確認したか
平成24年5月21日より前であれば、閉鎖事項証明書等の要否を検討する。
管轄登記所ごとに申出を整理したか
管轄違いは却下事由。
同一管轄内でまとめられる範囲を判定したか
同一の所有権の登記名義人であることが条件。
不動産の表示が登記記録と合致しているか確認したか
合致しない場合は却下事由になる。
代理申出の場合の代理権限証明情報を用意したか
代表者本人が申出する場合は不要。
原本還付を請求するか決めたか
請求する場合は原本と相違ない旨を記載した謄本を提出する。
登記記録で番号の反映を確認したか
申出をしたことは完了ではない。
旧住所・旧商号が残っている物件を別管理にしたか
番号の記録と表示の是正は別の問題。
まとめ
第6話のまとめ
1.番号の追加に通常の変更登記は要らない。2024年4月1日時点で所有権の登記名義人だった法人は、簡易な申出により登記官の職権で法人識別事項を登記してもらえます。
2.非課税で、押印・電子署名も不要。登録免許税がかかる住所・名称変更登記とは別の手続です。
3.まず記録の有無を確認する。既に登記されていれば申出はできません。2024年4月1日以降に登記した物件は記録済みの可能性が高いとされています。
4.申出単位は管轄ごと。同一管轄・同一の所有権の登記名義人ならまとめられますが、全国分を1回にはできません。
5.申出は完了ではない。登記記録で番号の反映を確認し、台帳に確認日を残してください。
会社法人等番号は、商業・法人登記と不動産登記をつなぐ接続キーです。次の記事では、そのキーを使って両システムがどう連携し、登記官がどのように職権で住所等変更登記を行うのかを扱います。
よくある質問(FAQ)
Q1会社法人等番号が不動産登記に入っているかは、どこで分かりますか?
A不動産の登記事項証明書で、所有権の登記名義人である法人について法人識別事項が記録されているかを確認します。法務局の案内では、令和6年4月1日以降に所有権を取得して登記した場合や住所変更等の登記をした場合には、既に登録が完了している可能性が高いとされています。
Q213桁の法人番号を使えばよいですか?
Aいいえ。申出に使うのは会社法人等番号(原則12桁)です。会社法その他の法令に基づき設立登記された国内法人では、法人番号は会社法人等番号の12桁を基礎として1桁を付した13桁になりますが、外国法人には別の番号体系があります。いずれにしても両者は別のもので、申出書に記載するのは会社法人等番号です。
Q3会社法人等番号を追加するのに登録免許税はかかりますか?
A法人識別事項の申出は非課税とされています。不動産1個につき1,000円というのは、第4話で扱った住所・名称変更登記の登録免許税であり、別の手続です。
Q4全国の不動産を1回の申出でまとめられますか?
Aできません。申出情報は原則として一の不動産および所有権の登記名義人ごとに作成しますが、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産で、同一の所有権の登記名義人についてのものであれば、一の申出情報でまとめられます。管轄が違えば別の申出になります。
Q5既に会社法人等番号が登記されている場合も申出が必要ですか?
A不要です。法人識別事項が既に登記されているときは申出をすることができず、申出をしても却下事由に当たります。まず登記事項証明書で確認してください。
Q6申出をすれば旧本店の表示もすぐ変更されますか?
Aその場で変更されるわけではありません。番号の記録と、住所・名称の変更登記は別の手続です。ただし、番号が記録されたことを契機として、過去の変更が職権による変更登記の対象となる場合があります。職権登記の完了前に売却や抵当権抹消の手続を行う必要がある物件は、待たずに自ら変更登記を申請してください。
Q7オンラインで申出できますか?
Aできます。登記・供託オンライン申請システムには不動産登記の申出の様式として「オンライン申出書(会社法人等番号等の申出書)」があり、申請用総合ソフトで作成します。申出手続では、オンラインの場合を含めて押印・電子署名は不要とされています。
参考資料・一次資料
本記事は2026年8月時点で公開されている法令および法務省・法務局・登記・供託オンライン申請システムの資料に基づく一般的な情報提供です。様式・添付情報・システムの仕様は変更されることがあります。実際の申出にあたっては、対象不動産を管轄する登記所または司法書士にご確認ください。
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