取締役会議事録の下書きをAIで作る方法|決議事項・報告事項・リスク表現の注意点
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契約レビュー、ハラスメント対応、契約管理、マスキング、AI法律相談など、 目的に合わせて使える実務ツール・プロンプト集をまとめています。
取締役会議事録の下書きをAIで作る方法|決議事項・報告事項・リスク表現の注意点
取締役会議事録は、単なる会議メモではありません。会社法上の備置書類であり、取締役の職務執行の適法性、決議内容、審議経過、利益相反取引の処理状況などを後から確認するための重要な会社記録です。
会議が終わった後、メモを整理して議事録を仕上げるまでの作業には手間がかかります。決議事項と報告事項の区分、審議概要の整理、要確認事項の洗い出しなど、項目が多い場合は特に時間を要します。このような場面で、ChatGPTなどの生成AIを活用することは有効な選択肢のひとつです。
ただし、取締役会議事録の下書きをAIに任せる場合には、重大な注意点があります。 AIは実際の取締役会で何が審議・決議されたかを知りません。そのため、会議メモに書かれていない発言・審議経過・決議結果をAIが「補完」してしまうと、実際の議事録と異なる内容が生まれてしまいます。これは議事録の証拠性・正確性を損ない、取締役の責任追及場面等で問題になるおそれがあります。
本記事では、取締役会議事録の下書きにChatGPTを使う方法を整理するとともに、AIを使う範囲と、法務担当者・取締役会事務局が確認すべき事項を実務目線で解説します。
取締役会議事録の下書きでは、決議事項・報告事項・要確認事項を整理しつつ、実際の審議内容に沿って慎重に記録する必要があります。議事録下書きや確認事項整理の型を持っておきたい方は、法務AIプロンプト100選も確認してください。コーポレート法務全般の下書き・整理・チェックリスト化に使えるプロンプトを収録しています。
まず結論:取締役会議事録ではAIを「事実整理」と「下書き補助」に使う
取締役会議事録の下書きにChatGPTを活用する際の基本的な位置づけは、以下のとおりです。
- 会議メモ・議案資料をもとに、議事録の構成案を作る
- 決議事項・報告事項・審議概要を分類・整理する
- 下書き文の文章を整える
- 不明点・確認漏れを【要確認】として洗い出す
- 事後手続の確認リストを作る
図解:取締役会議事録の下書きにAIを使う流れ
取締役会議事録の下書きでChatGPTが得意なこと
ChatGPTを取締役会議事録の下書き補助として使う場合、以下の作業は比較的有効に活用できます。
会議メモの整理と議題ごとの要約
箇条書き・雑然としたメモから、議題ごとに内容を整理し、読みやすい形にまとめる作業が得意です。メモの順番を整理したり、重複した情報を一本化したりすることができます。
決議事項・報告事項の分類候補の作成
会議メモをもとに「どれが決議事項でどれが報告事項か」の分類候補を出すことができます。ただし、最終的な区分の判断は人間が行う必要があります。
議事録の構成案・下書き文の整形
開催日時・場所・出席者・議長・議題・審議概要・決議結果・報告事項・確認事項という形式に沿って、議事録の下書き文を整形することができます。
不明点・要確認事項の抽出
メモの中で情報が不足している箇所、確認が必要な事項をプロンプト指示に従って【要確認】として明示させることができます。
事後手続チェックリストの作成
決議内容をもとに、登記・公告・社内規程更新・関係部署通知・契約書・許認可への影響などの事後手続を整理したチェックリストの初期案を作ることができます。
過去議事録との形式合わせ・表現整理
過去の議事録フォーマットをプロンプトに示すことで、形式を揃えた下書きを作成することができます。また、表現が適切かどうかの観点からの文章整理も有効です。
取締役会議事録の下書きでChatGPTに任せてはいけないこと
- 実際に発言されていない内容の補完:会議メモに記録のない発言・意見をAIが補うことは、議事録の正確性を損ないます。
- 実際に審議されていない経過の補完:審議の流れを想像で埋めることは禁物です。
- 決議結果の推測:可決・否決・継続審議など、実際の決議結果はAIには判断できません。
- 出席者・欠席者の推測:実際の出席・欠席の事実は、必ず人間が確認する必要があります。
- 特別利害関係・利益相反の最終判断:会社法上の利益相反取引・特別利害関係取締役の該当性は、法令・定款・専門家に基づき人間が判断します。
- 決議の適法性の最終判断:当該決議が会社法上・定款上適法に行われたかどうかの確認は人間が行います。
- 議事録の最終確定:AI出力をそのまま最終議事録として使用してはなりません。
- 取締役責任に関わる記載の判断:善管注意義務・監視義務・説明責任に関わる表現は慎重に人間が判断します。
- 登記・公告・届出の要否判断:決議内容に基づく登記申請・官報公告・行政届出等の要否は人間が確認します。
表:取締役会議事録作成でAIに任せやすい作業・人間が判断すべき作業
| 作業 | AIに向いていること | 人間が判断すべきこと | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 会議メモの整理 | 箇条書き・雑然メモの整形・要約 | 事実の正確性確認・漏れ確認 | AI補完が入っていないか必ず確認 |
| 決議事項/報告事項の分類 | 分類候補の作成・整理 | 会社法・定款・規程に基づく最終区分 | 法定決議事項の見落としに注意 |
| 審議概要の整理 | メモの整理・読みやすい文章化 | 発言の趣旨の正確な反映 | 発言者・内容の事実補完をさせない |
| 決議結果の記載 | 書式の整形・文言案の提示 | 実際の決議結果の確認・反映 | 決議結果はAIに推測させない |
| 利益相反・特別利害関係 | 確認観点のリストアップ | 該当性の最終判断・法的対応確認 | 会社法356条・428条等の確認が必要 |
| 要確認事項の抽出 | 不明点・確認漏れの洗い出し | 優先度判断・対応方針の決定 | 要確認のまま確定しないよう注意 |
| 事後手続リストの作成 | 一般的な事後手続の整理・列挙 | 当該案件における要否の最終判断 | 登記・公告・届出の期限も確認 |
| 表現・文章の整形 | 読みやすい文章への変換 | 実際の審議内容との整合確認 | 表現整理で事実が変わらないよう注意 |
取締役会議事録の基本構成
取締役会議事録(会社法369条4項・5項、会社法施行規則101条)には、一般的に以下の事項を記載します。
必須記載事項・記録事項
- 開催日時:年月日・時刻(開始・終了)
- 開催場所:所在地または「本社会議室」等
- 出席取締役・出席監査役:全員の氏名(役職含む)
- 欠席者:欠席取締役・監査役の氏名(理由があれば記録)
- 議長:取締役会議長の氏名
- 議事録作成者:作成担当者の氏名
- 議題:決議事項・報告事項・協議事項の別を含む
- 決議事項:議案の内容・決議結果(可決・否決・継続等)
- 報告事項:報告された内容・質疑応答
- 審議概要:各議案に関する審議の経過
- 反対意見・留保意見:あれば記録(取締役の責任の観点からも重要)
- 特別利害関係:特別利害関係取締役の有無・退席状況
- 議事録署名・記名押印・電子署名:出席取締役・出席監査役(会社法369条4項)
- 保存・備置:10年間の本店備置(会社法371条)
取締役会議事録プロンプトに入れるべき前提条件
| 前提条件の種類 | 具体例 | 入れる理由 |
|---|---|---|
| 会社形態 | 取締役会設置会社・監査役設置会社・非公開会社・上場会社 等 | 適用条文・定足数・決議要件が異なるため |
| 会議の種類 | 定時取締役会・臨時取締役会・書面決議(370条決議) | 必要事項・手続が異なるため |
| 議題の種類 | 決議事項・報告事項・協議事項の別 | 記載内容・深さが異なるため |
| 出席者・欠席者 | 出席取締役氏名・役職・欠席者・監査役の出席状況 | 定足数確認・署名者の特定のため |
| 議長 | 議長の氏名・選出根拠(定款・取締役会規程等) | 議長の適法性確認のため |
| 実際の会議メモ | 当日のメモ・発言記録(わかる範囲で) | AIに事実補完させないために、入力できる情報を全て入れる |
| 議案資料の概要 | 事前に配布された議案書・参考資料の要点 | 審議内容の精度を上げるため |
| 不明点を補完しない指示 | 「不明な点は【要確認】として明示し、推測で補わないこと」 | AI補完による事実歪曲を防ぐため(最重要) |
| 出力形式 | 「議事録案・要確認リスト・事後手続チェックリストの3点を出力」 | 目的別に出力を分けて使いやすくするため |
| 会社法・定款確認前提 | 「最終確認は会社法・定款・取締役会規程・社内規程に基づき人間が行う前提」 | AI出力に過信しないよう確認義務を明示するため |
| マスキング・匿名化 | 「役員の個人情報・未公表情報は入力前に匿名化または伏せ字にする」 | 外部AI入力前の機密情報漏洩リスクを防ぐため |
決議事項と報告事項をAIで整理する方法
取締役会議事録において、決議事項と報告事項の区分は非常に重要です。
決議事項とは
取締役会として意思決定する事項です。会社法・定款・取締役会規程上、取締役会決議が必要とされる事項がこれにあたります。代表的なものとして、重要な業務執行の決定(会社法362条4項)、代表取締役の選定・解職(同条2項3号)、利益相反取引の承認(会社法365条・356条)などがあります。
報告事項とは
業務執行状況の報告や、重要事項の情報共有のために取締役会に報告される事項です。四半期業績報告、月次報告、内部監査報告などが代表例です。
AIによる分類の限界
ChatGPTは会議メモから分類候補を出すことはできますが、当該事項が会社法・定款・取締役会規程上「取締役会決議が必要か」の最終判断は人間が行う必要があります。特に重要な業務執行、利益相反取引、代表取締役選定・解職などは、法律・定款の規定に基づいて慎重に確認してください。
審議経過・質疑応答をAIで整理する方法
会議メモから審議概要を整理する場合、ChatGPTは以下のような補助ができます。
- 複数の発言メモを読みやすく整理する
- 質問・回答・意見の流れを構造化する
- 不明確な箇所を【要確認】として抽出する
リスク表現・責任追及につながり得る表現の注意点
取締役会議事録は、後日、取締役の善管注意義務(会社法330条・民法644条)・監視義務・説明責任に関わる場面で参照されることがあります。たとえば、株主代表訴訟や不祥事発覚後の調査等においても確認されます。
避けるべき表現パターン
- 事実と異なる過度な断定(「全員が十分に検討した」など、実態が不明なもの)
- リスクを見えにくくする過度な曖昧表現
- 審議が行われていないのに行われたかのように読める表現
- 架空の質疑応答・審議経過の記録
適切な記載とは
実際に行われた審議内容・発言・決議結果を正確に反映すること、認識されたリスク・対応方針・確認事項を適切に残すこと、一方で実際に審議されていない事項を補わないことが基本です。AIで表現を整える場合も、実際の審議内容との整合が前提です。
図解:取締役会議事録で注意すべき記載領域
- AIで整理できること
- 議案の要約・決議文言の整形・フォーマット合わせ
- 人間が確認すべきこと
- 決議事項の要否・決議結果(可否)・定足数・特別決議要件
- AIで整理できること
- 報告内容の要約・箇条書き化・形式整理
- 人間が確認すべきこと
- 報告内容の正確性・補足すべき説明の有無
- AIで整理できること
- メモの整形・構造化・読みやすい文章化
- 人間が確認すべきこと
- 発言の趣旨が変わっていないか・補完がないか
- AIで整理できること
- Q&A形式での整理・不明点の【要確認】化
- 人間が確認すべきこと
- 実際の質疑内容との一致・回答の正確性
- AIで整理できること
- メモから反対意見・留保意見の記録箇所を抽出
- 人間が確認すべきこと
- 発言内容・発言者の正確な記録・取締役責任への影響
- AIで整理できること
- 確認観点の列挙・要確認事項の抽出
- 人間が確認すべきこと
- 会社法356条・365条の該当性・退席の有無・承認の要否
- AIで整理できること
- 事後手続チェックリスト案・確認事項リストの初期案
- 人間が確認すべきこと
- 登記・公告・届出の要否・期限・担当者の確定
取締役会議事録で慎重に扱うべき議題
以下の議題は、会社法上・実務上の影響が大きく、AIの下書きだけで完結させず、会社法・定款・専門家確認を行うことが強く推奨されます。
- 重要な業務執行(会社法362条4項):重要な財産の処分・譲受け、多額の借財、支配人その他の重要な使用人の選解任など
- 代表取締役の選定・解職(同条2項3号):選任・解任の適法性、議事録への記載方法
- 役員報酬:報酬決定の根拠・定款または株主総会決議との整合
- 利益相反取引(会社法365条・356条):直接取引・間接取引の区別、特別利害関係取締役の退席、承認決議の適法性
- 競業取引(会社法365条・356条1項1号):承認の有無・事後報告義務
- 組織再編(合併・分割・株式交換等):所定の承認要件・開示義務・株主保護手続
- 子会社・グループ会社の重要事項:親会社の承認要否・内部統制の観点
- 不祥事・コンプライアンス案件:記載内容が後日の調査・訴訟で参照され得ること、弁護士立会いの検討
表:取締役会議事録で慎重に扱うべき議題と確認ポイント
| 議題 | 議事録上の注意点 | 人間が確認すべきこと | AIに指示するポイント |
|---|---|---|---|
| 重要な業務執行 | 何が「重要」かの判断・決議事項か委任可能かの確認 | 会社法362条4項各号・定款・規程との照合 | 「決議が必要かを【要確認】にする」 |
| 代表取締役の選定・解職 | 選定方法・就任日・登記必要性 | 取締役会規程・定款の選定方式・登記申請スケジュール | 「選定の根拠と登記要否を【要確認】にする」 |
| 役員報酬 | 報酬決定の根拠・株主総会決議との関係 | 定款規定・株主総会決議の範囲内かの確認 | 「報酬決定の根拠規定を【要確認】にする」 |
| 利益相反取引 | 特別利害関係取締役の退席・承認決議の記録 | 会社法356条・365条の要件・事後報告義務 | 「特別利害関係の有無を【要確認】にする」 |
| 競業取引 | 承認の有無・事後報告の記録 | 会社法365条1項・356条1項1号の要件 | 「承認の有無と事後報告要否を【要確認】にする」 |
| 組織再編 | 各手続に必要な承認決議・開示義務の記録 | 会社法所定の手続要件・株主保護手続の有無 | 「弁護士・司法書士確認を【要確認】にする」 |
| 不祥事・コンプライアンス案件 | 過度な断定・架空の審議経過を入れない | 弁護士立会いの要否・開示義務・証拠保全 | 「事実のみを記載し、推測は一切【要確認】にする」 |
取締役会議事録で使えるプロンプト例
プロンプト例1:会議メモから下書き作成
プロンプト例 1あなたは企業のコーポレート法務担当者を支援する立場です。
以下の取締役会メモをもとに、取締役会議事録の下書き案を作成してください。
【前提条件】
・会社形態:取締役会設置会社・監査役設置会社(非公開会社)
・会議種類:(定時/臨時)取締役会
・開催日時:〇年〇月〇日 〇時〇分〜〇時〇分
・開催場所:本社会議室(または書面決議の場合はその旨)
・出席者:代表取締役〇〇、取締役〇〇(以下略)、監査役〇〇
・欠席者:(いれば記載)
・議長:代表取締役〇〇
【会議メモ】
(ここに会議メモを貼り付けてください)
【指示】
・実際に確認できる事実のみを使い、不明な点は補完せず【要確認】として明示してください。
・決議事項と報告事項を区別した形式で整理してください。
・出力は「開催概要・出席者・議題ごとの審議概要・決議結果・報告事項・要確認事項リスト」の形式で整理してください。
・最終的な議事録は、会社法・定款・社内規程・実際の審議内容に基づいて人間が確認することを前提としています。
プロンプト例2:要確認事項の抽出
プロンプト例 2以下の取締役会議事録案について、議事録確定前に確認すべき事項を抽出してください。
【議事録案】
(ここに議事録案を貼り付けてください)
【指示】
特に以下の観点から確認事項を整理してください。
・出席者(定足数・特別利害関係取締役の退席)
・議長の適法性
・決議事項・報告事項の区分の正確性
・決議結果(可否・継続・保留)
・利益相反・特別利害関係の有無
・反対意見・留保意見の記録
・事後対応(登記・公告・届出・社内通知)
・不明点の補完がないか
出力は「確認項目・確認理由・確認先・優先度(高/中/低)」の表形式にしてください。
プロンプト例3:リスク表現の調整
プロンプト例 3以下の取締役会議事録案について、表現上の注意点を抽出してください。
【議事録案】
(ここに議事録案を貼り付けてください)
【指示】
・実際の審議内容を変えない前提で、以下の観点から問題箇所を抽出してください。
- 事実と異なる可能性のある過度な断定表現
- 曖昧すぎて審議内容が読み取れない表現
- 後日の説明責任・善管注意義務の観点でリスクになり得る表現
・各箇所について「問題箇所・問題点・修正方針・修正文案・注意事項」を表形式で出力してください。
・事実関係は補完せず、不明点は【要確認】としてください。
・最終判断は法務担当者が行う前提です。
プロンプト例4:事後手続リスト作成
プロンプト例 4以下の取締役会決議事項について、議事録確定後に必要となる可能性がある事後手続を整理してください。
【決議事項の概要】
(ここに決議事項を貼り付けてください)
【指示】
以下の分類ごとに確認すべき事項をチェックリスト形式で出力してください。
1. 登記(変更登記の要否・申請期限)
2. 公告(官報公告・定款所定の公告の要否)
3. 社内規程・台帳の更新
4. 関係部署への通知
5. 契約書・銀行・許認可への影響
6. 保存・証跡管理(議事録の保存方法・備置場所)
最終的な判断は、会社法・定款・社内規程・専門家確認を前提としてください。
表:取締役会議事録下書き用プロンプトに入れるべき要素
| 要素 | 具体例 | 入れる理由 | 入れない場合のリスク |
|---|---|---|---|
| 会議の種類 | 定時取締役会・臨時取締役会・書面決議 | 必要事項・記載フォーマットが異なるため | 不適切な様式で出力される可能性 |
| 開催日時・場所 | 〇年〇月〇日 〇時〇分〜/本社会議室 | 議事録の必須記載事項のため | AIが架空の日時・場所を補完する可能性 |
| 出席者・欠席者 | 出席取締役全氏名・役職・監査役・欠席者 | 定足数確認・署名者特定のため | 出席者の推測・定足数エラーのリスク |
| 議長 | 議長の氏名・選出根拠 | 議長の適法性確認のため | AIが独断で議長を設定する可能性 |
| 議題 | 決議事項・報告事項・協議事項の別と各タイトル | 議事録の構成の基礎となるため | 議題の追加・省略・区分ミスのリスク |
| 会議メモ | 当日のメモ・発言記録(手元の情報全て) | AIに補完させず事実を反映するため | AIが架空の審議経過を補完するリスク |
| 決議結果 | 各議案の可決・否決・継続・出席者の賛否 | 決議結果はAIに推測させないため | 誤った決議結果が記録されるリスク |
| 不明点を補完しない指示 | 「不明な点は【要確認】として明示し推測補完しないこと」 | 最も重要な指示。事実歪曲を防ぐため | AIが不明点を補完し、事実と異なる内容が生成されるリスク |
| 出力形式 | 「議事録案・要確認リスト・事後手続チェックリストを分けて出力」 | 使用目的別に整理するため | 要確認事項が埋もれ、見落とすリスク |
| 要確認事項の抽出 | 「不明点・確認漏れ・事後対応を別途リスト化すること」 | 確認漏れを防ぐため | 漏れが生じ、議事録確定後に問題が発覚するリスク |
| 会社法・定款確認前提 | 「最終確認は会社法・定款・規程・専門家に基づき人間が行う前提」 | AIの限界と人間の確認義務を明示するため | AI出力をそのまま使い、法的瑕疵が生じるリスク |
| マスキング・匿名化 | 「役員氏名・金額・取引先名は事前に匿名化または入力を最小限に」 | 外部AIへの機密情報漏洩を防ぐため | 未公表情報・個人情報が外部AIに送信されるリスク |
AI議事録案を実務で使う前のチェックポイント
- 実際の開催日時・場所と一致しているか
- 出席取締役・出席監査役・欠席者が正しく記録されているか
- 議長・議事録作成者・署名予定者が正しいか
- 決議事項・報告事項の区分が正しいか(会社法・定款・規程との照合)
- 各議案の決議結果(可否)が実際と一致しているか
- 反対意見・留保意見・異議が適切に記録されているか
- 特別利害関係取締役の退席・利益相反取引の承認状況を確認したか
- 会社法・定款・取締役会規程・社内規程と整合しているか
- AIが不明点を勝手に補完していないか(全箇所を目視確認)
- 登記・公告・届出の要否を確認したか
- 議事録確定後の事後手続・保存対応を確認したか
- 必要に応じて弁護士・司法書士への確認を行うか
取締役会議事録とマスキングの関係
取締役会議事録・会議メモには、役員の個人情報、未公表の経営情報、取引先名、金額、組織再編に関する情報など、機密性の高い情報が含まれることがあります。
外部のAIサービスにこれらの情報をそのまま入力する場合、自社のAI利用規程・機密情報保護ルール・取締役との守秘義務に照らして問題がないかを事前に確認してください。
- 役員の個人名・住所・報酬に関する情報
- 未公表の重要な経営判断(M&A、組織再編等)
- 取引先の名称・金額・契約条件
- 不祥事・コンプライアンス案件に関する情報
これらの情報は、外部AIへ入力する前に匿名化・マスキング処理を検討してください。
取締役会議事録や会議メモには、役員情報・未公表情報・金額・取引先名など、機密性の高い情報が含まれることがあります。AI入力前に伏せたい情報をテキスト内で整理・マスキングしたい場合は、LegalOS マスキングのような前処理ツールを活用する方法もあります。外部AI入力前の情報管理の一助としてご確認ください。
取締役会議事録プロンプト集を使うメリット
コーポレート法務担当者・一人法務・取締役会事務局の方が議事録作業にAIプロンプトを活用する場合、毎回ゼロからプロンプトを組み立てるのは手間がかかります。
有料の法務AIプロンプト集を活用することで、以下のようなメリットが期待できます。
- 議事録下書きの指示設計を毎回考えなくてよい
- 決議事項・報告事項・要確認事項を分けて整理しやすい構成が揃っている
- 不明点を補完せず【要確認】として出させるための指示が組み込まれている
- リスク表現・事後手続の確認観点が標準化されている
- 一人法務・少人数法務でも初動整理しやすい
表:取締役会議事録プロンプト集が向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 取締役会議事録の下書きに時間がかかっている | AIをほとんど使わない(プロンプト集を活用する場面がない) |
| 決議事項・報告事項の整理や区分に迷うことがある | 取締役会議事録をAIに完全自動化してほしい(補助ツールの位置づけを超えた期待がある) |
| 要確認事項を漏れなく洗い出したい | 実際の審議内容と異なる議事録をAIに作らせたい |
| 事後手続の確認漏れを減らしたい | 会社法・定款・社内規程の確認をするつもりがない |
| 一人法務・少人数法務で議事録作成の型がほしい | 重要な会社手続も専門家確認なしで済ませたい |
| 事務局担当者として議事録の初動整理を効率化したい | 役員情報・未公表情報を無加工で外部AIに入力する運用を考えている |
注意点:取締役会議事録では「事実補完」をAIにさせない
最後に、最も重要な注意点を改めて整理します。
AIは実際の会議の内容を知りません。入力された情報をもとに文章を生成するため、情報が不足していると「もっともらしい内容」を補完してしまうことがあります。この補完内容が実際の審議・決議と異なる場合、議事録の正確性を損ない、後日問題となるおそれがあります。
- AIが生成した内容は、必ず実際の会議内容と照合してください
- 不明点は【要確認】として残し、確認前に確定させないでください
- 会社法・定款・取締役会規程・過去の運用に基づいて最終確認を行ってください
- 重要な案件(利益相反取引・組織再編・不祥事等)では弁護士・司法書士への確認を検討してください
- AIはあくまでも下書き・構成整理・確認観点の補助であり、判断主体は人間です
まとめ
本記事では、取締役会議事録の下書きにChatGPTを使う方法を実務目線で整理しました。
- ChatGPTは、議事録の構成案・下書き・要確認事項の抽出・事後手続リストの作成に有効に使える
- ただし、AIは実際の審議内容・決議結果を知らないため、事実の補完をさせてはいけない
- AIへの指示では「不明点は補完せず【要確認】にする」という指示が最も重要
- 取締役会議事録は会社法上の重要な記録であり、会社法・定款・取締役会規程との整合性確認が不可欠
- AI出力をそのまま最終議事録に使うのではなく、実際の会議内容・法的要件に基づいて確認する
- 外部AI入力前には機密情報・役員情報・未公表情報のマスキングを検討する
- プロンプト集を活用すると、議事録下書き・整理・チェックリスト化の型を揃えやすくなる
次回(第16話)では、「子会社管理にChatGPTを使う方法」として、子会社管理の報告依頼文・規程確認・管理項目チェックリスト・親会社向け報告整理でAIを活用する方法を解説します。
議事録下書き用のプロンプトの型を持っておくと、毎回ゼロから指示を組み立てる手間を省けます。コーポレート法務全般の下書き・整理・確認観点の型を揃えたい場合は、法務AIプロンプト100選をご確認ください。契約審査から議事録・社内規程・人事労務まで幅広く収録しています。
また、取締役会議事録・会議メモを外部AIに入力する前の情報前処理については、LegalOS マスキングもご参照ください。
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