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従業員情報は、会社内部の情報であるため、つい軽く扱われがちです。しかし、従業員情報も個人情報保護法上の重要な個人情報であり、顧客情報と同じように管理が求められます。それどころか、人事評価、健康診断、ストレスチェック、休職・復職、懲戒、給与、退職者情報など、顧客情報よりもセンシティブになり得る場面が少なくありません。

本記事では、入社後・在職中・退職後の従業員情報の管理を、個人情報保護法を中心に、労務管理・健康情報の観点も交えて整理します。健康情報については、労働安全衛生法や厚生労働省の指針も関わるため、その関係も初心者向けに触れていきます。

第11話で採用応募者・内定者・不採用者の情報を学びました。第12話は、その続きとして入社後の従業員情報を扱います。採用段階の情報は第11話:採用活動と個人情報をご覧ください。

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まず結論|従業員情報は「社内情報」ではなく「個人情報」

先に結論をお伝えします。従業員情報は、社内で扱う情報であっても、個人情報・個人データ・保有個人データに該当し得ます。「社内情報だから自由に扱える」という考え方は誤りです。利用目的、取得項目、アクセス権限、保存期間、外部委託、漏えい対応を一体で管理する必要があります。

情報の種類主な利用目的主なリスク管理上の注意関連記事
給与・勤怠給与計算・労務管理誤送信・委託先管理不足アクセス限定・委託先確認第7話
人事評価処遇・配置の判断不適切な記載・閲覧過大閲覧範囲・記載内容の管理本記事 第5章
健康情報健康管理・安全配慮要配慮情報の漏えい・差別特に厳格なアクセス制限本記事 第6章
休職・復職職場復帰支援共有範囲の拡大・噂共有先を必要範囲に限定本記事 第7章
退職者情報証明書発行・法定手続無期限保存・放置保存期間・削除ルール第9話

従業員情報として扱う主な情報

従業員情報には、実にさまざまな種類があります。それぞれが通常の個人情報なのか、要配慮個人情報・センシティブ情報に当たり得るのか、アクセス制限が必要かを意識すると、管理の優先度が見えてきます。

情報の種類具体例注意点主な管理部署
氏名・住所・連絡先基本情報通常の個人情報として管理人事・総務
生年月日属性情報必要範囲で利用人事
家族・扶養情報扶養家族・続柄家族(第三者)の個人情報人事・総務
給与・賞与・振込口座財産情報アクセス限定人事・経理
勤怠情報出退勤・残業労務管理の範囲で人事・総務
人事評価評価・面談記録閲覧範囲・記載に注意人事・上長
異動・昇格・降格処遇の履歴本人対応に関わる人事
懲戒・問題行動記録懲戒・指導記録労務紛争に関わる人事・法務
健康診断結果診断結果要配慮個人情報に該当し得る人事・産業保健
ストレスチェック情報検査結果特に厳格な管理産業保健・人事
休職・復職情報診断書・産業医意見共有範囲を限定人事・産業保健
障害・配慮事項合理的配慮の情報要配慮情報に該当し得る人事
社内アカウント・ログシステム利用履歴退職時の削除情シス
退職者情報退職後の保存情報保存期間・削除人事・総務

用語(個人情報・個人データ・要配慮個人情報)の違いは第2話で整理しています。とくに健康情報は要配慮個人情報に該当し得る点を押さえておきましょう。

従業員情報の利用目的をどう整理するか

従業員情報についても、個人情報保護法上、利用目的をできる限り特定する必要があります(個人情報保護委員会のQ&Aでも、従業員の個人情報について利用目的の特定が必要とされています)。「雇用しているのだから当然」ではなく、何のために使うかを整理しておくことが基本です。

利用目的具体的な利用場面注意点関連記事
雇用管理労務管理全般必要な範囲で第4話
給与計算・社会保険手続給与・保険・税務委託先の管理第7話
勤怠管理出退勤の管理システムの権限第14話
人事評価・配置処遇・異動の判断閲覧範囲の限定本記事 第5章
健康管理・安全配慮健康診断・産業保健要配慮情報の管理本記事 第6章
福利厚生・緊急連絡福利厚生・連絡必要範囲で利用第6話
退職後の証明書発行在職証明等保存期間の設計本記事 第9章

当初の利用目的から外れる使い方をする場合は、目的外利用の問題につながります。たとえば、健康管理のために取得した情報を、無関係な人事判断に使うことは慎重な確認が必要です。目的外利用の考え方は第6話をご覧ください。

人事評価情報の管理

人事評価情報は、従業員の処遇、昇給、賞与、異動、昇格、降格、懲戒、退職勧奨などに影響し得る重要な個人情報です。評価者コメント、面談記録、目標設定、360度評価、異動希望、能力評価などは、記載内容・閲覧範囲・保存期間・本人対応に注意が必要です。

情報の種類リスク管理方法法務の確認ポイント
評価者コメント不適切・主観的な記載記載ルールの整備事実に基づくか
面談記録機微な内容の記録閲覧範囲の限定記載内容の適切性
目標設定・評価結果閲覧範囲の拡大アクセス権限の管理本人対応への備え
360度評価評価者の匿名性取扱いルールの明確化運用の透明性
懲戒・指導記録労務紛争での争点厳格な管理説明可能性

法務の視点として、評価文言が事実に基づいているか、差別的・人格攻撃的な記載になっていないか、労務紛争時に説明できるかを確認しておくとよいでしょう。「人事評価情報は本人に見せない前提だから管理不要」という考え方は誤りです。人事評価情報も保有個人データとして開示等請求の対象になり得ます。ただし、開示することで「業務の適正な実施に著しい支障を及ぼすおそれがある場合」(法第33条第2項第2号)に該当する部分——たとえば率直な評価プロセスや評価者の特定につながる情報など——は、例外的に非開示とできる余地があります。非開示にあてはまる範囲をあらかじめ定めて従業員に周知し、開示・非開示の判断手続と紛争時の説明可能性を意識して管理しましょう。

健康情報・ストレスチェック情報の管理

健康診断結果、ストレスチェック結果、産業医面談記録、休職・復職の診断書、病歴、障害、配慮事項などは、特に慎重な管理が必要です。これらの健康情報のうち要配慮個人情報に該当するものは、本人に対する不利益な取扱いや差別等につながるおそれがあるため、取扱いに特に配慮を要するとされています。

個人情報保護法では、要配慮個人情報の取得には原則としてあらかじめ本人の同意が必要です。また、健康情報の利用目的はできる限り具体的に特定し、原則として本人の同意なく利用目的の達成に必要な範囲を超えて取り扱ってはならないとされています。さらに、労働安全衛生法第104条では、労働者の心身の状態に関する情報を、労働者の健康の確保に必要な範囲内で収集し、収集の目的の範囲内で保管・使用することが求められています(本人の同意その他正当な理由がある場合を除く)。

情報の種類取得・利用場面注意点アクセス権限
健康診断結果健康管理・就業判定要配慮個人情報に該当し得る必要な担当者に限定
ストレスチェック結果メンタルヘルス対策・就業上の措置検討個々人の結果は原則として本人同意なく事業者へ提供されない。集団分析結果や面接指導申出後の取扱いは分けて整理する実施者・産業保健スタッフ・同意に基づく限定担当者
産業医面談記録就業上の措置検討機微情報を含む産業保健・限定者
休職・復職診断書休職・復職判断共有範囲を限定人事・産業保健
病歴・障害情報合理的配慮等取得目的・範囲を厳格に必要な担当者のみ

「人事部なら誰でも生の健康情報を見てよい」わけではありません。健康情報は、健康確保や安全配慮など必要な目的のために、必要な担当者に限定してアクセスできるようにすることが重要です。実務上、産業医や健診機関が取得した詳細な検査数値や具体的な病名(生の診断書等)を、本人の同意なく人事や現場の上司へそのまま共有することは避けるべきとされ、現場の上司が受け取るのは、産業医が就業上の観点から判断した「就業上の措置に関する意見(通常勤務可能・就業制限・要休職など)」という結論部分に絞るのが原則です。なお、労働安全衛生法第104条第3項に基づく厚生労働省の指針では、労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのため、事業場ごとに衛生委員会等を活用して取扱規程を策定・運用することが求められています。要配慮個人情報に該当しない健康情報も、機微な情報を含み得るため、要配慮個人情報に準じて取り扱うことが望ましいとされています。

休職・復職・配慮事項に関する情報

休職、復職、時短勤務、配置転換、合理的配慮、産業医意見、主治医診断書などは、従業員の健康・疾病・障害・家庭事情に関係する情報を含み得ます。これらは、職場復帰支援や安全配慮のために必要な範囲で扱うべきであり、上司・同僚への共有範囲を慎重に決める必要があります。

情報の種類主な共有先共有目的注意点
休職の事実直属の上司・人事業務調整・手続理由の詳細は必要範囲で
診断書・病名人事・産業保健就業判断上司への詳細共有は慎重に
産業医意見人事・関係者就業上の措置必要な範囲に限定
復職後の配慮事項上司・関係者職場復帰支援配慮に必要な範囲で
時短・配置転換上司・人事勤務調整背景情報の共有は慎重に
共有範囲を決めるときの考え方

休職・復職に関する情報は、「全部を上司に共有する」のではなく、業務調整や配慮に必要な情報に絞るのが基本です。本人への説明、記録の保管、関係者への共有範囲を決め、不要な噂や二次的な共有を防ぐ仕組みを整えましょう。病名や詳細な病状まで広く共有する必要があるかは、慎重に判断します。

給与・勤怠・家族情報・マイナンバー周辺の管理

給与、賞与、振込口座、勤怠、残業時間、家族・扶養情報、緊急連絡先なども、重要な従業員情報です。これらは給与計算や社会保険手続のために外部に渡すことも多く、委託先管理が重要になります。

情報の種類利用目的注意点委託先の有無
給与・賞与・振込口座給与支払財産情報の厳格管理給与計算委託・金融機関
勤怠・残業時間労務管理システムの権限管理勤怠管理システム
家族・扶養情報社会保険・税務家族の個人情報の管理社労士・会計事務所
緊急連絡先緊急時連絡第三者の個人情報の管理
福利厚生情報福利厚生提供提供範囲の確認福利厚生サービス

マイナンバー(特定個人情報)は、個人情報保護法の要配慮個人情報の枠組みとは別に、特別法である番号法(マイナンバー法)に基づく厳格な制限が課されます。利用できるのは社会保障・税・災害対策の法律で定められた事務に限られ、人事評価や営業など他目的への使い回しは本人の同意があっても認められません。違反には罰則も定められています。給与計算委託、社会保険労務士、会計事務所、金融機関などへの提供・委託の場面を含め、通常の従業員データとは別管理・アクセス制限・利用目的の限定を徹底し、委託先の監督や契約も確認してください(第7話契約条項参照)。

退職者情報の管理

退職者情報は、退職後も源泉徴収票、退職証明、社会保険、年金、税務、労務紛争、問い合わせ対応などのために、一定期間の保存が必要になる場合があります。一方で、退職したからといって、すべての情報を無期限に保存してよいわけではありません。保存目的・保存期間・削除・廃棄ルールを整理する必要があります。

情報の種類保存目的保存期間を決める視点削除・廃棄の注意点
給与・税務関連税務・法定保存関連法令の保存義務法定期間を確認
社会保険・年金関連手続・証明関連法令・実務上の必要性不要分は削除
在職・退職証明関連証明書発行発行ニーズの期間必要範囲に限定
人事評価・懲戒記録紛争対応紛争リスクの期間目的終了後は削除検討
健康情報法令・安全配慮法令の保存義務・必要性不要分は確実に削除
退職者アカウント等の処理を忘れない

退職者情報の管理では、データだけでなく退職者アカウント、メール、共有フォルダの権限、貸与端末、クラウドサービスのアカウントの処理も重要です。「ログインされていなければ放置でよい」とはなりません。放置アカウントは不正利用のリスクになります。退職手続に、これらの権限削除を組み込みましょう(第9話:個人情報の社内管理ルール参照)。

従業員情報のアクセス権限と社内共有

従業員情報は、人事、総務、情シス、上司、役員、産業医、社労士、給与計算委託先など、複数者が関与するため、アクセス権限の設計が重要です。情報の種類ごとに、閲覧できる人、編集できる人、ダウンロードできる人、保存期間を分けて設計します。

情報の種類主な閲覧者権限範囲注意点
基本情報・勤怠人事・総務・上長業務に必要な範囲過大な共有を避ける
給与情報人事・経理の担当者限定された担当者閲覧者を絞る
人事評価人事・評価権限者評価に関わる範囲閲覧範囲を狭く
健康情報産業保健・限定担当者必要最小限特に厳格に限定
懲戒・休職情報人事・法務・限定者必要な関係者のみ共有範囲を慎重に

とくに人事評価・健康情報・懲戒情報・休職情報は、閲覧範囲を特に狭くする必要があります。アクセス権限の設計は第8話第9話もご覧ください。

人事労務システム・給与計算委託・健康管理システム利用時の注意点

従業員情報の管理では、人事労務システム、勤怠管理システム、給与計算システム、健康管理システム、ストレスチェックサービス、社労士事務所、健康診断機関など、外部サービスや委託先を利用することが多くあります。これらを使う場合、委託・再委託・SaaS・クラウド・海外保存・アクセス権限・退職後削除・漏えい時通知などを確認する必要があります。

サービス・委託先確認項目リスク関連記事
人事労務システム契約内容・利用規約/DPA・保存先・再委託・権限・提供者の取扱い外部サービス利用の整理不足・権限過大・削除返還漏れ第14話
給与計算委託・社労士委託範囲・監督独自利用・再委託契約条項
勤怠管理システム保存先・アクセス権限設定ミス・権限過大第14話
健康管理システム健康情報の安全管理要配慮情報の漏えい契約条項
ストレスチェックサービス結果の管理・取扱い結果データの管理不足第7話
健康診断機関結果の授受・管理授受の整理不足第7話

外部サービスの利用は委託・第三者提供・共同利用のどれに当たるかの整理が出発点です(第7話)。とくに健康情報を委託する場合は、委託先での適切な取扱いと委託先の監督が重要です。

従業員情報の漏えい・誤共有を防ぐ実務対応

従業員情報は社内で扱うため、外部漏えいだけでなく、社内の誤共有・閲覧権限ミスも問題になり得ます。社内だからと油断せず、予防策を整えましょう。

場面リスク防止策事故時対応
人事評価ファイルを全社共有フォルダに保存権限過大による閲覧保存場所・権限の限定権限修正・記録
給与情報の誤送信宛先ミスによる漏えい宛先確認・添付方法の制限・安全なファイル共有方法の利用送信停止・削除依頼・影響範囲確認・記録
健康情報を上司に広く共有必要範囲を超えた共有共有範囲の限定共有範囲の見直し
退職者アカウントの放置不正利用退職時の削除アカウント停止・記録
チャットへの健康情報投稿不特定への共有投稿ルールの整備削除・記録
生成AIへの従業員情報入力外部送信・流出入力可否ルール入力停止・確認

従業員情報を生成AIに入力することは「社内利用だから問題ない」とは言えません(入力先や設定により外部提供等の論点が生じ得ます。AI法務ガイド参照)。万一の漏えい・誤共有時の初動は第10話、報告義務は速報・確報の報告義務をご覧ください。

従業員情報の保存期間・削除・廃棄

従業員情報の保存期間は、個人情報保護法だけで一律に決まるものではありません。労働関係法令、税務、社会保険、紛争対応、業務上の必要性を踏まえて決める必要があります。労働基準法など他の法令で一定期間の保存が義務づけられている書類もあるため、削除前に確認が必要です。

情報の種類関連する法令・業務保存期間を決める視点注意点
労働者名簿・賃金台帳等労働基準法等法定の保存義務法定期間を確認
給与・税務関連税務関係法令法定の保存義務法定期間を確認
社会保険関連社会保険関係法令法定・実務上の必要性不要分は削除
人事評価・懲戒記録労務管理・紛争対応紛争リスクの期間目的終了後は削除検討
健康情報労働安全衛生法等法令の保存義務・必要性定めのないものは必要範囲で

具体的な保存年数は、関連法令・社内規程・業務上の必要性に応じて定める必要があります。本記事で「○年」と断定はできません。法令で保存期間が定められているものはそれに従い、定められていないものは利用目的に照らして必要な範囲で保存期間をあらかじめ定めておきます。利用する必要がなくなった個人データは遅滞なく消去するよう努めることが求められます(法第22条)。削除・廃棄時は、紙、電子ファイル、メール、バックアップ、SaaS、委託先保管分も含めて確認しましょう。

従業員情報の管理を、社内文書に落とし込む

従業員情報管理では、利用目的の整理・健康情報取扱規程・人事評価情報のアクセス権限表・退職者情報の保存削除ルール・人事労務SaaS確認メモ・漏えい時対応フローなどを文書化して整理する必要があります。「従業員情報管理チェックリスト」「健康情報取扱規程のたたき台」「人事評価情報アクセス権限表」「退職者情報保存・削除ルール」といったたたき台づくりを効率化したい法務・総務・人事・情シス担当者の方には、個人情報保護法対応AIプロンプト集が補助ツールとして役立ちます(最終的な内容の確認・判断は担当者ご自身で行ってください)。

個人情報保護法対応AIプロンプト集を見る

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法務・人事・総務・情シスが確認すべき質問

従業員情報の管理状況を確認するときに使える質問を整理します。部署横断で確認すると、抜けを見つけやすくなります。

質問確認意図問題になりやすい回答次に見る論点
どの従業員情報を取得していますか対象の把握「把握しきれていない」棚卸し・台帳
利用目的を従業員に示していますか利用目的の明示「特にしていない」利用目的の特定(第4話)
健康情報や要配慮個人情報を扱っていますか機微情報の有無「健康診断結果がある」取得同意・厳格管理
人事評価情報の閲覧者は限定されていますかアクセス範囲「管理職全員」閲覧範囲の限定
休職・復職情報の共有範囲は決まっていますか共有範囲「上司に全部共有」共有範囲の限定
給与・勤怠情報は誰が閲覧できますかアクセス範囲「広く閲覧可」権限の限定
外部委託先・SaaS・クラウドに保存していますか外部保存・外部サービス利用の把握「クラウドに保存」委託・第三者提供・提供に当たらない整理、外国取扱い、契約終了時の返還削除(第14話)
退職者情報の保存期間は決まっていますか保存期間「決めていない」保存・削除ルール
退職者アカウントの削除手順はありますか退職時処理「残っているかも」退職時フロー
漏えい時の連絡ルートはありますか初動体制「特にない」漏えい初動(第10話)
健康情報取扱規程や管理規程はありますか規程の整備「ない」規程の整備

従業員情報管理チェックリスト

従業員情報の管理を点検するための簡易チェックリストです。チェックが付かない項目が、優先課題になります。

チェック項目確認内容未対応の場合のリスク主な担当部署
従業員情報の利用目的を整理している利用目的の特定目的外利用のリスク人事・法務
入社時・在職中・退職時の取得情報を棚卸ししている取得情報の把握管理対象の漏れ人事・法務
健康情報のアクセス権限を限定している閲覧範囲の限定要配慮情報の漏えい産業保健・情シス
人事評価情報の閲覧範囲を決めているアクセス範囲過大な共有人事・情シス
休職・復職情報の共有範囲を決めている共有範囲不要な共有・噂人事・産業保健
給与・勤怠情報の外部委託先を管理している委託先管理委託先での漏えい法務・人事
人事労務SaaSの契約・設定を確認している委託・第三者提供・クラウド利用の整理、保存先、再委託、権限、削除返還条件を確認外部サービス利用の整理不足・設定ミス・退職者情報の残存法務・情シス
退職者情報の保存期間を決めている保存・削除ルール無期限保管人事・法務
退職者アカウント削除フローがある退職時処理放置アカウントの悪用人事・情シス
漏えい・誤共有時の初動フローがある事故対応の準備初動の遅れ法務・情シス

よくある誤解と正しい理解

従業員情報をめぐる代表的な誤解を整理します。

よくある誤解正しい理解実務上の注意
従業員情報は社内情報だから個人情報保護法は関係ない従業員情報も個人情報として保護対象利用目的・安全管理が必要
人事部ならすべての従業員情報を自由に見られる情報ごとに閲覧範囲を限定すべき健康情報は特に厳格に
上司には部下の健康情報をすべて共有してよい必要な範囲に限定すべき病名等の共有は慎重に
人事評価情報は本人に見せない前提なので管理不要保有個人データとして管理対象になり得る記載内容・開示対応に注意
退職者情報は念のため永久保存すればよい不要になれば消去するよう努める保存期間を定める
給与計算を外部委託しているので自社は管理不要委託元として委託先管理が必要委託先の監督・契約
健康診断結果は会社が実施したので自由に使える利用目的の範囲で、慎重に取り扱う目的外利用は慎重に
退職者アカウントは使われていなければ放置でよい放置アカウントは悪用リスクがある退職時に削除する
従業員情報を生成AIに入力しても社内利用だから問題ない入力先・設定により外部提供等の論点がある入力可否ルールを定める

このシリーズでの次の学び方

従業員情報の管理を押さえたら、次は営業まわりの個人情報外部サービスの確認、そして全体の総点検に進みます。第13話では営業リスト・名刺情報・メール配信を、第14話ではSaaS・クラウド利用時のチェックを、第15話では全体をチェックリストとして整理します。

話数タイトル主なテーマリンク
第1話個人情報保護法とは?企業法務担当者が最初に押さえる基本全体像・最初に押さえる考え方記事を読む
第2話個人情報・個人データ・保有個人データの違い混同しやすい用語の整理記事を読む
第3話個人情報取扱事業者とは?中小企業・スタートアップも対象になるのか対象事業者性の入口記事を読む
第4話利用目的の特定・通知・公表ポリシーの前に押さえる基本記事を読む
第5話個人情報を取得するときの注意点フォーム・名刺・問い合わせ対応記事を読む
第6話目的外利用とは何か別目的で使うリスク記事を読む
第7話第三者提供・委託・共同利用の違い外部提供で迷う基本記事を読む
第8話安全管理措置とは?組織的・人的・物理的・技術的措置記事を読む
第9話個人情報の社内管理ルールアクセス権限・持ち出し・保存期間記事を読む
第10話漏えい等が起きたときの初動対応まず社内で何を確認するか記事を読む
第11話採用活動と個人情報履歴書・職務経歴書・不採用者情報記事を読む
第12話従業員情報の管理人事評価・健康情報・退職者情報(本記事)本記事
第13話営業リスト・名刺情報・メール配信営業まわりの個人情報保護法チェック記事を読む
第14話SaaS・クラウドサービス利用時のチェック契約前に見るべき項目記事を読む
第15話個人情報保護法対応チェックリスト企業法務担当者の保存版記事を読む

まとめ|従業員情報も個人情報として慎重に管理する

従業員情報は、社内情報であっても個人情報として慎重に管理する必要があります。とくに、人事評価、健康情報、休職・復職情報、退職者情報は、アクセス権限・保存期間・共有範囲・削除ルールを明確にすることが重要です。健康情報は要配慮個人情報に該当し得るほか、労働安全衛生法や厚労省の指針も関わるため、特に慎重な取扱いが求められます。

この記事のポイント

従業員情報の管理は、法務・人事・総務・情シスの連携が欠かせません。規程(個人情報管理規程・健康情報取扱規程)、台帳、システム設定、委託先管理、漏えい対応を一体で整備しましょう。「社内情報だから自由」「人事部なら何でも見られる」という発想を見直すことが出発点です。

次回・第13話では、「営業リスト・名刺情報・メール配信の個人情報保護法チェック」を解説します。営業まわりで扱う個人情報の、実務的な注意点を整理します。

第13話:営業リスト・名刺情報・メール配信 を読む →

参考リンク(公的情報)

※ 本記事は2026年6月時点の現行法・個人情報保護委員会・厚生労働省の公的資料をもとに、企業法務実務の一般的な整理として解説したものです。健康情報の取扱いや保存期間は、関連法令・指針・社内規程等により異なるため、実務対応にあたっては最新の法令・指針をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。

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