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最終更新:2026年9月14日

個人情報保護法への対応は、個人情報を取得した時点で終わりではありません。実務で頻繁に問題になるのが、取得後に「この顧客情報を別の用途にも使えないか」という相談です。問い合わせフォームのメールアドレスを営業メールに使う、セミナー申込情報をメールマガジンに転用する、採用応募者情報を営業に使う、既存顧客へ新サービスを案内する——こうした場面では、個人情報の目的外利用に当たらないかを確認する必要があります。

2026年7月10日には「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、同年7月17日に公布されました。ただし、改正法は一部を除き公布日から起算して2年以内の政令で定める日から施行されるもので、2026年9月14日時点では、本記事で扱う目的外利用に関する主要な改正規定は未施行です。本記事では、現在適用されているルールと令和8年改正法を明確に分けて解説します。

【現行法上必要】 2026年9月14日時点の判断は、現行の個人情報保護法17条・18条・21条等と、個人情報保護委員会(PPC)の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(令和8年6月一部改正)に基づいて行います。

【令和8年改正法・未施行】 統計作成等のためのデータ利活用特例や、取得状況からみて本人の意思に反せず権利利益を害しないことが明らかな取扱いに関する新たな例外などは、成立・公布済みですが、現時点の通常業務の根拠として用いることはできません。

【企業の推奨運用】 現在公開しているプライバシーポリシーだけでなく、対象となる個人情報を取得した当時、本人にどの利用目的を示していたのかまで遡って確認できる管理体制を整えることが重要です。

第4話では「利用目的の特定・通知・公表」を、第5話では「取得時の注意点」を扱いました。本記事はその続きとして、取得した個人情報を当初とは異なる目的で利用したい場合の判断方法を整理します。利用目的の基本を先に確認したい方は、第4話:利用目的の特定・通知・公表をご覧ください。

まず結論|個人情報は「取得した会社の自由」に使えるわけではない

個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たり、その利用目的をできる限り特定しなければなりません(個人情報保護法17条1項)。そして、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱うことはできません(同法18条1項)。

当初の個人情報の利用目的とは異なる使い方を検討するときは、いきなり「本人同意を取ればよい」「プライバシーポリシーを変更すればよい」と考えるのではなく、次の順序で整理します。

確認 法的な位置付け 実務上の結論
当初の利用目的の範囲内か 法17条1項・18条1項 範囲内なら、目的外利用の問題は原則として生じない
利用目的を変更できる範囲か 法17条2項 変更前の目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲なら変更可能
利用目的を変更したか 法21条3項 変更後の利用目的を本人に通知し、又は公表する
変更可能な範囲も超えるか 法18条1項 原則として、あらかじめ本人同意が必要
法18条3項の例外に該当するか 法18条3項 法令に基づく場合など、限定された例外では同意不要
第三者へ渡すか 法27条以下等 目的外利用とは別に、第三者提供・委託・共同利用等を確認
営業メールを送るか 個人情報保護法+別法令 個人情報保護法上の目的内利用でも、特定電子メール法等を別途確認

重要:「本人が予期できそうだから使ってよい」という一本の基準ではありません。まず当初の利用目的を確定し、その目的内か、法17条2項による利用目的変更が可能か、それでも範囲を超えるなら法18条1項の本人同意が必要か、という順序で判断します。

目的外利用とは何か|個人情報保護法17条・18条の関係

「目的外利用」という言葉は、実務上、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱うことを指して使われます。個人情報保護法18条1項は、このような取扱いについて、原則として「あらかじめ本人の同意」を要求しています。

典型例として、次のような場面があります。

  • 「問い合わせへの回答」のために取得したメールアドレスを、新商品・サービスの営業メールに使う
  • 「採用選考」のために取得した応募者情報を、営業見込み客のリストとして利用する
  • 「セミナー運営」のために取得した参加者情報を、継続的なメールマガジン配信に使う
  • 「キャンペーン応募受付」のために取得した情報を、別サービスの広告配信に利用する
  • 「アンケート調査」のために取得した連絡先を、後日営業部門が利用する

ただし、これらが直ちに違法になるわけではありません。取得当時の利用目的がどこまで具体的に特定されていたかによっては、もともと目的内である場合もあります。また、当初目的との関連性によっては、法17条2項の範囲で利用目的を変更できる場合があります。

ルール 条文 ポイント
利用目的の特定 17条1項 利用目的をできる限り特定する
利用目的の変更 17条2項 変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲まで
利用目的による制限 18条1項 特定された目的の達成に必要な範囲を超える取扱いは原則として事前の本人同意が必要
事業承継時の制限 18条2項 承継前の利用目的の達成に必要な範囲を超える取扱いは原則として事前の本人同意が必要
目的外利用の例外 18条3項 法令に基づく場合など、同項各号の場合は18条1項・2項を適用しない
利用目的変更後の通知・公表 21条3項 変更した利用目的を本人に通知し、又は公表する
第三者提供 27条以下 「何に使うか」と「誰に渡すか」は別論点として確認する

個人情報の利用目的はどこまで具体的に書く必要があるか

【現行法上必要】 個人情報保護法17条1項は、利用目的を「できる限り特定」するよう求めています。

PPCの令和8年6月一部改正後の通則ガイドラインは、この点について、単に抽象的・一般的な目的を掲げれば足りるとはしていません。利用目的を特定する趣旨は、個人情報がどのような事業の用に供され、どのような目的で利用されるのかを明確にし、個人情報が取り扱われる範囲を確定するとともに、本人が取扱いを予測できるようにすることにあります。

本人が、自分の個人情報がどのように取り扱われることになるのかを、利用目的から合理的に予測・想定できないのであれば、「できる限り特定した」とはいえません。

記載例 評価の方向性 理由
「○○事業における商品の発送、関連するアフターサービス、新商品・サービスに関する情報のお知らせのため」 具体的な例 事業と利用内容が本人からみて把握しやすい
「取得した購買履歴等を分析し、趣味・嗜好に応じた新商品・サービスの広告のために利用します」 分析を伴う場合の具体例 情報の分析とその後の広告利用まで示している
「事業活動に用いるため」 不十分 利用範囲を本人が合理的に予測できない
「マーケティング活動に用いるため」 不十分 対象事業・利用方法が抽象的すぎる
「お客様のサービスの向上のため」 通常は不十分 何をどのように利用するのかが明確でない

「広く書けば後で何にでも使える」は誤りです。「当社事業のため」「マーケティングのため」と広く書くほど法的に安全になるわけではありません。むしろ、利用範囲を本人が合理的に予測できない記載は、法17条1項の「できる限り特定」の要請を満たさないおそれがあります。

利用目的の範囲内かどうかを見る視点

事業部門から新しい利用方法を提示された場合、最初に確認するのは「その利用が、取得当時に特定されていた目的の範囲内に収まるか」です。ここでは、現在のプライバシーポリシーではなく、対象データを取得した時点の利用目的を確認することが重要です。

判断ポイント 確認内容 リスクが高まる例 法務の対応
取得経路 問い合わせ、契約、名刺、セミナー、採用等のどこから取得したか 複数経路のデータがCRM上で混在 取得経路を特定する
取得時期 いつ取得した情報か 長期間保有し、取得時の表示が不明 ポリシー・フォームの旧版を確認する
取得当時の利用目的 本人に何を明示・通知・公表していたか 現在のポリシーだけで判断する 取得時点の文言を確定する
新しい利用内容 誰に、何を、どの方法で行うか 「マーケティングに使いたい」だけで曖昧 具体的な処理・送信・分析内容まで確認する
当初目的との関連性 新目的と当初目的の距離 採用情報を営業に転用 法17条2項の変更可能範囲を検討する
本人の予測可能性 一般人からみて通常予期し得るか 本人が取得場面から想像できない利用 事業者側の主観ではなく客観的に評価する
情報の性質 要配慮個人情報等を含むか 健康・病歴等を営業施策に利用 取得規制等も含め慎重に確認する
第三者への提供 他社への提供を伴うか 提携会社へ顧客情報を渡す 法27条以下を別途確認する
連絡手段 営業メール等を送るか 個人情報保護法だけで送信可否を判断 特定電子メール法等も確認する
「本人が予期できる」だけでは足りない

本人の予測可能性は重要ですが、それだけで目的外利用が許されるわけではありません。「通常予期し得る限度」という基準は、主として法17条2項の利用目的変更が許される範囲を説明するものです。まず当初目的の範囲内かを確認し、その外であれば17条2項による変更が可能かを検討し、変更可能な範囲も超える場合に18条1項の本人同意を検討します。

利用目的の変更|「関連性を有すると合理的に認められる範囲」とは

【現行法上必要】 個人情報保護法17条2項は、利用目的を変更する場合、「変更前の利用目的と関連性を有すると合理的に認められる範囲」を超えて変更してはならないと定めています。

PPC通則ガイドラインは、この範囲を、変更後の利用目的が変更前の利用目的からみて、社会通念上、本人が通常予期し得る限度と客観的に認められる範囲内と説明しています。

ここでいう「本人が通常予期し得る限度」は、特定の本人の主観や、事業者が「この程度なら問題ないだろう」と考える主観ではありません。一般人の判断において、当初目的と変更後の目的を比較し、両者の関連性を総合的に考慮して客観的に判断します。

利用目的の変更が認められ得る例

PPC FAQでは、個別事情によることを前提に、例えば次のような変更が認められ得るとされています。

変更前 追加・変更後 判断の方向性
新商品・サービスに関する情報のお知らせ 既存の関連商品・サービスに関する情報のお知らせを追加 関連性が認められ得る
既存の商品・サービスに関する情報のお知らせ 新たに開始した関連商品・サービスの案内を追加 関連性が認められ得る
既存の商品・サービスの提供 新たに開始した関連サービスの情報提供を追加 関連性が認められ得る
自社商品・サービスの提供 提携先が提供する関連商品・サービスの案内を追加 具体的な関連性を踏まえて認められ得る

PPC FAQは、具体例として、フィットネスクラブが既存会員に新たな栄養指導サービスを案内する場合、防犯サービスの既存顧客に新たな高齢者見守りサービスを案内する場合、住宅用太陽光発電システムの顧客に提携先電力会社の関連サービスを紹介する場合などを挙げています。

利用目的の変更として認められにくい例

変更前 変更後 判断の方向性 理由
盗難・不正利用発覚時の連絡 商品・サービスの広告案内 変更の範囲外となりやすい PPC FAQが変更を認められない例として明示
第三者提供を含まない利用目的 新たにオプトアウト方式で第三者提供 変更の範囲外 PPC FAQが変更を認められない例として明示
採用選考 応募者への自社商品の営業 通常は関連性を認めにくい 取得場面・利用目的が大きく異なる
アンケート調査 回答者を営業見込み客として利用 当初表示によるが、調査のみなら認めにくい 調査への回答と営業勧誘は目的が異なる

利用目的を変更したら法21条3項の通知・公表が必要

【現行法上必要】 17条2項の範囲内で適法に利用目的を変更したとしても、それで手続が終了するわけではありません。個人情報保護法21条3項により、変更された利用目的を本人に通知し、又は公表する必要があります。

プライバシーポリシーを書き換えれば、既存データをどんな目的にも使えるわけではありません。ポリシーの改定は17条2項の「変更できる範囲」そのものを拡張するものではありません。変更が17条2項の範囲を超えるのであれば、原則として法18条1項に基づき、目的外利用を開始する前に本人同意を得る必要があります。また、後からポリシーを書き換えても、既に行った目的外利用が当然に遡って適法化されるものではありません。

プライバシーポリシーの見直しについては、プライバシーポリシー作成・改定の実務、プライバシーポリシー改正対応も参考にしてください。

目的外利用と本人同意|個人情報保護法18条1項

【現行法上必要】 法17条により特定された利用目的(17条2項の範囲で適法に変更された目的を含みます)の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱う場合、法18条1項により、原則としてあらかじめ本人の同意を得る必要があります。

したがって、適切な順序は次のとおりです。

  1. 当初目的の範囲内なら、その範囲で利用する
  2. 範囲外でも17条2項の関連性のある範囲なら、利用目的を変更し、21条3項の通知・公表を行う
  3. 17条2項による変更可能範囲も超えるなら、18条1項に基づく本人同意を検討する
  4. 18条3項の例外に該当する特殊事情がある場合は、その要件を個別に確認する

本人同意は「何への同意か」が分かる必要がある

PPCガイドライン上、「本人の同意」は、本人が個人情報の取扱方法について承諾する意思表示を行うことを意味します。本人が同意の判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法による必要があります。

書面に限られるわけではなく、事案に応じて口頭、電子メール、確認欄へのチェック、ウェブ上のボタン操作等も考えられますが、企業実務では誰が・いつ・どの目的について同意したかを後から確認できる状態にしておくことが重要です。

同意取得で確認したいこと

・新たに何の目的で利用するのかが具体的に示されているか
・対象となる個人情報や利用方法が本人に理解できるか
・同意前に目的外利用を開始していないか
・チェックボックス等の操作と同意内容を対応付けられるか
・同意日時、同意文言のバージョン等を後から確認できるか

個人情報保護法18条3項の例外|通常の営業・マーケティング目的には安易に使えない

現行法18条3項は、一定の場合について18条1項・2項を適用しないとしています。ただし、これは限定された例外です。「営業上便利だから」「マーケティング上必要だから」「本人に同意を取りに行くのが手間だから」といった事情だけで利用できる規定ではありません。

現行法18条3項 概要 営業・マーケティングとの関係
1号 法令に基づく場合 単なる営業上の必要性は該当しない
2号 人の生命、身体又は財産の保護のために必要があり、本人同意を得ることが困難な場合 通常の広告・営業目的は該当しない
3号 公衆衛生の向上又は児童の健全育成の推進のため特に必要があり、本人同意を得ることが困難な場合 通常の広告・営業目的は該当しない
4号 国・地方公共団体等の法定事務への協力で、同意取得により事務遂行に支障を及ぼすおそれがある場合 民間企業の通常営業とは別場面
5号 個人情報取扱事業者が学術研究機関等であり、学術研究目的で取り扱う必要がある場合等 通常の製品販売・広告目的とは区別が必要
6号 学術研究機関等への個人データ提供で、提供先が学術研究目的で取り扱う必要がある場合等 通常の営業提携を正当化する規定ではない

したがって、「本人同意を取得するのが難しいため18条3項を使う」という発想ではなく、各号が要求する公益性・必要性・同意取得困難性その他の要件を満たすかを条文どおり確認する必要があります。

本人同意を取得するためのメール・電話は目的外利用になるのか

実務で重要な例外的整理があります。PPC通則ガイドラインは、法18条1項の本人同意を得るために個人情報を利用すること、具体的にはメールを送信したり、電話をかけたりすること自体は、当初の利用目的に記載されていなくても目的外利用には該当しないと明示しています。

連絡内容 目的外利用の考え方 実務上の注意
「今後、関連サービスの案内にメールアドレスを利用してよいか」と同意を求めるメール PPCガイドライン上、同意取得のための利用は目的外利用に当たらない 同意を得る前から営業利用を開始しない
同意取得のために電話し、新しい利用目的を説明して承諾を求める 同様 同意の内容・取得日時を記録する運用が望ましい
「同意してください」という形式を取りつつ、メール本文の大部分が商品の販売促進 単純な「同意取得のための連絡」と評価できるか慎重に確認 営業部分と同意取得部分を混在させない方が安全
同意を得る前から通常のメールマガジンを配信 当初目的外なら原則として問題 事前同意が必要な場面では先に同意を取得する

「同意を取るためのメールを送れる」ことと、「そのメールアドレスに営業メールを自由に送れる」ことは別です。また、メール送信については個人情報保護法とは別に特定電子メール法等の適用も確認する必要があります。

名刺交換後の営業メール|「名刺なら自由に広告できる」わけではない

名刺情報は、営業実務で特に誤解が生じやすい分野です。

PPC FAQ Q4-16は、個人情報取扱事業者の従業者であることを明らかにした上で一般的な名刺交換をした場合、相手には、その従業者が所属する会社から広告宣伝の冊子や電子メールが送られてくることについて一定の予測可能性があるとしています。

そのため、その名刺の連絡先に対し自社業務の広告宣伝の冊子や電子メールを送ることは、法21条4項4号の「取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合」に該当するとPPCは説明しています。業務時間外・事業場外の名刺交換でも、従業者であることを明らかにして交換した場合は同様とされています。

ただし、このFAQを「名刺なら無制限に広告配信可能」と一般化してはいけません。FAQが示しているのは、従業者であることを明らかにした一般的な名刺交換から、自社業務の広告宣伝という利用目的が取得状況上明らかと評価できる場面です。別会社の広告、取得時の関係と大きく異なる事業、名刺交換の趣旨とかけ離れた利用等まで当然に含むものではありません。

【企業の推奨運用】 名刺データを大規模なマーケティング基盤へ投入する場合は、少なくとも、取得状況、名刺交換時の双方の立場、利用する会社、案内する商品・事業との関係、取得後の経過期間などを確認し、通常の人的フォローアップの範囲を大きく超えていないかを検討する運用が安全です。

なお、PPC自身もFAQ Q4-16で、広告宣伝メールについては個人情報保護法だけでなく、特定電子メール法や、通信販売等に該当する場合の特定商取引法など、他の法令の遵守も必要と注意喚起しています。詳しくは第13話:営業リスト・名刺情報・メール配信も参照してください。

個人情報保護法上「目的内」でも営業メールを自由に送れるわけではない

個人情報保護法は、主として「その個人情報を何の目的で取り扱うか」を規律します。一方、営業目的の電子メールの送信には、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(特定電子メール法)が別途関係し得ます。

したがって、個人情報保護法上、「新商品・サービスの案内」が利用目的に含まれているとしても、それだけで全ての営業メール送信が適法になるわけではありません。特定電子メール法上の送信制限、法定の例外、表示事項、受信拒否後の取扱いなどを別レイヤーで確認します。

営業メールは二段階で確認する

第1段階:個人情報保護法上、そのメールアドレスを営業目的で利用できるか
第2段階:その営業メールを実際に送信することが特定電子メール法等に適合するか

社内利用なら目的外利用にならないのか

「外部に渡さず、社内の別部署で使うだけなら自由ではないか」という質問も多くあります。しかし、個人情報保護法18条の問題は第三者提供に限られません。

社内利用でも、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を取り扱えば、目的外利用の問題が生じます。

  • カスタマーサポートが問い合わせ対応のために取得した情報を、営業部が無関係な新商材の見込み客リストにする
  • 採用部門が採用選考のため取得した応募者情報を、営業部門が利用する
  • 人事部門が取得した健康情報を、当初目的と関係のない社内施策に利用する

一方で、「社内の別部署に情報を渡した」という事実だけで法27条の「第三者提供」になるわけでもありません。同一法人内部の利用と、別法人への提供とは区別する必要があります。目的外利用と第三者提供は別々の論点として整理してください。

特に要配慮個人情報等を含む場合は、利用目的だけでなく、取得規制、安全管理措置、アクセス権限等の確認も必要です。従業員情報については第12話:従業員情報の管理も参照してください。

ケース別|問い合わせ・名刺・セミナー・採用・既存顧客はどう判断するか

以下は、典型的な取得目的を仮定した整理です。実際の結論は、取得時に明示・通知・公表されていた利用目的の具体的な文言と取得状況によって変わります。

ケース 当初目的 新しい目的 目的内利用の可能性 利用目的変更の可能性 本人同意検討の必要性
問い合わせフォームのメールアドレスを新商品営業に利用 「お問い合わせへの回答・連絡」のみ 新商品・サービスの営業メール 低い。営業案内まで記載されていなければ通常は別目的 商品・問い合わせ内容との関係によるが、無関係な商品なら認められにくい 変更可能範囲を超えるなら原則として事前同意を検討
名刺交換後の営業メール 一般的な業務上の連絡。取得状況から自社業務の広告宣伝が明らかな場合あり 自社商品・サービスの案内 PPC FAQ Q4-16の条件を満たす一般的な名刺交換では認められる余地が大きい そもそも取得状況から当該目的が明らかなら「変更」の問題ではない 個人情報保護法18条上の同意が当然に必要とは限らない。ただし特定電子メール法等を別途確認
セミナー申込情報をメールマガジンに転用 セミナー受付、開催連絡、参加管理のみ 継続的なメールマガジン・商品案内 申込時に関連情報配信まで示していれば目的内の可能性あり。運営連絡だけなら低い セミナー内容と配信内容の関連性等による 変更可能範囲を超える場合は事前同意を検討
採用応募者情報を営業利用 採用選考・選考連絡 応募者本人への商品営業、営業見込み客化 通常は極めて低い 採用と商品営業の関連性は通常認めにくい 原則として本人同意が必要となる方向。そもそも利用の必要性も慎重に検討
既存顧客へ関連サービスを案内 既存商品・サービスの提供 新たな関連商品・サービスの案内 当初目的に関連サービス案内が含まれていれば目的内の可能性あり PPC FAQ Q2-8上、関連サービスの案内への変更が認められ得る類型 17条2項の変更範囲内なら18条1項同意は不要。ただし21条3項の通知・公表を確認
キャンペーン応募者情報を別サービスへ利用 応募受付、抽選、当選連絡、賞品発送 別サービスの広告・継続的営業 当初表示に広告利用がなければ低い キャンペーンと別サービスとの具体的関連性によるが、無関係なら認めにくい 変更範囲を超える場合は事前同意を検討
アンケート回答者情報を営業へ利用 アンケート調査・集計・分析 回答者本人への営業 調査目的のみで取得していれば通常は低い 調査対象の商品との関係だけで当然に変更可能とはいえない 変更範囲を超える場合は事前同意を検討

問い合わせフォーム、アンケート、キャンペーンのウェブ入力画面等で本人から直接書面・電磁的記録により個人情報を取得する場合は、法21条2項により、原則として取得前に利用目的を本人へ明示する必要があります。したがって、これらのケースでは「当時フォームに何が書かれていたか」が特に重要です。

その他、目的外利用で注意したい場面

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また、「氏名を削除すれば個人情報保護法の問題が全てなくなる」とも限りません。匿名加工情報・仮名加工情報にはそれぞれ法定の要件・規律があります。用語の整理は第2話:個人情報・個人データ・保有個人データの違いを参照してください。

令和8年改正個人情報保護法|2026年9月14日時点では主要規定は未施行

【令和8年改正法・未施行】 「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」は、2026年7月10日に成立し、7月17日に公布されました。改正法は一部を除き、公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行されます。2026年9月14日時点で、本記事に関係する目的外利用・統計作成等の主要改正規定はまだ施行されていません。

したがって、現時点の企業実務で「改正法では同意不要になるから」と未施行の規定を先取りして、現行法18条1項が要求する同意を省略することはできません。

改正法で目的外利用に関係する主な変更

改正事項 改正内容 2026年9月14日時点
取得状況から本人の意思に反しないことが明らかな取扱い 改正後18条3項7号等に、契約履行のため必要やむを得ないことが明らかな場合など、取得状況からみて本人の意思に反せず、権利利益を害しないことが明らかな一定の場合について、本人同意を不要とする枠組みを新設 未施行。具体的対象範囲はPPC規則等で整備予定
生命・身体・財産保護、公衆衛生等の例外 現行の「本人の同意を得ることが困難であるとき」に加え、「その他本人の同意を得ないことについて相当の理由があるとき」を追加 未施行。具体的事例はガイドライン等で明確化予定
統計作成等の特例 一定の要件・措置の下で、統計作成等のための個人データの第三者提供や公開済み要配慮個人情報の取得等について本人同意を不要とする制度を新設 未施行。PPC規則・ガイドライン等の整備中

「統計作成等」の特例は営業・広告の自由化ではない

令和8年改正法では、データ利活用を促進するため、一定の「統計作成等」に関する特例が設けられます。

改正法上の「統計作成等」は、大量の情報から要素を抽出・分類・比較その他の解析を行い、その大量情報の傾向・性質に係る情報を作成する行為のうち、作成される情報が「個人に関する情報」ではなく、かつ個人の権利利益を害するおそれが少ないものとしてPPC規則で定めるものを対象とする仕組みです。

PPCの改正法説明資料では、統計作成等に整理できるAI開発等を含み得るとし、統計作成等だけに利用されることを担保することを条件として、一定の本人同意なき第三者提供等を可能とする制度が示されています。その一方、提供元・提供先間の書面による合意、公表、目的外利用・再提供の制限などの規律も設けられます。

改正法により「顧客個人情報を広告・営業に自由利用できるようになった」わけではありません。特定の顧客へ営業メールを送る、本人の属性に応じて直接勧誘する、顧客を営業対象として個別に働きかける、といった利用そのものを「統計作成等」の特例によって自由化する制度ではありません。統計的な情報の作成と、識別可能な本人への直接営業・勧誘は分けて考える必要があります。

政令・規則・ガイドラインはまだ整備過程

【令和8年改正法・未施行】 2026年8月26日の第366回個人情報保護委員会では、改正法について政令・PPC規則・ガイドライン・Q&A等で整備すべき事項の全体像が示されました。

例えば、統計作成等については、対象となる統計作成・AI開発等の範囲、公表事項・方法、基準適合体制等をPPC規則で定め、ガイドライン・Q&Aで基本的な考え方や具体例を示す予定とされています。また、「取得の状況からみて本人の意思に反しないため本人の権利利益を害しないことが明らかな場合」の具体的対象範囲も、PPC規則で定める予定です。

さらに、2026年9月9日の第368回個人情報保護委員会では、政令・規則・ガイドライン等の具体化に当たり、個人・事業者その他の多様な主体との意見交換や事務局ヒアリングを行いながら検討する方針が示されました。

同日公表されたスケジュールでは、「統計作成等」等に関する基本的な考え方の検討は9月下旬、「連絡可能個人関連情報」等は10月中旬、その後も委員会で検討を続け、パブリックコメントは2027年1月以降を予定するイメージが示されています。したがって、2026年9月14日時点では詳細ルールはなお検討過程にあり、未確定事項を確定したルールとして扱うべきではありません。

2026年9月14日時点の実務対応

現在の案件は現行法で判断する。そのうえで、令和8年改正法については施行に備え、今後公表される政令、PPC規則、ガイドライン・Q&A、パブリックコメント資料を継続的に確認する、という二段構えが必要です。

目的外利用を減らすには「取得時」の設計が重要

目的外利用の相談が頻発する企業では、取得時の利用目的設計やデータ管理が十分でないことがあります。しかし、「将来使うかもしれないから利用目的を最大限広く書く」という対応も適切ではありません。

【現行法上必要】 利用目的は、法17条1項に従ってできる限り具体的に特定する必要があります。

【企業の推奨運用】 そのうえで、取得時点で合理的に予定している利用を整理し、フォーム、契約書、プライバシーポリシー、CRM等の設計を一致させておくと、後から目的外利用の問題が生じにくくなります。

  • 利用目的を具体的に記載する
  • 実際に予定している営業・広告利用があるなら取得時に整理する
  • 分析を行う場合は、分析する情報と利用結果が予測できる記載にする
  • 取得フォーム上の利用目的とプライバシーポリシーを整合させる
  • メールマガジン等への登録とサービス提供上必要な連絡を区別する
  • 第三者提供・委託・共同利用の有無を整理する
  • データの取得元・取得日・利用目的のバージョンを追跡できるようにする

目的外利用が疑われるときの実務フロー|9ステップ

「この顧客情報を別用途に使いたい」と相談された場合は、次の順番で確認すると判断が安定します。

  1. 取得経路を確認する:問い合わせフォーム、契約、名刺、イベント、採用、第三者取得など、どこから入ったデータか
  2. 取得時期を確認する:いつ取得した情報かを特定する
  3. 取得当時の利用目的を確認する:当時のフォーム、規約、プライバシーポリシー、通知メール等を確認する
  4. 新しい利用目的を具体化する:「マーケティング」ではなく、誰に対し何をどの方法で行うのかまで明らかにする
  5. 当初目的内か確認する:当初特定された目的の達成に必要な範囲に含まれるか
  6. 利用目的変更の範囲内か確認する:法17条2項の関連性を有すると合理的に認められる範囲か
  7. 本人同意の要否を確認する:変更可能範囲を超えるなら法18条1項の事前同意が必要か、18条3項の例外があるか
  8. 第三者提供・委託等の別論点を確認する:法27条以下、委託、共同利用、外国第三者提供等を確認する
  9. 判断記録を残す:前提事実、適用条文、判断理由、条件、承認者等を記録する

ステップ3が特に重要です。現在のプライバシーポリシーだけを見て判断してはいけません。2023年に取得した顧客情報なら、2023年当時のフォーム・プライバシーポリシー等で本人に何を示していたかを確認します。2026年にポリシーへ新しい利用目的を追加したからといって、過去に取得したデータについて17条2項の限界を超えて自由に利用できるようになるわけではありません。

ステップ 確認資料 主な法的論点 記録しておきたい事項
①取得経路 フォーム・契約・名刺・イベント資料等 取得状況 データソース
②取得時期 CRM登録日、申込日等 当時適用されていた表示・ポリシー 取得年月日
③当時の利用目的 旧版ポリシー、画面キャプチャ、申込書等 17条、21条 当時の利用目的文言
④新目的 事業部門の企画資料 新しい取扱いの内容 対象者・情報項目・利用方法
⑤当初目的内 ③と④を比較 18条1項 目的内と判断した理由
⑥目的変更 ③と④を比較 17条2項・21条3項 関連性・通常予期可能性・通知公表方法
⑦本人同意 同意画面・同意文言 18条1項・3項 同意要否、同意取得日時・文言
⑧別論点 データフロー・契約 27条以下、委託、共同利用等 提供先・委託先・国外移転等
⑨判断記録 法務相談票・承認記録 説明可能性・社内統制 結論、条件、承認者、実施日

企業法務担当者が事業部門に確認すべき質問

質問 確認意図 注意すべき回答
この情報はどこから取得しましたか 取得経路の特定 「CRMに入っているので分からない」
いつ取得しましたか 適用するポリシー・フォームの版を特定 「何年も前のデータも全部含む」
取得当時、本人にどの利用目的を示しましたか 当初目的の確定 「今のプライバシーポリシーには書いてある」
新しく何に使いたいのですか 新目的の具体化 「マーケティング全般」
誰を対象にしますか 対象者の特定 「データベースにいる人全員」
どの情報項目を使いますか 処理内容の特定 「取れるデータは全部」
当初目的とどう関連しますか 17条2項の確認 「関係はないが売上につながる」
本人から見て通常予期できると思いますか 客観的な予測可能性 「本人には分からないと思う」
本人同意を取得できますか 18条1項対応 「同意率が下がるから取りたくない」
他社へデータを渡しますか 第三者提供等の確認 「広告会社にも顧客リストを渡す」
営業メールを送りますか 別法令の確認 「目的内ならメールも自由に送れると思っていた」

社内統制チェックリスト|法定義務と推奨運用を分ける

個人情報の目的外利用を防ぐには、法定義務そのものと、企業が事故防止のために構築する管理措置を区別して整理すると分かりやすくなります。

項目 区分 実務上の内容
利用目的をできる限り特定 【現行法上必要】 法17条1項。抽象的・一般的な目的だけで済ませない
利用目的の変更範囲を守る 【現行法上必要】 法17条2項。関連性を有すると合理的に認められる範囲を超えない
目的外利用前の本人同意 【現行法上必要】 法18条1項。ただし18条3項の例外に該当する場合を除く
変更後の利用目的の通知・公表 【現行法上必要】 法21条3項
本人から直接書面等で取得する際の利用目的明示 【現行法上必要】 法21条2項の適用場面では取得前に明示
第三者提供等の確認 【現行法上必要】 個人データを第三者へ提供する場合等は法27条以下を別途確認
利用目的一覧 【企業の推奨運用】 部署・サービス・データ種別ごとの利用目的を一覧化
取得フォーム一覧 【企業の推奨運用】 問い合わせ、資料請求、イベント、採用、アンケート等の取得経路を一覧化
CRM上の利用区分 【企業の推奨運用】 「問い合わせ対応のみ」「営業利用可」等の利用区分を持たせる
広告配信同意フラグ 【企業の推奨運用】 同意の有無だけでなく、同意対象、取得日時、取得画面の版を追跡する
プライバシーポリシー変更履歴 【企業の推奨運用】 改定日・変更内容を管理する
旧版プライバシーポリシーの保存 【企業の推奨運用】 取得時点の利用目的を後から再現できるよう保存する
目的変更の法務承認 【企業の推奨運用】 新たな二次利用を開始する前に法務・個人情報管理部門の確認を受ける
判断記録 【企業の推奨運用】 当初目的、新目的、17条2項評価、18条同意要否、27条等の確認結果を記録

「利用目的一覧」「CRM上の利用区分」「旧版ポリシー保存」「法務承認票」といった名称・様式自体が個人情報保護法に直接規定された法定帳簿という意味ではありません。これらは、法17条・18条・21条等への適合を継続的に確認するための企業の推奨運用です。

目的外利用でよくある誤解

よくある誤解 正しい理解
会社が取得した個人情報だから社内なら自由に使える 社内利用でも、特定された利用目的の達成に必要な範囲を超えれば法18条の問題になる
「マーケティング目的」と書けば何にでも使える PPCガイドラインは「マーケティング活動に用いるため」を具体的に特定していない例として挙げている
本人が予想できそうなら目的外利用してよい 予測可能性は17条2項の変更範囲を判断する重要要素だが、18条1項の制限を無視できるわけではない
現在のプライバシーポリシーに書いてあれば過去データも自由に使える 取得当時の利用目的を確認し、17条2項の変更可能範囲と21条3項の手続を確認する必要がある
プライバシーポリシーを書き換えれば目的外利用にならない 17条2項を超える変更は、文言を書き換えるだけでは許されず、原則として18条1項の事前同意が必要
名刺交換した相手には何でも営業できる PPC FAQは一定の取得状況における「自社業務の広告宣伝」を扱うもので、無制限な利用を認めたものではない
個人情報保護法上、営業目的で利用できればメール送信も自由 特定電子メール法等の送信規制は別途確認する
本人同意を取りたいが、連絡すること自体が目的外利用なので連絡できない PPCガイドライン上、本人同意を得るためのメール・電話等は目的外利用に当たらない
令和8年改正法が成立したので、本人同意なしで使える範囲は既に広がった 本記事で扱う主要改正規定は2026年9月14日時点では未施行
改正法の統計特例で顧客への営業利用も自由になる 統計作成等の特例と、識別可能な顧客に直接営業・勧誘する利用は区別する必要がある

判断記録を残す|「なぜ使えると判断したか」を再現できるようにする

目的外利用の適否は、当初の利用目的、新しい利用方法、取得状況、関連性などを踏まえて個別に判断する場面が少なくありません。そのため、後日問い合わせ・監査・内部調査等があった場合に、当時どの事実を前提に、なぜその結論に至ったかを説明できるようにしておくことが重要です。

記録項目 内容 目的
対象データ 顧客・応募者・イベント参加者等の範囲 対象の特定
取得経路 フォーム、名刺、契約等 取得状況の再現
取得時期 取得日・期間 当時のポリシー版の特定
当初の利用目的 当時表示していた文言 18条判断の出発点
新たな利用目的 追加したい具体的利用 差分を明確化
目的内利用の判断 当初目的に含まれるか 判断根拠の保存
17条2項の評価 関連性・通常予期可能性 変更可否の説明
21条3項対応 通知・公表の方法と時期 変更手続の記録
18条の評価 本人同意の要否・例外の有無 目的外利用規制への適合確認
第三者提供等 提供先、委託、共同利用等 別論点の確認
条件・制限 対象データの限定、利用期間等 承認条件の明確化
承認者 法務・責任者等 意思決定過程の記録

これらの記録は、個人情報取扱台帳や法務相談管理と一体化すると運用しやすくなります。社内管理については第9話:個人情報の社内管理ルールも参照してください。

目的外利用の判断を、社内文書に落とし込む

目的外利用の判断では、取得経路、取得当時の利用目的、新しい利用目的、法17条2項による変更可否、法18条の本人同意要否、法21条3項の通知・公表、第三者提供等の確認を一つずつ記録する必要があります。「目的外利用チェックメモ」「利用目的変更判断票」「本人同意要否チェック」「プライバシーポリシー改定前確認票」などのたたき台作成を効率化したい法務・総務・情シス担当者の方には、個人情報保護法対応AIプロンプト集も補助ツールとして利用できます。

個人情報保護法対応AIプロンプト集を見る

そのほかのツールは 商品一覧/LegalOS法律相談 もご覧いただけます。

このシリーズでの次の学び方

目的外利用の考え方を押さえたら、次は「外部に渡す場合」の第三者提供・委託・共同利用に進みます。また、営業リスト・名刺・メール配信を実務で扱う場合は第13話もあわせて確認すると整理しやすくなります。

話数 タイトル 主なテーマ リンク
第1話 個人情報保護法とは?企業法務担当者が最初に押さえる基本 全体像・基本 記事を読む
第2話 個人情報・個人データ・保有個人データの違い 用語整理 記事を読む
第3話 個人情報取扱事業者とは? 対象事業者 記事を読む
第4話 利用目的の特定・通知・公表 利用目的の基本 記事を読む
第5話 個人情報を取得するときの注意点 フォーム・名刺・問い合わせ対応 記事を読む
第6話 目的外利用とは何か 取得した個人情報を別目的で使うリスク 本記事
第7話 第三者提供・委託・共同利用の違い 外部提供の整理 記事を読む
第8話 安全管理措置とは? 組織的・人的・物理的・技術的措置 記事を読む
第9話 個人情報の社内管理ルール アクセス権限・持ち出し・保存 記事を読む
第10話 漏えい等が起きたときの初動対応 事故対応 記事を読む
第11話 採用活動と個人情報 履歴書・応募者情報 記事を読む
第12話 従業員情報の管理 人事・健康・退職者情報 記事を読む
第13話 営業リスト・名刺情報・メール配信 営業活動と個人情報 記事を読む
第14話 SaaS・クラウドサービス利用時のチェック クラウド・委託 記事を読む
第15話 個人情報保護法対応チェックリスト 企業法務担当者の保存版 記事を読む

まとめ|「取得当時の目的」から順番に確認する

個人情報の目的外利用を判断するとき、最も危険なのは、現在のプライバシーポリシーだけを見て「今は営業目的と書いてあるから使える」と判断することです。

実務では、①取得経路、②取得時期、③取得当時の利用目的、④新しい利用目的、⑤当初目的内か、⑥17条2項の変更可能範囲か、⑦18条の本人同意が必要か、⑧第三者提供・委託等の別論点、⑨判断記録の順で確認してください。

この記事の重要ポイント

【現行法上必要】 利用目的はできる限り具体的に特定する。目的外利用には原則として事前の本人同意が必要。利用目的を変更するなら17条2項の範囲を守り、21条3項に従い変更後の目的を通知・公表する。

【令和8年改正法・未施行】 改正法は成立・公布済みだが、目的外利用や統計作成等に関する主要改正は2026年9月14日時点で未施行。政令・規則・ガイドライン等も整備途上である。

【企業の推奨運用】 利用目的一覧、取得フォーム一覧、CRM利用区分、広告配信同意フラグ、プライバシーポリシー変更履歴・旧版保存、目的変更の法務承認、判断記録を整備する。

特に営業メールでは、「個人情報保護法上そのメールアドレスを営業に利用できるか」と「そのメールを特定電子メール法等に照らして送信できるか」は別問題です。目的外利用の確認だけで送信可否の検討を終えないようにしてください。

次回・第7話では、「第三者提供・委託・共同利用の違い|外部提供で迷う基本だけ整理」を解説します。個人データを社外へ渡す場合に、どの類型に当たるかで必要な対応がどう変わるかを整理します。

第7話:第三者提供・委託・共同利用の違い を読む →

参考リンク(一次資料・公的資料)

※ 本記事は2026年9月14日時点で公表されている法令、個人情報保護委員会のガイドライン・Q&A・令和8年改正法資料・委員会資料等に基づき、企業法務実務の一般的な考え方を整理したものです。令和8年改正法については、政令、個人情報保護委員会規則、ガイドライン・Q&A等の詳細が今後具体化される予定です。個別案件では、対象となる個人情報の取得状況、取得時の利用目的、本人への表示、利用方法、第三者提供の有無等を確認し、最新資料に基づいて判断してください。