Legal GPT 実務ツール

この記事を、次の案件で使える形に。

読んだ確認観点を、次に使える“型”にして手元に残せます。

契約・広告表示・社内説明など、用途別に確認できます。

採用活動は、企業が個人情報を大量かつ継続的に取得する代表的な場面です。履歴書や職務経歴書には、氏名・住所・連絡先だけでなく、学歴、職歴、資格、志望動機が含まれ、場合によっては健康や家庭の事情に関係する情報が混ざることもあります。

そして採用活動では、個人情報保護法だけでなく、厚生労働省の公正な採用選考の考え方や、職業安定法上の求職者等の個人情報の取扱いも意識する必要があります。本記事では、採用応募者情報の取得・利用・保管・削除・外部サービス利用を、個人情報保護法の観点を中心に初心者向けに整理します。

第1話〜第10話で、個人情報保護法の全体像から漏えい初動対応までを学びました。第11話は、その応用編として採用という具体的な場面を扱います。なお、入社後の従業員情報・健康情報・退職者情報の管理は、次回第12話:従業員情報の管理で扱います。本記事は「応募者・内定者・不採用者の情報」に重点を置きます。

この記事を実務で使う

読んだだけで終わると、次の案件でまたゼロから考えることになります。

社内説明の文面も、確認メモも、AIへの指示文も、毎回イチから。用途別に実務ツールを確認できます。

用途別に実務ツールを確認する

迷ったら、用途を選ぶだけの 1分診断

まず結論|「必要な範囲で取得し、選考目的に沿って管理する」

先に結論をお伝えします。採用活動で取得する個人情報は、採用選考・連絡・入社手続などの目的に照らして必要性を説明できる範囲に絞ることが基本です。そのうえで、取得後はアクセス権限、保存期間、削除・廃棄、不採用者情報の扱いを決めておく必要があります。

場面取得する情報主なリスク法務・人事が見るべきポイント関連記事
応募受付履歴書・職務経歴書・連絡先過剰取得・利用目的の不明示取得範囲・利用目的の明示第5話
面接面接評価・口頭での聴取事項適性・能力に関係ない事項の把握公正採用選考の観点本記事 第6章
適性検査検査結果センシティブ情報の取得取得目的・管理権限本記事 第7章
選考管理採用管理システム上の情報委託先管理・アクセス過大委託・アクセス権限第14話
不採用不採用者情報保存期間なしで放置保存期間・削除ルール第9話
内定入社手続情報慎重情報の管理不足従業員情報への移行第12話

採用活動で扱う個人情報の種類

採用活動では、思いのほか多くの種類の個人情報を扱います。それぞれが個人情報・個人データ・要配慮個人情報のどれに関係し得るかを意識すると、管理の優先度が見えてきます。

情報の種類具体例注意点主な管理部署
履歴書氏名・住所・学歴・職歴・写真記載内容に機微情報が混ざり得る人事
職務経歴書職歴・実績・スキル前職情報の取扱い人事
エントリーシート志望動機・自己PR設問が過剰でないか人事
面接評価評価コメント・所見本人対応・紛争で開示が問題になり得る人事・面接官
適性検査結果性格・能力検査結果の解釈・管理範囲人事
リファレンスチェック結果第三者からの情報本人同意・取得範囲人事・法務
採用媒体上の応募情報媒体経由の応募データ媒体事業者との関係人事・法務
採用管理システム上のステータス選考状況・履歴委託先・アクセス権限人事・情シス
内定者情報入社手続関連情報従業員情報への移行人事
不採用者情報不採用の応募者データ保存期間・削除人事
連絡履歴メール・電話の記録保存範囲・共有範囲人事

これらの情報が「個人情報」「個人データ」「要配慮個人情報」のどれに当たるかは、管理の前提になります。用語の違いは第2話:個人情報・個人データ・保有個人データの違いで整理しています。

採用応募者情報の利用目的をどう書くか

採用活動でも、利用目的を応募者に分かりやすく示すことが重要です。何のために情報を使うかが曖昧だと、後で別目的に使えるか迷ったり、応募者の信頼を損なったりします。

利用目的具体的な利用場面注意点関連記事
採用選考書類選考・面接・評価選考に必要な範囲で第4話
選考結果の連絡合否連絡・日程調整連絡先の利用範囲第4話
入社手続内定後の手続従業員情報への移行第12話
採用活動の改善採用プロセスの分析個人を特定した利用か第6話
問い合わせ対応応募者からの照会対応記録の保存範囲第5話

採用目的と関係のない営業利用、別会社への提供、無関係なマーケティング利用などは、慎重に確認すべきです。たとえば、不採用者の情報を本人の想定を超えて別の用途に使うことは、目的外利用の問題につながり得ます(第6話:目的外利用とは何か参照)。

採用フォーム・応募書類で取得するときの注意点

採用フォーム、エントリーシート、履歴書、職務経歴書、応募メールは、応募者から直接個人情報を取得する場面です。利用目的の明示やプライバシーポリシーへの導線、過剰取得の防止が重要になります。

確認項目見るべき内容NG例改善例
利用目的の明示応募画面で目的を示すか目的の記載なし応募画面で目的を明示
ポリシー導線応募者向け案内があるかリンク所在不明応募者向けプライバシー案内
取得項目選考に必要な範囲か使わない項目も必須必要項目に絞る
必須・任意の区別区別が分かるかすべて必須必須・任意を明示
過剰取得の防止機微情報を求めていないか家族構成等を必須選考に不要な項目は求めない
保存・廃棄方針社内で保存期間・削除方法を定め、必要に応じ案内に反映しているか保存期間も削除方法も未定保存・廃棄ルールを社内で定め、必要に応じ応募者向け案内に記載

取得場面ごとの一般的な注意点は第5話:個人情報を取得するときの注意点で整理しています。採用フォームはその応用と考えると分かりやすいでしょう。

面接で聞いてよいこと・注意すべきこと

採用選考では、応募者の適性・能力に関係する事項を確認する必要があります。一方で、適性・能力に関係のない事項を把握することは、公正な採用選考の観点から問題になり得ます。厚生労働省は、本人に責任のない事項(本籍・出生地、家族の状況など)や、本来自由であるべき事項(思想・信条、宗教、支持政党など)の把握が、就職差別につながるおそれがあると注意を促しています。

また、職業安定法では、求職者等の個人情報を、その業務の目的の達成に必要な範囲内で、当該目的を明らかにして収集し、収集目的の範囲内で保管・使用しなければならないとされています(職業安定法第5条の5)。個人情報保護法では利用目的を「通知または公表」すれば足りる場面が多いのに対し、採用(求職者等の個人情報)では、職安法により収集に際して目的を明らかにすることが求められる点に注意が必要です。同法の指針では、特別な職業上の必要性等がある場合を除き、社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想・信条、労働組合への加入状況などの収集は原則として認められないとされています。

質問・取得事項問題になり得る理由代替して確認すべきこと法務・人事の注意点
本籍・出生地本人に責任のない事項・差別の原因となり得る業務遂行に必要な適性・能力原則として把握を避ける
家族の職業・収入・資産本人に責任のない事項本人の経験・スキル選考基準にしない
住宅状況・生活環境本人に責任のない事項通勤可能性等は必要範囲で必要最小限にとどめる
宗教・支持政党・思想信条本来自由であるべき事項業務に必要な価値観の確認は慎重に把握を避ける
労働組合・社会運動への関与本来自由であるべき事項原則として把握を避ける
健康状態・病歴・障害に関する情報病歴等は要配慮個人情報に該当し得る。公正採用選考上も慎重な取扱いが必要業務上必要な範囲・合理的配慮の検討取得目的・必要性・本人同意・アクセス権限を厳格に確認

ただし、何が「適性・能力に関係するか」「業務上必要か」は、職種・業務内容・法令上の要請により異なる場合があります。一律に「この質問は常にNG」と断定はできません。迷う場合は、その情報が選考にどう必要かを説明できるかを基準に、人事と法務で確認してください。「採用活動だから何を聞いてもよい」わけではない、という出発点を共有することが大切です。

要配慮個人情報・センシティブ情報への注意

採用活動では、健康情報、障害、病歴、犯罪歴、思想・信条、社会的身分など、要配慮個人情報や差別につながるおそれのある情報に接触する可能性があります。要配慮個人情報の取得には、原則としてあらかじめ本人の同意が必要とされています。

基本的な姿勢は、採用選考に必要な範囲を超えるセンシティブ情報を取得しないように設計することです。健康診断、障害者雇用、資格要件、業務上必要な確認など、取得に必要性がある場面でも、取得目的・範囲・管理権限・保存期間を厳格に整理する必要があります。

情報の種類採用で出てくる場面注意点管理方法
健康状態・既往歴業務適性・合理的配慮の検討必要性のない取得を避けるアクセスを限定し厳格管理
障害に関する情報障害者雇用・配慮検討必要最小限の範囲で取得目的を明確化
犯罪歴・前科一部職種の適性確認等取得の必要性・根拠を慎重に限定的に管理
思想・信条面接での不用意な質問原則として取得を避ける質問設計を点検
社会的身分・本籍応募書類・面接把握を避ける書式・質問を見直す

「要配慮個人情報を取得しても、採用目的なら常に問題ない」わけではありません。取得には原則同意が必要で、かつ公正採用選考・職業安定法の観点からの制約もあります。取得する必要性が本当にあるか、必要なら目的・範囲・管理をどうするかを、事前に整理してください。

不採用者情報の保存期間・削除ルール

不採用者情報は、いつまでも保存してよいわけではありません。保存期間は、利用目的、問い合わせ対応、再応募対応、採用活動の検証、紛争対応などを踏まえて定める必要があります。個人情報保護法では保存期間が一律に定められているわけではありませんが、利用する必要がなくなった個人データは遅滞なく消去するよう努めることが求められています(法第22条。消去の努力義務)。

管理項目決めること注意点記録方法
保存期間いつまで保管するか利用目的・紛争対応を踏まえる保存期間表
保存の根拠なぜその期間か必要性を説明できるように判断メモ
削除・廃棄いつ・誰が消すか運用が伴うこと削除・廃棄記録
再応募対応再応募時の扱い応募者への説明運用ルール
問い合わせ対応照会への対応対応範囲の明確化対応記録

具体的な保存年数は、会社の業務・採用実態・関連法令・紛争リスクに応じて個別に定める必要があります。本記事で「○年」と断定はできません。「利用目的に照らして必要な期間」を起点に、自社で設計してください。保存期間・削除運用の整え方は第9話:個人情報の社内管理ルールで扱います。

採用管理システム・求人媒体・転職エージェント利用時の注意点

採用活動では、採用管理システム(ATS)、求人媒体、転職エージェント、リファレンスチェックサービス、適性検査ベンダーなど、外部サービスを利用することが多くあります。これらを使う場合、委託・第三者提供・共同利用・海外保存・再委託などの論点を確認する必要があります。「採用管理システムに入れていれば自社は管理しなくてよい」とはなりません。

外部サービス確認項目リスク関連記事
採用管理システム(ATS)委託契約・保存先・アクセス権限委託先管理不足・権限過大第14話
求人媒体媒体経由データの取扱い・関係提供・共同利用の整理不足第7話
転職エージェント情報の授受・利用目的授受の整理不足第7話
適性検査ベンダー委託・結果の管理結果データの管理不足契約条項
リファレンスチェック本人同意・取得範囲無断取得・範囲過大本記事 第10章

外部サービスの利用は、委託・第三者提供・共同利用のどれに当たるかの整理が出発点です(第7話)。契約条項のチェックは個人情報と契約条項、SaaS・クラウドの確認は第14話をご覧ください。

リファレンスチェック・バックグラウンドチェックの注意点

リファレンスチェック(前職の関係者などへの照会)やバックグラウンドチェックでは、本人同意、取得する情報の範囲、確認先、利用目的、記録方法、保存期間に特に注意が必要です。とくに、無断で前職や関係者に問い合わせることは、プライバシー・個人情報保護・採用トラブルの観点からリスクが高い対応です。

確認項目見るべき内容注意点記録方法
本人同意同意を得ているか何に同意したか明確に同意取得記録
取得情報の範囲何を確認するか必要な範囲に限定取得項目の整理
確認先誰に照会するか本人同意なき無断照会は、前職側の第三者提供(法27条)違反・自社側の不適正な取得につながり得る確認先・本人同意の記録
利用目的何のために使うか採用選考の範囲で目的の明示
記録方法どう記録するか第三者情報の管理記録の保管
保存期間いつまで保管するか不要時の削除保存期間表

リファレンスチェックの個別の適法性は、職種、取得する情報、同意の内容、調査方法によって異なります。「本人に知らせなくても問題ない」と断定はできません。実施する場合は、本人同意を含め、事前に範囲と方法を整理することをおすすめします。

内定者情報と入社手続情報の管理

内定後は、採用応募者情報から従業員情報へ移行する段階です。入社手続では、住民票記載事項、マイナンバー、扶養家族情報、銀行口座、緊急連絡先など、より慎重な管理が必要な情報を取得する場合があります。

情報の種類利用目的管理上の注意第12話との関係
住民票記載事項入社手続・本人確認必要範囲・保存期間従業員情報として管理
マイナンバー社会保障・税・災害対策の法定事務要配慮個人情報とは別に、番号法(特定個人情報)に基づく利用目的の制限・分離管理。法定事務以外への利用は不可第12話で扱う
扶養家族情報社会保険・税務手続家族の個人情報の管理第12話で扱う
銀行口座給与振込財産情報の管理第12話で扱う
緊急連絡先緊急時の連絡第三者の個人情報の管理第12話で扱う

本記事では入口の整理にとどめます。入社後の従業員情報・健康情報・退職者情報の詳細は第12話:従業員情報の管理で扱います。なお、マイナンバーは番号法に基づく特別な管理が必要です。内定段階だからといって早期に広く取得するのではなく、番号法上の利用目的(社会保障・税等の法定事務)に照らして必要となる時点・手続で取得し、通常の採用応募者情報とは分けて管理することが重要です。

採用情報のアクセス権限と社内共有

採用応募者情報は、人事、面接官、配属予定部署、役員、外部エージェントなど複数者が閲覧することがあります。だからこそ、アクセス権限管理が重要です。「面接官には応募者情報をすべて共有してよい」とはなりません。必要な人だけが、必要な範囲で、必要な期間だけ閲覧できるようにします。

閲覧者閲覧範囲注意点管理方法
人事・採用担当選考に必要な範囲担当者を限定権限管理
面接官面接に必要な範囲全情報の共有は避ける閲覧範囲の限定
配属予定部署必要に応じた範囲共有の必要性を確認都度の判断
役員判断に必要な範囲過大な共有を避ける権限管理
外部エージェント業務に必要な範囲委託・提供の整理契約・権限管理

面接評価や不採用理由の記載内容にも注意が必要です。これらは、本人対応や紛争対応の場面で問題になり得るため、事実と評価を区別し、不適切な表現を避けることが望まれます。アクセス権限の設計は第8話第9話もご覧ください。

採用情報の漏えい・誤送信を防ぐ実務対応

採用活動では、応募者情報のメール誤送信、添付ファイル誤送付、採用管理システムの権限設定ミス、共有リンクの誤設定、不採用通知の宛先ミスなどが起きやすい傾向があります。応募者情報の漏えいは、本人の権利利益への影響が大きくなり得るため、予防策が重要です。

場面リスク防止策事故時対応
合否連絡メール宛先ミス・BCC漏れ宛先確認・BCC運用削除依頼・記録
応募書類の添付誤添付・誤送付添付ファイル制限・確認回収依頼・記録
採用管理システム権限設定ミス権限設定の確認設定修正・記録
共有リンク誤設定・放置共有リンク制限停止・記録
面接官への共有過大な共有面接官への教育・範囲限定共有範囲の見直し
ダウンロード持ち出し・拡散ダウンロード制限状況確認・記録
保存場所分散保存保存場所の統一整理・記録

万一、漏えい・誤送信が起きた場合の初動対応は第10話:漏えい等が起きたときの初動対応、報告義務の詳細は速報・確報の報告義務をご覧ください。

採用の個人情報管理を、社内文書に落とし込む

採用活動では、応募者向け案内・採用フォーム確認・面接質問チェック・不採用者情報の保存削除ルール・採用管理システム確認・漏えい時対応などを文書化して整理する必要があります。「採用応募者情報チェックリスト」「面接質問確認表」「不採用者情報保存・削除ルール」「採用管理システム確認メモ」といったたたき台づくりを効率化したい法務・人事・情シス担当者の方には、個人情報保護法対応AIプロンプト集が補助ツールとして役立ちます(最終的な内容の確認・判断は担当者ご自身で行ってください)。

個人情報保護法対応AIプロンプト集を見る

そのほかのツールは 商品一覧LegalOS法律相談 もご覧いただけます。

採用活動で法務・人事が確認すべき質問

新しい採用施策やフォームの相談を受けたら、次の質問で論点を洗い出します。設計段階で確認しておくと、後からの手戻りを防げます。

質問確認意図問題になりやすい回答次に見る論点
どの応募者情報を取得しますか取得範囲「念のため広く」採用選考目的との関連性・過剰取得防止
その情報は採用選考に必要ですか必要性「あれば便利」選考との関連性
利用目的を応募者にどう表示していますか利用目的の明示「特にしていない」通知・公表(第4話)
応募フォームの必須項目は適切ですか過剰取得の防止「全部必須」必須・任意の区別
面接で聞く質問は適性・能力に関係していますか公正採用選考「家庭環境も聞く」把握を避けるべき事項
要配慮個人情報を取得する可能性はありますかセンシティブ情報「健康状態を聞く」取得の必要性・同意
採用管理システムや外部ベンダーを使いますか外部サービス「クラウドATS」委託先管理(第14話)
不採用者情報の保存期間は決まっていますか保存期間「決めていない」保存・削除ルール
誰が応募者情報を閲覧できますかアクセス範囲「関係者全員」アクセス権限
漏えい・誤送信時の連絡ルートはありますか初動体制「特にない」漏えい初動(第10話)

採用活動の個人情報管理チェックリスト

採用活動の個人情報管理を点検するための簡易チェックリストです。チェックが付かない項目があれば、それが優先課題になります。

チェック項目確認内容未対応の場合のリスク主な担当部署
採用利用目的を明示している応募者に目的を示しているか説明不足・信頼低下人事・法務
応募者向け案内があるプライバシー案内の有無取得時の説明不足法務・人事
取得項目を必要な範囲に絞っている過剰取得の有無不要情報の管理負担人事
面接質問のルールを整備している把握を避けるべき事項の整理就職差別のおそれ人事・法務
センシティブ情報の取得を制限している要配慮情報の取扱い不適切な取得人事・法務
採用管理システムの契約・設定を確認している委託・第三者提供・クラウド利用の整理、保存先、再委託、権限を確認外部サービス利用の整理不足・権限過大・削除漏れ法務・情シス
面接官のアクセス権限を管理している閲覧範囲の限定過大な共有情シス・人事
不採用者情報の保存期間を決めている保存・削除ルール放置・長期保管人事・法務
削除・廃棄記録を残している削除運用の記録説明できない人事
漏えい時の初動フローがある事故対応の準備初動の遅れ法務・情シス

よくある誤解と正しい理解

採用活動の個人情報をめぐる代表的な誤解を整理します。

よくある誤解正しい理解実務上の注意
採用だから応募者に何を聞いてもよい適性・能力に関係ない事項の把握は問題になり得る公正採用選考・職安法を意識
応募者が書いた情報は自由に使える採用選考等の目的の範囲で使う別目的利用は慎重に(第6話)
不採用者情報はずっと保存してよい不要になれば消去するよう努める(法22条)保存期間を定める
履歴書は紙だから個人情報管理の対象外紙の応募書類も管理対象施錠・廃棄ルールを整える
採用管理システムに入れていれば自社は管理しなくてよいSaaS・クラウドでも自社の管理責任は残る。委託・第三者提供・提供に当たらない整理のいずれに近いかは契約内容・取扱実態で確認契約・保存先・再委託・権限・削除を確認(第14話)
面接官には応募者情報をすべて共有してよい必要な範囲に限定する閲覧範囲を管理する
リファレンスチェックは本人に言わなくてよい本人同意・範囲の整理が必要。無断照会は前職側の第三者提供違反・自社側の不適正取得になり得る本人の事前同意を得て行う
採用情報は入社前なので従業員情報ほど重要ではない応募者の権利利益への影響は大きい同等の慎重さで管理する

このシリーズでの次の学び方

採用応募者情報の管理を押さえたら、次は入社後の従業員情報へ進みます。第12話では、人事評価・健康情報・退職者情報の管理を、第13話では営業まわりを、第14話ではSaaS・クラウド利用時のチェックを、第15話では全体をチェックリストとして整理します。

話数タイトル主なテーマリンク
第1話個人情報保護法とは?企業法務担当者が最初に押さえる基本全体像・最初に押さえる考え方記事を読む
第2話個人情報・個人データ・保有個人データの違い混同しやすい用語の整理記事を読む
第3話個人情報取扱事業者とは?中小企業・スタートアップも対象になるのか対象事業者性の入口記事を読む
第4話利用目的の特定・通知・公表ポリシーの前に押さえる基本記事を読む
第5話個人情報を取得するときの注意点フォーム・名刺・問い合わせ対応記事を読む
第6話目的外利用とは何か別目的で使うリスク記事を読む
第7話第三者提供・委託・共同利用の違い外部提供で迷う基本記事を読む
第8話安全管理措置とは?組織的・人的・物理的・技術的措置記事を読む
第9話個人情報の社内管理ルールアクセス権限・持ち出し・保存期間記事を読む
第10話漏えい等が起きたときの初動対応まず社内で何を確認するか記事を読む
第11話採用活動と個人情報履歴書・職務経歴書・不採用者情報(本記事)本記事
第12話従業員情報の管理人事評価・健康情報・退職者情報記事を読む
第13話営業リスト・名刺情報・メール配信営業まわりの個人情報保護法チェック記事を読む
第14話SaaS・クラウドサービス利用時のチェック契約前に見るべき項目記事を読む
第15話個人情報保護法対応チェックリスト企業法務担当者の保存版記事を読む

まとめ|必要な範囲で取得し、選考目的に沿って管理する

採用活動では、応募者から多くの個人情報を取得します。だからこそ、取得項目・利用目的・保存期間・アクセス権限・外部サービス利用を一体で確認することが重要です。とくに、採用選考に必要な範囲を超える情報や、差別につながるおそれのある情報の取得には注意が必要です。これは個人情報保護法だけでなく、公正な採用選考や職業安定法の観点からも求められます。

この記事のポイント

見落としやすいのが、不採用者情報の保存・削除採用管理システムの委託先管理です。「採用だから何を聞いてもよい」わけではなく、「外部システムに入れたから自社は無関係」でもありません。応募者の権利利益への影響は大きいため、入社後の従業員情報と同等の慎重さで管理しましょう。

次回・第12話では、「従業員情報の管理|人事評価・健康情報・退職者情報の注意点」を解説します。入社後に扱う、より機微な情報の管理を整理します。

第12話:従業員情報の管理 を読む →

参考リンク(公的情報)

※ 本記事は2026年6月時点の現行法・個人情報保護委員会・厚生労働省の公的資料をもとに、企業法務実務の一般的な整理として解説したものです。面接質問の可否や情報取得の適法性は、職種・業務内容・法令上の要請等により異なるため、実務対応にあたっては最新の法令・指針をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。

読了後の実務化ガイド

この記事の確認観点を、実務の型に変える。

読んだ内容を、確認メモ・文例・AI指示文に落とせます。

A無料で試す

すべての商品を見る