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はじめに:「顧客満足度No.1」「売上No.1」をどう確認するか

「顧客満足度No.1」「売上No.1」「導入実績No.1」「利用者満足度98%」「選ばれています」——。こうしたNo.1表示・満足度表示は、消費者に強い安心感や信頼感を与え、販促効果の高い表現です。広告・LP・営業資料でよく使われます。

一方で、これらの表示は、調査根拠・比較対象・調査方法・注記が不十分だと、景品表示法上のリスクにつながり得ます。No.1表示は、商品・サービスの内容の優良性を示せば第2話で扱った優良誤認表示、取引条件の有利性を示せば第3話で扱った有利誤認表示の問題になり得ます。

2024年(令和6年)9月、消費者庁は「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表し、No.1表示等についての景品表示法上の考え方を整理しました。No.1表示を確認する実務では、いま最も重要な資料のひとつです。第5話では、この報告書の考え方も踏まえて、No.1表示・満足度表示の確認ポイントを整理します。

この記事で学べること
  • No.1表示・満足度表示とは何か、なぜ優良誤認・有利誤認の問題になり得るか
  • 客観的データ型(売上・実績・利用者数など)で確認すべきこと
  • 主観的評価型(満足度・人気・おすすめなど)で特に重要なこと
  • 「第三者調査会社が調査したから大丈夫」とは限らない理由
  • 調査対象・調査方法・比較対象・出典・注記の確認の仕方
  • 広告審査での確認ポイントと、事業部への返し方

本記事は、企業法務・管理部門の実務理解を助けることを目的とした一般的な情報提供であり、個別の法律相談や行政判断に代わるものではありません。No.1表示の適否は、表示内容・調査内容・個別事案ごとに判断が分かれることがあります。重要な判断にあたっては最新の法令・ガイドラインを確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。

No.1表示・満足度表示とは何か

No.1表示は、自社の商品・サービスが他より優れている、または有利であることを示すために、「No.1」「第1位」「トップ」「日本一」「業界最大級」「最も選ばれている」などと表示するものです。満足度表示は、「顧客満足度98%」「利用者の9割が満足」「おすすめしたいサービスNo.1」など、利用者や第三者の評価・調査結果を用いて優良性を訴求する表示です。

これらは、内容の優良性を示す場合は優良誤認、取引条件の有利性を示す場合は有利誤認の問題になり得ます。ただし、No.1表示そのものが禁止されているわけではありません。重要なのは、その表示内容に対応した合理的な根拠があるかどうかです。消費者庁の報告書でも、No.1表示が合理的な根拠に基づかず事実と異なる場合に、不当表示として問題になるとされています。根拠と条件が整っていれば、No.1表示を適切に使える場合もあります。

なお、消費者庁の報告書は、「No.1」と順位を示す表示だけでなく、「医師の○%が推奨」「利用者の98%が満足」といった高評価割合を示す表示(高評価%表示)も対象としています。これらも、第三者の主観的評価を根拠として商品・サービスの優良性を訴求するものとして、表示内容と調査根拠の対応関係を確認する必要があります。

表示類型 よくある表現例 示している内容 主な景品表示法リスク
売上・販売実績No.1 「売上No.1」「販売個数No.1」 客観的データ(実績)の優位性 集計範囲・期間・対象が曖昧だと優良/有利誤認
導入実績・利用者数No.1 「導入実績No.1」「利用者数No.1」 客観的データ(数)の優位性 比較対象・範囲が不明確だと誤認のおそれ
顧客満足度No.1 「顧客満足度No.1」 利用者の主観的評価 調査対象が実際の利用者でないと優良誤認
おすすめ・人気No.1 「人気No.1」「おすすめNo.1」 第三者の主観的評価・印象 評価できる立場の対象者か、誘導がないか
品質・性能No.1 「品質No.1」「性能No.1」 内容(品質・性能)の優位性 客観的な裏づけがないと優良誤認
安さ・コスパNo.1 「最安値」「コスパNo.1」 取引条件(価格)の有利性 比較範囲・時点が不明だと有利誤認
満足度・評価割合表示 「満足度98%」「9割が満足」 利用者評価の割合 母集団・設問・調査方法次第で優良誤認

No.1表示が問題になる基本構造

No.1表示は、表示された商品・サービスが、一定の比較対象の中で最も優れている・最も選ばれている・最も有利であるという印象を与えます。一般消費者は、No.1表示から、調査や比較が客観的に行われている、実際の利用者や購入者の評価に基づいている、比較対象が適切に選ばれている、と受け取る可能性があります。

ところが実際には、比較対象が限定的、調査対象者が不適切、調査時点が古い、調査方法が誘導的、注記が不明確といった場合に、表示の印象と実際がずれ、リスクが高まります。そのため広告主は、調査会社が作成したレポートを受け取るだけでなく、表示内容と調査内容の対応関係を自ら確認する必要があります。

図:No.1表示で見るべき4点

表示文言何についてのNo.1か
×
調査対象・比較対象誰を・何と比べたか
×
調査方法・調査時点公平か・いつの調査か
×
注記・出典の分かりやすさ条件が伝わるか
No.1表示リスクの検討

消費者庁の報告書では、No.1表示が合理的な根拠に基づくといえるためには、大きく次の2点が必要とされています。(1) 根拠となる調査が客観的な方法で行われていること(調査の客観性)(2) 表示内容がその調査結果と適切に対応していることです。この2点を出発点に、以下の構造で確認すると整理しやすくなります。

チェック項目 確認すること リスクが高い状態 実務対応
表示文言 何について「No.1」と言っているか 対象が曖昧で印象だけが強い 対象(何の・どの範囲のNo.1か)を明確にする
比較対象 どの範囲・どの商品と比較したか 比較対象が限定的・不適切 比較対象の選定根拠を確認する
調査対象者 誰を対象に調査したか 評価できる立場にない人が対象 調査対象者の選定を確認する
調査方法・時点 公平な方法か、いつの調査か 誘導的な設問・古い調査 設問・調査時点を確認する
表示との対応 表示文言が調査結果に対応しているか 調査範囲を超えた表示 表示を調査結果の範囲に合わせる
注記・出典 条件・出典が分かりやすく示されているか 注記が小さく・遠い 重要条件を近接して明示する

客観的データに基づくNo.1表示

「売上No.1」「販売個数No.1」「導入実績No.1」「利用者数No.1」「シェアNo.1」「施工件数No.1」「申込件数No.1」など、客観的なデータに基づくNo.1表示では、集計範囲・集計期間・対象商品・比較対象・出典が重要になります。

とくに、「業界」「地域」「カテゴリ」「対象商品」「集計期間」の定義が曖昧だと、消費者に誤認を与え得ます。「累計」「直近」「全国」「関東」「中小企業向け」などの限定条件がある場合は、表示本文または近接した注記で明確に示すことが望まれます。また、自社で集計した「自社調べ」の場合も、客観的な方法による必要があり、その調査方法・根拠資料を説明できる状態にしておくことが求められます。

あわせて注意したいのが、比較対象(競合)の選び方です。消費者庁の報告書は、No.1表示の合理的根拠の要件として「比較する商品・サービスが適切に選定されていること」を挙げています。自社が1位になりやすいように、認知度の低い相手や仕様の大きく異なる商品だけを比較対象に選ぶといった、恣意的な比較対象の選定は、客観性を欠くものとして合理的な根拠と認められにくくなります。比較対象の選定に客観的な基準(市場範囲やカテゴリの定義など)があるかも確認しておくと安心です。

表示例 確認すべき資料 見落としやすいポイント 修正の方向性
「売上No.1」 集計期間・対象範囲・出典データ いつ・どの範囲の売上か不明 「○年○月〜○月、○○分野」など範囲を明示
「導入実績No.1」 実績の定義・集計方法・比較対象 「実績」の数え方・比較先が不明 実績の定義と比較範囲を明確にする
「利用者数No.1」 利用者の定義・集計時点・出典 無料会員を含むか等の定義が曖昧 対象・時点・定義を注記で明示
「シェアNo.1」 市場の定義・調査機関・調査年度 市場区分が恣意的・出典が古い 市場区分・出典・年度を明示する
「業界最大級」 「業界」「最大級」の根拠 範囲・基準が示されていない 基準・範囲を具体的に示す(No.1類似の優位性表示)

主観的評価に基づくNo.1表示・満足度表示

「顧客満足度No.1」「利用者満足度98%」「おすすめしたいサービスNo.1」「人気No.1」「口コミ評価No.1」「信頼できるサービスNo.1」「コスパが良いと思うサービスNo.1」など、第三者の主観的評価に基づくNo.1表示では、調査対象者が実際の利用者か、評価できる立場にあるかが特に重要になります。

消費者庁の報告書では、主観的評価によるNo.1表示や高評価%表示が合理的な根拠に基づくといえるための要件として、次の4点が示されています。すなわち、ⅰ 比較する商品・サービスが適切に選定されていること、ⅱ 調査対象者が適切に選定されていること、ⅲ 調査が公平な方法で実施されていること、ⅳ 表示内容と調査結果が適切に対応していることです。No.1表示はⅰ〜ⅳすべてを、高評価%表示は(比較広告ではないため)ⅱ〜ⅳを満たす必要があるとされています。

「イメージ調査」には特に注意

消費者庁の報告書では、近時のNo.1表示の措置命令事例の特徴として、対象商品や競合商品のウェブサイトを閲覧させ、その「印象(イメージ)」に基づいて「顧客満足度が高いと思うものを選んでください」などと回答させる調査を根拠にしていた点が示されています。一般消費者は「顧客満足度No.1」という表示から「実際に利用した人を対象に調査した結果1位」という印象を受けやすいため、表示から想定される評価者と調査対象者がずれていると、表示に見合った調査といえるかが問題になり得ます。実際の利用経験がない人の印象だけで回答させた調査をそのまま「顧客満足度No.1」と表示するのは、リスクが高いといえます(どのような対象者が適切かは、表示内容によって異なり得ます)。

満足度の割合表示で確認したい「集計ロジック」

「満足度98%」のような割合表示では、要件ⅳ(表示と調査結果の対応)の観点から、どの回答を「満足」に数えたか(分子)、誰を母数にしたか(分母)の確認が重要です。たとえば、5段階評価で「満足」「やや満足」だけでなく「普通(どちらでもない)」まで満足に合算して98%とする、あるいは不満を持って解約した利用者を母数から除外して継続利用者だけで算出する、といった集計は、表示から受ける印象と実際がずれ、誤認のおそれにつながります。割合の算出根拠(どの選択肢を合算したか、母数は誰か)まで確認しておくと安心です。

表示例 確認すべき資料 危ない状態 修正の方向性
「顧客満足度No.1」 調査対象者の条件・設問・比較対象・回答数 表示から想定される評価者と、実際の調査対象者がずれている 表示内容に応じて、実際の利用者など評価できる立場の者を対象にした調査に基づく
「利用者満足度98%」 母集団・設問・集計方法・回答数 母集団が小さい・設問が誘導的・集計が恣意的 母集団・設問・対象・算出根拠を明確にする
「おすすめしたいサービスNo.1」 調査対象者・比較対象・調査方法 表示上は利用者評価のように見えるのに、印象(イメージ)のみで回答させている 表示内容に合う調査対象者・公平な設問にする
「人気No.1」 「人気」の指標・調査方法・時点 指標が不明確・恣意的 「人気」の定義・指標を明確にする
「信頼できるサービスNo.1」 調査対象者・設問・比較対象 抽象的な印象評価のみ 調査の客観性・対応関係を確認する

図:客観的データ型と主観的評価型の違い

客観的データ型No.1

売上・販売数・導入実績・利用者数・シェアなど。
集計範囲・期間・対象商品・比較対象・出典が適切かを確認する。

主観的評価型No.1・満足度

満足度・人気・おすすめ・信頼など。
調査対象者が実際の利用者か・公平な調査方法かが特に重要になる。

「第三者調査会社が調査したから大丈夫」ではない

No.1表示の根拠を第三者調査会社が調査していても、景品表示法上の責任は広告主が負います。消費者庁の報告書でも、「他社も同じ調査会社を利用しているから大丈夫」「調査会社が適法と言っているから大丈夫」といった安易な認識が問題として指摘されています。不適切な調査を廉価で請け負う調査会社の存在により、広告主が容易に主観的評価の調査を委託できる環境にあることにも触れられています。

そのため広告主は、調査内容と表示内容の対応関係を自ら確認する必要があります。調査レポートの見出しやサマリーだけでなく、調査対象者、設問、比較対象、調査期間、調査方法、サンプル数、集計方法まで確認することが大切です。法務としては、調査会社・マーケティング部門から受け取るべき資料を整理しておくと、確認がスムーズになります。

図:広告文言と調査レポートの対応関係

広告文言

「顧客満足度No.1」
消費者が受け取る印象

調査レポート

調査対象者・設問・比較対象・調査期間・サンプル数・集計方法
実際に裏づけている内容

広告文言が、調査レポートの内容と「対応している」ことが必要。見出しだけで判断しない。

確認項目 見るべき内容 NGになりやすい状態 法務の確認コメント
調査対象者 実際の利用者か、評価できる立場か 利用経験のない人が対象 「調査対象者の条件を教えてください」
設問 誘導的でないか、印象評価のみでないか 「○○と思うものを選んで」だけ 「設問票(実際の質問文)を共有ください」
比較対象 適切に選定されているか 比較対象が恣意的・限定的 「比較対象の選定基準を教えてください」
調査期間・時点 現在の表示に見合う時点か 古い調査を継続使用 「調査の実施時期を確認させてください」
サンプル数・集計 表示に見合う回答数・集計方法か 母集団が小さい・集計が不透明 「回答数と集計方法を共有ください」
表示との対応 広告文言が調査結果に対応するか 調査範囲を超えた言い切り 「表示文言を調査範囲に合わせたいです」

注記・出典表示でどこまで補えるか

No.1表示では、「調査期間」「調査対象」「調査主体」「調査方法」「比較対象」「調査範囲」などを注記として示すことが多くあります。しかし、注記が小さい・本文から遠い・分かりにくい場合、消費者に正しく伝わらないことがあります。

「No.1」と大きく表示し、実際には非常に限定された条件のNo.1であることを小さく注記する構成は、リスクが高いといえます。重要な限定条件は、注記だけに頼らず、本文の表現自体に織り込むことが望まれます。なお、消費者庁の報告書では、一般消費者が表示の根拠となる情報を確認できるようにすることが望ましいとされ、表示物に調査方法の概要を直接記載することや、それが難しい場合にQRコードで確認できるようにすることなどが例として挙げられています。スマホ表示で注記が読めるか、画像広告で注記が潰れていないかも確認しておくと安心です。

ここで一点、誤解しやすいのがQRコードやリンク先での情報開示の位置づけです。報告書が示す「QR等で確認できるようにする」のは、消費者が詳細を確認できるようにするための望ましい取組であって、「QRを貼っておけば、広告そのものの注記を省略・簡略化してよい」という意味ではありません。景品表示法上の適否は、基本的に消費者がその広告を見たときに受ける印象・誤認で判断されます。広告本体の表現が誤認を与えるものであれば、リンク先で正確な情報を示していても問題は解消しません。注記やリンク先は、あくまで本文表示を補う「従」の位置づけと考えておくのが安全です。

注記項目 危ない例 修正の方向性
調査対象 対象者の条件が書かれていない 調査対象者の条件を明示する
比較対象 何と比べたか分からない 比較対象・範囲を示す
調査期間 いつの調査か書かれていない 調査実施時期を明示する
調査主体 誰が調査したか不明 調査主体(自社調べか等)を示す
調査方法 方法が一切示されていない 調査方法の概要を示す(QR等も活用)
表示位置 注記が本文から遠く離れている 強調表示の近くに配置する
スマホ表示 スマホで注記が読めない・潰れる 実機で読めるサイズ・位置にする

No.1表示・満足度表示の広告審査チェックリスト

広告審査の実務で使えるよう、確認ポイントを整理します。第10話では優良誤認・有利誤認を含む総合的なチェックリストを扱いますが、まずはNo.1表示の観点から確認してみてください。

チェック項目 確認する資料 NGになりやすい状態 修正・確認の方向性
何についてNo.1か 表示文言・調査レポート 対象が曖昧で印象だけ強い 対象を具体的に示す
比較対象は何か 調査レポート(比較対象一覧) 比較対象が限定的・不適切 比較対象の選定根拠を確認
調査対象者は誰か 調査仕様・対象者条件 評価できる立場にない人 対象者条件を確認・是正
実際の利用者・購入者か 対象者抽出条件 利用経験のない人が対象 実利用者を対象にする
調査時点・期間はいつか 調査実施記録 古い調査を継続使用 現状に見合う時点か確認
対象商品は現在と一致するか 商品仕様・調査対象 旧仕様での調査を流用 現行商品との一致を確認
比較対象の商品は適切か 比較対象リスト 競合の選定が恣意的 適切な比較対象か確認
調査方法は誘導的でないか 設問票・調査手順 誘導的な設問・印象のみ 設問の公平性を確認
サンプル数は見合うか 回答数・集計データ 母集団が小さすぎる 回答数・集計方法を確認
調査主体・出典は明確か 調査主体・出典表記 主体・出典が不明 主体・出典を明示する
注記は近接し分かりやすいか 実画面・注記 注記が小さく・遠い 強調表示の近くに明示
スマホ表示でも注記が読めるか 実機のスマホ表示 スマホで読めない 実機で確認する
文言と調査レポートが対応するか 表示文言・調査結果 調査範囲を超えた表示 文言を調査範囲に合わせる
根拠資料を保存しているか 調査レポート一式 根拠資料が手元にない 事後確認できるよう保存

修正コメントの書き方(事業部への返し方)

No.1表示でも、止めるだけでなく、必要な資料と、根拠が整えば使える方向性を併せて示すと、事業部は前に進みやすくなります。法務は、訴求を諦めさせる係ではなく、根拠と条件を整えて、使える表現に調整する係でありたいところです。

元の表現 リスク 法務コメント例 修正案の方向性
「顧客満足度No.1」 印象(イメージ)調査など、表示から想定される評価者と調査対象者がずれていると優良誤認のおそれ 「この調査は、実際の購入者・利用者を対象にしたものですか。もしサイトの印象で回答させる調査であれば、表現を実態に合わせるか、実利用者を対象に調査し直す必要があるかもしれません。調査対象者の条件と設問を共有いただけますか」 表示内容に合う対象者の調査に基づき、条件を明示/必要なら表現を調整
「利用者満足度98%」 集計ロジック(「普通」の合算や母数の間引き)によって表示の印象と実際がずれるおそれ 「98%の算出根拠を確認させてください。アンケートの選択肢(満足・やや満足・普通・不満など)のうちどれを『満足』に数えたか、また解約者などが母数から除かれていないかを教えていただけますか」 「満足」「やや満足」の合算など算出根拠を明示し、母数を適切にする
「売上No.1」 集計範囲・期間が不明だと誤認のおそれ 「集計期間・対象範囲・出典を教えてください。範囲を明示すれば使える可能性があります」 期間・範囲・出典を近接して明示
「導入実績No.1」 実績の定義・比較対象が不明だと誤認のおそれ 「『実績』の定義と比較範囲を教えてください。定義と範囲を添えて表示する形にできます」 実績の定義・比較範囲を明示
「おすすめしたいサービスNo.1」 印象(イメージ)調査だと誤認のおそれ 「調査方法(実利用者か、印象調査か)を確認させてください。調査の中身に応じて表現を調整できます」 調査の客観性を確認し、文言を調整
「業界最大級」 「業界」「最大級」の基準が不明だと誤認のおそれ 「『業界』『最大級』の基準を教えてください。基準を示せるなら、その範囲で表示できます」 基準・範囲を具体的に示す
「選ばれています」 根拠が曖昧だと優良誤認のおそれ 「『選ばれている』根拠(実績・調査)があれば共有ください。なければ具体的な特長訴求に切り替える案もあります」 根拠を明示/具体的な特長訴求へ

上記のコメント例は、建設的な伝え方のサンプルです。No.1表示の適否は、調査内容や表示内容、個別事案によって判断が分かれます。最終的な表現は、調査レポート等の根拠資料を確認のうえ、必要に応じて専門家にも相談しながら決めるのが安全です。

景品表示法シリーズ 全10話の読み方

本シリーズは、景品表示法を「表示規制」「景品規制」「違反対応」「実務チェック」の順に体系立てて学べる構成です。第5話のNo.1表示・満足度表示は、第2話の優良誤認、第3話の有利誤認、第10話の広告審査チェックリストと特につながりが深い内容です。

話数 タイトル 扱うテーマ とくに読んでほしい人
第1話 景品表示法とは?企業法務が押さえる広告表示・景品規制の基本 全体像・2本柱の理解 これから景品表示法を学ぶすべての人
第2話 優良誤認表示とは?効果・性能・品質を良く見せすぎる広告の注意点 優良誤認表示 効果・性能・品質・実績を訴求する人
第3話 有利誤認表示とは?価格・割引・無料表示で誤認を招くケースを解説 有利誤認表示 価格・割引・無料・返金の表示を扱う人
第4話 景品表示法の「表示」とはどこまで?Web広告・LP・SNS・営業資料の対象範囲 「表示」の対象範囲 どの資料を広告審査に回すか迷う人
第5話 No.1表示・満足度表示の景品表示法リスク|調査根拠と注記のチェックポイント No.1・満足度表示(本記事) ランキング・満足度・実績を訴求する人
第6話 二重価格表示・期間限定割引の注意点|通常価格・セール価格をどう見せるか 二重価格・割引表示 セールやキャンペーン価格を設計する人
第7話 ステマ規制とは?口コミ・PR投稿・インフルエンサー広告の基本 ステルスマーケティング規制 SNS・インフルエンサー・口コミを扱う人
第8話 景品規制の基本|総付景品・一般懸賞・共同懸賞の違いをわかりやすく解説 景品規制 プレゼント・懸賞・キャンペーンを企画する人
第9話 景品表示法違反が疑われたときの初動対応|広告修正・社内調査・再発防止 違反対応・初動 万一のときの対応を準備したい法務担当者
第10話 広告審査の景品表示法チェックリスト|企業法務が見るべき実務ポイント 広告審査チェックリスト 日々の広告審査を効率化したい人

よくある質問(FAQ)

No.1表示は景品表示法で禁止されていますか?

No.1表示そのものが禁止されているわけではありません。問題になるのは、表示内容に対応した合理的な根拠がなく、事実と異なる場合です。消費者庁の報告書でも、No.1表示が合理的な根拠に基づかず事実と異なる場合に、実際のものや競争事業者のものより著しく優良・有利と一般消費者に誤認され、不当表示として問題になるとされています。根拠と条件が整っていれば、適切に使える場合があります。

第三者調査会社のレポートがあればNo.1表示を使ってよいですか?

第三者調査会社が調査していても、景品表示法上の責任は広告主が負います。消費者庁の報告書でも、「他社も同じ調査会社を使っているから大丈夫」「調査会社が適法と言っている」といった安易な認識が問題とされています。広告主自身が、調査対象者・設問・比較対象・調査期間・サンプル数・集計方法などを確認し、表示内容と調査内容が対応しているかを見ることが大切です。

「顧客満足度No.1」と表示する場合、何に注意すべきですか?

調査対象者が実際の利用者か、評価できる立場にあるかが特に重要です。消費者庁の報告書では、対象商品や競合商品のウェブサイトを閲覧させ、その印象(イメージ)に基づいて回答させる調査を根拠としたNo.1表示について、表示に見合った調査といえるかが問題になり得ることが示されています。比較対象が適切に選定されているか、調査が公平な方法か、表示が調査結果に対応しているかを確認し、調査対象・方法・期間などを分かりやすく示すことが望まれます。

まとめ

第5話では、No.1表示・満足度表示を景品表示法の観点から整理しました。要点は次のとおりです。

  • No.1表示・満足度表示は訴求力が強い一方、調査根拠・比較対象・注記が不十分だとリスクがある
  • No.1表示そのものが禁止されているわけではないが、表示内容に対応した合理的な根拠が必要
  • 客観的データ型では、集計範囲・期間・対象商品・比較対象・出典を確認する
  • 主観的評価型では、実際の利用者・評価できる立場の者を対象にしているかが重要
  • 第三者調査会社が関与していても、広告主自身が調査内容と表示内容の対応関係を確認する必要がある

No.1表示は「危ないから使うな」ではなく、「根拠と条件を整えれば使える」分野です。法務・マーケティング・営業が、調査の中身と表示の対応関係という共通の物差しを持つことが、リスクを抑える近道になります。次回の第6話では、「二重価格表示・期間限定割引」について、通常価格・セール価格の見せ方を解説します。

Legal GPTでは、広告審査・契約審査・社内規程・法務実務の整理に役立つ情報を、初心者にもわかりやすく発信しています。景品表示法をはじめとする企業法務の実務対応を、「どこを見ればよいか」が分かる形で整理していますので、No.1表示や調査根拠の確認にもご活用ください。

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参考資料

本記事の作成にあたり、以下の公的資料を参照しました(2026年6月3日最終確認。最新の情報は各リンク先をご確認ください)。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。No.1表示・満足度表示の該当性は、調査内容・表示内容・個別の事実関係によって判断が分かれることがあります。実際のご対応にあたっては、最新の法令・ガイドライン・公表事例を確認のうえ、必要に応じて弁護士等の専門家にご相談ください。

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