中学受験でAIは役に立つ?増え続ける教材と復習の悩みを見直す|AI Learning OS #001
AIラボ AI Learning OS #001 RESEARCH LOG
中学受験でAIは役に立つ?
増え続ける教材と復習の悩みを見直す
小学4年生の娘の中学受験。毎週たまっていく教材と答案を、親の記憶だけで管理するのは大変でした。 そこで、教材を残しておいて、あとからAIに見比べてもらうことにしました。その第1話です。
01この記事で分かること
教材が増えて、親の記憶だけでは復習の優先順位を決めにくくなったこと。そこで、教材や答案を残しておいて、あとからAIに見比べてもらうことにした理由。そして、4つの教材を比べてみて、いま何がどこまで分かったのかをお伝えします。
難しい設定の話はしません。わが家で実際に起きたことと、その時点で考えたことを書きます。
02「この問題、前にも間違えていなかったか」
先週も似たような問題を間違えた気がする。でも、それがどの教材だったか思い出せない。
間違えた問題を全部やり直す時間はないから、優先順位をつけたい。でも、何を優先すべきかが分からない。
算数が苦手なのか、それとも問題文を読み違えただけなのか。テストの点数だけでは、それも分かりません。
中学受験をしているご家庭なら、一度はこういう感覚を持ったことがあるのではないでしょうか。うちも同じです。
03小学4年生になって、教材が一気に増えた
娘は現在小学4年生で、中学受験塾に通っています。4年生になってから、科目数も教材の量も一気に増えました。
授業で使った教材、家庭学習で解いた問題、子どもが書いた解答、丸付けの結果、解答と解説。確認テストやマンスリーテストの答案、成績表。こうしたものが、毎週少しずつ積み重なっていきます。
授業で使った教材、板書、宿題の指示が持ち帰られる。
解いた問題と、子どもが書いた解答。どこで手が止まったかは、その場でしか分からない。
正誤の記録と、解説を読んだあとの直し。多くは紙のまま残る。
答案と点数。間違えた問題そのものは、答案の中にしか残っていない。
科目ごとの結果は分かるが、どの問題でつまずいたかまでは書かれていない。
これが毎週くり返され、机や棚に少しずつ積み上がっていきます。
大げさな言い方をするつもりはありません。単純に、机や棚に紙が増えていく。それだけのことです。ただ、この「それだけのこと」が、思っていた以上に負担になっていきました。
04親の記憶だけでは、判断が難しい
間違えた問題は、もちろん見直しをさせています。ただ、その見直しの中で、判断に迷う場面が出てきます。
- 今回だけの、たまたまの間違いなのか
- 以前にも似た問題で間違えていなかったか
- 単元そのものが苦手なのか
- 問題文の読み違いなのか
- 単なる計算ミスなのか
- 今すぐ復習すべきなのか、後回しでよいのか
| 迷う場面 | 本当は何を見たいか |
|---|---|
| たまたまの間違いか | 同じ論点を、過去に正解できていたか |
| 単元が苦手か | 同じ単元の他の問題の正誤 |
| 間違いの種類 | 読み違い・計算ミス・理解不足の区別 |
| 復習の優先順位 | くり返している間違いはどれか |
どれも、過去の記録と今回を並べて比べられれば、判断しやすくなる項目です。
これを、親が教材を1枚ずつめくりながら、記憶と照らし合わせて決めるのは、正直に言って限界があります。
これは、うちの管理が足りないからではないと思っています。教材の量そのものが、家庭で覚えていられる範囲を超えているだけです。
05きっかけになった、ある場面
あるとき、娘のテストの答案を見ながら、「この問題、前にも似たところで間違えていなかったか」と思ったことがありました。でも、どの教材だったか、どうしても見つけられませんでした。
別のときには、テストで間違えた問題を見て「この単元が苦手なのかもしれない」と感じたこともあります。ただ、よく考えると、それは単元が苦手だったのではなく、そもそも多くの子が間違える難しい問題だった可能性もあります。
1回間違えただけで「苦手」と決めつけてしまうと、必要のない復習を増やしてしまうかもしれない。逆に、本当に繰り返している間違いを見逃してしまうかもしれない。
そこで、親の記憶だけに頼るのではなく、過去の教材を比べられるようにしておこうと考えるようになりました。
06AIに手伝ってほしかったこと
AIを使おうと思ったのは、AIに勉強を教えてもらうためではありません。地味だけれど手間のかかる作業を、助けてもらえるかもしれないと考えたからです。
AIに手伝ってほしいこと
- 過去の教材と、今回の教材を見比べる
- 似たような間違いがないか探す
- 何度も間違えている問題を並べる
- 点数だけでは見えない、間違い方の癖を見る
- 復習の候補を整理する
- 親が見落としているかもしれない点を示す
親が決めること
- 今週、実際に取り組む問題を決める
- 子どもの様子を見て、量を加減する
- 「苦手」と呼ぶかどうかを判断する
- なぜその問題をやるのかを、子どもに説明する
- AIの見立てが合っているか、あとで確かめる
AIに答えを決めてもらうつもりはありません。親が考えるための材料を増やしてくれる存在として使いたいと思っています。
07わが家では「AI Learning OS」と呼んでいます
この教材整理の仕組みを、わが家では「AI Learning OS」と呼んでいます。既製の商品でも、塾の公式サービスでもありません。専用のソフトがあるわけでもありません。
やっていることは単純です。毎週増える教材を、ただしまい込むのではなく、あとからAIに見比べてもらえる形で残しておく。それだけです。
比べた結果は、苦手の確認と、復習する問題を選ぶときに使います。Google DriveやChatGPT、Claudeも使っていますが、設定や細かい構成には、この記事では立ち入りません。
08子どもの学習に、どう役立てたいか
目指しているのは、子どもにたくさん問題を解かせることではありません。次のような変化を目指しています。
- 間違えた問題を全部やり直すのではなく、必要な問題を選びやすくする
- 1回の失敗だけで「苦手」と決めつけない
- 同じ間違いを繰り返している場合には、早めに気づく
- 「算数が苦手」ではなく、具体的な間違い方を見る
- 子どもに、なぜその問題を復習するのかを説明しやすくする
成績や偏差値が上がると約束するつもりはありません。限られた時間を、本当に必要な復習に使いやすくすること。目指しているのはそこです。
09「教育データサイエンス」という言葉について
この取り組みを、シリーズでは「教育データサイエンス」と呼ぶことにしました。大学や研究機関で行うような専門的な分析ではありません。
家庭にある教材、答案、テスト結果、間違いの記録を整理して、AIを使いながら傾向を確かめてみる。それだけの取り組みです。大事にしたいのは、次のような姿勢です。
- 感覚だけで決めない
- 記録を見て、今の時点で考えられる原因を挙げる
- 実際に問題を解いて確かめる
- 間違っていたら、素直に見直す
名前は少し立派ですが、やっていることは地道な確認作業です。
104つの教材を比べて、見えてきたこと
ここまでは考え方の話でしたが、実際に手を動かした結果も、いまの時点まで進んでいます。
4つの教材と答案を見比べたところ、教科ごとに「もう一度確認した方がよいところ」が挙がってきました。
| 教科 | 確認したいところ |
|---|---|
| 1. 理科 | 電気回路 |
| 2. 算数 | 約数・規則性 |
| 3. 国語 | 漢字・語句 |
| 4. 社会 | 地名と位置の対応 |
この順番に沿って、各教科1問ずつ練習問題も作成しました。ただし、これらは「苦手」と決まった項目ではなく、これから確かめる候補です。
この比較の中で、判断を急がずに済んだ場面が3つありました。
1.1回の0点を、そのまま苦手と決めなかった
5月の算数で0点だった単元について、その1回だけで苦手とは判断せず、6月・7月の結果と並べて確認しました。1回の結果ではなく、複数回の記録を照らし合わせる。この連載で一番やりたかったのは、この部分です。
2.「社会全体が苦手」と広げなかった
社会はテストによって得点差がありました。ただ、出題範囲が回ごとに違うことを考えて、教科全体の弱点とは判断していません。点数の上下だけを見るのではなく、そのテストで何が出題されたかを見る、ということです。
3.家庭からの情報で、誤った推測を除いた
「基本的に時間切れではない」という家庭側の情報を加えたことで、時間不足という原因の推測を外すことができました。AIだけでは分からない情報を、親が補った形です。この役割分担については、あらためて別の回で書きます。
11まだ始まったばかりです
この仕組みは、完成した成功事例ではありません。教材を登録するだけの段階からは一歩進み、いまは確認したい候補を整理するところまで来ました。
ただ、挙がった項目が本当の苦手かどうかは、まだ分かりません。復習したあとに似た問題を解いて、同じ間違いが減るかを確かめる必要があります。
| いま分かったこと | これから確かめること |
|---|---|
| 4つの教材から確認したい候補を挙げられた | それが本当の苦手かどうか |
| 複数の月・出題範囲・家庭の事情を考えられた | 今後も同じように誤りを防げるか |
| 各教科の練習問題を作れた | 順番と問題数が適切だったか |
| 名前付けや分類をAIが手伝った | 親の作業時間が実際に減ったか |
| 復習する問題を選ぶ材料が増えた | 子どもの学習に本当に役立つか |
この時点で言えるのは、確かめたいことを整理できたところまでです。
このシリーズでは、うまくいったことだけでなく、AIの見立てが外れた例や、最初の判断が間違っていた例、使いにくくてやめた方法も、そのまま書いていきます。
SUMMARYまとめ|親の記憶だけに頼らない家庭学習へ
中学受験では、教材やテストが毎週増えていきます。親がすべてを覚え、過去の間違いと比べながら復習の優先順位を決め続けるのは大変です。
そこで、教材や答案を残しておいて、必要なときにAIで見比べられるようにしました。目標は、勉強量を増やすことではなく、本当に確認すべき問題を見つけやすくすることです。
4つの教材を比べたことで、繰り返している可能性がある間違いと、1回だけの失敗を分けて考える材料は出てきました。各教科の練習問題も作りました。
ただし、それが本当の苦手なのか、作った問題が適切なのかは、まだ分かりません。次は実際に解いてもらい、その結果でAIの見立て自体を確かめます。
なお、これはわが家が試している一例です。すべてのご家庭に必要な方法だとは思っていません。
同じ環境を、家庭で作ってみたい方へ
この記事では、なぜ始めたのかと、いまどこまで来たのかを書きました。
実際に同じことをするには、教材や答案をGoogle Driveにまとめて保存し、丸付けの結果や成績表も一緒に残しておく準備が必要です。そのうえで、AIが見比べられる状態にしておきます。
フォルダの作り方、教材の登録方法、ChatGPT・Claudeの設定、日々の使い方は、次の有料noteにまとめました。必要な方だけお読みください。
娘の教材を生成AIに預けた|Google DriveとChatGPTで、中学受験の学習管理環境を一から作る手順次回は、教材を見比べられる形で残すと、家庭学習の何が変わるのかを整理します。この仕組みでできることと、できないことを具体的に紹介します。
