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表明保証条項とは何か|どこまで確認すべきかを整理

契約書には、「甲は、乙に対し、次の事項を表明し保証する」といった条項が入っていることがあります。初心者には少し分かりにくいですが、表明保証条項は、当事者が一定の事実や状態について「正しい」と契約上述べる重要条項です。

形式的に見えても、違反すると解除や損害賠償につながることがあります。第1〜12話では、リーガルチェックの基本から個人情報まで整理しました。第13話では、表明保証条項の意味、よくある表明保証事項、どこまで確認すべきか、確認できない場合の考え方を整理します。

実務メモ
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法務実務で効くのは、知識そのものよりも"再現できる型"です。記事で読んだ確認観点・依頼文・回答メモ・マスキングを次の案件でそのまま引き出せる形に残しておくと、判断と説明の質が一段安定します。
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表明保証条項とは何か

結論として、表明保証とは、一定の事実・権限・状態について、契約当事者が相手方に対して「正しい」と表明し、保証する条項です。

たとえば、「自社は契約締結権限を有している」「反社会的勢力ではない」「第三者の知的財産権を侵害していない」などがあります。表明保証は、契約の前提となる事実確認の意味を持ち、単なる説明や努力目標ではなく、違反した場合の責任につながることがあります。ただし、違反時の効果は契約書の定めや事案によるため、機械的には判断しません。

表1表明保証条項の基本
項目意味実務上のポイント
表明一定の事実を述べること何を述べているか確認
保証その内容が正しいと約束すること違反時の責任につながる
表明保証事項保証する具体的な内容事項ごとに確認
基準時いつの時点で正しいか締結時か期間中か
違反時の効果違反した場合の扱い解除・賠償・補償等
確認範囲どこまで確認した前提か確認可能性を意識
限定表現責任範囲を調整する文言「知る限り」等の有無
相手方に表明保証させる意味リスクを確認させる確認したいリスクの整理
自社が表明保証する意味自社が正しいと約束する確認できる事実か

表明保証条項はなぜ重要なのか

結論として、表明保証条項は、契約の前提となる重要事実を確認する役割があります。

相手方の権限、法令遵守、反社該当性、権利侵害リスク、許認可などは、契約書の他の条項だけでは分からないことがあります。表明保証違反があると、契約を締結した前提が崩れることがあります。表明保証は、リスクを相手方に確認させる機能と、違反時の責任根拠を整理する機能を持ちます。ただし、表明保証を入れればリスクが消えるわけではありません。たとえば、法令遵守を表明保証してもらっても、それだけで法令違反リスクが完全になくなるわけではありません。

表2表明保証条項を見落とすと起きやすい問題
起きやすい問題具体例実務上の影響
契約締結権限が不明確権限のない者が署名契約の有効性に疑義
必要な許認可がない無許可で業務履行・適法性に問題
反社会的勢力との関係を確認していない反社チェック未実施取引上の重大リスク
知的財産権侵害リスクを見落とす第三者権利の侵害第三者請求のリスク
個人情報の適法取得を確認していない取得経路が不明取扱いの適法性に疑義
紛争・行政処分の存在を見落とす係争中の事案取引前提が崩れる
財務状態に重大な問題がある信用不安支払・履行リスク
表明保証違反時の効果が不明違反時の定めがない救済が不明確
自社が確認できない事項まで保証している無限定の保証過大な責任を負う
相手方に必要な表明保証を求めていない対象が狭すぎるリスクヘッジ不足

まず確認すべき表明保証条項の全体像

結論として、表明保証条項は「誰が」「誰に」「何を」「いつの時点で」「どこまで確認した前提で」「違反時にどうなるか」に分けて見ると分かりやすくなります。

長い表明保証条項を一文で読むのではなく、要素に分解して確認します。自社が表明保証する側なのか、相手方に表明保証させる側なのかで見方が変わります。

表3表明保証条項で最初に確認すること
確認項目確認する内容見落とすと起きやすい問題
表明保証する主体誰が保証するか責任主体が不明
表明保証の相手方誰に対してか対象関係が不明
表明保証事項何を保証するか事項の見落とし
基準時いつの時点か時点の取り違え
契約期間中の継続性継続保証か継続性の誤解
限定表現責任範囲の調整限定の見落とし
確認資料何で確認するか確認資料が不明
違反時の効果違反時どうなるか効果が不明確
損害賠償との関係賠償の扱い上限例外の見落とし
解除との関係解除事由か無催告解除の見落とし
補償条項との関係補償の有無補償範囲が不明
社内確認先誰に確認するか確認漏れ

確認事項1:契約締結権限・法人の有効性

結論として、契約当事者が適法に設立・存続し、契約を締結する権限があることを表明保証することがあります。

会社名、法人格、代表者、署名者、代理権、社内決裁、必要な承認などと関係します。自社が表明保証する側の場合、社内決裁や締結権限が本当に整っているかを確認します。相手方に表明保証させる側の場合、相手方が契約を有効に締結できる前提を確認する意味があります。詳細は第5話の契約当事者確認、第18話の社内規程・決裁権限でも扱います。

表4契約締結権限・法人の有効性で確認すること
確認項目確認する理由確認資料・確認先
法人の正式名称当事者の特定登記事項証明書
法人格適法な存続登記情報
代表者代表権の確認登記事項証明書
署名者署名権限役職・委任状
代理権代理の有無委任状
委任状権限の裏付け委任状の確認
社内決裁社内承認の有無稟議・決裁記録
取締役会承認重要取引の承認議事録
稟議社内手続稟議記録
定款・社内規程権限ルール定款・規程
登記事項証明書法人情報の確認法務局・登記情報
契約締結権限締結できる前提社内規程・決裁

確認事項2:法令遵守・許認可

結論として、当事者が法令を遵守し、必要な許認可を有していることを表明保証する条項があります。

業法、許認可、行政処分、制裁、コンプライアンス違反などが関係します。「すべての法令を遵守している」と広く表明保証する条項は、表明保証する側にとって重い場合があります。業務に必要な範囲に限定する、重要な点に限定するなどの調整が必要になる場合があります。法務だけで全法令の遵守を確認できるわけではないため、事業部門・コンプライアンス部門・所管部署への確認が重要です。第17話の法令違反リスクでも扱います。

表5法令遵守・許認可で確認すること
確認項目表明保証する側の注意点表明保証を受ける側の注意点
法令遵守広すぎる保証に注意重要な範囲を確保
業法遵守該当業法の確認業法の特定
必要許認可保有状況の確認許認可の有無
行政処分の有無処分歴の確認重大処分の確認
制裁・輸出規制該当性の確認規制対象の確認
労務コンプライアンス労務状況重大違反の有無
贈収賄・腐敗防止方針の遵守方針の有無
個人情報保護取扱いの適法性適法取得の確認
下請・取引適正化取引慣行の確認適正性の確認
環境規制該当規制規制対応の確認
安全規制安全基準基準遵守の確認
重要な点への限定限定の検討限定が強すぎないか

確認事項3:反社会的勢力排除

結論として、反社会的勢力ではないこと、反社会的勢力と関係がないことを表明保証する条項があります。

反社条項は独立した条項として置かれることもあり、表明保証条項の中に入ることもあります。表明保証の対象が、役員、実質的支配者、従業員、委託先、親会社・子会社まで及ぶかを確認します。自社が表明保証する側の場合、どこまで確認できるかを意識します。相手方に表明保証させる側の場合、解除条項・無催告解除・損害賠償との関係を見ます。詳細は第15話の反社会的勢力排除条項で扱います。

表6反社会的勢力排除の表明保証で確認すること
確認項目確認する理由注意点
当事者本人本人の該当性基本の対象
役員役員の該当性対象範囲の確認
実質的支配者背後関係把握の難しさ
従業員従業員の関与確認可能範囲
親会社・子会社グループの関係対象に含むか
委託先委託先の関係確認の限界
再委託先再委託先の関係把握の難しさ
反社チェック確認の実施チェック方法
暴力的要求行為禁止行為の確認該当行為の明記
解除条項との関係違反時の解除無催告解除の有無
損害賠償違反時の責任上限例外との関係
確認可能な範囲どこまで確認できるか無限定保証に注意

確認事項4:知的財産権・第三者権利非侵害

結論として、成果物やサービスが第三者の知的財産権を侵害しないことを表明保証する条項があります。

発注者側では、成果物を安心して使うために重要な表明保証になります。受注者側では、すべての第三者権利を絶対に侵害しないと無限定に保証するのは重い場合があります。発注者提供資料、指定素材、第三者素材、OSS、AI生成物などによる侵害は誰が責任を負うかを確認します。「知る限り侵害していない」「合理的に調査した限り」などの限定表現が問題になることがあります。第11話の知的財産権でも扱いました。

表7知的財産権非侵害の表明保証で確認すること
確認項目発注者側の視点受注者側の視点注意点
成果物の非侵害保証を求めたい無限定保証に注意範囲の確認
使用素材素材の適法性利用条件の確認素材の特定
第三者素材許諾の確認保証範囲を限定第11話と連動
OSSライセンス確認条件の把握技術部門確認
AI生成物侵害リスク利用申告断定しない
発注者提供資料提供物の責任起因侵害を除外起因の切り分け
発注者の指示指示の責任指示起因を除外記録の有無
既存著作物権利の確認除外の整理定義の明確化
商標・ロゴ商標権の確認使用許諾登録の確認
ソースコード権利の確認OSSとの関係一覧の確認
第三者請求対応の確保責任範囲の限定補償条項と連動
賠償上限との関係上限例外にしたい上限を維持第9話と連動

確認事項5:個人情報・データの適法取得・取扱い

結論として、個人情報やデータを扱う契約では、個人情報を適法に取得・利用し、必要な同意や通知を行っていることを表明保証する場合があります。

データ提供契約、広告・マーケティング、SaaS、分析業務、共同利用、第三者提供などで問題になりやすいです。自社が表明保証する側の場合、取得経路、利用目的、同意、プライバシーポリシー、第三者提供の整理を確認します。相手方に表明保証させる側の場合、データの適法性を確認するリスクヘッジとして意味があります。ただし、表明保証だけで個人情報保護法対応が完了するわけではありません。第12話の個人情報・データ取扱いでも扱いました。

表8個人情報・データに関する表明保証で確認すること
確認項目確認する理由確認資料・確認先
取得経路適法な取得か取得記録・事業部門
利用目的目的の特定利用目的の記載
本人同意同意の有無同意取得の記録
通知・公表所定事項の周知通知・公表の記録
プライバシーポリシー記載との整合ポリシーの確認
委託委託の整理個人情報担当
共同利用共同利用の要件個人情報担当
第三者提供提供の整理記録・同意
外国提供越境の有無個人情報担当・弁護士
安全管理措置管理水準情報システム部門
漏えい履歴事故の有無関係部門
社内の個人情報担当専門的確認個人情報担当

確認事項6:紛争・行政処分・クレームの不存在

結論として、相手方に重大な紛争、行政処分、クレーム、調査、訴訟がないことを表明保証する場合があります。

M&A契約ほど詳細でなくても、重要な取引や継続取引では問題になることがあります。表明保証する側にとっては、「すべての紛争がない」と無限定に保証するのは重い場合があります。「本契約の履行に重大な影響を及ぼすもの」に限定するなどの調整が考えられます。法務だけで全社的な紛争・行政処分を把握できない場合は、関係部門への確認が必要になります。

表9紛争・行政処分の表明保証で確認すること
確認項目表明保証する側の注意点表明保証を受ける側の注意点
訴訟係属中の把握重大訴訟の確認
仲裁仲裁の有無影響の確認
行政処分処分の把握重大処分の確認
行政調査調査の有無進行中の確認
重大クレームクレームの把握重大性の確認
取引停止停止の有無取引影響
契約違反他契約の違反波及の確認
労務紛争労務問題重大性の確認
知財紛争権利紛争成果物への影響
個人情報事故事故の有無影響の確認
重大な影響への限定限定の検討限定が強すぎないか
確認部署社内の確認先関係部門への確認

確認事項7:財務状態・信用状態

結論として、財務状態や支払能力について表明保証する条項があります。

破産、民事再生、会社更生、支払停止、信用不安などが問題になります。相手方の信用状態は、支払条件、前払、継続取引、長期契約で重要になります。自社が表明保証する側の場合、財務状態について広く保証しすぎていないか注意します。相手方に表明保証させる側の場合、信用不安時の解除や期限の利益喪失との関係を見ます。第14話の解除条項・期限の利益喪失条項でも扱います。

表10財務状態・信用状態の表明保証で確認すること
確認項目確認する理由注意点
支払能力履行の前提過大な保証に注意
債務超過財務の健全性把握の難しさ
支払停止信用不安の兆候解除との関係
手形不渡り信用状態期限の利益喪失
破産申立て倒産手続解除事由
民事再生再生手続取引影響
会社更生更生手続取引影響
取引停止取引上の問題影響範囲
信用不安継続取引のリスク与信との関係
与信審査信用の確認経理・財務と連携
解除条項との関係違反時の解除第14話と連動
期限の利益喪失との関係一括請求第14話と連動

確認事項8:契約履行に必要な資料・情報の正確性

結論として、契約締結や業務遂行にあたり提供する資料・情報が正確であることを表明保証する条項があります。

仕様書、見積条件、データ、顧客情報、図面、技術資料、財務資料などが対象になり得ます。発注者提供資料に誤りがある場合、受注者の履行や成果物に影響します。受注者が提出する提案資料・仕様書が正確かも問題になります。資料の正確性をどこまで保証するか、合理的に確認できる範囲かを整理します。

表11提供資料・情報の正確性で確認すること
対象資料・情報確認する理由注意点
仕様書履行の前提版・正確性
見積条件金額の前提前提条件の明記
顧客データ業務の前提適法性・正確性
図面制作の前提最新版の確認
技術資料開発の前提正確性の範囲
財務資料信用の前提作成時点
業務フロー運用の前提実態との一致
システム情報連携の前提正確性の確認
既存契約整合の前提矛盾の有無
提案資料提案の前提反映の有無
発注者提供資料誰の責任か起因の切り分け
受注者提出資料提出物の正確性保証範囲

確認事項9:表明保証の基準時

結論として、表明保証は、いつの時点について正しいと保証するのかが重要です。

契約締結日、契約開始日、納品日、実行日、契約期間中、各個別契約締結時などがあります。契約締結時だけ正しければよいのか、契約期間中ずっと維持する必要があるのかを確認します。期間中に変化する可能性がある事項は、継続表明保証にできるかを慎重に見ます。違反や変更があった場合の通知義務を入れることもあります。

表12表明保証の基準時で確認すること
基準時向いている場面注意点
契約締結日締結時点の事実締結後の変化
契約開始日開始時点締結日との差
実行日取引実行時クロージング型
納品日納品時点成果物の状態
検収日検収時点検収との連動
個別契約締結時個別契約ごと基本契約との関係
契約期間中継続継続保証負担の重さ
支払時支払時点信用状態
情報提供時提供時点正確性の時点
変更発生時状態変化時通知義務との関係
通知義務あり変化を知らせる通知の手続

確認事項10:「知る限り」「重要な点において」などの限定表現

結論として、表明保証条項には、「知る限り」「合理的に知り得る限り」「重要な点において」などの限定表現が入ることがあります。

これらは、表明保証する側の責任範囲を調整する意味を持ちます。表明保証を受ける側では、限定が強すぎてリスクヘッジにならない場合があります。表明保証する側では、確認不能な事項まで無限定に保証しないために有用な場合があります。なお、「知る限り」などの限定表現は、常に入れるべき、または常に削るべき、と一律には言えません。どちらが正しいというより、事項の性質と確認可能性に応じて判断します。

表13表明保証でよく使われる限定表現
限定表現意味のイメージ表明保証する側の効果表明保証を受ける側の注意点
知る限り認識している範囲で責任を限定しやすい限定が強すぎないか
合理的に知り得る限り調査して分かる範囲で一定の調査を前提調査の程度
重要な点において重要な事項に限り軽微事項を除外重要性の判断
本契約の履行に重大な影響を及ぼす範囲で履行への影響に限り影響範囲に限定影響の判断
法令上必要な範囲で法令が求める範囲で範囲を明確化必要範囲の確認
自社が管理する範囲で管理下の事項に限り管理外を除外管理範囲の確認
自社の責めに帰すべき事由により自社の責任による場合帰責性を要件化帰責性の判断
重大な違反がない重大な違反に限り軽微違反を除外重大性の判断
現在係属中のものはない係属中に限定過去・将来を除外対象期間の確認
書面で開示済みのものを除く開示済みは対象外開示で責任回避開示内容の確認

確認事項11:違反時の効果

結論として、表明保証違反があった場合、損害賠償、補償、解除、期限の利益喪失、契約不履行、是正義務などにつながることがあります。

違反時の効果が明記されているか、他条項に委ねられているかを確認します。表明保証違反が解除事由になっているか、損害賠償上限の対象になるのか上限例外になるのかを確認します。軽微な違反でも直ちに重大な効果が発生する条項になっていないかにも注意します。なお、「表明保証違反なら必ず解除できる」「必ず損害賠償できる」と一律には言えず、効果は契約の定めや事案によります。第9話の損害賠償、第14話の解除条項でも扱います。

表14表明保証違反時の効果で確認すること
違反時の効果確認する理由注意点
損害賠償賠償の有無範囲の確認
補償補償条項の有無補償範囲
解除解除事由か事案による
無催告解除催告なし解除重大性の要否
是正義務是正の機会是正期間
通知義務違反時の通知通知期限
期限の利益喪失一括請求連動の確認
支払停止支払の保留要件の確認
取引停止取引の停止影響範囲
表明保証違反の重大性重大性の要否軽微違反の扱い
賠償上限との関係上限の対象か第9話と連動
上限例外例外になるか例外範囲の確認

確認事項12:自社が表明保証する側の見方

結論として、自社が表明保証する側の場合、その事実を本当に確認できるかを重視します。

法務だけで確認できない事項を無条件に保証していないかに注意します。社内のどの部門に確認すべきかを整理します。確認困難な事項は、限定表現、開示済み事項の除外、重要性の限定、対象範囲の限定を検討します。ただし、過度に限定しすぎると相手方に受け入れられない場合もあります。なお、法務がすべての表明保証事項を確認できるわけではありません。

表15自社が表明保証する側で確認すること
確認項目見る理由確認先・対応
本当に確認できるか無条件保証の回避確認可能性の整理
法務だけで確認可能か確認範囲の把握確認先の振り分け
事業部門確認が必要か業務実態事業部門
管理部門確認が必要か管理情報管理部門
経理・財務確認が必要か財務情報経理・財務
情報システム確認が必要かセキュリティ等情報システム部門
個人情報担当確認が必要か個人情報の適法性個人情報担当
限定表現の要否責任範囲の調整事項の性質で判断
開示済み事項の除外既知事項の整理開示リストの作成
重要性の限定軽微事項の除外重要性の基準
弁護士確認の要否専門的判断顧問弁護士

確認事項13:相手方に表明保証させる側の見方

結論として、相手方に表明保証させる側の場合、自社が本当に確認したいリスクをカバーできているかを見ます。

相手方の契約締結権限、法令遵守、許認可、知財非侵害、個人情報の適法取得、反社非該当などが重要になることがあります。表明保証の対象が狭すぎるとリスクヘッジになりません。ただし、過度に広い表明保証を求めると交渉が難しくなる場合があります。重要リスクと交渉可能性を踏まえて優先順位をつけます。

表16相手方に表明保証させる側で確認すること
確認したいリスク求める表明保証の例注意点
契約締結権限有効に締結できること署名権限の確認
必要許認可必要な許認可の保有業法の特定
法令遵守重要な法令の遵守範囲の調整
反社非該当反社会的勢力でないこと対象範囲
知財非侵害第三者権利の非侵害限定表現に注意
個人情報の適法取得適法な取得・利用取得経路の確認
データ提供の適法性提供の適法性提供根拠の確認
紛争不存在重大な紛争がないこと重要性の限定
財務状態信用不安がないこと把握の難しさ
再委託先管理再委託先の管理連鎖の把握
第三者素材素材の適法利用利用条件の確認
行政処分の不存在重大処分がないこと重要性の確認

表明保証条項と他条項の関係

結論として、表明保証条項は、他の条項と密接に関係します。

表明保証条項だけを見ても足りず、違反時の効果や関連条項をセットで確認する必要があります。

表17表明保証条項と他条項の関係
関連条項関係するポイント確認すること
契約当事者締結権限の前提第5話と連動
社内決裁・権限権限の裏付け第18話と連動
法令遵守遵守の表明第17話と連動
秘密保持情報の取扱い第10話と連動
知的財産非侵害の表明第11話と連動
個人情報適法取得の表明第12話と連動
損害賠償違反時の賠償第9話と連動
補償第三者請求への補償補償範囲の確認
解除違反時の解除第14話と連動
反社条項反社非該当の表明第15話と連動
期限の利益喪失信用不安時の対応第14話と連動
社内規程社内ルールとの整合第18話と連動

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表明保証条項の確認フロー

結論として、表明保証条項は、立場の確認から修正案・リスク説明の作成まで順番に進めると抜けにくくなります。

1

自社が保証する側か、相手方に保証させる側かを確認

立場を確認します。

2

表明保証事項を一覧化する

事項を洗い出します。

3

各事項の確認可能性を確認する

確認できる事実かを見ます。

4

社内確認先・確認資料を整理する

誰に何を確認するか整理します。

5

基準時を確認する

いつの時点の保証か確認します。

6

限定表現の有無を確認する

責任範囲の調整を確認します。

7

違反時の効果を確認する

解除・賠償・補償等を確認します。

8

損害賠償・解除・補償との関係を確認する

関連条項との整合を確認します。

9

重要な未確認事項は依頼部門・管理部門・専門家に確認する

確認できない点を相談します。

10

修正案またはリスク説明を作る

結果を整理して共有します。

法務から依頼部門への確認質問例

結論として、表明保証について確認するときは、責めずに、判断材料を集めるために聞きます。質問は短く、具体的に、何を返してほしいかを明確にします。以下はそのまま使える文例です。

文例1:自社が表明保証する事項を確認できているか聞きたい場合

この契約では、自社が次の事項を「正しい」と保証する内容になっています(一覧を添付します)。実態として問題なく保証できる内容か、確認いただけますか。
確認結果が分かると、限定表現の要否などを整理できます。

文例2:契約締結権限・社内決裁を確認したい場合

この契約の締結について、必要な社内決裁は完了していますか。署名予定者に締結権限はありますか。
状況が分かると、締結権限に関する表明保証を確認できます。

文例3:必要な許認可・業法確認をしたい場合

この業務に、必要な許認可や業法上の要件はありますか。あれば、その内容と保有状況を教えてください。
状況が分かると、法令遵守・許認可の表明保証を整理できます。

文例4:知財非侵害について確認したい場合

成果物について、第三者の知的財産権を侵害しないと保証できそうですか。第三者素材・OSS・AI生成物を使う予定はありますか。
状況が分かると、知財非侵害の表明保証の範囲を整理できます。

文例5:個人情報・データの適法取得を確認したい場合

この取引で扱うデータは、適法に取得・利用しているものでしょうか。取得経路や同意の状況を、個人情報担当にも確認したいです。
状況が分かると、データに関する表明保証を整理できます。

文例6:紛争・行政処分・重大クレームの有無を確認したい場合

この取引に重大な影響を及ぼすような、係争中の紛争・行政処分・重大クレームはありますか。
状況が分かると、紛争不存在の表明保証の範囲を整理できます。

文例7:表明保証の限定表現を入れるべきか確認したい場合

保証する事項の中に、自社では完全には確認しきれないものがありそうです。どこまで確認できるか教えてください。
確認可能な範囲が分かると、限定表現の要否を判断できます。

文例8:表明保証違反時の効果を事業判断として受け入れるか確認したい場合

表明保証に違反した場合、解除や損害賠償につながる内容になっています。残るリスクを共有しますので、事業判断として受け入れるかをご検討いただけますか。
判断が分かると、誰がどの前提で受け入れたかを記録して進められます。

初心者向け:表明保証条項チェックリスト

結論として、この記事の内容は、契約締結前・社内確認時・交渉時の3段階に整理できます。法務だけでなく、営業・事業部門・管理部門の方も使える内容です。

表18表明保証条項チェックリスト
タイミングチェック項目確認
契約締結前表明保証事項を確認したか
契約締結前自社が保証する側かを確認したか
契約締結前相手方に保証させる側かを確認したか
契約締結前契約締結権限を確認したか
契約締結前法令遵守を確認したか
契約締結前許認可を確認したか
契約締結前反社非該当を確認したか
契約締結前知財非侵害を確認したか
契約締結前個人情報の適法性を確認したか
契約締結前紛争・行政処分を確認したか
社内確認時確認資料を集めたか
社内確認時確認部署に確認したか
交渉時限定表現を確認したか
交渉時基準時を確認したか
交渉時違反時の効果を確認したか
交渉時損害賠償・解除との関係を確認したか

表明保証条項でよくある失敗

結論として、表明保証条項には典型的な失敗パターンがあります。知っておくと、同じ失敗を避けやすくなります。

表19表明保証条項でよくある失敗と防止策
よくある失敗起きやすい理由防止策
表明保証条項を定型文として読み飛ばす形式条項に見えるから事項ごとに確認する
自社が確認できない事項まで無条件に保証する確認可能性を見ないから確認可能性を整理
「すべての法令を遵守」と広すぎる保証をする範囲を意識しないから重要な範囲に限定を検討
知財非侵害や個人情報の適法取得を確認しない専門領域だから関係部門・専門家に確認
表明保証の基準時を見落とす時点を意識しないから基準時を確認
「知る限り」などの限定表現の意味を確認しない文言を読み流すから限定の効果を確認
違反時の効果を確認しない効果が別条項にあるから関連条項と横断確認
表明保証違反が無催告解除事由になっていることに気づかない解除条項を見ないから解除条項と連動確認
損害賠償上限の例外になっていることを見落とす賠償条項を見ないから上限例外を確認
法務だけで確認できない事項を依頼部門に確認しない法務で完結させようとするから確認先を振り分ける

まとめ|表明保証条項は「確認できる事実か」を見極める

表明保証条項は、一定の事実・権限・状態が正しいことを契約上確認する重要条項です。

定型条項に見えても、違反すると解除・損害賠償・補償などにつながることがあります。

契約締結権限、法令遵守、反社非該当、知財非侵害、個人情報、許認可、紛争不存在などが典型的な確認対象です。

自社が表明保証する側では、確認できない事項を無条件に保証していないか注意します。

相手方に表明保証させる側では、本当に確認したいリスクをカバーできているかを見ます。

基準時、限定表現、違反時の効果、損害賠償・解除との関係を確認します。

法務だけで確認できない事項は、依頼部門・管理部門・専門家に確認します。

次回は、解除条項・期限の利益喪失条項の見方として、契約を終わらせる条件を整理します。表明保証違反は、解除や期限の利益喪失と関係する重要論点です。

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リーガルチェックの基礎20選|シリーズ一覧
第13話:表明保証条項とは何か|どこまで確認すべきかを整理今読んでいる記事
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