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契約当事者の確認方法|会社名・代表者・押印・権限を見る

契約書レビューでは、損害賠償や解除条項などの「重そうな条項」につい目が行きます。しかし、最初に確認すべき重要項目の一つが「契約当事者」です。

契約当事者を誤ると、誰が義務を負うのか、誰に請求できるのか、そもそも誰と契約しているのかが不明確になります。これは形式的なミスではなく、責任主体の問題です。

第1〜4話では、リーガルチェックの意味、前提情報、読む順番、契約書の外側の前提条件を整理しました。第5話では、契約当事者の確認方法を、会社名・代表者・押印・権限・グループ会社・支店・電子契約などの観点から整理します。

実務メモ
この記事の内容を、毎回ゼロから考えないために。
法務実務で効くのは、知識そのものよりも"再現できる型"です。記事で読んだ確認観点・依頼文・回答メモ・マスキングを次の案件でそのまま引き出せる形に残しておくと、判断と説明の質が一段安定します。
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契約当事者とは何か

結論として、契約当事者とは「契約上の権利義務を負う人または法人」です。契約書に名前が出てくる担当者や部署が、必ずしも契約当事者とは限りません。

法人契約では、通常は会社などの法人が契約当事者になります。代表者や担当者は、その法人を代表または代理して、契約締結の手続を行う立場です。つまり、「誰が契約当事者なのか」と「誰が署名・押印するのか」は、分けて考える必要があります。

表1契約当事者と関係者の違い
区分役割契約書での見え方注意点
契約当事者権利義務を負う主体冒頭・署名欄に法人名で記載ここが取引相手と一致するか
代表者法人を代表して締結代表取締役などの肩書付き当事者そのものではない
担当者実務の窓口連絡先・担当者欄に記載権利義務の主体ではない
部署社内の担当部門「〇〇部」などと記載法人格はない
支店法人の一部「〇〇支店」と記載当事者は会社全体が原則
グループ会社別法人本文に登場することがある当事者でなければ義務は及びにくい
代理人当事者を代理委任に基づき署名代理権の範囲を確認
請求先・支払先お金の宛先支払条項・別欄に記載当事者と異なる場合あり
納品先成果物の届け先納品条項・別欄に記載当事者と異なる場合あり

契約当事者を誤ると何が問題になるか

結論として、契約当事者を誤ると、請求先や責任主体が不明確になります。実際に取引している会社と契約書上の名義が違うと、請求・支払・納品・秘密保持・損害賠償・解除など、あらゆる場面に影響します。

グループ会社や代理店が関係する場合は、誰が義務を負うのかを明確にする必要があります。契約当事者の確認は、形式チェックではなく、責任主体の確認だと考えてください。

表2契約当事者を誤った場合に起きやすい問題
問題具体例契約実務への影響
請求先が不明確になる契約は親会社、実際の利用は子会社誰に請求できるかが曖昧になる
支払義務者がずれる署名は子会社、支払は別会社支払を求める相手が不明確
成果物の納品先がずれる契約相手と納品先が別納品・検収の責任が不明
秘密保持義務を負う主体が違う情報を使う会社が当事者でない情報管理の責任が及ばない
損害賠償請求の相手が不明確になる実害の原因者が当事者でない請求の相手を特定できない
グループ会社に義務が及ばない当事者外のグループ会社が利用義務の範囲が想定とずれる
代理店とメーカーの責任関係が曖昧になる代理店契約で責任主体が不明トラブル時の責任所在が争いに
署名者の権限が問題になる権限のない担当者が署名後から有効性を巡る争いの火種に

最初に確認すべき契約当事者情報

結論として、契約当事者欄では、会社名・法人格・住所・代表者・契約名義・部署名・支店名・署名者・押印欄・電子契約の送信先などを確認します。

会社名の表記ゆれ、旧社名、略称、ブランド名、屋号には注意します。住所や代表者名は、登記事項証明書や法人番号情報などで確認できる場合があります。ただし、すべての案件で登記事項証明書を取得するとは限りません。案件の重要性や社内ルールに応じて判断します。

表3契約当事者欄で確認する基本項目
確認項目確認する内容よくある注意点
会社名正式名称の確認略称・旧社名のまま
法人格株式会社・合同会社等の別法人格が抜けている
住所本店所在地等の確認支店住所と混在
代表者名代表者の確認代表者名が古い
契約名義誰の名義で締結するか実際の取引相手と不一致
部署名窓口部署の確認部署を当事者扱いしている
支店名締結主体の確認支店が当事者のように記載
署名者署名する者の確認権限の有無が不明
押印欄押印の有無・種類片方だけ押印欄がある
電子契約の送信先送信先・承認者の確認権限者でない宛先
契約日締結時点の確認契約日が空欄
契約書の部数原本の保管部数の記載がない

会社名・法人格の確認方法

結論として、まず契約相手の法的な主体(法人格)を確認します。株式会社、合同会社、一般社団法人、個人事業主など、相手が何者なのかを正確に押さえます。

会社名は、略称ではなく正式名称で記載するのが基本です。「株式会社〇〇」と「〇〇株式会社」の違い、旧社名、屋号、ブランド名、サービス名との混同に注意します。契約書上は正式名称を記載し、必要に応じて「以下『甲』という」などの定義で略称を使います。

参考(公的情報) 法人の正式な商号・本店所在地は、国税庁の法人番号公表サイトで基本3情報(商号又は名称・本店所在地・法人番号)を検索できます。より正確な確認が必要な場合は、法務局で登記事項証明書を取得する方法もあります。
・国税庁 法人番号公表サイト:https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/
表4会社名・法人格でよくあるミス
ミスの例何が問題か確認方法・対応
株式会社の位置が違う正式名称と異なる登記・法人番号情報で正式名称を確認
旧社名のままになっている現在の当事者と不一致最新の商号を確認して修正
ブランド名を書いている法人名ではない運営法人の正式名称を確認
屋号を書いている主体が特定しにくい個人名や法人名と併記を検討
グループ会社名を間違えている別法人と契約してしまう実際の契約主体を確認
英文表記と日本語表記が混在同一性が不明確正式表記に統一
法人格が抜けている主体の種類が不明「株式会社」等を明記
個人事業主なのに会社のように記載主体を誤認個人名・屋号で正しく整理

住所・本店所在地の確認

結論として、契約当事者欄の住所は、当事者を特定するために正確であることが望ましいです。法人の場合、本店所在地が使われることが多いですが、実務上は支店・事業所住所が記載されることもあります。

住所が違っていても、それだけで直ちに契約が無効になると単純に判断するべきではありません。ただし、当事者特定の観点からは正確な記載が望まれます。請求先・納品先・通知先が本店所在地と異なる場合は、別途明確にします。通知条項がある場合は、通知先住所との整合も確認します。

表5住所確認で見るべきポイント
確認項目確認する理由注意すべきケース
本店所在地当事者の特定登記上の住所と相違
支店・事業所住所実際の窓口の把握本店と混同している
通知先住所通知の到達先通知条項と不一致
請求先住所請求書の宛先当事者と異なる
納品先住所成果物の届け先当事者と異なる
登記上の住所との違い同一性の確認移転後の未更新
移転予定の有無将来の通知先近く移転予定がある
海外住所送達・準拠法の検討国内法の前提と齟齬

代表者名・署名者の確認

結論として、法人契約では代表者名が記載されることが多く、その肩書は法人形態によって異なります。代表取締役、代表社員、理事長などです。

代表者以外の役職者や担当者が署名・押印する場合もあります。その場合、社内の権限や委任、取引上の権限が問題になることがあります。法務は、案件の重要性や社内ルールに応じて、署名者の権限確認を検討します。

表6代表者・署名者確認のポイント
確認項目見る理由注意点
代表者名代表権者の確認登記上の代表者と相違
代表者肩書法人形態の確認肩書が実態と異なる
署名者名実際に署名する者代表者と別人
署名者の役職権限の手がかり役職と権限が不明確
担当者署名権限の有無担当者名義での締結
部長名義権限委譲の有無部長に締結権限があるか
支店長名義支店の締結権限本社承認の要否
代理人名義代理権の有無委任の範囲
委任状の有無代理権の裏付け委任状が未提出
電子契約の承認者承認者の権限権限者でない承認

代表者以外が契約する場合の考え方

結論として、代表者以外が契約締結手続を行うことは、実務上あり得ます。ただし、その人に契約締結権限があるかを確認する必要がある場合があります。

権限確認の方法には、職務権限規程、委任状、社内決裁、取引実態、過去の運用などがあります。相手方の権限については、案件の重要性やリスクに応じて、確認の深さを変えます。「代表者でないから必ず無効」といった単純な説明は避けます。一方で、高額取引、長期契約、重要な義務を負う契約では、権限確認を丁寧に行うべきです。

表7代表者以外が署名・押印する場合の確認方法
確認方法確認できること向いている場面注意点
委任状を確認する代理権の有無・範囲代理人が署名する場合委任事項・期間を確認
職務権限規程を確認する社内の締結権限自社側の権限確認規程と実態の整合
稟議・決裁を確認する社内承認の状況金額が大きい場合決裁区分の確認
メールで権限確認を取る担当者の権限の手がかり軽微な確認記録を残す
過去取引の運用を確認する従来の締結実態継続取引過去運用が常に正とは限らない
取引先窓口に確認する相手方の締結体制相手方の権限が不明聞き方に配慮する
社内の契約締結権限者に確認する最終的な承認者重要・高額契約締結前に確認する

支店・部署・担当者名義の注意点

結論として、支店や部署は、通常それ自体が法人格を持つわけではありません。「〇〇株式会社 東京支店」「〇〇部」などの記載があるときは、契約当事者が会社全体なのか、支店・部署なのかを確認します。

担当者個人名が契約当事者のように記載されている場合も注意します。部署名や担当者名は、連絡先や窓口として記載するのは問題ありませんが、権利義務の主体とは区別します。個人事業主の場合は、屋号と個人名の関係を確認します。

表8支店・部署・担当者名義で注意すること
記載例注意点修正・確認の方向性
〇〇株式会社 東京支店当事者は会社全体が原則会社名義で記載し支店は窓口扱い
〇〇株式会社 営業部部署に法人格はない会社を当事者とし部署は連絡先に
〇〇株式会社 担当者名担当者は当事者ではない担当者は窓口として明記
〇〇プロジェクトチーム主体が特定できない主体となる法人を特定
屋号のみ個人か法人か不明個人名・法人名を併記
サービス名のみ運営主体が不明運営法人を特定して記載
店舗名のみ運営者が不明運営法人・個人を確認
グループ名のみどの法人か不明契約する法人を特定

グループ会社が関係する場合の確認

結論として、グループ会社が関係する契約では、誰が契約当事者になるのかを明確にします。「グループ会社だから同じ」と考えるのは危険です。グループ会社はそれぞれ別法人です。

契約当事者ではないグループ会社に義務や権利を及ぼしたい場合は、条文上の整理が必要になります。たとえば、秘密情報をグループ会社にも開示するなら、そのグループ会社による利用や管理責任をどう定めるかを確認します。支払主体、利用主体、成果物の利用者、個人情報の取扱主体がグループ会社にまたがる場合は、特に注意します。

表9グループ会社が関係する場合の確認ポイント
確認項目確認する理由契約書で整理すべきこと
契約当事者はどの会社か責任主体の特定当事者を明確に記載
実際の利用会社はどこか利用範囲の把握利用主体と利用条件
支払会社はどこか支払義務者の確認支払主体・連帯の有無
請求先はどこか請求の宛先請求先を明記
秘密情報を共有する会社はどこか情報管理責任開示範囲・管理義務
成果物を利用する会社はどこか利用許諾の範囲グループ利用の可否
個人情報を取り扱う会社はどこか取扱主体の確認委託・共同利用の整理
親会社保証の有無履行の担保保証の要否・範囲
グループ会社を含めた義務の有無義務の及ぶ範囲義務主体の明確化

個人事業主・フリーランスとの契約で見ること

結論として、個人事業主やフリーランスとの契約では、法人契約とは違う確認が必要になります。屋号だけでなく、個人名を確認します。

住所、本人確認、インボイス登録番号、源泉徴収の要否、業務委託の実態などが問題になることがあります。ここでは税務・労務の詳細には立ち入りませんが、業務委託契約では、実態として雇用に近くないか(指揮命令や専属性が強すぎないか)も、念のため意識します。

表10個人事業主・フリーランス契約で確認すること
確認項目確認する理由注意点
個人名契約主体の特定屋号だけで個人名がない
屋号事業名の把握屋号と個人名の関係が不明
住所当事者の特定事業所と自宅の区別
本人確認なりすまし防止確認方法を社内ルールで判断
インボイス登録番号請求・経理の前提登録の有無を確認
源泉徴収の要否支払処理の前提取引内容で要否が変わる
業務委託の実態契約類型の妥当性雇用に近くないか
再委託の有無履行体制の把握再委託の可否を確認
秘密保持情報管理個人でも義務を明記
成果物の権利帰属知財の整理帰属を明確化
補足

フリーランスへの業務委託では、取引条件の明示や支払期日などについて、関連する取引適正化のルールが及ぶ場合があります。詳細は取引内容や時期によって変わるため、必要に応じて最新の公的情報や所管部門・弁護士に確認してください。

押印・印章の確認ポイント

結論として、押印は日本の契約実務で重要な確認項目になりやすいですが、「押印がなければ契約は必ず無効」という単純な理解は正しくありません。契約は、原則として当事者の合意によって成立します。

そのうえで、押印には、本人確認・権限確認・証拠化・社内手続といった役割があります。契約の「成立」と、これらの役割は分けて考えると整理しやすくなります。実務では、社内の印章規程、押印権限、電子契約の運用、相手方の運用を確認します。実印・代表者印・角印・認印などの用語が出てきたら、その役割を社内ルールに照らして確認します。

表11押印確認で見るべきポイント
確認項目見る理由注意点
押印の有無社内手続・証拠化有無だけで有効性を断定しない
押印者権限の確認権限者かどうか
印章の種類用途の確認用途と運用の整合
代表者印重要契約での運用社内規程に沿うか
角印会社名義の表示役割を社内基準で確認
契約印契約用の運用使い分けの確認
社内押印申請承認手続の有無申請ルートの確認
印章規程社内ルールとの整合規程に沿った運用か
電子契約との使い分け締結方法の整合紙と電子の混在に注意
相手方押印欄双方の押印の整合片方だけ空欄

電子契約の場合の当事者・権限確認

結論として、電子契約でも、誰が契約当事者で、誰が承認・署名するのかの確認は重要です。電子契約だから確認が不要になるわけではありません。

電子契約では、送信先メールアドレス、承認者、ワークフロー、署名完了証明書、締結日などを確認します。電子契約サービスの利用方法は会社ごとに異なるため、自社の電子契約運用に従います。相手方の承認者が契約締結権限を持つかも、必要に応じて確認します。

参考(公的情報) 電子署名については、電子署名及び認証業務に関する法律(電子署名法)により、一定の要件を満たす電子署名が行われた電子文書は、手書き署名や押印と同等に扱われ得るとされています。制度の概要は、以下の公的情報が参考になります。
・総務省(電子署名法の解説):https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/cybersecurity/kokumin/basic/legal/05/
・法務省(電子署名法の概要と認定制度):https://www.moj.go.jp/MINJI/minji32.html
表12電子契約で確認すること
確認項目確認する理由注意点
契約当事者名責任主体の確認表示名と法人名の一致
送信先メールアドレス正しい宛先か個人宛・誤送信に注意
承認者承認権限の確認権限者かどうか
署名者署名する者の確認当事者との関係
締結日効力発生の起点開始日とのズレ
署名完了証明書締結の記録保管の有無
社内承認ワークフロー社内手続の整合承認ルートの確認
電子契約利用の社内ルール利用可否の確認対象契約の範囲
相手方の承認者権限締結権限の確認権限が不明な場合
紙契約との併用有無方式の整合紙と電子の混在

代理人・委任状が出てくる場合

結論として、代理人が契約締結手続を行う場合は、代理権の有無や範囲を確認します。委任状があるときは、委任者・受任者・委任事項・有効期間・対象契約・押印などを確認します。

代理権の範囲を超えていないかも確認します。不動産、金融、海外取引、行政手続などでは、代理権の確認が重要になることがあります。ここでは代理法の詳細には立ち入らず、契約実務上の確認ポイントにとどめます。

表13委任状で確認すること
確認項目確認する理由注意点
委任者誰が権限を与えたか契約当事者本人か
受任者誰が代理するか署名者と一致するか
委任事項何を委任したか本契約が含まれるか
対象契約適用範囲の確認別案件用の委任状の流用
有効期間委任が有効か期限切れに注意
押印委任の裏付け運用に応じて確認
原本・写し確認の確度写しのみの場合の扱い
再委任の可否権限の連鎖再委任が認められるか
代理権の範囲越権の有無範囲を超えていないか
相手方確認の要否確認の深さ重要案件は丁寧に

契約当事者・権限確認の見落としを減らす関連ツール

契約当事者、署名者、押印、権限確認は、基本項目でありながら見落としやすい部分です。レビューの初動で論点を洗い出し、過去の類似相談を確認しながら進めることで、確認漏れを減らしやすくなります。

いずれも、最終的な判断は人が行うことが前提の補助ツールです。一次チェックの型づくり、論点のたたき台、過去相談の検索などに役立ちます。

契約書 論点アラートツール(無料)

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契約当事者、署名者、権限確認など、契約レビューの基本論点を整理するためのプロンプト集です。レビューコメントや確認質問のたたき台づくりにも使えます。

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契約当事者確認の実務フロー

結論として、契約当事者の確認は、当事者欄を見て終わりではなく、実際の取引相手や請求先と照合するところまで含みます。次の流れを型として持っておくと役立ちます。

1

契約書の当事者欄を確認

冒頭と署名欄の当事者を確認します。

2

会社名・法人格を確認

正式名称・法人格を確認します。

3

住所・本店所在地を確認

当事者特定のため住所を確認します。

4

代表者・署名者を確認

代表者・署名者と肩書を確認します。

5

実際の取引相手・請求先・納品先と照合

名義と実態のズレを確認します。

6

グループ会社・支店・部署名義の有無を確認

当事者が会社全体かを確認します。

7

押印・電子契約・署名者権限を確認

締結方法と権限を確認します。

8

不明点があれば依頼部門・相手方に確認

理由を添えて確認質問を返します。

9

契約書本文・別紙との整合性を確認

当事者名が全体で一致するか確認します。

契約当事者確認で使える質問例

結論として、当事者を確認するときは、責める言い方ではなく、契約上の責任主体を明確にするために聞きます。質問は短く、具体的に、何を確認したいかが分かるようにします。以下はそのまま使える文例です。

文例1:契約名義と実際の取引先が違う可能性がある場合

契約書を拝見しました。1点確認させてください。実際にやり取りしている相手と、契約書の当事者名は同じ会社でしょうか。
名義が分かると、請求先や責任主体を正しく整理できますので、教えていただけますと助かります。

文例2:グループ会社が関係している場合

今回は、契約相手の会社と、実際に利用・支払いをする会社は同じでしょうか。グループ会社が関わる場合は、その会社名も教えてください。
利用や支払いの主体が分かると、義務の範囲を契約書で正しく整理できます。

文例3:支店・部署名義になっている場合

当事者欄が「〇〇支店(または〇〇部)」となっています。契約の主体は会社全体という理解でよろしいでしょうか。
主体が分かると、当事者の記載方法を整える判断ができますので、確認させてください。

文例4:代表者以外が署名する場合

署名者が代表者以外の方になっています。社内で締結権限のある方、または委任状の有無を教えていただけますか。
重要な契約のため、権限を確認しておくと、後の手戻りを防ぎやすくなります。

文例5:電子契約の送信先・承認者を確認したい場合

電子契約で進める場合、相手方の送信先と承認者を教えてください。先方で締結権限のある方が承認される想定でしょうか。
送信先と承認者が分かると、適切な相手に送付でき、締結後の確認もスムーズになります。

文例6:請求先・納品先が契約当事者と異なる場合

請求先(または納品先)は、契約の相手方と同じでしょうか。異なる場合は、その宛先も教えてください。
宛先が分かると、支払・納品の条項を実態に合わせて整理できます。

初心者向け:契約当事者確認チェックリスト

結論として、この記事の内容は、紙契約・電子契約の両方を意識したチェックリストに整理できます。法務担当者だけでなく、依頼部門の方も使える内容です。

表14契約当事者確認チェックリスト
チェック項目確認する内容確認
会社名正式名称になっているか
法人格株式会社等の別が明記されているか
住所当事者を特定できる住所か
代表者名代表者が正しく記載されているか
署名者署名者を確認したか
押印者押印者・印章を確認したか
電子契約承認者承認者の権限を確認したか
契約名義名義と実態が一致するか
実際の取引先当事者と取引相手が一致するか
請求先請求先を確認したか
納品先納品先を確認したか
グループ会社関与するグループ会社を確認したか
支店・部署支店・部署名義の扱いを確認したか
個人事業主個人名・屋号を確認したか
委任状必要な場合に委任状を確認したか
社内決裁自社の決裁・権限を確認したか
押印・電子契約ルール社内ルールに沿っているか

契約当事者確認でよくある失敗

結論として、契約当事者の確認には、典型的な失敗パターンがあります。知っておくと、同じ失敗を避けやすくなります。

表15契約当事者確認でよくある失敗と防止策
よくある失敗起きやすい理由防止策
会社名の略称・旧社名をそのまま使う正式名称を確認しないから法人番号・登記で正式名称を確認
グループ会社を同じ会社のように扱う別法人の意識が薄いから契約当事者をどの会社か特定する
支店や部署を契約当事者のように記載する法人格の理解が不足するから会社を当事者とし支店等は窓口扱い
屋号だけで個人事業主と契約する個人名を確認しないから個人名・屋号を併記する
代表者以外の署名権限を確認しない署名があれば足りると考えるから重要契約は権限・委任を確認
請求先・支払先・納品先の違いを見落とす当事者欄しか見ないから宛先を当事者と照合する
電子契約の承認者を形式的にしか見ない電子だと安心するから承認者の権限を確認する
押印の有無だけで契約の有効性を判断する押印=有効と思い込むから成立・証拠化・権限を分けて考える

まとめ|契約当事者の確認は責任主体を確認する作業

契約当事者の確認は、会社名の誤字チェックだけではありません。

誰が契約上の権利義務を負うのかを確認する作業です。

会社名・法人格・住所・代表者・署名者・押印・電子契約・権限を確認します。

グループ会社・支店・部署・個人事業主・代理人が関係する場合は、特に注意します。

押印・電子契約は、契約の成立・証拠化・社内手続・権限確認を分けて考えることが大切です。

次回は、契約期間・更新・中途解約のチェックポイントを解説します。「いつまで・どう抜けられるか」は、リスクの長さを決める重要な論点です。

▶ NEXT|シリーズ第6話 契約期間・更新・中途解約のチェックポイント
リーガルチェックの基礎20選|シリーズ一覧
第5話:契約当事者の確認方法|会社名・代表者・押印・権限を見る今読んでいる記事
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読み終えた内容を、次の案件でそのまま使える形に。
法務記事で理解した内容は、チェックリスト・文例・記録・検索・ツール化まで落とし込まないと、次の案件で再利用しにくいまま終わってしまいます。下の道具は、今日の業務にすぐ差し込める順に並べています。
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