この記事の実務版
読んで終わりにせず、
次の案件で使える形に。
この記事のテーマを、チェックリスト・文例・AIプロンプト・業務ツールとして、明日の実務にそのまま落とせる形で揃えています。
チェックリスト
文例・ひな形
AIプロンプト
業務ツール
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個人情報・データ取扱いのリーガルチェック|委託・共同利用・第三者提供

契約書に秘密保持条項が入っていると、情報管理はそれで足りるように見えることがあります。しかし、顧客情報、会員情報、従業員情報、問い合わせ情報、アクセスログ、購買履歴などを扱う契約では、個人情報・データ取扱いの確認が別途必要になります。

特に、委託、共同利用、第三者提供、再委託、海外クラウド、漏えい時対応などは、契約書で見落としやすい論点です。

第1〜11話では、リーガルチェックの基本から知的財産権までを整理しました。第12話では、個人情報・データ取扱いのリーガルチェックで見るべきポイントを整理します。

実務メモ
この記事の内容を、毎回ゼロから考えないために。
法務実務で効くのは、知識そのものよりも"再現できる型"です。記事で読んだ確認観点・依頼文・回答メモ・マスキングを次の案件でそのまま引き出せる形に残しておくと、判断と説明の質が一段安定します。
確認観点をチェックリスト化する
確認依頼文・回答文を文例に残す
相談回答・法改正対応を記録に残す
AIに入れる前の情報整理を安全に
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個人情報・データ取扱いはなぜ重要なのか

結論として、個人情報や顧客データは、企業の信用・法令遵守・取引継続に直結する重要情報です。

漏えい、目的外利用、無断提供、不十分な委託先管理があると、本人対応、行政対応、取引先対応、損害賠償、レピュテーションリスクにつながります。秘密保持条項は重要ですが、個人情報保護法上の確認とは別に考える必要があります。契約書レビューでは、データの種類、流れ、利用目的、関与者、管理方法、終了時処理を確認します。

表1個人情報・データ取扱いを見落とすと起きやすい問題
起きやすい問題具体例実務上の影響
個人情報を扱うことに気づかない業務上ログに残る必要な条項が抜ける
委託か第三者提供かを整理していない区分が曖昧確認すべき点を取り違える
再委託先を把握していない外注先が不明監督が及ばない
利用目的が不明確目的の定めがない目的外利用のリスク
安全管理措置が契約にない管理水準が未定管理が不十分に
漏えい時の報告義務が曖昧報告ルールがない初動が遅れる
契約終了後の削除・返還が決まっていない終了時処理が未定データが残り続ける
海外クラウド利用を見落とす保存先が海外越境の確認が抜ける
本人同意・通知公表の要否を確認していない要否が未検討対応漏れのリスク
損害賠償上限との関係を見落とす上限例外が未確認責任範囲が不明確

まず押さえたい用語の違い

結論として、どの種類の情報を扱うかで、確認ポイントが変わります。

個人情報、個人データ、保有個人データ、要配慮個人情報、匿名加工情報、仮名加工情報、統計情報、顧客データなどは、それぞれ意味が異なります。特に、匿名加工情報・仮名加工情報・統計情報は別の概念であり、混同しないように注意します。個人情報に該当するか判断が難しい場合は、法務・個人情報担当・専門家に確認します。

表2契約レビューで出てきやすいデータ関連用語
用語初心者向けの説明契約書で見るポイント注意点
個人情報特定の個人を識別できる情報取扱いの有無該当性の判断
個人データデータベース等を構成する個人情報取扱い・提供個人情報との区別
保有個人データ事業者が開示等の権限を持つもの本人対応開示請求等の対象
要配慮個人情報特に配慮が必要な情報取得・取扱い慎重な取扱い
匿名加工情報特定の個人を識別できないよう加工した情報加工・取扱い仮名加工とは別概念
仮名加工情報他の情報と照合しなければ識別できないよう加工した情報加工・利用範囲匿名加工とは別概念
統計情報集団の傾向を集計した情報個人識別性の有無加工情報とは別
顧客データ顧客に関する情報の総称個人情報の有無個人情報を含み得る
従業員情報従業員に関する情報取扱い目的個人情報を含み得る
アクセスログ利用の記録個人識別性識別子の有無
購買履歴購入の記録個人との紐づけ個人情報該当性
Cookie等の識別子端末等の識別情報取扱い・提供該当性は要確認
参考(公的情報) 個人情報保護法の条文やガイドラインは、以下の公的サイトで確認できます。用語の定義や個別の判断は専門的な検討が必要な場合があり、判断に迷うときは個人情報担当・弁護士にご確認ください。

最初に確認すべき全体像

結論として、個人情報・データ取扱いでは、まず「どのデータを、誰が、何のために、どこで、誰に渡し、いつ消すのか」を確認します。

契約書本文だけでなく、仕様書、業務フロー、データフロー図、セキュリティチェックシート、委託先管理資料も確認します。まずは最初に見るべき項目を押さえましょう。

表3個人情報・データ取扱いで最初に確認すること
確認項目確認する内容見落とすと起きやすい問題
取り扱うデータの種類個人情報かどうか必要な条項の抜け
利用目的何に使うか目的外利用
取扱主体誰が扱うか責任の所在が不明
委託・共同利用・第三者提供の区別どの類型か確認点の取り違え
再委託の有無外注の有無監督が及ばない
海外移転・海外保管の有無越境の有無越境確認の漏れ
安全管理措置管理の水準管理が不十分
アクセス権限誰が触れるか権限過剰
漏えい時対応事故時の手順初動の遅れ
契約終了後の削除・返還終了時の処理データが残る
本人対応問い合わせ対応対応漏れ
損害賠償との関係責任範囲上限例外の未確認

確認事項1:個人情報を扱う契約かどうか

結論として、まず、その契約で個人情報を扱うかを確認します。

システム開発、SaaS、BPO、コールセンター、配送、給与計算、採用、マーケティング、広告配信、問い合わせ対応、保守運用などで個人情報が関係しやすいです。契約書に「個人情報」と書かれていなくても、実際の業務で個人情報に触れる場合があります。アクセス権限だけがある場合、閲覧可能な場合、ログに残る場合なども確認します。個人情報を扱わない前提なら、その前提が仕様書・運用上も正しいかを確認します。

表4個人情報を扱う可能性がある契約類型
契約類型扱いやすい情報確認ポイント
システム開発テストデータ・本番データ本番データに触れるか
SaaS利用契約入力した顧客情報保存先・アクセス
保守運用契約運用中のデータ保守時のアクセス
BPO契約業務上の個人情報取扱範囲
コールセンター契約問い合わせ者情報録音・記録
配送・物流契約配送先情報提供範囲
採用支援契約応募者情報要配慮情報の有無
給与計算委託従業員情報マイナンバーの有無
広告・マーケティング支援顧客・行動データ識別子の取扱い
アンケート調査回答者情報取得・利用目的
イベント運営参加者情報提供・共同利用
顧客管理システム導入顧客データベース移行・保存先

確認事項2:データフローを確認する

結論として、個人情報の取扱いでは、データがどこから来て、どこに保存され、誰がアクセスし、どこへ提供されるかを確認します。

契約書だけではデータの流れが分からないことが多いため、データフロー図や業務フローを確認することが有効です。データを受け取るだけか、閲覧するだけか、加工するのか、保存するのか、第三者に渡すのかで、確認ポイントが変わります。

取得元本人・取引先
自社利用目的の範囲で取扱い
委託先委託業務で取扱い
再委託先承諾・監督が必要
保存先国内/海外クラウド

※ データの流れの一例です。実際の流れは契約・業務ごとに異なります。各段階で「誰が・何のために・どこで」扱うかを確認します。

表5データフローで確認すること
確認項目確認する理由注意点
データの取得元どこから来るか取得の適正性
データ提供者誰が渡すか提供の根拠
データ受領者誰が受け取るか受領後の取扱い
保存場所どこに保存するか国内・海外
アクセス者誰が触れるか権限の範囲
加工・分析の有無加工するか加工情報の種別
第三者への提供外部に渡すか提供の整理
再委託先外注の有無監督の要否
海外保管海外に置くか越境の確認
契約終了後の削除いつ消すか削除の方法
ログ・バックアップどこに残るか削除範囲
データ返還方法返し方形式・期限

確認事項3:委託・共同利用・第三者提供の違い

結論として、個人情報の取扱いが委託なのか、共同利用なのか、第三者提供なのかを整理することが重要です。これらは別の概念であり、同じものとして扱うことはできません。

委託は、本人に対する自社の利用目的の範囲内で、業務を外部に任せるイメージです。共同利用は、一定の事項を本人に通知・公表等したうえで、特定の範囲の者と共同で利用するイメージです。第三者提供は、第三者に個人データを提供する場面です。ただし、どの類型にあたるかの個別判断は事案によるため、断定はせず、必要に応じて個人情報担当や弁護士に確認します。

表6委託・共同利用・第三者提供の違い
区分初心者向けの説明契約書で見るポイント注意点
委託利用目的の範囲で業務を外部に任せる委託先監督・安全管理目的外利用の禁止
共同利用所定の事項を通知・公表等して特定範囲で共同利用項目・範囲・管理責任者要件の確認が必要
第三者提供第三者に個人データを提供する本人同意・記録等例外・要件の確認
混同に注意

「委託」「共同利用」「第三者提供」は、それぞれ確認すべきことが異なります。特に、共同利用を第三者提供の例外のように単純化して説明することは避け、それぞれに必要な要件を確認することが大切です。判断が難しい場合は、個人情報担当・弁護士に確認します。

確認事項4:委託の場合のチェックポイント

結論として、委託の場合、委託先に個人データを安全に取り扱わせる必要があります。

契約書では、利用目的の範囲、目的外利用禁止、秘密保持、安全管理措置、再委託、漏えい時報告、返還・削除、監査、委託先の責任などを確認します。委託元には、委託先を適切に監督する観点が求められます。委託元側と委託先側で、見るポイントが異なります。

表7委託契約で確認すること
確認項目委託元側の視点委託先側の視点注意点
取扱目的目的を明確に目的の範囲を確認目的外利用の禁止
取扱範囲必要範囲に限定過大な範囲を回避範囲の明確化
目的外利用禁止確実に禁止禁止範囲を確認分析・学習利用に注意
秘密保持義務を課す範囲を確認第10話と連動
安全管理措置水準を求める運用可能な水準抽象的すぎないか
従業者管理従業者の監督教育・管理退職者対応
再委託承諾制にしたい再委託の自由度承諾・通知の別
漏えい時報告速やかな報告報告負担報告期限の明確化
返還・削除確実な削除対応可能な方法バックアップの扱い
監査監査権を確保過度な監査を回避方法・頻度
損害賠償救済を確保範囲を限定上限例外との関係
契約終了後の義務義務の存続負担の範囲存続条項の確認

確認事項5:再委託・再々委託の扱い

結論として、個人情報を扱う業務では、再委託先が関与することがあります。

再委託を禁止するのか、事前承諾制にするのか、通知制にするのかを確認します。再委託先に同等の義務を課すか、再委託先の違反について委託先が責任を負うかも確認します。クラウドサービスやサブプロセッサが関係する場合もあります。再々委託の可否や海外再委託にも注意します。

表8再委託で確認すること
確認項目確認する理由注意点
再委託の可否外注を認めるか無制限再委託に注意
事前承諾承諾の要否承諾手続の明確化
通知制通知での運用通知のタイミング
再委託先一覧把握の手段一覧の提出・更新
再々委託さらなる委託連鎖の管理
海外再委託越境の有無海外移転の確認
サブプロセッサクラウド等の関与一覧・変更通知
同等義務の付与義務の承継契約での担保
再委託先の監督監督責任監督の方法
違反時責任責任の所在委託先が負うか
変更時の通知変更の把握通知ルール
契約終了後の削除終了時処理再委託先への指示

確認事項6:共同利用の場合のチェックポイント

結論として、共同利用をする場合、共同利用する個人データの項目、共同利用者の範囲、利用目的、管理責任者などを確認します。

共同利用は、グループ会社間の顧客情報共有などで問題になることがあります。契約書だけでなく、プライバシーポリシーや本人への通知・公表内容との整合も重要です。共同利用の範囲が広すぎないか、管理責任者が明確かを確認します。共同利用には所定の要件があるため、要件の確認が大切です。

表9共同利用で確認すること
確認項目確認する内容注意点
共同利用する項目どの項目を共有するか範囲の明確化
共同利用者の範囲誰と共有するか範囲が広すぎないか
利用目的何に使うか目的の明確化
管理責任者誰が責任を負うか責任者の明記
本人への通知・公表所定事項の周知要件の確認
プライバシーポリシーとの整合記載との一致食い違いに注意
グループ会社の範囲対象会社範囲の特定
海外グループ会社越境の有無海外移転の確認
共同利用終了時の扱い終了時の処理停止・削除
問い合わせ対応本人対応の窓口窓口の明確化
漏えい時対応事故時の対応連絡ルート
責任分担各社の責任分担の明確化

確認事項7:第三者提供の場合のチェックポイント

結論として、第三者提供では、本人同意や法令上の例外、提供記録などの確認が必要になる場合があります。

提供先、提供するデータ項目、提供目的、提供方法、本人同意の取得方法、オプトアウト、記録義務を確認します。契約書だけでなく、本人同意文言、申込フォーム、プライバシーポリシー、利用規約との整合を確認します。第三者提供か委託かは、実態に応じた整理が必要です。なお、個人情報を扱う場合に「必ず本人同意が必要」と一律には言えません。法令上の例外もあるため、詳細判断は必要に応じて個人情報担当・弁護士へ確認します。

表10第三者提供で確認すること
確認項目確認する理由注意点
提供先誰に渡すか提供先の特定
提供データ項目何を渡すか必要最小限
提供目的何のために渡すか目的の明確化
本人同意同意の要否要否は事案による
同意取得方法どう取るか取得方法の確認
オプトアウト例外の手続要件・届出
提供記録記録の作成記録義務の確認
受領記録受領側の記録確認義務
提供方法渡し方安全な方法
提供停止停止の手続停止対応
プライバシーポリシー記載との整合食い違いに注意
利用規約との整合規約との一致同意範囲の確認

確認事項8:外国にある第三者への提供・海外保管

結論として、外国にある第三者への個人データ提供や、海外クラウド・海外委託先の利用がある場合は、追加の確認が必要になることがあります。

データがどの国・地域に保存されるか、誰がアクセスするか、外国にある第三者に該当するかを確認します。本人同意、情報提供、体制整備、委託・共同利用・第三者提供の整理が関係する場合があります。なお、「海外クラウドなら必ず違法」または「海外クラウドなら何も問題ない」と極端に決めつけることはできません。契約内容・データの流れ・法令上の位置づけにより確認が必要です。海外SaaS、クラウド、サポートセンター、オフショア開発などが例になります。

表11海外移転・海外保管で確認すること
確認項目確認する理由注意点
保存国・地域どこに置くか保存先の特定
アクセス国・地域どこから触るかサポート拠点
海外委託先海外の委託監督の方法
海外再委託先海外の再委託連鎖の把握
海外クラウドクラウドの所在リージョンの確認
外国にある第三者への提供該当性整理が必要
本人同意の要否同意の要否事案により異なる
情報提供事項本人への情報提供必要事項の確認
体制整備移転先の体制継続的な確認
サポートアクセス海外からの保守アクセス範囲
データバックアップバックアップ先所在の確認
契約終了後の削除終了時処理海外拠点の削除

確認事項9:安全管理措置・セキュリティ

結論として、個人情報を扱う契約では、安全管理措置やセキュリティ水準を確認する必要があります。

アクセス制限、暗号化、ログ管理、権限管理、教育、物理的管理、技術的管理、組織的管理などを契約や別紙で定めることがあります。セキュリティチェックシートや委託先評価と連動することもあります。法務だけで判断しにくい場合は、情報システム部門・セキュリティ担当への確認が必要です。「合理的な安全管理措置」など抽象的な表現だけで足りるかは、案件に応じて確認します。

表12安全管理措置・セキュリティで確認すること
確認項目確認する内容確認先・資料
アクセス権限誰が触れるか情報システム部門
ID管理アカウント管理運用ルール
パスワード管理認証の管理運用ルール
暗号化保存・通信の保護技術部門
ログ管理操作の記録監査ログ
持出制限外部持出の管理運用ルール
従業者教育教育の実施教育記録
委託先管理委託先の評価委託先評価資料
セキュリティチェックシート水準の確認チェックシート
脆弱性対応脆弱性の管理技術部門
バックアップ復旧の備え運用ルール
インシデント対応体制事故時の体制対応手順

確認事項10:漏えい等発生時の対応

結論として、個人情報の漏えい、滅失、毀損などが発生した場合の対応を確認します。

契約書では、発見時の報告期限、報告内容、原因調査、被害拡大防止、本人対応、個人情報保護委員会への報告、再発防止、費用負担、損害賠償を確認します。委託先が先に事故を発見した場合の連絡ルートも明確にします。なお、法令上の漏えい等報告・本人通知の要否は事案により異なるため、ここでは断定しません。第9話の損害賠償も参照してください。

参考(公的情報) 漏えい等が発生した場合の対応や、報告・本人通知の考え方は、個人情報保護委員会の以下のページが参考になります。要否や手続は事案により異なるため、実際の対応時は個人情報担当・弁護士にご確認ください。
表13漏えい等発生時対応で確認すること
確認項目確認する理由注意点
報告期限いつまでに報告するか速やかな報告
報告先誰に報告するか連絡ルート
報告内容何を報告するか必要事項
初動対応最初の対応手順の明確化
原因調査原因の特定協力体制
被害拡大防止拡大の防止速やかな措置
本人対応本人への対応通知の要否は事案による
当局報告委員会等への報告要否は事案による
再発防止再発の防止措置の具体化
費用負担誰が負担するか負担範囲
損害賠償賠償の扱い上限例外との関係
公表対応公表の要否対応の調整
委託先・再委託先の協力協力義務連絡ルートの明確化

確認事項11:利用目的・目的外利用禁止

結論として、個人情報は、利用目的との関係が重要です。

契約書では、委託先が委託業務の目的以外に個人情報を利用しないことを定めることが多いです。マーケティング利用、分析利用、学習利用、サービス改善利用、二次利用などは、利用目的との関係を確認する必要があります。統計化・匿名化・仮名加工などを行う場合も、契約上の扱いを確認します。AI学習利用や外部ツール利用については、社内ルール・本人説明・契約条件との整合を慎重に確認します。

表14利用目的・目的外利用で確認すること
利用場面確認すること注意点
委託業務での利用目的の範囲内か範囲の明確化
サービス提供提供目的目的の特定
保守運用保守目的での利用必要範囲
分析分析の可否目的との関係
マーケティング販促利用目的・同意の確認
広告配信配信での利用識別子の扱い
サービス改善改善目的目的との関係
AI学習学習利用の可否社内ルール・本人説明
統計化統計情報への加工加工情報と区別
匿名加工匿名加工の実施仮名加工と別概念
仮名加工仮名加工の実施匿名加工と別概念
二次利用別目的での利用目的外利用に注意

確認事項12:契約終了後の返還・削除・消去

結論として、契約終了後に個人情報やデータをどうするかを確認します。

返還、削除、消去、破棄、バックアップからの削除、削除証明書、再委託先への削除指示を確認します。法令・監査・紛争対応・社内規程上、一定期間の保存が必要な場合もあるため、例外も確認します。データ移行や引継ぎが必要な場合は、形式・期限・費用も確認します。終了後に受託者がデータを保持し続ける場合は、その理由と範囲を明確にします。

表15契約終了後のデータ処理で確認すること
確認項目確認する理由注意点
返還返すか否か返還の方法
削除削除するか削除の範囲
消去完全消去消去の方法
破棄物理的破棄媒体の破棄
バックアップバックアップの扱い削除の現実性
削除証明書削除の証明提出の要否
再委託先への削除指示外注先の削除指示の徹底
データ移行移行の要否形式・期限
引継ぎ引継ぎの方法費用負担
保存義務の例外法令上の保存例外の明記
保存期間保存の期間期間の妥当性
費用負担誰が負担するか負担範囲

確認事項13:本人対応・開示請求・問い合わせ

結論として、本人から問い合わせ、開示請求、訂正、利用停止、削除等の請求がある場合、誰が対応するかを確認します。

委託先が本人から直接問い合わせを受けた場合の対応も整理します。本人対応は、契約書だけでなく、プライバシーポリシー、社内規程、カスタマーサポート運用とも関係します。契約上、受託者の協力義務、回答期限、費用負担を定めることがあります。

表16本人対応・問い合わせで確認すること
確認項目確認する理由注意点
問い合わせ窓口誰が対応するか窓口の明確化
開示請求開示の対応本人確認
訂正・削除訂正等の対応対応手順
利用停止停止の対応停止範囲
苦情対応苦情の窓口記録の管理
本人確認なりすまし防止確認方法
受託者の協力協力の範囲協力義務の明記
回答期限対応の期限期限の設定
費用負担対応費用負担範囲
プライバシーポリシーとの整合記載との一致食い違いに注意
委託先への直接問い合わせ直接連絡時の対応取次ルール
記録管理対応の記録記録の保存

確認事項14:発注者側・受託者側で見方はどう変わるか

結論として、個人情報・データ取扱条項は、自社が委託元・発注者側か、委託先・受託者側かで見方が変わります。

委託元側では、委託先監督、再委託、漏えい時対応、削除・返還、監査を重視します。委託先側では、取扱範囲、責任範囲、過度な監査、漏えい時の費用負担、損害賠償上限を重視します。どちらが正しいというより、データの性質・業務内容・リスクに応じたバランスが重要です。

表17発注者側・受託者側で見るポイントの違い
確認項目発注者・委託元側の視点受託者・委託先側の視点調整の方向性
取扱範囲必要範囲に限定過大な範囲を回避業務に必要な範囲
安全管理措置高い水準を求める運用可能な水準現実的な水準
再委託承諾制にしたい柔軟に外注したい承諾・通知の整理
監査監査権を確保過度な監査を回避方法・頻度の調整
漏えい時報告速やかな報告報告負担の限定合理的な期限
費用負担委託先負担にしたい負担を限定原因に応じた分担
損害賠償救済を確保範囲を限定上限例外との関係
削除・返還確実な削除対応可能な方法方法の明確化
海外保管把握・管理したい運用を確保所在の明示
本人対応委託先の協力を確保対応負担を限定役割分担
目的外利用確実に禁止禁止範囲を確認分析・学習に注意
契約終了後の義務義務の存続負担の範囲存続条項の確認

個人情報・データ取扱条項と他条項の関係

結論として、個人情報・データ取扱条項は、他の条項と密接に関係します。

秘密保持条項も重要ですが、それだけでは足りない場合があります。知的財産条項ではデータベースや分析結果・成果物の権利帰属が、損害賠償条項では漏えい時の賠償上限や例外が問題になります。再委託条項、契約終了時の返還・削除、監査条項、解除条項とも関係します。

表18個人情報・データ取扱条項と他条項の関係
関連条項関係するポイント確認すること
秘密保持情報管理第10話と連動
業務内容データの取扱範囲第8話と整合
再委託外注先の取扱い承諾・監督
知的財産データ・分析結果の権利第11話と連動
損害賠償漏えい時の責任第9話と連動
監査委託先の確認監査権の範囲
解除違反時の解除解除事由
契約終了後の処理終了後の削除・返還存続条項
表明保証適法取得の表明保証範囲
法令遵守個人情報保護法の遵守第17話と連動
管轄・準拠法海外移転時の適用法適用法の確認
社内規程社内ルールとの整合第18話と連動

個人情報・データ取扱条項の見落としを減らす関連ツール

委託、再委託、共同利用、第三者提供、海外保管、漏えい時対応は、契約書レビューで見落とすと影響が大きい部分です。レビューの初動で論点を洗い出し、過去の類似相談や法令更新を確認しながら進めることで、確認漏れを減らしやすくなります。

いずれも、最終的な判断は人が行うことが前提の補助ツールです。一次チェックの型づくり、論点のたたき台、過去相談の検索、法令更新の確認などに役立ちます。

契約書 論点アラートツール(無料)

契約書レビューの初動で、個人情報、委託、再委託、第三者提供、漏えい時対応などの重要論点を見落とさないための補助ツールです。人による確認を前提に、一次チェックの型を作りたい場合に向いています。

使ってみる

契約書AIレビュー プロンプト集

個人情報・データ取扱条項、再委託、安全管理措置、漏えい時対応などを整理し、レビューコメントや確認質問のたたき台を作るためのプロンプト集です。人による確認を前提に、レビューの型をそろえたい場合に向いています。

詳しく見る

LegalOS 法律相談

過去の法律相談や回答メモを検索し、類似案件の確認に使える補助ツールです。委託、共同利用、第三者提供、漏えい時対応など、過去に社内で判断した論点を探したい場合に向いています。

詳しく見る
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個人情報保護法や関連ガイドラインは、改正・更新されることがあります。LegalOS 法改正アラートは、法令・制度の更新情報を確認するための補助ツールです。人による確認を前提に、法令改正の見落としを減らしたい場合に役立ちます。

個人情報・データ取扱いの確認フロー

結論として、個人情報・データ取扱いは、個人情報を扱うかの確認から他条項・社内規程との関係まで順番に押さえると抜けにくくなります。

1

個人情報・個人データを扱うか確認

取扱いの有無を確認します。

2

データの種類・利用目的を確認

何をどの目的で扱うか確認します。

3

データフローを確認

データの流れを確認します。

4

委託・共同利用・第三者提供を整理

どの類型かを整理します。

5

再委託・海外保管・海外移転を確認

外注・越境の有無を確認します。

6

安全管理措置・セキュリティを確認

管理水準を確認します。

7

漏えい時対応を確認

事故時の手順を確認します。

8

契約終了後の返還・削除を確認

終了時の処理を確認します。

9

本人対応・問い合わせ対応を確認

本人対応の役割分担を確認します。

10

秘密保持・損害賠償・社内規程との関係を確認

他条項・社内ルールとの整合を確認します。

法務から依頼部門への確認質問例

結論として、個人情報・データ取扱いについて確認するときは、責めずに、判断材料を集めるために聞きます。質問は短く、具体的に、何を返してほしいかを明確にします。以下はそのまま使える文例です。

文例1:個人情報を扱うか確認したい場合

この取引で、相手方は個人情報(顧客・会員・従業員などの情報)に触れる可能性はありますか。
取扱いの有無が分かると、必要な条項を判断できます。

文例2:どの種類のデータを扱うか確認したい場合

扱うデータの種類(顧客情報・購買履歴・ログなど)を教えてください。要配慮情報やマイナンバーは含まれますか。
種類が分かると、確認すべきポイントを整理できます。

文例3:データフローを確認したい場合

データがどこから来て、どこに保存され、誰がアクセスするのか、簡単な流れを教えてください。
データの流れが分かると、委託・提供の整理や保存先の確認ができます。

文例4:委託・共同利用・第三者提供の整理が必要な場合

相手方には、自社の業務として処理してもらう想定でしょうか、それともデータを相手方の目的でも使う想定でしょうか。
想定が分かると、委託・共同利用・第三者提供のどれにあたるかを整理できます。

文例5:再委託・再々委託の有無を確認したい場合

相手方は、業務の一部を再委託(外注)する予定はありますか。クラウドや外部サービスの利用も含めて教えてください。
再委託の有無が分かると、承諾・監督の条項を整理できます。

文例6:海外クラウド・海外保管の有無を確認したい場合

データの保存先やサポート拠点が海外になる可能性はありますか。利用するクラウドのリージョンは分かりますか。
保存・アクセスの場所が分かると、越境移転の確認ができます。

文例7:安全管理措置やセキュリティ確認が必要な場合

相手方のセキュリティ対策について、確認できる資料(チェックシート等)はありますか。
内容が分かると、情報システム部門とも連携して安全管理措置を確認できます。

文例8:漏えい時対応の運用を確認したい場合

万一、相手方側で情報漏えいが起きた場合、どのくらいの早さで、誰に連絡が来る想定でしょうか。
運用が分かると、報告期限や連絡ルートを契約書に整理できます。

文例9:契約終了後の返還・削除方法を確認したい場合

契約終了時に、預けたデータの返還・削除は実務上どのように行う想定でしょうか。バックアップの削除も可能ですか。
対応方法が分かると、現実的な返還・削除条項を整理できます。

初心者向け:個人情報・データ取扱いチェックリスト

結論として、この記事の内容は、契約締結前・業務実施中・契約終了時の3段階に整理できます。法務だけでなく、営業・事業部門・情報システム部門・個人情報担当の方も使える内容です。

表19個人情報・データ取扱いチェックリスト
タイミングチェック項目確認
契約締結前個人情報の有無を確認したか
契約締結前データの種類を確認したか
契約締結前利用目的を確認したか
契約締結前データフローを確認したか
契約締結前委託・共同利用・第三者提供を整理したか
契約締結前再委託の有無を確認したか
契約締結前海外保管の有無を確認したか
契約締結前安全管理措置を確認したか
契約締結前セキュリティチェックを行ったか
業務実施中アクセス権限を管理しているか
業務実施中漏えい時対応の体制があるか
業務実施中本人対応の役割を確認したか
契約終了時データの返還を確認したか
契約終了時データの削除を確認したか
契約終了時削除証明を確認したか
契約終了時再委託先への削除指示を確認したか

個人情報・データ取扱条項でよくある失敗

結論として、個人情報・データ取扱条項には典型的な失敗パターンがあります。知っておくと、同じ失敗を避けやすくなります。

表20個人情報・データ取扱条項でよくある失敗と防止策
よくある失敗起きやすい理由防止策
秘密保持条項だけで足りると思い込む情報管理を一括で考えるから個人情報は別に確認
個人情報を扱うことに気づかない契約書に明記がないから実際の業務で確認
委託・共同利用・第三者提供の整理をしない区分を意識しないから類型を整理する
再委託・再々委託を見落とす外注先を把握しないから再委託の有無を確認
海外クラウドや海外保管を確認しない保存先を見ないから保存・アクセス先を確認
安全管理措置が抽象的すぎる定型文で済ますから案件に応じ具体化
漏えい時の報告期限・内容が決まっていない事故を想定しないから報告ルールを定める
契約終了後の返還・削除が曖昧終了時を詰めないから返還・削除を明記
本人対応の役割分担がない本人請求を想定しないから役割・協力を定める
損害賠償上限との関係を確認しない条項を単独で見るから上限例外を確認

まとめ|個人情報・データ取扱いは秘密保持とは別に確認する

個人情報やデータを扱う契約では、秘密保持条項だけでは足りない場合があります。

まず、どのデータを、誰が、何のために、どこで、誰に渡し、いつ削除するのかを確認します。

委託・共同利用・第三者提供は別の概念であり、整理によって確認ポイントが変わります。

再委託・海外保管・安全管理措置・漏えい時対応・契約終了後の返還削除は、特に見落としやすい点です。

個人情報・データ取扱条項は、秘密保持・知的財産・損害賠償・再委託・契約終了時処理・社内規程とセットで確認します。

判断が難しい場合は、個人情報担当・情報システム部門・セキュリティ担当・弁護士への確認も検討します。

次回は、表明保証条項とは何か、どこまで確認すべきかを整理します。データの適法取得などは、表明保証条項とも関係する論点です。

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