景品表示法の「表示」とはどこまで?Web広告・LP・SNS・営業資料の対象範囲
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はじめに:「これは広告ではないので景表法は関係ないですよね?」
「これは営業資料なので景品表示法は関係ないですよね?」「SNS投稿も対象ですか?」「LPだけ見ればよいですか、FAQや申込画面も確認すべきですか?」——。広告審査の現場では、こうした相談がよく寄せられます。
第2話では優良誤認表示(中身を良く見せすぎる表示)、第3話では有利誤認表示(価格・条件を有利に見せすぎる表示)を扱いました。これらの不当表示は、どの媒体に載っているかによって、実務上の見落としが起こりやすいという特徴があります。「広告バナーは確認したが、リンク先のLPや申込画面は見ていなかった」「公式SNSの投稿は誰もチェックしていなかった」——といったケースです。
そこで第4話では、そもそも景品表示法上の「表示」とはどこまでを指すのかを整理します。ポイントは、媒体の名前だけで対象範囲を決めるのではなく、表示の内容・目的・対象者・使われ方で見ることです。この視点を持つと、「どの資料を広告審査に回すべきか」を社内で判断しやすくなります。
- 景品表示法上の「表示」とは何か(2条4項の考え方)
- 広告という名称が付いていなくても、LP・申込画面・SNS・メール・店頭表示などが対象になり得ること
- ただし、景品表示法は一般消費者保護の法律であり、純粋なBtoBの相対交渉資料まで無限定に対象になるわけではないこと
- SNS・口コミではステマ規制との関係も問題になること
- アフィリエイト広告や外部制作物でも、広告主の関与・管理が問題になり得ること
- 「どの資料を広告審査に回すべきか」を判断する考え方
本記事は、企業法務・管理部門の実務理解を助けることを目的とした一般的な情報提供であり、個別の法律相談や行政判断に代わるものではありません。ある資料が「表示」に当たるかは、内容・目的・使われ方など個別事案ごとに判断が分かれることがあります。重要な判断にあたっては最新の法令・ガイドラインを確認し、必要に応じて専門家にご相談ください。
景品表示法上の「表示」とは何か
景品表示法上の「表示」は、テレビCMやバナー広告だけを指すのではありません。景品表示法第2条第4項は、「表示」を、おおむね次のように定義しています。
「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品・役務の内容・取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であって、内閣総理大臣が指定するもの
この定義は、大きく次の3つの要素に分けて考えると整理しやすくなります。
- 顧客を誘引するための手段であること
- 自己の供給する商品・サービスの内容・取引条件などについて行うものであること
- 広告その他の表示であって、内閣総理大臣が指定するものであること
3つ目の「内閣総理大臣が指定するもの」については、定義告示(昭和37年公正取引委員会告示第3号)が、容器・包装、見本・チラシ・パンフレット、ポスター・看板、新聞・雑誌・放送、インターネット(情報処理機器)による広告など、幅広い媒体を指定しています。そのため、媒体の種類だけで「表示に当たらない」と即断するのは適切ではありません。もっとも、ある媒体に載っているものがすべて「表示」になるわけでもなく、顧客誘引性・自己の供給する商品サービスか・取引に関する事項か・一般消費者に向けたものか、といった要素を見る必要があります。重要なのは、媒体そのものよりも、その表示が誰に向けて、何について、何のために行われているかという点です。
| 視点 | 内容 | 実務で見るポイント |
|---|---|---|
| 誰が行う表示か | 自己の供給する商品・サービスについて事業者が行う表示か | 自社が供給する商品・サービスに関する表示か。外部に作らせた場合も、自社が内容の決定に関与していないか |
| 何についての表示か | 商品・サービスの内容、価格、取引条件など取引に関する事項 | 品質・効果・実績(内容)や価格・特典・条件(取引条件)を伝えているか |
| 誰に向けた表示か | 一般消費者に知らせるものか | 一般消費者・見込み顧客が目にするものか(社内限りの資料か) |
| 何のための表示か | 顧客を誘引するための手段か | 購入・申込み・問い合わせなどの判断に影響する情報か |
「広告ではないから対象外」とは限らない
景品表示法は「広告その他の表示」という広い概念で対象を捉えています。つまり、「広告」という名称が付いていなくても、一般消費者に商品・サービスを選ばせる情報であれば、確認の対象になり得ます。
たとえば、LP内のFAQ、申込画面、料金表、比較表、商品説明ページ、キャンペーンページなどは、「広告」と呼ばれていなくても、購入判断に影響する情報を伝えているため、確認対象になり得ます。店頭POP、チラシ、パンフレット、パッケージ表示、メールマガジン、アプリ内画面、動画なども同様です。一方で、社内だけの検討資料や、消費者に見せない管理資料などは、通常は「一般消費者に知らせる表示」とは異なります。
図:媒体名ではなく、消費者にどう伝わるかを見る
| 媒体・資料 | 確認対象になり得る理由 | 見落としやすいポイント | 関連するリスク |
|---|---|---|---|
| LP内のFAQ・申込画面 | 購入条件・特典・解約条件などを伝えている | 広告本文だけ確認し、FAQ・申込画面を見ていない | 有利誤認(条件の不一致) |
| 料金表・比較表 | 価格・取引条件を一般消費者に示している | 注記や前提条件が小さい・離れている | 有利誤認(価格・条件) |
| 商品説明ページ・スペック表 | 品質・性能・実績を伝えている | 画像・グラフ・数値の裏づけ確認漏れ | 優良誤認(内容) |
| 店頭POP・チラシ・パッケージ | 店頭で購入判断に直接影響する | Web中心の審査で見落とされやすい | 優良誤認・有利誤認 |
| メールマガジン・アプリ内画面 | 会員・利用者に商品・条件を訴求する | 配信物・アプリ更新が審査フローに乗っていない | 優良誤認・有利誤認 |
| キャンペーンページ | 特典・期間・条件を伝えている | 景品規制の検討も漏れやすい | 有利誤認・景品規制 |
Web広告・LP・Webサイトで確認すべき範囲
Web施策では、バナー広告や検索広告「だけ」を見ても十分ではありません。クリックした先のLP、料金表、FAQ、比較表、申込画面、特典説明、キャンペーンページまでを、一連の導線として一体で確認することが大切です。広告本文では正しくても、LPや申込画面で条件が違っていれば、消費者は誤認しかねません。
図:Web広告・LP・申込画面を一体で確認する
LP上のグラフ、利用者の声、ランキング、料金比較、注記、ボタン付近の文言なども確認対象です。とくにスマホ表示では、注記や条件が画面の下の方やスクロール先に隠れ、見落とされやすくなります。実機のスマホで見え方を確認しておくと安心です。
| 確認箇所 | よくある表示 | 見るべきポイント | 関連記事 |
|---|---|---|---|
| 広告・バナー | 「効果実感」「今だけ半額」 | 入口の訴求とLPの内容が一致しているか | 第2話/第3話 |
| LP本文・グラフ・利用者の声 | 効果・実績・ランキング | 裏づけ資料があるか、体験談が誤認を与えないか | 第2話/第5話 |
| 料金表・FAQ・注記 | 価格・割引・条件 | 通常価格の実態、条件の明確さ、注記の整合 | 第3話/第6話 |
| 申込画面・ボタン付近 | 「無料」「いつでも解約」 | 最終的な条件・総額・解約条件が伝わるか | 第3話 |
SNS投稿・口コミ・インフルエンサー投稿
企業の公式SNS投稿も、商品・サービスの内容や取引条件を伝える場合には、景品表示法上の「表示」になり得ます。優良誤認・有利誤認の観点は、広告バナーやLPと同じように確認が必要です。
加えて、口コミやレビュー、インフルエンサー投稿では、ステルスマーケティング規制(ステマ規制)との関係も問題になります。ステマ規制は、景品表示法5条3号に基づく指定告示として令和5年(2023年)10月1日から施行されており、規制されるのは「事業者の表示」であって、一般消費者がそれを事業者の表示(広告)であると判別することが困難なものです。事業者が依頼・指示・対価提供などで投稿に関与している場合、広告であることが分かるように明示されていないと、問題になり得ます。
景品表示法の規制対象は事業者(広告主側)です。インフルエンサー個人の投稿であっても、事業者が表示内容に関与している場合には、広告主側で「広告であることの明示」や表示内容の管理を行うことが重要になります。ステマ規制やインフルエンサー施策の詳しい考え方は、第7話で扱います。
| 投稿類型 | 景品表示法上の確認ポイント | ステマ規制上の確認ポイント | 実務対応 |
|---|---|---|---|
| 企業公式SNS投稿 | 効果・価格・条件の表示が実態・根拠と合っているか | 自社投稿であることは明らかなので、通常はステマの問題は生じにくい | 広告審査と同じ観点で確認する |
| インフルエンサーへの依頼投稿(PR) | 投稿内容の効果・条件表示が裏づけと合っているか | 広告であることが明瞭に分かる表示になっているか | 「広告」「PR」等の明示と、表示内容の確認・管理 |
| 自社の従業員・関係者による投稿 | 自社製品を推奨する内容が誤認を与えていないか | 従業員投稿は直ちに事業者の表示になるわけではないが、地位・立場・権限・担当業務・表示目的等の実態によっては「事業者の表示」と判断され得る(例:販売・開発に関わる役員・管理職・担当者が認知向上のために投稿する場合) | 該当する場合は「広告」「PR」等を明示。社内のSNS投稿ガイドラインを整備し、関係性の明示ルールを共有する |
| 口コミ・レビュー投稿の依頼・誘導 | 誘導した内容が誤認を与えていないか | 事業者の関与が隠れて第三者の感想に見えていないか | 依頼・対価の有無と、関与の明示を確認する |
| 関与のない自発的な口コミ | 事業者の表示ではないため、通常は対象外 | 事業者の関与がなければ、通常はステマに当たらない | 関与の有無を記録で確認できるようにする |
営業資料・提案資料・ホワイトペーパーはどう考えるか
ここは、慎重に考えたい領域です。景品表示法は、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を守る法律です。そのため、純粋なBtoBの相対交渉資料(特定の取引先との個別交渉で用いる資料)まで、当然に景品表示法の対象になるわけではありません。「すべての営業資料が景表法の対象だ」と広げすぎるのは適切ではありません。
一方で、一般消費者向けの商品・サービスに関する説明資料、Web上で広く配布されるホワイトペーパー、来店者や見込み顧客(一般消費者)向けの提案資料、代理店が消費者に配布する営業資料などは、内容や使われ方によっては「表示」として確認対象になり得ます。逆に言えば、「営業資料だから景表法は関係ない」と即断するのも避けたいところです。その資料が、誰に向けて、どのように使われるかで切り分けるのが実務的です。
とくに気をつけたいのは、「BtoB(事業者向け)だから一律に景表法の対象外」と機械的に判断しないことです。特定の取引先との個別交渉で用いるカスタマイズ資料は、不特定多数に向けた「広告その他の表示」とは異なるため、通常は対象になりにくいといえます。一方で、Web上で不特定多数の相手にダウンロードさせる汎用的なサービス紹介資料・ホワイトペーパーのように、不特定多数に向けて広く配布・公開し、購入を誘引する資料は、内容・使われ方によって確認対象になり得ます。導入実績数や削減率などの数値訴求には、優良誤認のリスクが潜むことがあります。最終的な該当性は個別事案によって判断が分かれるため、迷う場合は配布先・公開範囲を確認するのが安全です。
また、BtoB資料であっても、景品表示法以外の観点でリーガルチェックが必要な場合があります。契約上の責任、民法上の説明義務、特定商取引法、各種業法、金融規制、薬機法、個人情報保護法、独占禁止法、下請法(取適法)などです。「景表法の対象でない=チェック不要」ではない点に注意が必要です。
| 資料の使われ方 | 景品表示法上の見方 | 注意すべき別の法令・実務リスク | 法務対応 |
|---|---|---|---|
| 特定の取引先との個別交渉に使うBtoB資料 | 一般消費者向けではないため、景表法の対象とは限らない | 契約責任、説明義務、独禁法・下請法、業法など | 景表法以外の観点で必要に応じ確認 |
| 一般消費者向け商品・サービスの説明・販促資料 | 内容・使われ方によって表示として確認対象になり得る | 優良誤認・有利誤認、業法など | 広告審査と同様に確認する |
| Webで広く配布するホワイトペーパー・資料DL | 一般消費者が入手する場合は確認対象になり得る | 優良誤認(効果・実績)、個人情報保護法など | 配布範囲・対象者を確認して判断 |
| 代理店・販売店が消費者に配布する資料 | 消費者向け表示として確認対象になり得る | 表示内容の管理、代理店管理体制 | 誰が内容を決めているか・配布先を確認 |
ポイントは、「営業資料」という名称ではなく、一般消費者・見込み顧客に向けて使われるかです。同じ資料でも、社内検討用なら通常は対象外、消費者向けの配布・公開用なら確認対象になり得る、というように使われ方で変わります。迷ったら、配布先・公開範囲を事業部に確認するのが近道です。
アフィリエイト広告・広告代理店制作物・外部委託コンテンツ
アフィリエイト広告、広告代理店の制作物、外部ライターの記事、比較サイト、ランキング記事などでは、事業者(広告主)が表示内容の決定・管理にどのように関与しているかが重要になります。「外部に任せているから自社は関係ない」とは限りません。
景品表示法上、不当表示をした事業者として規制対象になるのは、「表示内容の決定に関与した事業者」と整理されています(裁判例:東京高判平成20年5月23日)。消費者庁の留意事項でも、アフィリエイトプログラムを利用した広告について、広告主がその表示内容の決定に関与している場合(アフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合を含む)には、景品表示法上は広告主が行った表示とされる、という考え方が示されています。実際、アフィリエイト広告について広告主に対する措置命令も行われています。
ここで重要なのは、「外部に丸投げして中身を指示していないから自社は関係ない」という理屈は、必ずしも免責にはつながらないという点です。上記のとおり、アフィリエイターに表示内容の決定を委ねている場合も「関与」に含まれると整理されているためです。成果報酬だけを設定して表示内容をまったく確認しない、といった運用はリスクが高いといえます。
もっとも、これは無限定ではありません。広告主とアフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが一切行われていないなど、広告主による広告とは認められない実態のものについては、通常、広告主が表示内容の決定に関与したとはされないと整理されています。どこまでが「関与」に当たるかは、個別の取引実態に応じて判断されます。
実務上は、消費者庁の管理措置指針も踏まえ、ASPやアフィリエイター等との役割分担・責任の所在を契約で明確にする、やり取りの記録を残す、広告であることを明示する、根拠資料を確認する、といった管理を整えておくことが望まれます。アフィリエイト・インフルエンサー施策とステマ規制の関係は、第7話でも扱います。
| コンテンツ類型 | 広告主側が確認すべきこと | リスクが高くなりやすい状態 | 実務対応 |
|---|---|---|---|
| アフィリエイト広告 | 表示内容の決定・指示にどこまで関与しているか | 成果報酬だけ設定し、表示内容を一切確認していない | 役割分担・根拠確認・記録保存・広告である旨の明示 |
| 広告代理店の制作物 | 表現の根拠・最終内容を自社が確認・決定しているか | 代理店任せで根拠資料を見ていない | 表現と根拠を自社で確認してから公開する |
| 外部ライター記事・タイアップ | 記事の内容・訴求を自社が決定・確認しているか | 内容を確認せず公開している | 事実・根拠と広告である旨の表示を確認する |
| 比較サイト・ランキング記事 | 自社が内容の決定に関与しているか、対価の有無 | 自社関与を伏せて中立記事に見せている | 関与・対価の有無を確認し、必要なら広告明示 |
法務が広告審査に回すべき資料の判断フロー
「この資料は法務確認が必要か」を社内で判断するときは、次のような流れで考えると整理しやすくなります。媒体名で判断するのではなく、外部に出るか・誰が見るか・何を伝えているか、を順に確認します。
図:広告審査に回すべきかの判断フロー
いずれも「はい」に近いほど、確認対象として扱うのが安全です。判断に迷う場合は、対象外と即断せず、配布先や使われ方を事業部に確認するとよいでしょう。
| 判断項目 | 確認すること | 法務確認が必要になりやすい状態 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 外部に出るか | 社外・一般に公開・配布されるか | Web公開・配布・店頭掲示される | 社内限りの検討資料は通常対象外 |
| 誰が見るか | 一般消費者、または一般消費者向け販促の対象者が見るか | 消費者向けに使われる | 純粋なBtoB個別交渉資料は景表法の対象とは限らない |
| 何を伝えているか | 内容・価格・条件・実績・特典を伝えているか | 効果・価格・特典などを訴求している | 取引に関する事項かどうか |
| 判断に影響するか | 購入・申込みの決め手になり得るか | 誘引・申込み導線に組み込まれている | 顧客誘引の手段か |
| 誰が内容を決めたか | 外部制作でも自社が内容決定に関与したか | アフィリエイト・代理店制作物 | 関与の有無は個別実態で判断 |
なお、社内限りの検討資料であっても、その後に営業資料・代理店配布資料・Web公開資料として転用される場合には、転用する時点で表示内容の確認が必要になります。「作成時は社内用だったから」と確認を省くと、外部公開後に見落としが残りやすくなります。あわせて、すでに公開・配布している表示(古いPDFや過去のキャンペーンページなど、ネット上に残っているものを含む)を棚卸しし、現状を把握しておくと、表示の範囲の取りこぼしを防ぎやすくなります。
媒体別・景品表示法チェックポイント
媒体ごとに、企業法務が確認したい代表的なポイントを整理します。実際には、媒体単体ではなく導線全体で確認することが大切です。
| 媒体 | よくある表示 | 主なチェックポイント | 関連するリスク |
|---|---|---|---|
| Web広告 | 効果・割引の入口訴求 | 入口訴求とLPの内容が一致しているか | 優良誤認・有利誤認 |
| LP | 効果・実績・価格・体験談 | 裏づけ資料、体験談の使い方、全体印象 | 優良誤認・有利誤認 |
| 商品ページ | 品質・性能・スペック | 表示と現行仕様・根拠の一致 | 優良誤認 |
| 料金表 | 価格・割引・比較 | 通常価格の実態、総額・条件の明確さ | 有利誤認 |
| 申込画面 | 無料・解約・自動更新 | 最終的な条件・総額・解約条件(特商法も確認) | 有利誤認 |
| FAQ | 条件・例外の説明 | 本文・LPと条件が矛盾していないか | 有利誤認 |
| メールマガジン | キャンペーン・特典 | 表示の実態一致、配信物が審査に乗っているか | 優良誤認・有利誤認 |
| SNS投稿 | 効果・キャンペーン・PR | 表示の裏づけ、広告である旨の明示 | 優良誤認・有利誤認・ステマ規制 |
| 動画広告 | 効果実演・条件の音声/字幕 | 注記の表示時間、全体印象 | 優良誤認・有利誤認 |
| 店頭POP・チラシ | 価格・割引・限定 | 価格の実態、期間・数量限定の実態 | 有利誤認 |
| パンフレット | 効果・実績・特典 | 配布先(消費者向けか)、裏づけ | 優良誤認・有利誤認 |
| 営業資料・ホワイトペーパー | 導入効果・実績 | 消費者向けに使われるか、裏づけ(純粋なBtoB個別資料は別途判断) | 優良誤認(消費者向けの場合) |
| アフィリエイト広告 | 効果・体験・ランキング | 広告主の関与・管理、根拠、広告である旨の明示 | 優良誤認・有利誤認・ステマ規制 |
| 比較サイト・ランキング記事 | 順位・比較・おすすめ | 自社関与・対価の有無、中立を装っていないか | 優良誤認・有利誤認・ステマ規制 |
修正コメント・社内依頼文の書き方
「これは広告ではないので対象外ですよね?」という相談に対しては、即座に「対象です」「対象外です」と断定するのではなく、どの資料・画面まで確認したいかを具体的に伝えるのが実務的です。媒体単体ではなく導線全体で見たいこと、そのために必要な資料を出してほしいことを、建設的に依頼しましょう。
| 相談内容 | 確認したい理由 | 法務コメント例 | 依頼する資料 |
|---|---|---|---|
| 「営業資料なので景表法は関係ないですよね?」 | 使われ方によって確認対象になり得るため | 「その資料は、一般消費者・見込み顧客にも配布・公開されますか。社内検討用か、消費者向けかで確認の要否が変わるので、想定している使い方を教えてください」 | 配布先・公開範囲、資料現物 |
| 「SNS投稿なので軽く見ればよいですか?」 | 公式投稿も表示になり得て、PRはステマも関係するため | 「公式アカウントの投稿か、インフルエンサーへの依頼投稿かを教えてください。効果や条件の訴求があれば、広告と同じ観点で確認したいです」 | 投稿案、依頼・対価の有無 |
| 「LPだけ見ればよいですか?」 | 広告・FAQ・申込画面で条件が食い違うことがあるため | 「入口の広告から申込画面までの導線をまとめて確認したいです。LPに加えて、料金表・FAQ・申込画面(スマホ表示)も共有いただけますか」 | 導線一式、スマホ表示 |
| 「アフィリエイト記事は外部が作っているので対象外ですか?」 | 表示内容の決定に関与していれば広告主の表示になり得るため | 「表示内容について、どこまで指示・確認をしているかを教えてください。関与の度合いによっては、自社の表示として確認が必要になります」 | ASP・記事内容、やり取りの記録 |
| 「FAQや申込画面も確認が必要ですか?」 | 購入条件を伝える重要な画面のため | 「はい、購入判断に直結する画面なので確認したいです。実際の表示(スマホ含む)を共有いただけますか」 | FAQ・申込画面の実画面 |
上記のコメント例は、建設的な依頼の仕方のサンプルです。ある資料が「表示」に当たるか、確認が必要かは、内容・使われ方など個別事案によって判断が分かれます。迷う場合は対象外と即断せず、使われ方を確認したうえで、必要に応じて専門家にも相談するのが安全です。
景品表示法シリーズ 全10話の読み方
本シリーズは、景品表示法を「表示規制」「景品規制」「違反対応」「実務チェック」の順に体系立てて学べる構成です。第4話の「表示の対象範囲」は、第2話・第3話の不当表示をどの媒体で確認するか、第7話のステマ規制、第10話の広告審査チェックリストと特につながりが深い内容です。
| 話数 | タイトル | 扱うテーマ | とくに読んでほしい人 |
|---|---|---|---|
| 第1話 | 景品表示法とは?企業法務が押さえる広告表示・景品規制の基本 | 全体像・2本柱の理解 | これから景品表示法を学ぶすべての人 |
| 第2話 | 優良誤認表示とは?効果・性能・品質を良く見せすぎる広告の注意点 | 優良誤認表示 | 効果・性能・品質・実績を訴求する人 |
| 第3話 | 有利誤認表示とは?価格・割引・無料表示で誤認を招くケースを解説 | 有利誤認表示 | 価格・割引・無料・返金の表示を扱う人 |
| 第4話 | 景品表示法の「表示」とはどこまで?Web広告・LP・SNS・営業資料の対象範囲 | 「表示」の対象範囲(本記事) | どの資料を広告審査に回すか迷う人 |
| 第5話 | No.1表示・満足度表示の景品表示法リスク|調査根拠と注記のチェックポイント | No.1・満足度表示 | ランキング・満足度を訴求する人 |
| 第6話 | 二重価格表示・期間限定割引の注意点|通常価格・セール価格をどう見せるか | 二重価格・割引表示 | セールやキャンペーン価格を設計する人 |
| 第7話 | ステマ規制とは?口コミ・PR投稿・インフルエンサー広告の基本 | ステルスマーケティング規制 | SNS・インフルエンサー・アフィリエイトを扱う人 |
| 第8話 | 景品規制の基本|総付景品・一般懸賞・共同懸賞の違いをわかりやすく解説 | 景品規制 | プレゼント・懸賞・キャンペーンを企画する人 |
| 第9話 | 景品表示法違反が疑われたときの初動対応|広告修正・社内調査・再発防止 | 違反対応・初動 | 万一のときの対応を準備したい法務担当者 |
| 第10話 | 広告審査の景品表示法チェックリスト|企業法務が見るべき実務ポイント | 広告審査チェックリスト | 日々の広告審査を効率化したい人 |
よくある質問(FAQ)
Q. 景品表示法の「表示」とは何ですか?
景品表示法2条4項では、「表示」を、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品・サービスの内容・取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であって、内閣総理大臣が指定するものと定義しています。定義告示では、容器・包装、チラシ、看板、新聞・雑誌・放送、インターネットなど幅広い媒体が指定されているため、媒体の種類だけで判断するのではなく、誰に向けて・何について・何のために伝えているかで判断するのが実務的です。
Q. 営業資料や提案資料も景品表示法の対象になりますか?
一概には言えません。景品表示法は一般消費者の選択を守る法律なので、純粋なBtoBの相対交渉資料まで当然に対象になるわけではありません。一方で、一般消費者向けの商品・サービスの説明・販促資料、Webで広く配布されるホワイトペーパー、代理店が消費者に配布する資料などは、内容や使われ方によって確認対象になり得ます。「営業資料だから対象外」と即断せず、配布先・使われ方で切り分けることが大切です。なお、景表法の対象でなくても、契約責任や業法など別の観点での確認が必要な場合があります。
Q. SNS投稿や口コミも景品表示法の対象になりますか?
企業の公式SNS投稿で商品・サービスの内容や条件を伝える場合は、表示として確認の対象になり得ます。また、口コミやインフルエンサー投稿でも、事業者が依頼・対価提供などで関与しているのに広告であることが分からない場合は、令和5年10月施行のステマ規制との関係で問題になり得ます。景品表示法の規制対象は事業者(広告主側)であり、事業者が表示内容に関与している場合は、広告である旨の明示や内容の管理が重要になります(詳しくは第7話)。
まとめ
第4話では、景品表示法上の「表示」がどこまでを指すのかを整理しました。要点は次のとおりです。
- 景品表示法の「表示」は、テレビCMや広告バナーだけに限られない
- LP・SNS・メール・申込画面・料金表・パンフレット・店頭表示なども、内容や使われ方によって確認対象になり得る
- 媒体名ではなく、「誰に向けて」「何の商品・サービスについて」「どのような判断に影響する情報を伝えているか」で見ることが重要
- 営業資料・提案資料は、一般消費者向けに使われるか、販促・外部配布資料として使われるかを慎重に見る(純粋なBtoB個別資料まで当然に対象になるわけではない)
- 外部委託・アフィリエイト・インフルエンサー施策でも、事業者の関与や管理が問題になり得る
「これは広告ではないから関係ない」と決めつけず、導線全体と使われ方で確認対象を見極めること。これが、表示規制の見落としを防ぐ第一歩です。次回の第5話では、相談の多い「No.1表示・満足度表示」について、調査根拠と注記のチェックポイントを解説します。
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参考資料
本記事の作成にあたり、以下の公的資料を参照しました(2026年6月3日最終確認。最新の情報は各リンク先をご確認ください)。
- 消費者庁「景品表示法」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling - 消費者庁「表示規制の概要」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/representation_regulation - 消費者庁「表示に関するQ&A」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/representation - 消費者庁「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/assets/representation_cms216_220629_07.pdf - 消費者庁「事例でわかる景品表示法」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_160801_0001.pdf - 消費者庁「告示」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/public_notice - 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing - 消費者庁「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の指定及び運用基準の公表について」
https://www.caa.go.jp/notice/entry/032672/ - 消費者庁「措置命令・課徴金納付命令等の公表事例」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/case
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事案に対する法的助言ではありません。ある表示物が景品表示法上の「表示」に当たるか、どの主体が責任を負うかは、内容・使われ方・関与の度合いなど個別の事実関係によって判断が分かれることがあります。実際のご対応にあたっては、最新の法令・ガイドライン・公表事例を確認のうえ、必要に応じて弁護士等の専門家にご相談ください。
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