経営陣に不正疑惑があるときどう調査する?調査の独立性と第三者委員会
経営陣に不正疑惑があるときどう調査する?調査の独立性と第三者委員会
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社長の名前がメールに出てきた朝
第7話まで進めてきた購買部のキックバック疑惑。調査チームがメールを確認していくと、想定していなかった記載が出てきます。
購買部長から担当役員へ。
担当役員から購買部長へ。
さらに、社長自身から取引先社長へ送られたメールも見つかりました。
翌朝、社長から法務部長に指示が入ります。
ここで法務部長は動けなくなります。社長の指示に従ってよいのか。取締役会へ報告すべきか。監査役へ報告すべきか。社外取締役に知らせるべきか。顧問弁護士に任せれば「独立した調査」になるのか。第三者委員会を設置すべきなのか。
この局面で判断の軸になるのは、次の一点です。
調査対象になり得る経営陣に、調査の開始・範囲・人選・報告内容を実質的に支配させない。
第5話では「調査を始めるか、どこまで調べるか」、第6話では「証拠をどう保全するか」、第7話では「誰が調査するか、利益相反をどう避けるか」を扱いました。第8話のテーマは、その通常の社内調査体制を、どの時点で、何をもって切り替えるかです。
【シリーズナビゲーション】企業不祥事の初動対応|全15話
第1部|外部から不正情報が入ったとき
第2部|不正疑惑を調査するとき
- 05不正疑惑はどこまで調査する?社内調査を始める判断基準
- 06企業不祥事の証拠保全|メール・チャット・PCをいつ確保する?
- 07社内調査は誰が行う?法務・監査・人事・外部弁護士の役割分担
- 08経営陣に不正疑惑があるときどう調査する?調査の独立性と第三者委員会この記事
- 09会社の不正が判明したら行政に報告すべき?報告義務と自主申告の判断
第3部|疑惑が外部化したとき
第4部|初動対応の総仕上げ
経営陣が疑われたら、まず何を変える?
最初に検討すべきなのは、委員会をつくるかどうかではなく、調査に関する意思決定がどこで行われているかです。
通常の社内調査は、担当部署が調べ、担当役員や社長に報告し、社長が方針を決める構造で動きます。疑惑の対象が現場の従業員である限り、これは合理的です。しかし疑惑が社長や取締役に及んだ瞬間、同じ構造は「調査される人が調査を指揮する」形に変わります。切り替えるのは次の3つです。
この3つが動いていなければ、外部弁護士を何人入れても、委員会にどう名前を付けても、独立性は確保されていません。
経営陣に不正疑惑が及んだときに問題になるのは、「社内か外部か」ではなく、調査対象から実質的に独立した意思決定・調査・報告のルートを作れるかである。
したがって「経営陣関与=即第三者委員会」という一律の流れにはなりません。判断材料は、①疑惑対象者、②経営陣の関与の程度、③通常の内部統制・調査ラインへの信頼性、④事案の重大性、⑤社会的・市場的影響、⑥必要な専門性、⑦社内で確保できる独立性の7点です。
第三者委員会とは?名称ではなく実質で考える
日本では、社内調査委員会、特別調査委員会、外部調査委員会、独立調査委員会、第三者委員会など、さまざまな名称が使われます。ここで前提を1つ。
「第三者委員会」と名付けても、自動的に日本弁護士連合会(日弁連)の「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した委員会になるわけではありません。逆に「特別調査委員会だから第三者委員会ではない」「外部弁護士3人なら必ず第三者委員会」という分類もできません。
実務では、次のように実質で捉えるのが有用です(法律上の正式分類ではありません)。
| 呼称の例 | 構成の典型 | 独立性の考え方 |
|---|---|---|
| 社内調査委員会 | 社内役職員が中心。必要に応じ弁護士等が参加 | 業務執行ラインの中にあり、疑惑対象者との距離が課題になりやすい |
| 特別調査委員会・外部調査委員会等 | 社外役員・外部弁護士・会計士等を含むが、構成・権限・会社との関係は事案ごと | 名称からは独立性の程度が判断できず、委嘱内容と権限設計の個別確認が必要 |
| 独立性を重視した調査委員会 | 外部専門家中心、または社外役員と外部専門家の組合せ | 調査の範囲・方法・結論について経営陣から実質的に独立した体制 |
| 日弁連ガイドライン型の第三者委員会 | 企業等から独立した委員のみで構成 | 同ガイドラインが想定する独立性・中立性等を備えた委員会 |
日弁連ガイドラインは、対象とする第三者委員会を「企業等から独立した委員のみをもって構成され、徹底した調査を実施した上で、専門家としての知見と経験に基づいて原因を分析し、必要に応じて具体的な再発防止策等を提言するタイプの委員会」と定義しています。この定義から外れる委員会を設置してはいけないという意味ではなく、自社がどの類型を選んだのかを自覚し、外部にもそのとおり説明できる状態にしておくことが重要だということです。
経営陣関与案件で必要な「実質的独立性」
「独立性」は抽象的です。実務では誰が何を決められるかに分解します。
| 確認項目 | 形式的独立性にとどまる状態 | 実質的独立性がある状態 |
|---|---|---|
| 調査開始の決定 | 疑惑対象の社長が「やる/やらない」を決める | 疑惑対象者の外にある機関が決定に関与する |
| 委員・調査担当者の選定 | 社長が弁護士事務所を指名する | 疑惑対象者以外が候補を選び、利害関係を確認して決める |
| 調査スコープの決定 | 「購買部長まで」と社長が範囲を限定する | 委嘱事項を文書化し、拡張の判断権を疑惑対象者に握らせない |
| 証拠へのアクセス | 疑惑対象者が保全対象データにアクセスできる | 調査側がアクセスを管理し、必要な範囲で制限する |
| ヒアリング対象 | 社長が「この人には聞くな」と言える | 調査側が必要性に基づいて決める |
| 予算・調査期間 | 疑惑対象者が予算と期限を切る | 独立した機関が必要な資源を承認する |
| 報告書の内容 | 経営陣が結論部分を修正できる | 起案権が調査側にあり、結論を改変できない |
| 調査の終了時期 | 社長が「もう十分」と打ち切れる | 調査側の判断と独立した機関の了承で終了する |
「社長は委員ではないが、社長が調査範囲を決め、弁護士を選び、報告書を事前修正できる」という設計は、形式上は社長が外れていても独立性に重大な問題があります。委員名簿だけを見て安心しないことです。
現行の公益通報指針が求める幹部からの独立性
経営陣が関係する事案での独立性確保は、「望ましい実務」にとどまりません。内部公益通報については、現行の法定指針(令和3年内閣府告示第118号)が明確に求めています。
指針第4の1(2)(組織の長その他幹部からの独立性の確保に関する措置)は、内部公益通報受付窓口において受け付ける内部公益通報に係る公益通報対応業務に関して、組織の長その他幹部に関係する事案については、これらの者からの独立性を確保する措置をとることとしています。あわせて同(4)は、事案に関係する者を公益通報対応業務に関与させない措置も求めています。消費者庁の指針の解説やQ&Aでは、その方法として、社外取締役や監査機関(監査役、監査等委員会、監査委員会等)にも報告を行うこと、これらからモニタリングを受けながら公益通報対応業務を行うこと、内部公益通報受付窓口を事業者外部(外部委託先、親会社等)に設置することが挙げられています。
ただしこの要求は、内部公益通報受付窓口で受け付ける内部公益通報に係る公益通報対応業務についてのものです。窓口を経由しない一般の不正情報に同じ措置が法的に義務づけられているわけではありません。経営陣関与案件では、実務上、同じ発想で体制を組むのが自然だという位置付けになります。
また、2026年12月1日施行の改正公益通報者保護法(令和7年法律第62号)と改正後の法定指針では、独立性確保措置等の対象範囲が見直されます。基準日である2026年9月5日時点では施行前であり、現行制度と将来の制度は分けて確認してください(詳細は第3話)。
第三者委員会を検討する6つの判断軸
どれか1つで自動的に決まるものではありません。
① 経営陣の関与の程度
代表取締役か、複数の取締役か、CFOか、担当役員か、重要な執行役員か。経営トップに近いほど、通常の指揮命令系統で調査を完結させることが難しくなります。
② 内部統制そのものへの疑義
単独の社員の逸脱か、それとも長期間の組織的運用、複数部署の関与、承認ルートの形骸化、監査部門の見落とし、内部通報の握り潰しといった構造的問題か。後者なら、その内部統制を前提にした調査自体の信頼性が問われます。
③ 社会的・市場的影響
上場会社か、多数の顧客に関わるか、人命・安全に関わるか、重大な会計問題か、市場や大型案件への影響があるか。
④ 社内調査への信頼性
社内だけで調査した場合に「経営陣による自己調査」と受け止められる可能性がどの程度あるか。
⑤ 必要な専門性
会計、独占禁止法、海外法、ITフォレンジック、品質、安全など、どの専門性が事実解明に不可欠か。
⑥ 外部説明の必要性
株主、投資家、取引所、監査法人、金融機関、行政、顧客、従業員に結果を説明する必要がどの程度あるか。
この6軸を組み合わせれば、「経営陣が関与したら即第三者委員会」という機械的結論を避けられます。
通常調査・独立性強化・第三者委員会の3段階
以下はLegalGPT独自の実務整理であり、法定の分類ではありません。
例:部長クラスの問題で、担当役員の関与が確認されていない場合。法務、内部監査、必要な部署に、必要に応じ外部弁護士を加えます。第7話で扱った利益相反の確認が前提です。
例:担当取締役の関与可能性が出てきた場合。社外取締役、監査役等、外部弁護士に社内メンバーを組み合わせ、通常の業務執行ラインから調査のコントロールを切り離すことが要点です。委員会形式をとらず、監査機関主導の調査として設計することもあります。
例:代表取締役や複数の経営陣の関与、重大な会計不正、内部統制や経営陣への信頼そのものが問題になっている場合。ここでも見るのは名称ではなく、委嘱事項・権限・報告先の実質です。
段階は一方通行ではありません。LEVEL 1で始めた調査で経営陣の関与が判明した場合に、LEVEL 2・3へ移行できる仕組みを用意しておくことが有効です。
第三者委員会を設置する判断マトリクス
以下は目安であり、法定の自動判定基準ではありません。実際には6つの判断軸を総合します。
| 経営陣関与 | 内部統制への疑義 | 社会的影響 | 社内で独立性確保 | 体制の目安 |
|---|---|---|---|---|
| なし | 低 | 低 | 可能 | 通常の社内調査 |
| 担当役員の可能性 | 中 | 中 | 可能 | 社外役員等を加えて独立性を強化 |
| 取締役が複数 | 高 | 高 | 困難 | 独立調査委員会を強く検討 |
| CEO等 | 高 | 高 | 困難 | 第三者委員会が有力な選択肢 |
| 経営陣+会計不正 | 高 | 極めて高い | 困難 | 独立性・専門性の高い外部調査 |
JPXは第三者委員会をどう位置付けている?
上場会社であれば、日本取引所自主規制法人「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」(2016年2月24日策定)を確認します。
同プリンシプル②は、内部統制の有効性や経営陣の信頼性に相当の疑義が生じている場合、企業価値の毀損度合いが大きい場合、複雑な事案あるいは社会的影響が重大な事案である場合などには、調査の客観性・中立性・専門性を確保するため、第三者委員会の設置が有力な選択肢となるとし、設置する際には委員の選定プロセスを含め独立性・中立性・専門性の確保に十分な配慮を行うことを求めています。
そして最も重視すべきは次の一文です。
第三者委員会という形式をもって、安易で不十分な調査に、客観性・中立性の装いを持たせるような事態を招かないよう留意する。
パブリックコメント回答では、「第三者委員会」の名を冠しながら実態として独立性・中立性・専門性が確保されていない事態や、不十分な調査であっても「第三者委員会が調査した」ことのみを大義名分として十分な対応を行わない事態を招かないよう求める趣旨だと説明されています。
- 上場会社向けの原則です。
- 法令や取引所規則とは異なり、上場会社を一律に拘束するものではありません。同法人自身が、充足度が低い場合でも規則上の根拠なしに措置等が行われることはないと明記しています。
- 設置を義務づけるものでもありません。パブリックコメント回答では、調査方法は第三者委員会に限られず社内調査も含み、個々の不祥事の内容等に照らして適切に選択する必要があるとされ、設置しない場合に理由の開示を一律に求めるものでもないとされています。
なお同プリンシプル①は、最適な調査体制の構築と適切な調査環境の整備に努めること、その際に独立役員を含め適格な者が率先して自浄作用の発揮に努めることにも言及しています。社外役員の役割は、委員になることだけではありません。
JPXのいう「第三者委員会」は日弁連型だけではない
パブリックコメント回答では、プリンシプル②の第三者委員会が日弁連ガイドライン準拠の委員会に限定されるのかという質問に対し、同ガイドラインは有益な指針として広く活用されているとしたうえで、いずれにせよ個別事案の実態を踏まえて独立性・中立性・専門性が実質的に確保されていることが重要であると回答されています。
したがって「日弁連ガイドラインに準拠しなければJPXのいう第三者委員会ではない」とは言えません。他方で、同ガイドラインが設計の実務指針として広く用いられていることも事実です。
日弁連「第三者委員会ガイドライン」とは?
日本弁護士連合会「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」(2010年7月15日、改訂2010年12月17日)は、第三者委員会の設計で最も参照される文書です。ただし位置付けを正確に押さえてください。法令ではなく、政府のガイドラインでもありません。 日弁連は、ガイドライン本文の「本ガイドラインの性質」および「『企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン』の策定にあたって」において、本ガイドラインは第三者委員会があまねく遵守すべき規範を定めたものではなく現時点におけるベスト・プラクティスを取りまとめたものであり、日弁連の会員を拘束するものではないと説明しています。企業を法的に一律拘束するものでもありません。
つまり専門職団体による実務ガイドラインですが、独立性の中身を具体的に言語化している点に価値があります。
① 委員の独立性・利害関係
企業等と利害関係を有する者は委員に就任することができない、とされています。脚注では、顧問弁護士は「利害関係を有する者」に該当する一方、企業等の業務を受任したことがある弁護士や社外役員は直ちに該当するものではなくケース・バイ・ケースで判断されることになろう、とされています。あわせて、調査報告書に委員と企業等との関係性を記載してステークホルダーの評価の対象とすべきであろう、とも述べられています。「社外取締役なら必ず利害関係者」といった拡張は、ガイドラインの表現を超えています。
② 調査報告書の起案権
起案権は第三者委員会に専属するとされています。経営陣が「この表現を削ってほしい」「役員責任の部分を弱くしてほしい」と結論を編集できる構造は、この考え方と相容れません。
③ 経営陣に不利な事実も記載する
判明した事実とその評価を、企業等の現在の経営陣に不利となる場合であっても調査報告書に記載する、とされています。
④ 調査報告書の事前非開示
調査報告書の提出前に、その全部又は一部を企業等に開示しない、とされています。ガイドライン型を名乗るなら、「提出前に会社が内容を確認して調整する」運用は想定されていません。
⑤ 事実認定と報告書の開示
事実認定の権限は第三者委員会のみに属するとされています。開示については、企業等が報告書を原則として遅滞なくステークホルダーに開示すること、開示しない場合にはその理由を開示すること、非公表とする理由は公的機関による捜査・調査に支障を与える可能性、関係者のプライバシー、営業秘密の保護等、具体的なものでなければならないことを、受任に際して定めるものとされています。原文とは別に開示版を作成することもでき、非開示部分は企業等の意見を聴取して第三者委員会が決定するとされています。
⑥ 企業等の協力
受任に際して、企業等が所有するあらゆる資料・情報・社員へのアクセスの保障、従業員等に対して調査への優先的な協力を業務として命令すること、第三者委員会に直属する事務局の設置(事務局担当者と企業等の間に厳格な情報隔壁を設けること)を求めるものとされています。十分な協力が得られない場合や調査妨害があった場合には、その状況を調査報告書に記載することができるともされています。
誰を第三者委員にする?
委員選定では、利害関係と専門性を同時に見ます。
利害関係については、ガイドライン準拠を名乗るなら、現在の顧問関係、対象取引への助言歴、疑惑対象の経営者との関係などを具体的に確認し、記録します。「○年以上前なら問題ない」といった独自の数値基準を作るのではなく、その関係が調査の独立性への疑念を生むかという観点で個別に判断します。
専門性については、同ガイドラインも、委員となる弁護士は当該事案に関連する法令の素養があり、内部統制・コンプライアンス・ガバナンス等の企業組織論に精通した者でなければならないとし、事案の性質により学識経験者、ジャーナリスト、公認会計士などの有識者が加わることが望ましい場合も多いとしています。委員数は3名以上を原則とするとされています。
JPXのパブリックコメント回答でも、社外役員を主体とする合議体による委員選定も効果的な方法の一つとして考えられるとされています。誰が委員を選ぶかというプロセス自体が独立性の評価対象です。
顧問弁護士は第三者委員になれる?
第7話では顧問弁護士の関与自体を一律に否定しませんでした。ここで問うのは、経営陣から独立した調査者として適切かという一点です。
- 日弁連ガイドライン準拠の第三者委員会を名乗る場合、同ガイドラインは顧問弁護士を「利害関係を有する者」に該当するとしており、委員には就任できないという整理になります。
- 一方、同ガイドラインは法令ではないため、顧問弁護士が調査に関与すること自体が法律上一律に禁止されているわけではありません。社内調査委員会や、ガイドライン準拠を名乗らない体制で、会社側のアドバイザーとして関与する設計はあり得ます。
- ただし、疑惑の対象取引に助言していた、対象経営者と近い関係にあるといった事情があれば、独立性の実質にも外部からの見え方にも問題が生じます。
「顧問弁護士だから必ず不可」でも「外部弁護士だから当然に独立」でもなく、どの類型を名乗るのかと具体的な関係性の2段階で判断します。
弁護士だけで委員会を作ればよい?
独立性は人数や資格だけでは決まりません。
外部弁護士3名で構成しても、全員が長年の顧問事務所の所属で、調査範囲は社長が決め、報告書を経営陣が事前修正できる設計であれば、「外部弁護士だけで構成したから独立した第三者委員会だ」とは言い切れません。逆に、社外取締役等を含む委員会でも、権限設計次第で実質的な独立性を確保できる場合があります。
事案によっては、会計、不正検査、技術、IT・フォレンジック、品質・安全など、弁護士以外の専門性が不可欠です。会計不正であれば、会計・監査の専門性が事実解明の中核になります。
ただし専門家を必ず委員にしなければならないわけではありません。日弁連ガイドラインも、第三者委員会が調査担当弁護士や公認会計士・税理士・デジタル調査の専門家等を選任でき、これらの者が委員会に直属して調査活動を行う設計を示しています。委員会の構成と委員会を補助する調査体制を分けて設計する発想が有効です。
第三者委員会にはどんな調査権限がある?
ここは誤解が最も危険な論点です。
通常の民間企業が設置する第三者委員会には、捜索、差押え、強制的な事情聴取、第三者への法的な提出命令といった公権力はありません。日弁連ガイドラインも、第三者委員会の調査は法的な強制力をもたない任意調査であるため、企業等の全面的な協力が不可欠であると明記しています。
実効的な調査を可能にするのは会社側が用意する条件です。必要な資料・データへのアクセス、役職員の協力、メール・PC等の証拠保全(第6話)、十分な予算と期間、外部専門家の起用、ヒアリングの機会。JPXのパブリックコメント回答でも、「調査環境の整備」の例として、役員・社員等に資料提出やヒアリング等に適切に応じるよう求めることや、調査に関する情報提供窓口の設置、通報者の保護等が挙げられています。
従業員等の調査協力についても、就業規則の定め、職務内容、事案との関連性等によって評価が必要です。「第三者委員会から呼ばれたら法的に必ず答えなければならない」と説明するのは正確ではありません。
調査スコープは誰が決める?
第三者委員会を設置しても、会社が「調べてよいのは○○取引だけ。役員の関与や過去年度には広げないこと」と固定すれば、独立した調査の意味は大きく減ります。
他方、委員会が会社のあらゆる問題を無制限に調べる設計も現実的ではありません。日弁連ガイドラインも、第三者委員会が企業等と協議のうえ調査対象とする事実の範囲を決定し、調査スコープは委員会設置の目的を達成するために必要十分なものでなければならないとしています。脚注では、委員会がその判断により必要に応じてスコープの拡大・変更等を行うことができ、その場合には調査報告書で経緯を説明すべきである、としています。
実務では、設置時に次を決めておきます。
- 初期の委嘱事項(調査対象事実・対象者・対象期間)の文書化
- 重要な関連事実が判明した場合のスコープ拡張の手続
- 拡張に伴う追加予算・期間延長の判断者
- 拡張の最終決定権を誰が持つか
最も避けるべきは、調査対象になり得る経営陣がスコープ拡張を拒否できる設計です。
会社は調査報告書を事前チェックできる?
次の4つは性質が異なります。混ぜて議論しないことが重要です。
| 類型 | 内容 |
|---|---|
| A | 氏名・住所等の個人情報や営業秘密に関する事実の確認 |
| B | 明白な事実誤認について、資料を示して指摘する |
| C | 法的評価・責任評価を、会社側の希望で弱める |
| D | 役員に不利な記載を削除する |
まず、C・Dのように会社が結論をコントロールする事前レビューは独立性を害します。 日弁連ガイドライン型では、起案権が委員会に専属し、経営陣に不利となる場合でも判明した事実と評価を記載するとされているためです。
注意が必要なのは、A・Bであれば報告書ドラフトを会社に見せてよい、とはならない点です。同ガイドライン型では、調査報告書の提出前にその全部又は一部を企業等に開示しないとされています。つまりA・Bのような事実確認が必要な場合でも、「会社にドラフトを渡して赤入れしてもらう」という方法を原則にはしません。 必要な確認は、調査の過程で関係者への確認や資料照合として行うのが筋です。
報告書の提出後、公表版を作成する段階での個人情報・営業秘密等の非開示範囲については、第三者委員会が原文とは別に開示版を作成でき、非開示部分は企業等の意見を聴取したうえで第三者委員会が決定するとされています。会社の意見を聞く場面はここであり、しかも最終的な決定権は委員会側にあります。
なお、ガイドラインに準拠しない社内調査委員会に同じルールが法律上当然に適用されるわけではありません。ただし、経営陣が結論を書き換えられる体制で作った報告書が、外部への説明の場面で価値を失いやすいという実務上のリスクは共通します。
第三者委員会報告書は全文公開する?
「必ず全文公開しなければならない」という法律上の義務はありません。
日弁連ガイドライン型では、原則として遅滞なくステークホルダーへ開示するとされる一方、全部または一部を開示しない場合には企業等がその理由を開示すること、非公表の理由は公的機関による捜査・調査への支障、関係者のプライバシー、営業秘密の保護等、具体的なものでなければならないとされています。
実務では、全文版、公表版、要約版、一部マスキング版といった使い分けがあり得ます。ただし「都合の悪い箇所だから非公表」という処理は説明が成り立ちません。非公表とした部分について具体的な理由を説明できる状態にしておくことが要点です。
またJPXのパブリックコメント回答では、調査体制にかかわらず調査結果に関する情報開示は正確なものであることが求められ、正確性を欠く情報開示は上場規則違反となる可能性があると述べられています。公表の範囲と公表内容の正確性は別問題です。
第三者委員会を設置しない選択肢
第三者委員会の設置には、時間、費用、大量の資料レビュー、外部専門家の起用、公表対応が伴います。次のような事案で、直ちに第三者委員会まで必要とは限りません。
- 関与者が担当取締役1名に限られる
- 社外取締役・監査機関等による独立したルートが実際に機能している
- 事実関係が限定的で、証拠も特定できている
- 社会的影響が小さい
- 内部統制への疑義が限定的
- 社内調査の信頼性を確保できる説明が可能
この場合は、社外役員主導+外部弁護士といったLEVEL 2の体制も選択肢です。第三者委員会を設置しなかったこと自体が、直ちに不適切な対応になるわけではありません。
小規模な疑義に対して、多数の外部弁護士、大規模なフォレンジック、数十人規模のヒアリング、長期の調査期間を当然の標準とする必要はありません。調査体制は、事案の重大性、必要な独立性の程度、調査目的、説明責任の範囲に比例させます。独立性と比例性の両方が必要です。
調査中の経営陣の権限はどうする?
調査開始=辞任・解任ではありません。 事実認定の前に、疑惑を持たれた役員を犯人として扱うことは避けなければなりません。
他方、調査対象の経営陣が、証拠にアクセスでき、部下や調査チームに指示でき、問題とされている取引を継続できる状態では、調査妨害、証拠の散逸、口裏合わせのリスクが現実に生じます。必要に応じ、当該調査に関する指揮命令系統から外す、関係データへのアクセス権を限定する、対象業務の決裁権限を暫定的に変更する、調査チームとの接触窓口を限定する、といった措置を検討します。
ただし、これらは役員の職務権限に関わるため、会社法上の機関の権限、定款、取締役会決議、委任契約や雇用契約の有無、報酬、名誉・信用への影響を踏まえて個別に判断します。「疑われた役員は直ちに職務停止」と一律に処理することはできません。
誰に報告する?会社法上の機関を混同しない
「社長が疑われたら必ず監査役へ」という単純なルールにはなりません。機関設計によって報告先も権限も異なります。
監査役設置会社
監査役は、いつでも取締役等に対して事業の報告を求め、会社の業務及び財産の状況を調査することができ(会社法381条2項)、この権限は各監査役が単独で行使できます。取締役の不正行為等を認めるときは取締役会への報告義務があり(同382条)、一定の要件のもとで違法行為の差止請求も可能です(同385条1項)。取締役の側にも、会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したときは直ちに監査役(監査役会設置会社では監査役会)に報告する義務があります(同357条1項・2項)。なお非公開会社では定款で監査役の監査範囲を会計に関するものに限定できるため(同389条1項)、定款の確認が必要です。
監査等委員会設置会社
報告請求・調査の権限は、監査等委員会が選定する監査等委員が行使し(同399条の3第1項)、その監査等委員は報告の徴収または調査に関する監査等委員会の決議があるときはこれに従わなければなりません(同条4項)。取締役会への報告義務は同399条の4、差止請求は同399条の6、取締役の報告先は監査等委員会です(同357条3項)。
指名委員会等設置会社
報告請求・調査の権限は、監査委員会が選定する監査委員が行使します(同405条1項、決議に従う旨は同条4項)。取締役会への報告義務は同406条、差止請求は同407条、執行役の報告義務は同419条1項です。
監査役は各自が単独で調査権を行使できるのに対し、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社では委員会が選定した委員が行使し、委員会の決議に従います。全部を「監査役等」と一括りにして同じ権限があるように扱わないことが重要です。実務的な結論はシンプルです。
疑惑対象者の指揮命令系統の外に、調査をコントロールできる適切な会社機関・責任者を設定する。
候補は、取締役会、社外取締役、監査役・監査役会、監査等委員会、監査委員会、親会社の適切な機関です。なお、取締役会の監督機能の根拠条文も機関設計によって異なり、監査役会設置会社等では会社法362条2項2号、監査等委員会設置会社では同399条の13第1項2号、指名委員会等設置会社では同416条1項2号を確認します(後二者はいずれも「第362条の規定にかかわらず」として別に定められています)。誰に報告し誰が決めるのかを、最初の段階で確定させます。
会計・行政・捜査が絡む場合の視点
会計不正や決算への影響が疑われる場合は、設計段階から会計監査人とのコミュニケーションも視野に入れます。ただし「不祥事があれば必ず監査法人へ即時報告」という一般論にはならず、上場会社か、会計監査人設置会社か、財務諸表や監査手続への影響、決算スケジュールとの関係で判断が変わります。
行政調査や警察の捜査と並行することもあります。第三者委員会があるからといって、これらより優先されるわけではありません。日弁連ガイドラインも、必要な場合には捜査機関・監督官庁・自主規制機関などと適切なコミュニケーションを行うことができるとし、脚注で、捜査等に支障を及ぼさないよう配慮することを例示しています。具体的な対応は第14話(行政機関・警察から突然問い合わせが来たら?)で扱います。
実務で使える「第三者委員会 設置事項チェック」
委員会形式を選ぶ場合、設置時に最低限決めておく事項です。ここが曖昧なまま走り出すと、後から独立性の議論に巻き込まれます。
| 区分 | 設置時に決めておく事項 |
|---|---|
| 基本事項 | 委員会の名称(どの類型を名乗るか)/設置目的/設置決定機関・決議日 |
| 調査の対象 | 調査対象事実/調査対象者/対象期間/調査スコープ(今回調査しない事項とその理由を含む) |
| 体制 | 委員(氏名・属性)/委員長/委員の利益相反確認(方法と結果の記録)/調査補助者/専門家(会計・フォレンジック等)/会社側事務局(誰に直属するか、情報隔壁の有無) |
| 権限 | 委員会の調査権限の範囲/資料・データへのアクセス権/役職員への協力要請の方法/データ保全の範囲と担当/調査妨害を防止する措置 |
| 運営 | 予算/調査期間/中間報告の有無と方法/スコープ変更の手続と決定権者 |
| 成果物 | 報告書の提出先/会社による事前レビューの扱い/報告書の公表方針(全文・公表版・要約版)/個人情報・営業秘密の処理/公的機関との連携方針 |
実務で使える「第三者委員会 設置判断シート」
体制を決めた根拠を残すためのシートです。第三者委員会を設置しない場合でも、その理由を記録できる形にしておくことが重要です。
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 疑惑対象者/最高位の対象者(役職) | |
| 対象となっている経営陣の人数 | |
| 事案の重大性(概要)/想定される違反の候補 | |
| 財務影響の有無・程度 | |
| 人命・安全への影響/顧客への影響 | |
| 上場の有無 | |
| 内部統制への疑義の有無・程度 | |
| 内部通報制度への疑義の有無 | |
| 社内法務の利益相反の有無 | |
| 内部監査の利益相反の有無 | |
| 経営陣への信頼性に関する評価 | |
| 社外役員で独立性を確保できるか | |
| 監査機関で対応可能か | |
| 必要な専門性 | |
| 外部説明の必要性 | |
| 第三者委員会の必要性(評価) | |
| 委員会形式を選択した理由 | |
| 設置しない場合の理由 | |
| 判断者(機関・氏名)/判断日 | |
| 再評価の条件(拡張トリガー) |
「再評価の条件」は特に重要です。「対象者に代表取締役が含まれると判明した場合」「複数年度にわたると判明した場合」といった条件を先に決めておけば、LEVEL 2・3へ移行する判断を疑惑対象者の意向と切り離して行えます。
やってはいけない10の独立調査
- × 疑われている社長自身が調査範囲を決める/調査対象が調査の外縁を決めれば、都合の悪い領域が構造的に調査されません。
- × 疑われている役員が委員を選ぶ/委員の選定プロセス自体が独立性の評価対象です。
- × 「外部弁護士だから」という理由だけで独立性の確認を省略する/現在の顧問関係や対象取引への助言歴は、個別に確認しなければ分かりません。
- × 顧問弁護士3名を並べれば第三者委員会になると考える/日弁連ガイドラインは顧問弁護士を「利害関係を有する者」に該当するとしており、ガイドライン準拠を名乗るなら整合しません。
- × 委員会の名称だけ「第三者委員会」にする/JPXは、形式によって不十分な調査に客観性・中立性の装いを持たせないよう留意することを求めています。
- × 役員に不利な事実を会社側レビューで削除する/ガイドライン型では経営陣に不利でも記載するとされ、起案権は委員会に専属します。
- × スコープを狭く固定し、経営陣へ広げられない設計にする/重要な関連事実が判明したときに拡張できない調査は、途中で価値を失います。
- × 委員会に十分な資料アクセスを与えない/第三者委員会の調査は任意調査です。会社の協力なしに実効性は確保できません。
- × 第三者委員会に警察のような強制調査権があると思い込む/捜索・差押え・強制的な事情聴取の権限はありません。前提を誤ると調査計画自体が破綻します。
- × 第三者委員会を設置した事実だけで「適切に対応した」と考える/設置は手段であって、結論ではありません。
3つのケースで考える
→ 直ちに日弁連型の第三者委員会まで必要とは限りません。社外役員・監査機関が調査をコントロールし外部弁護士を加えるLEVEL 2が現実的です。ただし当該取締役を調査の決定・人選・スコープから外し、拡張トリガーを設定しておくことは不可欠です。
→ 法務から社長へ報告して社長が方針を決める通常ルートは機能しません。取締役会・監査機関・社外役員という独立ルートに切り替え、独立調査委員会または第三者委員会を強く検討します。最初にやるべきは委員会の設置ではなく、報告先と決定権者を確定させることです。
→ 独立性・専門性・市場への説明責任のいずれもが重要になり、第三者委員会が有力な選択肢です。会計・監査の専門性を備えた体制が必要になります。ただしこの場合も「設置しなければ法律違反」ではありません。求められるのは、選んだ体制で独立性・中立性・専門性を実質的に確保し、それを説明できることです。
まとめ|第三者委員会を作ることではなく、経営陣から調査を切り離すこと
論点は「社内でやるか外部に出すか」でも「第三者委員会という名前を付けるか」でもありません。
- 調査の開始・範囲・人選・予算・報告内容・終了を、疑惑対象者が実質的に支配していないか
- 疑惑対象者を経由しない報告ルートと決定権者を、自社の機関設計に即して確定したか
- 選んだ体制の独立性・中立性・専門性を、後から具体的に説明できるか
この3つが揃っていれば、LEVEL 1でもLEVEL 2でも説明は成り立ちます。逆にここが崩れていれば、ガイドライン型を名乗る第三者委員会を設置しても、実質は「経営陣による自己調査」と評価されかねません。
冒頭の場面に戻ります。社長から「調査対象は購買部長までに」と言われたとき、法務部長がまずやるべきことは、第三者委員会の設置を提案することではありません。この指示を誰に共有し、誰に判断してもらうかを決めることです。そこが動けば、体制の選択はその後の話になります。
調査の結果次第では、行政への報告や自主申告を検討する場面が出てきます。次の第9話ではその判断を扱います。
調査で事実が固まったあと、行政機関への報告義務があるのか、自主申告に踏み込むのか。次の記事ではその判断を扱います。
第9話「会社の不正が判明したら行政に報告すべき?報告義務と自主申告の判断」を読むよくある質問(FAQ)
Q1.社長に不正疑惑が出たら、必ず第三者委員会を設置しなければなりませんか。
A.一律の設置義務を定めた法律はありません。JPXの不祥事対応のプリンシプルは一定の場合に設置が有力な選択肢となるとしていますが、同プリンシプル自体が上場会社を一律に拘束するものではなく、パブリックコメント回答でも調査方法は社内調査も含むとされています。重要なのは、疑惑対象者から独立した意思決定・調査・報告のルートを実際に作れるかどうかです。
Q2.社外取締役が調査すれば第三者委員会は不要ですか。
A.事案によります。社外役員主導で独立性を確保できる場合もあれば、内部統制そのものへの疑義が大きく、専門性や外部説明の必要性が高い場合には、より独立性の高い体制が必要になることもあります。
Q3.顧問弁護士を第三者委員にできますか。
A.日弁連ガイドラインは、企業等と利害関係を有する者は委員に就任できないとしたうえで、顧問弁護士は「利害関係を有する者」に該当するとしています。ガイドライン準拠を名乗るなら整合しません。他方、同ガイドラインは法令ではないため、顧問弁護士が別の立場で調査に関与すること自体が法律上禁止されているわけではありません。
Q4.第三者委員会は、会社のメールやPCを強制的に調査できますか。
A.できません。日弁連ガイドラインも、第三者委員会の調査は法的な強制力をもたない任意調査であり企業等の全面的な協力が不可欠であると明記しています。会社側が資料へのアクセス、役職員の協力、証拠保全、予算、ヒアリングの機会を確保する必要があります。
Q5.第三者委員会の報告書を、会社が修正してもよいですか。
A.ガイドライン型では起案権は第三者委員会に専属し、経営陣に不利となる場合でも判明した事実と評価を記載するとされ、提出前に会社へ報告書を開示しないともされています。したがって、評価を弱める・不利な記載を削除する修正はもちろん、個人情報や事実誤認の確認のために報告書ドラフトを会社へ事前開示してレビューを受けるという方法も原則にはなりません。会社の意見が入る場面は、提出後に公表版の非開示範囲を決める段階であり、その決定権も第三者委員会側にあります。
Q6.第三者委員会の調査報告書は、必ず全文公開しなければなりませんか。
A.全文公開を義務づける法律はありません。ガイドライン型では原則として遅滞なく開示するとされる一方、開示しない場合は理由を開示すること、非公表の理由は捜査・調査への支障、プライバシー、営業秘密の保護等、具体的なものでなければならないとされています。公表版や一部マスキング版もあり得ますが、非公表の理由を説明できる状態が必要です。
Q7.第三者委員会を設置しないと、上場規則違反になりますか。
A.なりません。同プリンシプルは法令や取引所規則等のルールとは異なり上場会社を一律に拘束するものではなく、充足度が低い場合でも規則上の根拠なしに措置等が行われることはないと明記されています。設置しない場合の理由開示を一律に求めるものでもありません。ただしプリンシプルと上場規則は別物であり、調査結果に関する情報開示が正確性を欠く場合には上場規則違反となる可能性があるとされています。
参考資料・一次資料
※法令・情報基準日:2026年9月5日
公益通報(現行制度/2026年12月1日施行前)
- 公益通報者保護法(平成16年法律第122号)/e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000122 - 公益通報者保護法第11条第1項及び第2項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(令和3年内閣府告示第118号)/消費者庁 ※特に第4の1(2)「組織の長その他幹部からの独立性の確保に関する措置」、同(4)「公益通報対応業務における利益相反の排除に関する措置」
- 公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説/消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/assets/overview_211013_0001.pdf - 内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置に関するQ&A/消費者庁 ※現行制度向けと2026年12月1日施行後向けで内容が異なり得るため、参照時に版を確認すること
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/faq/
公益通報(2026年12月1日以降)
- 公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)/消費者庁
- 2026年12月1日から施行される法定指針・指針の解説(新旧対照表を含む)/消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_partnerships/whisleblower_protection_system/overview/
会社法(平成17年法律第86号/e-Gov法令検索)
- 取締役の報告義務357条、監査役381条2項・3項・382条・383条・385条・389条1項、監査等委員会399条の3・399条の4・399条の6、監査委員会405条・406条・407条、執行役の報告義務419条1項
- 取締役会の監督機能:362条2項2号(監査役会設置会社等)、399条の13第1項2号(監査等委員会設置会社)、416条1項2号(指名委員会等設置会社)
https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086
上場会社(自主規制機関の指針)
- 上場会社における不祥事対応のプリンシプル(2016年2月24日)/日本取引所自主規制法人
https://www.jpx.co.jp/regulation/listing/principle/index.html - 「上場会社における不祥事対応のプリンシプル」(案)に寄せられたパブリック・コメントの結果について(2016年2月24日)/日本取引所自主規制法人 ※第三者委員会が日弁連ガイドライン準拠型に限定されないこと、実質的な独立性・中立性・専門性が重要であること、設置しない場合の理由開示を一律に求めるものではないこと等
第三者委員会(専門職団体による実務ガイドライン)
- 企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン(2010年7月15日、改訂2010年12月17日)/日本弁護士連合会
- 「企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン」の策定にあたって/日本弁護士連合会
※日弁連ガイドラインは法令でも政府指針でもなく、専門職団体が策定した実務ガイドラインです。同ガイドライン自身が、現時点におけるベスト・プラクティスを示したものであり日弁連の会員を拘束するものではないとしています。
本記事の法令・情報基準日は2026年9月5日です。実際の対応にあたっては、最新の法令・指針および自社の機関設計・定款・社内規程を確認し、必要に応じて弁護士等の専門家にご相談ください。
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