第13話|法務部志望の企業研究|新卒法務を募集する会社の探し方
第13話 法務部を目指す大学生へ|在学中にやるべきこと15選 全15話 | 13 / 15

「法務部に入りたいけれど、そもそもどの会社を受ければいいの?」——前話まで実務スキルを見てきましたが、ここでは志望先の探し方を考えます。こんな疑問はないでしょうか。

  • 新卒で法務部に入るには、どの会社を受ければよいのですか?
  • 法務職別採用と総合職採用は、何が違うのですか?
  • 総合職で入社しても、法務部に配属される可能性はありますか?
  • 法務部を募集している企業は、どう探せばよいのですか?
  • 採用ページ以外に、何を見ればよいのですか?
  • ESや面接で、企業研究をどう法務部志望につなげればよいのですか?

先に結論をお伝えします。新卒で法務部を目指すなら、まず採用ルートを確認し、法務職別採用・総合職採用後の配属・管理部門採用などの違いを理解する必要があります。そのうえで、採用情報だけでなく、事業内容、海外展開、知財、コンプライアンス、IR資料などから、その会社にどんな法務ニーズがあるかを調べることが重要です。この記事では、新卒で法務を目指す大学生のための企業研究の方法を、具体的な手順とあわせて解説します。

この記事で分かること
POINT 1新卒で法務部に入るルートは一つではないこと
POINT 2法務職別採用と総合職採用の違いと配属確約
POINT 3法務職を募集する会社の探し方
POINT 4事業内容から法務ニーズを読み取る方法
POINT 5企業研究をES・面接につなげる方法
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最初に結論|新卒法務は「採用ルート」と「企業の法務ニーズ」をセットで見る

CONCLUSION

新卒で法務部に入るルートは、一つではありません。法務職別採用がある会社もあれば、総合職採用後の配属で法務に行く会社もあります。だからこそ、配属確約の有無を確認することが大切です。そして、採用ページだけでなく、事業内容やリスク情報から法務ニーズを読み取りましょう。企業研究では、その会社の事業に自分が関心を持てるかも重要です。ES・面接では、「法務に興味があります」だけでなく、法務への関心と事業への理解を結び付けて語れることが、大きな差になります。

第1話で「法務部は契約、法令、コンプライアンス、リスク、ガバナンスなどの観点から、事業部門や経営者の判断を支援する役割」と説明しました。つまり、事業があるところに法務ニーズがあります。まずは、新卒で法務部に入る主なルートを見てみましょう。

図解1新卒で法務部に入る主なルート
ルート1法務職別採用(職種を決めて応募する)
ルート2管理部門・コーポレート職採用
ルート3総合職採用後の法務配属
ルート4知財・コンプラ・リスク管理・総務など近接部門から
ルート5事業部門で経験を積み、将来的に法務へ近づく
ルート6法科大学院・弁護士資格を経て企業法務へ

法務部にたどり着くルートは、これだけ多様です。法務職別採用がいちばん分かりやすいルートですが、総合職や近接部門から法務に進む人も少なくありません。どのルートも一長一短があるので、自分に合う道を複数の視点から検討しましょう。学部別の目指し方は第2話も参考になります。

新卒で法務部に入る主なルート

それぞれのルートの特徴を、表で整理します。どれが正解ということはなく、自分の状況や志望企業に合わせて考えることが大切です。

表1:新卒で法務部に入る主なルート
ルート特徴メリット注意点確認する情報
法務職別採用職種を決めて応募法務志望を伝えやすい募集数・条件は企業次第募集要項・配属
管理部門・コーポレート職管理部門枠で採用法務に近い配属の可能性配属先は複数あり得る配属範囲・FAQ
総合職採用後の配属入社後に配属決定事業理解を広げられる法務配属は保証されない配属実績・異動
知財・コンプラ等の近接部門関連部門から専門性を磨ける法務と役割が分かれる組織体制・職種
事業部門経験後現場を経て近づく事業視点が強みに時間がかかる場合も社内異動の仕組み
法科大学院・弁護士経由専門課程を経て法律の深い専門性学習負担が大きい採用区分・要件

※表は横にスクロールできます

法務職別採用と総合職採用の違い

新卒法務でまず押さえたいのが、法務職別採用総合職採用の違いです。法務職別採用は、応募の時点で職種(法務)が決まっているため、法務部を目指す学生にとって分かりやすいルートです。ただし、募集数や応募条件は企業ごとに異なります。一方、総合職採用は入社後に配属が決まる仕組みのことが多く、法務配属が保証されない場合がある一方で、配属前にさまざまな事業を知り、事業理解を深められる可能性もあります。

図解2法務職別採用と総合職採用の違い

法務職別採用

  • 職種が比較的明確
  • 法務志望を伝えやすい
  • 募集数や条件を確認する必要
  • 法務実務への準備が問われやすい

総合職採用

  • 配属が入社後に決まる場合がある
  • 法務配属が保証されないことがある
  • 事業理解を広げられる可能性
  • 会社全体への関心が必要

どちらにも長所と注意点があります。法務職別採用は法務志望を直接伝えやすい反面、募集が限られることも。総合職採用は配属が読みにくい反面、幅広い経験につながることも。「どちらが上」ではなく、自分の希望と各社の制度を照らして選びましょう。

表2:法務職別採用と総合職採用の比較
項目法務職別採用総合職採用
応募時点の職種決まっていることが多い決まっていないことが多い
法務配属の確実性比較的高い傾向保証されない場合がある
聞かれやすいこと法務への関心・準備会社全体への関心・適性
必要な準備法務実務の基礎理解幅広い事業理解
入社後の異動募集要項を要確認異動の可能性がある
事業部門経験少ない場合がある経験する場合がある
向いている学生法務志望が明確な人幅広く検討したい人
注意点募集が限られることも配属を確認する必要

※表は横にスクロールできます

法務職を募集している会社の探し方

では、法務職を募集している会社は、どう探せばよいのでしょうか。具体的には、企業の新卒採用ページで職種一覧を見て、「法務」「コンプライアンス」「知財」「リスク管理」「総務」「コーポレート」「管理部門」などの職種名を探します。募集要項で配属確約か配属可能性かを確認し、社員インタビューで法務部員やコーポレート職の情報を探し、採用FAQで配属・異動・職種別採用の説明を確認しましょう。就活ナビサイトの職種名検索、大学キャリアセンターでの過去の採用実績や求人票の確認、企業説明会やOB・OG訪問での質問も有効です。検索するときは、次のようなキーワードを試してみてください。

新卒 法務 採用 法務職 新卒 法務部 新卒採用 企業法務 新卒 コーポレート職 法務 新卒 コンプライアンス 新卒 知財 新卒 採用 リスク管理 新卒 総務 法務 新卒
図解3法務職を募集する会社の探し方フロー
STEP 1検索キーワードを決める
STEP 2採用ページを見る
STEP 3職種一覧を確認する
STEP 4配属確約の有無を見る
STEP 5社員インタビューを見る
STEP 6IR・事業内容を確認する
STEP 7説明会・OB訪問で質問する
STEP 8志望企業リストに整理する

会社探しは、この流れで進めると整理しやすくなります。ポイントは、「法務」だけでなく知財・コンプライアンス・総務なども検索対象にすること。そして、採用情報は年度ごとに変わるため、必ず最新の公式情報を確認しましょう。

採用ページで確認すべき項目

気になる会社が見つかったら、採用ページで次の項目を確認しましょう。特に、職種別採用か総合職採用か、配属確約の有無は重要です。

表3:採用ページで確認すべき項目
確認項目見る理由確認方法
募集職種名法務枠があるか職種一覧
職種別か総合職か採用ルートを把握採用区分の説明
配属確約の有無法務配属の確実性募集要項・FAQ
配属可能性のある部署法務に行けるか配属例・FAQ
仕事内容業務イメージの確認職種紹介
求める人物像適性の確認採用メッセージ
対象学部・専攻応募できるか応募資格
歓迎される資格・英語力準備の方向性応募資格・歓迎要件
勤務地・異動働き方の確認募集要項
選考フロー準備の段取り選考案内
社員インタビュー・配属例実態の把握社員紹介ページ
応募締切スケジュール管理募集要項

※表は横にスクロールできます

曖昧な点は、説明会や採用担当に確認を

採用情報の読み取り方は、企業ごとに異なります。「配属確約あり」なのか「配属可能性あり」なのか、文面だけでは判断しにくいこともあります。曖昧な点は思い込みで判断せず、企業説明会や採用担当者に確認しましょう。確認すること自体は失礼ではなく、むしろ丁寧に企業研究をしている姿勢として伝わります。

事業内容から法務ニーズを読み取る方法

ここが企業研究の中心です。法務部の忙しさや重要性は、その会社の事業内容から推測できます。たとえば、契約が多い事業か、海外取引があるか、個人情報やデータを扱うか、知的財産やブランドが重要か、金融・医療・不動産・エネルギーなど業法規制(業界ごとの特別な法律)が強い業界か、消費者向けサービスかBtoB(企業間取引)か、広告・表示・キャンペーンが多いか、M&A・投資・提携が多いか、上場企業か非上場か、子会社やグループ会社が多いか、コンプライアンスや内部統制が重要な事業か、AI・DX・プラットフォーム・アプリなど新しい法規制が関係しやすいか——こうした視点で見ると、法務部がどう関わるかが見えてきます。

図解4事業内容から法務ニーズを読むマップ
企業の事業
契約
海外取引
知的財産
個人情報・データ
広告・表示
金融・業法規制
労務・人事
M&A・投資
コンプライアンス
ガバナンス
AI・DX
環境・サステナビリティ

一つの事業の裏には、これだけ多くの法務テーマが潜んでいます。たとえば海外取引が多ければ英文契約や外国法令、消費者向けサービスなら広告表示や個人情報が関係します。志望企業の事業を、この視点で分解してみましょう。法律科目は第3話、コンプライアンスは第7話で扱っています。

表4:事業内容と法務ニーズの対応表
事業の特徴関係しやすい法務テーマ企業研究で見るポイント
取引・契約が多い契約審査・契約管理取引先の多さ・商流
海外展開している英文契約・外国法令海外売上・海外拠点
個人情報を扱う個人情報・データ保護顧客データの規模
知財・ブランドが重要特許・商標・著作権研究開発・ブランド
業法規制が強い業法対応・許認可規制業種かどうか
消費者向けサービス広告表示・消費者保護BtoCかBtoBか
M&A・提携が多いM&A・契約・調査投資・提携の発表
AI・DXを進める新しい法規制・契約新規事業の方向性

※表は横にスクロールできます

業界別に見る法務ニーズ

業界によって、法務部が関わりやすいテーマは変わります。志望業界の傾向をつかんでおくと、企業研究やES・面接で役立ちます。ただし、「この業界なら必ずこの法務を担当する」というわけではありません。

図解5業界別の法務ニーズマップ
メーカー知財・製造物責任・取引契約・品質・海外取引
IT・Webサービス個人情報・利用規約・システム契約・知財・AI
金融金融規制・コンプラ・個人情報・内部統制
商社英文契約・海外取引・与信・投資・幅広い契約
不動産・建設不動産取引・契約・許認可・権利関係
エンタメ・メディア著作権・肖像・契約・コンテンツ・表示
医療・ヘルスケア業法規制・個人情報・広告規制・許認可
エネルギー・インフラ業法規制・大型契約・許認可・環境
スタートアップ幅広い契約・資金調達・規約・新規制対応
グローバル企業英文契約・各国法令・国際コンプラ・ガバナンス

業界ごとに、関係しやすい法務テーマには傾向があります。自分の志望業界がどんな法務課題を抱えやすいかを知っておくと、「なぜこの会社の法務なのか」を語りやすくなります。あくまで傾向であり、企業ごとに実態は異なる点に注意しましょう。

表5:業界別の法務ニーズ
業界関係しやすい法務テーマ必要になりやすい知識・スキルES・面接でのつなげ方
メーカー知財・製造物責任・契約知財・民法・英語技術と知財への関心
IT・Web個人情報・規約・知財個人情報・IT・契約データ・サービスへの関心
金融金融規制・コンプラ業法・コンプラ・会計規制対応への関心
商社英文契約・海外取引英語・契約・国際海外ビジネスへの関心
不動産・建設不動産取引・契約不動産法・民法権利関係への関心
エンタメ著作権・契約知財・著作権・契約コンテンツへの関心
医療・ヘルスケア業法・広告規制業法・個人情報規制と安全への関心
エネルギー・インフラ業法・大型契約業法・契約・環境社会基盤への関心
スタートアップ幅広い契約・資金調達契約・会社法・柔軟性事業成長への関心
グローバル企業英文契約・国際コンプラ英語・各国法令国際的視野への関心

※表は横にスクロールできます

海外展開や英語との関係は第8話、業界に応じた資格選びは第9話でも扱っています。

IR資料・有価証券報告書から企業を調べる

上場企業(株式を証券取引所に公開している企業)を志望するなら、IR資料も企業研究の宝庫です。聞き慣れない言葉が多いかもしれませんが、初心者向けに整理します。

有価証券報告書とは、上場企業などが年に1回作成する、事業内容や財務状況をまとめた公式の報告書です。このほか、統合報告書(経営戦略やサステナビリティをまとめた資料)、決算説明資料(業績を説明する資料)、コーポレートガバナンス報告書(会社の統治体制をまとめた資料)などがあります。学生がすべてを読む必要はありません。法務ニーズを知る手がかりとして、まず次の項目を見てみましょう。

有価証券報告書で、まず見るとよい項目

事業内容(何で稼いでいるか)、事業等のリスク(会社が認識しているリスク。法務・規制・訴訟リスクが書かれることもある)、研究開発活動(知財との関係)、海外売上・海外拠点(海外法務との関係)、従業員の状況コーポレート・ガバナンス(統治体制やコンプライアンス体制)、M&A・投資・提携に関する情報。特に「事業等のリスク」は、その会社がどんな法的・規制的リスクを意識しているかが読み取れることがあり、法務ニーズを推測する手がかりになります。

これらの資料は、各企業のIRページや、金融庁のEDINET(有価証券報告書などを誰でも無料で閲覧できる電子開示システム)で確認できます。難しく考えず、「法務部志望の企業研究で見る入口」として、気になる項目から眺めてみましょう。なお、こうした資料を効率よく整理するには、表計算ソフトの使い方も役立ちます(第12話参照)。

非上場企業・スタートアップの企業研究

有価証券報告書がない非上場企業やスタートアップは、別の方法で調べます。採用ページ、会社概要、プレスリリース、サービスサイト、利用規約・プライバシーポリシー、資金調達ニュース、事業提携ニュース、代表者インタビュー、求人票、SNSや公式ブログ、法務・管理部門の募集情報などが手がかりになります。特に利用規約やプライバシーポリシーを読むと、その会社が個人情報やサービス上のリスクをどう扱っているかが見え、法務が関わりそうな点を推測できます。

公式情報と第三者情報を区別する

企業研究では、公式情報(会社が出している情報)と第三者情報(口コミやまとめサイトなど)を区別することが大切です。第三者情報は参考にはなりますが、未確認の情報を鵜呑みにするのは避けましょう。特にSNSや口コミサイトの情報だけで企業を判断するのは危険です。最終的には、必ず公式情報で確認する習慣をつけましょう。

OB・OG訪問・説明会で質問すべきこと

企業説明会やOB・OG訪問は、公式情報だけでは分からない実態を知るチャンスです。法務部志望の学生が聞くとよい質問例を挙げます。ただし、配属を保証させるような迫り方ではなく、制度や実態を確認する聞き方を心がけましょう。

  • 新卒で法務部に配属されるルートはありますか?
  • 職種別採用と総合職採用の違いは何ですか?
  • 法務部では、どのような業務が多いですか?
  • 若手の法務担当者は、どのような仕事から始めますか?
  • 事業部門との関わりは、どの程度ありますか?
  • 海外案件や英文契約に関わる機会はありますか?
  • コンプライアンスや知財は、法務部が担当していますか?
  • 入社前に学んでおくとよいことはありますか?
  • 法務部で活躍している若手に共通する力はありますか?
  • 総合職採用の場合、法務配属の希望はどのように扱われますか?

志望企業リストの作り方

調べた情報は、志望企業リストとして整理すると、比較や振り返りがしやすくなります。ExcelやGoogleスプレッドシートで、次の項目を並べてみましょう。

図解6志望企業リスト作成フロー
STEP 1会社名を集める
STEP 2採用ルートを確認する
STEP 3事業内容を見る
STEP 4法務ニーズを仮説化する
STEP 5必要スキルを整理する
STEP 6自分の経験と接点を探す
STEP 7質問事項を作る
STEP 8ES・面接に反映する

企業研究は、「会社名を覚える作業」ではなく「事業と法務の接点を探す作業」です。この流れでリスト化すると、各社の違いが見え、志望動機も具体的になります。リストは一度作って終わりではなく、説明会やOB訪問のたびに更新していきましょう。

表6:志望企業リストの項目例
項目書く内容確認する情報源
会社名・業界企業名と属する業界採用ページ・会社概要
採用ルート職種別か総合職か採用区分の説明
法務職別採用の有無法務枠があるか職種一覧
配属確約の有無確約か可能性か募集要項・FAQ
法務に近い職種知財・コンプラ等職種一覧
事業内容・海外展開何で稼ぐか・海外比率事業紹介・IR
法務ニーズ(仮説)関係しそうな法務事業内容・規約
関係しそうな法律分野契約・個人情報等事業内容から推測
求められるスキル英語・資格など応募資格・歓迎要件
自分の経験との接点つながる学び・経験自己分析
確認した情報源見た資料・日付記録として残す
次に確認すること未確認の点ToDoとして管理

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ES・面接で企業研究をどう活かすか

企業研究は、ES・面接で活きてこそ意味があります。「法務に興味がある」だけでは弱いのが正直なところです。そうではなく、その会社の事業内容を理解し、その事業で法務がどんな役割を果たすかを考え、自分の学習や経験と結び付けて語りましょう。法律知識だけでなく、「事業を適切に進める支援をしたい」という姿勢を伝えると、法務部の役割理解が伝わります。法務部への配属希望を伝える場合も、会社全体への関心を示すことが大切です。特に総合職採用では、法務だけにこだわりすぎると視野が狭く見える場合もあります。一方で、法務への一貫した関心は、丁寧に言語化しましょう。

図解7企業研究をES・面接に変換する型
STEP 1事業理解(何で稼ぐ会社か)
STEP 2法務ニーズ(どんな法務課題があるか)
STEP 3自分の学習・経験
STEP 4その会社でやりたいこと
STEP 5入社後に伸ばしたい力

この型に沿えば、企業研究を志望動機へと自然につなげられます。「事業理解→法務ニーズ→自分の経験→やりたいこと」という流れがあると、説得力が大きく増します。具体的なES・面接対策は第14話で扱います。

企業研究でよくある失敗

最後に、企業研究でやりがちな失敗と改善策をまとめます。多くは「採用ルートの確認」と「事業内容の理解」で防げます。

表7:企業研究でよくある失敗と改善策
失敗例何が問題か改善策
法務職別採用の有無を確認しない応募方法を誤る職種一覧と採用区分を確認
総合職なのに配属確約と思い込む期待とのズレFAQ・説明会で確認
知名度だけで選ぶ事業と合わない事業内容で判断する
採用ページしか見ない事業理解が浅いIR・事業紹介も読む
法務=契約書レビューだと思う仕事像が狭い法務の幅広さを知る
リスクや規制を調べない法務ニーズが見えない事業等のリスクを読む
IRを読まず志望動機を書く抽象的になる事業内容を踏まえる
経験と法務ニーズが無関係説得力が出ない接点を明確にする
配属質問が失礼になる印象を損ねる制度を聞く形にする
古い採用情報で判断情報が変わっている最新の公式情報を見る
口コミだけで判断情報が不正確なことも公式情報で裏取りする

※表は横にスクロールできます

大学生が今日からできること

  • 1「新卒 法務 採用」「法務職 新卒」で検索し、企業名を10社メモする
  • 2各社の採用ページで、職種別採用か総合職採用かを確認する
  • 3志望企業の事業内容を読み、法務が関係しそうなテーマを3つ書く
  • 4上場企業なら、有価証券報告書や統合報告書の「事業等のリスク」を見てみる
  • 5利用規約やプライバシーポリシーを読み、法務が関わりそうな点を探す
  • 6企業説明会やOB・OG訪問で聞きたい質問を3つ作る
  • 7第15話のロードマップと照らし、自分の企業研究表を作る

まずは、検索して10社の企業名をメモし、採用区分を確認するところからで十分です。手を動かすと、「自分が受けられる会社」が具体的に見えてきます。学年別の進め方は第15話「学年別ロードマップ」で確認できます。

よくある誤解

新卒法務の企業研究にまつわる誤解を、実際の姿と並べて整理します。

誤解新卒法務は法務職別採用しかない
実際総合職や近接部門など、複数のルートがあります。
誤解総合職採用なら法務部には行けない
実際配属で法務に進むこともあります。確約は要確認です。
誤解法学部なら自動的に法務配属される
実際学部だけで配属は決まりません。準備と意思表示が大切です。
誤解法務職別採用なら仕事はどの会社も同じ
実際事業によって法務の内容は大きく異なります。
誤解有名企業の法務部なら自分に合う
実際知名度より、事業への関心や適性が重要です。
誤解採用ページだけ見れば十分
実際事業内容やIR資料も見ると、理解が深まります。
誤解法務部の仕事は契約書レビューだけ
実際契約・コンプラ・調査・相談など、幅広い仕事があります。
誤解IR資料は大学生には関係ない
実際事業やリスクが分かり、企業研究の入口になります。
誤解配属希望を強く言えば必ず法務に行ける
実際希望は大切ですが、配属は複数の事情で決まります。
誤解口コミサイトだけで企業を判断してよい
実際公式情報で裏付けを取ることが欠かせません。

FAQ|新卒法務の企業研究に関する質問

新卒で法務部に入るにはどうすればよいですか?

まず採用ルートを確認しましょう。法務職別採用、総合職採用後の配属、近接部門からなど複数あります。そのうえで事業内容から法務ニーズを調べ、自分の経験と結び付けて語れるようにします。

法務職別採用と総合職採用は何が違いますか?

法務職別採用は応募時点で職種が決まっていることが多く、総合職採用は入社後に配属が決まる場合が多いです。総合職では法務配属が保証されないこともあるため、配属確約の有無を確認しましょう。

総合職採用でも法務部に配属される可能性はありますか?

あります。ただし配属は本人希望、適性、会社の人員計画などで決まり、保証されるとは限りません。説明会や採用FAQで、配属の仕組みを確認しておきましょう。

法務職を募集している企業はどう探せばよいですか?

採用ページの職種一覧で「法務」「コンプライアンス」「知財」などを探します。就活ナビの職種検索やキャリアセンターも活用しましょう。採用情報は年度で変わるため最新の公式情報を確認します。

法務部志望の企業研究では何を見ればよいですか?

採用情報に加えて、事業内容、海外展開、知財、個人情報、コンプライアンス、IR資料などを見ましょう。事業から法務ニーズを読み取り、自分の関心と結び付けることが大切です。

有価証券報告書は法務部志望の学生にも役立ちますか?

役立ちます。特に「事業等のリスク」やガバナンスの項目から、その会社が意識する法的・規制的リスクを読み取れることがあります。すべてを読む必要はなく、要点だけで十分です。

法学部以外でも新卒法務を目指せますか?

目指せます。応募資格を確認し、法律学習を補いながら自分の専攻の強みを活かしましょう。詳しくは第2話を参考にしてください。

ESや面接で企業研究をどう法務部志望につなげればよいですか?

事業内容を理解し、その事業で法務がどう関わるかを考え、自分の学習や経験と結び付けて語りましょう。「法務に興味がある」だけでなく、会社全体への関心も示すと効果的です。詳しくは第14話へ。

まとめ|新卒法務は採用ルートと法務ニーズを調べる

この記事のポイント

  • 新卒で法務部に入るルートは一つではなく、配属確約の有無を確認する
  • 法務職別採用と総合職採用は、配属の確実性や問われることが異なる
  • 「法務」だけでなく知財・コンプラ・総務なども検索対象にする
  • 事業内容やIR資料から、その会社の法務ニーズを読み取る
  • ES・面接では、事業理解と法務への関心を結び付けて語る

新卒で法務部を目指すなら、法律の勉強だけでなく、採用ルートと企業の法務ニーズを調べることが重要です。法務職別採用なのか、総合職採用後の配属なのか、その会社の事業にどのような法務課題があるのかを整理し、自分の学習や経験と結び付けて説明できるようにしましょう。まずは10社を調べ、企業研究表を作るところから始めてください。

NEXT STEP

次は「ES・志望動機・面接対策」を確認しましょう

企業研究で志望企業と法務ニーズを整理したら、次はES・志望動機・面接でどう伝えるかを確認しましょう。第14話では、企業研究を志望動機に変換し、面接で語る具体的な方法を解説します。

第14話|ES・面接対策を見る
企業研究表づくりには、第12話「IT・AI・Word・Excel」のExcel活用も役立ちます。
参考情報

※採用情報・募集要項・配属に関する制度は、企業ごと・年度ごとに異なり、変更される場合があります。応募を検討する際は、必ず各企業の最新の公式情報を確認してください。

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