第10話|法務部志望に役立つゼミ・サークル・アルバイト・課外活動
第10話 法務部を目指す大学生へ|在学中にやるべきこと15選 全15話 | 10 / 15

「法務部を目指しているけれど、法律事務所のインターン経験もないし、ガクチカに書けることがない…」——そんな不安を感じていませんか。前話まで資格や英語を扱ってきましたが、ここでは普段の経験をどう活かすかを考えます。まず、次のような疑問はないでしょうか。

  • 法務部志望のガクチカでは、何を書けばよいのですか?
  • 法律事務所や法務インターンの経験がないと、不利ですか?
  • ゼミやサークルの経験を、法務部志望にどうつなげればよいですか?
  • アルバイト経験は、法務部の自己PRに使えますか?
  • 法律の勉強以外で、法務部に向けて何をすればよいですか?
  • ESや面接で、法務部らしい伝え方はありますか?

先に結論をお伝えします。法務部志望のガクチカは、法律系の経験だけでなく、ゼミ、サークル、アルバイト、学生団体などの経験からも作れます。重要なのは、経験を「ルール設計」「利害調整」「リスク管理」「情報管理」「説明力」「改善提案」として整理し、法務部の仕事に結び付けて伝えることです。この記事では、法務部のガクチカを作るための、経験の言語化のしかたを具体例つきで解説します。

この記事で分かること
POINT 1法務部志望のガクチカは法律系経験だけではないこと
POINT 2ゼミ・サークル・アルバイトを法務向けに変換する方法
POINT 3「頑張った」でなく「何を整理したか」を語ること
POINT 4経験を実務の言葉に変換するフレーム
POINT 5守秘・個人情報に配慮した伝え方
この記事を実務で使う

読んだだけで終わると、次の案件でまたゼロから考えることになります。

社内説明の文面も、確認メモも、AIへの指示文も、毎回イチから。用途別に実務ツールを確認できます。

用途別に実務ツールを確認する

迷ったら、用途を選ぶだけの 1分診断

最初に結論|法務部志望のガクチカは「法律経験」だけではない

CONCLUSION

法律事務所アルバイトや法務インターンは有益ですが、必須とは限りません。法務部では、法律知識だけでなく、問題を整理する力、文章にする力、関係者を調整する力、ルールを運用する力が必要です。これらは、ゼミ、サークル、アルバイトでも示せる場面があります。大切なのは、経験そのものより、何を考え、どう行動し、何を学んだかです。そして、法務部に伝えるには、経験を実務に近い言葉へ「変換」する必要があります。ただし、変換とは経験を大きく見せることではなく、実際に行ったことを法務部の力と自然に結び付けることです。

第1話で「法務部はリスクやルール、契約に関する論点を整理し、関係部門や権限者の判断を支援する役割」と説明しました。この役割に必要な力は、実は大学生活のあちこちで育っています。まずは、その全体像を見てみましょう。

図解1法務部志望のガクチカ変換マップ
大学生活の経験
経験の例
ゼミ サークル アルバイト 学生団体 ボランティア 長期インターン 資格学習 自主学習
法務部で必要な力
ルール設計 利害調整 リスク管理 情報管理 文章力 調査力 説明力 改善提案
左の経験を、右の力に「変換」して伝える

どんな経験も、法務部で必要な力に変換できる可能性があります。ゼミやサークル、アルバイトでの行動を、「ルール設計」「利害調整」「リスク管理」といった法務の言葉に置き換えてみましょう。経験そのものではなく、その中で発揮した力に注目するのがコツです。

法務部が見たいのはどのような力か

では、法務部はどんな力を見ているのでしょうか。これまでの話ともつながりますが、主に次の10の力が挙げられます。それぞれ、大学生活のどんな経験と結び付くかを見てみましょう。

表1:大学生活の経験と法務部で必要な力の対応表
法務部につながる力具体例(大学生活)ES・面接での伝え方の方向
事実を整理する力ゼミの資料読み込み、論点整理何を、どう整理したかを示す
ルールを理解する力バイトのマニュアル、サークル規則なぜそのルールがあるか考えた経験
ルールを作る・改善する力サークルの新ルール、業務改善提案課題から改善までの流れ
利害関係者を調整する力メンバー間・関係者の調整双方の事情を整理した過程
リスクを予測する力イベント運営、SNS運用の配慮事前に想定し備えたこと
分かりやすく説明する力発表、後輩指導、引き継ぎ相手に合わせて伝えた工夫
記録を残す力議事録、引き継ぎ資料後から使える形にした工夫
情報を守る意識個人情報・写真掲載の配慮配慮した点(抽象的に)
約束を守る意識申込・規約・期限の遵守守るために工夫したこと
現場の目的を理解する力アルバイトの現場感覚目的を踏まえて動いた経験

※表は横にスクロールできます

これらの力は、法務部の文章力(第4話)、リサーチ力(第5話)、契約書を読む力(第6話)、コンプライアンス意識(第7話)と深くつながっています。

ガクチカを法務部向けに変換する基本フレーム

経験を法務部向けに語るには、型を使うと整理しやすくなります。次の7ステップで考えてみましょう。

図解2経験を法務部向けに変換するフロー
STEP 1経験を書き出す(どんな場面だったか)
STEP 2問題・課題を見つける
STEP 3関係者とルールを整理する
STEP 4自分の行動を具体化する
STEP 5結果と学びを整理する
STEP 6法務部で必要な力に結び付ける
STEP 7ES・面接で伝える

「頑張りました」で終わらせず、課題・関係者・行動・結果・学びへと分解するのがポイントです。最後に「この経験は法務部のどの仕事に活きるか」を一言添えると、ぐっと法務部志望らしいガクチカになります。文章の組み立て方は第4話も参考になります。

表3:ガクチカ変換フレーム
項目書く内容法務部向けの視点
場面どんな活動・状況だったか関係者やルールがある場面を選ぶ
課題何が問題だったか放置するとどんなリスクがあったか
関係者・ルール誰が関わり、どんな決まりがあったか利害や前提を整理する視点
行動自分が具体的に何をしたか整理・調整・改善の行動を示す
結果何が変わったか誇張せず事実ベースで書く
学び何を学んだか法務に通じる気づきを示す
活かし方法務部でどう活きるか契約・ルール・調整などに結び付ける

※表は横にスクロールできます

ゼミ経験を法務部志望にどう活かすか

ゼミは、実は法務部と相性のよい経験の宝庫です。資料を読んで論点を整理した経験、複数の意見を比較した経験、発表資料を作った経験、先生やメンバーの指摘を踏まえて改善した経験、チームで調査・発表した経験、反対意見や別の見方を検討した経験、卒論やレポートで根拠を示して説明した経験——これらはすべて、法務の仕事につながります。具体的には、リーガルリサーチ、文章力・論理的思考力、社内説明資料の作成、外部資料の読み込み、複数の立場の整理といった力です。「資料を読み、論点を整理し、根拠を示して説明する」というゼミの基本動作は、法務の調査・説明の動作とよく似ています。リサーチの考え方は第5話で詳しく扱っています。

サークル経験を法務部志望にどう活かすか

サークル活動も、法務に通じる経験が豊富です。会計・予算・備品管理、イベント運営、新歓・広報・SNS運用、メンバー間のトラブル調整、ルール作り、引き継ぎ資料作成、外部施設や業者とのやり取り、安全管理、個人情報や写真掲載への配慮——どれも、法務部の仕事と接点があります。具体的には、ルール設計、コンプライアンス、情報管理、契約・申込・規約の確認、利害調整、リスク予防です。たとえば、イベントで会場を借りる際の申込内容を確認したり、SNSに写真を載せる前に配慮したりした経験は、契約確認や情報管理の感覚につながります。コンプライアンスの考え方は第7話を参照してください。

アルバイト経験を法務部志望にどう活かすか

アルバイト経験も、法務部の自己PRに十分使えます。マニュアルやルールに従って働いた経験、顧客対応、クレーム対応、シフト調整、新人教育、現金・在庫・個人情報の管理、店舗ルールの改善提案、ミスやトラブルの再発防止、社員や先輩への報告・相談——これらは、法務部が大切にする視点と重なります。具体的には、現場感覚、ルールが現場でどう運用されるか、分かりやすいマニュアルの重要性、顧客対応と消費者対応、個人情報・秘密情報の管理、労務・ハラスメント・職場ルールへの理解です。特に「ルールが現場でどう運用されるか」を肌で知っていることは、机上だけでない法務にとって貴重な強みです。

アルバイト先の情報の扱いに注意

アルバイト経験を語るときは、アルバイト先の顧客情報、内部資料、未公表情報を、ESや面接で具体的に話しすぎないよう注意しましょう。「個人情報を扱う業務で、管理に配慮した」というように、内容は抽象化して伝えるのが安全です。むしろ「情報の扱いに配慮できる」という姿勢そのものが、法務部志望にとって良いアピールになります。

学生団体・ボランティア・長期プロジェクトをどう活かすか

学生団体やボランティア、長期プロジェクトも、法務部に通じる経験です。複数人で目標を決める、役割分担をする、外部関係者と連絡する、資金や物品を管理する、参加者の安全や情報管理に配慮する、ルールや手順を作る、トラブル時に対応する、活動後に改善点をまとめる——こうした経験は、プロジェクト管理、リスク管理、社内規程・マニュアル作成、ステークホルダー(関係者)調整、説明責任、記録管理につながります。規模の大小ではなく、「関係者を巻き込み、ルールを作り、リスクに備えた」という過程が評価につながります。

図解3ゼミ・サークル・アルバイト別の強みマップ

ゼミ

  • 調査
  • 論点整理
  • 発表
  • 文章化

サークル

  • ルール作り
  • 調整
  • 運営
  • 情報発信

アルバイト

  • 現場感覚
  • 顧客対応
  • マニュアル
  • 再発防止

活動ごとに、見つけやすい強みは異なります。ゼミは調査・論点整理、サークルはルール作り・調整、アルバイトは現場感覚・再発防止が見つけやすいでしょう。自分の経験を、この観点で棚卸ししてみてください。

表2:ゼミ・サークル・アルバイト別の活かし方
活動見つけやすい経験法務部との接点注意点
ゼミ調査・論点整理・発表リサーチ・文章力・立場整理結論だけでなく過程を示す
サークルルール作り・運営・調整ルール設計・情報管理・調整役職名だけにしない
アルバイト顧客対応・マニュアル・改善現場感覚・消費者対応・情報管理内部情報を具体的に書かない
学生団体目標設定・関係者連絡プロジェクト管理・調整盛りすぎない
ボランティア安全配慮・記録リスク管理・記録管理事実ベースで書く

※表は横にスクロールできます

法律系インターンがない場合の考え方

「法律系のインターン経験がないと不利では?」と心配する人は多いです。確かに、法律系インターンがあると、法務部の仕事をイメージしやすくなります。ただし、法律系インターンがないことだけで、法務部を諦める必要はまったくありません。ゼミ、サークル、アルバイト、一般的な企業インターンでも、法務部に近い力は十分に鍛えられます。大切なのは、契約、情報管理、ルール運用、調査、文書作成、調整に関わる経験を、自分の活動の中から探すことです。法務インターンや代替経験については、第11話「法務インターンは必要?」で詳しく扱います。

図解4法務部で必要な力と大学生活の対応図
文章力
レポート、議事録、引き継ぎ資料
調査力
ゼミ、ニュース分析、法令検索
リスク感度
イベント運営、SNS運用、情報管理
利害調整
サークル、アルバイト、学生団体
ルール運用
マニュアル、規程、サークルルール
説明力
発表、面接、後輩指導
改善提案
トラブル再発防止、業務改善

法務部で必要な力は、それぞれ大学生活の具体的な経験から育てられます。「自分にはどの経験があるか」を、この図と照らして探してみましょう。一つの経験が複数の力に対応することも多くあります。

経験別のBefore/After例

では、実際にどう変換すればよいのか、短い例で見てみましょう。「そのまま言うと弱い表現」を、「法務部向けに変換した表現」へと変えていきます。

例1:ゼミ発表
弱い表現

「ゼミの発表を頑張りました。」

何が弱いか

何を、どう頑張ったかが不明。法務部との接点も見えない。

変換後

「複数の資料を読み比べ、論点を3つに整理して発表資料にまとめました。根拠を示して説明する力は、法務部の調査や社内説明にも活かせると考えています。」伝わる力:調査力・論点整理・文章力

例2:サークルのイベント運営
弱い表現

「サークルでイベント運営を頑張りました。」

何が弱いか

役割や工夫が見えず、「頑張った」だけになっている。

変換後

「参加者・会場・運営メンバーの役割を整理し、当日の混乱を防ぐために事前の確認リストと連絡ルールを作りました。関係者が同じ認識で動けるようにした経験は、契約条件や社内ルールを分かりやすく整理する仕事にもつながると考えています。」伝わる力:ルール設計・利害調整・リスク予防

例3:アルバイトのクレーム対応
弱い表現

「クレーム対応でお客様を説得しました。」

何が弱いか

「説得した」が一方的に見え、相手の事情を見ていない。

変換後

「お客様の主張と店舗のルールを整理し、双方が納得できる対応案を考えて先輩に相談しました。事情を整理して現実的な解決策を探す姿勢は、法務部の相談対応にも通じると考えています。」伝わる力:事実整理・利害調整・報告相談

例4:サークルのSNS運用
弱い表現

「サークルのSNSを運用してフォロワーを増やしました。」

何が弱いか

数字だけで、法務に通じる配慮や工夫が見えない。

変換後

「投稿前に、写真に写った人の許可や、他人の作品の扱いを確認するルールを作りました。情報発信のリスクに配慮した経験は、法務部の情報管理やコンプライアンスにつながると考えています。」伝わる力:リスク管理・情報管理・ルール設計

例5:学生団体のルール作り
弱い表現

「学生団体でリーダーをしてルールを決めました。」

何が弱いか

役職名と結果だけで、過程や関係者への配慮が見えない。

変換後

「メンバーの意見が分かれていた活動方針について、双方の事情を聞いて論点を整理し、皆が守れる手順をルールとして文書化しました。納得感のあるルールにこだわった経験は、法務部の規程づくりに活かせると考えています。」伝わる力:利害調整・ルール設計・文章化

例6:アルバイト先の新人教育
弱い表現

「新人教育を担当して頑張りました。」

何が弱いか

どんな工夫をしたかが分からず、再現性が見えない。

変換後

「新人がつまずきやすい点を整理し、手順を分かりやすくまとめたメモを作りました。難しい内容を相手に合わせて伝える工夫は、法務部で社内向けに分かりやすく説明する仕事に通じると考えています。」伝わる力:説明力・マニュアル化・改善提案

例7:インターンでの資料作成
弱い表現

「インターンで資料作成を手伝いました。」

何が弱いか

「手伝った」では、自分の役割や工夫が伝わらない。

変換後

「必要な情報を調べて整理し、読み手が理解しやすい順番に資料を組み立てました。事実を整理して分かりやすくまとめる作業は、法務部の調査や説明資料の作成に近いと感じました。」伝わる力:調査力・構成力・文章力

表4:経験別Before/After(要点まとめ)
経験そのまま言うと弱い表現法務部向けに変換した方向伝わる力
ゼミ発表発表を頑張った論点を整理し根拠を示した調査・論点整理
イベント運営運営を頑張った役割整理とルール作りで混乱を防いだルール設計・調整
クレーム対応お客様を説得した双方を整理し解決案を考えた事実整理・調整
SNS運用フォロワーを増やした発信リスクに配慮しルール化したリスク・情報管理
ルール作りリーダーで決めた意見を整理し守れる手順を文書化調整・ルール設計
新人教育教育を頑張ったつまずきを整理しメモを作った説明力・改善

※表は横にスクロールできます

法務部志望のガクチカで避けたい言い方

逆に、避けたい言い方も知っておきましょう。次のような表現は、法務部志望としては弱く見えがちです。改善の方向とあわせて整理します。

表5:法務部志望のガクチカで避けたい言い方
避けたい表現問題点改善の方向性
「法律が好きです」だけ具体的な行動がない関心を行動・経験で示す
「資格を取りました」だけ学びと活かし方が不明何を学び、どう活かすかを語る
「頑張った・成長した」だけ中身が伝わらない何を整理し改善したかを示す
「リーダーをした」だけ具体性がない課題・行動・工夫を語る
「トラブルを解決した」だけ原因や過程がない原因分析と対応過程を示す
「相手を説得した」だけ一方的に見える相手の事情も整理したと示す
「ルールを守らせた」だけ強制的に見える納得を得る工夫を示す
内部情報を具体的に書く守秘・個人情報の懸念内容を抽象化して伝える
経験を大きく見せる誇張は信頼を損なう事実ベースで誠実に書く

※表は横にスクロールできます

図解5弱いガクチカと強いガクチカの違い

弱いガクチカ

  • 頑張っただけ
  • 役職名だけ
  • 成果だけ
  • 「法律が好き」だけ
  • 法務部との接点が不明

強いガクチカ

  • 課題が明確
  • 関係者が見えている
  • ルールやリスクを整理している
  • 行動が具体的
  • 法務部で活きる力に結び付く

弱いガクチカと強いガクチカの違いは、「課題・関係者・行動・法務部との接点」が見えるかどうかです。右側の5つを意識すると、同じ経験でも伝わり方が大きく変わります。

課外活動と法務部の仕事のつながり

ここまで見てきた経験は、法務部の具体的な仕事とつながっています。たとえば、サークルのルール作りは社内規程づくりに、イベントの申込確認は契約審査に、SNSの配慮はコンプライアンス情報管理に、トラブル対応は社内相談対応トラブル対応に通じます。ゼミの調査・発表はリーガルリサーチ研修資料作成に、関係者との連絡調整は事業部門との調整外部弁護士との相談メモ作成に近いものがあります。契約の考え方は第6話、コンプライアンスは第7話で扱っています。こうしたつながりを意識すると、自分の経験を法務部の言葉で語れるようになります。

ES・面接での伝え方

ES・面接では、経験のタイトル(肩書き)よりも、中身の整理が重要です。状況・課題・行動・結果・学びの型(STAR法に近い考え方)を使うと、伝わりやすくなります。法務部では、リスクを指摘するだけでなく、代替案や改善案を考える姿勢が大切です。だから、「相手を説得した」よりも、「相手の事情を整理し、現実的な解決策を考えた」と言える方が、法務部に近い印象になります。数字や成果を出すときは、誇張せず事実ベースで。守秘義務や個人情報に関わる内容は抽象化しましょう。そして最後に、必ず「法務部でどう活かしたいか」につなげます。

図解6ES・面接で伝える型
状況どんな場面だったか
課題何が問題だったか
関係者・ルール誰が関わり、どんな決まりがあったか
行動自分が何をしたか
結果何が変わったか(事実ベース)
学び何を学んだか
活かし方法務部でどう活かすか

この型に沿えば、経験を一貫したストーリーとして語れます。特に最後の「法務部での活かし方」を忘れないことが、法務部志望のガクチカでは重要です。具体的なES・面接対策は第14話で扱います。

法務部志望者が在学中に作りたい経験

「今からでも、法務部志望につながる経験を作れますか?」——もちろんです。意識して動けば、これからの活動を法務部向けの経験に変えていけます。次のような経験を、ぜひ意識してみてください。

表6:在学中に作りたい経験
作りたい経験具体例法務部とのつながり今日からできること
根拠を示して説明するゼミ・授業での発表調査・説明力主張に根拠を添える練習
ルールや手順を作るサークル・学生団体ルール設計曖昧な決まりを文書化
マニュアルを改善するアルバイト先業務改善・運用分かりにくい点を提案
情報・SNSに配慮する広報・SNS運用情報管理・コンプラ投稿前の確認を習慣化
意見を整理し合意するチーム活動利害調整双方の事情を書き出す
失敗を再発防止にトラブル対応再発防止・改善原因と対策を分けて記録
実務に近い業務を見る企業インターン契約・規程・調査近い業務に注目する

※表は横にスクロールできます

図解7在学中に作りたい経験ロードマップ
大学1年
授業、サークル、アルバイトで経験を増やす。まずは幅広く動いてみる。
大学2年
ルール作り、調整、改善に関わる。役割を持って主体的に動く。
大学3年
インターン、企業研究、ES用に経験を整理する。言語化を始める。
大学4年
面接で経験を法務部の仕事に結び付ける。一貫した形で語る。

経験は、低学年で増やし、高学年で整理・言語化していくのが自然な流れです。今が何年生でも、「経験を増やす」「振り返って言語化する」のどちらかは今日から始められます。学年別の全体像は第15話「学年別ロードマップ」で確認できます。

大学生が今日からできること

  • 1自分のゼミ、サークル、アルバイト経験をすべて書き出す
  • 2各経験を「ルール」「調整」「リスク」「説明」「改善」に分類する
  • 3一つの経験を、状況・課題・行動・結果・学びに分けて書く
  • 4「頑張った」ではなく「何を整理したか」を1文で書く
  • 5アルバイト先やサークルのルールを、なぜ必要か考えてみる
  • 6自分の経験を、第14話のES・面接対策で使える形に整える
  • 7第15話のロードマップと照らし、今後作りたい経験を1つ決める

まずは、自分の経験をすべて書き出して、5つの観点で分類するところからで十分です。棚卸しするだけで、「意外と法務に通じる経験があった」と気づけるはずです。

よくある誤解

法務部志望のガクチカにまつわる誤解を、実際の姿と並べて整理します。

誤解ガクチカは法律系経験でないといけない
実際ゼミ・サークル・バイトでも、力を示せれば十分使えます。
誤解法務インターンがないと法務部は難しい
実際なくても、近い力は他の経験で鍛えられます。
誤解ゼミやサークルは法務部と関係ない
実際調査・ルール作り・調整など、接点は多くあります。
誤解アルバイト経験は法務部では使えない
実際現場感覚や情報管理など、活かせる視点が豊富です。
誤解リーダー経験がないとガクチカにならない
実際役職でなく、課題への向き合い方が問われます。
誤解トラブル解決経験がないと弱い
実際地道な整理や改善の経験も、十分に評価されます。
誤解ルールを守らせた経験を書けばよい
実際納得を得る工夫まで示すと、法務部らしくなります。
誤解経験を大きく見せた方がよい
実際誇張は信頼を損ねます。事実ベースが基本です。
誤解法律の勉強だけしていれば課外活動は不要
実際調整や運用の経験も、法務部では重要な力になります。

FAQ|法務部志望のガクチカに関する質問

法務部志望のガクチカでは何を書けばよいですか?

法律系経験に限らず、ゼミ・サークル・アルバイトなどの経験を、ルール設計・利害調整・リスク管理・情報管理・説明力・改善提案として整理し、法務部の仕事に結び付けて書きましょう。

法律系インターンがないと法務部は難しいですか?

そうとは限りません。法律系インターンは有益ですが必須ではなく、他の経験でも近い力は鍛えられます。法務インターンについては第11話で扱います。

ゼミ経験は法務部志望に使えますか?

使えます。資料を読み論点を整理する、根拠を示して説明する、複数の立場を比較する——どれも法務の調査や説明に通じる力です。過程を具体的に語りましょう。

サークル経験を法務部向けにどう伝えればよいですか?

ルール作り、調整、情報管理、申込・規約の確認などの経験を、ルール設計やコンプライアンスの視点で語ると伝わります。役職名でなく、行動と工夫を示しましょう。

アルバイト経験は法務部の自己PRになりますか?

なります。現場でのルール運用、顧客対応、情報管理、改善提案などは法務に通じます。ただし、内部情報や顧客情報は具体的に書かず、抽象化して伝えましょう。

リーダー経験がなくてもガクチカになりますか?

なります。法務部が見るのは役職ではなく、課題への向き合い方です。整理・調整・改善に取り組んだ経験なら、メンバーの立場でも十分に語れます。

法務部志望のESでは何に注意すべきですか?

「頑張った」で終わらせず、状況・課題・行動・結果・学びを示すこと、守秘や個人情報に配慮すること、最後に法務部での活かし方につなげることです。詳しくは第14話へ。

課外活動が少ない場合はどうすればよいですか?

数より中身です。一つの経験を深く掘り下げれば十分に語れます。今からでも、ルール作りや改善提案、情報管理に配慮する経験を意識的に作っていきましょう。

まとめ|経験を法務部の言葉に変換する

この記事のポイント

  • 法務部志望のガクチカは、法律系経験だけでなく日常の経験からも作れる
  • 経験を「ルール設計・利害調整・リスク管理・情報管理・説明力・改善提案」に変換する
  • 「頑張った」でなく、課題・行動・結果・学びを具体的に語る
  • 守秘義務や個人情報に配慮し、内部情報は抽象化して伝える
  • 最後は必ず「法務部でどう活かすか」につなげる

法務部志望のガクチカは、特別な法律系経験だけで作るものではありません。ゼミ、サークル、アルバイト、学生団体などの経験を、ルール設計、利害調整、リスク管理、情報管理、説明力、改善提案として整理できれば、法務部で必要な力につなげて伝えることができます。まずは、自分の経験を書き出して棚卸しするところから始めましょう。次は、法務インターンや企業法務を経験する方法を見ていきます。

NEXT STEP

次は「法務インターン」を確認しましょう

ゼミ・サークル・アルバイトの経験を整理したら、次は法務インターンや企業法務を経験する方法を確認しましょう。第11話では、法務インターンの探し方や、インターンがない場合の代替経験について解説します。

第11話|法務インターンの活かし方を見る
ES・面接での伝え方を深めたい方は、第14話「ES・志望動機・面接対策」もおすすめです。
参考情報
読了後の実務化ガイド

この記事の確認観点を、実務の型に変える。

読んだ内容を、確認メモ・文例・AI指示文に落とせます。

A無料で試す

すべての商品を見る