第9話|法務部就職に役立つ資格は?大学生向け資格の優先順位
第9話 法務部を目指す大学生へ|在学中にやるべきこと15選 全15話 | 9 / 15

「法務部を目指すなら、どんな資格を取ればいいですか?」——これは本当によく聞かれる質問です。前話で英語・TOEICを扱いましたが、ここでは資格全体を整理します。まず、次のような疑問はないでしょうか。

  • 法務部に入るには、資格が必要なのですか?
  • ビジネス実務法務検定は、取った方がよいですか?
  • TOEICと法律資格、どちらを優先すべきですか?
  • 法学部以外の場合、資格で法律知識を示せますか?
  • 司法試験や行政書士を目指すべきですか?
  • 資格をたくさん取れば、就職に有利ですか?

先に結論をお伝えします。法務部就職で資格は役立つことがありますが、資格だけで採用が決まるわけではありません。大切なのは、資格を通じて何を学び、それを法務部の仕事にどう結び付けて説明できるかです。この記事では、法務部に役立つ資格を「目的別」に整理し、大学生向けの優先順位の考え方を示します。

この記事で分かること
POINT 1法務部就職に「必須の資格」は一律に決まっていないこと
POINT 2資格は、法律・英語・知財・会計などの基礎を示す手段であること
POINT 3主要な資格を「目的別」にどう使い分けるか
POINT 4行政書士・司法試験などは目的を明確にして選ぶべきこと
POINT 5ES・面接では資格名でなく「学びと活かし方」を語ること
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最初に結論|資格は「目的別」に選ぶ

CONCLUSION

法務部就職に必須の資格は、一般には一律に決まっていません。資格は、法律知識・英語力・知財・会計・不動産などの基礎を示す材料になりますが、資格取得だけで実務能力が証明されるわけではありません。だからこそ、自分の学部、志望企業、志望業界、弱点に応じて選ぶことが重要です。さらに、資格を取る時間と、授業・ゼミ・インターン・ES準備とのバランスも考える必要があります。「とにかくたくさん取る」のではなく、「何のために取るか」を決めることが出発点です。

資格は、法務部就職の「ゴール」ではなく「手段」です。まずは、この位置付けを図で確認しておきましょう。

図解1資格は法務部就職の「目的」ではなく「手段」
STEP 1資格取得(学習に取り組む)
STEP 2法律・英語・知財・会計・ITの基礎を補う
STEP 3契約書・調査・コンプライアンス・企業研究に結び付ける
STEP 4ES・面接で「学びと活かし方」を説明する
GOAL法務部の仕事で活かす

資格は、取って終わりではありません。学んだ内容を実務に結び付け、ES・面接で語れてはじめて意味を持ちます。この流れを意識すると、「資格のための資格」にならず、法務部就職に向けた一歩として活きてきます。

法務部就職で資格はどのように見られるか

では、資格は採用でどう見られるのでしょうか。資格は、法律学習への関心を示す材料であり、基礎知識を学んだことの証明になります。英語力や専門分野への関心を示す材料にもなり、特に非法学部生にとっては、法律知識の不足を補う手段になります。ESや面接で話すきっかけにもなります。ただし注意したいのは、資格名だけでは不十分だということです。「その資格を通じて何を学び、実務でどう活かすか」を説明できてはじめて、評価につながります。法務部で実際に必要になる文章力(第4話)、調査力(第5話)、契約書を読む力(第6話)は、資格だけでは身につきません。

法務部志望の大学生に候補となる資格・検定

ここからは、候補となる主な資格・検定を見ていきます。各資格には「優先度の目安」を添えますが、これはあくまで一般的な目安で、企業や本人の目的によって変わります。なお、試験制度や受験資格、等級などは変更される可能性があるため、受験を検討する際は必ず各実施団体の公式サイトで最新情報を確認してください。

図解2法務部志望者の資格マップ
法務部志望の資格選び
法律基礎ビジネス実務法務検定
英語TOEIC
知財知的財産管理技能検定
不動産宅地建物取引士
会計日商簿記
ITITパスポート等
高度な法律学習行政書士・司法試験・予備試験
情報管理個人情報・情報管理系資格

資格は、補いたい力ごとに整理すると選びやすくなります。法律基礎、英語、知財、不動産、会計、ITなど、それぞれの分野に対応する資格があります。自分がどの力を補いたいかを起点に、地図の中から選んでいきましょう。

1. ビジネス実務法務検定

ビジネス実務法務検定優先度:高め
学べること
企業活動に関係する法律の基礎を体系的に学べる
関係する仕事
契約、会社法務、コンプライアンス、消費者対応など
向いている学生
法律学習の入口がほしい人、特に非法学部生
注意点
合格しただけで契約書レビューができるわけではない

2. TOEIC

TOEIC優先度:高め
学べること
一般的な英語の基礎力(リスニング・リーディング)
関係する仕事
英文契約、海外取引、外国法令調査、海外子会社対応
向いている学生
海外と関わる法務に関心がある人
注意点
TOEICだけで法律英語・英文契約読解は測れない

3. 知的財産管理技能検定

知的財産管理技能検定優先度:目的が合えば
学べること
著作権、商標、特許、営業秘密、ライセンスなどの知財
関係する仕事
知財管理、ライセンス契約、コンテンツ関連の法務
向いている学生
メーカー・IT・コンテンツ・研究開発に関心がある人
注意点
知財資格だけで法務全体の力は示せない

4. 宅地建物取引士(宅建士)

宅地建物取引士優先度:目的が合えば
学べること
不動産取引や権利関係の基礎(民法の一部も含む)
関係する仕事
不動産・建設・金融・賃貸借・開発案件の法務
向いている学生
不動産・建設・金融業界に関心がある人
注意点
法務部全般に必須というわけではない

5. 日商簿記

日商簿記優先度:目的が合えば
学べること
会社の数字、取引、会計の基礎
関係する仕事
契約金額、損害、事業性、M&A、与信、財務資料の理解
向いている学生
ビジネスや数字の理解を深めたい人
注意点
会計資格だけで法務知識は補えない

6. 個人情報・情報管理系の資格

個人情報・情報管理系資格優先度:補助的に
学べること
個人情報保護や情報管理の基礎的な考え方
関係する仕事
個人情報、情報セキュリティ、データ関連の法務
向いている学生
データ・情報管理に関心がある人
注意点
民間資格は位置付けを過大評価しない

7. 行政書士

行政書士優先度:慎重に検討
学べること
行政法、民法、会社法など幅広い法律
関係する仕事
法律学習の深さを示す材料になり得る
向いている学生
法律を広く深く学びたい人
注意点
学習量が大きく、就活準備とのバランスが必要

8. 司法試験・予備試験

司法試験・予備試験優先度:目的を明確に
学べること
法律を専門的・体系的に深く学ぶ
関係する仕事
法律専門職を目指す強いルート。学習の深さを示せる
向いている学生
法曹も視野に入れている人
注意点
学習負担が非常に大きい。目的の整理が不可欠

9. ITパスポート・情報系資格

ITパスポート・情報系資格優先度:目的が合えば
学べること
IT・情報・セキュリティの基礎的な知識
関係する仕事
システム契約、情報管理、法務DX、AI活用
向いている学生
IT・AI・データに関心がある人
注意点
技術知識だけで契約・法令判断はできない

10. 志望業界に応じたその他の資格

このほか、志望業界に応じて相性のよい資格があります。たとえば金融業界に関心があれば金融関連の検定、貿易に関心があれば貿易実務の検定などです。ただし、いずれも「業界への関心と基礎理解を示す材料」であり、必須ではありません。詳しくは、後述の「志望業界別の資格選び」を参考にしてください。

表1:法務部就職に役立ち得る資格一覧
資格・検定学べること法務部との関係向いている学生注意点
ビジネス実務法務検定企業法務の基礎契約・コンプラ全般法律学習の入口がほしい人実務力の証明ではない
TOEIC一般英語の基礎英文契約・海外対応海外と関わりたい人法律英語は別途必要
知的財産管理技能検定知財の基礎知財・ライセンスメーカー・IT・コンテンツ志望法務全体は示せない
宅地建物取引士不動産・権利関係不動産取引法務不動産・建設・金融志望全般に必須ではない
日商簿記会計の基礎金額・財務の理解数字を理解したい人法務知識は補えない
個人情報・情報管理系情報管理の基礎個人情報・データ法務データに関心がある人過大評価しない
行政書士幅広い法律法律学習の深さ広く深く学びたい人学習量が大きい
司法試験・予備試験専門的な法律学習の深さ法曹も視野の人負担が非常に大きい
ITパスポート等ITの基礎システム契約・DXIT・AIに関心がある人法令判断はできない

※表は横にスクロールできます

優先順位の考え方

候補が多くて迷う場合は、優先順位の目安を持っておくと選びやすくなります。次のピラミッドは、あくまで大学生向けの一般的な目安です。企業や本人の目的によって変わる点に注意してください。

図解3優先順位ピラミッド
最優先候補 ビジネス実務法務検定/TOEIC
目的が合えば有力 知的財産管理技能検定/宅建/簿記/ITパスポート等
補助的に検討 個人情報・情報管理系/志望業界に応じた資格
慎重に検討(目的を明確に) 行政書士/司法試験・予備試験

いちばん下の段は「上位だから全員におすすめ」という意味ではありません。学習負担が大きいため、目的を明確にして慎重に検討する資格という位置付けです。多くの大学生は、まず最上段(基礎)から始めて、関心に応じて中段を足していくのが現実的です。

表2:資格の優先順位
優先度資格・検定おすすめしやすい学生理由
最優先候補ビジネス実務法務検定/TOEIC法務志望の多くの学生法律・英語の基礎を幅広く補える
目的が合えば知財検定/宅建/簿記/ITパスポート等志望業界が定まっている学生業界や分野との相性で活きる
補助的に個人情報系/業界別資格特定テーマに関心がある学生関心を補強する材料になる
慎重に検討行政書士/司法試験・予備試験法律を深く学びたい学生負担が大きく目的の整理が必要

※表は横にスクロールできます

自分に合う資格を選ぶフロー

では、自分はどの資格を選べばよいのでしょうか。次の流れに沿って考えると、整理しやすくなります。

図解4自分に合う資格を選ぶフロー
STEP 1志望企業・業界を確認する
STEP 2足りない力を整理する
STEP 3法律・英語・知財・会計・ITに分類する
STEP 4学習負担を確認する
STEP 5就活時期と照らす
STEP 6資格を1つ選ぶ
GOAL学んだことを実務に結び付ける

大切なのは、いきなり資格を選ぶのではなく、「志望先」と「足りない力」から逆算することです。あれもこれもと欲張らず、まず1つに絞って取り組むと、学習も就活準備も両立しやすくなります。企業研究のしかたは第13話で扱います。

ビジネス実務法務検定は法務部志望に役立つか

最優先候補に挙げたビジネス実務法務検定について、もう少し補足します。この検定は、企業活動に関係する法律の基礎を学ぶのに使いやすいのが特徴です。非法学部生が法律学習を始める入口になり得ますし、法学部生にとっても、大学の授業と企業法務の接点を確認する機会になります。ただし、合格しただけで契約書レビューができるわけではありません。学んだ内容を、契約、会社法務、コンプライアンス、消費者対応などに結び付けて理解を深めることが重要です。試験制度の詳細(等級・方式・日程など)は、東京商工会議所の公式サイトで確認してください。

TOEICは法務部就職に役立つか

TOEICについては、第8話でも詳しく扱いました。英語力の目安として見られることがあり、英文契約、海外取引、外国法令調査、海外子会社対応に関心がある場合は有効です。ただし、TOEICだけで法律英語や英文契約読解力が証明されるわけではありません。TOEIC学習は、一般英語の土台作りとして位置付けるのがおすすめです。そのうえで、英語を法務部でどう使いたいかを説明できると、説得力が増します。英語学習の全体像は第8話「法務部に英語は必要?」を参照してください。

知的財産管理技能検定はどんな学生に向いているか

知的財産管理技能検定は、知財、メーカー、IT、コンテンツ、エンタメ、研究開発、ライセンスに関心がある学生と相性がよい資格です。著作権、商標、特許、営業秘密、ライセンス契約などへの関心を示せます。理系・情報系・クリエイティブ分野の学生にも活かしやすいでしょう。ただし、知財資格だけで法務部全体の能力が証明されるわけではありません。契約、会社法、コンプライアンスなどの基礎も並行して学ぶことが大切です。

宅建・簿記・ITパスポートは法務部に関係あるか

「法律以外の資格は意味があるの?」と思うかもしれませんが、目的が合えば役立ちます。

宅建(宅地建物取引士)

不動産、建設、金融、賃貸借、開発案件などと相性がよい資格です。不動産取引や権利関係の基礎理解に役立つ場合があります。学習の中で民法の一部にも触れます。ただし、法務部全般に必須というわけではありません。

簿記(日商簿記)

会社の数字、取引、会計、M&A、与信、稟議を理解する補助になります。法務部でも、契約金額、損害額、事業性、財務資料を見る場面があります。数字に強くなると、ビジネスを理解する法務に近づけます。ただし、会計資格だけで法務知識を補えるわけではありません。

ITパスポート・情報系資格

IT、AI、個人情報、セキュリティ、システム契約、法務DXに関心がある学生と相性がよい資格です。ただし、技術知識だけで契約・法令判断ができるわけではありません。法務でのIT・AI活用については第12話「法務部で使うIT・AI・Word・Excel」で扱います。

行政書士・司法試験・予備試験はどう考えるか

学習負担の大きい資格は、特に慎重に考えたいところです。

行政書士

法律学習の範囲が広く、一定の学習量が必要です。行政法、民法、会社法などの学習につながる場合があります。ただし、企業法務部への新卒就職だけを目的にすると、負担が大きい場合があります。取得する場合は、資格をどう法務部で活かすかを説明できることが大切です。

司法試験・予備試験

法律専門職を目指す強いルートです。合格や受験経験は、法律学習の深さを示す材料になり得ます。ただし、学習負担が非常に大きく、企業法務就職とのバランスを考える必要があります。「司法試験を目指すのか、企業法務部を目指すのか」という目的を整理することが重要です。なお、弁護士資格がなくても、企業法務部で働く人はたくさんいます。どちらが良い・悪いということではなく、自分の目的に合うルートを選びましょう。

難関資格は「目的の整理」が先

行政書士や司法試験・予備試験は、それ自体が価値ある挑戦です。ただし、法務部就職「だけ」を目的に安易に選ぶと、就活準備の時間を圧迫することがあります。挑戦する場合は、「なぜ挑戦するのか」「合否にかかわらず何を得たいのか」を整理してから始めると、納得感を持って進められます。

法学部生と非法学部生で資格の意味は違う

同じ資格でも、法学部生と非法学部生では意味合いが変わります。

表4:法学部生と非法学部生での資格の意味
項目法学部生法学部以外の学生
資格の主な役割企業法務への関心を補強する材料法律学習の入口・関心の証明
重視すべきこと学んだ法律を実務に結び付ける説明専攻の強みと法律学習の組み合わせ
あわせて必要な力文章力・リサーチ力・契約書読解法律の基礎+専攻の強み
注意点資格自体が目的化しないように資格だけで差が完全には埋まらない

※表は横にスクロールできます

法学部生は、すでに授業で法律を学んでいるため、資格は関心を補強する材料です。資格そのものより、学んだ法律を実務にどう結び付けるかの説明が重要になります。一方、非法学部生にとって資格は、法律学習の入口として使いやすく、法務部志望の理由を補強できます。ただし、資格だけで法学部生との差が完全に埋まるわけではないため、自分の専攻の強みと法律学習を組み合わせて語ることが大切です。非法学部からの目指し方は第2話、履修したい法律科目は第3話で扱っています。

志望業界別の資格選び

志望業界によって、相性のよい資格や学習テーマは変わります。次の表を参考に、自分の志望先と照らしてみてください。なお、「この業界ならこの資格が必須」というわけではありません。

表5:志望業界別の資格選び
志望業界相性のよい資格・学習テーマ理由
メーカー知財検定、ビジネス実務法務検定技術・知財・契約が関わる
IT・WebサービスITパスポート等、知財検定、TOEICシステム契約・データ・知財
金融簿記、ビジネス実務法務検定会計・規制・コンプラが重要
不動産・建設宅建、ビジネス実務法務検定不動産取引・権利関係
商社TOEIC、簿記、ビジネス実務法務検定海外取引・契約・数字
エンタメ・メディア知財検定、ビジネス実務法務検定著作権・コンテンツ・契約
スタートアップビジネス実務法務検定、簿記幅広い法務・事業理解
グローバル企業TOEIC、ビジネス実務法務検定英語・国際的な法務
コンプラ重視企業ビジネス実務法務検定、個人情報系コンプライアンス・情報管理
知財重視企業知財検定、ビジネス実務法務検定知財管理・ライセンス

※表は横にスクロールできます

資格と法務部の仕事の対応

資格が法務部のどの仕事につながるのかを、対応図で整理します。ただし、どの仕事も「資格だけ」では足りない力があることを忘れないでください。

図解5資格と法務部の仕事の対応図
契約審査
ビジネス実務法務検定、民法・会社法学習
英文契約
TOEIC、法律英語学習
知財・ライセンス
知的財産管理技能検定
不動産取引
宅地建物取引士
M&A・会計理解
日商簿記
情報管理・AI・DX
ITパスポート、個人情報系資格
高度な法律学習
行政書士、司法試験・予備試験

資格と仕事は、このように対応します。ただし、たとえば契約審査には、資格に加えて契約書の読み方や事業理解、文章力が必要です。資格は出発点であり、実務力はその先に積み上げるものだと考えましょう。

表3:資格と法務部の仕事の対応表
法務部の仕事関係しやすい資格資格だけでは足りない力
契約審査ビジネス実務法務検定契約書読解・事業理解・文章力
英文契約TOEIC法律英語・契約リスクの理解
知財・ライセンス知的財産管理技能検定契約・会社法の基礎
不動産取引宅地建物取引士取引全体の法務知識
M&A・会計理解日商簿記法務・契約の知識
情報管理・DXITパスポート、個人情報系法令判断・契約の知識
高度な法律学習行政書士、司法試験等実務経験・事業理解

※表は横にスクロールできます

資格より大切なこと

ここまで資格を紹介してきましたが、最後に強調したいことがあります。それは、資格を取ること自体より、なぜ取ったのか、何を学んだのかを説明できることが大切だということです。学んだことを契約書、法令調査、コンプライアンス、企業研究に結び付け、「具体的に何ができるようになったか」を語れるようにしましょう。ES・面接では、「資格取得の目的」「学習過程」「法務部での活かし方」を話せると効果的です。そして、資格学習に時間を使いすぎて、授業、ゼミ、インターン、企業研究がおろそかにならないよう、バランスにも注意してください。

図解7資格学習と他の準備のバランス
大学の授業 資格学習 リーガルリサーチ 契約書読解 英語 ゼミ・課外活動 インターン 企業研究 ES・面接

資格学習は、大学生活の一部にすぎません。授業、リサーチ、契約書読解、課外活動、インターン、企業研究、ES準備など、どれも法務部志望にとって大切です。資格だけに偏らず、全体のバランスを取りながら進めましょう。

ES・面接で資格をどう話すか

ES・面接では、資格名を挙げるだけで終わらせないことがポイントです。次の型に沿って語ると、説得力が増します。

図解6ES・面接で資格を伝える型
STEP 1なぜその資格を選んだか
STEP 2何を学んだか
STEP 3どの実務に関係するか
STEP 4自分の経験とどうつながるか
STEP 5入社後どう活かすか

この型に沿えば、資格を「点」ではなく「ストーリー」として語れます。選んだ理由から入社後の活かし方まで一本の線でつなぐと、面接官に伝わりやすくなります。

ES・面接での言い方:悪い例と改善例

悪い例:「法務部に入りたいので資格を取りました。」——これでは、何を学び、どう活かすかが伝わりません。

改善例:「契約審査やコンプライアンスの基礎を理解するために、企業活動に関係する法律を体系的に学びました。今後は、契約書の読み方やリーガルリサーチの練習と結び付けて、実務に近い形で理解を深めたいと考えています。」——目的・学び・今後の活かし方がつながっています。

具体的なES・面接対策は、第14話「ES・志望動機・面接対策」で詳しく扱います。

資格学習でよくある失敗

資格学習でやりがちな失敗と、その改善策をまとめます。

表6:資格学習でよくある失敗と改善策
失敗例何が問題か改善策
資格を取れば入れると思う資格は手段にすぎない学びと活かし方を語れるように
たくさん取ろうとする目的がぼやける補いたい力から1つ選ぶ
難関資格に時間を使いすぎ就活準備が遅れる時期と負担を先に確認
資格名だけESに書く中身が伝わらない学習過程と活用を書く
実務と結び付けられない説得力が出ない契約・調査と関連づける
TOEICで契約も読めると思う別の力が必要法律英語を別途学ぶ
事業理解や文章力を軽視法務に必要な力が不足資格以外の力も磨く
民間資格を過大評価位置付けを誤る役割を冷静に見極める
古い試験情報で判断制度変更を見落とす公式サイトで最新確認

※表は横にスクロールできます

大学生が今日からできること

  • 1資格で補いたい力を「法律・英語・知財・会計・IT」に分ける
  • 2志望企業の採用ページで、資格や英語力の記載があるか確認する
  • 3ビジネス実務法務検定、TOEIC、知財検定などの公式サイトを確認する
  • 4資格学習に使える期間と就活時期をカレンダーに書く
  • 5資格名ではなく「法務部でどう活かすか」を1文でメモする
  • 6第15話のロードマップと照らし、自分の学年で優先する資格を1つ決める
  • 7資格学習を、契約書読解・リーガルリサーチと組み合わせる

まずは、自分が補いたい力を5つの分野に分けてみるところからで十分です。学年別の進め方は、第15話「学年別ロードマップ」で確認できます。

よくある誤解

法務部と資格にまつわる誤解を、実際の姿と並べて整理します。

誤解法務部に入るには資格が必須である
実際必須の資格は一律に決まっていません。手段の一つです。
誤解資格があれば法務部に必ず入れる
実際資格だけで採用は決まりません。活かし方の説明が大切です。
誤解ビジ法だけで契約書レビューができる
実際基礎学習です。契約書読解は別途練習が必要です。
誤解TOEICが高ければ英文契約を読める
実際法律英語は別の力です。あわせて学ぶ必要があります。
誤解司法試験を目指さないと企業法務は難しい
実際弁護士資格がなくても企業法務で働く人は多くいます。
誤解法学部生は資格を取らなくてよい
実際関心を補強する材料になります。目的次第で有効です。
誤解非法学部生は資格で差を完全に埋められる
実際資格は入口です。専攻の強みと組み合わせて語りましょう。
誤解資格をたくさん取るほど有利である
実際数より、目的と活かし方の説明が重要です。
誤解民間資格はすべて同じように評価される
実際資格ごとに位置付けは異なります。冷静に見極めましょう。

FAQ|法務部就職と資格に関する質問

法務部に入るには資格が必要ですか?

必須の資格は一律には決まっていません。資格は法律・英語などの基礎を示す手段であり、なくても法務部を目指せます。大切なのは、学んだ内容を実務にどう結び付けるかです。

法務部就職に一番役立つ資格は何ですか?

一律の正解はありませんが、多くの学生には、法律基礎を学べるビジネス実務法務検定と、英語の土台となるTOEICが取り組みやすい候補です。志望業界によって最適は変わります。

ビジネス実務法務検定は法務部就職に役立ちますか?

企業法務の基礎を学ぶ入口として役立ちます。ただし、合格だけで契約書レビューができるわけではなく、学んだ内容を実務に結び付ける姿勢が大切です。

TOEICは法務部就職で評価されますか?

英語力の目安として見られることがあります。ただし、求める水準は企業ごとに異なり、法律英語や英文契約読解は別途必要です。詳しくは第8話へ。

知的財産管理技能検定はどんな学生に向いていますか?

メーカー、IT、コンテンツ、研究開発など、知財に関わる分野に関心がある学生に向いています。理系・クリエイティブ分野の学生にも活かしやすい資格です。

宅建や簿記は法務部に関係ありますか?

目的が合えば役立ちます。宅建は不動産・建設・金融、簿記は会計や数字の理解に活きます。ただし、いずれも法務部全般に必須というわけではありません。

行政書士や司法試験を目指すべきですか?

一概には言えません。学習負担が大きいため、目的を整理することが大切です。弁護士資格がなくても企業法務で働く人は多く、法務部就職だけが目的なら慎重に検討しましょう。

法学部以外の場合、資格を取れば法務部を目指しやすくなりますか?

資格は法律学習の入口として役立ち、関心を示す材料になります。ただし資格だけで差が完全に埋まるわけではないので、専攻の強みと組み合わせて語りましょう。第2話も参考になります。

まとめ|法務部の資格は「目的と活かし方」で選ぶ

この記事のポイント

  • 法務部就職に必須の資格は一律に決まっておらず、資格だけで採用は決まらない
  • 資格は法律・英語・知財・会計・ITの基礎を補う「手段」
  • 多くの学生はビジネス実務法務検定とTOEICが取り組みやすい候補
  • 行政書士・司法試験などは学習負担が大きく、目的の整理が必要
  • ES・面接では資格名でなく「目的・学び・活かし方」を語る

法務部就職に資格は役立つことがありますが、資格はゴールではありません。大切なのは、自分がどの力を補うために資格を選び、学んだ内容を契約書、リーガルリサーチ、コンプライアンス、英語、企業研究にどう結び付けるかです。まずは、補いたい力を整理して、自分に合う1つを選ぶところから始めましょう。次は、ゼミ・サークル・アルバイトなどの経験を法務部志望にどう活かすかを見ていきます。

NEXT STEP

次は「課外活動の活かし方」を確認しましょう

資格の優先順位を整理したら、次はゼミ・サークル・アルバイトなどの経験を、法務部志望のガクチカとしてどう活かすかを確認しましょう。第10話では、課外活動を法務部向けに言語化する方法を解説します。

第10話|課外活動の活かし方を見る
ES・面接での伝え方を深めたい方は、第14話「ES・志望動機・面接対策」もおすすめです。
参考情報

※試験制度・受験資格・等級・日程・受験料などは変更される場合があります。受験を検討する際は、必ず各実施団体の公式サイトで最新情報をご確認ください。

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