育児・介護との両立配慮とは?フリーランス法で発注者に求められる対応
フリーランスは従業員ではないため、育児休業・介護休業の制度がそのまま適用されるわけではありません。しかし、継続的な業務委託では、妊娠・出産・育児・介護などと業務を両立するための配慮が問題になります。発注企業にとっても、無理な納期や連絡対応を押し付けるのではなく、業務継続と配慮のバランスを取ることが大切です。第11話では、発注企業が整備すべき対応フローと、フリーランス本人が申出をする際のポイントを、初心者向けに表で解説します。
読んだだけで終わると、次の案件でまたゼロから考えることになります。
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1. はじめに|第11話は「両立配慮」
第10話ではハラスメント対策を扱いました。第11話のテーマは、就業環境整備のうち育児・介護等と業務の両立に対する配慮です。従業員向けの育児・介護休業制度と混同されやすいですが、ここで問題になるのは、発注企業がフリーランスから申出を受けた場合に、状況に応じて必要な配慮を行うという考え方です。
2. 育児・介護等と業務の両立配慮とは
これはフリーランス法の就業環境整備に関するルールの一つです(法第13条)。特定業務委託事業者は、フリーランスからの申出に応じて、妊娠・出産・育児・介護等と業務を両立できるよう、その状況に応じた必要な配慮を行うことが求められます。6か月以上の継続的業務委託では義務として、6か月未満の業務委託でも努力義務として問題になります。申出があったときに、何も検討せずに断る・無視する・不利益に扱うことは避けるべきです。
3. どのような事情が対象になるのか
主に妊娠・出産・育児・介護が対象です。妊婦健診、出産前後の体調、子の急病、保育園・学校行事、家族の通院付き添い、介護サービスの調整などが具体例として考えられます。なお、プライバシーに配慮し、必要以上に詳細な事情を聞きすぎないことが大切です。業務への影響と必要な配慮内容を中心に確認しましょう。
| 事情 | 具体例 | 発注企業が確認すべきこと | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 妊娠 | 妊婦健診、体調不良、移動負担 | 打合せ時間・場所・納期への影響 | 詳細な健康情報を聞きすぎない |
| 出産 | 出産前後の一時的な業務停止 | 対応できない期間、代替対応 | 契約終了と短絡しない |
| 育児 | 子の急病、保育園送迎、学校行事 | 納期調整、連絡時間帯 | 突発対応を想定する |
| 介護 | 家族の通院、介護サービス調整、緊急対応 | 作業時間、打合せ日程 | 継続的・突発的負担を考慮する |
| 通院等 | 本人または家族の通院付き添い | 日程調整、オンライン対応 | 必要以上の情報取得に注意する |
4. 6か月以上と6か月未満で何が違うのか
配慮の位置づけは、業務委託の期間によって変わります。6か月以上の継続的業務委託では、申出に応じて必要な配慮を行う義務が問題になります(13条1項)。6か月未満の業務委託では、必要な配慮を行うよう努める努力義務が求められます(13条2項)。なお「継続的業務委託」には、契約更新により通算して6か月以上継続するものも含まれます。期間は、契約を締結した日を始期、契約が終了する日を終期として算定され、6か月経過前でも6か月以上が見込まれる場合は対象になり得ます。
| 業務委託の期間 | 発注者に求められる対応 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 6か月以上 | 申出に応じて必要な配慮を行う義務が問題になる | 継続案件・更新案件を管理する |
| 6か月未満 | 必要な配慮を行うよう努めることが求められる | 単発でも無視せず、対応可能性を検討する |
| 更新を繰り返す案件 | 通算して6か月以上継続しているか確認が必要 | 契約更新履歴・発注履歴を見る |
| 期間が不明確な案件 | まず契約期間・発注期間を整理する | 発注書・契約書・メールを確認する |
5. どのような配慮が考えられるか
配慮の具体例としては、打合せ時間の調整、オンライン化、納期変更、納品方法の変更、業務量の調整、連絡時間帯の調整、作業場所の変更、代替スケジュールの設定などが考えられます。配慮内容は、業務内容や取引条件によって変わります。発注企業は、可能な配慮と難しい配慮を整理し、代替案を検討しましょう。
| 配慮の種類 | 具体例 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 打合せ時間の調整 | 妊婦健診や送迎時間を避ける | 定例会・レビュー会議 | 相手方だけでなく社内関係者とも調整する |
| オンライン対応 | 対面打合せをオンラインに変更する | 移動負担が大きい場合 | 情報管理・資料共有方法を確認する |
| 納期調整 | 子の急病等により納期を短期間延ばす | 成果物納品型業務 | 取引先納期への影響を確認する |
| 納品方法の変更 | 手渡しからメール・クラウド納品にする | 移動・出社が難しい場合 | 受領日・検収方法を記録する |
| 業務量の調整 | 一時的に業務量を減らす | 継続的な運用・制作業務 | 報酬・納期への影響を整理する |
| 連絡時間帯の配慮 | 深夜・早朝・送迎時間帯の連絡を避ける | チャット・メール中心業務 | 緊急連絡ルールも決める |
6. すべて希望どおりに対応する必要があるのか
配慮は、希望をすべてそのまま受け入れる義務ではありません。発注企業は、業務内容・納期・品質・安全性・取引先との約束・代替手段の有無・他の関係者への影響を踏まえて検討します。希望どおり対応できない場合でも、理由を説明し、代替案を検討することが重要です。
| 申出内容 | 対応が難しい理由の例 | 代替案の例 | 記録すべきこと |
|---|---|---|---|
| 納期を大幅に延ばしたい | 取引先納期が固定されている | 一部納品、優先順位変更、業務範囲縮小 | 理由、協議内容、合意内容 |
| 対面作業をすべてオンラインにしたい | 現地確認が必須の業務である | 一部オンライン化、代理確認、日程変更 | 業務上必要な理由 |
| 連絡を平日日中のみにしたい | 緊急対応が必要な業務がある | 緊急時のみ例外連絡、通常連絡時間の設定 | 緊急連絡ルール |
| 業務量を大幅に減らしたい | 成果物の納期・品質に影響が大きい | 期間限定の業務量調整、追加人員検討 | 調整案、報酬変更の有無 |
7. 申出を受けたときの発注企業の対応フロー
フリーランスから育児・介護等に関する申出を受けたときは、申出内容の確認 → 業務への影響確認 → 対応可能性の検討 → 代替案の提示 → 合意内容の記録 → 不利益取扱い防止という流れで進めます。法務・人事・総務・現場・購買が連携し、申出に含まれるプライバシー情報は必要な範囲で共有しましょう。
| No. | 対応内容 | 担当部門の例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 1 | 申出を受け付ける | 窓口・現場 | 無視・放置しない |
| 2 | 申出内容と希望する配慮を確認する | 窓口・現場 | 事情を聞きすぎない |
| 3 | 業務内容・納期・契約期間を確認する | 現場・購買 | 業務への影響を整理 |
| 4 | 6か月以上の業務委託か確認する | 法務・購買 | 更新通算も確認 |
| 5 | 対応可能性を検討する | 現場・法務 | 選択肢を洗い出す |
| 6 | 必要に応じて代替案を提示する | 現場 | 協議の姿勢を示す |
| 7 | 合意内容を記録する | 現場・法務 | 口頭だけにしない |
| 8 | 発注書・スケジュール・支払条件に反映する | 購買・経理 | 変更点を明確化 |
| 9 | 不利益取扱いがないか確認する | 法務・管理部門 | 申出と発注判断を切り分け |
| 10 | 記録を保存する | 法務・人事 | アクセス制限を設ける |
8. 不利益取扱いに注意する
フリーランスが育児・介護等に関する申出をしたことを理由に、不利益な取扱いをすることは避けるべきです。例えば、契約解除、更新拒絶、発注停止、報酬減額、評価低下、今後の案件紹介停止などです。業務上の合理的理由がある対応と、申出を理由とする不利益取扱いは区別する必要があります。判断が難しい場合ほど、理由・経緯・代替案検討の記録が重要になります。なお、契約の中途解除・不更新そのもののルール(事前予告・理由開示)は第12話で扱います。
| 対応 | なぜ問題になりやすいか | 適切な対応の考え方 | 残すべき記録 |
|---|---|---|---|
| 申出後に契約を打ち切る | 申出への報復と見られ得る | 業務上の理由と申出との関係を慎重に確認する | 契約終了理由、検討記録 |
| 申出後に発注を停止する | 育児・介護事情を理由に排除したように見える | 発注停止の合理的理由を整理する | 発注方針、業務量の変化 |
| 報酬を一方的に減らす | 配慮を理由とする不利益に見える | 業務範囲変更がある場合は協議する | 変更合意、見積 |
| 相談したことを現場で不利に扱う | 二次被害につながる | 関係者への周知と管理を行う | 対応履歴 |
9. 発注企業が事前に整備すべき社内ルール
申出が来てから慌てるのではなく、事前にフローを整備することが重要です。対象取引の管理、申出窓口、現場担当者の対応ルール、プライバシー保護、不利益取扱い防止、記録保存を整えましょう。既存のハラスメント窓口・コンプライアンス窓口・業務委託管理フローと連携し、契約書・発注書・取引開始案内にも相談方法を入れることを検討します。
| 整備項目 | 内容 | 担当部門の例 | 使用する資料・ツール |
|---|---|---|---|
| 対象取引の管理 | 6か月以上の継続案件を把握 | 購買・法務 | 取引管理台帳 |
| 申出受付窓口 | 申出を受ける窓口を明確化 | 人事・現場 | 窓口案内 |
| 現場担当者向けマニュアル | 初動対応の手順 | 各事業部 | 対応マニュアル |
| 配慮検討チェックリスト | 検討すべき観点を整理 | 法務・現場 | チェックリスト |
| プライバシー保護ルール | 情報共有範囲の限定 | 人事・法務 | 取扱い規程 |
| 不利益取扱い防止ルール | 申出を理由に不利益を与えない | 法務・人事 | 社内規程 |
| 契約書・発注書への反映 | 相談方法・協議手順を記載 | 法務・購買 | 契約テンプレート |
| 記録保存ルール | 申出・検討・回答の保存 | 法務・各部門 | 記録様式 |
| 相談窓口との連携 | ハラスメント窓口等と連携 | 人事・法務 | 連携手順 |
| 研修・周知 | 現場・管理職へ周知 | 人事・総務 | 研修資料 |
10. 契約書・発注書・取引開始案内で見直すべきこと
育児・介護等への配慮は、契約条項だけで完結するものではありませんが、取引文書にも反映すると運用しやすくなります。相談窓口・申出方法・連絡先・変更時の協議方法・納期変更や業務量調整・支払条件変更の扱いを整理しましょう。ただし、発注者に過度に広い裁量を与える条項や、フリーランスの申出を事実上封じる条項は避けることが大切です。
| 文書 | 見直す内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 業務委託契約書 | 相談・協議方法、変更時の取扱い | 申出を封じる条項にしない |
| 発注書 | 相談窓口の案内 | 毎回の発注でも触れる |
| 取引開始時案内 | 配慮の相談方法・窓口 | オンボーディングに組込む |
| 業務マニュアル | 現場の初動対応 | 独断処理を防ぐ |
| 連絡ルール | 連絡時間帯・緊急時対応 | 過度な常時対応を求めない |
| 変更依頼書 | 納期・業務量の変更手順 | 合意を記録する |
| 納期変更合意書 | 変更後の納期・条件 | 受領日・検収を明確化 |
| 相談窓口案内 | フリーランスの利用可を明示 | 連絡先を具体化 |
| 社内チェックリスト | 検討・記録の観点 | 保存とアクセス制限 |
11. フリーランス本人が申出をするときのポイント
フリーランス本人は、事情を必要以上に詳しく説明する必要はありませんが、業務にどのような影響があり、どのような配慮を求めるのかを具体的に伝えると、協議が進みやすくなります。申出は、メールやチャットなど記録が残る方法で行うのがおすすめです。代替案を一緒に示すと、発注者も検討しやすくなります。相談先や行政申出の詳細は第14話で扱います。
| 整理する事項 | 具体的に書くこと | 残しておきたい資料 |
|---|---|---|
| 対象業務 | どの案件・業務についてか | 発注書、契約書 |
| 現在の契約期間 | いつからいつまでか | 契約書、更新履歴 |
| 困っている事情 | 妊娠・育児・介護等の概要 | 必要な範囲のメモ |
| 業務への影響 | 納期・打合せ・連絡への影響 | スケジュール |
| 希望する配慮 | 具体的な配慮内容 | 申出メール |
| 希望する期間 | いつまで配慮が必要か | 申出メール |
| 代替案 | こちらから提案できる調整 | 提案メモ |
| 納期・品質への影響 | 業務継続のための工夫 | 調整案 |
| 連絡可能時間 | 対応しやすい時間帯 | 申出メール |
| 過去のやり取り | これまでの相談経緯 | メール・チャット |
12. 申出文面の例(フリーランス向け)
フリーランス本人が、両立配慮を申し出るための文面例です。対立的にならず、業務継続のための相談として自然に伝える内容にしています。妊娠・育児・介護の3パターンを示します。
【パターン1:妊娠】
お世話になっております。現在妊娠中で、妊婦健診や体調の関係で移動の負担を減らしたく、ご相談です。当面、定例打合せをオンラインに変更いただくことは可能でしょうか。納品スケジュールは現状どおり対応する予定です。記録に残る形でご回答いただけますと助かります。
【パターン2:育児】
お世話になっております。子どもの送迎・急病対応のため、平日夕方以降の連絡対応が難しい状況です。連絡は平日日中を基本にしていただき、急ぎの場合の連絡方法を別途決めさせていただけますでしょうか。納期は調整可能な範囲でご相談したく存じます。
【パターン3:介護】
お世話になっております。家族の介護のため、来月から一時的に対応可能な業務量を調整したく、ご相談です。具体的には、○○業務を当面△件までとし、状況が落ち着き次第戻す形を希望します。難しい場合は、代替案をご相談させてください。
13. 発注企業側の回答文面例
発注企業が、フリーランスから申出を受けたときの返信文面例です。受付・確認・プライバシー配慮・不利益取扱いをしないこと・検討を含めます。すぐ対応できる場合・代替案を示す場合・対応が難しい場合の3パターンを示します。
□□様 ご相談ありがとうございます。内容を確かに受け付けました。いただいた事情はプライバシーに配慮して取り扱い、本件のご相談を理由に不利益な取扱いをすることはありません。
【パターン1:対応可能】
ご希望の件、対応可能です。次回以降の定例はオンラインに変更します。納期は現状どおりで進めさせてください。変更内容は本メールで記録として残します。
【パターン2:代替案を提示】
ご希望のうち一部は調整が難しいため、代替案をご提案します。連絡は平日日中を基本とし、緊急時のみ別途ご連絡する運用ではいかがでしょうか。詳細をすり合わせのうえ、合意内容を記録させてください。
【パターン3:対応が難しい場合】
恐れ入りますが、現地確認が必須の業務のため、全面オンライン化は難しい状況です(理由:取引先の検収が現地で必要なため)。代わりに、一部工程のオンライン化と日程の前倒しで負担を抑える案をご検討いただけますか。引き続き相談させてください。
14. よくある誤解
| 誤解 | 実際の考え方 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 従業員ではないので配慮は不要 | フリーランスにも配慮(義務・努力義務)が求められる | 期間で位置づけを確認 |
| 申出があれば希望どおりすべて対応しなければならない | 希望をすべて受け入れる義務ではない | 検討と説明が求められる |
| 6か月未満なら何も配慮しなくてよい | 6か月未満でも努力義務がある | 無視せず検討する |
| 事情を詳しく聞けば聞くほどよい | 必要以上の情報取得はプライバシー上問題 | 業務への影響を中心に |
| 申出をされたら契約を終了すればよい | 申出を理由とする契約終了は不利益取扱いになり得る | 理由と経緯を記録 |
| 納期を守れないなら直ちに報酬を減額してよい | 一方的な報酬減額は問題になり得る | 業務範囲変更は協議する |
| 口頭で調整すれば記録は不要 | 協議・合意内容は記録すべき | メール等で残す |
| 現場担当者だけで判断してよい | 独断処理は誤対応の原因になる | 窓口・法務と連携 |
| 妊娠・育児・介護の申出はハラスメントとは無関係 | 申出への否定的言動はハラスメントにもなり得る | 第10話とあわせて運用 |
| フリーランスが何も言わなければ何も考えなくてよい | 申出への対応が基本だが、無理な運用は見直す | 相談しやすい体制を整える |
15. このシリーズで次に読むべき記事
就業環境の整備に関するテーマは続きます。次の第12話は中途解除・不更新の事前予告と理由開示です。ハラスメント対策は第10話、取引条件の明示は第4話、仕様変更・追加作業は第8話、違反が疑われた場合の対応は第14話へ。
- 第1話:フリーランス法とは?初心者向けに目的・対象・基本ルールをわかりやすく解説
- 第2話:フリーランス法の対象者とは?「フリーランス」と「発注事業者」の考え方
- 第3話:業務委託なら全部対象?フリーランス法が適用される取引・されない取引
- 第4話:取引条件の明示義務とは?発注時に書くべき項目をわかりやすく解説
- 第5話:フリーランスへの報酬支払ルール|支払期日・遅延・未払いの注意点
- 第6話:フリーランス法の禁止行為7つ|受領拒否・報酬減額・買いたたきとは
- 第7話:「買いたたき」とは何か?フリーランス法で問題になる報酬交渉の境界線
- 第8話:やり直し・追加作業はどこまで頼める?フリーランス法と仕様変更の注意点
- 第9話:募集情報の的確表示とは?フリーランス募集でNGになりやすい表現
- 第10話:フリーランスへのハラスメント対策|発注企業が整備すべき相談体制
- 第11話:育児・介護との両立配慮とは?フリーランス法で発注者に求められる対応(この記事)
- 第12話:契約解除・中途解約の注意点|フリーランス法の事前予告と理由開示
- 第13話:下請法・独占禁止法・労働法との違い|フリーランス法だけ見ればよいのか
- 第14話:フリーランス法違反が疑われたら?相談先・申出・社内対応の流れ
- 第15話:フリーランス法対応チェックリスト|発注前・発注時・終了時に確認すべきこと
16. まとめ
- 育児・介護等への配慮は、フリーランス法上の就業環境整備に関する重要なルールです(法第13条)。
- 6か月以上の継続的業務委託では、申出に応じて必要な配慮を行う義務が、6か月未満でも努力義務が問題になります。
- 配慮とは、希望をすべて受け入れることではなく、申出内容・業務内容・納期・代替案を踏まえて協議・検討することです。
- 希望どおり対応できない場合も、理由説明・代替案検討・記録保存が重要です(検討せず放置することが問題になります)。
- 発注企業は、申出受付・検討・回答・記録保存・不利益取扱い防止のフローを整えましょう。
- フリーランス本人は、業務への影響と希望する配慮を具体的に整理して申し出ると、協議が進みやすくなります。
- 個別の事案では、業務内容・契約期間・申出内容・納期・発注者側の事情・代替手段の有無などにより判断が変わります。重要な事案では専門家への相談もご検討ください。
次回は、就業環境の整備のうち第12話:中途解除・不更新の事前予告と理由開示を解説します。
育児・介護等の申出を、現場判断だけで処理しないために
フリーランス法対応では、契約書や発注書だけでなく、継続的な業務委託の管理、申出受付、配慮検討、変更記録まで整えることが重要になります。育児・介護等への配慮は、希望をすべて受け入れることではなく、申出内容と業務条件を踏まえて対応可能な方法を協議することが大切です。Legal GPTでは、企業法務・コンプライアンス実務に役立つ記事や実務ツールを提供しています。
参考情報
本記事は、以下の公的資料に基づいて制度の全体像を整理しています(いずれも公開情報。最新の内容や詳細は各官庁の公式サイトをご確認ください)。
- 厚生労働省|フリーランスとして業務を行う方・業務委託を行う事業者の方等へ(就業環境整備・第13条等)/育児介護等との両立配慮に関する指針・取組事例集
- https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html
- 公正取引委員会|フリーランス法特設サイト・取組
- https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited.html / https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2025/
- 中小企業庁|特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律
- https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/law_freelance.html
- 政府広報オンライン|フリーランスが安心して働ける環境づくりのための法律
- https://www.gov-online.go.jp/article/202408/entry-6301.html
- 公正取引委員会・厚生労働省|特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方(解釈ガイドライン)・Q&A
- 各官庁サイトに掲載
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法律相談ではありません。掲載している文面例はたたき台です。必要な配慮の内容や対応は、業務内容・契約期間・申出内容・納期・発注者側の事情・代替手段の有無などにより判断が変わります。具体的な事案への対応は、必要に応じて専門家にご相談ください。
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