フリーランスは発注企業の従業員ではないため、「社員向けのハラスメント対策とは別」と考えてしまいがちです。しかし、業務委託の現場でも、発注担当者の言動、チャット、オンライン会議、現場対応、出張同行、撮影・イベントなどでハラスメントが問題になり得ます。第10話では、発注企業が整備すべき相談体制と、フリーランス本人が相談前に整理しておくべきことを、初心者向けに表で解説します。

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1. はじめに|第10話は「ハラスメント対策」

第9話では募集情報の的確表示を扱いました。第10話のテーマは、就業環境整備のうちハラスメント対策に係る体制整備義務です。フリーランスは雇用関係にないものの、業務委託の相手方として発注企業と継続的に関わる以上、発注企業には相談を受け、適切に対応する体制が求められます。

2. フリーランス法のハラスメント対策とは

ハラスメント対策に係る体制整備義務は、フリーランス法の就業環境整備に関するルールの一つです(法第14条)。特定業務委託事業者は、フリーランス(特定受託業務従事者)に対するハラスメント行為により就業環境を害することのないよう、相談に応じ適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講じる必要があります。「従業員ではないから相談を受け付けない」という運用は危険です。

押さえておきたいポイント フリーランスは発注企業の従業員ではありません。しかし、業務委託の相手方として発注企業と関わる以上、発注企業は「相談を受けられる体制」「相談後に適切に対応する体制」を整えておく必要があります。
この義務には「6か月以上」の要件がありません 育児・介護配慮(第13条)や中途解除の事前予告(第16条)は「6か月以上の継続的業務委託」が対象ですが、ハラスメント対策の体制整備義務(第14条)は、その期間要件なく適用されると整理されています。また、ここでいうフリーランス(特定受託業務従事者)は、個人のフリーランスのほか、一人会社の代表者も含みます。

3. どのようなハラスメントが問題になるのか

フリーランス法の文脈では、主にセクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント、パワーハラスメントに相当する行為が問題になります(第14条1項)。ここでは雇用労働法上の細かな要件論には深入りせず、フリーランスの就業環境を害する行為として整理します。オンライン会議、チャット、現場作業、撮影・イベント、出張同行など、フリーランス特有の接点も対象になり得ます。

表1:フリーランス取引で問題になりやすいハラスメントの例
類型初心者向けの意味問題になりやすい例注意点
セクシュアルハラスメント性的な言動により就業環境を害する行為容姿への性的発言、交際・食事への執拗な誘い、性的な冗談、身体接触相手がフリーランスでも許されるわけではない
妊娠・出産等に関するハラスメント妊娠・出産等に関する言動により就業環境を害する行為妊娠を理由に嫌味を言う、出産予定を理由に不利な扱いを示唆する第11話の育児・介護配慮とも関連する
パワーハラスメントに相当する行為優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超える言動をすること怒鳴る、人格否定、過度な叱責、深夜・休日の過剰な連絡、無理な要求発注者と受注者の力関係に注意する
オンライン・チャット上のハラスメントデジタル上の発言・連絡で就業環境を害すること公開チャンネルでの叱責、深夜の連絡強要、侮辱的メッセージ記録が残りやすい一方、拡散リスクもある
「誰の言動」「どこでの言動」が対象か 行為者には、発注企業の代表者だけでなく従業員の言動も含まれ得ます。また「業務委託に関して行われる」言動とは、業務を遂行する場所・場面で行われるものを指し、通常の業務場所以外でも、打合せの飲食店や移動中など実質的に業務遂行の延長と考えられる場面は対象になり得ます(業務との関連性などから個別に判断)。

4. 発注企業が講じるべき基本措置

厚生労働省等の説明を踏まえると、発注企業が整備すべき基本措置は、雇用分野のパワハラ防止措置と同様の枠組みで整理できます。方針の明確化・周知、相談体制、事後の迅速適切な対応に加え、プライバシー保護と不利益取扱い禁止を必ず含めます。社員向けのハラスメント規程がある場合でも、フリーランスが対象に含まれるかを確認しましょう。

表2:発注企業が整備すべきハラスメント対策の基本措置
No.措置初心者向けの意味実務でやること担当部門の例
1方針の明確化ハラスメントを行ってはならない方針を定める規程・方針文書に明記する法務・人事
2方針の周知・啓発方針を関係者に知らせ理解させる研修・社内周知・案内人事・総務
3相談体制の整備相談を受けられる窓口を設ける窓口設置・受付方法を整理人事・法務
4相談への適切な対応相談に応じ、適切に対応する担当者教育・対応手順整備人事・法務
5事後の迅速かつ適切な対応事実確認・是正を速やかに行う調査・関係者対応・是正法務・管理部門
6プライバシー保護相談者・行為者等の情報を守る情報共有範囲を限定する人事・法務
7不利益取扱い禁止の明確化・周知相談を理由に不利益を与えない規程に明記し周知する法務・人事
8再発防止同じ問題を繰り返さない取組研修再実施・運用見直し人事・各部門

5. 相談窓口をどう整備するか

相談窓口は、名称だけ置けばよいわけではありません。フリーランスが相談できることを明示し、相談方法・受付先・受付時間・匿名相談の可否・外部窓口の有無・対応フローを整理します。相談を受ける担当者には、守秘義務・プライバシー保護・中立性・記録方法・不利益取扱い禁止を理解させましょう。小規模企業では、既存の管理部門・外部専門家・外部相談窓口の活用も考えられます。

表3:フリーランス向け相談窓口で決めておきたい項目
項目決める内容注意点
相談対象者フリーランスも対象に含めること「社員のみ」になっていないか確認
相談できる内容3類型を含むハラスメント全般取引上の不利益も関連し得る
相談方法メール・電話・フォーム等記録が残る方法を用意
受付窓口社内窓口・外部窓口担当を明確にする
受付時間受付可能な時間帯緊急時の連絡先も用意
匿名相談の可否匿名でも受けるか対応範囲をあらかじめ整理
外部窓口の有無外部専門家・相談機関の活用小規模企業ほど有効
相談後の流れ受付→確認→対応の手順相談者に流れを示す
記録方法相談受付票・記録様式保管とアクセス制限
プライバシー保護情報共有の範囲必要最小限にとどめる
不利益取扱い禁止相談を理由に不利益を与えない旨明文化して周知
緊急時対応安全確保・即時対応の手順担当・連絡経路を決める

6. フリーランスにどう周知するか

体制を整えても、フリーランスが知らなければ利用できません。発注書、業務委託契約書、発注メール、オンボーディング資料、業務開始時案内、ポータルなどで周知しましょう。相談窓口だけでなく、相談したことを理由に不利益な取扱いをしないこともあわせて伝えます。社員・現場担当者にも、フリーランスから相談が来た場合の取り扱いを周知しておくことが大切です。

表4:ハラスメント相談体制の周知方法
周知先周知方法記載すべき内容注意点
フリーランス本人契約書・発注書・業務開始時案内窓口、相談方法、不利益取扱い禁止契約のたびに案内する
現場担当者マニュアル・研修相談受付時の取り扱い独断で処理させない
管理職研修・通知方針・対応責任率先して遵守する
人事・総務・法務規程・運用ルール調査・対応手順中立性を保つ
外部窓口担当者委託契約・連携手順受付範囲・連絡方法守秘義務を徹底
共同作業者案件開始時の案内方針・連絡先関係者の言動も対象になり得る

7. 相談があった場合の初動対応

フリーランスから相談があった場合は、まず相談を軽視しないことが大切です。相談者の安全・就業環境を確保し、相談内容・日時・相手・証拠・希望する対応を確認します。プライバシーに配慮しながら、必要な範囲で事実確認を行います。相談したことを理由に契約解除・発注停止等をしてはなりません。調査・判断・是正・再発防止までの流れを示しましょう。なお、相談があった段階で直ちに行為者が悪いと決めつけるのではなく、事実関係を確認する姿勢が重要です。

表5:フリーランスから相談があった場合の初動対応フロー
No.対応内容注意点担当部門の例
1相談を受け付ける軽視せず丁寧に受ける相談窓口
2相談者の意向を確認する希望する対応を聞く相談窓口
3緊急性・安全性を確認する必要なら即時対応人事・管理部門
4相談内容を記録する日時・相手・内容を整理相談窓口
5必要な範囲で事実確認をする中立的に、慎重に進める法務・人事
6関係者への対応を検討する一方的判断を避ける法務・管理部門
7是正措置・再発防止策を講じる事実に基づき対応各部門
8相談者へ可能な範囲で説明するプライバシーに配慮相談窓口
9不利益取扱いがないか確認する発注判断と切り分ける法務・管理部門
10記録を保存するアクセス制限を設ける法務・人事
ハラスメント相談対応の基本フロー
相談を受け付ける
相談者の意向・安全性を確認する
相談内容を記録する
必要な範囲で事実確認をする
対応方針を検討する
是正措置・再発防止策を講じる
プライバシー保護・不利益取扱い防止を確認する
記録を保存する

8. プライバシー保護と不利益取扱い禁止

ハラスメント相談では、相談者・行為者・関係者のプライバシー保護が重要です。相談内容を現場に不用意に共有せず、調査に必要な範囲で情報を取り扱います。そして、フリーランスが相談したこと、または相談対応に協力して事実を述べたことを理由に、契約解除・発注停止・報酬減額・評価低下・案件紹介停止などの不利益取扱いをしてはなりません(法第14条2項)。不利益取扱いが疑われると、ハラスメント問題に加え、発注企業の信頼・コンプライアンス上の問題にもなります。

表6:相談対応で避けるべき不適切対応
不適切対応なぜ問題か望ましい対応
相談内容を現場にそのまま共有するプライバシー侵害や二次被害につながる必要最小限の範囲で共有する
相談したフリーランスへの発注を止める不利益取扱いと見られ得る相談と発注判断を切り分け、理由を記録する
行為者に相談者名を不用意に伝える報復・関係悪化のリスクがある調査方法を慎重に設計する
相談を「取引先との相性」として片付ける問題を矮小化するおそれがある事実関係と就業環境への影響を確認する

9. 現場で起きやすいハラスメント事例

フリーランス取引の現場で起きやすい場面を、職種・場面別に整理します。発注者側の予防策と、フリーランス側が記録しておきたいポイントもあわせて示します。

表7:フリーランス取引で起きやすいハラスメント場面
場面起きやすい問題発注者側の予防策フリーランス側の記録ポイント
チャットでの叱責公開の場での強い叱責個別連絡・冷静な表現を徹底該当メッセージを保存
オンライン会議での侮辱人格を否定する発言録画・議事の運用ルール日時・出席者を記録
撮影・イベント現場での不適切発言性的・侮辱的な言動現場ルールの周知同席者・状況をメモ
出張・会食への執拗な誘い断りにくい誘い業務外の誘いを控えるやり取りを保存
深夜・休日の過剰連絡常時対応の強要連絡時間のルール化連絡時刻を記録
妊娠・育児・介護に関する嫌味配慮申出への否定的言動配慮義務とあわせて教育発言内容を記録
成果物批判を超えた人格否定業務指摘を超える攻撃指摘は成果物に限定該当発言を保存
他の関係者の前での公開叱責見せしめ的な叱責指摘は1対1で行う同席者を記録
業務上の正当な指摘との区別 成果物に対する必要かつ相当な範囲の指摘や指示は、当然に許されます。問題になりやすいのは、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動(人格否定、見せしめ、過度な叱責など)です。「業務上の指摘だから何を言ってもよい」とはいえない一方、「指摘=直ちにハラスメント」でもありません。態様・関係性・業務への影響などから個別に判断されます。

10. 発注企業が規程・契約書・発注書で見直すべきこと

ハラスメント対策は、社内規程だけでなく、業務委託契約書・発注書・発注メール・取引開始時案内にも反映することが望ましいといえます。ただし、契約条項を入れれば終わりではなく、実際の相談体制・運用が必要です。フリーランス向けに、相談窓口・不利益取扱い禁止・プライバシー保護・担当者変更の相談方法などを案内しましょう。

表8:ハラスメント対策で見直したい社内文書・取引文書
文書見直す内容注意点
ハラスメント防止規程フリーランスを対象に含める「従業員のみ」になっていないか
コンプライアンス規程相談・通報の対象範囲取引先からの相談も想定
相談窓口案内フリーランスの利用可を明示連絡先・方法を具体化
業務委託契約書相談体制・不利益取扱い禁止条項だけで満足しない
発注書窓口の案内毎回の発注でも触れる
取引開始時案内方針・窓口の周知オンボーディングに組込む
現場担当者向けマニュアル相談受付時の取り扱い独断処理を防ぐ
研修資料フリーランス向けの観点事例を更新する
相談受付票記録項目の整備プライバシーに配慮
調査記録様式中立的な記録方法アクセス制限を設ける

11. フリーランス本人が相談前に整理したいこと

フリーランス本人は、相談前に事実を整理しておくと、相談がスムーズになります。感情的に訴えるよりも、いつ・どこで・誰が・どのような発言や行為をしたかを具体的に整理することが大切です。相談先は、発注企業の窓口、外部相談窓口、公的相談先などがあり得ます。行政への申出や相談先の詳細は第14話で扱います。

表9:フリーランス本人が相談前に整理したい事項
整理する事項具体的に書くこと残しておきたい資料
発生日時いつ起きたかメール・チャットの日時
発生場所・媒体会議・現場・チャット等会議招待、現場記録
相手方誰の言動かやり取りの相手情報
発言・行為の内容具体的な発言・行為該当メッセージ、メモ
同席者・閲覧者その場にいた人出席者リスト
業務への影響就業環境への影響作業遅延・体調の記録
その後の対応どう対応したか返信・連絡の記録
希望する対応どうしてほしいか要望のメモ
証拠資料客観的な裏付けスクリーンショット等
相談履歴過去の相談の有無相談メール・記録

12. 相談文面の例(フリーランス向け)

フリーランス本人が発注企業の相談窓口に相談するための文面例です。対立的になりすぎず、事実整理を中心にしています。必要な対応を求める表現も含めています。

件名:業務に関するご相談(○○の件)

ご担当者様

お世話になっております。○○の業務を委託いただいている□□と申します。業務上の言動について、ご相談したいことがありご連絡しました。

・日時:○月○日○時ごろ(オンライン会議中)

・相手:○○様

・内容:(具体的な発言・行為を簡潔に記載)

・業務への影響:(作業や就業環境にどのような影響があったか)

つきましては、事実関係をご確認いただき、必要な対応をご検討いただけますと幸いです。あわせて、本件を相談したことにより、今後の取引上の不利益が生じないことを確認させていただけますでしょうか。

お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

13. 発注企業側の受付返信文面例

発注企業側が、フリーランスから相談を受けたときの返信文面例です。相談受付・プライバシー配慮・不利益取扱いをしないこと・今後の確認手順を伝えます。安易に事実認定や謝罪を確定しすぎず、まずは確認する姿勢にしています。

件名:Re: 業務に関するご相談(○○の件)

□□様

このたびはご相談をいただき、ありがとうございます。内容を確かに受け付けました。

・いただいた内容について、必要な範囲で事実確認を行わせていただきます。

・確認の過程では、□□様のプライバシーに十分配慮いたします。

・本件をご相談いただいたことを理由に、契約や今後の取引において不利益な取扱いをすることはありません。

・追加で状況を確認させていただく場合がございます。差し支えない範囲でご協力いただけますと幸いです。

確認の結果や今後の対応については、分かり次第、可能な範囲でご連絡いたします。引き続きよろしくお願いいたします。

14. よくある誤解

表10:フリーランスへのハラスメント対策についてよくある誤解
誤解実際の考え方実務上の注意点
フリーランスは従業員ではないので相談対象外発注企業は相談体制を整える義務がある窓口の対象に含める
社員向け窓口があれば周知しなくてよいフリーランスが利用できることの周知が必要契約書・案内で明示
相談窓口を置けば体制整備は十分周知・対応・記録・再発防止まで必要運用とセットで整える
相談してきたフリーランスとの契約を切ればよい相談を理由とする契約解除等は不利益取扱いとして禁止発注判断と切り分ける
チャットやオンライン会議の発言はハラスメントにならないデジタル上の言動も対象になり得る記録を確認する
業務上の厳しい指摘ならどんな言い方でも許される必要かつ相当な範囲を超える言動は問題になり得る指摘は成果物に限定
外部の共同作業者の言動は発注企業に関係ない関係者の言動も実務上注意が必要関係者にも方針を周知
相談内容は現場責任者にすべて共有すればよい共有は必要最小限にとどめるべきプライバシーを保護
フリーランス側に落ち度があれば相談対応しなくてよい相談を受け、事実を確認することが前提一方的に片付けない
小規模企業ではハラスメント体制整備は不要規模にかかわらず体制整備が求められる外部窓口の活用も検討

15. このシリーズで次に読むべき記事

就業環境の整備に関するテーマは続きます。次の第11話は育児・介護との両立配慮、第12話は中途解除の事前予告・理由開示です。募集段階は第9話、違反が疑われた場合の対応は第14話へ。

  1. 第1話:フリーランス法とは?初心者向けに目的・対象・基本ルールをわかりやすく解説
  2. 第2話:フリーランス法の対象者とは?「フリーランス」と「発注事業者」の考え方
  3. 第3話:業務委託なら全部対象?フリーランス法が適用される取引・されない取引
  4. 第4話:取引条件の明示義務とは?発注時に書くべき項目をわかりやすく解説
  5. 第5話:フリーランスへの報酬支払ルール|支払期日・遅延・未払いの注意点
  6. 第6話:フリーランス法の禁止行為7つ|受領拒否・報酬減額・買いたたきとは
  7. 第7話:「買いたたき」とは何か?フリーランス法で問題になる報酬交渉の境界線
  8. 第8話:やり直し・追加作業はどこまで頼める?フリーランス法と仕様変更の注意点
  9. 第9話:募集情報の的確表示とは?フリーランス募集でNGになりやすい表現
  10. 第10話:フリーランスへのハラスメント対策|発注企業が整備すべき相談体制(この記事)
  11. 第11話:育児・介護との両立配慮とは?フリーランス法で発注者に求められる対応
  12. 第12話:契約解除・中途解約の注意点|フリーランス法の事前予告と理由開示
  13. 第13話:下請法・独占禁止法・労働法との違い|フリーランス法だけ見ればよいのか
  14. 第14話:フリーランス法違反が疑われたら?相談先・申出・社内対応の流れ
  15. 第15話:フリーランス法対応チェックリスト|発注前・発注時・終了時に確認すべきこと

16. まとめ

  • フリーランスは従業員ではありませんが、発注企業はハラスメント対策を何もしなくてよいわけではありません(法第14条)。
  • 発注企業は、方針の明確化・周知、相談体制、迅速な事後対応、プライバシー保護、不利益取扱い禁止を整える必要があります。
  • 相談窓口を置くだけでなく、フリーランスに周知し、相談後の対応フローを整備することが重要です。
  • チャット、オンライン会議、現場作業、出張、会食など、さまざまな接点でハラスメントが起き得ます。
  • 相談を理由とする契約解除・発注停止などの不利益取扱いは禁止されています。
  • フリーランス本人は、相談前に、日時・相手・発言や行為・証拠・業務への影響を整理しておきましょう。
  • 個別の事案では、発言内容・行為態様・関係性・業務への影響・相談後の対応などにより判断が変わります。重要な事案では専門家への相談もご検討ください。

次回は、就業環境の整備のうち第11話:育児・介護との両立配慮を解説します。

フリーランスからの相談を、現場任せにしないために

フリーランス法対応では、契約書や発注書だけでなく、ハラスメント相談窓口、相談受付、事実確認、再発防止まで整えることが重要になります。相談対応は、初動を誤ると、二次被害・不利益取扱い・社内外の信頼低下につながります。Legal GPTでは、企業法務・コンプライアンス実務に役立つ記事や実務ツールを提供しています。

参考情報

本記事は、以下の公的資料に基づいて制度の全体像を整理しています(いずれも公開情報。最新の内容や詳細は各官庁の公式サイトをご確認ください)。

厚生労働省|フリーランスとして業務を行う方・業務委託を行う事業者の方等へ(就業環境整備・第14条等)/ハラスメント対策に関する説明・研修資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html
公正取引委員会|フリーランス法特設サイト・取組
https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited.html / https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2025/
中小企業庁|特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/law_freelance.html
政府広報オンライン|フリーランスが安心して働ける環境づくりのための法律
https://www.gov-online.go.jp/article/202408/entry-6301.html
公正取引委員会・厚生労働省|特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方(解釈ガイドライン)・Q&A
各官庁サイトに掲載

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法律相談ではありません。掲載している文面例はたたき台です。ハラスメントに該当するかどうかや必要な対応は、発言内容・行為態様・関係性・業務への影響などにより判断が変わります。具体的な事案への対応は、必要に応じて専門家にご相談ください。

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