現場が迷わないカスハラ対応マニュアルの作り方|初動・エスカレーション・記録
2026年施行・カスハラ義務化対応シリーズ
第7話 / 全10話
現場が迷わないカスハラ対応マニュアルの作り方|初動・エスカレーション・記録
この記事でわかること
進行中のカスハラで現場が迷わず動くための初動フロー・エスカレーション基準・記録・証拠保全・被害者保護と、そのまま使える16種類のひな形
本記事は「2026年施行・カスハラ義務化対応シリーズ」の第7話(全10話)です。2026年(令和8年)10月1日、改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)により、事業主には職場におけるカスタマーハラスメント(以下「カスハラ」)の防止のための雇用管理上の措置が義務づけられます。本記事では、カスハラが「今まさに起きている」現場で、担当者が迷わず動くための対応マニュアルの作り方を、初動フロー・エスカレーション基準・記録・証拠保全・被害者保護まで、そのまま使えるテンプレート付きで整理します。
本記事の法令・制度基準日:2026年7月15日/施行日:2026年10月1日
指針・通達・行政資料は今後変更され得ます。実際の対応にあたっては厚生労働省および都道府県労働局の最新情報をご確認ください。
読んだだけで終わると、次の案件でまたゼロから考えることになります。
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なぜ「現場マニュアル」が必要なのか
相談窓口を作っても、就業規則を整えても、それだけではその場で起きているカスハラは止まりません。カスハラは、暴言・威圧・不当要求・居座り・撮影・電話といった形で「進行中」に発生します。担当者は、上司の判断を待つ時間も、法令を調べる余裕もない状態で、次の一手を選ばなければなりません。
このとき現場に必要なのは、「この言動は法律上カスハラに当たるか」という法的な最終判断ではありません。必要なのは、自分と周囲の安全を確保し、対応を交代し、上司へ報告し、事実を記録するための、迷いのない行動基準です。カスハラ該当性の最終判断や、出入禁止・契約解除などの法的措置は、より上位の役割が担います。現場マニュアルは、そこへ確実につなぐための「橋」です。
- 第6話(相談窓口)…事案が「窓口に届いたあと」の受付・事実確認・被害者保護・プライバシー管理の体制 → 相談窓口の設置・運用(第6話)
- 第7話(本記事)…事案が「窓口に届く前」の、進行中の現場対応(初動・安全確保・報告・記録・証拠保全・対応終了・初動の被害者保護)
- 第8話(法的対応)…警告文・取引拒絶・出入禁止・契約解除・仮処分・警察対応など、法的措置の詳細 → 悪質カスハラへの法的対応(第8話)
制度の全体像・定義・3要素・事業主の措置義務の詳細は、第1話〜第5話で扱っています。本記事では制度解説を最小限にとどめ、「現場が実際に何をするか」に集中します。定義や該当性の考え方を確認したい場合は、定義と判断基準(第2話)をご覧ください。
現場マニュアルに必要な「12の要素」
先に結論です。カスハラ現場対応マニュアルには、少なくとも次の12要素を盛り込みます。以降の章で、それぞれの作り方とひな形を示します。
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| # | 要素 | マニュアルに書くこと |
|---|---|---|
| 1 | 安全確保 | 暴行・脅迫・凶器・器物損壊等では、カスハラ該当性の判断より先に、避難・通報・警備要請を優先する |
| 2 | 現場担当者の権限 | 安全確保・交代要請・即時報告・記録までに限定し、法的最終判断を負わせない |
| 3 | 管理職への報告基準 | どの言動・状況で、いつ上司を呼ぶか(社内運用基準) |
| 4 | 担当者交代 | 一人で対応させない/管理職等が代わって対応する切替え条件 |
| 5 | 単独対応の終了 | 単独対応を継続しない基準と、複数名対応への移行 |
| 6 | 対応継続・終了の判断 | 十分な説明後もなお要求が反復する場合の終了予告・終了の手順と判断主体 |
| 7 | 警備・警察への連絡 | 110番・#9110・警備・本部の使い分けと連絡先 |
| 8 | 記録 | 感想ではなく「事実」を残す対応記録票 |
| 9 | 録音・録画 | 実施する場合の個人情報保護法上の取扱い(一律義務ではない) |
| 10 | 被害者保護 | 初動段階からの交代・引離し・休憩・受診配慮・再接触防止 |
| 11 | 相談窓口への引継ぎ | いつ・何を・どの様式で窓口/人事/法務へ渡すか |
| 12 | 事後点検 | 対応レビューとマニュアル改定の仕組み |
法令・指針が求める「対処内容」を正しく押さえる
現場マニュアルは、担当者を守るための社内ルールですが、その土台は法令・指針です。ここを誤解すると、マニュアルが「やり過ぎ」または「やらなさ過ぎ」になります。まず、何が義務で、何が例示で、何が一律義務ではないかを整理します。
- 改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号。2025年6月11日公布、カスハラ関係は2026年10月1日施行)第33条ほか
- 指針:令和8年厚生労働省告示第51号「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(2026年2月26日公布)
- 施行通達:令和8年4月24日付 雇均発0424第2号
- 解釈Q&A:令和8年4月24日「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」(厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課)
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| 項目 | 位置づけ | ポイント |
|---|---|---|
| 相談体制の整備・方針の明確化・事実確認・被害者配慮・再発防止等の措置 | 義務 | 指針が定める措置を講じること自体は事業主の義務。マニュアル整備はその一環。 |
| カスハラへの「対処の内容」の明確化・周知 | 義務(内容は各社が定める) | 「労働者から管理監督者等へ直ちに報告し指示を仰ぐ」「可能な限り労働者を一人で対応させない/必要に応じて管理監督者等が代わって対応」「十分な説明を行った上でなお繰り返しの要求が続く場合に、一定の時間の経過をもって退店を求め、または電話を切る」「犯罪に該当し得る言動は警察へ通報」等が対処例として示されている。これらは限定列挙ではなく、各事業主が実態に応じて対処の内容を定め、管理監督者を含む労働者へ周知する。 |
| 退店要請・通話終了・録音・録画・警察通報 | 方法の「例示」(限定列挙ではない) | いずれも指針が挙げる対処の例であり、全事案で必ず行う一律義務ではない。各事業主が業種・業務内容・顧客接点・労働者の状況等に応じて対処内容を定め、周知する。判断主体も各社が設計する事項で、指針が判断者を管理職に限定しているわけではない。 |
| 特に悪質な事案への対処方針(警告文・出入禁止等)の事前設定・体制整備 | 義務(方針の設定・周知)/実施は個別判断 | 悪質事案への対処方針をあらかじめ定め周知することは求められるが、悪質事案が生じたら必ず出入禁止にする義務ではない。方針に基づき、当該事案ごとに実施の可否を判断する。 |
| 顧客等への方針の周知 | 義務ではない(効果的ではある) | 「毅然と対応し労働者を守る」方針を顧客等に周知することまでは義務づけられていない。ただし被害防止に効果的とされる。 |
| 録音・録画の個人情報保護法上の取扱い | 遵守が必要 | 取得情報が個人情報に当たる場合、利用目的をできる限り特定し、通知または公表する。事実確認に用いるなら、その旨も利用目的として特定・公表する。 |
最重要:改正法は「新たな権利・権限」を事業主に与えるものではありません。解釈Q&A(問18)が明確にしているとおり、改正法は事業主に雇用管理上の措置を義務づけるものであって、出入禁止・取引拒絶・契約解除などを新たに行える法的権限を創設するものではありません。「カスハラと社内で判断したから、直ちに出入禁止できる」わけではなく、これらの可否は施設管理権・契約・利用規約・約款・業法・公共性・合理的配慮などに基づき個別に検討します(詳細は第8話)。
マニュアルと他文書の役割分担
「現場マニュアル」を、社外公開する基本方針や就業規則と混同すると、機密であるべき運用基準が外部に漏れたり、逆に必要な社内基準が抜けたりします。文書ごとの役割を分けます。
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| 文書 | 目的 | 主な読み手 | 社外公開 | 改定主体 |
|---|---|---|---|---|
| 基本方針 | カスハラに毅然と対応し労働者を守る姿勢の宣言 | 全社・(任意で)顧客等 | 可(任意) | 経営 |
| 就業規則・社内規程 | 被害者保護・不利益取扱い禁止・自社従業員が加害者となった場合の懲戒等の根拠 | 全労働者 | —(労基署届出) | 人事 |
| 相談窓口規程 | 相談受付・事実確認・プライバシー・二次被害防止の手続 | 窓口・人事・法務 | 不可 | 人事・法務 |
| 現場対応マニュアル | 進行中の安全確保・報告・記録・対応終了の実務手順 | 現場・管理職 | 不可 | 人事・法務・現場部門 |
| 権限規程 | 退店要請・通報・出入禁止等の決定権限の所在 | 管理職・本部 | 不可 | 経営・法務 |
| 約款・利用規約 | 役務提供の条件・解除・利用停止の契約上の根拠 | 顧客等 | 可 | 法務・事業部門 |
| 警告文 | 個別事案での是正要求・法的措置予告 | 行為者 | 個別 | 法務 |
| 対応記録票 | 事実・経過・証拠の記録 | 現場・窓口・法務 | 不可 | 人事・法務 |
現場マニュアルに書く時間基準・回数基準・エスカレーション条件(「◯分で交代」「◯回目で複数名対応」等)は、社外向けの基本方針には掲載しないでください。顧客等に運用の内側を知られると、基準ぎりぎりまで攻める行動を誘発します。社外向けには「毅然と対応します」までにとどめ、具体基準は社内文書に限定します。
初動対応の基本原則(フロー)
初動は、次の順序を「原則」とします。ただし、暴行・脅迫・凶器・器物損壊等がある場合は、この順序を飛ばして安全確保・通報へ直行します(次章)。
コピー用ひな形①:初動対応フロー
- 目的:現場が「次に何をするか」を迷わず選べるようにする。
- 自社用に調整:拠点数・業種・営業時間・単独勤務の有無に合わせて、報告先・連絡手段・終了判断者を具体化する。
- 避けるべき運用:安全確保より前に「カスハラかどうか」を確定させようとすること。フローを常に1→順番に踏ませること。
- 法的注意点:「一定の時間の経過をもって退店・通話終了」は十分な説明を行った上でなお要求が反復する場合の対処例であり、単なる経過時間だけで機械的に終了する運用ではありません。企業側のミス・合理的配慮の要否の確認を省略しないでください。
緊急性の判断(レベルA/B/C)
緊急度を3段階で仕分けます。これは法律上のカスハラ該当性の分類ではなく、現場保護のための社内運用の目安です。状況によって、下位から上位へ直ちに移ることがあります。
コピー用ひな形②:緊急性判断表
- 暴行・身体への接触・物を投げる/凶器・危険物を示す
- 具体的な危害予告/従業員や家族への脅し
- 器物損壊/退去を求めても居座り危険が高まる
- 待ち伏せ・つきまとい・車両による進路妨害
- 他の顧客・利用者への危険/自傷・他害のおそれ
医療・救急:負傷、意識障害、呼吸困難、強いパニック反応その他、直ちに医療対応が必要と考えられる場合は119番を検討する(現場担当者に診断はさせず、「医療対応が必要と思われる状態」で判断する)。
- 大声・威圧・人格否定/長時間の拘束・執拗な反復
- 撮影中止を求めても続く無断撮影
- SNS投稿を用いた脅し/自宅・家族への言及
- 厳しいが正当な苦情/要求の根拠確認が必要
- 企業側の説明不足の可能性/合理的配慮が必要な可能性
- カスハラへ発展するおそれ
- 目的:現場が「今すぐ通報か/管理職を呼ぶか/記録しつつ対応継続か」を即断できるようにする。
- 自社用に調整:業種特有のリスク(刃物・危険物を扱う、単独訪問がある等)を追記する。
- 避けるべき運用:レベルを固定的に当てはめ、状況変化を無視すること。
- 法的注意点:この表は社内運用基準であって、法律上のカスハラ・犯罪の成否を判定するものではありません。「この発言は脅迫罪」等と現場に断定させないでください。
誰が何を判断するか(役割分担)
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| 役割 | 主な責任 |
|---|---|
| 現場担当者 | 安全確保、交代要請、即時報告、事実の記録、証拠の保全、会社が定めた定型文の使用。緊急時は安全のため自らの判断で離脱・110番通報ができる。 |
| 管理職・店長 | 初動の指揮、担当交代の指示、複数名対応の手配、退店要請・通話終了の判断、警備・警察への連絡判断、被害者への声かけ。 |
| 本社・本部 | 夜間・単独拠点の当番対応、指示・支援、拠点横断の情報集約、方針判断の引取り。 |
| 相談窓口 | 正式な相談受付、事実確認、プライバシー管理、二次被害防止、フォロー(第6話)。 |
| 人事 | 被害者の勤務調整・配置・不利益取扱い防止、産業保健との連携。 |
| 法務 | 法的措置(警告文・出入禁止・契約解除・仮処分等)の検討、証拠の保全指示(第8話)。該当性の評価は関係部署と連携して組織的に行う。 |
| 産業保健 | 被害者のメンタルヘルス相談対応、受診・休業・復職の支援。 |
| 警備 | 現場の安全確保、退去支援、危険物・侵入への対応。 |
| 広報 | SNS・報道対応、公開反論の統制。 |
| 情報システム | 録音・録画・アクセスログの保全、私物端末利用の統制、削除申請の技術支援。 |
| 経営 | 重大事案の意思決定、取引停止・出入禁止等の最終判断。 |
| 外部弁護士 | 法的評価、警告文・訴訟・仮処分の助言。 |
| 警察 | 暴行・脅迫・器物損壊等の進行中事案への対応(110番)、継続的懸念の相談(#9110)。 |
| 派遣元 | 派遣労働者本人のフォロー、就業継続支援、派遣先との連絡。 |
カスハラ該当性の判断は、現場担当者個人に負わせず、また特定の一部署が代行するものでもありません。事業主として、人事・法務・現場部門その他の関係部署が事実関係を確認したうえで組織的に行います。都道府県労働局が個別事案の該当性を代わって判断するわけでもありません(解釈Q&A 問6)。
エスカレーション基準の作り方
エスカレーション基準は、法的なカスハラ該当性の基準ではなく、現場を守るための社内運用基準です。次の観点を組み合わせて、「どの状況で・誰に・何を上げるか」を言語化します。単一の要素だけでは決めず、複数を総合して判断できる形にします。
コピー用ひな形③:エスカレーション基準表
【これは社内運用基準であり、法律上のカスハラ・犯罪の該当性判断ではありません】
| 観点 | 基準の作り方(例) | 上げる先の目安 |
|---|---|---|
| 身体的危険 | 暴行・接触・凶器・危害予告があれば即時 | 110番・警備・本部 |
| 発言内容 | 人格否定・侮辱・差別的言動が続く | 管理職 |
| 威圧性 | 大声・詰め寄り・威嚇的態度 | 管理職・複数名 |
| 継続時間 | 【自社基準】分を超えて拘束が続く | 管理職 |
| 回数 | 同一要求が【自社基準】回反復 | 管理職・窓口 |
| 同一要求の反復 | 十分な説明後も同じ要求が繰り返される | 管理職(終了予告の検討) |
| 業務停止の程度 | 他の業務・他の顧客対応が止まる | 管理職・本部 |
| 他の顧客への影響 | 他の来店者・利用者に危険や不安 | 管理職・警備 |
| 個人情報・SNS | 従業員個人情報の要求・拡散・投稿予告 | 管理職・法務・広報 |
| 待ち伏せ・つきまとい | 店舗外・帰宅時の接触のおそれ | 本部・#9110・警察相談 |
| 家族・自宅への言及 | 従業員の家族・自宅への言及や脅し | 管理職・法務・警察相談 |
| 企業側のミス | 説明不足・対応の誤りが背景にある | 管理職(是正を優先) |
| 合理的配慮 | 障害特性・言語事情で配慮が必要な可能性 | 管理職(配慮を検討) |
| 業法上の制約 | 提供義務・応召義務等の制約がある業種 | 法務・本部 |
| 過去の同種事案 | 同一人物・同種手口の再発 | 窓口・法務 |
| 被害者の状態 | 従業員が強い恐怖・体調不良を示す | 管理職・産業保健 |
【上記の時間・回数はあくまで社内運用の目安です。これに達しないから/達したからといって、法律上のカスハラの成否が決まるわけではありません】
- 目的:管理職ごとに判断がばらつくのを防ぎ、上げる基準を共通化する。
- 自社用に調整:【自社基準】の時間・回数を業務実態に合わせて設定する。
- 避けるべき運用:時間・回数「だけ」で機械的に判断すること。正当な苦情や合理的配慮の必要な顧客を打ち切る口実に使うこと。
- 法的注意点:解釈Q&A(問4・問27)のとおり、該当性は言動の内容・手段/態様や、経緯・業種・頻度・継続性・労働者の心身の状況等を総合的に判断します。強い苦痛を与える態様なら1回でも就業環境を害し得ます。時間・回数を法的基準のように書かないでください。
段階別の対応レベル(レベル1〜5)
対応の強度を5段階の「引き出し」として用意します。順番に踏む必要はありません。暴行・脅迫・凶器・器物損壊等があれば、初期段階からレベル5(警察・避難・本部即時連絡)に進みます。
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| レベル | 内容 |
|---|---|
| レベル1 | 通常対応、記録開始。要求内容と企業側のミスの有無を確認。 |
| レベル2 | 管理職介入、担当者交代、複数名対応。 |
| レベル3 | 対応条件の提示、対応時間・方法の制限、書面対応への切替え、終了予告。 |
| レベル4 | 退店要請、通話終了、窓口の一本化、(法務主導で)警告、法務連携。 |
| レベル5 | 警察・弁護士・経営への連絡、出入禁止・取引停止・契約解除等の法的検討(第8話)。 |
段階を「必ず1から順に」踏ませないでください。危険が現在進行している場合、レベル1〜4を省略してレベルA(=レベル5の即時対応)へ直行することが、従業員の安全のために正しい設計です。
「退店要請・通話終了は管理職が判断」は法令上の要件ではなく、推奨する社内設計です。指針は、退店要請・通話終了などを対処の「例」として示し、対処内容は各事業主が実態に応じて定めるとしています。判断者を管理職に限定することまでは指針上の一律要件ではありません。本記事では、判断のばらつきや現場担当者への過度な負担を防ぐため、原則として管理職または権限者が判断する設計を推奨します。ただし、暴力・脅迫その他の緊急事案では、現場担当者が安全確保のため直ちに離脱し、通話を終了し、または警察へ通報できるようにしてください。判断主体は権限表・マニュアルで各社が明確に定めます。
対面(店舗・窓口)での対応
- 立ち位置と退路:出入口・退路を背にせず、いつでも離脱できる位置を保つ。カウンター越しの対応を基本とする。
- 個室に単独で入らない:密室で一対一にならない。複数名で対応する。
- 他の顧客との距離:他の来店者に危険が及ばないよう距離・動線を確保する。
- 危険物の確認:凶器・危険物の有無に注意し、示された場合は直ちにレベルAへ。
- 防犯カメラ:作動状況を確認する(映像の証拠利用は後述の個人情報保護法の取扱いに従う)。
- 退店要請・店舗閉鎖:判断主体は各社があらかじめ定める。本記事では原則として管理職・権限者が判断する設計を推奨する。緊急時は安全のため現場が離脱・通報できる。
- 従業員の氏名・名札・個人情報:フルネームの名札表示を見直す。自宅・連絡先・私的情報を聞かれても回答しない。
- 身体を張らせない:暴力を身体で止めることを従業員に求めない。安全確保と通報を優先する。
電話・コールセンターでの対応
- 本人確認と要求整理:契約・事実関係を確認し、要求内容を整理する。
- 録音案内:録音する場合は、個人情報保護法の取扱い(後述)に従う。事実確認にも用いるなら、その利用目的を特定・公表しておく。
- 同じ説明の反復と時間管理:十分な説明後もなお同一要求が反復する場合、【自社基準】を目安に管理職へモニタリング・交代を依頼する。
- 担当者交代・管理職モニタリング:一人で抱えさせない。管理職が状況を把握できる体制にする。
- 通話終了の予告と終了:判断主体は各社があらかじめ定める。本記事では原則として管理職等が判断する設計を推奨する。オペレーター個人の感情だけで切らせない(緊急時の安全確保による切断は妨げない)。
- 再入電・窓口一本化:再入電時に顧客情報・経緯を共有し、対応窓口を一本化する。着信拒否は業務・契約・業法上の影響を法務と検討する。
- オペレーターの保護:個人名を名乗る運用の是非を検討する。在宅オペレーターの安全と個人情報(自宅所在の特定防止)に配慮する。
電話対応マニュアルに「◯分で切る」「◯回で切る」といった固定時間・回数を法的基準のように書かないでください。時間・回数は社内運用の目安として【自社基準】と明記し、終了は「十分な説明後もなお反復する」等の実質要件と管理職判断を伴う設計にします。
メール・チャット・SNSでの対応
- 原本の保存:メールはヘッダー情報ごと、チャットは原文を保存する。改変しない。
- SNSの保全:投稿の削除・編集前に保全する。スクリーンショットは投稿本文だけでなく、アドレスバー(URL)を含む画面全体・投稿者名/アカウントID・投稿日時・投稿URL・投稿前後のやり取り・添付画像/動画・閲覧日・保存者を残す。切り取った画像だけでは出所や文脈が争われやすいため、削除・編集前の状態がわかる形で保存する。
- 拡散・なりすまし・脅迫的投稿:従業員個人情報の拡散、なりすまし、脅迫的投稿は、広報・法務と連携し、必要に応じてプラットフォームへ削除申請、警察・弁護士へ相談する。
- 返信窓口の一本化:担当を一本化し、感情的な公開反論をしない。
- 社内での不用意な転送を避ける:証拠・個人情報を含むため、共有範囲とアクセス権限を管理する。
現場で使える定型文(対面・電話・メール/SNS)
定型文は、挑発的・威圧的にせず、具体的な行為と対応条件を伝える形にします。「あなたはカスハラです」「カスハラなので切ります」といった断定・レッテル貼りは避けます。
コピー用ひな形④:対面対応の定型文
■ 暴言を控えるよう求める 「申し訳ございませんが、そのような言葉遣いには対応いたしかねます。落ち着いてお話しいただけますでしょうか。」 ■ 同じ説明が続いていることを伝える 「同じ内容について、これまで繰り返しご説明しております。ご要望は承っておりますが、これ以上同じご説明を繰り返すことは難しい状況です。」 ■ 管理職へ交代する 「私では判断いたしかねますので、責任者に代わって対応させていただきます。少々お待ちください。」 ■ 複数名対応へ切り替える 「正確に対応するため、担当の者を交えてお話をうかがいます。」 ■ 退店を求める(管理職判断のうえで) 「本日はこれ以上の対応が難しい状況です。恐れ入りますが、いったんご退店をお願いいたします。」 ■ 警察へ連絡する旨を伝える 「安全を確保するため、警察に連絡させていただきます。」 ■ 従業員の個人情報には回答しない 「担当者個人の連絡先・私的な情報については、お答えいたしかねます。ご用件は会社の窓口で承ります。」 ■ 撮影中止を求める 「恐れ入りますが、店舗内での撮影はご遠慮ください。撮影をおやめいただけますでしょうか。」 ■ 正当な申入れは受け付ける旨を伝える 「ご指摘の点は真摯に確認いたします。正式なご要望として、こちらの窓口で承ります。」
- 目的:現場が感情に流されず、毅然かつ丁寧に対応できるようにする。
- 自社用に調整:自社の呼称・敬語トーン・窓口名に合わせる。
- 避けるべき運用:「カスハラ」「犯罪」等のレッテルを現場に断定させること。正当な苦情まで打ち切ること。
- 法的注意点:退店要請は施設管理権等に基づく行為です。判断主体は各社が定める事項で、指針が管理職に限定しているわけではありませんが、判断のばらつき防止のため管理職等が判断する設計を推奨します。現場個人の感情だけで行わせないでください(緊急時の安全確保による離脱は別)。
コピー用ひな形⑤:電話対応の定型文
■ 暴言への注意 「恐れ入りますが、そのような言葉が続きますと、これ以上の対応が難しくなります。落ち着いてお話しいただけますか。」 ■ 同じ説明が続いていることを伝える 「同じ内容について、繰り返しご説明しております。ご要望の趣旨は承知しております。」 ■ 管理職へ交代する 「私では判断いたしかねますので、責任者に代わります。少々お待ちください。」 ■ 対応時間を区切る 「本件は改めて確認のうえ、こちらからご連絡いたします。本日のお電話はここまでとさせていただけますでしょうか。」 ■ 書面対応へ切り替える 「正確を期すため、以降はメール(書面)でのご連絡に切り替えさせていただきます。」 ■ 通話終了を予告する 「これまで同じ内容についてご説明しております。これ以上、担当者への侮辱的な発言が続く場合は、対応を終了いたします。」 ■ 通話を終了する(予告後、管理職判断のもとで) 「恐れ入りますが、本日の対応はここまでとさせていただきます。失礼いたします。」 ■ 窓口を一本化する 「本件のご連絡は、今後こちらの窓口(担当)で一括して承ります。」
- 目的:通話終了までの段取り(注意→予告→終了)を統一する。
- 自社用に調整:折り返し窓口・受付時間・録音案内の有無を反映する。
- 避けるべき運用:予告なしにいきなり切ること。一度説明しただけで即終了すること。
- 法的注意点:通話終了は「十分な説明後もなお要求が反復する場合に、一定の時間の経過をもって」行うのが対処例です。企業側のミス・合理的配慮の要否を確認したうえで、管理職判断のもとに行います。
コピー用ひな形⑥:メール・SNS対応の定型文
■ 正当な申入れの受付 「ご連絡ありがとうございます。ご指摘の点は確認のうえ、改めてご回答いたします。」 ■ 返信窓口の一本化 「本件は今後、当窓口(担当:〇〇)にて承ります。恐れ入りますが、ご連絡は当窓口へお願いいたします。」 ■ 侮辱・脅迫的な内容への対応 「いただいたご連絡のうち、担当者個人への侮辱・威迫にあたる内容については、対応いたしかねます。ご用件の本体については確認いたします。」 ■ SNS投稿を用いた威迫に応じない 「SNSへの投稿を理由としたご要望には応じかねます。ご要望は正式な窓口で承ります。」 ■ 従業員個人情報の非回答 「担当者個人に関する情報については、お答えいたしかねます。」
- 目的:文面での応対を統一し、感情的な公開反論を防ぐ。
- 自社用に調整:窓口名・署名・エスカレーション先を反映する。
- 避けるべき運用:SNS上で個別に公開応酬すること。証拠保全前に投稿を削除させること。
- 法的注意点:脅迫的投稿・拡散は広報・法務と連携し、削除申請・警察相談等を検討します。犯罪の成否を現場で断定しないでください。
録音・録画と証拠保全
録音・録画は、指針が挙げる対処の例であり、全事案で行う一律の法令義務ではありません。実施する場合は個人情報保護法を遵守します。
個人情報保護法上の取扱いは、通話録音と防犯カメラで留意点が一部異なります。分けて整理します(解釈Q&A 問10・問11、個人情報保護委員会ガイドライン・カメラQ&A等)。
- 取得する情報が個人情報に当たる場合、利用目的をできる限り特定し、本人へ通知または公表する。
- カスハラ事案の事実確認にも用いるなら、その旨も利用目的として特定し、通知・公表する(プライバシーポリシー等への記載が考えられる)。
- その場で「録音している」と伝えることまでは必ずしも義務ではないが、偽りその他不正の手段による取得は禁止。その場で同意を得て録音することも遵守した対応例。
- 録音データの保存場所・保存期間・閲覧権限・目的外利用防止・廃棄のルールを定める。
- 現場担当者の私物スマートフォンで安易に録音させない。会社指定の端末・方法を定める。
- 特定の個人を識別できる画像を取得する場合、利用目的をできる限り特定し、その範囲で利用する。防犯目的のみで、設置状況から目的が明らかなときは利用目的の通知・公表が不要とされる場合がある(個人情報保護法21条4項4号)。ただしカスハラの事実確認など防犯を超える目的で使うなら、その利用目的の特定・通知/公表が必要。
- カメラ設置から自分の情報が取得されていることを容易に認識できない場合は、認識可能とする措置(例:「防犯カメラ作動中」の掲示、設置者・問合せ先の明示)を講じる(法20条1項)。
- 顔識別機能を使う場合は、利用目的の特定・安全管理措置・保存等で追加の注意が必要。
- 映像の保存・閲覧・第三者提供のルールを定める。
証拠の種類
通話録音/防犯カメラ・店舗カメラ/メール・チャット・SNS投稿/問合せ履歴・来店履歴・入退館記録/同席者メモ・写真/破損物/診断書・受診記録/勤怠・シフト/警察相談記録。
保全時の注意
- 上書き前に保存する(防犯カメラは早期に確保)。原本を保持し、編集しない。
- ファイル名・保存日時・保存担当者・アクセス権限を記録する。
- 私物端末へ保存しない。SNS投稿はURL・日時を含めて保存する。
- 証拠の所在一覧を作り、廃棄停止を指示し、法務へ引き継ぐ。
- 高度な事案では、ハッシュ値の取得等の追加的な保全も検討する。
「証拠がなければ相談を受けない」という運用にしないでください。録音・録画がなくても、周囲の労働者からの聴取や履歴の確認で事実関係を確認できます。証拠の有無は相談受付の条件ではありません。
コピー用ひな形⑦:証拠保全チェックリスト
【取得・確認する証拠】 □ 通話録音(会社指定の方法で) □ 録画データ □ 防犯カメラ映像(上書き前に確保) □ メール(ヘッダー情報を含む原本) □ チャットの原文 □ SNS投稿(アドレスバー含む画面全体・投稿者名/ID・投稿日時・URL・投稿前後のやり取り・画像/動画・閲覧日・保存者/削除・編集前の状態) □ 電話(入電)履歴 □ 来店・入退館履歴 □ 目撃者(同席者・周囲の労働者)のメモ □ 破損物・現場の写真 □ 勤怠・シフト(業務への支障の裏づけ) □ 受診記録・診断書(本人同意のうえ) □ 警察相談記録(相談日時・内容) 【保全の管理】 □ 保存場所を特定した □ 保存担当者を決めた □ アクセス権限を限定した □ 上書き防止・廃棄停止を指示した □ 原本を保持し編集していない □ 証拠の所在一覧を作成した □ 法務へ引き継いだ
- 目的:証拠の取り漏れ・上書き・廃棄を防ぐ。
- 自社用に調整:防犯カメラの上書き周期、録音システム、SNS運用に合わせる。
- 避けるべき運用:私物端末での保存。証拠がないことを理由に相談を排除すること。
- 法的注意点:録音・録画・カメラ映像の取得と利用は個人情報保護法に従います。受診記録等の機微情報は本人同意と目的の範囲に留意します。
対応記録票(事実を残す)
記録は感想や評価ではなく「事実」を残します。発言は要約せず、可能な範囲でそのまま記録します。
コピー用ひな形⑧:カスハラ対応記録票
■ カスハラ対応記録票 管理番号:__________ 発生日時:____年__月__日 __:__ 対応開始/終了時刻:__:__ 〜 __:__ 場所・媒体(対面/電話/メール/SNS/訪問先 等):__________ 対応者:__________ 管理職(対応・判断者):__________ 行為者(氏名・特定情報/不明):__________ 顧客等との関係(顧客/取引先/施設利用者/その家族/近隣 等):__________ 対象の商品・契約・サービス:__________ 要求内容:__________ 具体的発言(できる限りそのまま):__________ 行為の態様(大声/威圧/接触/撮影/居座り 等):__________ 回数・継続時間:__________ 企業側のミス・説明不足の有無:__________ 行った説明の内容:__________ 終了予告の有無・内容:__________ 対応終了を判断した理由(該当に☑): □ 十分な説明後も同一要求が反復 □ 侮辱・威圧等が継続 □ 業務への重大な支障 □ 他の顧客・労働者への影響 □ 安全上の危険 □ その他(__________) 担当者交代:有/無(__:__) 退店要請:有/無(判断者:____) 通話終了:有/無(判断者:____) 警備・警察への連絡:有/無(110/#9110/警備/内容):__________ 確保した証拠:録音/録画/カメラ/メール/SNS/写真/その他:__________ 目撃者:__________ 被害者の状態(本人の申告・様子):__________ 実施した被害者保護:__________ 相談窓口への引継ぎ:有/無(日時・様式):__________ 法務・人事への報告:有/無(日時・宛先):__________ 今後の対応(予定):__________ フォロー予定日:____年__月__日 記録者:__________ 承認者:__________
- 目的:事実を再現可能な形で残し、事実確認・被害者保護・法的検討につなぐ。
- 自社用に調整:業種の項目(訪問先・車両番号・在宅対応 等)を追加する。
- 避けるべき運用:主観的評価だけを書くこと。行為者の属性を憶測で断定すること。
- 法的注意点:記録は個人情報を含むため、アクセス権限・保存期間を管理します。医学的判断(精神状態の診断等)を現場で書き込まないでください。
不適切な記録例と適切な記録例
| 区分 | 記録の例 |
|---|---|
| 不適切 | 「クレーマーが1時間キレていた。完全にカスハラ。精神的におかしい人。」 → 評価・断定・医学的推測が中心で、事実が不明。 |
| 適切 | 「14:05〜15:10、レジ前で大声。『責任者を出せ、土下座しろ』と複数回発言。他の来店者3名が離れた。管理職が14:20に交代。防犯カメラ映像を確保。」 → 時刻・発言・態様・影響・対応・証拠が事実として残っている。 |
被害者保護(初動から中長期まで)
マニュアルを「顧客への対応方法」だけにせず、被害者保護を初動フローに組み込みます。
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| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 直後 | 担当者交代/行為者からの引離し/別室への移動・休憩/必要なら帰宅・医療・救急/帰宅経路の安全確認・待ち伏せ対策/行為者からの再接触防止/管理職の声かけ。 |
| 短期 | 管理職によるフォロー/産業保健への接続/勤務調整/顧客接点の一時調整/事案説明の負担軽減/相談窓口の案内。 |
| 中長期 | 定期フォロー/休業・復職支援/原職・原職相当職への復帰/再配置の見直し/評価・手当への不利益防止/再発防止。 |
相談したこと等を理由に、評価を下げる・シフトを減らす・営業手当を止める・顧客対応から恒久的に外す・派遣受入れを拒否するといった不利益取扱いは禁止されます(改正法第33条第2項ほか。派遣労働者にも及ぶ)。「一時的な配置調整」と「不利益取扱い」を混同しないよう、目的と期間を記録します。
コピー用ひな形⑨:被害者保護チェックリスト
【直後】 □ 担当者を交代した □ 行為者から引き離した □ 別室・休憩を確保した □ 体調・受診の要否を確認した □ 帰宅経路の安全(待ち伏せ対策)を確認した □ 行為者からの再接触を防ぐ措置をとった □ 管理職が声をかけた 【短期】 □ 産業保健(相談・受診)につないだ □ 勤務・シフトを調整した(不利益にならない形で) □ 顧客接点を一時的に調整した □ 事案説明の負担を軽減した(本人に繰り返し語らせない) □ 相談窓口を案内した 【勤務調整・配置調整を行う場合の確認(本人の不利益回避)】 □ 本人の意向を確認した □ 措置の目的と期間を本人に説明した □ 賃金・手当への影響を確認した □ 評価へ不利益が生じないことを確認した □ 見直し日を設定した □ (派遣労働者の場合)派遣元との調整を記録した 【中長期】 □ 定期的にフォローした □ 休業・復職を支援した □ 原職・原職相当職への復帰を検討した □ 評価・手当で不利益が生じていないか確認した □ 再発防止策を反映した
- 目的:被害者保護を「後回し」にせず、初動から中長期まで抜けなく行う。
- 自社用に調整:産業保健体制・シフト運用・復職支援制度に合わせる。
- 避けるべき運用:本人に事案を何度も語らせること。保護名目で恒久的に不利益を与えること。
- 法的注意点:相談等を理由とする不利益取扱いは禁止。派遣労働者への受入れ拒否も同様に禁止されます。
1名店舗・外勤でも機能する設計
「1名だから複数名対応できない」で終わらせません。解釈Q&A(問15)は、従業員1名の店舗でも、①十分な説明後もなお要求が反復する場合の退店要請・通話終了、②犯罪に該当し得る言動は警察へ通報、③現場対応が困難なら本社・本部へ情報共有し指示を仰ぐ、といった対処内容を定めておくことを示しています。さらに、カスハラが確認できた場合は、1名店舗であっても被害者配慮(担当変更・配置転換・産業保健による相談対応等)が必要です。
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| ケース | 緊急連絡先 | 安否確認 | 避難・離脱 | 録音/位置 | 警察 | 事後 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1名店舗 | 本部当番・緊急番号 | 定時連絡・合言葉 | 店舗からの一時退避・施錠 | 会社指定録音 | 110/#9110 | 担当変更・配置調整 |
| 訪問営業 | 上長・本部 | GPS・定時連絡 | その場を離れる | 会社端末 | 110 | 訪問先の見直し |
| 訪問介護 | 事業所・サ責 | 安否確認・複数訪問 | 訪問中断・退去 | 記録・位置情報 | 110/#9110 | 担当交代・ケア会議 |
| 配送 | 営業所・配車 | 位置情報・連絡 | その場を離れる | ドラレコ等 | 110 | 配送ルート変更 |
| タクシー・運送 | 配車センター | 車載通信・位置 | 安全な場所へ | 車載カメラ | 110 | 担当・区域調整 |
| 夜間受付 | 本部当番 | 定時連絡 | 施錠・退避 | 防犯カメラ | 110/#9110 | 体制見直し |
| 在宅コールセンター | SV・本部 | オンライン常時接続 | 通話終了・切断 | 会社録音 | #9110 | 個人情報保護・担当調整 |
| 出張・取引先訪問 | 上長・本部 | 連絡・位置 | 面談中断・退室 | 会社端末 | 110/#9110 | 取引先との連絡 |
コピー用ひな形⑩:1名店舗用 緊急対応カード(携帯・掲示用)
【危険を感じたら】
1. 自分の安全を最優先。無理に止めない。
2. 110番をする場面 → 暴行・具体的な危害の予告・凶器/危険物・
器物損壊・進行中のつきまとい・退去拒否に伴う危険の増大など、
事件・事故が現に発生しており、警察官に直ちに来てもらう必要が
ある緊急時。※本部の許可を待たず110番してよい。
3. その場を離れられるなら退避・施錠。
4. 本部当番へ連絡:__________(24H)
5. 警備会社:__________
※緊急でない相談(反復する脅し・今後の待ち伏せの不安・SNSの
危害示唆投稿など)は #9110/所轄警察署へ。
【居座り・電話が終わらないとき】
・企業側のミス・説明不足を確認し、必要な説明や配慮を行った後も、
同じ要求や問題となる言動が続く場合は、
「本日はここまでとさせていただきます」と予告のうえ、退店要請/通話終了。
・判断に迷えば本部当番へ相談。
【記録】
・時刻・発言・態様・証拠(録音/カメラ)をあとで記録票へ。
【事後】
・体調確認、帰宅経路の安全確認、翌営業日のフォロー。
・被害が確認された場合、担当変更・配置調整・産業保健相談を検討。
- 目的:単独勤務でも「通報してよい」ことを明示し、許可待ちによる被害拡大を防ぐ。
- 自社用に調整:本部当番の番号・警備会社・施錠手順を記入する。
- 避けるべき運用:緊急時に本部の許可を必須にすること。
- 法的注意点:110番通報・離脱は安全確保のための行為であり、権限表でも妨げないよう設計します。
派遣労働者への対応
派遣労働者については、労働者派遣法第47条の4により、派遣先も、その指揮命令の下に労働させる派遣労働者を雇用する事業主とみなされ、改正法第33条第1項・第34条第2項の規定が適用されます。指針も、派遣先は派遣労働者についても雇用する労働者と同様に配慮・措置を講ずる必要があるとし、相談等を理由として派遣労働者の役務提供を拒む等の不利益取扱いを行ってはならないとしています。派遣先は、派遣労働者にも現場マニュアルの現場対応手順を周知し、即時報告ルートを使えるようにします(派遣労働者を一般に派遣先の就業規則の適用対象であるかのように扱うものではありません)。
コピー用ひな形⑪:派遣先・派遣元の役割分担表
| 項目 | 派遣先 | 派遣元 |
|---|---|---|
| 現場の安全確保 | ○(現場で実施) | — |
| 担当交代・複数名対応 | ○ | — |
| 即時報告ルートの提供 | ○(派遣労働者も利用可) | 連絡受領 |
| 事実確認 | ○ | 協力 |
| 本人へのフォロー・就業継続支援 | 協力 | ○ |
| 不利益取扱いの禁止 | ○(受入れ拒否等の禁止) | ○ |
| 連絡ルートの整備 | 派遣先・派遣元間の連絡窓口・手順を事前に取り決める | |
- 目的:派遣労働者を「対応の空白」にしない。
- 自社用に調整:派遣元との覚書・連絡先を反映する。
- 避けるべき運用:派遣労働者を一般に派遣先の就業規則の適用対象であるかのように扱うこと。相談を理由に受入れを拒否すること。
- 法的注意点:派遣先は派遣法第47条の4により雇用する事業主とみなされ、安全確保・事実確認・不利益取扱い禁止の対象です。相談等を理由とする役務提供の拒否は禁止されます。
架空事例で学ぶ(すべて架空の事例です)
事例1:時間基準の誤用で悪化した店舗事案
事実関係(架空):店舗で顧客が大声を出し続けたが、現場担当者は「まだ30分を超えていない」として上司を呼ばず、単独対応を続けた。その間、人格否定と威圧が続き、他の来店者も不安を示し、事態が悪化した。
- 何が問題だったか:時間基準を「これに達するまで報告しない」という誤った使い方をした。発言内容・威圧性・他の顧客への影響・業務への支障といった観点を無視した。
- 正しい初動:時間に達していなくても、人格否定・威圧が続けば管理職へ報告。
- エスカレーション:発言内容・威圧性の観点でレベルBと判断し、担当交代・複数名対応。
- 記録:時刻・発言・他の来店者への影響を事実で記録。
- 被害者保護:担当を交代し、休憩・声かけを実施。
- マニュアル修正案:「時間・回数は報告の”下限”ではなく”目安”。内容・威圧性・影響のいずれかで基準に触れたら報告」と明記。社内運用基準と法的該当性は別物である旨を注記。
事例2:通話終了権限がなく長時間対応したコールセンター事案
事実関係(架空):オペレーターが十分に説明した後も人格否定が続いたが、通話終了の権限がなく、交代もされないまま2時間対応した。
- 何が問題だったか:終了予告・終了の権限と手順が不在。管理職モニタリングもなく、一人で抱え込ませた。
- 正しい初動:十分な説明後もなお反復する場合、管理職へモニタリング・交代を依頼。
- エスカレーション:終了予告→(管理職判断で)通話終了。窓口一本化。
- 記録:録音の確保、経過・発言の記録。
- 被害者保護:対応後の休憩・フォロー、必要に応じ産業保健へ。
- マニュアル修正案:終了の判断主体と手順(注意→予告→終了)を明記。オペレーターが単独対応を継続しない基準と交代ルートを整備。
事例3:合理的配慮を「執拗」と誤認して打ち切った事案
事実関係(架空):障害特性により説明の理解に時間がかかる顧客が同じ質問を繰り返したのを「執拗」と判断し、通話を終了した。
- 何が問題だったか:回数だけで「執拗」と判断し、合理的配慮の要否を検討しなかった。
- 正しい初動:伝え方を変える(図示・書面・ゆっくり・通訳・時間帯変更等)。障害者差別解消法の合理的配慮の観点を確認。
- エスカレーション:配慮を尽くしてもなお暴力・脅迫がある場合は別途、安全確保の観点で対応(属性ではなく具体的言動とリスクで評価)。
- 記録:配慮の内容と対話の経過を記録。
- 被害者保護:担当者にも過度の負担がかからないよう複数名・交代を検討。
- マニュアル修正案:「回数・時間だけで”執拗”と判断しない」「合理的配慮の要否を確認する」を明記。ただし、障害等があっても暴力・脅迫を無条件に受忍する必要はない旨も併記。
事例4:1名店舗で許可待ちを続けた事案
事実関係(架空):1名店舗で顧客が退去せず居座ったが、従業員は「本部の許可がないと動けない」と考え、許可を待ち続けた。
- 何が問題だったか:緊急時の権限が不明確で、通報・退避が遅れた。
- 正しい初動:危険が高まれば、本部の許可を待たず110番・退避してよい設計にする。
- エスカレーション:居座り・危険増大でレベルA。退店要請・通報・本部当番への連絡。
- 記録:時刻・経過・通報内容を事後に記録。
- 被害者保護:帰宅経路の安全確認、翌営業日のフォロー、担当・配置の調整。
- マニュアル修正案:1名店舗用緊急対応カードを整備し、「緊急時は許可不要で通報・退避可」を明記。本部当番の連絡先を常設。
完成版:カスハラ現場対応マニュアル(全文ひな形)
以下は、コピーして自社用に調整できる現場対応マニュアルの全文ひな形です。「◯分」「◯回」等は【自社基準】として空欄・選択式にしています。
コピー用ひな形⑫:カスハラ現場対応マニュアル(全文)
カスタマーハラスメント 現場対応マニュアル(第__版)
第1章 目的
本マニュアルは、顧客等の言動に起因するカスタマーハラスメントが発生した際に、
労働者の安全と就業環境を守り、迅速かつ適切に対応するための現場手順を定める。
改正労働施策総合推進法(令和7年法律第63号)および指針(令和8年厚生労働省告示
第51号)に基づく雇用管理上の措置の一環として運用する。
第2章 適用範囲
本マニュアルは、当社が雇用する全労働者を対象とする。また、当社で就業する派遣
労働者についても、現場での安全確保・報告・担当者交代・証拠保全その他の対応手順
を周知し、同様に利用できるものとする。派遣労働者に関する雇用上の措置については、
派遣元事業主との役割分担に従って対応する。
対象とする言動は、顧客、取引の相手方、施設・サービスの利用者およびその家族、
近隣住民等(以下「顧客等」)からの言動とする。
第3章 基本原則
1. 安全確保を最優先する。危険がある場合、カスハラ該当性の判断を待たない。
2. 正当な苦情・申入れには誠実に対応する。企業側のミスは是正する。
3. 労働者を一人で対応させない。
4. 該当性・犯罪の成否・法的措置の可否を現場で最終判断しない。
5. 障害特性・言語事情等には合理的配慮を検討する。ただし暴力・脅迫を受忍しない。
第4章 現場担当者の役割
・自分と周囲の安全確保、交代要請、管理職への即時報告
・事実の記録、会社指定の方法での証拠保全、会社が定めた定型文の使用
・単独対応を継続しない
・緊急時は安全のため、許可を待たず離脱・110番通報ができる
(法律上の該当性判断、犯罪の成否判断、契約解除・出入禁止の決定、警告文の作成、
顧客の医学的判断、裁量だけによる取引停止は行わない)
第5章 管理職の役割
・初動の指揮、担当交代・複数名対応の手配
・退店要請・通話終了の判断、警備・警察への連絡判断
・被害者への声かけ、被害者保護の実施、本部・窓口・法務への報告
第6章 緊急事案(レベルA)
暴行・接触・凶器・危害予告・器物損壊・居座りと危険増大・待ち伏せ・つきまとい・
他害/自傷のおそれ等がある場合は、避難・110番・警備・救急・本部即時連絡を行う。
従業員に身体で制止させない。
第7章 初動対応
(1)安全確認 →(2)危険があれば離脱・避難・通報 →(3)管理職へ報告 →
(4)担当者交代・複数名対応 →(5)要求内容の確認 →(6)企業側のミスの有無の確認 →
(7)必要な説明 →(8)記録・証拠保全 →(9)対応継続・終了の判断 →
(10)被害者保護 →(11)相談窓口への引継ぎ →(12)事後レビュー
第8章 担当者交代
次の場合、一人で対応させず交代・複数名対応に切り替える:
威圧・人格否定が続く/同一要求が【自社基準】回反復/拘束が【自社基準】分継続/
本人が強い恐怖・体調不良を示す 等。
第9章 単独対応の終了
退店要請・通話終了の判断主体は、当社があらかじめ定める。判断のばらつきや現場
担当者への過度な負担を防ぐため、現場担当者は「終了の予告」までを行い、最終的な
退店要請・通話終了は原則として管理職または権限者が判断する(これは社内設計で
あり、指針が判断者を管理職に限定しているものではない)。緊急時は現場担当者が
安全のため直ちに離脱し、通話を終了し、または警察へ通報できる。
第10章 対面対応
退路の確保、カウンター越し対応、個室に単独で入らない、複数名対応、
他の顧客との距離確保、危険物の確認、名札・個人情報の非開示。
第11章 電話対応
本人確認、要求整理、(実施する場合の)録音の適正な取扱い、同一説明の反復の管理
(【自社基準】)、管理職モニタリング、担当交代、終了予告、通話終了、窓口一本化。
第12章 メール・SNS対応
原本・ヘッダー・URL・投稿日時の保存、返信窓口の一本化、公開反論をしない、
広報・法務連携、削除申請・警察相談の検討。
第13章 対応終了
十分な説明を行ったうえで、なお同一要求が反復する等の場合、
終了予告 → (管理職判断で)退店要請・通話終了・書面対応への切替え。
終了理由と経緯を記録し、必要に応じ再連絡窓口を案内する。
第14章 警備・警察・救急
110番:暴行・脅迫・器物損壊が進行、凶器・危険物、差し迫った危険、居座りと危険増大、
つきまとい・待ち伏せが現に行われている、他の顧客にも危険 等、事件・事故が
現に発生し、警察官に直ちに現場へ来てもらう必要がある緊急時。
#9110・所轄署相談:反復する脅し、待ち伏せのおそれ、SNSの危害示唆投稿、
自宅・家族への言及、継続的な安全上の懸念(緊急性は高くない)等。
119番:負傷・意識障害・呼吸困難・強いパニック反応等、直ちに医療対応が必要と
思われる場合(現場に診断はさせない)。
(「この発言は犯罪」と断定しない。犯罪の成否は警察・法務が判断する。)
第15章 録音・録画
録音・録画は対処の「例」であり一律義務ではない。実施する場合は個人情報保護法を
遵守し、利用目的(事実確認に用いる旨を含む)を特定し通知・公表する。
カメラ設置は容易に認識可能とする措置を講じる。会社指定の端末・方法で行い、
私物端末で行わない。閲覧権限・保存期間・廃棄を定める。
第16章 証拠保全
上書き前に保存、原本保持、編集しない、保存担当・アクセス権限の管理、
証拠所在一覧の作成、廃棄停止の指示、法務への引継ぎ。
第17章 対応記録
対応記録票に、時刻・発言・態様・回数・企業側のミス・説明・終了予告・証拠・
被害者の状態・被害者保護・引継ぎ等を事実で記録する。
第18章 被害者保護
直後:交代・引離し・休憩・受診配慮・帰宅経路の安全・再接触防止・声かけ。
短期:産業保健・勤務調整・顧客接点の一時調整・相談窓口案内。
中長期:定期フォロー・復職支援・原職復帰・不利益防止・再発防止。
第19章 相談窓口への引継ぎ
【自社基準】時間以内に、対応記録票・証拠所在一覧・被害者の状態を添えて
相談窓口/人事/法務へ引き継ぐ。
第20章 派遣労働者
派遣労働者にも本マニュアルを周知し、即時報告ルートを利用可能とする。
派遣先は安全確保・事実確認、派遣元は本人フォロー・就業継続支援を行う。
相談等を理由とする受入れ拒否は行わない。
第21章 1名店舗・外勤
本部当番・緊急連絡先・定時連絡・位置情報・携帯型警報等を整備。
緊急時は許可を待たず通報・退避できる。事後に担当変更・配置調整を行う。
第22章 情報管理
記録・証拠・個人情報のアクセス権限・保存期間・目的外利用防止・廃棄を定める。
SNS・録音等の社内転送を統制する。
第23章 事後レビュー
重大事案・繰り返し事案は対応を振り返り、原因・背景(商品・接客・説明・慣行)
の改善とマニュアル改定に反映する。
第24章 研修・改定
管理職・現場・在宅・派遣を含めた研修と模擬訓練を実施し、
指針・通達・Q&A等の改正や事案の蓄積を踏まえて定期的に改定する。
(改定履歴)第__版 ____年__月__日 __________
- 目的:現場・管理職・本部・派遣・外勤を横断して、統一の行動基準を持つ。
- 自社用に調整:【自社基準】の時間・回数、連絡先、業種別項目を埋める。基本方針・就業規則・権限規程と整合させる。
- 避けるべき運用:時間・回数を法的基準として書くこと。社外へ運用基準を公開すること。
- 法的注意点:改正法は新たな権利・権限を付与しません。出入禁止・取引拒絶・契約解除は個別に法的検討が必要で、詳細は第8話で扱います。
施行前チェックリスト(2026年10月1日に向けて)
状態欄:未対応/対応中/完了/対象外
← 横にスクロールできます →
| # | 分類 | 項目 | 状態 |
|---|---|---|---|
| 1 | 基本設計 | 対象業務を洗い出した | |
| 2 | 対象拠点を洗い出した | ||
| 3 | 対象者(正規・非正規・派遣)を確認した | ||
| 4 | 基本方針と整合している | ||
| 5 | 相談窓口(第6話)と接続している | ||
| 6 | 初動 | 安全確認の手順を定めた | |
| 7 | 避難・退避の手順を定めた | ||
| 8 | 管理職報告の基準を定めた | ||
| 9 | 担当交代の条件を定めた | ||
| 10 | 緊急通報(110/#9110)の基準を定めた | ||
| 11 | 対応基準 | 対面対応の手順を定めた | |
| 12 | 電話対応の手順を定めた | ||
| 13 | メール対応の手順を定めた | ||
| 14 | SNS対応の手順を定めた | ||
| 15 | 退店要請の判断主体を定めた | ||
| 16 | 通話終了の判断主体・手順を定めた | ||
| 17 | 権限 | 現場の権限を定めた(緊急通報・離脱を含む) | |
| 18 | 管理職の権限を定めた | ||
| 19 | 本部の権限・当番を定めた | ||
| 20 | 法務への引取り条件を定めた | ||
| 21 | 経営の最終判断事項を定めた | ||
| 22 | 記録・証拠 | 対応記録票を用意した | |
| 23 | 録音の取扱い(個人情報保護法)を定めた | ||
| 24 | 録画・防犯カメラの掲示・目的を整えた | ||
| 25 | メール・SNSの保全手順を定めた | ||
| 26 | 保存場所・保存期間を定めた | ||
| 27 | アクセス権限を限定した | ||
| 28 | 被害者保護 | 直後の保護手順を定めた | |
| 29 | 短期の保護手順を定めた | ||
| 30 | 中長期の保護手順を定めた | ||
| 31 | 産業保健につなぐ手順を定めた | ||
| 32 | 不利益取扱い防止を明記した | ||
| 33 | 再接触防止・帰宅経路の安全確認を定めた | ||
| 34 | 派遣・外勤 | 派遣労働者への周知・報告ルートを整えた | |
| 35 | 派遣元との連絡ルートを整えた | ||
| 36 | 1名店舗の緊急対応カードを用意した | ||
| 37 | 訪問・外勤の安否確認手順を定めた | ||
| 38 | 夜間・休日の当番体制を定めた | ||
| 39 | 在宅勤務者の安全・個人情報保護を定めた | ||
| 40 | 研修・点検 | 管理職研修を計画した | |
| 41 | 現場研修を計画した | ||
| 42 | 模擬訓練を計画した | ||
| 43 | 事案レビューの仕組みを定めた | ||
| 44 | 定期改定の時期を定めた | ||
| 45 | 指針・通達・Q&Aの最新版を確認した | ||
| 46 | 整合・全体 | 就業規則・規程と整合している | |
| 47 | 権限規程と整合している | ||
| 48 | 合理的配慮(障害者差別解消法)を反映した | ||
| 49 | 業法上の制約(提供義務等)を確認した | ||
| 50 | 社外向け文書に運用基準を載せていない |
コピー用ひな形⑭:管理職向け初動チェックリスト
報告を受けたら(管理職) □ 身体的危険の有無を確認したか(危険なら即110番・避難) □ 現場に交代・複数名対応を手配したか □ 要求内容と企業側のミスの有無を確認したか □ 合理的配慮の要否を確認したか □ 終了予告・退店要請・通話終了の判断をしたか □ 録音・証拠の確保を指示したか □ 被害者の体調・帰宅経路の安全を確認したか □ 記録票の作成を指示したか □ 本部・窓口・法務への報告要否を判断したか □ 相談等を理由とする不利益が生じないよう配慮したか
コピー用ひな形⑮:現場担当者向け携帯カード
【あなたの役割】 安全確保 → 交代要請 → 上司へ報告 → 事実を記録 → 証拠を保全 ※ 該当性・犯罪・法的措置の最終判断はしなくてよい。迷ったら報告。 【危険を感じたら】 無理に止めない。安全を最優先。 110番=暴行・危害の予告・凶器・器物損壊・進行中のつきまとい・ 退去拒否に伴う危険増大など、事件・事故が現に起きていて警察官に 直ちに来てもらう必要がある緊急時(許可不要)。 緊急でない継続的な不安の相談は #9110/所轄署へ。 【対応を終える前に】 企業側のミス・説明不足を確認し、必要な説明や配慮をしたか。 その後も同じ要求や問題となる言動が続くか。終了を予告したか。 【困ったときの言葉】 「私では判断いたしかねますので、責任者に代わります。」 「これまで同じ内容についてご説明しております。」 「担当者個人の情報はお答えいたしかねます。」 【連絡先】 上司/店長:______ 本部当番(24H):______ 警備:______ 【対応後】 体調を伝える/帰宅経路を確認する/記録票を書く/窓口に相談する
相談窓口への引継ぎ
現場の役割は「その場の安全確保・対応交代・報告・記録・証拠保全・対応終了・初動の被害者保護」まで。正式な相談受付・事実確認・被害者保護の継続・プライバシー管理・不利益取扱い防止・再発防止・フォローアップは相談窓口の役割です(第6話)。引継ぎの期限・情報・様式を定めます。なお、解釈Q&A(問12)のとおり、カスハラの相談は他のハラスメント窓口と一体である必要はなく、まず現場の上司・管理監督者が受ける体制も認められます。行為者に連絡が取れない場合でも、周囲の労働者からの聴取や録音等で事実確認は可能です(問13)。
コピー用ひな形⑯:相談窓口への引継ぎ票
■ 相談窓口 引継ぎ票 引継ぎ日時:____年__月__日 __:__ 引継ぎ元(現場・管理職):__________ 引継ぎ先(窓口/人事/法務):__________ 対応記録票の管理番号:__________ 事案の概要(事実):__________ 確保した証拠の所在一覧:__________ 被害者の状態・希望:__________ 実施済みの被害者保護:__________ 緊急度・継続リスク(待ち伏せ・再来店・SNS等):__________ 今後必要と思われる対応:__________ 不利益取扱い防止のための留意点:__________
- 目的:現場から窓口へ、事実・証拠・被害者の状態を確実に渡す。
- 自社用に調整:引継ぎ期限(【自社基準】時間以内)を定める。
- 避けるべき運用:本人に何度も事案を語らせること。証拠がないことを理由に引継ぎを止めること。
- 法的注意点:引継ぎ票は個人情報・機微情報を含むため、アクセス権限・保存期間を管理します。
よくある質問(FAQ)
Q1.何分対応したらカスハラですか?
時間だけでは決まりません。該当性は言動の内容・手段/態様や経緯・業種・頻度・継続性・労働者の心身の状況等を総合的に判断します。強い苦痛を与える態様なら1回でも就業環境を害し得ます。時間は社内運用の目安にとどめます。
Q2.何回同じ電話が来たら切ってよいですか?
回数だけで機械的には決めません。十分な説明後もなお同一要求が反復し、企業側のミス・合理的配慮の要否を確認したうえで、終了予告を経て、管理職判断のもとに終了するのが適切です。回数は【自社基準】の目安です。
Q3.現場担当者が通話を切ってよいですか?
判断主体は各社が定める事項で、指針が管理職に限定しているわけではありません。判断のばらつきや現場の負担を防ぐため、本記事では現場は「終了の予告」まで、最終判断は管理職等が行う設計を推奨します。ただし緊急時(危険・脅迫等)は安全のため離脱・切断してかまいません。
Q4.顧客に「あなたはカスハラです」と言ってよいですか?
レッテル貼りは避けます。具体的な行為(例:侮辱的な発言)と対応条件(続く場合は対応を終了する)を伝える形にします。
Q5.暴言を受けたら直ちに警察を呼べますか?
暴行・脅迫・器物損壊等が進行している、凶器がある、差し迫った危険がある等の場合は、カスハラ該当性の確定を待たず110番を検討します。安全確保が最優先です。
Q6.110番と#9110はどう使い分けますか?
110番は「現に危険が進行している緊急時」。#9110(警察相談専用電話)は「緊急性は高くないが、反復する脅し・待ち伏せのおそれ・SNSの脅迫的投稿・家族への言及など継続的な懸念を相談したいとき」に用います。
Q7.退店要請は誰が行いますか?
判断主体は各社があらかじめ定めます。指針が判断者を管理職に限定しているわけではありませんが、判断のばらつき防止のため、本記事では管理職・権限者が判断する設計を推奨します。現場個人の感情だけでは行わせません。緊急時は安全のため現場が離脱できます。
Q8.退去しない場合はどうしますか?
退去を求めても居座り危険が高まる場合は、110番・警備要請・避難を検討します。犯罪の成否は現場で断定せず、警察に判断を委ねます。
Q9.録音は相手に告知しなければなりませんか?
その場で「録音している」と伝えることまでは必ずしも義務ではありません。ただし個人情報保護法上、偽り等不正な取得は禁止で、カメラ等から取得が容易に認識できない場合は認識可能にする措置が必要です。事実確認に用いるなら、その利用目的を特定し通知・公表します。
Q10.防犯カメラの映像を証拠に使えますか?
使えますが、個人情報保護法に従います。防犯目的での掲示に加え、カスハラの事実確認に用いる場合は、その利用目的を特定し、プライバシーポリシー等で通知・公表しておくことが考えられます。顔識別機能を使う場合は追加の注意が必要です。
Q11.従業員の私物スマートフォンで録音してよいですか?
推奨しません。会社指定の端末・方法を定めます。私物端末は個人情報の管理・目的外利用・流出のリスクがあります。
Q12.顧客が録音・撮影している場合はどうしますか?
直ちに違法とは限りません。ただし従業員個人情報の拡散や威圧手段としての利用には、記録・保全のうえ、管理職・法務・広報と連携します。
Q13.無断撮影はすべてカスハラですか?
いいえ。解釈Q&A(問5)のとおり、店舗・施設内の無断撮影が直ちにカスハラになるわけではありません。撮影中止を求めても続ける、従業員を追い回して撮る、プライバシー情報を投稿する、威圧手段に使う等、3要素を満たす場合に該当し得ます。
Q14.SNSに投稿すると言われたらどうしますか?
投稿予告を理由とした要求には応じません。「正式な窓口で承ります」と伝え、記録します。脅迫的であれば法務・広報・警察相談を検討します。
Q15.実際にSNSへ投稿された場合はどうしますか?
URL・日時・アカウント・スクリーンショットを保全し、感情的な公開反論をせず、広報・法務と連携してプラットフォームへの削除申請・警察/弁護士相談を検討します。
Q16.書面対応へ切り替えられますか?
できます。正確を期すため以降はメール・書面での連絡に切り替える旨を伝え、窓口を一本化します。
Q17.担当者を変更できますか?
できます。むしろ「一人で対応させない」観点から、交代・複数名対応は基本です。被害者保護としても有効です。
Q18.1名店舗ではどう対応しますか?
解釈Q&A(問15)のとおり、十分な説明後もなお要求が反復する場合の退店要請・通話終了、犯罪に該当し得る言動の警察通報、本部への情報共有・指示を定めておきます。カスハラが確認されたら、1名店舗でも担当変更・配置転換・産業保健相談等の被害者配慮が必要です。緊急時は許可を待たず通報・退避できるようにします。
Q19.派遣社員も同じマニュアルを使えますか?
使えます。派遣先は派遣法第47条の4により雇用する事業主とみなされ、派遣労働者にも周知・報告ルートを提供します。相談等を理由とする受入れ拒否は禁止です。
Q20.録音がなければ対応記録は意味がありませんか?
意味があります。録音がなくても、周囲の労働者からの聴取や履歴で事実確認は可能です。証拠がないことを理由に相談を排除してはいけません。
Q21.顧客の家族からの言動も対象ですか?
対象となり得ます。「顧客等」には施設・サービスの利用者およびその家族、取引の相手方、近隣住民等も含まれます。3要素を満たせば該当し得ます。
Q22.企業側にミスがある場合も対応を終了できますか?
まず企業側のミス・説明不足を是正・説明することが先です。是正・説明を尽くしてもなお、手段・態様が社会通念上許容される範囲を超える言動が反復する場合に、終了を検討します。ミスの確認を飛ばして打ち切らないでください。
Q23.障害のある顧客の繰り返し質問はどう扱いますか?
回数だけで「執拗」と判断しません。伝え方の変更(図示・書面・通訳・時間帯変更等)や合理的配慮(障害者差別解消法)を検討します。ただし、障害等があっても暴力・脅迫を無条件に受忍する必要はなく、属性ではなく具体的な言動と安全上のリスクで評価します。
Q24.被害者を一時的に顧客対応から外せますか?
できます。被害者保護としての一時的な配置調整は適切です。ただし相談等を理由とする恒久的な不利益(評価・手当・シフトの継続的な引下げ等)にならないよう、目的と期間を記録します。
Q25.対応後に何をフォローすべきですか?
体調確認、帰宅経路の安全、産業保健への接続、勤務調整、定期フォロー、必要に応じ復職支援。評価・手当で不利益が生じていないかも確認します。
Q26.出入禁止は現場で決められますか?
決められません。改正法は出入禁止の権限を新たに与えるものではなく(問18)、悪質事案でも必ず出入禁止にする義務もありません(問16)。可否は施設管理権・契約・約款・業法・公共性・合理的配慮等に基づき、経営・法務が個別に検討します(第8話)。
Q27.取引先担当者の暴言にも使えますか?
使えます。「顧客等」には取引の相手方も含まれます。業務で訪問した先で取引先の労働者や利用者から受ける言動も、3要素を満たせば対象となり得ます(問3)。
Q28.相談窓口への引継ぎはいつまでに行いますか?
【自社基準】の期限(例:当日〜翌営業日等)を定めます。対応記録票・証拠所在一覧・被害者の状態を添えて引き継ぎます。
Q29.マニュアルは社外へ公開してよいですか?
現場対応マニュアル(時間・回数・エスカレーション条件を含む運用基準)は社外公開しません。顧客等向けには基本方針の「毅然と対応します」までにとどめます。
Q30.業界団体のマニュアルをそのまま使えますか?
そのまま配布するだけでは措置義務を果たしたことになりません(問21・更問)。業界団体のマニュアルを参考に、自社の実情に応じて調整し、方針の明確化・対処内容の策定を行い、周知する必要があります。
シリーズ全10話の案内
| 話数 | タイトル | この記事で分かること |
|---|---|---|
| 第1話 | カスハラ対策が全企業の義務に|2026年10月施行の改正法でやるべきこと全体像 | 制度の全体像、対象事業主、10項目の措置、リスク、準備工程表 |
| 第2話 | どこからがカスハラか|正当なクレームとの線引きを3要件で判断する | 3要素、正当な申入れとの線引き、合理的配慮、判断フロー、記録 |
| 第3話 | 指針が求める措置の中身|方針明確化・相談体制・事後対応をどう整えるか | 10項目の措置の作り込み方、成果物、担当部署、完了基準 |
| 第4話 | カスハラ対応基本方針の作り方|社内外への表明文をひな形付きで解説 | 方針の記載事項、社内向け方針・トップメッセージ・顧客向け掲載文のひな形 |
| 第5話 | 就業規則・社内規程はどこを直すか|カスハラ義務化対応の改定ポイント | 改定要否の判断、文書別の役割分担、規定例、労使手続、不利益取扱いの境界 |
| 第6話 | カスハラ相談窓口をどう作るか|既存のハラスメント窓口と一本化する方法 | 窓口の設置方法、3つの統合設計案、担当者設計、二次被害の防止、ひな形 |
| 第7話 | 現場が迷わないカスハラ対応マニュアルの作り方|初動・エスカレーション・記録(本記事) | 初動フロー、エスカレーション基準、録音・証拠保全、対応記録、16種類のひな形 |
| 第8話 | それでも止まらない相手への法的対応|取引拒絶・出入禁止・警察対応の実務 | 警告文、販売・サービス提供の停止、出入禁止、仮処分、警察通報の判断基準 |
| 第9話 | 同時施行の求職者等セクハラ対策も忘れずに|関連する法改正・条例への対応 | 改正男女雇用機会均等法による求職者等セクハラ対策、自治体の条例 |
| 第10話 | 2026年10月までにやることリスト|カスハラ義務化対応の工程表と総まとめ | チェックリスト形式の総まとめ、成果物一覧、施行後の点検方法 |
現場マニュアル作成を効率化する
現場マニュアルをゼロから作る負担は小さくありません。初動フローが部署ごとにばらつく、対応記録が感情的・抽象的になる、エスカレーション基準を言語化できない、警察・法務へ上げる条件が曖昧、被害者保護が後回しになる、証拠保全の項目が抜ける、管理職ごとに判断が違う——こうした悩みの土台づくりに、実務テンプレートを活用できます。
カスハラ対応プロンプト集|顧客対応記録・従業員保護・上長報告・エスカレーションの実務テンプレート
対応記録・報告・エスカレーション・被害者保護の下書きを、自社の状況に合わせて素早く整えるためのプロンプト集です。感情的な記述ではなく、日時・発言・態様・継続時間・影響という事実を残せる構成で、法務・人事への引継ぎ資料としてそのまま使える形に整えられます。
法令対応を補助するためのツールです。AIがカスハラ該当性を最終判定するものではなく、犯罪の成立・医学的判断・法的措置(出入禁止・契約解除等)の可否を自動決定するものでもありません。自社の業種・業法・約款・体制・最新の指針に合わせた調整が必要で、個別事案は弁護士・社会保険労務士・警察・労働局等への相談を検討してください。
カスハラを含むハラスメント対策の実務ツール・プロンプトをまとめてご覧になりたい方は、ハラスメント商品ハブもあわせてご確認ください。
参考資料
公式URLは執筆時点(2026年7月15日)で確認しています。最新情報は各機関の公式サイトでご確認ください。
- 厚生労働省「事業主が職場における顧客等の言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第51号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001662584.pdf - 厚生労働省「令和7年労働施策総合推進法等の一部改正について」(改正法特設ページ。指針・省令・リーフレット・施行通達を掲載)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00003.html - 厚生労働省「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第10章の規定等の運用について」(施行通達/令和8年4月24日付 雇均発0424第2号)
- 厚生労働省「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」(令和8年4月24日)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001695619.pdf - 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku06/index.html - 厚生労働省「あかるい職場応援団」(ハラスメント対策総合情報サイト)
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/ - 個人情報保護委員会「『個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン』に関するQ&A」
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/faq/APPI_QA/ - 個人情報保護委員会「犯罪予防や安全確保のための顔識別機能付きカメラシステムの利用について」
https://www.ppc.go.jp/news/camera_related/ - 政府広報オンライン「警察に対する相談は警察相談専用電話「#9110」番へ」(110番=緊急の事件・事故/#9110=緊急でない相談)
https://www.gov-online.go.jp/article/201309/entry-7508.html - e-Gov法令検索「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」
https://laws.e-gov.go.jp/law/341AC0000000132 - e-Gov法令検索:個人情報の保護に関する法律/労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律/労働契約法/障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律
https://laws.e-gov.go.jp/
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。実際のマニュアル整備・運用にあたっては、自社の業種・業法・体制・最新の指針等を踏まえ、弁護士・社会保険労務士等の専門家にご相談ください。法令・制度基準日:2026年7月15日/施行日:2026年10月1日。
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