INTRODUCTION
法務文書や専門記事は、どうしても専門用語が多くなりがちです。正確に書こうとするほど、難しい言葉が増えていきます。
ところが、読み手が初心者や現場部門の場合、専門用語が多いと内容が伝わりません。正確に見えても、読まれなければ意味が薄れます。一方で、専門用語を削りすぎると、今度は正確性が落ちることもあります。
ChatGPTを使うと、正確性をできるだけ残しながら、読み手に合わせた説明へ整えやすくなります。この記事では、専門用語が多い文章をわかりやすくする具体的なプロンプトを紹介します。
この記事を実務で使う
読んだだけで終わると、次の案件でまたゼロから考えることになります。
社内説明の文面も、確認メモも、AIへの指示文も、毎回イチから。用途別に実務ツールを確認できます。
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この記事でわかること
POINT
専門用語が多い文章が伝わりにくい理由
ChatGPTで文章を初心者向けに直す方法
専門用語を残すべき場合・言い換えるべき場合
法務文書・社内説明・ブログ記事で使える完成プロンプト
表や具体例を使って説明をわかりやすくする方法
AIで文章を平易にするときの注意点
なぜ専門用語が多いと伝わらないのか
専門用語が悪いわけではありません。同業者どうしなら、用語があるから正確に速く伝わります。問題は、読み手の前提知識に合っていないときです。まずは、ありがちな問題を見てみましょう。
→
読み手に合わせる
残す補足する言い換える
正確性を保ちつつ伝わる
表1:専門用語が多い文章にありがちな問題
| ありがちな問題 | 読み手に起きること | 改善の方向性 |
| 専門用語を説明なしで使う | 初心者が理解できない | 初出時に短い説明を入れる |
| 定義語を多用する | 読み進める負担が大きい | 重要な定義だけ残し、補足を入れる |
| 抽象的な説明が続く | 実務で何をすればよいかわからない | 具体例・表・チェックリストを入れる |
| 一文が長い | 途中で意味を見失う | 一文を短く区切る |
| 結論が後ろにある | 何を言いたいか伝わらない | 結論を先に示す |
専門用語を扱うときの判断基準
「すべて言い換える」のではなく、用語ごとに扱いを変えるのがコツです。次の基準で判断します。
表2:専門用語を扱うときの判断基準
| 判断 | 使う場面 | 例 |
| そのまま残す | 正確性が重要・代替できない | 損害賠償、解除 など |
| 短く補足する | 初出で読者がつまずきやすい | 「再委託(他社に作業を任せること)」 |
| 言い換える | 平易な言葉で意味が保てる | 「催告」→「期限を定めて求めること」 |
| 表で説明する | 複数の用語・条件が並ぶ | 権利の帰属を表で整理 |
| 具体例に置き換える | 抽象的でイメージしにくい | 「例えば〜の場合」を添える |
表3:読み手別に変えるべき説明の粒度
| 読み手 | 説明で重視すること | 避けたい表現 |
| 法務担当者 | 正確性・論点 | 過度な噛み砕き |
| 現場部門 | 何をすればよいか | 用語の羅列 |
| 経営陣 | 結論・影響・判断材料 | 細かい法律論 |
| 新入社員 | 基本の理解 | 前提知識の省略 |
| 顧客 | 安心・わかりやすさ | 内部用語 |
| ブログ読者 | 悩みへの答え | 専門用語の連発 |
表4:AIに出力させると便利な項目
| 出力項目 | 内容 | 使いどころ |
| 専門用語リスト | 文中の専門用語の抽出 | 見直しの起点 |
| 言い換え案 | 平易な表現の候補 | 読みやすさ向上 |
| 補足説明 | 短い説明文 | 初出への差し込み |
| 初心者向け要約 | やさしい要約 | 概要把握 |
| 表形式の整理 | 用語・条件の整理 | 理解の補助 |
| 具体例 | イメージしやすい例 | 抽象の解消 |
| 注意点 | 言い換えのリスク | 正確性の確認 |
| 残すべき正確な表現 | 削ってはいけない用語 | 正確性の維持 |
わかりやすくする基本の型
まずは次の型を使ってください。空欄を埋めるだけで、正確性を意識した言い換えが始まります。
実務メモ|基本の型
あなたは、法務文書を初心者にもわかりやすく説明する編集者です。
以下の文章について、専門用語の正確性をできるだけ保ちながら、読み手に伝わりやすい文章に直してください。
文章の目的:
想定読者:
読者の前提知識:
残したい専門用語:
言い換えてよい専門用語:
文章のトーン:
重視すること:
出力形式:
元の文章:
以下の形式で整理してください。
1. 読みにくい理由
2. 専門用語リスト
3. 残すべき専門用語
4. 言い換えた方がよい表現
5. 初心者向けの補足説明
6. 修正文案
7. さらにわかりやすくするための表・具体例
8. 正確性を保つための注意点
不明な点は断定せず、「確認が必要な事項」として整理してください。
AIの修正文案は最終版ではなく、人間が正確性を確認する前提で作成してください。
各項目の意味
文章の目的:何のための文章かで、残すべき正確性の度合いが変わります。
想定読者/前提知識:誰がどこまで知っているかで、説明の粒度が変わります。
残したい専門用語:正確性のために崩したくない用語を指定します。
言い換えてよい専門用語:平易にしてよい範囲を伝えます。
文章のトーン:やさしく、ビジネス向けに、など方針を伝えます。
重視すること:正確性とわかりやすさ、どちらを優先するかを伝えます。
そのまま使える完成プロンプト集
ここからは、コピーしてすぐ使える完成プロンプトを7つ紹介します。【 】の部分を自分の状況に書き換えて使ってください。いずれも言い換えで意味が変わる場合は指摘させ、正確性確認は人間が行う前提にしています。
1プロンプト1|専門用語が多い文章をわかりやすくする標準プロンプト
あなたは、法務文書を初心者にもわかりやすく説明する編集者です。以下の文章について、専門用語の正確性をできるだけ保ちながら、読み手に伝わりやすい文章に直してください。
文章の目的:【何のための文章か】
想定読者:【誰が読むか】
読者の前提知識:【どこまで知っているか】
残したい専門用語:【あれば記入】
言い換えてよい専門用語:【あれば記入】
文章のトーン:【記入】
重視すること:【正確性/わかりやすさ など】
出力形式:以下の項目に分けて整理してください。
(1)読みにくい理由
(2)専門用語リスト
(3)残すべき専門用語(理由つき)
(4)言い換えた方がよい表現
(5)初心者向けの補足説明
(6)修正文案
(7)さらにわかりやすくするための表・具体例
(8)正確性を保つための注意点
注意点:
・専門用語をすべて消す必要はありません。正確性のために残すべき用語は残してください。
・言い換えで意味が変わる箇所は、私が確認できるよう変更点を示してください。
・法令・契約条項の説明は、私が原文・一次情報で確認する前提です。断定しないでください。
・不明な点は「確認が必要な事項」として整理してください。
・AIの修正文案は最終版ではありません。最終的な正確性確認は人間が行います。
【ここに元の文章を貼り付け】
2プロンプト2|法務文書を現場部門向けに言い換える
あなたは、法務と現場の橋渡しが得意な編集者です。以下の法務部作成の文章(説明文・コメントなど)を、現場部門が理解して動ける文章に直してください。
文章の目的:【記入】
想定読者:現場部門の担当者
読者の前提知識:法律の専門知識は少ない
確認・修正してほしい観点:
・法律用語が多すぎないか
・現場が何をすればよいか明確か
・リスクだけでなく対応策があるか
・禁止・注意だけで終わっていないか
・具体例があるか
・問い合わせ先や次の行動がわかるか
出力形式:
(1)読みにくい箇所と理由
(2)現場向けの言い換え(用語ごと)
(3)具体例
(4)現場が対応すべきこと(箇条書き)
(5)修正文案(全文)
注意点:
・法的に正確であるべき部分は、安易に言い換えず、必要なら原文の表現を残してください。
・言い換えで意味が変わる場合は指摘してください。
・最終的な正確性確認は人間が行う前提です。
【ここに法務文書を貼り付け】
3プロンプト3|経営陣向けに短く要約する
あなたは、経営陣向けの説明が得意な企業法務の編集者です。以下の法務調査結果(または契約レビュー結果)を、経営陣が短時間で判断できる文章に要約してください。
元の内容:【記入】
読み手:経営陣(決裁者)
当社の立場:【記入】
作成方針:
・結論を先に出す。
・経営判断に必要な情報に絞る。
・法務用語を使いすぎない。
・事業への影響を示す。
・金額・期限・重要度がわかるようにする(私が示した範囲で)。
出力形式:
(1)3行要約
(2)判断してほしいポイント
(3)主なリスク
(4)対応方針
(5)残る確認事項
注意点:
・元の内容にない数字・事実・法令情報を追加しないでください。
・重要なリスクを要約で落とさないでください。
・断定できない点は「要確認」として残してください。
・最終判断は人間が行う前提です。
【ここに調査結果・レビュー結果を貼り付け】
4プロンプト4|法律用語を初心者向けに補足する
あなたは、法律用語をやさしく補足するのが得意な編集者です。以下の文章に出てくる専門用語に、初心者向けの短い補足を付けてください。
文章の目的:【記入】
想定読者:【記入】
文章:【貼り付け】
整理してほしい観点:
・初出の専門用語
・読者がつまずきやすい言葉
・誤解されやすい言葉
・短い補足で済む言葉
・表で説明した方がよい言葉
・例を入れた方がよい言葉
出力形式:表形式で、次の列を出してください。
専門用語/簡単な説明/具体例/注意点(誤解されやすい点)/本文への差し込み文(案)
注意点:
・簡単な説明は、意味が変わらない範囲にとどめてください。厳密な定義は原文・一次情報で確認する前提です。
・補足によって正確性が落ちそうな場合は指摘してください。
・最終的な正確性確認は人間が行う前提です。
5プロンプト5|専門記事を初心者向けブログ記事に変える
あなたは、専門記事を初心者向けに書き直すのが得意な編集者です。以下の専門的な法務記事を、初心者にも読みやすいブログ記事に直してください。
元の記事:【貼り付け】
想定読者:【記入。例:法務初心者・現場担当者】
記事の目的:【記入】
整理・修正してほしい観点:
・冒頭で読者の悩みを示す
・難しい用語を説明する
・見出しをわかりやすくする
・表を入れる
・一文を短くする
・実務で何をすればよいかを示す
・詳細すぎる論点を整理する
出力形式:
(1)修正方針
(2)見出し案(H2・H3)
(3)用語説明(初出の専門用語)
(4)入れる表の案
(5)初心者向けの本文案
(6)正確性を保つための注意点
注意点:
・わかりやすさのために、法的な正確性を崩さないでください。崩れそうな箇所は指摘してください。
・元の記事にない事実・データ・事例を創作しないでください。
・最終的な正確性確認は人間が行う前提です。
6プロンプト6|社内説明資料をわかりやすくする
あなたは、社内説明をわかりやすく整えるのが得意な編集者です。以下の説明文(制度変更・法改正対応・社内ルール変更など)を、社員が理解して動ける文章に直してください。
元の説明文:【貼り付け】
想定読者:【全社/対象部署 など】
変更の概要:【記入】
整理してほしい観点:
・何が変わるのか
・いつから変わるのか
・誰に関係するのか
・何をすればよいのか
・なぜ必要なのか
・よくある誤解
・問い合わせ先
・FAQ化できる点
出力形式:
(1)社員向け要約
(2)変更点一覧
(3)社員が対応すべきこと
(4)想定FAQ案(質問と回答)
(5)修正文案(全文)
注意点:
・施行日・制度内容など正確性が必要な点は、私が一次情報で確認する前提とし、創作しないでください。
・断定できない点は「要確認」として残してください。
・最終的な正確性確認は人間が行う前提です。
7プロンプト7|難しい文章を表に変える
あなたは、複雑な説明を表に整理するのが得意な編集者です。以下の長くて難しい文章を、表形式で読みやすく整理してください。
元の文章:【貼り付け】
想定読者:【記入】
整理してほしい観点:
・比較できる項目
・読者が知りたい結論
・条件分岐(〜の場合は〜)
・やるべきこと
・注意点
・担当部門
・期限
・具体例
出力形式:
(1)文章の要点
(2)表にすべき項目
(3)表形式の整理
(4)表だけでは伝わらない部分の補足説明
注意点:
・元の文章の意味を変えないでください。表にする過程で、条件や例外を落とさないでください。
・正確性が必要な点は原文・一次情報で確認する前提とし、創作しないでください。
・最終的な正確性確認は人間が行う前提です。
悪い例・少し良い例・実務で使う例
同じ文章でも、どこまで指定するかで仕上がりが変わります。3つの場面で見比べてみましょう。
場面1:法務文書を現場向けに直す
実務で使うならあなたは、法務文書を初心者にもわかりやすく説明する編集者です。以下の文章について、想定読者を現場部門の担当者として、専門用語をリスト化し、残すべき用語・言い換える用語・補足すべき用語に分けてください。そのうえで、正確性をできるだけ保ちながら、現場担当者が次に何をすればよいかまでわかる文章に修正してください。意味が変わる言い換えは指摘し、不明点は確認事項として整理してください。
場面2:法令調査結果を経営陣向けに要約する
少し良い例この調査結果を経営陣向けに要約してください。
実務で使うなら以下の法令調査結果を、経営陣が短時間で判断できる形に要約してください。結論を先に出し、事業への影響・主なリスク・対応方針・判断してほしいポイント・残る確認事項に分けてください。元の内容にない数字や法令情報は追加せず、断定できない点は要確認としてください。
場面3:ブログ記事を初心者向けに直す
少し良い例このブログ記事を初心者向けに直してください。
実務で使うなら以下の専門記事を、法務初心者向けのブログ記事に直してください。冒頭で読者の悩みを示し、難しい用語に短い説明を付け、見出しをわかりやすくし、一文を短くし、実務で何をすればよいかを示してください。わかりやすさのために法的正確性が崩れそうな箇所は指摘し、事実や事例は創作しないでください。
わかりやすくするときの注意点
注意
専門用語をすべて消せばよいわけではない。残すべき用語は残す。
法律用語や契約用語は、正確性のために残すべき場合がある。
言い換えによって意味が変わっていないか確認する。
AIの言い換えが、法的に正確とは限らない。
法令・制度・契約条項の説明は、一次情報や原文で確認する。
読者の前提知識に合わせて、説明の粒度を変える。
機密情報・個人情報・契約情報をAIへ入力する場合は、社内ルールに従う。
AIは文章をわかりやすくする補助には役立つが、最終的な正確性確認は人間が行う。
わかりやすさと正確性のバランスが重要である。
まとめ
専門用語が多い文章は、正確に見えても、読み手に伝わらないことがあります。とくに読み手が初心者や現場部門のときは、説明の工夫が要ります。
ChatGPTを使うと、専門用語の洗い出し・言い換え・補足説明・表形式の整理がしやすくなります。プロンプトでは、想定読者・文章の目的・残したい専門用語・言い換えてよい範囲・出力形式を指定することが重要です。
ただし、専門用語を削りすぎると正確性が落ちることがあります。AIの言い換えが法的に正確とは限りません。最終的には、人間が正確性と読みやすさの両方を確認してください。
次回は、文章が素人っぽく見えるときに、ビジネス文書らしい信頼感を出すプロンプトを扱います。
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