INTRODUCTION
実務では、A案とB案のどちらを選ぶべきか迷う場面が多くあります。契約修正案、社内ルール、ツール導入、外注先選定など、判断のタネは尽きません。
頭の中だけで考えていると、メリット・デメリットやリスクが混ざりやすくなります。ChatGPTを使うと、比較軸をそろえて、判断材料を表に整理しやすくなります。
ただし、「どちらが正解か」をAIに丸投げするのは違います。大事なのは、判断材料を見える化することです。この記事では、A案とB案で迷ったときに使える具体的なプロンプトを紹介します。
この記事を実務で使う
読んだだけで終わると、次の案件でまたゼロから考えることになります。
社内説明の文面も、確認メモも、AIへの指示文も、毎回イチから。用途別に実務ツールを確認できます。
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この記事でわかること
POINT
A案とB案を比較するときに見るべき観点
ChatGPTで比較表を作るプロンプトの書き方
メリット・デメリットだけでなく、リスクや実行難易度を整理する方法
契約修正案・社内ルール・ツール導入・外注先選定で使える完成プロンプト
AIの比較結果を使うときの注意点
比較でよくある失敗
比較表は便利ですが、作り方を誤ると判断を歪めます。まずは、ありがちな失敗を見てみましょう。
表1:A案・B案比較でよくある失敗と改善方向
| よくある失敗 | 問題点 | 改善の方向性 |
| メリットだけで比較する | リスクや実行負荷が見えない | デメリット・リスク・費用・実行難易度も並べる |
| 結論だけを急ぐ | 判断理由を説明できない | 判断軸と前提条件を明確にする |
| 短期効果だけで選ぶ | 中長期の負担を見落とす | 短期・中長期で分けて比較する |
| 比較軸がそろっていない | 公平に比べられない | 同じ観点でA案・B案を並べる |
| 向き不向きを書かない | どんな場合に選ぶか不明 | 向いているケース・向いていないケースを示す |
比較表に入れるべき基本項目
比較軸をそろえるのがコツです。次の項目をAIに指定すると、公平な比較表になります。
表2:比較表に入れるべき基本項目
| 比較項目 | 見るポイント | AIへの指示例 |
| 目的適合性 | 目的に合っているか | 「判断目的にどれだけ合うか比較して」 |
| メリット | 得られる利点 | 「各案のメリットを並べて」 |
| デメリット | 失う点・欠点 | 「各案のデメリットを並べて」 |
| リスク | 何が起こりうるか | 「各案のリスクと影響度を整理して」 |
| 費用 | かかるコスト | 「費用面の違いを比較して(数字は創作しない)」 |
| 工数・実行難易度 | 実行のしやすさ | 「実行難易度・必要な工数を比較して」 |
| 関係部門への影響 | 誰に影響するか | 「関係部門への影響を比較して」 |
| 短期効果/中長期効果 | 時間軸の違い | 「短期と中長期に分けて比較して」 |
| 向いているケース | どんな場合に有効か | 「各案が向いているケースを示して」 |
表3:業務別に使える比較の観点
| 業務場面 | 比較対象 | 重視すべき観点 |
| 契約修正案 | 強気案/穏当案 | 法的リスク・相手の受け入れ・取引関係 |
| 社内ルール | 厳格案/柔軟案 | 守りやすさ・管理負荷・現場負担 |
| AIツール導入 | ツールA/ツールB | 費用・機能・セキュリティ・運用負荷 |
| 外注先選定 | 候補A/候補B | 費用・専門性・情報管理・契約条件 |
| 法務対応方針 | 主張する/交渉する/保留 | 法的リスク・交渉リスク・取引関係 |
| 記事テーマ選定 | テーマA/テーマB | SEO需要・読者の悩み・導線 |
表4:AIの比較結果を読むときの注意点
| AIの出力 | 注意点 | 人間が確認すべきこと |
| 「A案が望ましい」 | 前提条件が違えば結論も変わる | 予算・交渉力・社内体制・経営判断 |
| 「リスクは低い」 | 実際の発生可能性は別 | 過去事例・自社の状況 |
| 「費用はB案が安い」 | 数字の根拠が曖昧なことがある | 実際の見積・コスト試算 |
| 「どちらでもよい」 | 判断を放棄しているだけのことも | 重視する観点を絞って再依頼 |
A案・B案比較の基本の型
まずは次の型を使ってください。空欄を埋めるだけで、比較軸のそろった判断材料になります。
実務メモ|基本の型
あなたは、企業の意思決定支援に詳しい担当者です。
以下のA案・B案について、判断材料を比較表で整理してください。
判断したいテーマ:
判断の目的:
A案の内容:
B案の内容:
前提条件:
重視する観点:
関係する部門・関係者:
許容できるリスク:
避けたいリスク:
判断期限:
出力形式:
以下の形式で整理してください。
1. A案・B案の比較表
2. それぞれのメリット
3. それぞれのデメリット
4. それぞれのリスク
5. 向いているケース
6. 向いていないケース
7. 判断前に確認すべき事項
8. 推奨方針
9. 推奨方針の前提条件
不明な点は断定せず、「確認が必要な事項」として整理してください。
最終判断は人間が行う前提で、判断材料を見える化してください。
各項目の意味
判断したいテーマ/目的:何を、何のために決めたいかを伝えます。これがブレると比較もブレます。
A案・B案の内容:それぞれ具体的に記入します。曖昧だと比較も曖昧になります。
前提条件:予算・期限・体制など、すでに決まっている条件を伝えます。
重視する観点:コスト重視か、リスク重視かで、推奨は変わります。
関係する部門・関係者:影響を受ける相手を伝えると、現実的な比較になります。
許容できるリスク/避けたいリスク:リスク許容度を伝えると、推奨の精度が上がります。
判断期限:いつまでに決めるかで、現実的な選択肢が変わります。
そのまま使える完成プロンプト集
ここからは、コピーしてすぐ使える完成プロンプトを7つ紹介します。【 】の部分を自分の状況に書き換えて使ってください。いずれも数字を創作させない指示を入れています。
1プロンプト1|A案・B案を比較表で整理する標準プロンプト
あなたは、企業の意思決定支援に詳しい担当者です。以下のA案・B案について、判断材料を比較表で整理してください。
判断したいテーマ:【何を決めたいか】
判断の目的:【何のために決めるか】
A案の内容:【記入】
B案の内容:【記入】
前提条件:【予算・期限・体制など分かっている条件】
重視する観点:【コスト/リスク/スピード など】
関係する部門・関係者:【影響を受ける相手】
許容できるリスク:【ここまでは許せる】
避けたいリスク:【これは避けたい】
判断期限:【いつまでに決めるか】
出力形式:
(1)A案・B案の比較表(同じ比較軸で並べる)
(2)それぞれのメリット
(3)それぞれのデメリット
(4)それぞれのリスク
(5)向いているケース
(6)向いていないケース
(7)判断前に確認すべき事項
(8)推奨方針
(9)推奨方針の前提条件
注意点:
・費用やリスク発生可能性などの数字を創作しないでください。私が示した範囲で扱い、足りない情報は「要確認」と明記してください。
・前提条件が変われば結論も変わる旨を添えてください。
・最終判断は人間が行う前提で、判断材料を見える化してください。
2プロンプト2|契約修正案のA案・B案を比較する
あなたは、契約交渉に詳しい企業法務の担当者です。以下の契約修正案(A案・B案)を比較し、判断材料を整理してください。
判断したいテーマ:どちらの修正案で相手方に提示するか。
当社の立場:【委託者/受託者 など】
取引の概要:【取引内容・継続性・相手の規模など】
A案の内容:【例:強気の修正案。記入】
B案の内容:【例:穏当な修正案。記入】
重視する観点:法的リスク低減・取引関係の維持 など
判断期限:【記入】
比較してほしい観点:
・法的リスクの低減効果
・相手方が受け入れる可能性
・交渉への影響
・取引関係への影響
・事業上の重要性
・修正しない場合のリスク
・社内説明のしやすさ
出力形式:
(1)A案・B案の比較表
(2)各案のメリット・デメリット
(3)相手方の想定反応
(4)落としどころ(代替案)
(5)推奨案と、その前提条件
注意点:
・相手方の反応は想定であり、断定ではない旨を添えてください。
・断定できない点は「確認が必要な事項」として整理してください。
・最終的な提示判断は人間(担当者・弁護士)が行う前提です。
3プロンプト3|社内ルール案を比較する
あなたは、社内規程・運用ルールづくりに詳しい担当者です。以下の社内ルール案(A案・B案)を比較し、判断材料を整理してください。
判断したいテーマ:どちらのルール案を採用するか。
対象:【規程/運用ルール/承認フロー など】
A案の内容:【例:厳格な案。記入】
B案の内容:【例:柔軟な案。記入】
想定する運用部門:【誰が運用・遵守するか】
重視する観点:守りやすさ・管理負荷・コンプライアンス効果 など
比較してほしい観点:
・守りやすさ(現場が遵守できるか)
・管理負荷
・現場の負担
・コンプライアンス上の効果
・例外対応のしやすさ
・証跡管理の手間
・導入しやすさ
・誤解・反発リスク
出力形式:
(1)A案・B案の比較表
(2)現場への影響
(3)管理部門への影響
(4)導入時の注意点
(5)推奨方針と、その前提条件
注意点:
・断定できない点は「確認が必要な事項」として整理してください。
・運用できるかは現場確認が前提である旨を添えてください。
・最終判断は人間が行う前提です。
4プロンプト4|AIツール・法務ツール導入案を比較する
あなたは、ツール・システム導入の検討に詳しい担当者です。以下の導入候補(ツールA・ツールB)を比較し、判断材料を整理してください。
判断したいテーマ:どちらのツールを導入するか。
導入目的:【何を解決したいか】
ツールAの内容:【分かる範囲で記入】
ツールBの内容:【分かる範囲で記入】
前提条件:【予算・利用人数・導入時期など】
重視する観点:費用・機能・セキュリティ・運用負荷 など
比較してほしい観点:
・導入目的との適合性
・費用
・機能
・操作性
・セキュリティ
・情報管理(社内ルールとの整合)
・社内展開のしやすさ
・既存業務との相性
・導入後の運用負荷
・使われなくなるリスク
出力形式:
(1)ツールA・Bの比較表
(2)導入メリット
(3)導入リスク
(4)確認すべき事項(ベンダーへの質問を含む)
(5)稟議に書くべきポイント
注意点:
・費用や機能は、私が示した情報・公開情報の範囲で扱い、数字や仕様を創作しないでください。不確かな点は「要確認」と明記してください。
・セキュリティや情報管理は、社内ルール・専門部門の確認が前提です。
・最終判断は人間が行う前提です。
5プロンプト5|外注先・委託先候補を比較する
あなたは、外部委託先の選定に詳しい担当者です。以下の候補(候補A・候補B)を比較し、判断材料を整理してください。
判断したいテーマ:どの委託先に依頼するか。
依頼内容:【外部弁護士/コンサル/開発会社/業務委託先 など】
候補Aの情報:【分かる範囲で記入】
候補Bの情報:【分かる範囲で記入】
重視する観点:費用・専門性・対応スピード・情報管理 など
比較してほしい観点:
・費用
・専門性
・実績
・対応スピード
・コミュニケーションのしやすさ
・秘密保持・情報管理
・契約条件
・継続依頼のしやすさ
・社内との相性
・想定されるリスク
出力形式:
(1)候補A・Bの比較表
(2)候補ごとの強み・弱み
(3)選定前に確認すべき質問
(4)契約前に確認すべき事項(秘密保持・再委託など)
(5)推奨条件(どんな場合にどちらを選ぶか)
注意点:
・実績や費用などは、私が示した情報の範囲で扱い、創作しないでください。不確かな点は「要確認」と明記してください。
・断定できない点は「確認が必要な事項」として整理してください。
・最終判断は人間が行う前提です。
6プロンプト6|法務対応方針を比較する
あなたは、企業法務の対応方針づくりに詳しい担当者です。以下の対応方針(複数案)を比較し、判断材料を整理してください。
判断したいテーマ:どの対応方針を取るか。
事案の概要:【何が起きているか・分かる範囲で】
当社の立場:【記入】
比較する方針:
・A案:強く主張する
・B案:穏当に交渉する
・C案:いったん保留する
(必要に応じて変更してください)
重視する観点:法的リスク・取引関係・時間 など
比較してほしい観点:
・法的リスク
・交渉リスク
・取引関係への影響
・社内説明のしやすさ
・時間的制約
・費用(外部専門家費用など)
・レピュテーションリスク
・将来の先例になるリスク
・経営判断が必要な事項か
出力形式:
(1)方針別の比較表
(2)各方針が向いているケース
(3)避けるべきケース
(4)事前に確認すべき事項
(5)推奨方針と、その前提条件
注意点:
・法的評価は最終的に担当弁護士・専門家の確認が必要です。
・断定できない点は「確認が必要な事項」として整理してください。
・最終判断は人間が行う前提です。
7プロンプト7|ブログ記事テーマを比較する
あなたは、実務系ブログの編集に詳しい担当者です。以下の記事テーマ候補を比較し、次に書くテーマの判断材料を整理してください。
ブログの方針:法務・管理部門の実務担当者向けの実務ブログ。
比較するテーマ候補:
・テーマA:【記入】
・テーマB:【記入】
(必要に応じて追加)
重視する観点:SEO需要・読者の悩みの強さ・商品やCTAへの導線 など
比較してほしい観点:
・SEO需要(検索されそうか)
・読者の悩みの強さ
・商品・CTAへの導線のつくりやすさ
・書きやすさ
・シリーズ化しやすさ
・専門性を出せるか
・競合との差別化
・初心者向けに説明しやすいか
出力形式:
(1)テーマ候補の比較表
(2)優先順位(理由つき)
(3)各テーマの強み・弱み
(4)推奨タイトル案(各テーマ1〜2本)
注意点:
・検索需要や競合状況は推測であり、確定情報ではない旨を添えてください。実際のキーワード調査が必要な点は「要確認」と明記してください。
・最終判断は人間が行う前提です。
悪い例・少し良い例・実務で使う例
同じ比較でも、どこまで指定するかで判断材料の質が変わります。3つの場面で見比べてみましょう。
場面1:契約修正案の比較
少し良い例契約修正のA案とB案のメリット・デメリットを表にしてください。
実務で使うならあなたは契約交渉に詳しい法務担当者です。当社は受託者です。以下の修正案A(強気)とB(穏当)について、法的リスク低減効果・相手方の受け入れ可能性・取引関係への影響・社内説明のしやすさを比較表で整理し、相手方の想定反応、落としどころ、推奨案を前提条件つきで示してください。相手の反応は想定であり断定でないこと、不明点は確認事項とすることを守ってください。
場面2:ツール導入案の比較
実務で使うなら以下のツールA・Bについて、導入目的との適合性・費用・機能・セキュリティ・運用負荷・使われなくなるリスクを比較表で整理し、導入メリット・リスク・ベンダーへの確認質問・稟議に書くべきポイントを出してください。費用や仕様は創作せず、不確かな点は要確認としてください。
場面3:社内ルール案の比較
少し良い例社内ルールのA案とB案を比較してください。
実務で使うなら以下の社内ルールA(厳格)とB(柔軟)について、守りやすさ・管理負荷・現場の負担・コンプライアンス効果・例外対応・誤解反発リスクを比較表で整理し、現場と管理部門への影響、導入時の注意点、推奨方針を前提条件つきで示してください。運用可否は現場確認が前提であることを添えてください。
比較プロンプトを使うときの注意点
注意
AIの推奨案をそのまま結論にしない。判断材料として扱う。
前提条件が変われば、推奨方針も変わる。前提とセットで読む。
費用・売上・工数・リスク発生可能性などの数字は、実際の資料に基づいて確認する。
社内事情・関係者の意向・予算状況・交渉力は、人間が判断する。
法務判断・経営判断・予算判断をAIだけで完結させない。
AIは比較表や判断材料の整理には役立つが、最終判断は人間が行う。
比較表は「結論を出すための道具」ではなく、「判断理由を説明しやすくする道具」である。
まとめ
A案とB案で迷ったときは、頭の中だけで考えるより、比較表にすると整理しやすくなります。判断理由も説明しやすくなります。
ChatGPTを使うと、メリット・デメリット・リスク・費用・実行難易度・向いているケースを見える化できます。プロンプトでは、判断目的・前提条件・比較軸・関係者・リスク許容度を指定することが重要です。
ただし、AIの推奨方針はあくまで補助です。前提条件が変われば結論も変わります。数字は実データで確認し、最終判断は人間が行ってください。
次回は、何を確認すればよいかわからない案件で、AIに質問リストを作らせるプロンプトを扱います。
「プロンプトの力」シリーズ一覧
第6話A案とB案で迷ったときのプロンプト|メリット・デメリットを比較表で整理する方法
比較表・稟議・社内説明などで使えるプロンプトを持っておきたい方へ
A案とB案で迷うときは、比較表にして判断材料を見える化すると、説明もしやすくなります。Legal GPTでは、比較表、稟議、社内説明、契約レビューなど、法務・管理部門の実務で使いやすいプロンプト集を用意しています。毎回ゼロから指示を考えるのが大変な方は、自分の業務に近いプロンプトから試してみてください。
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