INTRODUCTION
ChatGPTの回答内容は悪くないのに、そのまま仕事で使いにくい——そんな経験はないでしょうか。原因は内容ではなく、出力形式が実務の成果物に合っていないことが多いのです。
実務では、表・メール・社内メモ・チェックリスト・議事録・報告書など、使う場面に合わせた形が必要です。回答そのものより、「誰に・何のために・どの形式で使うか」が重要になります。
ChatGPTには、回答の内容だけでなく、成果物の形式まで指定できます。シリーズ最終回となるこの記事では、ChatGPTの回答をそのまま使いやすい形に整える具体的なプロンプトを紹介します。
この記事を実務で使う
読んだだけで終わると、次の案件でまたゼロから考えることになります。
社内説明の文面も、確認メモも、AIへの指示文も、毎回イチから。用途別に実務ツールを確認できます。
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この記事でわかること
POINT
ChatGPTの回答がそのまま使いにくい理由
出力形式を指定する重要性
表・メール・社内メモ・チェックリスト形式で出力させる方法
法務・管理部門で使いやすい成果物形式
AIの回答を実務文書に変換する完成プロンプト
AIの出力を仕事で使うときの注意点
なぜそのまま使いにくいのか
出力形式を指定することは、仕事の成果物を指定することです。形を決めずに頼むと、長い文章で返ってきて、結局自分で整え直すことになります。まずは、ありがちな理由を見てみましょう。
→
出力形式を指定
表メール社内メモ
そのまま使える成果物
表1:ChatGPTの回答がそのまま使いにくい理由
| 理由 | 起きる問題 | 改善の方向性 |
| 出力形式を指定していない | 長い文章で返って使いにくい | 表・メール・メモなど形式を指定する |
| 読み手を指定していない | 誰向けの説明かわからない | 上司向け・事業部向け・相手方向けを指定する |
| 必要項目を指定していない | 重要な情報が抜ける | 結論・理由・リスク・対応方針を指定する |
| 分量を指定していない | 長すぎる/短すぎる | 分量の目安を伝える |
| トーンを指定していない | 場にそぐわない文体 | やわらかい・かしこまった等を指定する |
実務で使いやすい出力形式
成果物の目的から逆算して、形式を選びます。代表的なものを整理します。
表2:実務で使いやすい出力形式
| 出力形式 | 向いている場面 | 指定すべき項目 |
| 表形式 | 比較・確認・一覧 | 列の項目 |
| メール形式 | 依頼・連絡・共有 | 件名・宛先・依頼・期限 |
| 社内メモ形式 | 整理・記録・共有 | 結論・論点・対応方針 |
| チェックリスト形式 | 確認作業 | 確認項目・判断基準 |
| 議事録形式 | 会議の記録 | 決定事項・TODO |
| 稟議用要約 | 決裁・上申 | 結論・費用・効果・リスク |
| FAQ形式 | 周知・説明 | 質問・回答 |
| 比較表形式 | 選択肢の比較 | 比較軸 |
表3:法務・管理部門でよく使う成果物形式
| 業務場面 | 使いやすい形式 | AIへの指示例 |
| 契約レビュー | 表+コメント案 | 「リスク・修正案・コメントを表で」 |
| 法令調査 | 項目別整理+要確認 | 「論点と確認事項を分けて」 |
| 社内説明 | メモ・FAQ | 「FAQ形式でわかりやすく」 |
| 稟議 | 稟議用要約 | 「決裁者向け要約にして」 |
| 会議後整理 | 議事録・TODO表 | 「決定事項とTODOを表で」 |
| 法改正対応 | 影響整理表 | 「影響と対応を表で」 |
| トラブル初動 | 事実整理メモ | 「確認済み/未確認を分けて」 |
| 相手方コメント | コメント案表 | 「穏当なコメント案を表で」 |
表4:出力形式を指定するときに入れるべき条件
| 条件 | なぜ必要か | 入力例 |
| 読み手 | 言葉づかい・粒度が決まる | 上司/事業部/相手方 |
| 使用目的 | 必要な情報が定まる | 稟議に使う・共有する |
| 必要項目 | 抜け漏れを防ぐ | 結論・リスク・対応方針 |
| 文章トーン | 場に合う文体になる | 落ち着いたビジネス調 |
| 分量 | 長すぎ・短すぎを防ぐ | A4半分・3行 など |
| 表の列 | 表が整う | 項目・内容・対応方針 |
| 注意点 | 創作・断定を防ぐ | 数字を創作しない |
| 確認事項 | 未確認を切り分ける | 不明点は要確認に |
| 最終確認の前提 | 誤用を防ぐ | 人間が最終確認する |
出力形式を指定する基本の型
まずは次の型を使ってください。空欄を埋めるだけで、成果物としての形が整います。
実務メモ|基本の型
あなたは、AIの回答を実務で使いやすい成果物に整える編集者です。
以下の内容を、指定した形式に変換してください。
元の内容:
使用目的:
想定読者:
出力形式:
必ず入れる項目:
省略してよい項目:
文章トーン:
分量の目安:
注意点:
確認が必要な事項:
以下の形式で出力してください。
1. 結論
2. 重要ポイント
3. リスク・注意点
4. 対応方針
5. 確認事項
6. 次のアクション
不明な点は断定せず、「確認が必要な事項」として整理してください。
AIの出力は最終版ではなく、人間が内容・正確性・文脈を確認する前提で作成してください。
各項目の意味
使用目的:何に使うかで、必要な情報と形式が決まります。
想定読者:誰が読むかで、言葉づかいと詳しさが変わります。
出力形式:表・メール・メモなど、成果物の形を指定します。
必ず入れる項目/省略してよい項目:抜け漏れと冗長さを防ぎます。
文章トーン/分量の目安:場に合った文体と長さに整えます。
注意点/確認が必要な事項:創作や断定を防ぎ、未確認を切り分けます。
そのまま使える完成プロンプト集
ここからは、コピーしてすぐ使える完成プロンプトを8つ紹介します。【 】の部分を自分の状況に書き換えて使ってください。いずれも元の内容にない情報を創作させず、最終確認は人間が行う前提にしています。
1プロンプト1|AI回答を実務で使える形に整える標準プロンプト
あなたは、AIの回答を実務で使いやすい成果物に整える編集者です。以下の内容を、指定した形式に変換してください。
元の内容:【貼り付け】
使用目的:【何に使うか】
想定読者:【誰が読むか】
出力形式:【表/メール/メモ など】
必ず入れる項目:【記入】
省略してよい項目:【記入】
文章トーン:【記入】
分量の目安:【記入】
以下の形式で出力してください。
(1)結論
(2)重要ポイント
(3)リスク・注意点
(4)対応方針
(5)確認事項
(6)次のアクション
注意点:
・元の内容にない事実・数字・期限を創作しないでください。
・不明な点は断定せず「確認が必要な事項」として整理してください。
・AIの出力は最終版ではありません。内容・正確性・文脈は人間が確認する前提です。
2プロンプト2|AI回答を表形式にする
あなたは、長い回答を見やすい表に整理するのが得意な編集者です。以下の内容を、確認しやすい表に変換してください。
元の内容:【貼り付け】
使用目的:【記入】
想定読者:【記入】
表の列:【項目/内容/重要度/理由/想定リスク/対応方針/確認事項/担当部門/期限/備考 から必要なものを選択】
出力形式:
・指定した列を持つ表で出してください。
・表に入れにくい補足は、表の下に3点以内でまとめてください。
注意点:
・元の内容にない情報を創作しないでください。空欄になる項目は「要確認」としてください。
・重要な前提や注意点が、表にすることで抜けないようにしてください。
・不明な点は「確認が必要な事項」として整理してください。
・AIの出力は最終版ではありません。最終確認は人間が行う前提です。
3プロンプト3|AI回答を社内メールに変える
あなたは、社内メールづくりが得意な編集者です。以下の内容を、社内向けメールに変換してください。
元の内容:【貼り付け】
使用目的:【依頼/連絡/共有 など】
宛先の想定:【上司/事業部 など】
依頼・伝えたいこと:【記入】
期限:【あれば記入】
文体:【やわらかめ/かしこまった など】
出力形式:
(1)件名
(2)本文(冒頭に要件 → 結論 → 背景の順)
(3)依頼事項(箇条書き)
(4)必要に応じた補足・問い合わせ先
注意点:
・元の内容にない事実・期限・数字を創作しないでください。
・相手との関係性や社内文化に合わせて、送信前に人間が調整する前提です。
・断定できない点は「要確認」として残してください。
・機密情報・個人情報が含まれる場合は、共有可否を確認する旨を添えてください。
4プロンプト4|AI回答を社内メモに変える
あなたは、整理メモづくりが得意な編集者です。以下の内容を、上司・関係部門・自分用の社内メモに変換してください。
元の内容:【貼り付け】
使用目的:【記入】
想定読者:【記入】
分量の目安:【記入】
出力形式:見出しつき・箇条書き中心で、次の項目を出してください。
(1)結論
(2)背景
(3)論点
(4)リスク
(5)選択肢
(6)推奨方針
(7)保留事項
(8)確認事項
(9)次の対応
注意点:
・元の内容にない事実・数字を創作しないでください。
・推奨方針は前提条件つきで示し、断定しすぎないでください。
・不明な点は「確認が必要な事項」として整理してください。
・AIの出力は最終版ではありません。最終確認は人間が行う前提です。
5プロンプト5|AI回答を稟議・上申用の要約に変える
あなたは、稟議・上申資料づくりが得意な編集者です。以下の検討結果を、稟議書や上申資料の冒頭に使える要約に変換してください。
元の内容(検討結果):【貼り付け】
読み手:【決裁者/経営陣 など】
承認してほしいこと:【記入】
出力形式:
(1)3行要約(結論・理由・費用対効果)
(2)決裁者向け要約(10行程度)
(3)判断してほしいポイント
(4)リスクと対応策
(5)残る確認事項
注意点:
・費用・効果・期限などの数字を創作しないでください。元の内容の範囲で扱い、不足は「要確認」と明記してください。
・重要なリスクを要約で落とさないでください。
・断定できない点は「確認が必要な事項」として整理してください。
・AIの出力は最終版ではありません。最終確認は人間が行う前提です。
6プロンプト6|AI回答をチェックリストに変える
あなたは、確認作業用のチェックリストづくりが得意な編集者です。以下の内容を、実務で使えるチェックリストに変換してください。
元の内容:【貼り付け】
使用目的:【何の確認か】
想定読者:【記入】
出力形式:表形式で、次の列を出してください。
確認項目/確認目的・判断基準/想定リスク/必要資料/担当者/優先度/備考(要確認事項を含む)
注意点:
・元の内容にない確認項目を創作しないでください。判断基準が不明な点は「要確認」としてください。
・重要な前提・例外が抜けないようにしてください。
・不明な点は「確認が必要な事項」として整理してください。
・AIの出力は最終版ではありません。最終確認は人間が行う前提です。
7プロンプト7|AI回答を相手方へのコメント案に変える
あなたは、取引関係に配慮した相手方コメントづくりが得意な編集者です。以下の契約レビュー結果・確認事項を、相手方に送るコメント案に変換してください。
元の内容(レビュー結果・確認事項):【貼り付け】
当社の立場:【記入】
相手方との関係:【継続取引/新規 など】
出力形式:表形式で、次の列を出してください。
条項番号/当社の懸念/修正依頼(または確認依頼)/理由/相手方に送るコメント案
注意点:
・強すぎる・高圧的な表現を避け、交渉余地を残してください。
・相手方の反応は想定であり、断定ではない旨を添えてください。
・送信前に内容を人間が確認する前提です。
・断定できない点は「要確認」として残してください。
8プロンプト8|AI回答をFAQ形式に変える
あなたは、社内周知のFAQづくりが得意な編集者です。以下の内容を、わかりやすいFAQ形式に変換してください。
元の内容:【貼り付け】
テーマ:【法改正説明/制度変更/ツール案内 など】
想定読者:【全社/対象部署 など】
整理してほしい観点:
・読者が疑問に思いそうなこと
・誤解されやすい点
・具体的に何をすればよいか
・対象者
・期限
・問い合わせ先
・注意点
出力形式:表形式で、次の列を出してください。
質問/回答/補足/関連する確認事項
注意点:
・元の内容にない事実・期限・制度情報を創作しないでください。不確かな点は「要確認」と明記してください。
・施行日や制度内容など正確性が必要な点は、一次情報で確認する前提とします。
・AIの出力は最終版ではありません。最終確認は人間が行う前提です。
悪い例・少し良い例・実務で使う例
同じ回答でも、どこまで指定するかで成果物の質が変わります。4つの場面で見比べてみましょう。
場面1:表形式にする
実務で使うなら以下の回答を、法務部内で確認しやすい表に整理してください。列は「項目」「内容」「重要度」「理由」「想定リスク」「対応方針」「確認事項」としてください。不明な点は断定せず、確認事項として整理してください。表に入れにくい補足は、表の下に3点以内でまとめてください。
場面2:社内メールにする
実務で使うなら以下の調査結果を、事業部の担当者に送る社内メールにしてください。件名、冒頭の要件、結論、背景、依頼事項(箇条書き)、期限、問い合わせ先を入れ、やわらかい文体にしてください。事実や期限は創作せず、送信前に人間が確認する前提としてください。
場面3:社内メモにする
実務で使うなら以下の検討内容を、上司共有用の社内メモにしてください。結論・背景・論点・リスク・選択肢・推奨方針・保留事項・確認事項・次の対応を、見出しつき箇条書きで整理してください。推奨方針は前提条件つきとし、不明点は確認事項としてください。
場面4:稟議用要約にする
少し良い例この検討結果を稟議用にまとめてください。
実務で使うなら以下の検討結果を、稟議書の冒頭に使える要約にしてください。3行要約、決裁者向け要約、判断してほしいポイント、リスクと対応策、残る確認事項に分けてください。費用や効果の数字は創作せず、不足は要確認と明記してください。
出力形式を指定するときの注意点
注意
出力形式を指定しても、内容の正確性が保証されるわけではない。
AIの回答を、そのまま社内文書や相手方メールに使わない。
読み手・目的・文脈に合わせて、人間が調整する。
法令・契約・制度・金額・期限などは、原資料で確認する。
未確認の内容は、決定事項ではなく確認事項として扱う。
機密情報・個人情報・契約情報・トラブル情報をAIへ入力する場合は、社内ルールに従う。
表にすると見やすくなるが、重要な前提や注意点が抜けないようにする。
メール形式にするときは、相手との関係性や社内文化を人間が調整する。
出力形式は、成果物の目的から逆算して選ぶ。
AIは成果物の下書きには役立つが、最終版は人間が確認する。
「プロンプトの力」シリーズ全体のまとめ
全15回を通じてお伝えしてきたことは、ひとつに集約できます。プロンプトとは、単なる質問文ではなく、AIに仕事を任せるための指示書であるということです。
AIの回答が浅いと感じたときは、AIの性能だけでなく、自分の指示の出し方を見直してみてください。契約書レビュー、社内メール、稟議、法令調査、議事録、チェックリスト——実務ごとに、適した指示の出し方があります。
良いプロンプトに含まれる要素
目的:何のための作業か
前提:分かっている事実・条件
立場:自社の立場・読み手
判断観点:何を見てほしいか
出力形式:どんな成果物にするか
注意点:創作しない・断定しない・要確認に分ける
AIを使いこなす力は、AIに詳しいかどうかだけで決まるものではありません。自分の仕事を言語化できるかどうかに左右されます。何をさせたいのかを具体的に設計できれば、AIは論点整理・下書き・比較・表化・要約の強力な補助になります。
もちろん、最終判断は人間が行います。法務判断・経営判断・社内判断をAIだけで完結させることはできません。AIはあくまで実務の補助です。その前提を守ったうえで、ここまで紹介してきたプロンプトを、ぜひ日々の業務で試してみてください。
まとめ
ChatGPTの回答がそのまま使いにくいときは、出力形式を指定すると実務で使いやすくなります。表・メール・社内メモ・チェックリスト・稟議用要約など、目的に合った形式を選ぶことが重要です。
プロンプトでは、読み手・使用目的・必要項目・トーン・注意点を指定します。そしてAIの出力は最終版ではなく、人間が内容・正確性・文脈を確認する前提で使います。
プロンプトの力とは、AIに詳しいことではなく、仕事を指示書として言語化する力です。生成AIを実務で使いこなすには、AIに何をさせたいのかを具体的に設計することが大切です。全15回、お読みいただきありがとうございました。
「プロンプトの力」シリーズ一覧
第15話ChatGPTの回答をそのまま使える形にするプロンプト|表・メール・社内メモ形式で出力させる方法
業務で使えるプロンプトの型をまとめて確認したい方へ
ChatGPTを仕事で使うときは、毎回ゼロから指示を考えるよりも、業務に合ったプロンプトの型を持っておくと便利です。Legal GPTでは、契約レビュー、稟議、法改正対応、社内説明、議事録整理、チェックリスト作成など、法務・管理部門の実務で使いやすいプロンプト集を用意しています。業務で使えるプロンプトをまとめて確認したい方は、自分の業務に近いものから試してみてください。
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