INTRODUCTION
法令や制度を、ChatGPTに調べてもらいたい場面は増えています。論点を素早くつかむ入口として、便利な場面が確かにあります。
ただし、法律の情報は古い情報・誤った情報・存在しない情報が混ざると危険です。条文番号や施行日、改正内容を鵜呑みにすると、判断を誤ります。だからこそ、ChatGPTの回答だけで法令調査を完結させてはいけません。
一方で、AIは調査の入口として、論点整理・確認すべき資料・社内影響の整理に役立ちます。この記事では、法令調査でChatGPTを使うときの具体的なプロンプトを、一次情報での確認を前提に紹介します。
この記事を実務で使う
読んだだけで終わると、次の案件でまたゼロから考えることになります。
社内説明の文面も、確認メモも、AIへの指示文も、毎回イチから。用途別に実務ツールを確認できます。
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この記事でわかること
POINT
法令調査でChatGPTを使うときの基本姿勢
ChatGPTに法令調査を頼むときに入れるべき情報
条文・公的資料・ガイドライン・Q&Aを分けて整理させる方法
法改正や社内対応を整理するプロンプト
AIの回答を鵜呑みにしてはいけない理由
公的資料・一次情報で確認すべきポイント
頼めること・頼みすぎてはいけないこと
法令調査では、AIに任せてよい範囲と、人間が確認すべき範囲を、はっきり分けることが大切です。
AIの回答だけ
古い情報誤った情報存在しない情報
鵜呑みは危険
→
調査の入口として使う
論点整理確認すべき資料社内影響
一次情報で確認
表1:法令調査でChatGPTに頼めること・頼みすぎてはいけないこと
| 項目 | ChatGPTに頼みやすいこと | 人間が確認すべきこと |
| 論点整理 | 関係しそうな分野・論点の洗い出し | 実際に該当するか |
| 確認資料の洗い出し | 見るべき資料の「種類」の整理 | 資料が実在するか・最新か |
| 社内影響の整理 | 影響を受けそうな業務・部門の整理 | 自社の実態に合うか |
| 条文番号 | 頼まない方が無難 | e-Gov法令検索など一次情報 |
| 最新改正情報 | 頼まない方が無難 | 所管省庁・公的資料 |
| 最終判断 | 頼まない | 担当者・弁護士・専門部署 |
法令調査プロンプトに入れるべき要素
次の要素を伝えると、一般論で終わらず、確認すべき項目まで整理してくれます。
表2:法令調査プロンプトに入れるべき要素
| 要素 | なぜ必要か | 入力例 |
| 対象法令・制度 | 調べる範囲が定まる | 分かる範囲の法令名(不明なら「不明」) |
| 調査目的 | 深さ・観点が決まる | 新サービスが法に触れないか確認 |
| 業務場面 | 一般論で終わらない | 顧客データを外部委託する場面 |
| 会社の立場 | 義務の所在が変わる | 委託元/委託先 など |
| 確認したい事項 | 焦点が絞れる | 必要な手続・体制 |
| 最新性の要否 | 一次情報確認の優先度 | 最近改正された可能性がある |
| 出力形式 | 使いやすさが決まる | 表・項目分け |
| 公的資料確認の必要性 | 誤情報リスクを抑える | 一次情報で必ず確認する旨 |
確認すべき情報源の種類
AIの回答は、次のような一次情報・公的資料で確認します。ここでは、一般的な情報源の「種類」を整理します(実際のURLや資料名は、必ず公式サイトでご確認ください)。
表3:法令調査で確認すべき情報源の種類
| 情報源 | 確認する内容 | 注意点 |
| e-Gov法令検索 | 条文の現行内容 | 施行日・改正の反映を確認 |
| 所管省庁のWebページ | 制度の趣旨・運用 | どの省庁が所管かを確認 |
| ガイドライン | 求められる体制・判断基準 | 最新版か、対象が自社か |
| Q&A・解説資料 | 具体的な解釈・運用例 | 公的なものか、出所を確認 |
| 通達・告示 | 詳細な取扱い | 適用範囲・有効性を確認 |
| パブリックコメント | 改正の方向性・考え方 | 確定情報でない場合がある |
| 行政処分・公表事例 | 実際の運用・リスク | 事案の前提を確認 |
| 業界団体の資料 | 実務の標準的な対応 | 公的見解とは限らない |
表4:法令調査結果を社内対応に落とすときの整理項目
| 整理項目 | 内容 | 社内で確認すること |
| 対象業務 | どの業務が関係するか | 現場の実態 |
| 影響を受ける部門 | 誰に関係するか | 部門ごとの対応可否 |
| 必要な対応 | 何をすべきか | 優先順位・実行可能性 |
| 規程改定 | 改定が必要か | 既存規程との整合 |
| 契約書修正 | 既存契約の見直し要否 | 対象契約の洗い出し |
| 社内周知 | 誰にどう伝えるか | 周知方法・タイミング |
| 教育・研修 | 研修が必要か | 対象者・内容 |
| 対応期限 | いつまでに | 施行日・準備期間(要一次情報確認) |
| 残る確認事項 | 未確認の点 | 専門家・一次情報での確認 |
法令調査の基本の型
まずは次の型を使ってください。空欄を埋めるだけで、調査の論点と確認資料が整理されます。
実務メモ|基本の型
あなたは企業法務担当者として、法令調査の初期整理を行う担当者です。
以下のテーマについて、法令調査のための論点整理をしてください。
調査テーマ:
対象法令・制度:
確認したい業務場面:
当社の立場:
調査の目的:
最新情報の確認が必要か:
特に確認したい事項:
想定される社内影響:
出力形式:
注意点:
以下の形式で整理してください。
1. 調査テーマの概要
2. 関係しそうな法令・制度分野
3. 確認すべき条文・制度のポイント
4. 確認すべき公的資料・ガイドライン・Q&Aの種類
5. 企業実務への影響
6. 社内で確認すべき事項
7. 必要になりそうな対応
8. 一次情報で確認すべき事項
9. 判断を保留すべき事項
不明な点は断定せず、「確認が必要な事項」として整理してください。
法令・制度・改正情報については、最終的にe-Gov法令検索、所管省庁、公的資料などの一次情報で確認する前提で整理してください。
AIの回答は最終判断ではなく、調査補助として扱います。
各項目の意味
調査テーマ/対象法令:何を調べたいかを伝えます。法令名が不明でもかまいません。
確認したい業務場面:具体的な場面を伝えると、一般論で終わりません。
当社の立場:立場によって、適用される義務が変わります。
調査の目的:何のために調べるかで、整理の深さが変わります。
最新情報の確認が必要か:必要なら、一次情報確認の優先度が上がります。
特に確認したい事項:手続・体制・期限など、注目したい点を指定します。
想定される社内影響:分かる範囲で伝えると、対応事項まで整理されます。
そのまま使える完成プロンプト集
ここからは、コピーしてすぐ使える完成プロンプトを7つ紹介します。【 】の部分を自分の状況に書き換えて使ってください。いずれも条文番号・施行日・資料名を創作させない指示を入れています。
1プロンプト1|法令調査の初期整理
あなたは企業法務担当者として、法令調査の初期整理を行う担当者です。以下のテーマについて、法令調査のための論点整理をしてください。
調査テーマ:【何を調べたいか】
対象法令・制度:【分かる範囲で。不明なら「不明」と記入】
確認したい業務場面:【どんな場面で必要か】
当社の立場:【委託元/委託先/提供者 など】
調査の目的:【何のために調べるか】
最新情報の確認が必要か:【はい/いいえ】
特に確認したい事項:【記入】
想定される社内影響:【思い当たるもの】
出力形式:以下の項目に分けて整理してください。
(1)調査テーマの概要
(2)関係しそうな法令・制度分野(当たりをつけるレベル)
(3)確認すべき条文・制度のポイント(番号は断定しない)
(4)確認すべき公的資料・ガイドライン・Q&Aの「種類」
(5)企業実務への影響
(6)社内で確認すべき事項
(7)必要になりそうな対応
(8)一次情報で確認すべき事項
(9)判断を保留すべき事項
注意点:
・条文番号・施行日・改正内容・資料名を創作しないでください。不確かな点は「一次情報で要確認」と明記してください。
・関係しそうな法令分野は「当たり」であり、該当の有無はe-Gov法令検索や所管省庁の公的資料で必ず確認が必要です。
・不明な点は断定せず「確認が必要な事項」として整理してください。
・AIの回答は調査補助です。最終的な法的判断は人間(担当者・弁護士)が行います。
2プロンプト2|法改正の社内影響を整理する
あなたは企業法務担当者です。見つけた法改正情報について、自社業務への影響と対応事項を整理してください。
改正の概要(私が把握している範囲):【記入】
対象法令・制度:【記入】
当社の事業・業務:【記入】
当社の立場:【記入】
整理してほしい観点:
・改正の概要(私が示した範囲で)
・施行日・適用開始時期(断定せず、要確認として)
・対象となる事業者・業務
・自社に関係する可能性
・契約書への影響
・規程・マニュアルへの影響
・社内周知・研修の要否
・システム・運用変更の要否
・対応期限の目安
・一次情報で確認すべき事項
出力形式:表形式で、次の列を出してください。
改正概要/影響を受ける業務・部門/必要な対応/確認すべき資料の種類/残る確認事項(要一次情報確認)
注意点:
・施行日・改正内容・条文番号を創作しないでください。私が示した範囲で扱い、不確かな点は「所管省庁・e-Gov法令検索で要確認」と明記してください。
・自社への該当の有無は、事実関係・業務内容により変わります。断定しないでください。
・最終判断は人間が行う前提です。
3プロンプト3|条文と実務対応を分けて整理する
あなたは、条文を実務に落とすのが得意な企業法務の担当者です。以下の条文(または規定の内容)について、実務上すべきことを整理してください。
対象の条文・規定(本文を貼り付け):【記入】
当社の業務・立場:【記入】
確認したい業務場面:【記入】
整理してほしい観点:
・条文上の義務(何を求められているか)
・対象者(誰に適用されるか)
・禁止事項
・例外・適用除外
・期限・手続
・違反時に想定されるリスク
・実務として何をすべきか
・社内ルールへの反映
・契約書・規程への反映
・不明点
出力形式:次の項目に分けて整理してください。
(1)条文上のポイント
(2)実務対応(具体的に何をするか)
(3)社内で確認すべき事項
(4)一次情報で確認すべき事項
注意点:
・私が貼り付けた条文の範囲で整理し、条文番号や他の規定を創作しないでください。
・解釈に幅がある点は「解釈の確認が必要」と明記してください。違反時のリスクも断定しないでください。
・最終的な解釈・判断は、e-Gov法令検索・所管省庁の資料・専門家の確認が前提です。
・最終判断は人間が行う前提です。
4プロンプト4|ガイドライン・Q&Aを読む前の確認項目を作る
あなたは、行政のガイドラインやQ&Aを実務目線で読み解くのが得意な担当者です。これからガイドライン(またはQ&A)を読むにあたり、どこを重点的に見るべきか整理してください。
ガイドラインのテーマ:【何についてのガイドラインか】
当社の業務・立場:【記入】
確認したい目的:【記入】
整理してほしい観点:
・自社業務との関係(どこが関係しそうか)
・対象となる行為
・例外・適用除外
・判断基準
・具体例(どんな例を探すべきか)
・罰則・行政対応の有無
・企業に求められる体制
・記録・保存義務
・社内説明で使えそうなポイント
出力形式:次の項目に分けて整理してください。
(1)重点的に確認すべき項目
(2)探すべきキーワード
(3)読み飛ばしてはいけない箇所
(4)想定される社内影響
注意点:
・ガイドラインの具体的な記載内容を推測で断定しないでください。実際の記載は原典で確認する前提とし、確認すべき箇所の「当たり」を示してください。
・最新版か、対象が自社かを必ず確認する旨を添えてください。
・最終判断は人間が行う前提です。
5プロンプト5|社内説明用に調査結果を要約する
あなたは、法令調査結果を社内にわかりやすく伝える企業法務の担当者です。以下の調査結果を、社内向けに要約してください。
調査結果(私がまとめた内容):【記入】
読み手:【事業部/経営陣/管理部門 など】
当社の立場:【記入】
作成方針:
・法律用語を使いすぎず、必要なら平易な言葉に置き換える。
・結論を先に出す。
・自社に関係するかを明確にする。
・何を変える必要があるかを示す。
・いつまでに対応すべきかを示す(断定できない場合は要確認)。
・まだ確認が必要な点を分ける。
出力形式:次の順で出力してください。
(1)3行要約
(2)対象業務
(3)必要な対応
(4)対応期限(確定なら明記、未確定なら「要確認」)
(5)残る確認事項
(6)関係部門への依頼事項
注意点:
・私が示した調査結果の範囲で要約し、新しい法令情報・数字・施行日を追加しないでください。
・断定できない点は「要確認」として残してください。
・最終判断は人間が行う前提です。
6プロンプト6|調査結果をチェックリスト化する
あなたは、法令調査結果をチェックリストに落とすのが得意な企業法務の担当者です。以下の調査結果を、社内確認・規程改定・契約書修正に使えるチェックリストにしてください。
調査結果(私がまとめた内容):【記入】
対象業務:【記入】
当社の立場:【記入】
チェックリストに入れたい観点:
・対象業務
・対象部門
・必要対応
・担当部門
・確認すべき資料
・対応期限
・優先度
・未確認事項
・証跡として残すもの
出力形式:表形式で、次の列を出してください。
確認項目/対象部門・担当/必要資料/対応期限/優先度/備考(要確認事項を含む)
注意点:
・私が示した調査結果の範囲でチェックリストを作り、法令情報を創作しないでください。
・施行日・条文番号など正確性が必要な点は「一次情報で要確認」と明記してください。
・最終判断は人間が行う前提です。
7プロンプト7|外部専門家に相談する前の質問整理
あなたは、相談前の準備を整理するのが得意な企業法務の担当者です。外部弁護士・専門部署に法令の件を相談する前に、質問事項と前提情報を整理してください。
相談したいテーマ:【記入】
相談相手:【外部弁護士/専門部署 など】
現時点の事実関係:【記入】
すでに調べた資料(種類):【記入】
判断に迷っている点:【記入】
自社業務への影響(仮):【記入】
急ぎ度:【記入】
出力形式:次の項目に分けて整理してください。
(1)相談メモ(背景・経緯を簡潔に)
(2)質問リスト(優先順位つき)
(3)相談相手に判断してほしい事項
(4)添付すべき資料リスト
(5)相談前に自分で社内・一次情報で確認しておくべき事項
注意点:
・不明な点は断定せず「要確認」として残してください。
・条文番号や施行日を創作しないでください。
・最終判断は相談相手・人間が行う前提です。
悪い例・少し良い例・実務で使う例
同じ調査でも、どこまで指定するかで整理の質が変わります。3つの場面で見比べてみましょう。
場面1:法令の概要を調べる
実務で使うならあなたは企業法務担当者です。以下の法令について、当社の業務に関係する可能性がある点を、条文上のポイント・公的資料で確認すべき事項・ガイドライン・Q&Aで確認すべき事項・企業実務への影響・社内で必要になりそうな対応に分けて整理してください。最新情報や条文番号は、最終的にe-Gov法令検索や所管省庁の公的資料で確認する前提で、不明点は断定せず確認事項として整理してください。
場面2:法改正の社内影響を調べる
実務で使うなら当社は〇〇業です。以下の法改正情報(私が把握した範囲)について、影響を受けそうな業務・部門、契約書・規程への影響、社内周知・研修の要否、対応の目安を整理してください。施行日や改正内容は創作せず、所管省庁・e-Gov法令検索で要確認と明記し、自社への該当は断定しないでください。
場面3:条文から実務対応を整理する
実務で使うなら以下に貼り付けた条文について、条文上の義務・対象者・禁止事項・例外・期限を整理し、当社の業務で実務上すべきこと、社内ルールへの反映、確認が必要な点に分けて整理してください。貼り付けた範囲で整理し、他の条文や番号は創作せず、解釈に幅がある点は確認が必要と明記してください。
法令調査でAIを使うときの注意点
注意
ChatGPTの回答だけで法令調査を完結させない。あくまで調査の入口・補助。
条文番号・施行日・改正内容・行政資料名は、誤っている可能性がある。
最新情報が必要な場合は、e-Gov法令検索、所管省庁、公的資料、パブリックコメントなど一次情報を確認する。
AIが挙げた法令名・制度名が実在するか確認する。
法令の適用有無は、事実関係・業務内容・会社の立場によって変わる。
法的判断や社内対応方針を、AIだけで決めない。
契約書・個人情報・秘密情報・トラブル情報をAIへ入力する場合は、社内ルールに従う。
AIは論点整理・確認事項の洗い出しには役立つが、最終判断は人間が行う。
法令調査では「何を確認すべきか」を整理する力が重要である。
まとめ
法令調査では、ChatGPTの回答だけで結論を出してはいけません。条文番号や施行日、改正内容は、誤っていることがあるからです。
一方で、AIは調査の入口として、論点・確認資料・社内影響を整理するのに役立ちます。プロンプトでは、調査テーマ・業務場面・当社の立場・確認したい事項・最新性の要否を指定することが重要です。条文・公的資料・ガイドライン・Q&A・実務影響・社内対応を分けて出力させると、そのまま使いやすくなります。
最終的には、e-Gov法令検索や所管省庁などの一次情報と、人間の判断で確認してください。
次回は、契約修正案を相手に出す前に、相手方からの反論を事前に想定するプロンプトを扱います。
「プロンプトの力」シリーズ一覧
第8話法令調査をChatGPTに頼むときのプロンプト|条文・公的資料・実務影響を整理させる方法
法令調査・法改正対応・社内影響整理に使えるプロンプトを持っておきたい方へ
法令調査や法改正対応では、AIに聞くだけでなく、何を確認し、どの公的資料を見るべきかを整理することが重要です。Legal GPTでは、法改正情報の確認、自社影響の整理、社内周知、規程改定などに使えるプロンプトを用意しています。法令調査や法改正対応を効率化したい方は、まずは自分の業務に近いプロンプトから試してみてください。
法改正対応プロンプトを見る